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Time PerspectiveとPersonalityとの関連III 一学歴志向性を指標として一

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Time PerspectiveとPersonalityとの関連III 一学歴志向性を指標として一

小倉 規敬*・吉田 昭久**・小熊 均***

(1982年9月30日受理)

On Time Perspective and Personality皿:On Diploma Orientation

Noritaka OGuRA,Teruhisa YosHIDA and Hitoshi OGuMA

(Received September 30,1982)

は  じ  め  に

前論文2編1)2)では,従来心理学において,time perspectiveとして研究されて来た現象把握 の方法の問題を検討すると共に,time perspectiveに関する研究の視点を明示し,具体的研究方 法に関する問題提起を行なった。time perspectiveにおいては,過去・現在・未来といったその

「人」の「生」にかかわる広大なscopeにわたる時間経験を,その対象とする3)。 そのことは また,人間存在を「実存」と捉える立場から,仏教でいう「瞬間」の「生」ということにも連な る,「私一此処一今」を基点に,どのようなperspectiveのもとに,「人」は「世界」を「生き て」いるかに直接的に接近することでもある4)。以上のような視座から,前論文5)では,「人」

を生から死へという流れの中で,即ち,「人」が一生を貫いてかかわりを持つものとして,その 対象世界を「自然」「実存」「文化」「社会」の四つに分節した視点から面接を行ない,time

perspectiveの把握を試みた。そして,そこでは「人」の「生」という視座からみると,自然との 関係では,自己の一部分で,自然を見,自然を認識の対象としてのみ捉え,「人」は,自然との 隔たりを増す方向にあることを指摘した。同時にそれは, 「物」に限らず全てのものを「持つ様 式」において経験することとなり,「人」は,「私的所有へのこだわり」を持ちつつ生きること,

また,「実存的不安」のなさから,そのような「持つ様式」への埋没を示すこととなり,従って,

一瞬一一瞬の「生」を受け止め未来へと志向する「生」を生き得ず, 「生」の広がりとしてのtime perspectiveの持てなさを示すものであることを明示した6)。

このように,前論文2編においては,time perspectiveを,「人」の一生との関連で捉えるこ との必要性を指摘した。しかし,「人」の一生を視座に据えると,それは社会や時代状況との関 連で,様々に変化する過程に相応することとなる。

* 茨城大学教育学部教育臨床心理研究室研究生

** 茨城大学教育学部教育臨床心理研究室

*** 都留文科大学文学部

(2)

86       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

そこで今回は,現代社会の特徴の一つとして指摘される「学歴社会」,即ち学歴によって,個 人の地位なり所得なりが決まって来る社会 という社会状況との関連から,time perspectiveの 問題を考えることにする。それは, 「学歴社会」において問題となる,希望を持ち,期待を掛け て学歴を得ようとする「人」の「生」の営みは,その「人」の未来志向性を反映すると言えるか

らである。そこで,その未来志向性は,いかなる意識の反映であるのかを捉えるために,学歴意 識と学歴志向性とを指標に据え,検討する。ここで,学歴意識とは, 「学歴社会」の中で生じて くる意識即ち学歴が高い人は有利であるとするような学歴の認識状態,価値づけ といったも のである。また,学歴志向性とは,学歴にこだわりを持ちつつ,自己が学歴をどのように利用す るか,あるいは,どのように自己の成長の一過程として学歴を考えるか,つまり,orientation としての,その「人」の行為性に表われて来る認識である。

以上二つの指標を中心に考えるが,特に学歴志向性との関連で,time perspectiveについて 検討することにする。なお,本論文の構成の概要を示すと,以下の通りである。

1 学歴意識と学歴志向性 1−1 学歴意識の現在的意味

1−2 教育アスぜレーションと学歴志向性 1−3 学歴意識と学歴志向性との関連 皿 学歴意識の因子分析的検討

皿一1 学歴意識の測定 H−2 学歴意識の因子構造 皿一3 現代青年の学歴意識 皿 学歴志向性の因子分析的検討

皿一1 学歴志向性の測定 皿一2 学歴志向性の因子構造 皿一3 現代青年の学歴志向性

】V 学歴志向性にみるtime perspective W−1 学歴意識と学歴志向性の構造の特徴

】〉−2 学歴志向性の構造に反映するtime perspective W−3 time perspectiveの基底因としての学歴志向性

1 学歴意識と学歴志向性

1−1 学歴意識の現在的意味

現代人の多くは,程度の差こそあれ,学校間格差のこと,つまり有名校出身であるか否かとい った,学歴に関する事柄を気に止めているといってよい。現代社会に一般的に認められる受験競 争に示されるものは,学歴意識の表われであり,また,現代社会が, 「学歴社会」であることか

ら生じて来る現象であると言える。

日本の社会は現在就職時や,裁判官・医者・教師等々の専門職に就く場合には勿論,大学を

(3)

出ていること,即ち学歴の高いことが個人にとって有利になっている。最近の変化として,大学 離れの現象が起こり,就職の際にも運動部出身等バイタリティーのある人がよい とか,どこの 大学を出たかではなく,本人の実力がものをいう とか言われてはいるが,現実には学歴に対す る一般的な価値づけは高い。その表われが,昨今の受験産業の成長であり,受験競争の過熱であ

ろう。

戦前および戦後の高度経済成長期の開始期までは, 「タテの学歴社会(中一高一大)」と言え るものであった。そこでは,大学へ行けるのは極く少数の人達であり,まさしくその人達はエリ 一トであった。しかし一方で,学歴に裏付けられたエリートとなる道以外の生き方も種々あり,

むしろ,学歴を得て進む道以外の道を歩むことの方が一般的であった。例えば,それらは農業で あり漁業であり,大工や左官といった職人であった。そこでは,職人になるために,わざわざ上 級の学校へ進むことは,逆に,自分が仕事に熟練する機会を先に延ばすだけであり疎んじられて いた7)。つまり,職人には職人としての誇りといったものがあった。そこでは,まさに職人の意 識として,職業上の貴賎の別はなかったと言えよう。

だが,高度経済成長に伴う技術革新の中で,それまでに崩壊しつつあった職人の世界は,ほぼ 完全に無くなってしまったと言ってよい。つまり, 「技術革新は,労働者に対して年季の入った 熟練よりも,高度の知的訓練を要求するようになる」8)のである。日本の社会が,自主営業主体 の社会から雇用者主体の社会に変わるにつれて,学歴の持つ意味も大きくなって来る。さらには,

高度経済成長に伴って,高等教育への進学率も高まり,日本は高学歴社会となった。これに伴い,

エリートであった大学卒の資格者はエリートではなくなり,「タテの学歴社会」から「ヨコの学 歴社会(学校間格差)1へとその様相を変化させて行く。このような社会的な変化は,有名大学 への進学志両に拍車をかけ,受験競争を激化させ,指定校制度などの導入により,さらに加速さ れた。これが日本人の「資格」より1場」を優先させること9)と重なって,今日の「学歴偏重 主義」の風潮を生み出して来たと言ってよい。そこで重要視されるのは,個人が大学で何を得た かではなく,どこの大学を出たかということである。その中では,「日本では高学歴であること が,最初の職業を決定し,その後の地位にもつながっている」lo)という事態を生じさせることと

福ウれて行く中で,学歴が,本人の能力・実力とは関係なく一人歩きを始めることとなる。

このような社会状況の変化は,学歴に対する「信仰」を生じさせ 現実的に学歴を得ていない ことにより,種々の場面で不利益を被っている親が,子どもに学歴を得させるたあの努力をする といった状況を生じさせて来た。このような状況の下で,個々人の意識における学歴に対する価 値づけも次第に高くなって来たと言えよう。

以上のような社会状況の中で学歴意識は形成され,その学歴意識の反映によって,現代の「学 歴社会」は増々助長される結果となっている。また,このような社会にあっては,個々人の学歴 への志向性もその影響を受けざるを得ない。それは, 「人」の一生を左右する事柄となり,個の

日常性を規定することであるが故に,「人」の行動水準の基底因ともなって来る。

1−2 教育アスピレーションと学歴志向性

「学歴社会」にあっては,学校教育をどう通過したのかが,個人の身分,地位の上昇移動に大

(4)

88       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

きな役割を果している。これは,ドーアも指摘しているように,日本の近代化を,知識の輸入に よって達成しなければならなかった11)歴史的状況に端を発している。この知識の輸入と教育と を中心課題とした典型例として,東京帝国大学がある。この歴史的背景の中で,我が国において は,工業化過程の当初から技師という職業が,一つの専門職業部門として認められる形で表われ て来る。ここで既に,学校教育による,就職前の資格授与・取得というパターンが定着したので ある。また,東京帝国大学法学部卒業生が官吏登用試験を免除された18)ことにも示されるように,

官僚になるためには,帝国大学へ行くのが近道という公式もこの頃より成立して来る。

しかし,このような上昇移動の公式も, 「タテの学歴社会」であった間は通用していたが,高 学歴社会の出現により, 「ヨコの学歴社会」に変化するにつれて崩れて来ることになる。「ヨコ の学歴社会」が体制として強固なものとなるにつれ,学歴そのものの価値づけではなく,大学の 価値づけが行なわれることとなり,受験産業の拡大に伴い,適確に大学のランクづけが行なわれ ることになって来る。さらには,企業の指定校制度との関連で,自分の入学でき得た大学のラン クにより,将来の地位,昇進がある程度予測できる事態が生じて来る。そこから,戦前の移動性13)

が,立身出世と重なっていたのに対して,戦後においては,次第に,大学を出ることが立身出世 の近道とはならなくなる現象が生じて来ることになる。この点に関して竹内は,「r移動性』に ついての大学生のイメージも出世意欲を減退させる方向に働いている。いまや大学のプレスティ 一ジ(威信)は偏差値によって一元化されていることは周知の事である。このような社会では,

ごく一部のr一流』大学生を除いてrその他大勢』大学生には大学進学段階でr負け犬』意識が 付与されてしまい,出世の諦めが生じる」14)と指摘している。そこでは,せめて人並みな生活 を送るために大学進学は必要とされる ということになってくる。

以上のことは,現代社会にあって多くの「人」は,教育を受けること,即ち,教育アスピレー ションによって,自己の内的世界における上昇志向を満そうとする一方で,自己の得た学歴に よって,その「人」の将来の枠組みをある程度限定してしまう,あるいは未来指向性を持ち得な

くなってしまうといった,現代人の学歴志向性の一面を示していると言えよう。

      日

オかしながら,本来教育の目的とは,自己の身分的上昇のためにあるのではなく,人間として の成長を助け,自己実現の役割を担うべきものである。この点に関してマスローは,「教育の機 能,教育の目標一人間的,人間主義的な,人間に関する限りの目標一は,最終的に,個人の

r自己実現』,完全な人間になること,人類あるいは特定の個人が到達しうる最高の高さにまで 成長すること,とされている。それは,平たく言えば,人間が自己のなりうる最高のものになる のを助けることである」15)と述べている。即ち,教育により自己の向上を目指す志向性を教育 の本質としている。従って,学校教育を経るということは,学歴による出世という枠に自己を縛 ることではなく,自己の成長の一過程として学歴を位置づけ,自己のこれまでの,あるいはこれ からの「生」との関連で,即ち,未来志向性との関連で学歴を位置づけることに本来的な意味が

ある。

以上から,学歴志向性は,個人の得た学校教育を,自己の学歴に対する価値づけの中で,将来 に渉る一つの枠組みとしてどのように位置づけ,個々人の日常生活における行為性に,具体的に どのように反映させるか,といった志向性と言うことが出来る。

(5)

1−3 学歴意識と学歴志向性との関連

これまでに,学歴意識学歴志向性について述べて来たが,それらは, 「学歴社会」という現 代の社会状況に根ざしていることを指摘した。即ち,現代社会が「学歴社会」に変貌して来たこ

とにより,昨今の学歴意識は生じ,学歴に対する価値づけが行なわれることによって,学歴によ る将来への枠組み,学歴志向性が形成されて来ることになる。

「学歴社会」に関して富永は, 「産業社会が機能的に必要とする地位体系に人員を配分する規 則において,社会的地位への資格付与が学歴を基準として行なわれる度合いの高い社会」16)と定 義している。言い換えるならば, 「学歴社会」とは,学歴,即ち,個人の獲得した学校教育体系 によって,その個人の地位なり所得なりが決まってくる社会,能力主義の社会ということが出来 る。また,このような定義に添って,日本が「学歴社会」であるということぽ安藤17)や安田玉8)の 研究により,確かめられている。この学歴は,かつて中学校(旧制)でもよかったものが,大学,

大学院へと上昇して来ているのが現在の社会状況であると言える。

このような社会にあって,前節で述べて来たような,学歴意識や学歴志向性を持つようになる のは当然であると言えよう。そしてそれは,相互に関連し合っている。

例えば,学歴意識の表出に関しては,高校生の進学動機の調査19)20)などに示されている。橋 爪はこれを, 「学歴エフェクト」として総括している21)。それは,学校のランクづけとして現わ れ,また,「就職に役立つ」ことを進学動機とする というところにも現われて来る。そのこと が学歴志向性に反映しているものとして,大学への進学が,証明書を得るためのものとなってい る,最近の現実の現象を挙げることができる。この点に関してキーツは,「青年が就職するため には,どこからか卒業証明書を貰いさえすればよいということになってしまう」22)と述べている。

ζれは,フロムが指摘する市場的構え23)の形成と言ってよいであろう。それ故大学では「単位 を取る」という行動しか取り得ぬ多くの大学生を生むことになる。そして,学歴をあまり問題に せず生きようとする「人」は,どこか変り者と見られ, 「疎外された世界の範疇では,健康だと 考えられている人間自体が,人間主義の立場から見れば重病人だと思われるのだ」24)という,フ ロムの指摘が正当性を持つ現実世界が現出することになる。本来理想的な大学には,単位,学年,

コース制などというものはなく, 「人」は,自己の学びたいことを学べるはずなのである25)。

最近,学歴を得るための大学進学を目指さない青年層が漸増して来ており,各種専門学校へ進 学する現象が生じて来ている。しかし,ここで問題となるのは,その意識の問題であり,志向性 の問題である。即ち, 「大学を出ても仕方がない」という時に,自己の生涯の仕事,あるいは職 というものを第一に考えてのことなのか,三流大学ではダメ,一流大学でなくては という意識 からのものなのか,といった問題である26)。現代社会を「生きる」ことを前提に,自己の「生」

との関連で,「どこで,どのように,何を学ぶか」が位置づけられていないとしたら,学歴意識 学歴志向性に捉われていることに変わりはない としか言えないであろう。それは,学歴といっ たものを度外視し,自己実現を図る方向を自己の「生」の全過程に希求することとは異なる。即 ち,現代社会にあっては,自己のtime perspectiveの所産として学歴を位置づける方向とは逆行 することになる。

(6)

90        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

H 学歴意識の因子分析的検討

皿一1 学歴意識の測定

「学歴社会」の中で,  表1学歴意識の調査視点 学歴意識は強く生じて

来ることは既に指摘し    学歴認識

生  活 就  労 能  力 人間関係

た。それは,学歴に対  社会認識

する個々人の価値づけ ・安定した生 ・労働条件 ・専門知識 ・肩 書 き

の大きさによって違い      学歴社会 活・所属した生

・昇  進

高度な技術・資  格

・疎   外

を生じる。そのため,

学歴意識を捉えるため ・自分にあっ ・仕事の条件 ・生活の中の ・その人自身 には,現代社会をどの  ありよう社会 た生活

E自分で物を ・生きた時間

知恵・技術・熟 達 度

・受   容

ような社会として認識 つくる生活 しているか,また,そ

の社会の中にあって学歴をどのような時,あるいは場面において必要とするか といったことを 押えておく必要がある。そこで,学歴意識を構造的に把握するために,縦に社会認識横に学歴 認識を配置し,この二視点の関係から,学歴意識に内包される意識構造を明らかにすることとし

た。

まず社会認識を, 「学歴社会」と「ありよう社会」とに分節して考える。「ありよう社会」と は,その人自身にあった生活が,その人なりに可能である社会,即ちその人の「ありのまま」で 生きて行くことの出来る社会と規定する。次に,学歴認識は,学歴の効用との関連から,場面と 状況とが問題となる。進学動機の調査結果を参照すると,学歴認識の視点として,生活,就労,

能力,対人関係の四つが重要な視点として挙げられる。以上のように,学歴意識を捉える視点を 構造化し,二視点の関連から具体的質問項目視点を組み込んだものが表1である。これを基に,

具体的質問項目視点一つに対して2項目,計32項目の質問項目を作成した。例えば,「学歴社会」

という社会認識を持ち,学歴認識では「就労」を重視し,取り分け「昇進」といったことを中心 に進学を考える場合の項目は,〈大学を出ていれば,役職につく機会が多くなる〉<高い地位に つくのには,学歴の高い方が有利だ〉となる。

今回の調査は,青年一般の学歴意識を捉えることを目的とするので,ある特定の要因に差のな いことが望ましい。しかし,調査方法が質問紙法であるため,男女差,学校差等を全く排除する ことは出来ない。そこで,調査票の最後で,青年の学歴意識に影響すると考えられる要因に関し て回答してもらい,青年一般の学歴意識を測定し得たかどうかを検討することにした。要因とし て取り上げたのは,(1)性別 (2)年令 (3)卒業高校 (4)かよっている大学,学部,学年,(5)現役か 浪人か ⑥今かよっている大学,学部が希望した所かどうか,の6項目である。

調査の対象は 茨城県内の4年制大学の3年次生,4年次生とした。4年制大学生は,学歴の 面で言えば一応頂点に致達している人達であり,ある一定の学歴志向性を充足した人達と言える。

特に3・4年次生は,就職を目前に控え,指定校制度などの学歴差別と直面する。また,上昇志 向故の,あるいは自己の専門性の高度化のための,大学院進学といった意識を背景に持つことも

(7)

予想される。さらには,自分が得た   表2 調査期日および場所 学歴をどのように将来に渉って利用

して行く窺学歴がどのような意味    日   時 調査実施場所 被調査者数

や効果を持っているか をより確  1981年12月1日(火) 茨城大学 74

      3日(木)かな現実性の下で確認する時期にい 茨城大学 73

      4日(金)るとも言えよう。このような観点か 茨城キリスト教大学 44

      5B(土)ら,調査対象として,3・4年次生 茨城大学 48

7日(月) 茨城大学 58

の男女大学生を選定した。

流通経済大学 82

なお,調査の期日,実施場所,お       9日(水)

茨城キリスト教大学 8 よび有効データ数を,表2,表3に      12日(土)

茨城大学 58

示した。

∬−2 学歴意識の因子構造        表3 有効データ数 現代青年の学歴意識の構造を捉え

      性 別るために,因子分析を行なった。因    大 学

子分析は,ピアソンの相関係数を用    茨城キリスト教大学 ユ9 31 50

い,主因子法により回転前の因子行    流通経済大学 82 0 82 列を求め,バリマックス回転により,   茨 城 大 学 205 91 296 Appendix 2に示す最終的な因子行       計 306 ユ22 428 列を求めた。コンピューターは,東

京大学大型計算機センターのrHITAC M−200 H(VOS 3)」を使用し, SPSSパッケージ27)

のプログラムを基に行なった。

学歴意識の因子抽出では,10因子の抽出を指定した。それぞれの因子に対して,便宣的に因 子負荷量10。300001以上のものを項目の妥当性が認められるものとして取り出し,因子解釈を行 なう。第10因子に関しては,解釈に用いる項目が1項目しかなく,因子解釈は不可能であった。

なお,第1因子〜第9因子を特徴づける質問項目,および因子負荷量は,表4に示す通りである。

まず,第1因子に含まれる8項目をみると,1項目以外は「学歴社会」の視点に属している。

学歴認識の視点では「生活」「就労」「人間関係」が含まれており,具体的質問項目視点では「安 定した生活」の負荷量が一番高い。項目内容を検討すると,〈役職につく〉〈高い地位〉等,現 実生活の安定性を求める内容となっている。以上より, 「生活安定性への学歴効果の期待」の因 子と解釈した。第2因子には,3項目が含まれている。3項目とも社会認識の視点では「学歴社 会」に属している。学歴認識の視点では, 「就労」2項目, 「生活」1項目であり,その項目内 容をみると,〈大企業につとめるのには,有名な大学を出ていた方がよい〉であり,この項目も

「就労」と関連している。以上から, 「就労への学歴効果の期待」の因子と解釈した。第3因子 に含まれる項目は,全部で5項目である。4項目は,社会認識の視点で, 「ありよう社会」に属

している。学歴認識の視点,および具体的質問項目視点をみると一貫性は認められない。だが,

質問内容に戻ると,項目24,1,20は〈大学を出ておく必要はない〉であり,項目26も学歴を 尊重しない項目内容である。項目25はマイナスの負荷量であり,意味内容は逆転したものとなる。

(8)

92       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

表4 第1因子〜第9因子に含まれる質問項目

因子 項目

ヤ号 質    問    項     目 因子負荷量 視      点

15 経済的に豊かな生活を送るには,大学を出ていた方がよい 0.63782 学歴社会・生  活「安定した生活」

9 大学を出ていた方が,安定した生活を送る機会が多くなる 0.62062 学歴社会・生  活「安定した生活」

11 大学を出ていれば,役職につく機会が多くなる 0.48571 学歴社会・就  労「昇 進」

1 17 見合いや結婚の時にも役立つあで,大学は出ていた方がよい 0.48158 学歴社会・人間関係「肩書き」

・      因 19 高い地位につくのには,学歴の高い方が有利だ 0.37122 学歴社会・就  労「昇 進」

14 その人の第〒印象が,大学名で決まるのは当然だ 0.33891 学歴社会・人間関係「肩書き」

5 人生の伴侶を決める時,学歴を無視は出来ない 031649 ありよう社会・人間関係「受容」

3 学歴が高いほど,自分のやりたい仕事につく機会が多くなる 0.31682 学歴社会。就  労「労働条件」

18 大企業にっとめるのには,有名な大学を出ていた方がよい 0.78993 学歴社会・生  活「所属した生活」

2因 21 よい大学を出ている方が,大企業に就職しやすくなる 0.76459 学歴社会・就  労「労働条件」

19 高い地位につくのには,学歴の高い方が有利だ 0.59505 学歴社会・就  労「昇 進」

24 自分にあった仕事をするのに,大学を出ておく必要はない 0.66230 ありよう社会。就  労「生きた時間」

1 自分にあったように一日一日を生活するのなら,大学を出て 0.44995 ありよう社会・生  活「自分で物をっ

3 おく必要はない くる生活」

25 どのような職業につくとしても,大学は出ていた方がよい 一〇.43861 学歴社会・生  活「所属した生活」

26 仕事に熟練するには,大学へ行くより早く仕事につく方がよい 0.43372 ありよう社会・能  力「熟達度」

20 生きて行くのに必要な知識や技術を身につけるのに,大学へ 0.43334 ありよう社会・能  力「生活の中の知

行く必要はない 恵・技術」

7 学歴に関係なく,その人なりの人間性を認めることは出来る 一〇.61457 ありよう社会・人間関係「受 容」

4 10 人間としての価値は,大学を出た出ないでは決まらない 一〇.42510 ありよう社会。人間関係「受 容」

8 大学を出て高度な資格を取ったとしても,熟練した仕事が出 一〇.41378 ありよう社会。能  力「熟達度」

来るとは限らない

17 見合いや結婚の時にも役立つので,大学は出ていた方がよい 033026 学歴社会・人間関係「肩書き」

31 大学を出ているなら,学んだことを生かせる仕事をしないの 0.60474 ありよう社会・就  労「仕事の条件」

はもったいない

27 大学を出ているのに,安定した地位を求めない生き方をする 0.51418 ありよう社会 生  活「自分で物をつ

5 のはばからしい くる生活」

29 大学を出ているなら,その日その日の生活を送るのはもった 0.41139 ありよう社会・生  活「自分にあった

いない 生活」

32 専門的な知識を身につけるには,大学へ行った方がよい 0.32101 学歴社会・能  力「専門知識高度

な技術」

30 学歴が高いほど,内容の高度な資格を取ることが出来る 0.59819 学歴社会・能  力「資 格」

6因 12 大学を出ていた方が,いろいろな資格を得やすくなる 0.56400 学歴社会・能  力「資 格」

11 大学を出ていれば,役職につく機会が多くなる 0.36959 学歴社会・就  労「昇 進」

16 大学を出ている人は,生活の知恵や技術を身につけている α64586 ありよう社会・能  力「生活の中の知

7 恵・技術」

23 学歴が高いほど,高度な技術は身についている 0.58027 学歴社会・能  力「専門知識高度

な技術」

22 学歴が高い人達の間では,その人のありようでのつきあいは 0.73921 学歴社会・人間関係「疎 外」

8 出来なくなる

13 学歴が高くなるほど,毎日をその人のありようで生きること 0.42732 ありよう社会・生  活「自分で物をつ

は出来なくなる くる生活」

4 大学でいくら高度なことを学んだとしても,生きていく知恵 0.65661 ありよう社会・就  労「生きた時間」

9 では老人にかなわない

6 大学を出た出ないではなく,世の中の事がらを見きわめる力 0.45233 ありよう社会・就  労「生きた時間」

はその人の生きた時間による

(9)

従って,学歴を尊重しない項目であることが分る。以上より,「生活性における学歴不尊重」の 因子と解釈した。第4因子には4項目が含まれ,うち負荷量の一番低い項目20のみが「学歴社 会」の視点に入る項目である。他の3項目は, 「ありよう社会」の視点に属し,その因子負荷量 はマイナスである。また,具体的質問項目視点では, 「人間関係」に属するものが3項目となっ ている。このことより,「人間関係における学歴の尊重」の因子と解釈した。

第5因子を特徴づける項目は4項目ある。学歴認識および具体的質問項目視点には一貫性が ないので項目内容を検討すると,3項目は, 「ありよう社会」での生活を否定し,学歴尊重を尋 ねる項目となっている。また,他の1項目も専門性を学歴に求める項目内容である。以上から,

      ρ

u将来設計における学歴尊重」の因子と解釈した。第6因子には3項目が含まれており,負荷量 の高い項目をみると, 「学歴社会」の視点に入り,学歴認識では「能力」,具体的な事項との関 連では「資格」の視点を持つ項目である。他の1項目はく大学を出ていれば,役職につく機会が 多くなる〉というものであり,学歴の効果を期待している項目である。以上より, 「資格取得に 対する学歴効果の期待」の因子と解釈した。第7因子には2項目が含まれる。項目内容をみると,

項目16は, 「ありよう社会」の否定項目であり, 「学歴社会」の優位性について尋ねる項目に なっている。また2項目とも, 「能力」 「技術」の視点に属している。以上より, 「高度専門性 に関する学歴効果の期待」の因子と解釈した。第8因子にも2項目が含まれている。視点には一 貫性がなく,項目内容でみると,〈その人のありようでのつきあいは出来なくなる〉〈その人の ありようで生きることは出来なくなる〉であり,「学歴社会」の中での人間関係についての項目 である。以上から, 「学歴社会における人間疎外」の因子と解釈した。第9因子も同様に2項目 であるが,2項目とも調査視点の構造をみると, 「ありよう社会」「就労」「生きた時間」の視 点に属する。しかし,項目内容でみると,それは,生活の知恵と,その人の生きて来た時間との 関連についての項目である。これより,「生きた時間と生きる知恵の関連性」の因子と解釈した。

次に,調査票の最後で尋ねた項目との関連を一元配置の分散分析によって検定28)した結果 が表5である。第1,第2,第7因子において,学校,学部,性別の各要因に差のあることが示 された。これは学歴への期待や効果において学部や大学間に差のあることを示している。しかし,

表5Face sheetの分析によるF値

因 子 学   校 学   部 学   年 性   別 現役。浪人 希望した所・

望とは別の所

第1因子 3.305* 3.462** 1,579 0,523 0,779 1,565

第2因子 0,617 0,949 2,763   **W,860 0,481 2,332

第3因子 0,431 0,547 1,021 3,364 3.965* 1,446

第4因子 1,606 1,579 1348 1,811 0,722 2,880

第5因子 2,043 2.232* 1318 1,839 2,857 0,022

第6因子 0,124 0,558 4069* 0,022 0,414 0,374

第7因子   **U,142   **R,082 5.082* 3,622 0,246 2,580

第8因子 2,361 1,199 0,081 0,075 α117 0,085

第9因子 2,698 1,410 2,162 0,055 0,673 0,563

注) ・危険率5%,**危険率1%.

(10)

g4       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

全体的にみて,青年層の学歴意識一般を捉えていると言ってよいだろう。紙数の関係で,ここで は詳細な検討を後に譲る。

皿一3 現代青年の学歴意識

以上現代青年の学歴意識の因子構造を検討してきた規それぞれの因子についてのface sheetとの関連では,群間に差のあるものも認められた魁全体としてみた場合,性差等の要因 は特に大きく関係していないことが理解される。そこで,解釈された9因子を基に,現代青年の 学歴意識について考察する。

ま劣学歴の効果ということが問題となる。第1因子,第2因子,第6因子,第7因子から,

現代青年は,〈生活安定性〉〈就労〉〈資格取得〉〈高度専門性〉に関して,学歴の効果を期待 していることが示唆されている。これは,前述した構造化の妥当性を示すとともに,高校生の進 学動機に関して調査した研究結果と同様なものとなっている。特に,第6因子,第7因子から,

現代青年は「学歴社会」の中にあって,大学教育の主要な目的となっている,技術の取得,資格 の取得を期待しており,しかも,技術や資格を得ることが,現代社会にあっては生活の安定性に つながると意識していることが分る。まさにこれは,現代青年の多くが現代社会を「学歴社会」

であると認識しており,生きる上で学歴は有利に働くと意識していることが示されたと言えよう。

次に学歴の尊重という観点からみると,これに関する因子として,第3因子,第4因子,第5 因子を挙げることが出来る。第4因子,第5因子は学歴尊重の因子であるが,各項目についてみ

ると,8項目中,6項目が「ありよう社会」の視点に属する項目である。これは, 「ありよう社 会」を否定し,学歴を尊重していることを示しており,現代社会を,その人の地位なり,身分な りが,学歴によって左右される社会である と意識していることを表わしている。これらに対 して,第3因子,第8因子から,青年層の中に, 「ありよう社会」の中での「生」を考え,ある いは「学歴社会」における人間性の崩壊を意識している者のあることが,また,第9因子からは,

「生きた時間」の重視を課題とする層のあることが示唆されている。

総じて,現代青年の学歴意識は,構造化の際の社会認識の視点で立てた, 「学歴社会」という ことに集約される。即ち,多くの青年は,現代社会を「学歴社会」と認識するところから,学歴 を重視し,学歴を得て,それを利用する努力をすることになる。

皿 学歴志向性の因子分析的検討

皿一1 学歴志向性の測定

学歴意識を捉える視点の構造化と同様の手続きにより,生活態度と生活場面の二視点の関連か ら,学歴志向性を捉えて行くこととした。ここでは, 「志向性」をオリエンテーション(orien一 tation)と同様の概念として用いている。即ち,行為や態度の方向づけを意味しており,社会的 な諸状況の下での人の態度,あるいは社会的な性格類型を意味する2暁学歴への志向性つまり,

大学進学の動機および学歴の効果に対する「人」の態度は,日常生活場面における諸行為性に 現われてくる。それ故に,生活態度と生活場面との関連から,学歴志向性を捉えることが必要と

(11)

なる。

まず 「学歴社会」との関係で見た場合,生活態度に影響を与えるのは,前述したように,上 昇志向の意識と自己実現の欲求という二つの異なった相であろう。そこで,生活態度を上昇志向 と自己実現の二つに分節し検討する。次に,生活場面では,青年層の日常生活場面の諸相のうち,

典型的な場面を挙げることとした。特にここでは,大学生を対象とした研究であることから,生 活場面は,学校生活が中心となる。そこで,講義時間中,講義時間外,課外活動時間,日常生活

(下宿や自宅で過ごす)時間の四つの場面を問題とする。

生活態度(上昇志向と自己実現)と生活場面(講義・講義以外・課外活動・日常生活)の二視 点の関連から,具体的質問項目視点を組み込み構造化したものが表6である。これを基に,学歴 意識の場合と同様に,具体的質問項目視点のそれぞれに2項目の質問項目を作成し,合計32項目 から成る質問票を作成した。「上昇志向」における具体的質問項目視点の「成功」とは,自己の地 位や身分の上昇,即ち,出世を目指して努力する行為に成功していることを指す。例えば,生活 態度では「上昇志向」を持ち,生活場面の「講義以外」の時間で,自己の心理的「安定性」を求

める場合を考えると,〈休み      表6 学歴志向性の調査視点

時間や休講の時は,ノートの

整理や次の時間の予習をす     活場面

驕r〈休み時間や休講の時は,  生活態又      、

講  義 講義以外 課外活動 日常生活 i下宿・自宅)

図書館へ行って勉強する〉と 上昇詞 ・成   功 、 ・成   功 ・成   功 ・成   功

なる。 ・安 定 性 ・安 定 性 ・安 定 性 ・安 定 性

調査対象等の手続きは,す

・自己の探究 ・自己の探究 ・自己の探究 ・自己の探究

べて皿一1で述べた通りであ  自己実現

・自 発 性 ・自 発性 ・自 発 性 ・自 発 性

る。

皿一2 学歴志向性の因子構造

学歴意識の構造を捉える場合と同様の手続きにより,現代青年の学歴志向性の構造を捉えるた めに,因子分析的検討を行なった。学歴志向性の因子行列はAppendix 3に示した。抽出された 学歴志向性の因子数は9因子で,第1因子〜第9因子の各々を特徴づける質問項目,および因子 負荷量を示せば表7のようである。

.第1因子には,8項目が含まれている。この8項目の視点をみると,生活場面の視点のうち,

「課外活動」で挙げた質問項目全部が含まれている。以上より,この因子を「課外活動場面への 参加」の因子と解釈した。第2因子には,五つの項目が含ま礼生活態度の視点の「上昇志向」と

「自己実現」の双方の項目が入っている。しかし,因子負荷量をみると, 「自己実現」の項目は マイナス方向である。一方,生活場面の視点でみると,全て「講義時間」の視点の質問項目であ る。項目内容を検討すると,単位取得に関する項目が3項目ある。残りの2項目は,卒業のため に必要だから講義に出るといった内容の項目である。以上から, 「講義参加による安定性志向」

の因子と解釈した。第3因子には,2つの項目が含まれ,2項目とも,生活場面の視点で「日常 生活」に属している。項目内容でみると,双方とも〈アルバイト〉に関するものである。しかも,

〈自活するために〉と〈お金を得るために〉の内容から考えると,共に生活の安定性を志向する

(12)

96       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

表7 第1因子〜第9因子に含まれる質問項目

因子 項目

ヤ号 質    問    項     目 因子負荷量 視      点 32 自分自身をみなおすために,課外活動に参加する α88351 自己実現・課外活動「自己の探究」

8 自分自身を知るために,課外活動に参加する 0.88314 自己実現・課外活動「自己の探究」

5 上級生や下級生との人間関係が得られるから,課外活動 0.85193 上昇志向。課外活動「成 功」

に参加する

1 13 自分の持っ能力や技術をのばすために,課外活動に参加 0.83587 上昇志向・課外活動「成 功」

する

23 我を忘れるほど,課外活動に熱中する 0.77156 自己実現・課外活動「自発性」

19 課外活動は,自分の時間の中でやれるだけのことをする 0.74161 自己実現。課外活動「自発性」

24 課外活動の時は,友達と一緒に同じような活動をする α67482 上昇志向・課外活動「安定性」

16 友達がはいっているので,課外活動に参加する 0.51384 上昇志向・課外活動「安定性」

18 単位を落したくないので,取っている講義には出席する 0.69532 上昇志向・講  義「安定性」

6 おもしろくなくても,単位の必要な講義には出る 0.62087 上昇志向・講  義「安定性」

2 12 単位のために必要でも,自分にとってためにならない講 一〇.54021 自己実現・講  義「自己の探究」

義には出ない

4 自分の出たい時だけ,講義に出る 一〇,52540 自己実現・講  義「自発性」

22 試験の時に必要だから,講義中の板書はノートしている α33478 上昇志向・講  義「成 功」

28 講義が終わると,自活するためのアルバイトに時間を使う 0.88140 自己実現・日常生活「自発性」

3因

15 講義が終われば,お金を得るためのアルバイトに時間を 0.80244 上昇志向・日常生活「安定性」

つかう

7 休み時間や休講の時は,ノートの整理や次の時間の予習 0.55014 上昇志向・講義以外「成 功」

をする

30 下宿や自宅では,講義中紹介された本を読む 0.46902 上昇志向・日常生活「成 功」

4 31 休み時間や休講の時は,図書館へ行って勉強する 0.46164 上昇志向・講義以外「成 功」

17 講義が終れば,習い事(英会話,簿記,タイプetc) 0.42175 上昇志向・日常生活「成 功」

に時間をっかう

2 レポートが出ている時下宿や自宅では,それをすぐ作成 0.33564 上昇志向・日常生活「安定性」

する

21 下宿や自宅では,自分のためになる本を読む機会を作る 0.65664 自己実現・日常生活「自己の探究」

5 27 休み時間や休講の時は,自分にとって必要な読書の時間 0.65348 自己実現・講義以外「自己の探究」

にあてる

30 下宿や自宅では,講義中紹介された本を読む 0.36383 上昇志向・日常生活「成 功」

第因 29 下宿や自宅に帰ると,友達とさそいあって遊んでいる 0.64582 自己実現・日常生活「自発性」

6子 20 休講の時は,友達と一緒に遊びに行く 0.61821 上昇志向・講義以外「安定性」

第因 25 講義中,疑問に思うことは質問する 0.68988 自己実現・講  義「自発性」

7子 10 休み時間や休講の時は,講義中の疑問点などを聞きに行く 0.54671 自己実現・講義以外「自発性」

第因 11 よい成績を取りたいので,授業中は講義に集中する 0.69260・ 上昇志向・講  義「成 功」

8子 22 試験の時に必要だから,講義中の板書はノートしている 0.48810 上昇志向・講  義「成 功」

14 休み時間や休講の時は,その時自分でやりたいことをする 0.56132 自己実現・講義以外「自発性」

9 3 下宿や自宅では,自分にとって関心のあることをする 0.43345 自己実現・日常生活「自己の探究」

26 講義には出なくても,自分にとって必要な勉強や仕事は 0.31824 自己実現・講  義「自己の探究」

する

(13)

ものと捉えられる。以上より,「生活安定性のためのアルバイト依存」の因子と解釈した。第4 因子に含まれる項目は,全部で5項目ある。全項目において,生活態度の視点では「上昇志向」

に属し,生活場面の視点では「講義以外」と「日常生活」に属している。しかも,具体的質問項 目視点は「成功」であり,項目内容をみると,上昇志向のための努力について尋ねている質問項 目である。以上より, 「日常生活における上昇志向性」の因子と解釈した。第5因子には3項目 が含まれている。負荷量の高い2項目をみると,生活態度の視点では「自己実現」であり,具体 的質問項目視点では「自己の探究」に属している。項目内容を検討すると,3項目とも読書につ いて尋ねている項目である。以上より,「自己実現のための読書の利用」の因子と解釈した。第 6因子には2項目が含まれ,視点をみると2項目間に一貫性を欠く。しかし,項目内容に戻って 検討すると,〈遊び〉と〈友達〉という観点に共通性のあることが分る。以上から, 「友人関係

と遊びの関連性」の因子と解釈した。

第7因子も2項目が特徴的な項目である。生活態度の視点および具体的質問項目視点でみる と, 「自己実現」と「自発性」となっている。生活場面でみると視点は異なっているが,項目内 容に返ってみると,双方とも,講義への疑問に対して,質問するか,しないかを問う項目である。

以上より, 「講義参加における自発性」の因子と解釈した。第8因子に含まれる項目は2項目で あり,2項目とも構造化の視点では, 「上昇志向」 「講義時間」 「成功」となっている。また項

目内容をみても, 「成功」のために努力しているかどうかを尋ねる質問項目である。以上より,

「講義参加による上昇志向」の因子と解釈した。第9因子には3項目が含まれている。3項目と も生活態度の視点は, 「自己実現」に属し,具体的質問項目視点では「自発性」と「自己の探究」

の双方に属している。さらに,生活場面でみると「課外活動」以外は全部含み,日常生活一般に 関するものと言える。以上から, 「日常生活における自己実現」の因子と解釈した。

この学歴志向性に関しても,学歴意識と同様に一般的な水準を捉えることを目的としている。

そこで,調査票の最後で尋ねた要因との関連を一元配置の分散分析によって検討した。その結果 が表8である。学部,性別の2要因において差がみられる。これは,学歴志向性は,学部間や性 別によって差違のあることを示唆している。

表8 Face sheetの分析によるF値

因 子 学   校 学   部 学   年 性   別 現役・浪人 希望した所・

望とは別の所 第1因子 1,652 3.752** 1,579   **V,836 0,846 1,959

第2因子 4.965** 6.328** 2,763 30。149** 0,003 2,230

第3因子 1,038 0,440 1,021 0,243 1,146 2,147

第4因子   **P0,028   **S,803 1,348   **P0,015 1,517 4.484*

第5因子   **P0,918 6.970** 1,318 19.984** 0,522 1312

第6因子 1290 2.269* 4,069 2,368 0,976 0,571

第7因子 0,733 2.748* 5,082   *R,940 2,798 0,401

第8因子 1,031 4.819**   *O,081 3,575 1,029 0,667

第9因子 6.719* 2.823* 2,162**   **P4,543 0,962 0,157 注) ・危険率5%, **危険率1%.

(14)

98       茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)32号(1983)

皿一3 現代青年の学歴志向性

学歴志向性の因子構造をみると,構造化した視点のうち,生活態度の二つの視点即ち「上昇 志向性」と「自己実現」とに分礼 しかも,因子解釈の上から全体的にみると,生活の安定性を 学歴を得ることにより志向する傾向のあることがわかる。また,表8から,学部と性別でその群 間に差がみら礼因子得点との関連でみると,特に,文学部,人文学龍教育学部等の,女性が 相対的に多い学部の間に差がみられる。詳細な検討は後に譲り,性別と, 「上昇志向性」 「自己 実現」との関係を概観してみよう。性別による各因子の因子得点は,表9のようである。

表9 性別による因子得点 因子

性別 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 第6因子 第7因子 第8因子 第9因子

6.8232 8.1874 6.3439 5.2161 5.5380 5.6087 3.5891 3.053ユ 3.5506 7.2132 9.2120 6.4011 4.8209 6.2975 5.7408 3.3439 3.ユ966 3.ユ134

まず, 「上昇志向性」に関する因子についてみると,この視点に含まれる因子は,第2因子,

第4因子,第8因子の3因子である。この3因子について,男性と女性の因子得点をみると,第 2因子と第8因子では女性の方が高い因子得点を示している。次に,「自己実現」に関する因子 は,第5因子,第7因子,第9因子である魁 この3因子では,第5因子のみ女性の因子得点が

一局い。

以上から,女性の因子得点の高い場面は,講義と関連する場面であり,男性の因子得点の高い 場面は,日常生活に関連する場面であると言えよう。また,女性は「上昇志向」の視点のうち,

具体的質問項目視点の, 「安定性」に属する項目内容の行為をよくすることが理解される。これ に対し男性は「自己実現」の視点のうち, 「自発性」に属する項目内容の行為をよくとることが 示されている。今回の調査でぽ青年層一般の学歴志向性を捉えることが狙いであった魁学歴 志向性においては,男性と女性との間に差違のあることが認められた。これは,日常の大学生活 の行為場面で性による違いのあることを示している。その行為性は, 「安定性」を志向する傾 向にみられるように,女性は平均的な常識的水準から外れた行為をあまりとらないことを示し ているものと言えよう。現代社会における性差別の実態を考慮するとき,性により大学生活場面

における志向性に,差違のあることは頷けるところであろう。そこで嫉学歴の持つ意味も,男 性と女性との間で違っていることを予測させる。

】〉 学歴志向性にみるtime perspective

N−1 学歴意識と学歴志向性の構造の特徴

学歴意識および学歴志向性の因子名を整理したものが表10,表11である。表10をみると,現 代青年の学歴に対する意識構造は,学歴の効果を期待した因子が4因毛学歴を重視する因子が

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