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Time PerspectiveとPersonalityとの関連V 一自己一環境認識および将来展望を指標として一

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(1)

茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)35号(1986)171−196       171

Time PerspectiveとPersonalityとの関連V 一自己一環境認識および将来展望を指標として一

吉田昭久*・寺門睦峰**・小熊  均***

(1985年9月28日受理)

On Time Perspective and Personality V:

On Cognition of the Relation of Self to Surroundings and Future Perspective

Teruhisa YbsIDA鷺Mutsumine TERAKADo**, Hitoshi OGuMA***

(Received September 28,1985)

は じ め に

前論文1)を通して,Time Persp㏄tiveとPersonalityとの関連について,現象学的分析を始め として,学歴志向性および「老い」の認識を指標とした分析を行なって来た。そこで明らかにされ たことは,現代青年の意識構造の特徴であり,Time Perspectiveを持ち得ぬ現代社会状況に生き る青年像であった。分析すべき課題は数多く残されているが,その内,本稿では,現代青年の「自 己一環境認識」と「将来展望」とを指標とした検討を加えたい。

なお,本論文の構成の概要を示すと,以下の通りである。

1 人間存在とその時間性

皿 大学生を対象とした質問紙調査

∬−1 自己一環境認識 皿一2 将来展望

五一3 被調査者の具体的な将来展望 皿一4 自己一環境認識と将来展望 1皿 因子分析的検討

皿一1 自的と方法

皿一2 自己一環境認識に関する因子分析の結果と解釈 皿一3 将来展望に関する因子分析の結果と解釈

* 茨城大学教育学部教育臨床心理研究室

** 茨城県常陸太田市立幸久小学校

***都留文科大学文学部

(2)

皿一4 具体的将来展望における過去,および将来の出来事内容とその結果 W 現代青年の自己一環境認識および将来展望における意識構造

1 人間存在とその時間性

前論文のでもふれたが,現代人の多くは,理性を追求し,成功を収めんとする目標をたてるが故に,

「自分自身の体制に対する支配力の」を失い,「時」を期待すると表現できる一般化された希望心の 中で生きている。フロムは,「希望をもつということは,一つの存在の状態である。それは心の準

備でもある。はりつめているがまだ行動にあらわれていない能動性(activeness)を備えた準備で       

?驍フ」と言うが,「ことば」の本質的意味から言って,希望とは未来に対して開かれた態度6)を示 すものであろう。青少年の生きがいの調査のによると,生きがいを感じるのは「スポーツや趣味に 熱中しているとき」や,「友人と一緒に話をしたり,食事をしたりしているとき」といった個人的 な水準のものである。これは,未来に対して開かれた態度とは言えない。成功という目標を定め,

それに努力することが社会的性格のとなって来た現代社会では,かえって明確な目標すら持てずに,

刹那的,瞬間的な快楽が目標となって来ていることを示していよう。個人にとっての内的な連続性 はなく,自己の意識と行為とが分裂した非連続な存在となって来たのである。ピカートは,刹那 的人間についても言及しているがの,現代の社会状況を考慮すると,刹那的人間を個の水準で捉え るばかりでなく,現代人の社会的性格そのものを神経症的と捉える必要があろう。従って神谷の言 う,「さまざまの感情の起伏や体験の変化を含み,生の内容のゆたかに充実しているという感じ1叫 や,「未来に対して開かれているというよりも,自分がそとに向かって開かれている1⇒」といった,

生きがい感の重要な側面は,自己自身からも疎外され,競争による敵意と不安の中に生きる現代人 にとってはほど遠いものとなろう。フランクルは, 意味への意志 と未来との関係で「未来を信 ずることのできなかった人間は,収容所で滅亡して行き」,「未来を失うと共に彼はそのよりどこ ろを失い,内的に崩壊し,・身体的にも心理的にも転落して行った②」ことを示している。このこと は現代人にも通底し,神谷の言う,自分が生きていることの必要性の確信や,自分が生きているこ とに対する責任感の自覚③を持てず,「使命感」のない生き方をすることになる。しかも,未来を 期待できなくなった反動形成として,極端な諦めと言える楽観主義に走り,あるいはくかたくなな 心>14)を作り出し,破壊や暴力に身を任せることになる。現代人の多くが未来に対して開かれてい ず,ピカートの言う内的「連続性」を欠くが故に⑤,このような状況を生じ,「時間」は単に期待 できない「もの」と化し,しかも自己自身の体験と切り離されてしまった。

では,人間にとって時間とは何を意味するであろうか。早坂が言うように,時間は単に物理的な 量として測られるものではなく16),佐々木の指摘する「能動的主観が,実に体験における時間測定 の原点17)」としてあるのであり,行為による体験として測られるものである。即ち,「充実せる内 容たる現象或はそこに起こっている出来事そのものが時間18)」なのである。そこでは,「時間」は

「永遠」と「今」が一体となり,作用と存在が一体となる。しかもそこでの「時間」は,相対的な ものではなく,「今」,ここに,「ある」,そのままの存在が時間であり,思うことのない存在,

言いかえると,過去を悔やんだり将来を期待したりせず,その時々を「生ききる」ことであり,刹

(3)

吉田・寺門・小熊:Time PerspectiveとPersonalityとの関連V       173

那に対する永遠ではなく,絶対的永遠を生きる存在であって,永遠は瞬間の存在において体験され るものとなるゆ。まさにそれは,遠くは良寛の,近くは山頭火の生き様である2①。それは,フロム の言う「希望を持つ」2りといった言葉で表現されるものではなく,個々の在り様で「生きる」こと それ自体が生きがいであり,希望となって来ることになる。

皿 大学生を対象とした質問紙調査

人間の物象化につながる性格を社会が要求する限り,現代人の多くは生存との関連で自分自身か らも疎外され,自己が望んでしているつもりの行動も,実は社会が望む方向に動かされた行動とな

っている。それ故に価値の画一化された現代における日常の行動や認識は,意識化できない水準に      o

おいて限定・制限されたものとならざるを得ない。現代社会状況の中で,現代青年は対象世界をど のように認識し,また,どのような時間性の中で生きているのか。具体的には,目標を持つ日々を 過しているのか,それとも「なんとなく」時を過ごすのか。このような観点から,現代青年の意識 次元における傾向性を見ることは,time persp㏄tiveの問題を検討する際の重要な課題となる。

皿一1 自己一環境認識

では,一体現代青年は,彼らの住む世界,あるいは自己自身と自己の住む世界との関連をどのよ 表1−i 「自己一環境認識」の構造枠と現実事象(ひと)

ひ      と

対象竈との相

,      *

@   意     識   (コード番号 行  為 (。一,番ち)

・いつまでもしてしまったことを,くよ(a−1) ・ひとりで悩んでいるよりも,友達と遊(a−2)

くよ思い悩む〜自分 んでいる〜自分

・面倒なので,今まで経験しなかったことをす 。人と付き合うときは,深い関係はつくらない

るのはいやだ〜自分 〜他人

・自分の考えを無視されると,いやな気持ちだ ・悪いことと知りながらも,人をけなしたり,

〜他人 裏切ったりしている〜他人

・他人と違う意見をもっていても,議論するの ・たとえどんな時でも,自分のすることに責任

はいやだ〜他人 をもって行動している〜自分

・気を使うので,知らない人と話すのは(b−1) ・人と付き合うときに,自分にとってた(b−2)

いやだ〜他人 めにならない人は選ばない〜他人

・知識が豊かな人に会うと,ひけめを感じる〜 ・大学生に限らず,いろいろな人と付き合って

自分 いる〜他人

・わずらわしいので,いろいろな人とつき合い ・自分の性格がいやなので,いつも直そうと努

たくない〜他人 力している〜自分

・自分の欠点を他人に指摘されても,いっこう ・自分がしたくても,人がやらないことには手

に気にしない〜自分 を出さない〜自分

注〕* コード番号は,質問票にランダムに並べた項目が,どの視点に属する項目であるかを,わかりやす くするためのものであり,Appendix I−i,1−ilに対応する

(4)

表1−ll 「自己一環境認識」の構造枠と現実事象(もの)

対象 も       の

対象 性との相       *モ     識   (コード番号       *s     為   (コード番号)

・いらいらすることがあるとき,音楽を(c−1) ・値段が高い安いにかかわら或一っ一(c−2)

聞くと気持ちがすっきりする っのものを味わって食べている

・自分の気に入ったところでなければ,住むの ・健康診断の結果を信用するよりも,自分の体

はいやだ は自分で判断している

・たのまれたとしても,自分の物を人に使われ ・よい物を買うとすれば,メーカー品(プラン

るのはいやだ ド製品)を買う

・美しい風景を見ると,写真をとりたくなる ・自分に合った部屋にするために,工夫をこら している

・いつまでも若くありたいので,年をと(d−1) ・自分の部屋でないと,落ち着いて寝ら(d−2)

るのはいやだ れない

・病気で寝こんでいるとき,時間が惜しくてな ・どんなものでも,出されたものは全部食べて

らない いる

・暑さ寒さがしのげれば,衣服はどんなもので ・どんな服でも気にしないで着ている

もかまわない ・ちょっとしたことにも,薬を使っている

・雰囲気を考えると,コーヒーをコーヒーカッ プで飲まないのはいやだ

注〕* コード番号に関しては,表1−iの注〕に同じ

うに認識しているのか。これを「自己一環境認識」と規定し,その調査視点の構造化と質問票の作 成手続きについて触れてみよう。

「認識」は,「個体が外界に働きかけて,外界に客観的な現実として存在しているさまざまな事 物や現象,それらの特質や状態,それらの間の関係や法則性を知るはたらき,および行為劉」であ

り,それは,我々と対象との関係において,パターンを認める劉ということにもなる。しかし,外 界だけではなく,自己自身をどのように見るかということもまた,自己を対象として捉える視点か

らは認識の問題となる。

「世界」をどのように捉えるかといった点に関しては,「ひと」と「もの」とに分節でき,人間 とそれ以外の「もの」,さらには,人間を自己と,自己と対置する他者とに分節できる。「他者」

とは,感じる何者かとして確かに存在し,自己と区分される全てのものを前提としている。また,

「もの」の内には,二分法的に「精神」と対置するものとして,自己の肉体がある。また,「世界」

との関係において,我々はどのような水準で具体的にその「世界」と関係し合っているのかが問題 となる。何故なら,人間の全ての意識は行為に反映しており,現代における意識と行為の分裂状況 を考えると,この二つの区分は,現代青年の「自己一環境認識」の傾向性を把握する際の重要な視 点となる。

一方,対象との間の相が問題となる。「世界」との関連性の相としては,「深さ」と「広さ」の 二つの次元を考えることができる。前者が対象に対する尊重次元を表わすのに対して,後者は対象 に対する親和次元を意味する。「深さ」は,「ひと」,「もの」について他とは比較できない,こ の世における一回限りの存在と気づくことによって,対象となる全ての「ひと」や「もの」を,肯

(5)

吉田・寺門・小熊:Time PerspectiveとPersonalitジとの関連V        175

定的でかつ独立な存在価値,即ち,絶対的な価値を有すると感得することである。それ故に,「ひ と」・「もの」の存在を尊重するという意識・行為が生まれるという相互的な関係を持つ。一方,

「広さ」は空間的な意味をもつが,「深さ」と不可分なものであり,利用価値や交換価値として

「ひと」や「もの」を相対化することなく,「世界」との関係を深くするに従い,全ての「ひと」

や「もの」を絶対的で独立した存在と気づくことである。即ち,空間的な広がりの中で対象と親和 的な関係に連なって行くことを意味する。

以上のような視点で,「自己一環境認識」の調査視点を構造化し,それぞれの視点が交絡すると ころの現実事象を日常場面から拾い,表1−i,表1−iiに示す具体的質目項目を設定した。質問 項目は,各視点の交絡する部分に関して,それぞれ4項目を配置し,「ひと」の視点と交絡する部 分では,自己と他者について,それぞれ2項目ずつを配置した。項目の合計は,32項目である。こ

れをランダムに配列し,Appendix 1−i〜1−iVに示す質問票を作成した。       −

H−2 将来展望

「将来展望」は,時を期待するという人間存在の様式と密接に結びつく時間性であるところから,

相対的に存在様式を見ることによって,その時間性を明らかにし得る。我々は,日常生活において 物理的な時間に拘束されて生きているが,実は物理的時間性を越えた過程としての我々であり,し かもそう感じる我々でしかなく,そこでの「時間」は,常に我々の主観を離れてはあり得ず24),そ れ故に,時間体験は個人の存在様式につながっている。「時間」と個人の関係性,即ち,存在様式 を相対化するために,「時間展望」,「将来展望」,「刹那主義」の三つに分節して時間性を見た。

「時間展望」については,前論文で概観しているが,人と「時間」との関わりは,その個人の生 き方を指し示すことであり,存在様式とのかかわりで「時間展望」を概念的に捉えることは非常に 困難である。何故なら,時間経験は理論や概念ではなく実践であり,言葉ではなく行為そのもので あって,概念的に範疇化され得ず,原則的にはフロムの言う如く記述不可能であるからである25)。

従って,この時間性は,フロムの「ある」存在様式に近い。フロムは,「ある」ということを次の ように述べている。前提条件としては,独立,自由,批判的理性の存在があるとし,基本的特徴と

しては,単に活動的にあるのではなく,自己の人間的な力を生産的に使用するという内面的能動性 がある26}とする。しかも,「あることへの道は表面を突き抜けて現実を洞察することである27}」と 言及している。また,「ある」ことを実体として捉えず,なること,変化すること,つまり過程と して捉え劉ている。しかし,フロムは,持つ様式,即ち所有物への執着のなくなる度合いに応じて のみある様式が現われる29}と指摘し,持っ様式とある様式を相対的に捉えているが,フロムの「あ る」生き方は相対の生き方を出ず,比較された世界の中に留まることになりかねない。比較の世界 は,「思う」ことを媒介とした世界であり,迷いの世界であり,それ故に安心のない世界である30)

とする仏教観に従えば,「ある」存在様式も「時間展望」を示す存在様式とは言えなくなる。

そこで,ここでは仏教観に従う生き方を,時間展望的存在様式とした。即ち,自己を「持っ」

のではなく,また,自己あるいは他者に囚われるのでもなく,「万物は流転してあるが故に無我で ある3P」という生き方であり,生の有限性を実感し,それ故尊重するという在り方である。そこで の生は,存在と作用が一体をなし,意識と行為が分裂していず,自分自身から疎外されていない。

(6)

この「ある」存在様式と,具体的な生き方との関係は,瞬間瞬間を精一杯生きるということにつな がる。それは,「思い」を媒介とした「対象」として「ひと」や「もの」を見るのではなく321,観 念に囚われず,先のこと過去のことについて思い悩むこともない。即ち,仏教や原始社会の世界観 に代表されるように,自分の「今」の生を「仮りもの」,あるいは「客」とし謝,時間の関わりに おいては過去も現在も未来も同じであり,将来を期しての準備などなく,「その時」を生き,それ が自分であるという存在様式であって,深みをもった「点」が時間ということになる謝。つまり,

そこでの時間は体験そのものであり謝,これが絶対だという思いや,あれがいい,これがいいとい った相対的な見方を否定し,物に対してあれこれと批判したり分析したりすることがなく,自己中 心的な立場を否定することによって意識の拘束を受けず,まさに「自由」であって,そこでは有限 性を超越した無限な在り方となる。従って,存在様式と連なる時間性も無限となる。しかし,この 無限は有限と対立する無限なのではなく,「今」ここに存在する「思い」を絶した個八の中に内包 される無限と言える36)。

「将来展望」に関して言えば,時間との関係性として象徴化されることは,「目標」,あるいは

「目的」という言葉に代表されるものである。一般に,目標を失うことは,その人の精神的な死を 意味する。目標を持つ以上,そのことが社会的に承認されている限り他者との競争を前提とせざる を得ず,そこでは,成功を求め,それに伴う挫折を体験し,自己の存在価値を脅かす不安にさらさ れることになる働。しかも,その目標は時間的な長さと関係してくる。即ち,これからも生きて行 くであろうと「思い」,その延長上の遠くに目標を置けば置く程観念の中に生きることとなり,本 質的な水準での「今」を尊重せず,目標によって生か壷れる結果となる。

また「刹那主義」に関しては,次のように位置づけた。現代人の多くは,不安故に認識や行動を 制限され,自己の存在すらも他者の枠の中のものとなってしまい,「意志的な一つの行為によって,

それぞれの対象に近づくこともしなければ,対象を選び,それを吟味することもしない381」状態を 作り出している。それ故,ピカートの言う,連関性のない刹那的人間となって来た。生きる上での

目標すらなくなり,「このような世界においては,人間が現に存在していることのために何か特別 な行為を必要とすることはないし,人間が存在しているというそのことが一つの生きた現実となっ てあらわれるということも最早ない細」状態を現出して来た。この刹那的な時間性において注意す べきことは,意識と行為の分裂である。先にも述べた,「ある」ことから遠のいた存在様式を指す。

即ち,生きて行く上に明確な規範というものがなく,様々な情報の中から自分にとってふさわしい ものを選択しているように見えながら,現実(Reality)は社会から要求されるものへと志向してい る。価値の側面から言えば,フロムの言う,「持つ」存在様式に懸命にしがみついており,そこで の生き方は,うまく社会に適応するか,逃避するかの二方向とならざるを得ない。

現代において,アイデンティティ(Identity)という言葉が流行しているように,多くの青年は,

自己の存在証明を自己の外に求め,観念としての価値の多様化と現実における価値の画一化の狭間 で,その答えを見出し得ずにいる。そこで,存在証明を図るために刹那的に忙しく動き回ることで,

自己不確実に基づく不安を紛らそうとするのである。これは,ピカートの言う内的連関性の分離の 証拠でもある。ここでは,その人の有り様としての生き方,即ち,全体(有機体)として存在する

(7)

吉田。寺門・小熊:Time PerspectiveとPersonalityとの関連V       l77

表2 「将来展望」の構造枠と現実事象

時謙       *

モ     識   (コード番号)        *

s     為   (コード番号)

・何をしようが結局は死ぬ身だ    (A−1) 。人間は他人とは比較できない   (A−2)

だからいつ,どこで死のうとかまわない Eどうあろうとも,過去は人間についてまわる

だから自分は自分なりに生きている E自分に正直に生きるべきだ

けれども生きているそのことが楽しい だからその時その時の自分にできることをし 。感謝して毎日を生きるのは大切だ ている

だからその時その時が満ち足りている ・その日すべきことは,明日にのばすべきでは

ネい

だからその時すべきことをしている

・人間には,だれでも可能性がある  (B−1) ・大学に入ったら,卒業すべきだ   (B−2)

だからやりがいのある仕事につけないのはい

竄セ

だからおもしろくない授業に出席している E生きていくたあには,お金が必要だ

・生活には,豊かさは欠かせない だから余暇資金を得るためにもバイトをして だから知識や技術を身につけるべきだ いる

・人生にとって結婚は重大事だ

セから条件がそろわないのに結婚するのはい

・昔のことを悔やんでもしかたがない セから将来に向けて努力している やだ

刹那主義

・人の将来は,どうなるかわからない (C口1)1だから毎日を楽しまなければつまらない・計画を立てて過ごすのは大切だ

ッれども先のことを考えるのは面倒くさい E資格をもっているのは,有利だ

ッれども知識や技術を身につけるのはおっく

・悩んだからといってどうなるものでな(C−2)

「だからいろんな楽しみを求めている E計画を立てるのは必要だ

ッれども毎日なんとなくすごしている E目的は,持つべきだ

うだ けれども毎日無目的にすごしている

注〕* コード番号に関しては,表1−i,表1−liの注〕に同じ, Appendix I−Iliに対応する

のではなく,一方的に刺激を求め,部分として存在することになる。「自己の内部の精神を自ら滅 ぼす人間は,必然的にまた自己と自然のつながりを滅ぼしてしまう。なぜなら,精神なき人間など という粉々に破壊された廃物は,いかなるものとも絶対に結びつくことはないからである姻。」とピ カートが指摘するように,相互に結合した目標を,自己の存在価値とする様式から増々遠のいてし まうことになる。それは,瞬間を丁寧に生きているというよりも,他者に動かされ忙しく動き回る か,それともそこから逃避するかを選択し,自己の過去や未来から切り離された,一貫性と連続性 のない存在と言える。

以上のように,時間性を,時間展望・将来展望。刹那主義の三つに分節し,関係性を自己一環境 認識と同様に,意識と行為とに分節して,将来展望に関する調査視点の構造化を図った。具体的に 質問項目を設定するに際しては,表2に示すように現実事象を日常場面から拾った。その際,将来 展望に関しては,生きる上での目標との関連で質問項目を定めることが可能であるが,時間展望と 刹那主義とを区別するのに言語で表出しようとすると不明瞭となるため,その違いを,ピカートの 言う連関性の有無に焦点を当てて選定した。即ち,意識と行為の分裂の有無,「今」の自己の「生」

を享受しているかいないか,といった相対的な判断に基づくことになる。質問項目は,二つの視点 の交絡する部分にそれぞれ3項目ずつを配置した。具体的質問項目は,表2に示す,合計18項目で

(8)

ある。

∬−3 被調査者の具体的な将来展望

五一2では,個人の「生」の時間性を三つの様式に分節して,現代青年の存在様式を探るための 視点の構造化について触れたが,具体的にはそれが,現代青年の個々の中でどのようになっている かを見るため,具体的な将来展望に関して検索した。つまり,過去の主な出来事,また,将来に起 こるであろう主な出来事を被調査者に意識化させることにより,出来事の位置関係や,その質的・

量的関係から時間性を見ようとするものである。自己の行為の記憶や将来への予想は,時間とは切 り離せない関係にあるからである。設問に関しては,Appendix 1−iVに示した。 そこでは,一定 の線分(100㎜)を人の一生だと仮定し,まず「今の自分」は線分上のどこに位置するかを印させ,

さらに,過去の主な出来事,将来に起こるであろう主な出来事を同様に印させるという方法をとっ ている。線分の始めと終わりに,誕生と死亡を書き入れたのは,「一生」の視座の統一性を保つた めのものである。以上のようにして,具体的な将来展望を見るための設問を配置したが,分析結果 については本論文では触れず次の機会に言及する。

皿一4 自己一環境認識と将来展望の測定

       l

̀ppendix 1−iVに示すように, Face sheetでは性別,年齢,出身地,学部の四つをとっている。

社会の中で生き,人との関係の中で生きている限り,自己の形成において外からの影響は免れえな い。本研究においての自己一環境認識や将来展望も,個の内的世界の反映と同時に,現代社会の反 映を考える必要がある。ここでは,現代青年が,いかなる存在様式で生きているかを検討するもの であるが,個人の生き方への社会の影響要因を何に仮定するかは難しいことである。本研究におい ては,大学生を被調査者とした場合に,個人の意識や行為に重要な影響を及ぼすと考えられる要因 四つを設定した。

質問票は,Appendix 1−i〜1−ivに示したが,回答は,「自己一環境認識」では「今の自分に 全くあてはまる」から,「今の自分に全然あてはまらない」までを,また,「将来展望」では「今 の自分に全くぴったりする」から,「今の自分に全然ぴったりしない」までの5段階で評定させ,

今の自分の在り方を意識化することによって,該当箇所に印をつける方法をとった。具体的な将来 展望を見る設問においては,Appendix 1−〜に示すように,実際に自由に記入させる方法をとって

いる。

表3 学部別被調査者数と有効データ数 インストラクションは,Appendix 1−iに示す「調査

のお願い」と,「回答の際の注意点」を被調査者に読ま 被調査者数 有効データ数

せた。

       教育学部本研究は,1981年12月上旬に,茨城大学に所属してい       人文学部 45 X5

76 Q5

121 P20

44 W9

75 Q5

119 P14

る学生中3・4年次生を対象に行なったが・調査に際し 理学部 51 10 61 47 9 56 ては,授業を割愛して頂き実施した。被調査者の人数,  工学部 51 0 51 45 0 45

および有効データ数は,表3の通りである。      農学部 31 6 37 27 6 33 現代青年のSampleを四年制大学に所属する者とし,   計 273 117 390 252 115 367 また,その中でも茨城大学にした理由は,現代社会が競

(9)

吉田・寺門・小熊:Time PerspectiveとPersonalityとの関連V       179

争社会4Dであり,しかもそのことの個への影響は免れ得ないことから,被調査者が就職しているか 大学生であるかは,本質的には変わらないということを前提としている。また現代青年を代表して いるかが問題となるが,現実としてある現代社会における価値の画一化を考慮する時,個人の所属 する位置や場による意識と行為の差異は大きなものではないと予想され,被調査者を茨城大学に在 籍する学生とした。また,大学3・4年次生を被調査者の対象としたのは,将来展望を見る際,3・

4年次生は相対的に自己の将来について,理想的にではなく現実的に考えざるを得ない立場にいる ことによる。

皿 因子分析的検討

皿一1 目的と方法

現代青年は自己や環境をどのように認識し,その将来展望はどのような特徴を持っているのかを 検討するために,前述の調査視点の構造化に基づき具体的な質問項目を設定したが, 「自己一環境 認識」においては,「ひと」・「もの」,「深さ」・「広さ」の視点と,「意識」・「行為」の視 点とからなる構造化の,また「将来展望」においては,「時間展望」・「将来展望」。「刹那主義」

の視点からなる構造化の,妥当性を検討するために因子分析による検討を行なった。

因子が抽出され,各質問項目の妥当性が検討された後に,因子負荷量と各個人の素点とから,

「自己一環境認識」と「将来展望」の各個人得点を求め,Face sheetとの関連から,学部間差,男 女間差,年齢間差を,一元配置の分散分析により検討しているが,本論文では紙数の関係から言及

しない。また,現代社会からの影響を免れえない青年が,社会から画一化された性格を強要され,

自らそうせざるを得ぬ状況の中で,彼らの所属する位置によって,自己や環境に対する認識や時間

性に違いがあるかどうかを検討した。この分析は,設問團で得られた,「今の自分」の位置から換       

算した予想する死亡年齢,過去・将来の出来事の数に関しても行なった。次に,「自己一環境認識」

と「将来展望」との関係を見るために,前者で抽出された各因子と,後者で抽出された各因子との 相関を,ピアソンの相関係数により算出した。さらに,「自己一環境認識」と「将来展望」におい て抽出されたそれぞれの因子が,設問團で実際に記述された,「今の自分」の位置から換算した予 想する死亡年齢,過去・将来の出来事の数と,どのように関係しているのかを見るために重回帰分 析を行なった。重回帰分析は,前述の三つの内容への各因子の寄与率の大小から,どの因子が関係 し影響を及ぼしているのかを見るために行なったものである。最後に,現代青年がどのような時間 性の中で生きているかを具体的に見るために,設問團で得られた,過去・将来の出来事の内容分析 を行なった。ただし,本論文においては,因子分析的検討の部分についてのみ報告する。

なお,因子分析にあたっては,相関はピアソンの相関係数,因子抽出法は主因子法,因子軸回転 をVarimax法に拠り,東京大学大型計算機センターrHITAC 8700/8800」を使用した。

皿一2 自己一環境認識に関する因子分析の結果と解釈

Varimax回転後の因子負荷量を, Appendix 2に示す。因子解釈にあたっては,便宜上,因子負 荷量10.300001以上の因子負荷量を満たす項目を各因子から抽出した。表4は,各因子から抽出さ

(10)

れた項目を示した。表4の1咽子を見ると,第7因子では因子負荷量10.30000{以上の項目は1項 目のため解釈せず,2項目以上含まれる因子について解釈した。

第1因子についてみると,表5に示すように8項目であり,この因子に含まれる各項目の構造化 における視点は,「ひと」,「広さ」および「行為」に関する項目である。また,各項目内容を考 慮すると,全体として特定化した人との関係というより,一般的な意味における人との関係性を示 す内容である。さらに,人との関係性における広がりという点では,「手を出さない」「つき合い たくない」「人と話すのはいやだ」等であり,人との関係性を切り人を受け入れないといった内容 の項目である。従って,第1因子を「人間関係における関係性狭量化」と解釈した。第2因子は,

5項目(表5)である。視点では.全部が「ひと」に関する項目であり,また,1項目を除いて

「意識」を示す項目である。内容的には,一般的な人との関係というより,自己の性格,知識,行 為を他者と比較して捉え,そこから対象となる人を絞るといった対人関係に関連するものである。

また,現在の自分の性格を受容できないでいる内容の項目が示されている。ここから,第2因子は

「対人関係における現実自己拒否」と解釈できよう。

表4 「自己一環境認識」に関する因子名及び各因子に含まれる項目番号

因子 因   子   名

因子に含まれる因子負荷量1.300001以上の高得点順の項目番号

第1因子 「人間関係における関係性狭量化」の因子 19. 31. 9. 17. 15. 26. 22. 20.

第2因子 「対人関係における現実自己拒否」の因子 18.3.32.20.25.

第3因子 「ρものρに対する非執着性」の因子 16.12.13.4.

第4因子 「 もの に対する観念的こだわり」の因子 30.10.5.

第5因子 「人間関係における選択性」の因子 11.25.10.

第6因子 「自己所有物に対する執着性」の因子 14. 轣D

第7因子 6.

第8因子 「自己行為性に対する自己対象化」の因子 24.29.

第9因子 「交友関係における他者依存」の因子 21.31.

第10因子 「健康感に対する自己確信」の因子 8.7.

第3因子は,4項目(表5)である。視点で見ると,全てが「もの」に関する項目であり,「広 さ」と「行為」の視点に属するものが多い。内容を検討すると,項目16,12は衣服,項目13は品物,

項目4は食物に関する項目であり,全てが「もの」に対する態度に関連する。「もの」に対して

「気にしない」「どんなものでもかまわない」というように,また.項目13の物を購入する際その 選択において,メーカー品(ブランド製品)であることを重視しないといった内容から,第3因 子は「 もの に対する非執着性」と解釈した。第4因子についての3項目(表5)を見ると,視 点では全てが「もの」と「意識」に関する項目であり,全体的には「深さ」を示す因子であること がわかる。内容をみると,「もの」への頓着を示し,また「もの」の存在価値を観念的に決めつけ,

こだわるものである。第4因子は,「 もの に対する観念的こだわり」と解釈できよう。第5因 子も3項目(表5)であるが,視点では「ひと」と「深さ」,「意識」が中心である。項目内容を 検討すると,項目10は第4因子にも含まれており,共に人や環境を意識した住居選択の志向性を反 映しているものと位置づけられる。さらに,項目11は「ためにならない人は選ばない」,項目25は

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表5 「自己一環境認識」の第1〜第10因子の各因子に含まれる質問項目

因子 項目Nα 項   目   内   容 因 子

演ラ量 視  点

19 自分がしたくても,人がやらないことには手を出さない 。61626 ひと・広さ。行為 31 わずらわしいので,いろいろな人とつき合いたくない .59761 ひと・広さ・意識 9 面倒なので,今まで経験しなかったことをするのはいやだ 。58183 ひと・深さ・意識

1 17 気を使うので,知らない人と話すのはいやだ .52603 ひと・広さ・意識 15 大学生に限らず,いろいろな人と付き合っている 一47369 ひと・広さ・行為 26 他人と違う意見をもっていても,議論するのはいやだ .45322 ひと・深さ・意識 22 人と付き合うときは,深い関係はつくらない .38325 ひと・深さ・行為 20 知識が豊かな人に会うと,ひけめを感じる .33930 ひと・広さ・意識 18 自分の性格がいやなので,いつも直そうと努力している .58773 ひと・広さ・行為 3 いつでもしてしまったことを,くよくよ思い悩む .44096 ひと・深さ・意識

2因

32       ・ゥ分の欠点を他人に指摘されても,いっこうに気にしない 一.43720 ひと・広さ・意識 20 知識が豊かな人に会うと,ひけめを感じる .41215 ひと。広さ・意識 25 自分の考えを無視ざれると,いやな気持ちだ .32297 ひと・深さ・意識 16 どんな服でも気にしないで着ている .73435 もの・広さ・行為

第3

12 暑さ寒さがしのげれば,衣服はどんなものでもかまわない .61826 もの。広さ・意識 13 よい物を買うとすれば,メーカー品(ブランド製品)を買う 一.33297 もの・深さ・行為 4 どんなものでも,出されたものは全部食べている .30851 もの。広さ・行為 30 雰囲気を考えると,コーヒーをコーヒーカップで飲まないのはいやだ .48231 もの・広さ・意識

4因 10 自分の気に入ったところでなければ,住むのはいやだ .37712 もの・深さ・意識 5 いらいらすることがあるとき,音楽を聞くと気持ちがすっきりする .35377 もの・深さ・意識 11 人と付き合うときに,自分にとってためにならない人は選ばない .50472 ひと・広さ・行為

5因 25 自分の考えを無視されると,いやな気持ちだ .43850 ひと・深さ・意識 10 自分の気に入ったところでなければ,住むのはいやだ .40881 ひと・深さ・意識 第因 14 たのまれたとしても,自分の物を人に使われるのはいやだ .54790 もの・深さ。意識 6子 1 自分の部屋でないと,落ち着いて寝られない .33107 もの・広さ・行為 第因 24 悪いことと知りながらも,人をけなしたり,裏切ったりしている .60197 ひと・深さ・行為 8子 29 たとえどんな時でも,自分のすることに責任をもって行動している 一.41524 ひと・深さ・行為 第因 21 ひとりで悩んでいるよりも,友達と遊んでいる .54746 ひと・深さ・行為

9子 31 わずらわしいので,いろいろな人とつき合いたくない 一.30772 ひと・広さ・意識 第因 8 健康診断の結果を信用するよりも,自分の体は自分で判断している .44057 もの・深さ・行為 10子 7 病気で寝こんでいるとき,時間が惜しくてならない .35570 もの・広さ・意識

自己を無視しない人には嫌な気持ちを持たないといった内容であり,他者との選択的な関わりの 志向性を示すものである。従って第5因子は,より広い意味での人との関係性を表わしている因子

と位置づけることができ,「人間関係における選択性」と解釈した。

第6因子から第10因子までは,表5に示すように全て2項目である。第6因子に含まれる項目の 視点の共通性は, 「もの」である。質問項目内容を検討すると, 「自分の物」 「自分の部屋」とい

うように,自己の持つ「もの」,即ち自己所有物を表出しており,「もの」への執着を表わしてい る。従って,第6因子を「自己所有物に対する執着性」と解釈した。第8因子は,何れも「ひと」

と「深さ」「行為」に関連している項目である。項目内容を検討すると,項目29の因子負荷量がマ

(12)

イナスを示すことから,どちらも自分のとる行為を対象化し,臓悔を伴う反省を意味内容として持 っている。従って,「自己行為性に対する自己対象化」と解釈できる。第9因子は,構造化した視 点より「ひと」に関する項目である。項目内容は,人間関係の中の特に交友関係を表出したもので ある。その交友関係も,表面的なつき合いや遊び的関係として捉え,色々な人とのつき合いを煩わ しいこととは思っていないことが位置づけられる。それは,悩みある自己を対象化せず,他者への 依存を示す内容であることが伺える。従って,第9因子を「交友関係における他者依存」と解釈し た。第10因子については,視点の共通性は「もの」であり,特に自己の肉体についての項目内容を 持つ。何れも自己の健康に関連している項目であり,項目8は自分の健康についての自信を表わし,

項目7も肉体に自信を持っているが故に寝こんでいる時間も惜しいとする意味内容である。従っ て,第10因子は「健康感に対する自己確信」と解釈した。

皿一3 将来展望に関する因子分析の結果と解釈

Varimax回転後の因子負荷量を, Appendix 3に示した。「自己一環境認識」の場合と同様に,

因子解釈を行ない,各因子から抽出された項目を表6に示した。

表6 「将来展望」に関する因子名及び各因子に含まれる項目番号

因子 因   子   名 因子に含まれる因子負荷量1.300001以上の高得点順の項目番号

第1因子 「行為性にあらわれる刹那性」の因子 17.4.18.10.16.

第2因子 「行為性にあらわれる将来展望性」の因子 2.3.1.18.

第3因子 「知識・技術の修得に示される将来展望性」の因子 5.8.14.

第4因子 「自己充足感に示される時間展望性」の因子 11,13.12.

第5因子 「日常生活にあらわれる将来展望性」の因子 9.6.15.

第1因子は,表7に示すように5項目であり,構造化の視点を見ると,項目18は「将来展望」,

項目16は「時間展望」であるが,因子負荷量がマイナスを示すことを考慮して,全体との関連で項 目内容を検討すると,「刹那主義」的であることが示唆される。また,視点における関係性では,

殆どが「行為」に属している。従って,第1因子を「行為性にあらわれる刹那性」と解釈した。第 2因子は,4項目(表7)である。関係性の視点で,全ての項目が「行為」に属し,時間性の視点 では,4項目中2項目が「時間展望」に属する。項目1は「刹那主義」,項目18は「将来展望」で あるが,項目内容を考慮して全体的に検討すると,他者とは比較できない自己の存在に対する確信,

現在の「生」の享受,さらには将来に向かっての志向的な「生」の享受の態度が伺える。しかし,

この因子は時間展望性を示すとは言い難く,また,刹那主義的な時間性を示すとも言い難い。何故

●   ●  ●  ■  ●

なら,時間展望に「いろんな楽しみを求めている」という意識の介在の余地はなく,一方,「努力 している」という行為は,刹那主義的時間性に当てはまらない。従って,第2因子を「行為性にあ らわれる将来展望性」と解釈した。

第3因子は,3項目(表7)であるが,それぞれの項目の視点で見ると,項目14が因子負荷量マ イナスであるところから,また内容的に他の項目との関係から「将来展望」と位置づけられ,3項 目全てが「将来展望」に属し,意識に関する項目であることがわかる。項目内容を検討すると,全

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表7 「将来展望」の第1〜第10因子の各因子に含まれる質問項目

因子 項目Nα 項   目   内   容 因子負荷量 視点

17 目的は,持っべきだ 。73098 刹那・行為

けれども毎日無目的にすごしている

4 計画を立てるのは必要だ .62544 刹那・行為

けれども毎日なんとなくすごしている

1 18 昔のことを悔やんでもしかたがない 一.49273 将来・行為 だから将来に向けて努力している

10 計画を立てて過ごすのは大切だ 。49033 刹那・意識

けれども先のことを考えるのは面倒くさい      

16 その日すべきことは,明日にのばすべきではない 一。43947 時間。行為 だからその時すべきことをしている

2 人間は他人とは比較できない 。57070 時間・行為

だから自分は自分なりに生きている

3 自分に正直に生きるべきだ 。55366 時間・行為

2 だからその時その時の自分にできることをしている

1 悩んだからといってどうなるものでない 。51167 刹那・行為 だからいろんな楽しみを求めている

18 昔のことを悔やんでもしかたがない 。32464 将来・行為 だから将来に向けて努力している

5 人間には,だれでも可能性がある .53173 将来・意識

だからやりがいのある仕事にっけないのはいやだ

3 8 生活には,豊かさは欠かせない .52838 将来。意識

だから知識や技術を身につけるべきだ

14 資格をもっているのは,有利だ 一。36315 刹那・意識

けれども知識や技術を身につけるのはおっくうだ

11 どうあろうとも,過去は人間についてまわる .53380 時間・意識 けれども生きているそのことが楽しい

4 13 感謝して毎日を生きるのは大切だ .46506 時間・意識

だからその時その時が満ち足りている

12 人生にとって結婚は重大事だ .33548 将来・意識

だから条件がそろわないのに結婚するのはいやだ

9 大学に入ったら,卒業すべきだ .45426 将来・行為

だからおもしろくない授業に出席している

5 6 人の将来は,どうなるかわからない .33935 刹那・意識

だから毎日を楽しまなければつまらない

15 生きていくためには,お金が必要だ .33101 将来・行為 だから余暇資金を得るためにもバイトをしている

体的に知識・技術の修得に関連する項目である。項目5の「やりがいのある仕事につく」は,現代 社会の高度な知識や技術を修得して始めて「やりがい」のある場に行けるという状況から,知識・

技術の修得に関連する項目と言えよう。従って,第3因子を「知識・技術の修得に示される将来展 望性」と解釈した。第4因子に含まれる3項目(表7)を見ると,全てが「意識」の視点に属する 項目であるが,時間性においては,項目12が「将来展望」,他の2項目は「時間展望」に属する。

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項目11,13との関連から項目12を見ると,結婚という将来に予想される出来事を,単に美化し,期 待し,かつ幻想化した出来事とするのではなく,条件が揃えばいつでもかまわないというように,

結婚をその時の,即ち「今」の意志と決断に委ねるという,自分自身の内なる問題と位置づけてい ることを伺わせる。また,項目11,13は,「今」の自分の「生」に対する満足感・充足感に関連し ている項目である。ここから,第4因子を「自己充足感に示される時間展望性」と解釈した。

第5因子も3項目(表7)であるが,各項目の質問項目視点では,その内2項目が「将来展望」

に属し「行為」に関連する項目である。項目6の時間性は「刹那主義」であるが,項目内容を検討 すると,無目的であり,しかも外に刺激を求めることによって自己の存在感を得ようとする項目と 言える。全体との関連で見ると,項目9の「卒業」,項目15の「お金」というように,将来の目標 を有限の「生」の中に置き,近い将来を対象化していると言え,「将来展望」を表出するものと位 置づけることができる。また,「授業」「バイト」というように,日常生活に関連している項目内 容でもある。従って,第5因子は「日常生活にあらわれる将来展望性」と解釈できる。

皿一4 具体的将来展望における過去,および将来の出来事内容とその結果

自己の有限の一生を一一本の直線上に仮定する時,現代青年は過去に起こった主要な出来事の内容,

および将来に起こるであろう主な出来事の内容を,どのようなものとして位置づけるかを整理した 表が表8である。この結果は,被調査者が線分上に記入したものを整理したものであるが,出来事 の右の数字は,その出来事を記入した人数を示す。例えば,「大学進学」という過去の出来事を記 入した者が273名いることを表わす。即ち,273名が「大学進学」を,過去に起こった主要な出来 事として意識の中に置いていることを表わしている。ここでは,前述の如く,現代青年が有限の時 間の中で,どのように自己の過去や将来と関わっているかを探ることを目的としている。時間が存 在様式とつながりを持つ以上,過去,および将来に対する関わりは,「今」ある生の様式を規定し,

かつ,生き方に対応していると言えるからである。

表8 具体的将来展望に関する反応分布

過去の出来事について 将来の出来事について

出来事内容 出来事内容 人数 出来事内容 人数

・大学進学 273 ・結婚(婚約) 251 ・離婚 9

・高校入学・卒業 83 ・就職(教師になる。入社) 239 ・老鶴幡梶蓑老人クラり 9

・小学校入学。卒業 40 。退職 99 ・転職 7

・中学校入学・卒業 36 。卒業 65 ・旅行関係(海外旅行,世界一周) 6

・浪人(大学受験。入試失敗) 23 ・子供の誕生・出産 54 ・父・母の死 6

・初恋・恋愛・失恋 9 ・停年 17 ・妻。夫の死 5

・病気・事故・入院・手術 9 ・出世関係(萎聯儲劉 17 ・再就職 5

・幼稚園入園 7 ・マイホーム建設。取得 14 ・再婚 4

・死(父・母。祖父母) 6 ・進学(大学院・大学) 14 ・見合い 2

。転校 4 ・子供関係i簾難鋼 14 ・仕事において大成功 2

。旅行 2 ・病気・事故 14 。会社で実績が認められる 2

。人との出会い 2 ・孫の誕生 9 ・ノーベル賞受賞 2

参照

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