茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)39号(1990)57−73 57
Time PerspectiveとPersonahtyとの関連 皿 Time Perspectiveの心的構造一
吉田 昭久*・小熊均**・小倉 美智子***
(1989年9月9日受理)
On Time Perspective and Personality V皿:
Psychological Structure of Time Perspective
Teruhisa YosHIDA, Hitoshi OGuMA and Michiko OGuRA
(Received September 9,1989)
は じ め に
前論文1}においては,およそ15年のtime spanを置いて行った質問紙調査に基づき,「実存不安」
の心的構造について因子分析的に検討し, 「実存不安」が質問紙水準で捉え得る課題であることを 明らかにした。この「実存不安」は,「今」あるいは現在にないことを,未来に予測したり見通し たりする人間の能力を規定するものであり,それは,Time Perspectiveの問題と深く関わって来る 2)
アとはすでに言及してきた 。
「時間がない」 「時間がもったいない」といった言葉の下で,毎日決まった時刻に起き,同じ時 刻の電車やバスに同じ時問だけ揺られ,9時から5時まで仕事をし,帰宅することを繰り返すのが 多くの現代人の日常であろう。エンデ,M.はこれを,「『良い暮らし』のため,『将来』のためと 3}
Mじて必死に時間を倹約し,せかせかと生き」 ,「人びとは時間をうばわれることによって,ほ んとうの意味での『生きること』をうばわれ,心の中はまずしくなり,荒廃して」4)行くと表現す
る。
5)
l間にとっての時間とは,どのようなものなのか。ミンコフスキー,E. は,「時間と空間の問 題は,心理学,哲学,そして言うなれば,現代文化全体さえもの中心問題」とし,「われわれの実 存に於て深い葛藤を生み出すこの問題は,われわれひとりひとりによってもっと綿密に吟味される 6}
K要がある」 とし,「われわれは『時間』に対するわれわれの権利,現代生活がわれわれから奪っ 7)
スと思える権利を取り戻したい」 と述べている。メイ,R.は,「人間のもつユニークな性格の1 つは,人間が自分の現在という時点の外に立ち,未来ないし過去といったあとさきに,自分自身を 8)
ィえてみて,その状況を思い描くことができるという点である」 とし,「あとさきをふり返える」
*茨城大学教育学部教育臨床心理学研究室.
**都留文科大学文学部.
***安田生命保険相互会社.
ということは,「自分自身を意識することのできるという人間能力の一部」9)とする。また,木村 は,「人間が人間であるということ,自己が自己自身でありうるということは,人間が歴史的存在 であり,自己が時間的存在であることを根拠にしてはじめて可能になる」と述べている1°)。
ミンコフスキー,E.やメイ,R,の言う時間は,時計やカレンダーによって測定される日常生活 の時間ではない。時間とは, 「この流動する塊,この動く,神秘的で,壮麗で,力強い大海原であ る」11)とミンコフスキー,E.は定義する。そして,「時間は流れ,過ぎ行き,償い難く逃れ去る。
が同時に,それは前進し,進歩し,無際限でかつまた捉え難い未来へ向けて出立する」12)とし,人 間にとっての時間は,量的物理的時間ではなく,まさしく心理学的時間であると指摘する。このこ とは,量的物理的時間は無視できるということではない。 「人間は常に自然界の要素であって,あ らゆる点で,自然に包み込まれている」13)が故に,人間もほかのすべての生命体と同じ様に,いつ かは死を引き受けなければならない。しかし人間は,その限られた「時間を認識することによって,
人間はいくつかの方法で時間をコントロールし,利用できる」14}のであり,そのことを逆説的に言 えば,人間は時間を「無限」に有しているのである。
「無限」に広がる時間を有意義に過ごすということは,刻々に過ぎ去る現在の一瞬間を,自己の 15)
S力をもって生きることと言える。「現在の瞬間こそ,われわれのもっているすべてである」 。 言い換えれば,「その『瞬間』が,『人』の全存在を掛け,充実した十全なものである時,『人』
は永遠を生きるという性格を持つ」16)のである。このことは,フロム,E.が人間における「持 つ様式」と「ある様式」を区別し, 「持つ様式」における時間は,過去に蓄積した金,土地,名声,
社会的地位,知識子供,記憶などに縛られるのに対し,「ある様式」にあっては,「今・ここ」
にのみ存在すると捉えた1ηことと通底する。「無限」に広がる時間の中で,「私一ここ一今」とい う受け取りの中で行為できる人間が,最も実存的な人間であると言える。「時間にはおよそ無頓着 であり,時間を超越した生活をしているように見え……時間よりも自分を大切にする人」18)とも言 えよう。
友松は,「『死』にとらわれざるを教えるのは真に『生きる』道を自由にえらばせんがためであ 19}
驕vと述べ,「人生が無常なればこそ精進を意識する」 ことになり,「時の流れ」を看取し,栄 枯盛衰の理を了解し,諦観することが正しい認識であるとしている。むろん「あきらめ(諦)」と いうのは絶望ではなく,事象の正しい認識のことである。人間にとっての本当の意味での自由な時 間とは,ミンコフスキー,E.によれば,「酷使された筋肉や頭脳に与えられる休養の同義語ではな
く,退屈の同義語ではさらになくて,それは本当に弛緩すること,周囲の生を打眺めてそれと融合 すること,われわれのまなざしをわれわれの存在の底にまで沈めてわれわれ自身と向合うこと,結 局反省することをえしめるもの」2°)なのである。
Time Perspective に関する視点を,ミンコフスキー,E.の理論を借りて捉えてみよう21)。ミンコ フスキー,E.は,過去とは記憶によって捉えられるものでしかないことを位置づけた上で,人間の
「生」とのかかわりにおいて未来を重要な次元として考える。「活動性」と「期待」,「欲望」と
「希望」,「祈り」と「論理的行為の追求」という6つの基本的現象が,「生きられる未来の基礎 を構成する」22)とする。また,メイ,R.は,「瞬間はつねに『孕まれたもの』であり,常に外に向 かって開く準備があり,生れ出ようとしている。われわれのただやらねばならないことは,自らの 内を深く凝視する実験である」23)とする。
吉田ほか:Time PerspectiveとPersonalityとの関連 珊 59
しかし,従来のTime Perspectiveに関する研究の多くは,「未来」についても「過去」に対して も,人が認識でき得る範囲のperspectiveを研究の対象としてきた。
そこで本研究では,人のTime Perspectiveを測定する問題に焦点を当て, Time Perspectiveの心 的構造を明らかにすることを目的とする。本論文の概要を示せば,以下の通りである。
1 大学生を対象とした質問紙調査 1−1 調査視点の構造化 1−2 質問票と実施手続 皿 因子分析的検討
H−1 結果と解釈
H−2 現代青年のTime Perspectiveの構造
@ 1 1 大学生を対象とした質問紙調査
1−1 調査視点の構造化
Time Perspectiveは,先に述べたように,観念ではなく行為そのものである。この性質から,
Time Perspectiveを質問紙調査で捉えることはむずかしく,先の研究においては,視点を構造化し た上で面接調査を行って検討した24)。そこで取り上げた観念,意識行為の三者は,独立して機能
するものではなく,それぞれが他のものとの相互関係において表出して来る。これは,言葉という ・ 現象や芸術作品を見てもわかるように,三者はそれぞれ共生関係においてのみ現実の世界に機能し
ているのである。観念的,意識的ともとれる言葉も行為と深く関連している。つまり,日常の行為 を言語で表現し,言語で回答を得たとしても,個々人の実際の行為から遠くずれることはない。
Time Perspectiveに関して質問紙による調査を行なうことは,一定の妥当性の中でそれを捉え得る であろうと考える。
そこで,現代青年がどのような時間性において生きているのか,彼らの持つTime Perspectiveが どのようなものなのかを検討するための,質問紙を作成した。調査視点としては,「時間性」「対 象の広がり」「かかわりの深さ」の三つの次元を設定した。
「時間性」に関しては,「刹那」「有限」「無限」の三つに分節し,個々人の持つ「時間」を捉 えようと試みた。
「刹那」は,本来梵語ksanaの音写であり,仏教における時間の最小単位である。そして,「無常」
の窮極的な姿を表す言葉でもある。しかし,本研究で用いる「刹那」は,前後に見通しがきかない,
瞬間のみに生きている人間の「人間性」とした。このような「時間性」の人は,自分の中に行動規 範がなく,外に刺激を求めて止まないと人と言えよう。
「時間」は,本流(未来へ)と逆流(過去へ)が互いにつりあいを保っている。その永遠の「時 の流れ」の,ある時点までしか捉えることのできない人間の「人間性」を「有限」とした。たとえ ば,未来に何か目標をたて,そのことに向かって過ごしている人は,自己の持つ他の無限に広がる 可能性(時間)を切り捨てていると言える。従って,この「時間性」によって生きている人にとっ て,未来は,別な世界での,別な機会を求める以外には,見出すことができなくなってくる25)。
「時間性」が「無限」であるということは,「時の流れ」をきちんと見極めることと対応する。
前後の見通しがきき,瞬間瞬間を大切に生きていける人である。一人の人間の持つ物理的時間は,
「死」までの数十年ではあるが,その「死」に囚われずに,真に「生きる」道を自由にえらぶこと もまたできる26)。このような人の持つ「時間性」を「無限」とした。「有限」と対立した「無限」
ではなく,個の心的世界に内包される「無限」である。
人は,その質,程度はあるにしても,必ず自分自身をみつめながら生きている。しかし,決して 一人では生きてはいない。両親や友人といった「他者」も存在するし,道具や生活に密着した「も の」,あるいは食べ物や草花といった「自然」も周囲に存在し,それらすべてとかかわり合いなが
ら生きている。どれか一つが欠けても,人間の生活は安定したものとはならない。そこで本研究で は,「対象の広がり」の次元の水準を,「自己」 「他者」 「もの」 「自然」とし,それぞれに対す るかかわりを,「時間性」と関係づけることとした。
また, 「対象」とのかかわりの度合によっても,人のかかわりの質は違って来る。そこで,「か かわりの深さ」の次元を設定し,「浅」「深」に二分した。この深さの次元は,たとえば,刹那的 な「時間性」で言えば,「対象とのかかわり」が「深い」ということは,「対象」に対して,より 刹那的な時間性でかかわっているということを意味する。
以上のような,Time Perspectiveに関する三つの軸を交絡させて構造化したものが,表1である。
24の交絡する部分のそれぞれに,具体的質問項目視点を設定した(表1)。「時間性」の視点は,
「刹那」一「有限」一「無限」の方向の広がりをもち,また, 「自己一浅」と「自己一深」という
; ように対象が同一の場合,「浅」 「深」による対置関係が明確化するように考慮した。
構造化に際して位置づけた,「対象の広がり」と「かかわりの深さ」との関係について検討して みよう。
「自己」に対するかかわりが「浅」い人間は, 「刹那」的な時間性の中で生きている。未来に対 する何の目標追求もせず,その時々の思いのままに快楽にふけり,総じて「享楽」的態度をとると 考えられる。これに対して, 「有限」の時間性に生きる人間は,自己が未来に対して持つ目標に向 かって行動し,ミンコフスキー,E.が指摘するような,「未来がわれわれの方へ来るのを見この
(予見せられた〉未来が現在になるのを待つ」27)といった,未来に対する「期待」に生きていると 言える。一方,時間性が「無限」であるとすれば,その人間は物事にとらわれず,全体の情勢を広
く見渡すことができることになる。つまり,「達観」できた人と言えよう。
「他者」に対するかかわりが「浅」く「刹那」的な人間は,「他者」に影響され,同化すること が多くなる。「他者」と同じ意見・態度になることを考えると,「同調」となる。これに対して,
「他者」と同じように考え,感じることを「同感」とすると,それは,「有限」の時間性の中で生 きる人間の態度と言える。そして,「他者」の気持ちや境遇,特に不幸などをその身になって思い やることを「同情」とすると,「無限」の時間性に生きる人の態度と言えよう。
「もの」に対するかかわりが「浅」いということは,「もの」の命を考慮することができないこ とを意味する。「刹那」的な人間は;「もの」を無駄に費し,「もの」の命を尊重せず,「浪費」
の傾向を持つと考えられる。一方,「有限」の時間性の中に生きる人間は,「もの」に執心し,と らわれ,「執着」を示す。これに対して,「無限」の時間性を有する人は,「もの」の命を使い果 すことを心がけ,「消費」の傾向を示すと考えられる。
吉田ほか:Time PerspectiveとPersonalityとの関連 珊 61
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「自然」に対するかかわりが「浅」く「刹那」的な人間は,「自然」に興味を示さず,気にかけ ない「無関心」の態度を示すと考えられ, 「有限」の人間は,「自然」を自分の都合の良いように 利用し, 「自然」と自己の存在とを「対置」していると言える。また,時間性が「無限」の人は,
「自然」に対し,畏敬の念を持ち「崇拝」する態度を持つと考えられる。
「自己」に対するかかわりは「深」いが「刹那」的な人間は, 「自己」を「深」く見つめること により,「自己」の中にある「空虚感」に気づき,「虚無」的態度が著しくなるものと考えられる。
「有限」の時間性で生きる人間は, 「直接的未来の締めつけから開放され,もっと遠く,もっと広 く,約束に充ちた未来を生きる」28)とミンコフスキー,E.が指摘するように,「希望」を持つと考 えられる。しかし,「なお,希望は期待の締めつけからわれわれを解放するが,それを完全に除く」
29)とは言えない。これに対し, 「無限」の時間性を持つ人間は,森羅万象の表相に目を奪われるこ となく,その実相をとらえ,一時的表象に心を奪われることなく,全ての現象を「諦観」する人と 言えるであろう。
「他者」に対するかかわりが「深」く「刹那」的な人は, 「他者」は「他者」でしかなく,自己 とは異なる存在であるとし,他者を「排除」する態度を持つと考えられる。「有限」の時間性に生 きる人間は,「他者」に対する深い考慮を持続し,相手の立場を「配慮」する。一方,「無限」の 時間性を有する人間は,「他者」を深く理解し,相手も自分も同じ人間として存在していることを 確認でき,相手に対して「共感」する。
「もの」に対するかかわりが「深」く「刹那」的な人間は,物事にこだわらない傾向性を示し,
・ 「無頓着」な行為が目立つと考えられる。一方, 「有限」の時間に生きる人間は,自己と関係のあ る「もの」に対しては興味・関心を示し,「愛着」を持つものと考えられる。これに対し,「無限」
の時間を有する人間は,「もの」と自己の存在とを差別せず,全ての「もの」に対してその命を尊 重し,「共存」する態度を持つと考えられる。
「自然」に対するかかわりが「深」く「刹那」的な人は,毎日の生活の中で「自然」と触れ合っ ているという実感を持たず,身近な季節の移りかわり等に関心を示さず,「無感動」の態度を持ち,
また,「有限」の時間性に生きる人は,「自然」を意識することはあっても,たとえば食べ物など で言えば,それはかつて生命があったと意識することをせず,それらを「疎外」する態度を持つと 考えられる。これに対し,「無限」の時間を有する人間は,動物や植物と自己とが,共通の生命を 有するという感覚を持ち,「自然」との「共生」の態度を示すと考えられる。
以上のような,三つの視点を交絡させた各具体的質問項目視点に添うように,それぞれ3項目ず つ,計72項目の質問項目を作成した。項目は,全て各個人の日常の「行為」を表すものに統一し,
なるべく観念的なものは削除した。具体的質問項目については,表1に示した。
1−2 質問票と実施手続
本研究に用いた質問票は,Appendix 1−i〜1−iilに示した。回答形式は,両極に「今の自分に全 くあてはまる」と「今の自分に全然あてはまらない」を置いた10cmの線分上に,任意に1印をつけ させる方法をとっている。なお線分上には,中央を印す目安をつけた(Appendix参照)。
調査の方法及び被調査者の選定等は,既報告の論文3°)に詳述したので参照されたい。
吉田ほか:Time PerspectiveとPersonalityとの関連 皿 63
H 因子分析的検討
H−1 結果と解釈 表2 Time Perspectiveの項目別平均得点及び標準偏差 Time Perspectiveの各項目に関する反
応得点の平均と標準偏差を,表2に示す。 VARIABLE MEAN STANDAR1)DEV CASES
ピアソンの相関係数を用いて,主因子 1搬 39.8722
T9.4417
28.4086 R7.2555
ll8
法により回転前の因子行列を求めたカ㍉ 8鑑 40.5056
T8.9444
33.3140 Q8.3305
ll8
Q205 43.8028 29.0904 360
最終的な因子行列としての,バリマック Q206 37.5056 30.1262 360
Q207 81.8694 24.2426 360
ス回転後の因子負荷量は,Appendix 2に Q208 56.8000 29.2527 360
Q209 37.6889 29.8840 360
示した。 Q210Q211 46.9000 35.3606 360
65.6028 29.1084 360
因子解釈に当っては,便宜的に因子負 8粥 73.9917
Q1.2500
27.8656 Q2.7679
ll8
荷量10.300001以上を満たす項目を,各 81il 32.4361
S1.6222
29.6789 Q9.4672
lll
因子から抽出し解釈することとした。各 8辮 27.6278
R6.7167
29.1833 R0.0986
ll8
Q218 43.5083 29.6639 360
因子に含まれる項目を示したものが,表 Q219 48.2805 31.0717 360
Q220 20.4389 22.4148 360
3である。 ・ Q221Q222 37.6583 29.6316 360
20.9667 26.7540 360
図1〜2に,抽出された10の因子の, 8111 59.8944
U3.4639
3と.2131 R3.7889
lll
項目内容及び因子負荷量を示した。これ 8蔑 44.0944
R7.2194
26.9626 Q6.4286
ll8
に基づき,各因子の解釈をしてみよう。 1鰯 54.9778
U9.9250
32.8819 R0.2488
ll8
Q229 30.6306 27.4836 360
第1因子に含まれる項目は,図1に示 Q230 66.3028 26.5822 360
Q231 50.5555 27.8665 360
した14項目である。この因子に含まれる Q232 61.9305 24.9611 360
Q233 25.7833 28.8139 360
各項目の視点を見ると, 「深・自然・無 8鑑 72.4667
P3.5444
28.6151 Q1.3799
lll
限・共生」が特徴的である。 「浅・自然 8舞 54.9278
Q7.2583
30.8565 Q8.2929
lll
Q238 45.2500 32.7926 360
・刹那・無関心」の3項目は,全て負の Q23g 76.2083 24.4413 360
Q240 59.7444 24.4997 360
負荷量であることから,これと対置する Q241 64.9000 27.4782 360
Q242 51.9250 26.8864 360
「深・自然・無限・共生」の方向を持つ 8舞 55.7667
T7.7583
32.4475 Q8.8713
lll
ものと位置づけることが出来る。また, 8號 48.5528
S0.7028
30.6365 Q5.8122
ll8
項目49の対象は「もの」であるが,人間 8纒 61.7389
R5.0250
25.2131 Q6.6778
lll
Q249 52.5333 30.3465 360
にとっての食べ物は他の生命であること Q250 38.0555 29.1861 360
Q251 56.1944 30.5751 360
から,「自然」と考えてさしつかえない。 Q252 36.3389 33.6549 360
Q253 43.9528 27.9131 360
項目58の対象が「他者」であるが 「た 1鑑 44.3722
R9.8611
27.3038 Q6.8769
ll8
またま行きあわせた人」というように, 8舞 71.5083
S2.2722
25.9901 Q9.3502
ll8
見ず知らずの他人であると位置づけられ 8瑠 59.7305
V2.4722
27.0941 Q3.3417
lll
Q260 28.1778 26.3361 360
るので,「自然」の一部として解釈して Q261 57.2472 26.6286 360
Q262 46.7222 33.9318 360
よいであろう。以上のことから第1因子 Q263 42.4389 31.4037 360
Q264 56.8250 26.3818 360
を, 「自然に対する共生観」の因子と解 膓1 52.8750
R6.7694
34.9676 R2.7120
ll8
釈した。 躍 21.9667S3.4750 23.5286Q9.0494 1器 第2因子に含まれる項目は,6項目で 1鶉 41.1861Q2.8083 25.7582Q3.4291 ll8
Q271 68.4722 29.1932 360
ある(図1)。各項目の視点で見ると, Q272 80.1083 22.2028 360
表3 因子名及び各因子に含まれる項目番号と因子得点平均
因 子 因 子 名 因子に含まれる因子負荷量1.300001以上の高得点順の項目番号 因子得点平均 第1因子 自然に対する共生観 39,67,20,34,56,30,23,16,12,22,58,3,49,28 52.86
第2因子 他者への同調 69,18,46,1,54,32 45.26
第3因子 「もの」の消費 65,37,4,55,10,32,40,36,7 53.81
第4因子 他者への同情 25,61,26,5 45.59
第5因子 「もの」へのこだわり 70,38,13,37,17,35 27.80
第6因子 関係性の排除 48,66,8,53,50,42,52 42.70
第7因子 「もの」への愛着 33,6,2,60,15,24 42.67
第8因子 生に対する空虚感 21,41,63,68 47.12
第9因子 人生に対する達観 42,19,47,29,62 47.86
第10因子 他者への迎合 64,28.57 56.34
「浅・他者・刹那・同調」が特徴的である。項目1も「議論することはない」ということから,他 者に合わせていく姿勢がうかがえる。また,項目54の「無難な生活」というのは,他者の生活との 比較から出て来る意識であろう。項目32の「他人に良い印象を与える」というのも,同様のことが 言えよう。従って第2因子を,「他者への同調」の因子と解釈した。
第3因子に含まれる項目は,9項目である(図1)。視点を見ると,対象に「もの」が多い。項 目37も内容が健康の問題であり,「生命の消費」とも考えられる。項目4,32,40のL所懸命やっ ている」「いつも心掛けて行動している」「責任をもって行動している」も,行動にかける「時間」
を「消費」していると考えることが出来る。また,項目55は負の負荷量であることから, 「物を節 約している」と解釈でき,「消費」に関する行為になると判断出来る。以上のことから第3因子を,
「『もの』の消費」の因子と解釈した。
第4因子は4項目であり, 「浅・他者・無限・同情」が共通の視点として挙げられる(図1>。
項目61も「他者・無限」である。内容を見ると,「重そうな荷物を持っている老人」「困っている 障害者」 「道に迷っている人」 「子ども連れの人」というように,何か困難が生じている人に対す る援助行動を内容に持つ項目となっている。従って第4因子を「他者への同情」の因子と解釈した。
第5因子の6項目に関して,視点の共通性を見ると,時間性が全て「有限」である。内容を見る と,良い「就職」,「メーカー品(ブランド製品)」の購入,「寝たきり」の状態の否定,「きれ いな花」,「きれいな風景」,「良い成績」への志向性というように,「もの」を対象とした意識 31)
燉eを反映していることがわかる。これらは,フロム,E.の言う「持つ様式」 の中で生きる多く の現代人が,手に入れようとしている「もの」にほかならない。故に第5因子を,「『もの』への こだわり」の因子と解釈した。
第6因子に含まれる項目は,図2に示した7項目である。視点を見ると, 「深・他者・刹那・排 除」が目立つ。時間性の次元は,項目52以外全て「刹那」である。項目内容を見ると, 「つきあわ ない」 「心の奥底まで理解しあえる友達はいない」 「何の手助けもできない」 「うっとうしさ」と
吉田ほか:Time PerspectiveとPersonalityとの関連 珊 65 τ
因 子 項目閥o 具体的質問項目 因子負荷量 視 点 平均得点
39 澄みきった青空に気がつくと,つくづくとながめてしまう。 .72928 深・自然・無限「共生」 76.21 67 道を歩いている時,花や草木に目をむけることはない。 ㍉69213 浅・自然・刹那「無関心J 21.94 20 野や山へ行っても,鳥の鳴き声などに耳を澄ますことはない。 一.69204 浅・自然・刹那「無関心」 20.44 34 あかあかと沈んでいく太陽をながめると,思わず立ち止まってしまう。 .67471 深・自然・無阪「共生」 72.47 56 広々として穏やかな海を見ると,時を忘れて立ちつくしてしまう。 .65087 深・自然・無限「共生」 71.5董 第
30 神社などで老大木を見ると,荘厳な感じに圧倒される。 .61523 浅・自然・無限「崇拝」 66.30
1 23 深い山あいに入ると,神々しい感じを受ける。 .60476 浅・自然・無限「崇拝」 59.89
因 16 足を止めてまで,花に見入るようなことはない。 ㍉58667 深・自然・刹那「無感動」 27.63
12 星をながめていると,大宇宙の神秘的な感じを受ける。 .53595 浅・自然・無限「崇拝」 73.99
子 22 夜,空を見上げて星をながめるようなことはない。 一.51991 浅・自然・刹那「無関心」 20.97
58 たまたま行きあわせた人の話でも,本気で相手の話を聞く。 .35173 深・他者・無限「共感」 59.73 3 ものさびしさしか感じないので,野山でひとりになることはない。 一.32523 深・自然・刹那「無感動」 40.51 49 値段が高い安いにかかわらず,一つ一つを味わって食べている。 .32121 深・もの・無限「共 存」 52.53
28 かわいい動物であれば近寄って触れてみたりする。 .30555 浅・自然・有限「対 置」 69.93
69 行動するときは,たいていまわりの人の言う通りにしている。 .70790 浅他者・刹那「同 調」 41.19
第 18 ものごとを決めるときは」多数派に従っている。 .70717 浅・他者・刹那「同調」 43.51
、
2 46 重要なことを率先してやるよりも,他人の意見に従っている。 .65483 浅・他者・刹那「同 調」 40.70 因 1 他人と違う意見を持っていたとしても,議論することはない。 .45657 浅・他者・有限「同 感」 39.87 子 54 おそらく無難な生活を送ることができるのだから,今のままの生活を続ける。 .39876 浅・自己・有限「期 待」 44.37
32 他人に良い印象を与えるように,いつも心掛けて行動している。 . .31450 深・他者・有限「配慮」 6L93 65 ボールペンを使う時は,インクがなくなるまで必ず使っている。 .46857 浅・もの・無限「消 費J 52.88
せっせい
37 寝たきりになって人に迷惑をかけないように,普段から摂生している。 .45619 浅・自己・有限「期待」 27.26
第 4 どのようなささいな仕事でも,一所懸命やっている。 .44261 深・自己・無限「諦観」 58.94
55 豊かな時代だから,特に物を節約していない。 一.42858 浅・もの・刹那「浪 費」 39.86 3
10 広告などのチラシを,計算用紙やメモに使っている。 42045 浅・もの・無限「消費」 46.90 因
32 他人に良い印象を与えるように,いつも心掛けて行動している。 .37779 深・他者・有限「配慮」 6L93 子 40 どのような時でも,自分のすること全てに責任をもって行動している。 .34186 深・自己・無限「諦 観」 59.74
36 自分の気に入っているものは,あまり使わず大事にする。 .33917 浅・もの・有限「執着」 54.93
7 思い出のあるものは,特に大切に使っている。 .33566 深・もの・有限「愛 着」 8L87
25 重そうな荷物を持っている老人がいたら,いつも持ってあげる。 .75792 浅・他者・無限「同 情」 44.09 第
4 61 階段などで困っている障害者を見かけたら,手を貸している。 .63786 深・他者・無限「共感」 5725
因 26 道に迷っている人がいたら,必ず声をかけている。 .60878 浅・他者・無限「同情」 37.22
子
5 混んだ車内などで,子ども連れの人にはいつも席を譲る。 .49659 浅・他者・無限「同 情」 43.80 70 就職を有利にするために,毎日の勉強をしている。 .45529 深・自己有限「希望」 22.81
第 38 良いものを買うときは.メーカー品(プランド製品}を買っている。 .44346 浅・もの・有限「執着」 45.25
5 13 きれいな花であれ 乳たいてい持ち帰る。 .39183 浅・自然・有限「対置」 21.25
せっせい
因 37 寝たきりになって人に迷惑をかけないように,普段から摂生している。 .37387 浅・自己・有限「期 待」 27.25
子 17 きれいな風景であればたいてい写真に撮っておく。 .34415 浅・自然・有限「対置」 36.72
35 休講の時などは,良い成綾をとるために図書館で勉強している。 .31658 深・自己・有限「希望」 13.54
今の自分に 今の自分に 全然あてはまらない 全くあてはまる
図1 各因子に含まれる質問項目と項目平均得点
いったようなものであり,広い意味での「他者」との関係性を切った態度を表出している項目と言 えよう。従って第6因子を, 「関係性の排除」の因子と解釈した。
第7因子は,図2に示した6項目である。視点は,「深・もの・刹那・無頓着」が特徴的である が 3項目とも負の負荷量であることから,「深・もの・有限・愛着」の方向を示すものと解釈す ることが可能である。項目2の時間性を「無限」と位置づけたが新ためて項目内容から見ると,
「有限」と位置づけられる。故に第7因子を,「『もの』への愛着」の因子と解釈した。
第8因子は,4項目である。全ての項目の時間性が「刹那」で,対象が「自己」の項目が3項目 ある(図2)。内容を見ると,「退屈している」 「毎日なんとなく過ごしている」 「捨てている」
と虚無的態度を表している。項目68は対象が「もの」であるが 「余らせて」 「もの」を「捨てて いる」自己に虚無性が投影されていると考えられる。以上のことから第8因子を,「生に対する空
虚感」 と解釈した。
因 ∫・ 項HN〔, 具体的質問項巨 因』r負荷漏: 視 点 平均得点
48 いろいろと気を遣うので,多くの人とはつきあわない。 .55753 深・他者・刹那「排 除」 35.03 66 結局のところ.心の奥底まで理解しあえる友達はもっていない、、 .53894 深・他者・刹那「排 除」 36.77 第
8 ..一lで悩んでいるより、友達とおしゃべりしている、 一.46320 浅・自己・刹那「享 楽」 56.80 6
53 たとえ悩みを相訟されても.所詮何のf助けもできない、 ;45787 深・他者・刹那「排 除」 43.95 因
50 爾の日は,うっとうしさばかり感じて過ごしている、、 .33516 深・自然・刹那「無感動」 38.06 ジ
42 考え込んでもどうなるものでもないので.楽しく過ごしている。 一.33356 浅・肖己・刹那「亨 楽」 5L93
52 自分の部屋でないと,落ち着いて眠れない, .30671 浅・もの・有限「執 着」 36.34
33 汚れた食器がたくさんあっても,使わなければ放って置く、 ..65196 深・もの・刹那「無頓着」 25.78
第 6 棚のLにほこりがたまっていても,特に掃除はしない、、 一.6032) 深・もの・刹那「無頓着」 37.51 7 2 洗僖する時は,それぞれのものに適した方法で洗っている、, ,41484 深・もの・無限「共 存」 59.44
因 60 花瓶の花が枯れていても,そのままにして置く、、 一.40323 深・もの・刹那「無頓着」 28.18
ゴ 15 公圃や道路などでゴミを拾うことはないが,自分の部屋はきれいにする,, .39{}02 深・ものイゴ隈「愛柘 41.62 24 雰囲気を考えて.コーヒーはコーヒーカップで飲んでいる.. .37⑪12 深・もの・有限「愛 着」 63.46 21 毎H同じようなことの繰り返しで,いつも退屈している.. .65349 深・自己・刹那「Jti 概」 37.66 第
8 41 計画をLkてることは大切だと思うカ㍉毎日なんとなく過ごLている、. .54150 伐・自己・刹那「享 楽」 64.90 因 63 何も夢中になるものがなく,なんとなく毎日を過ごしている.、 .53714 深・rl己・刹那「虚 無」 42.44
f 68 使うつもりで多めに賀っても,余らせて結局捨てている, .31389 浅・もの・刹那「浪 費」 43.48 42 考え込んでもどうなるものでもないので.楽しく過ごしている1. .54180 浅・ピ1己・祠那「享楽」 5L93
第 19 過去の失敗はすんでしまったことだから,くよくよ悩まない、、 .47320 浅・卜1己・無限「達 観」 48.28 9
47 どうあがいてもなるようにしかならないので,その時すべきことをしている。 .46154 浅・自己無限「達 観」 6L74
因
29 どんなことで侮辱されても,平静にしている。 .33922 浅・他者・有隈「同 感」 30.63 子
62 たとえ突然死ぬようなことになっても,これまでの入生を悔いることはない、 .33404 深・自己・無限「諦 観」 46.72 64 トゥ分にとって大切ではない入でも,なりゆきでつきあっている. .40880 浅・他者・有限「1司 感」 56.83 第
10 28 かわいい動物であれば近寄って触れてみたりする。 .36064 浅・自然・有限「対 羅」 69.93
因
f 57 特に必要のない物でも,目につくと買っている. .30811 浅・もの・莉那「浪 費」 42.27
今のr1分に 今の自分に 全然あてはまらない 全くあてはまる
図2 各因子に含まれる質問項目と項目平均得点