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不登校(児)に対する認知 黒田 浩司

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(1)

不登校(児)に対する認知

黒田 浩司

1.はじめに

不登校(登校拒否)1)現象が教育心理学・臨床心理学の領域の重要課題となってもうすでに30 年以上が経つ。不登校状態にある児童・生徒は1996年度に文部省がまとめた学校基本調査によ れば年間30日以上学校を休んだ児童・生徒が小学校で約19,500人,中学校で約74,800人,全体 で約94,200人と多く,その発生率は中学校では約60人に一・人となっている(平成9年8月9日 付け読売新聞より)。この学校基本調査によれば不登校状態を示す児童・生徒は年々増加してお

り,不登校現象は一部の特殊な生徒の問題としては片づけられないような状況になっていると 一言える。さらに保健室への登校,適応指導教室やフリースクールなどに通所していることで登 校あつかいとなっている児童・生徒を加えるとその数はもっと多くなるものと推測される。

1995年度より,文部省はスクールカウンセラーの試験的運用をおこなっているが,このスクー ルカウンセラーの活用目的の最も主要なものはいじめと不登校問題への対応である。

このような不登校児の増加,その対応への必然性により,学校教員の不登校に関する研修の機 会も増え,不登校の理解やその援助の実際を著した書籍も数多く発行されている。書籍の中に は心理臨床家,カウンセラー,教員向けに書かれたものだけではなく,養護教諭や家族にむけ て書かれたものも少なくない。不登校状態にある子供が通うフリースクールやさまざまな援助 の実態もマスコミで取り上げられるようになっている。こうした現状により筆者は「不登校の 原因はすべて本人の性格的問題である」とか,「不登校児の家庭には問題がある」というような 以前には多かった極端な認識はずいぶんと少なくなっているものと考えていた。しかし,筆者 が担当している臨床心理学に関する講義・演習の中で学生から聞く意見・感想の中にはまだま だ不登校の原因や不登校児の性格,その家族の要因に関して偏った認知があることを知った。

こういった不登校観を周囲の人が持っているということは,不登校児が再び登校することを試 みようとした場合などに障害となる可能性があるであろう。本研究は不登校(児)がどのように 認知され,どのような不登校(児)に対する偏見や誤った認知が存在するのか,そしてその偏見 や過った認知を改善してゆくためにはどのような啓蒙教育活動が必要なのかを模索することを

目的としている。

不登校の原因や不登校児の性格についてどのようなイメージがもたれているかという研究は 少ない。いくつかおこなわれた研究は主に教師と父母のもつ不登校観について検討している。

例えば,小野(1972)は香川県の教師の登校拒否に関する考えを調べたところ,ほとんどがその 原因を本人の問題か,親の問題と考えていた。森田ら(1986)は149名の教師がとらえた不登校 の要因を分析したところ,575%が主に家庭の問題と答え,11.4%が主に子供自身に問題と答 えており,主に学校に問題と回答したのはわずか1.3%であり,主に社会的風潮や環境に問題と

『人文学科論集』31,PP.1−21.       ◎1998茨城大学人文学部(人文学部紀要)

(2)

回答したのは16.8%であった。野上ら(1983)は佐賀県で登校拒否の疫学的調査をおこない,そ の理由を子供と教師で比較したところ,子供は身体的な症状を理由としてあげているが,教師 の多くは家庭に問題があるとしていた。

教師と父母では不登校の原因の考え方に大きな差があることが,日野(1986)の調査によって 示されている。教師804名,保護者409名の回答を比較したところ,登校拒否の原因について保 護者はr友達ができない』rいじめられる』などの人間関係に原因があると考えているのに,教 師は人間関係にも問題があるとしながらも,r意志の弱さ』rなまけ』などの本人の性格に主た る原因を求めている。こういった認識の差は効果的と考える援助の方法の認識にも関係してお り,保護者はrなぜ,登校しないか理由を話し合う』ことが大切だと考えているのに対して,教 師はr家庭の雰囲気をよくすること』が第一とし,r親自身が登校拒否について勉強する』こと が必要であると考えていた。また,日本PTA全国協議会(1988)がおこなった調査では将来「登 校拒否は増える」と予測している人が父母2232名のうちの41.2%,教師1212名のうちの57.7%,

中学3年生1352名のうちの35.1%であり,その理由として相対的に父母はr学業成績のみで子 供を評価』r学校に暖かさが失われた』r学校でいじめなどがなくならない』r親が子供に能力以 上のものを期待』を多く上げており,相対的に教師は『母親の養育態度が過保護・過干渉』r家 族間のふれあいが少なくなった』r欲求不満に耐える力が弱くなった』r社会性を身につける機 会が減った』を多く上げていた。

一般の人の不登校に対するイメージを調査したものには白井(1992)がある。この調査は大学 生に登校拒否のケースを示し,登校拒否児に対するイメージを収集し,そこから尺度を作成し た。青年538名,大人360名,教師170名のデータで因子分析をおこなったところ,共感的態度 に関する因子と評価的態度に関する因子が抽出された。そして,教師は青年と大人よりも共感 的態度得点が有意に高かったが,その差はわずかであり,むしろ立場の違いによらず共感的態 度得点は低いという共通性が明らかにされた。また,評価的態度については教師が低かった。

白井(1992)はまた登校拒否児の接触度と共感的態度得点,評価的態度得点の関連を検討してい る。その結果,青年と大人では登校拒否児が「自分の家族にいた」と回答した群のみが有意に 共感的態度得点が高く,有意に評価的態度得点が低かった。教師は接触度による差は見られな

かった。

これらの研究は不登校現象について教師と保護者ではその原因の認知が異なり,教師は本人 の性格や家庭の問題に,保護者は学校・教育の問題に原因帰属している傾向を明らかにしてい る。白井(1992)は一般の人の不登校に対するイメージが共感的態度が乏しく教師よりもさらに 厳しいことを示唆している。

本研究では2つの調査を実施している。調査1では大学生に自由記述形式で不登校児が周囲 にいた経験や自らが不登校状態になった経験の有無,不登校の原因や不登校になる人の特徴と

してイメージするものを回答してもらった。これは一般の大学生が小学校,中学校,高等学校 時代に不登校現象とどの様なかかわりをもって,いま現在不登校現象についてどの様なイメー ジを有しているか,その実態を把握することを目的としている。次に調査H2)では調査1など

(3)

不登校(児)に対する認知       3

を参考に不登校(児)に対する認知の尺度を構成し,中学生,大学生,そして不登校児となんら かのかかわりをもっている人たち(以下,接触群と記述)の不登校に対するイメージを比較検 討する。不登校児がもっとも多いとされる中学校に通う生徒が不登校についてどの様なイメー ジを抱いているか,また,メンタルフレンドや治療的家庭教師,児童相談所や教育相談所の非 常勤職員などの立場で不登校児とかかわりをもっている人が不登校(児)に対してどの様なイ

メージを抱いているかを比較・検討する。

ll.研  究

1.調査1

<1>目的

本調査は大学生が不登校(児)についてどのような体験,意見を有しているのかを分析する。

<2>調査対象者

調査対象者となったのは茨城大学の学生である。筆者の担当する教養課程の心理学,専門課 程の心理学研究法1,人格心理学演習の受講者に調査票を配布し,回答を求めた。調査票配布 対象者は214名,有効な回答者は135名(不備なものは除く)であり,回収率は63.1%であった。

回答者の男女比は男性31名(22。9%),女1生86名(63!7%),無回答18名(13.3%),学年の比率は1 年生47名(34.8%),2年生48名(355%),3〜4年生40名(29.6%)であった。

<3>設問内容

設問内容は以下の6項目からなっている。

①あなたが小学校,中学校,高等学校在学中に同じクラスや同じ学校に登校拒否あるいは不登 校の人はいましたか。もしいらした方はなるべく具体的に(何年生の時か,男か女か,どれ

くらいの出席率だったか,など)記述して下さい。

②あなた自身が病気以外の理由で登校しなかった経験はありますか。ある方はその時の状況を 具体的に書いて下さい。

③あなたは小学校,中学校,高等学校在学中に「学校に行きたくない」と思ったことがありま すか。ある方はどういう時にそういう気持ちになったかをなるべく詳しく,具体的に記述し

て下さい。

④いわゆる登校拒否や不登校はなぜ発生するのだと思いますか。その原因はなんだと思うか自 由に記述して下さい。

⑤いわゆる登校拒否や不登校になる人はどのような人であると思いますか。推測でかまいませ んから,自由に記述してみてください。

⑥あなたがいわゆる登校拒否や不登校について知っていることについて記述して下さい。こん な本を読んだとか,何かの講義で聴いたとか,テレビでこういうのを見たとか,どんなこと でも結構ですからお書き下さい。

(4)

<4>結果

回答の記述内容がだいたい同じものをまとめて集計した。以下に質問内容ごとにその集計結 果を示す。

①不登校の人が周囲にいたかどうか。

集計結果をTable1−1.に示す。「いた」と回答した人は82.2%であり,8割以上の人が今までに 同じクラスや同じ学年に不登校の人がいたことを経験している。また,「不登校の人がいた」の は中学校が一番多く,さらに中学でも学年が高いほど「いた」と記された人数が多かった。性 別では小学校は男子の方が多いが,中学2〜3年および高校1年では女子の方が多かった。

Table1−1.不登校の人が周囲にいたか い た        111名(82.2%)

いない        20名(14.8%)

不明・わからない   4名(3。0%)

《学年と性別》

男    女 小学校   25名(22.5%)   小学校低学年      4名    1名 小学校高学年     10名   5名 中学校   97名(87.4%)   中学1年        8名   3名

中学2年       10名   17名 中学3年       13名   19名 高校    35名(315%)   高校1年        5名   10名

高校2年        7名    7名 高校3年        5名    3名

*複数回答のため小学校,中学校,高校の合計は全体と一致しない**学年と性別が明記してあったものについてのみの集計

②病気以外の理由での登校しなかった経験

集計結果をTable1−2.に示す。 rある」と回答した人は41.5%であり,約4割の人がある意味で のr不登校』を経験している。『不登校』の期間が明記されているものは多くないので厳密には わからないが,回答の表現から推測すると長期間にわたる不登校を経験したものは少ないよう

Table1−2不登校の経験があるか あ る        56名(41.5%)

な い        72名(53。3%)

無回答        7名(5.2%)

《不登校の理由:複数回答》

(a)なんとなく,特に理由なし      23名(41.1%)

(b)学校が嫌(勉強,部活,宿題受験行事など)    19名(33.9%)

(c)対人関係,いじめ       16名(28.6%)

(他人が恐く見えた,友達とうまくいかない,友達に 会いたくなかった,など)

(d)天候i      6名(10.7%)

(e)環境の変化(引っ越しなど)       6名(10.7%)

①担任との関係,担任が嫌い      4名(7.1%)

(g)その他       9名(16.1%)

(5)

不登校(児)に対する認知       5

である。不登校の理由として一番多かったのは「なんとなく,特に理由なし」の41.1%であり,

それに次いで「学校が嫌」「対人関係,いじめ」であった。「担任との関係,担任が嫌い」とい う理由は相対的に少なかった。③の「学校に行きたくないと思った理由」と比較すると,実際 に休む時には本人もよく理由がわからない状況であることがわかる。このことは臨床現場に来 談する不登校ケースの初期の状態としてよく表現される「なぜ学校に行けなくなったのかよく わからない」状態と共通しており,興味深い現象であると言える。

③「学校に行きたくない」と思った経験とその理由

集計結果をTable1−3.に示す。「ある」と回答した人は83.0%であり,8割以上の人が「学校に 行きたくない」と思ったことがある。その理由として一番多く上げられているのは「対人関係,

いじめ」であり,50%を越えている。人間関係のストレスが学校に行きたくないという気持ち を最も生じさせやすいようである。そのほかには,「勉強」「勉強以外の学校の生活」「学校が楽

しくない」という学校生活のストレスがあげられている。「なんとなく,面倒くさい」とか「天 候」というような理由がはっきりしなかった回答も認められた。現在の大学生が経験してきた 小学校,中学校,高校の生活がさまざまな意味でのストレスにあふれていたことが推測され,中 でも対人関係のストレスは特に高いようである。

Table1−3.「学校に行きたくない」と思ったことがあるか あ る        112名(83.0%)

な い        20名(14.8%)

無回答        3名(2.2%)

《「学校に行きたくない」理由:複数回答》

(a)対人関係,いじめ       59名(52。7%)

(友達との関係がギクシャクした,ケンカ)

(b)勉強(授業,宿題,テスト,受験,など)      29名(25.9%)

(c)疲れている(睡眠不足,だるい,朝起きれない)    20名(17.9%)

(d)勉強以外の学校生活(部活,行事,給食,など)    15名(13.4%)

(e)なんとなく,面倒くさい      14名(12.5%)

(f)天候       13名(11.6%)

(g)学校が楽しくない(充実感がない,意義がない,クラ   9名(8.0%)

スの雰囲気が嫌同じことの繰り返し,など)

(h)担任との関係,担任が嫌い       9名(8.0%)

(i)体調が悪い時       4名(3.6%)

①嫌なことがあった時,大失敗した時      3名(2.7%)

(k)その他      9名(8.0%)

④不登校が発生する原因が何であると思うか。

集計結果をTable 1−4.に示す。一番多かった回答は「対人関係,いじめ」であり,全回答者の 約%がこの理由を記述している。次いで多かったのは,「担任との関係,教師の問題」「本人の 性格,弱さ」そして,さまざまな学校のストレスであった。対人関係の問題が最も多く,さま

ざまな学校ストレスの多くが不登校の原因と推測されているのは②,③の結果と同じである。

しかし,「担任との関係,教師の問題」は②の自らの不登校や③の登校したくないと思った体験 とは異なって不登校の主要な原因のひとつであると認知されているようである。

(6)

Table1・4.不登校が発生する原因:複数回答

(a)対人関係,いじめ      89名(65.9%)

(仲間がいない,友人関係のもつれ,本当に自分のこ とを必要としてくれる人がいない,など)

(b)担任との関係,教師の問題(嫌な先生がいる,不当な   23名(17.0%)

理由で叱られる,子供を心からわかろうとしない,体 罰,など)

(c)学校・授業がつまらない,魅力がない        22名(163%)

(d)本人の性格・弱さ(わがまま,根性がない,やる気の  22名(16。3%)

なさ,怠け癖,主体性のなさ,など)

(e)学校システムの問題(教育の押しつけ,集団の中から  15名(11.1%)

外れることが許されない雰囲気,はみ出し者の排除 狭いクラスという社会がすべてのように考えられる

こと,など)

(0学校に自分の居場所がない(自分の存在価値を学校   13名(9.6%)

に見いだせない,疎外感を感じる,自分の生きる場が 確立できない,など)

(g)家庭環境の問題(親子関係,親の甘やかし,父親不   12名(8.9%)

在,など)

(h)ストレスからの自己防衛防衛反応         7名(5.2%)

(i)疲労,身体症状       5名(3.7%)

G)その他       24名(17.8%)

無回答・わからない       12名(8.8%)

⑤不登校になる人の特徴

集計結果をTable1−5.に示す。この回答は非常に多岐にわたった。比較的多く回答があったの は「過敏,気にし過ぎる」「意志・自己主張が弱い,内気」「自分に自信がない」「弱い,精神的 に弱い」などの脆弱なイメージ,「友達がいない」「対人関係が苦手」「いじめられている」など の対人関係に問題をもつイメージ,の2タイプが不登校になる人の特徴として推測されていた。

この他にも「枠にはまらない,協調性がない」「自己主張が強過ぎる」「意志が強過ぎる」など Table1−5.不登校になる人の特徴:複数回答

(a)過敏,気にし過ぎる偲いつめる,悩み過ぎる,傷つ  34名(25.2%)

きやすい,考え込みすぎる,など)

(b)意志・自己主張が弱い,内気      23名(17.0%)

(c)友達がいない      18名(13,3%)

(d)対人関係苦手       17名(12.3%)

(e)いじめられている      16名(11.6%)

(f)自分に自信がない       15名(11.1%)

(g)弱い,精神的に弱い       14名(10.4%)

(h)枠にはまらない,協調性がない       9名(6.7%)

(i)限定できない(誰もがなり得る)      8名(5.9%)

①完全主義理想が高い       7名(5.2%)

(k)まじめ過ぎる,物事を真に受け過ぎる         7名(5.2%)

(1)耐性が乏しい(甘えている)      6名(4.4%)

(m)自己主張が強過ぎる      5名(3.7%)

(n)意志が強過ぎる       4名(3.0%)

(o)臆病       4名(3.0%)

(p)孤独を感じている      4名(3.0%)

(q)学校の雰囲気・価値観が合わない      3名(2,2%)

(r)その他      55名(40.7%)

(s)無回答,わからない      8名(5.9%)

(7)

不登校(児)に対する認知       7

の非協調的イメージ,「完全主義,理想が高い」「まじめ過ぎる,物事を真に受け過ぎる」の完 全・強迫イメージ,が多くあげられた。

⑥不登校についての情報の入手経路

全回答者の59.3%がなんらかの形で不登校に関する情報を得ている。情報の入手先としては

「テレビ,ラジオ」が51.3%と最も多く,「本,雑誌」が13.8%,「講義,講演」が10.0%,「新聞」

が7.5%,であった。「テレビ,ラジオ」から情報を得ている比率が非常に高く,その内容に関す る記述(番組の中での取り上げられ方)も多様であった。マスメディアが不登校現象をどのよ うに取り上げているかによって一般の人の不登校に関する認知も大きく異なってくることが推 測された。

<5>考察

本調査の結果,いま現在大学生である人の多くが自分が小学校,中学校,高等学校時代に同じ クラスの人や同じ学校の人が不登校状態になることを経験していた。また,約4割の人が病気 以外の理由で登校しなかった,いわゆるr不登校状態』を経験していた。そして興味深いこと に,その休んだ理由としてもっとも多かったのが「なんとなく,特に理由なし」であった。学 校に行きたくないと思ったことがある人は8割以上であり,その理由としては「対人関係,いじ

め」が一番多かった。また,その他にも「勉強」「勉強以外の学校の生活」「学校が楽しくない」

などの多くの学校ストレスがあげられていた。大学生が小学校,中学校,高等学校で多くの学 校ストレスを経験してきたことが推測された。「担任との関係,教師の問題」は自らの不登校の        、

摎Rや,学校を休みたいと思った理由としてはあまりあげられなかった。

不登校の原因としてもっとも多くあげられたのは「対人関係,いじめ」であり,全回答者の約

%がこれをあげており,ついでは「担任との関係,教師の問題」「本人の性格,弱さ」があげら れている。「担任との関係,教師の問題」は回答者自身の不登校体験や学校に行きたくないと思 ったことの理由としてはあまりあげられていないが,一般的に不登校の原因の主要なものとし て認知されている様である。不登校になる人の性格としては脆弱なイメージ,対人関係に問題 のあるイメージ,協調性あないイメージ,完全・強迫のイメージが多くあげられた。不登校に なる人は何か特別な人であって,なんらかの「性格の問題」があると認知されている様である。

全般的に不登校はいじめをはじめとする対人関係の問題や種々の学校ストレスが原因と考え られるが,しかしすべての人が不登校になるわけでなく,不登校になる人はなんらかの性格の 問題がある,という認知がされている。これは以前に比べれば不登校(児)への認知は改善され たと言えるが,まだまだ不登校になる人は性格的な問題や家庭の問題があるといった認知もか なりされているようである。

2.調査II

<1>目的

本調査は「不登校の原因」「不登校になる人の特徴」「不登校への対応」について,どのよう な認知がされているのかを,中学生,大学生,そしてなんらかの形で不登校児と継続的なかか

(8)

わりをもっている大学院生など(接触群)について質問紙調査により比較・検討する。

<2>調査対象者

調査対象者は,中学生53名,大学生124名,接触群29名であった。

中学生は学習塾に通う中学生を対象とし,学習塾の講師に調査票の配布・回収を依頼した。大 学生は教養課程の心理学の講義の際に調査への協力を依頼し,配布・回収をしたものが82名,数 名の学生の友人・知人を通して調査への協力を依頼し,配布・回収をしたものが42名であった。

接触群に関しては,茨城大学大学院人文科学研究科または教育学研究科に所属する大学院生で 不登校児とのかかわりを継続的にもっている方や,その知人で同じような活動をしている方に 依頼した。接触群は,メンタルフレンド,治療的家庭教師,児童相談所や教育研究所などの非 常勤職員あるいはそのアシスタントをしている方であった。以下の分析はすべての項目に回答 のあった中学生37名(男性19名,女1生18名),大学生109名(男性34名,女性75名),接触群 24名(男性14名,女性10名),の合計170名(男性67名,女1生103名)についておこなった。

<3>調査項目

調査票は以下の項目により構成されている。

(a)不登校の原因

「不登校の原因」として調査1などを参考として15項目を想定した。回答者にはそれぞれの 項目について,不登校の原因としてありえる程度を「かなりありえない」「少しありえない」「少

しありえる」「かなりありえる」の4段階で評定することを求めた。

(b)不登校児の特徴

「不登校になる人の特徴」として調査1などを参考として16項目を想定した。回答者にはそ れそれの項目について,不登校になる人の特徴としてありえる程度を「かなりありえない」「少

しありえない」「少しありえる」「かなりありえる」の4段階で評定することを求めた。

(c)不登校児への対応

「不登校児への対応」として調査1などを参考として10項目を想定した。回答者にはそれぞ れの項目について,不登校児への対応として適切であると思う程度を「かなり不適切」「やや不 適切」「やや適切」「かなり適切」の4段階で評定することを求めた。

(d)不登校児とのかかわりの経験

仲のいい友達や同じクラスの人,兄弟などに不登校の人がいたかどうか7項目について「いな い」「いた」の2件法で回答を求めた。

<4>結果

[A]不登校(児)に対する認知の構造

まず,不登校の原因,不登校になる人の特徴,不登校への対応,のそれぞれの認知について因 子分析をおこなって,その構造を検討した。

(a)不登校の原因について

まず,回答を「かなりありえない」を1点,「少しありえない」を2点,「少しありえる」を3 点,「かなりありえる」を4点と得点化した。15項目それぞれの平均と標準偏差を算出した。そ

(9)

不登校(児)に対する認知       g

の結果を平均値の高い順にTable2−1a.に示す。 Table2−1a.には中学生,大学生,接触群の平均値と 標準偏差も示してある。平均値が最も高かったのは「(6)いじめ」であり,次は「(8)友人関係の もつれ」であった。次いでは「(10)家庭環境の問題」「(1)不登校(登校拒否)になる人の性格的 問題」などの不登校児本人や家庭の問題に関する項目の得点が高かった。「(14)受験戦争の激 化」や「(2)学歴を重視する社会の風潮(雰囲気)」などの学校や社会の要因に関する項目は相対 的に得点が低かった。

「(6)いじあ」と「(8)友人関係のもつれ」は平均値が3.83と3。59と35を越えており,回答に Table2−1乱不登校の原因

全体  中学生 大学生 接触群

(170名)(37名)(109名)(24名)

(6)いじめ      3。83  3.84  3.87  3。62

(0.41)   (0.37)   (0.39)   (049)

(8)友人関係のもつれ       3.59  3.59  3.61  3.50

(0.61)   (0.60)   (0.64)   (0.51)

(10)家庭環:境の問題      3.34  3.16  3.39  3.37

(0.77)   (0.93)   (0.72)   (0.71)

(1)不登校(登校拒否)になる人の性格的問題       3.31  3」00  3.41  3.29

(0.71)   (0.82)   (0.63)   (0.75)

(4)親や親代わりの人の育て方       3.28  281  3.43  333

(0.77)   (0.97)   (0.61)   (0.87)

(15)親や親代わりの人の性格的な問題      3.03  2.57  3.14  3.25

(0.80)   (0.80)   (0.74)   (0.85)

(7)子供たちが幼い頃からテレビゲームなどで一人で遊ぶこ 2.98  2.89  3♂00  3.04

@とが多く,友達を作ることが苦手になっていること   (0.80) (0.84) (0.77) (0.86)

(11)先生との関係のもつれ       2.95  2.84  2.96  3」04

(0.80)   (0.76)   (0.83)   (0.75)

(14)受験戦争の激化      2.93  259  302  3加

(0.85)   (1.01)   (0.80)   (0.62)

(2)学歴を重視する社会の風潮(雰囲気)         291  2.38  3」00  3.29

(0.89)   (1.09)   (0.81)   (0.55)

(3)学校が校則などで生徒たちを厳しく管理していること   2.82  2.46  2.85  3.29

(0.91)   (0.99)   (0.89)   (0.69)

(13)「個性尊重の教育」といわれているが,実際には学校でみ 2!79  241  2,85  308

@ んなが同じようであることを求められること      (0.94) (0.93) (0.95) (0.72)

(12)成績      2.66  251  2.73  254

(0.85)   (1.07)   (0.79)   (0.73)

(5)社会での価値観の多様化      Z62  2.35  2.63  2.96

(0.41)   (0.89)   (0.90)   (0.81)

(9)先生の忙しさ      2.48  2.38  245  2.79

(0.61)   (1.01)   (0.78)   (0.88)

(カッコ内は標準偏差)

(10)

著しい偏りがあると考えられたため因子分析を行う項目から除外した。残りの13項目について 因子分析をおこなった。因子分析は主因子法により,初期解の固有値1.0を基準として5因子を 採択し,バリマックス回転をおこなった。回転後の因子の構成と各項目の因子負荷量などはT㍗

ble宴1b.に示されている。第1因子は「(2)学歴を重視する社会の風潮(雰囲気)」「(4)受験戦争 の激化」などの項目から構成されており,学校・教育の問題因子と命名した。第H因子は「(4)

親や親代わりの人の育て方」「(10)家庭環境の問題」などの項目から構成されており,家庭の問 題因子と命名した。第皿因子は「(11)先生との関係のもつれ」「(9)先生の忙しさ」から構成され ており,先生の問題因子と命名した。第IV因子は「(1)不登校(登校拒否)になる人の性格的問 題」で構成されており,本人の性格の問題因子と命名した。第V因子は「(7)子供たちが幼い頃

Table2−1h不登校の原因についての因子分析

回転後の因子負荷量

I  H  皿  rv  v 共通性

(2)学歴を重視する社会の風潮(雰囲気) .75 .17   −.12   −一一   .24   .67

(14)受験戦争の激化 .66 一一一

@  .16   .23   .12   .53

(13)「個性尊重の教育」といわれているが,実際には学校 ,55 …  .31 −一一 ,31 .50 でみんなが同じようであることを求められること

(3)学校が校則などで生徒たちを厳しく管理しているこ

@と

♂49 .13   .32   −.12   −一一   .38

(5)社会での価値観の多様化 .47 .25   −一一   一.21   −一   .34

(12)成績 .42 一一一@  .25   .17   −一一   .28

(4)親や親代わりの人の育て方      … .83

…   .12  …   .71

(10)家庭環境の問題      … .70 .21  …  .14  .56

(15)親や親代わりの人の性格的な問題      .16 .70

…   …   一一一  .71

(11)先生との関係のもつれ      .12 .15

.59  −一一  一一一  .34

(9)先生の忙しさ         伽ゐ陥朝国潮

(・)不登校(登校擁)になる人の性格的問題   … 溢…[亜]

(7楓Q墾 裏蘇乞ど跡鉾窪農譜・14……一一一[148]

固有値        3.40 2。02 135 1ρ6 1.01 寄与率       26.1%15.6%104%8.2%7.8%

累積寄与率         41!ア%52.1%60.3%68刀%

(一一は因子負荷量の絶対値が0.10未満をあらわす)

(11)

不登校(児)に対する認知      11

からテレビゲームなどで一人で遊ぷことが多く,友達を作ることが苦手になっていること」で 構成されており,遊びの孤立化因子と命名した。

(b)不登校児の特徴について

不登校の原因と同じように,「かなりありえない」を1点,「少しありえない」を2点,「少し ありえる」を3点,「かなりありえる」を4点と得点化した。16項目それぞれの平均と標準偏差 を算出した。その結果を平均値の高い順にTable2−2乱に示す。 Table}2a.には中学生,大学生,接

Table2−2乱不登校児の特徴

全体  中学生 大学生 接触群

(170名)(37名)(109名)(24名)

(5)いじめられている人       3!74  3.81  3!78  3.46

(050)   (057)   (046)   (051)

(6)感じ方が繊細な人       349  3.00  3b4  358

(0.70)   (0.85)   (057)   (0意5)

(7)周囲に自分を理解してくれる人がいない人       346  3.27  3.50  358

(0.73)   (0.96)   (0.66)   (058)

(2)人の目をとても気にする人       327  2.95  3.37  3.33

(OB1)   (094)   (0.69)   (0.96)

(16)精神面で問題をもつ人       3.25  3.32  3.20  3.33

(0!78)   (0.88)   (0.72)   (087)

(13)一人でいろいろ考える人      3.16  2.78  3.33  2.96

(0.78)   (0。92)   (0.69)   (OJ69)

(3)まじめな人      Z88  2.35  3.07  2.83

(0.92)   (1α3)   (0.80)   (0.92)

(15)話しかけづらい雰囲気のある人       2フ2  3.03  2。69  2.42

(0.84)   (0.99)   (0!79)   (0!Z2)

(14)他の人とは変わった考え方をする人      2.66  262  2.71  Z50

(0.84)   (0β9)   (0.83)   (0!78)

(4)普通の人(どんな人でもなり得る)      2.61  1.84  277  3」D4

(0,96)   (0.99)   (0.87)   (0.69)

(11)自己主張が強い人       252  2.5g  Z47  Z62

(0.93)   (1」D9)   (094)   (0ば58)

(10)「不良」の人       251  2.g2  242  2.25

(0.94)   (1.09)   (0.88)   (0!74)

(9)がまんつよい人       2.12  1!78  2,20  2.29

(0.95)   (0.98)   (0ウ4)   (0.86)

(1)自分に自信のある人       1.95  2.32  1.88  1御

(0.89)   (1.06)   (0.85)   (0.64)

(8)明るい人       1.85  1.57  1.87  2.21

(0.79)   (0.80)   (0.81)   (0詔51)

(12)友達の多い人       149  1.27  150  1.7g

(052)   (0.61)   (0.59)   (0.66)

(カッコ内は標準偏差)

(12)

触群の平均値と標準偏差も示してある。平均値が最も高かったのは「(5)いじめられている人」

であり,次いで「(6)感じ方が繊細な人」「(7)周囲に自分を理解してくれる人がいない人」「(2)

人の目をとても気にする人」などが得点が高かった。逆に平均が一番低かったのは「(12)友達が 多い人」であり,次いで「(8)明るい人」「(1)自分に自信のある人」「(9)がまんつよい人」であ

った。

「(5)いじめられている人」は平均値が3.83と35を越え,「(8)友達が多い人」は平均値が148 と1.5を下回り,回答に著しい偏りがあると考えられたため因子分析を行う項目から除外した。

残りの14項目について因子分析をおこなった。因子分析は主因子法により,初期解の固有値1.0 を基準として4因子を採択し,バリマックス回転をおこなった。回転後の因子の構成と各項目 の因子負荷量などはTable2−2b.に示されている。第1因子は「(8)明るい人」「(9)がまんつよい 人」「(4)普通の人(誰でもなりうる)」などの項目から構成されており,普通の人因子と命名し た。第H因子は「(7)周囲に自分を理解してくれる人がいない人」「(2)人の目をとても気にする 人」などの項目から構成されており,過敏で理解者がいない人因子と命名した。第皿因子は

Table}2b.不登校の特徴についての因子分析

回転後の因子負荷量

1

n  皿  w 共通性

(8)明るい人      .64 _  一一一 ,17 43

(9)がまんつよい人      .60 .13 …  .16 41

(4)普通の人(どんな人でもなり得る)         .46 一 一藺 一一一

@ 一一一  .22

(7)周囲に自分を理解してくれる人がいない人      … .60

.22  …   .41

(2)人の目をとても気にする人       [詞 56 .12  …  .36

(3)まじあな人      .21 .56

一.17  …   .54

(6)感じ方が繊細な人       … 50

…   一一一  .31

(14)他の人とは変わった考え方をする人        … .12

.72  .25  .61

(・3)一人でいろいろ考える人      [董]認認 … 部

(16)精神面で問題をもっ人       一.17 .21 .37 。17 .23

(1)自分に自信のある人       .24 −一 …  .57 .3g

(11)自己主張が強い人      .33 _  .27 .4g !犯

(15)話しかけづらい雰囲気のある人      一.23 .33 .24 46 !B

(10)「不良」の人      _  一_ .18 32 .23 固有値        3.01 1.91 1bO 1価 寄与率       21.8%13.6%115%75%

累積寄与率         355%46.9%544%

(一一一は因子負荷量の絶対値が0.10未満をあらわす)

(13)

不登校(児)に対する認知       13

「(14)他の人とは変わった考え方をする人」「(13)一人でいろいろ考える人」から構成されてお り,特殊で問題がある人因子と命名した。第IV因子は「(1)自分に自信がある人」「(11)自己主張 が強い人」で構成されており,周囲と協調しない人因子と命名した。

(c)不登校児への対応について

回答を,「かなり不適切」を1点,「やや不適切」を2点,「やや適切」を3点,「かなり適切」

を4点と得点化した。10項目それぞれの平均と標準偏差を算出した。その結果を平均値の高い 順にTable2−3a.に示す。 Table}3 a.には中学生,大学生,接触群の平均値と標準偏差も示してあ

る。平均値が最も高かったのは「(2)学校に行かないことを不登校(登校拒否)の人の周りの人 が責めないようにする」であり,次いで「(4)不登校(登校拒否)について相談できる場所を紹 介する」「(6)学校に行かないことで自分を責めないように,学校に行けない自分を受け入れられ るようなサポートをする」であった。逆に平均が最も低かったのは,「(7)早く学校に行けるよう に,迎えにいったり,学校に連れていったりする」,次いで「(10)保健室への登校を勧める」「(1)

学校に行けなくなることは結局は本人のために良くないので,学校に行くように励ます」であ

った。

すべての項目の平均値が1.5〜3.5の間に位置したので10項目すべてについて因子分析を行っ Table2−3乱不登校への対応

全体  中学生 大学生 接触群

(170名)(37名)(109名)(24名)

(2)学校に行かないことを不登校(登校拒否)の人の周りの 3.40  3.19  3!13  3.58 人が責めないようにする      (0!73) (0.84) (0!71) (058)

(4)不登校(登校拒否)について相談できる場所を紹介する  3.27  2.89  3.37  3.42

(0.78)   (1。05)   (0.65)   (0.72)

(6)学校に行かないことで自分を責あないように,学校に行 3.25  2.86  3.28  358 けない自分を受け入れられるようなサポートをする   (0.82) (0.98) (0.78) (0.50)

(8)不登校(登校拒否)の人の周りの人たちに不登校(登校 3.16  2.96  3.17  3.54 拒否)についての理解を深めてもらう        (0.81) (0.92) (0!79) (059)

(5)学校にこだわらない生き方を本人と一緒に探す     3.04  2.59  3.12  3.38

(0.87)   (0.96)   (0.85)   (0.58)

(9)不登校(登校拒否)の人達が集まるための場所(フリー 2.91  2.16  3.13  3.08 スクール・適応教室など)を紹介する         (0.87) (0.96) (0.73) (0.65)

(3)不登校(登校拒否)の人が自分から何かし始めるまで待 2.78  2、19  2β6  3.33

っ      (0.84)   (0.97)   (0!73)   (056)

(1)学校に行けなくなることは結局は本人のためには良くな 2.39  3♂00  230  1.83 いので,学校に行くように励ます      (0.89) (0.91) (0.81) (0.64)

(10)保健室への登校を勧める      2.29  2.19  Z23  254

(0.77)   (1」C吃)   (0.70)   (0.59)

(7)早く学校に行けるように,迎えにいったり,学校に連れ 2.15  265  202  1.96 ていったりする       (0.91) (1.11) (0.79) (0.81)

(カッコ内は標準偏差)

(14)

た。因子分析は主因子法により,初期解の固有値1.0を基準として4因子を採択し,バリマック ス回転をおこなった。回転後の因子の構成と各項目の因子負荷量などはTable23b.に示されて いる。第1因子は「(7)早く学校に行けるように,迎えにいったり,学校に連れていったりする」

「(1)学校に行けなくなることは結局本人のためには良くないので,学校に行くように励ます」の 項目から構成されており,登校を促進する因子と命名した。第H因子は「(4)不登校(登校拒否)

について相談できる場所を紹介する」「(9)不登校(登校拒否)の人達が集まる場所(フリース クール・適応教室など)を紹介する」の項目から構成されており,相談・援助機関を紹介する 因子と命名した。第皿因子は「(8)不登校(登校拒否)の人の周りの人たちに不登校(登校拒否)

についての理解を深めてもらう」「(2)学校に行かないことを不登校(登校拒否)の人の周りの人 が責めないようにする」から構成されており,不登校状態を受容する因子と命名した。第IV因 子は「(5)学校にこだわらない生き方を本人と一緒に探す」で構成されており,学校にこだわら ない生き方因子と命名した。

Table2−3b.不登校への対応についての因子分析

回転後の因子負荷量

I   H 皿  IV 共通性

(7)早く学校に行けるように,迎えにいったり,学校に .84 、11 …  …  

@連れていったりする

(1)学校に行けなくなることは結局は本人のためには良 図  … 一.12 −.11 32

@ くないので,学校に行くよっに励ます

(4)不登校(登校拒否)について相談できる場所を紹介  …  !76 20  −一  砧 する

(9)不登校(登校拒否)の人達が集まるための場所(フ ー.15 印

@ リースクール・適応教室など)を紹介する

一一一

.15  .41

(8)鷺麓藩湾顯!て雛鍵継緒ら為に不登校…} 。52

.19  .31

(2)学校に行かないことを不登校(登校拒否)の人の周 …  .13

@ りの人が責めないようにする

50 一一一@ .27

(10)保健室への登校を勧める       …  … ♂47

一.13  .24

(6)学校に行かないことで自分を責めないように,学校に  …  23

@行けない自分を受け入れられるよっなサポートをする

.40

.28  .30

(5)学校にこだわらない生き方を本人と一緒に探す   一.14 .19 .11 匡]四

(3)不登校(登校拒否)の人が自分から何かし始めるま 一.33 −一一 .28 .19 .23

@で待つ

固有値       2.65 141 1.18 1ρ4 寄与率       26.5%14.1%11B%104%

累積寄与率         40.5%524%62.7%

(…は因子負荷量の絶対値が0.10未満をあらわす)

(15)

不登校(児)に対する認知       15

[B]中学生,大学生,接触群による不登校に対する認知の差異

[A】で想定されたさまざまな不登校の原因,不登校になる人の特徴,不登校への対応,に関す る認知が中学生,大学生,接触群で差があるかどうかを検討する。まず,それぞれの因子分析 結果に基づいて各因子の因子得点が算出され,各群ごとにその平均と標準偏差が算出された。

また,3群間の差を統計的に検定するために一元配置の分散分析をおこない,多重比較には TurkyのHSDをもちいた。

(a)不登校の原因について

各因子得点の平均値と標準偏差,分散分析の結果をTable2−4.に示す。

Table2−4不登校の原因に関する3群の各因子得点の平均と標準偏差 中学生 大学生 接触群 分散分析

(37名)(109名)(24名)(有意水準)

③学校の・教育の問題     一〇.56  0.10  0.41  p<0.01

(1.15) (0.94) (0.64)

⑤家庭環境の問題      一〇.54  0.15  0.16  p<0.01

(1.20) (0.84) (1・10)

@先生の問題        0.03  −0.02  0.04   ns

(1.18) (0.96) (0.91)

⑥本人の性格の問題     一〇。28  0.15  −0.27 p<0.05

(1.12) (0.93) (1・00)

⑨遊びの孤立化       一〇.07 −0ρ2 0.19  ns

(1.00) (1.01) (0・92)

(カッコ内は標準偏差)

有意差がみられたのは@学校・教育の問題⑤家庭環境の問題⑥本人の性格の問題であった。

多重比較の結果,③学校・教育の問題は,接触群〉大学生〉中学生の関係があり,接触群は学 校・教育の問題を原因として考えており,中学生はそう考えていない。⑤家庭環境の問題は接 触群〉中学生および大学生〉中学生の関係があり,中学生は他の2群に比較して家庭の問題が 原因とは考えていない。⑥本人の性格の問題については大学生〉中学生の関係があり,中学生

に比較して大学生は本人の性格が原因と認知している傾向が認められた。中学生の特徴として は,③学校・教育の問題とも,⑤家庭環境の問題とも,⑥本人の性格の問題とも認知しておら ず,相対的に原因を同定していないようである。接触群の特徴としては③学校・教育の問題が 原因と一番強く認知しており,ついで⑤家庭環境の問題と認知する傾向が強く,◎本人の性格 が原因と認知しない傾向が強かった。大学生はあまりはっきりした傾向はないが,相対的に⑤ 家庭環境の問題と◎本人の性格の問題と認知している傾向があった。

(b)不登校児の特徴について

各因子得点の平均値と標準偏差,分散分析の結果をTable2−5.に示す。有意差が認められたの は,①普通の人,⑧過敏で理解者がいない人,①周囲と協調しない人,であった。多重比較の 結果,①普通の人という認知は,接触群〉中学生および大学生〉中学生の関係があり,中学生 は不登校になる人は普通の人ではないと認知している程度が顕著であった。⑧過敏で理解者が

(16)

Table2−5.不登校児の特徴に関する3群の各因子得点の平均と標準偏差 中学生 大学生 接触群 分散分析

(37名)(109名)(24名)(有意水準)

①普通の人         一〇石8  0.16  032  P<0』1

(1.12)   (0,93)   (0.62)

⑧過敏で理解者がいない人   {)54  0.19  −0.01 p<OO1

(1.34)   (0.77)   (1.05)

⑪特殊で問題のある人    一〇〇9  005  −007  ns

(1.21)   (0.91)   (1.09)

①周囲と協調しない人     0.71  −0.18 {).30 p<0.01

(1.17)   (0.91)   (0.57)

(カッコ内は標準偏差)

いない人という認知は大学生〉中学生の関係があった。①周囲と協調しない人という認知は,

中学生〉大学生および中学生〉接触群の関係があり中学生は不登校になる人は①周囲と協調し ない(できない)人であると認知していた。

(c)不登校児への対応について

各因子得点の平均値と標準偏差,分散分析の結果をTable2−6.に示す。

Table2−6.不登校児への援助に関する3群の各因子得点の平均と標準偏差 中学生 大学生 接触群 分散分析

(37名)(109名)(24名)(有意水準)

①登校を促進する      0.65  −0.14 −0.38 p<0.01

(1.20)   (0.86)   (0.87)

⑮相談・援助機関を紹介する  一〇.56  0.18  0.04  p<0つ1

(1.23)   (0.86)   (0.93)

①不登校状態を受容する    a33  ゆρ2  0.60  p<0.01

(1.18)   (0.94)   (0.66)

⑬学校にこだわらない生き方  一〇.35  0.05  0.30  p<0価

(1.03)   (1.02)   (0.69)

(カッコ内は標準偏差)

すべての因子について有意差が認められた。①登校を促進するというのは,中学生〉大学生,中 学生〉接触群の関係があり,中学生ほど①登校を促進することが適切と認知していた。⑭相談・

援助機関を紹介するというのは,大学生〉中学生および接触群〉中学生の関係があり,中学生 は相談・援助機関を紹介することが適切とはあまり認知していない。①不登校状態を受容する というのは接触群〉中学生,接触群〉大学生の関係があり,接触群ほど①不登校状態を受容す ることが適切と認知していた。⑬学校にこだわらない生き方についても,接触群〉中学生,接 触群〉大学生の関係があり,接触群の方が⑳学校にこだわらない生き方が適切と認知していた。

(17)

不登校(児)に対する認知      17

[C]中学生,大学生における不登校児との接触体験の影響について

本研究では中学生,大学生にも仲のいい友達や同じクラスの人,兄弟などに不登校の人がいた かどうかについて尋ねている。仲のいい友達にいる(いた)かいないか,兄または姉にいる(い た)かいないか,弟または妹にいる(いた)かいないか,によって不登校に対する認知が若干 違う傾向が認められたが,それぞれ「いる(いた)」と回答した人数が少なく,本研究だけでは 充分な検討はできなかった。同じクラスや同じ学年に不登校の人がいる(いた)かいないかに

よっては(この場合には,仲のいい友達は除いてある)差は見られなかった。

<5>考察

まず不登校(児)に対する認知は,以前と比較して全体的に不登校児の実状に近いものになっ てきているものと思われる。不登校の原因として得点が高かった項目は「(6)いじめ」「(8)対人 関係のもつれ」であり,不登校児への対応で得点が高かったのは「(2)学校に行かないことを不 登校(登校拒否)の人の周りの人が責めないようにする」「(4)不登校(登校拒否)について相談 できる場所を紹介する」「(6)学校に行かないことで自分を責めないように,学校に行けない自分 を受け入れられるようにサポートする」であり,「(7)早く学校に行けるように,迎えにいった り,学校に連れていったりする」などの登校強制的あるいは登校促進的な援助は得点が低かっ た。不登校が本人や家庭の問題だけで生じるのではなく,学校における対人関係の問題が大き く関与してると推測されることや,不登校への対応として登校強制的な手法は逆効果であり,不 登校状態をある程度受容することが必要であることが認められるようになってきているものと 思われる。

しかしその一方で,不登校の原因としては「(10)家庭環境の問題」「(1)不登校(登校拒否)に なる人の性格の問題」の方が,「(14)受験戦争の激化」や「(2)学歴を重視する社会の風潮(雰囲 気)」などの学校や社会の要因よりも平均値が高く,不登校になる人は問題のある特殊な人であ

るといったふうに認知する傾向も強かった。

また,不登校(児)に対する認知は,中学生,大学生,接触群で大きく異なっていた。相対的 に中学生は不登校の原因を@学校・教育の問題,⑤家庭環境の問題とはあまり考えておらず,不 登校になる人は①普通の人ではなく,⑧過敏で理解者がいない人でもなく,①周囲と協調しな

い人であると考えており,不登校児への援助としては,①登校を促進することが適切であり,⑭ 相談・援助機関を紹介することや,①不登校状態を受容することおよび⑬学校にこだわらない 生き方を考えることは適切でないと考えていた。これは大学生,接触群に比較して中学生が不 登校児に対して厳しい見方をしていることを示している。不登校児と同じ状況にある中学生が 不登校児に対して厳しい見方をしていることは充分に検討する必要があるであろう。大学生は 不登校の原因,不登校児の特徴,不登校児への援助のそれぞれについてそれほどはっきりした 傾向は見られなかった。接触群は不登校の原因として③学校・教育の問題を考えており,⑥本 人の性格の問題とはあまり考えていない。また,不登校になる人の特徴として,①普通の人で あって,①周囲と協調しない人ではないと考えていた。不登校児に対する援助としては①不登 校状態を受容することが適切であり,①登校を促進することが適切ではないと考えていた。接

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