近年の文献に報告された登校拒否症例(300例)に関 する疫学的研究
登校拒否の成因と予後を左右する要因の分析 第1編登校拒否児の状態像
谷 川 幸 代*・鳥 谷 幸 枝**・向 井幸 生
(1982年10月31日受理)
1 は じ め に
近年, 気登校拒否 が,学校精神衛生の分野で大きな問題となっています。登校拒否とは,まわ りにそれを妨げる 明確で客観的な原因 が無いのに,学校にどうしても行けないといった状態を 言い,その児童生徒を登校拒否に陥らせた背景的要因,或いはその心理機制として,様々のものが 考えられています。
登校拒否とは一般には,神経症的登校拒否をさしますが,表1−1に示しましたように,本研究 におきましては,狭義の登校拒否に限定せずに,学校に行かないもの全般を広く取り扱うこととし
ました。
本研究の目的は,本邦の近年の文献に報告された300例の登校拒否症例について,登校拒否の状 態像,成因,予後を左右する要因についての分 析を行なうことにあります。登校拒否の予防と,
表1−1 登校拒否のタイプ別分類 より効果的な治療法の確立に資することを,ね(小泉英二による,一部改変。)
らいとしています。
A 優等生の息切れ型:親からの心
① 神 経 症 的
@登 校 拒 否
多プ 理的独立の挫折,自己内の葛藤 ノ起因するものが多い。
この第1編においては,まず最初に, 登校
(狭義の登校拒否)
夢手 社会的情緒的に未成熟で,困難 竡ク敗をさけて,安全な家庭内 ノ逃避する。
拒否の状態像 についての分析を行ないます。
謔Q編(谷川ほか)において澄校拒否の成因
精神分裂病・うつ病。神経症な についての分析,第3編(谷川ほか)において
②精神障害によるもの どの発症の結果,登校拒否を起
こすもの。 登校拒否の予後を左右する要因 についての
③ 怠 学
学校や勉強が嫌で時折休む,サ {ル,その結果,不適応がこう カて非行化したりする。①とち
分析を行ないます。
がい,家庭にとじこもらない。
④ 積極的意図的
@登 校 拒 否
学校に行く意味を認めず,自分 フ好きな方向をえらんで学校を
」脱する。
∬ 研究対象と方法
⑤ 一過性の登校拒否
転校・病気・家庭の不和など,
セらかな一時的原因があり,そ 黷ェ解消すると登校するように ネるもの。
精神医学,学校保健,小児保健,臨床心理,
瘧Q児教育,生活指導等の諸領域における本邦
⑥分 類 不 能 ①〜⑤にあてはまらないもの。 の文献(雑誌及び単行本)のうち,1959年か
*茨城県旭村立旭中学校,**鳥取県会見町立会見南部中学校
ら1981年の間に刊行されたものから,目につく限りの登校拒否報告症例を収集し,その中で比較 的記載の充分な症例(300例)を選別し,これを研究対象としました。
上記の300例を小泉(1979)の登校拒否の分類法(著者が,一部改変)に従って分類し,その 上で,文献の記載内容に従って,①状態像の分析,②成因の分析,③予後を左右する要因の分析を 行ないました(この第1編においては,①の結果を報告します)。
表1−2 登校拒否児のタイプ別・性別分布 皿 結果と考察
別登校拒否の
男 女 計 1)登校拒否児のタイプ別分類 登神 Aタイプ 22i10.8) 12
i12.4) 34
i11.3) 小泉(1979)の分類(表1−1)に従って,タ
校経
聡ヌ Bタイプ i79.3)161 70
i72.2) 231
i77.0) イブ別に頻度を調べますと,300例のうち,神経症 否的 計 183
i90.1) 82
i84.5) 265
i88.3)
的登校拒否Aタイプ(優等生の息切れ型,以下Aタ 精 神 障 害 2i1.0) (1.1) (1.1) イブと略)が34例(11.3%),神経症的登校拒否B
^イプ(社会的・情緒的に未成熟なタイプ,以下B 怠 学 5i2.5) 8i8.2) 13
i4.3) タイプと略)が231例(77.0%),精神障害による
積極的意図的登 校 拒 否 5 i2.5) ( 2
Q.1) 7
i2.3) ものが3例(1.0%),怠学が13例(4.3%),積 一過性の登校拒否 4
i2.0) (1.1) (1.1) 極的意図的登校拒否が7例(2.3%),一過性の登 分 類 不 能 4i2.0) 3i3.1) 7i2.3) 校拒否が5例(1.7%)でした(表1−2)。
大低の病気,殊に精神神経疾患についてはその重
計 203 97 300 症度はさまざまであり,1例の重症患者の周辺には,
( )内は% その何倍にも及ぶ軽症の患者がいるのが普通です。
このような観点から,登校拒否児のタイプ別分布(表 1−2)を眺めますと,』過性の登校拒否 が少なすぎるように思われます。しかし,これは文 献に報告された登校拒否症例のみを研究対象としていることによると思われます。何故なら,どち
らかと言えば,こ じれてしまった重 表1−3 登校拒否児の身体症状
(重複あり) 症の登校拒否症例
身体症状 腹 頭 悪 胸 倦 顔 頻 発 不 食 四 動 め 不 そ 特 記
@痛 怠 の方が,より多く
例 ∵?内鶴 欲肢 ま のに載 文献に報告される
登校拒否 数
下雲嘔苦護悪 不 なな 労
であろうと考えら
のタイプ 痢 感 吐 悶 性 い 尿 熱 眠 振 痛 悸 い 安 他 し し
れるからです。
灘擁 Aタイプ aタイプ
34 Q31
6 5 1 6 2 1 2 1 2 6 5(17β)(147)( 2.9)(17.6)( 5.9)( 29) ( 5.9)( 2.9) ( 5.9)(17.6)(14.7)
T5 52 30 8 13 10 10 8 7 6 6 5 3 1 34 42 52⑫3B)(22S)(13.0)(3.5)( 5.6)(4.3)(4.3)( 3.5)(3.0)(2「6)(2.6)( 2.2)( 1.3)(04)(14.7)(18.2)(22.5) 2)登校拒否児
否的 計 265 61 57 31 14 15 11 10 10 8 6 6 5 3 1 36 48 57(230)(215)(1L7)( 5.3)( 57)( 42)( 38)( 3.8)( 3.0)( 2.3)( 2.3)( 1.9)( 1.1)( 04)(13.6)(18.1)(21,5)
の身体症状
精 神 障 害 3 1 2 1
i33.3) (667)(33.3) 登校拒否児は,
怠 学 13 1 1 10 2( 7.7)( 77) (76.9)(15.4)
登校拒否が始まる
積極的意図的 2 1 1 5 登 校 拒 否
セ嚢搭審
75
⑫8.6)(143) (14.3) (71,4)
M。8)⑫。ゐ)葡 ⑳1) 以前,或いは,始
分 類 不 能 7 。41) (1。1)(71象) まってから,さま
計 300 66 61 33 15 15 11 10 10 8 6 6 5 4 1 38 65 65(22ρ)(203)(1L〔D( 5.0)( 5.0)( 3.7)( 3.3)( 3.3)( 2,7)( 2ρ)( 2.0)( 1.7)( 1.3)( 0.3)(12.7)(21.7)(21.7)
ざまな身体症状を
( )内は% 示します。それら
の症状としては,表1−3に示しましたように,①腹痛・下痢,②頭痛・頭重感,③悪心昭区吐,④胸 内苦悶,⑤倦怠感・易疲労性が多く見られました。その他にも, 顔色が悪い 瀕尿 発熱
不眠 などがみ られました。
表1−4 身体症状のみられる時刻
(重複あり) このような訴え
身体症状 フ起こる
起 登 授 給 外 午 に学 夕 外母 し母 夜 来 時 記
@ 出 出校 出 か がありますと,通
吋 時刻
床匿業食喜前欝 袈緒客鰹 常,母親は,学校
数登校拒否
と と場 と と と を休ませ医師に受
のタイプ 時 前 中 時 き 中 き面 刻 きが きが き 時 定 し
登神 Aタイプ 34 7 10 1 1 23(20.6) (29.4) ( 2,9) ( 2.9)(67.4) 診させます。とこ
繧 Bタイプ 231
43 73 4 3 1 2 5 2 1 1 2 2 1 1 128(18.6) (31.6)( 1.7) ( L3) ( 0.4)( 0.9)( 22)( 0.9) ( 0.4)( 0.4)( 0.9) ( 0.9) ( 4B)(554) うが残念なことに,
否的 計 265
50 83 4 4 1 2 5 2 1 1 2 2 12 151(18.9)(3L3)( 1.5) ( L5)( 0.4)( 0,8)( 1.9)( 0.8)( 0.4)( 0.4)( 0.8)( 0.8)( 4.5) (57.0)
日本においては,
精 神 障 害 3 1 2
i33.3) (66.7) 小児の過半数が,
怠 学 マ極的意図的
13 V
1 12
@ ( 7.7) (92.3)
P 6 (小児科や精神神経
登 校 拒 否 黶@過 性 の
(14.3) (85.7)
Q 2 2 科の専門医ではな
登 校 拒 否 ェ 類 不 能
57
(40.0) (40.Qゆ (40.0)
@i 1 6
i143) ( 14.3) (85.7)
く)一般内科医に受
計 300 53 86 6 4 1 3 5 2 1 1 2 2 1 2 179
i17.7) (28.7)( 2.0) ( 1.3) ( 0.3) ( 1.0) ( 1.7) ( 0.6) ( 0.3) ( 0.3) ( 0.6) ( 0.6) ( 4.0) (59.7) 診します。内科医
( )内は% は成人の内科的疾 患を専門としてい ますので,登校拒否児の 表1−5 登校拒否児の親への態度
訴えの多くが心因性のも 一登校拒否の話題に対して一
(重複あり) のであることがしばしば
親への態度 反 逃 拒 従 普 依 そ 記 見落とされます。そして,
例
o校拒否 数のタイプ
抗避否 存の藝的 的 的 順 通 的 他 し
例えば喰胃炎 というよ
、な診断のもとに,漫然 登神 Aタイプ 34 15 1 0 3 2 1 10
i44.1)(29.4)( 8.8) ( 5.9)( 2.9)(29.4) と長期にわたる投薬を受 校経
聡ヌ Bタイプ 231
86 37 27 6 35 2 75
i37.2)(16.0)(11.7)( 2。6) (15.2)( 0.9)(32.5) けることになってしまい 否的 計 265 101 47 30 6 37 3 85
i38.1)(17.7)(11.3)( 2.3) (14.0)( 1.1)(32.1) ます。子どもはそれを良
雲神腎 313 1 1 1
@ (33.3)(33.3) (33.3)
@6 1 6
i46.2) ( 7.7) (46.2)
いことに 疾病 の中に ヲ避してしまいます。こ
フような過程を経て,登 積極的意図的 2 2 1 2
登 校 拒否 7 (28.6)(28.6)(工4.3) (28.6) 校拒否が長期化していく
藍縷篭審 5 1 1 1 3
i20.0) (20.0) (20。0) (60.0) ことになります。このよ
分 類不能 7 2 1 4
i28.6) (14.3) (57.1) うな例は, 医原性登校拒 計 300 1 12 50 34 7 38 3 101
i37.3)(16。7)(11.3)( 2.3) (12.7)( 1.0)(33.7)
否 とも呼ばれているよ
( )内は% うです(冨田,1978)。
注)親への態度の分類は真仁田昭の分類にならった。 また,これらの症状は,
表1−4に示しましたよ うに,朝(登校直前)にみられることが多いようです。
登校拒否児における身体症状とは,学校に行きたくないための理由づけであると考えられます。
これらのことを理由とすることで,自分自身と周囲の人々を形式的には納得させることが可能です。
本格的に登校拒否が長期化してしまうと,身体的な訴えが消失することが多く,これは登校しな くても良いという体制ができ上がると病気に逃げ込む必要が無くなるからであるとも言われていま す(平井,1978)。
3)登校拒否児の親へ 表1−6 登校拒否児の親への態度 の態度
登校拒否をするように
一一ハ的接触において一
(重複あり) なると,親は子どもの行
親への態度 反 逃 拒 従 普 依 そ 記 動が納得できず,その理 登校拒否例 抗避否 存の馨的 的 的 順 通 的 他 し
由を尋ねたり,何とか学 Zに行かせようと,学校
登神 Aタイプ 34 4 1 1 8 2 7 15
i11.8)( 2.9)( 2.9)(23.5)( 5.9)(20.6) (44.1) へ行かせることにのみこ 校経
聡ヌ Bタイプ 231
37 5 7 20 12 95 5 79
曹U。0)( 22)( 3.0)( &7)( 5.2)(41.1)( 2.2)(34.2) だわり,子どもに好きな 否的 計 265 41 6 8 28 14 102 5 94
i15.5)( 2.3)( 3.0)(10.6)( 5.3)(38.5)( 1.9)(35.8) ものを買い与えたり,頼 精神 障 害
モ 学 マ極的意図的
3137 1 1 1
@ (33.3)(33.3) (33.3)
@3 2 1 7
i23.1) (15.4) ( 7.7) (53.8)
@2 1 1 1 3
み込んだり,叱ってみた 閧オます。また,親は,
ヌうしてこのような子ど
登校拒否 (28.6) (14.3) (14.3)(14.3) (42.9) もが生まれたんだろうと
一過性 の
o 校拒 否 5 1 2 1
i20.0) (40.0) (20.0) 考え込んだりします。
分類不能 7 1 1 1 4
i14.3) (14.3)(14.3) (57.1) このような登校拒否に 計 300 48 6 11 29 17 107 5 110
i16.0)( 2.0)( 3.7)( 9.7)( 5.7)(35.7)( 1.7)(36.7)
関する親の態度に対して,
登校拒否児がどのような
( )内は%
注)親への態度の分類は真仁田昭の分類にならった。 態度を示すのかをまとめ たのが表1−5です。11%〕o
(37.2%)が反抗的,5%o(16.7%)が逃避的,3%oo(12.7%)が依存的,3鰯o(11.3%)が拒否 的な態度をとるとの結果が得られました。
親が登校拒否を話題としたとき,触れられたくない問題に触れられたとして感情的になり,反抗 的・逃避的・拒否的な態度をとります。つまり,彼らにとって,登校拒否の問題に関しては,親は 味方であるというよりは,好ましからざる相手と感じられてしまうのです。
次に,登校拒否を話題としない一般的接触においては,彼らは親に,どのような態度をとるのかを 示したのが表1−6です。依存的な態度を示すものが,1%o(35.7%)と圧倒的に多いようです。
登校拒否の話題に対する親への態度 と覧一般的接触における親への態度 との間には,明ら かな相違がみられます。登校拒否を話題とした場合に比し,依存的な態度を示すものが,%)(12.7
%)から1%oo(35.7%)へと増加し,逆に,反抗的態度を示すものは,1%oo(37.3%)から4%oo
(16.0%)へと,逃避的態度を示すものは,5%60(16.7%)から%oo(2.0%)へと,拒否的態度を示 すものは,3%o(11.3%)から%o(3.7%)へと,それぞれ減少しています。
「これらの傾向は,彼らの対人関係の一般的な傾向であって,相手が自分にとって敵か味方か,
そして敵である場合には,脅威を受けるか与えられるか,味方である場合には,依存するかさせる かが,彼らの対人関係の発想になりやすい。」と真仁田(1970)は述べています。
表1−7 登校拒否児の初診時における登校への構え
(重複あり)
登校への 何 途 自 登 自 起 登 そ 記 注1)登校への構えの分 構え と 宅校毒 校 類は,真仁田昭の分
例 中 の の ぐ 床 載 ず 意か 玄 準 の ぐ
類を参考にした。
高Q) 「なんとか登校」
数 o校拒否
ま 関 備 ず 拒 欲 な登 まの響 な
は母親などに連れら 黷トやっと登校した のタイプ 校 で で み す 否 し 他 し り,断続的にしぶし 登神 Aタイプ 34 8 1 5 4 4 10 3
i23.5)( 2。9) (14.7)(11.8)(11.8)(29.4) ( 0.8) ぶながら登校したり 校経
聡ヌ Bタイプ 231
63 10 6 37 28 24 62 3 33 i27.3)( 4.3)( 2.6)(16.0)(12.1)(10.4)(26.8)( 1,3)(14.3)
するものをさす。
高R)「自宅でぐずぐず 否的 計 265 71 11 6 42 32 28 72 3 36
i26.8)( 4.2)( 2.3)(15.8)(12.1)(ユ0.6)(27.2)( 1.1)(13.6) 過ごす」は,登校し なければならないと
精 神 障 害 3 1 1 1
i33,3)(33.3) (33.3) の気持ちがありなが 怠 学 13 2 1 2 2 8 2i15.4)( 7.7) (15。4)(15.4) (61.5) (15.4
ら登校せず,ぐずぐ ク過ごしてしまうも 積極的意図的 1 1 3 1
登 校 拒 否 7(14.3) (14.3) (42.9)(14.3) のをさす。
一過 性 の 1 1 3 注4)「登校意欲なし」
登 校 拒 否 5 (20.0)(20.0) (60.0)
は長期登校拒否児に 分 類 不能 7 2 1 1 2 1
i28.6) q4.3)(14.3) (28.6) (14.3 多く,登校意欲を全 計 300 76 12 6 45 36 30 87 4 43
i25.3)( 4.0)( 2.0)(15.0)(12.0)(10.0)(29.0)( 1.3)(14.3
く喪失してしまった 烽フをさす。
( )内は%
4)登校拒否児の初診時における登校への構え
登校拒否児の初診時における登校への構えを示したのが表1−7です。 何とか登校 とは,母 親に連れられてやっと登校した り,断続的にしぶりながら登校 表1−8 登校拒否児の発症後の行動傾向
(重複あり) したりするものをさします♂自
発症後の 学 何 家 部 寝 平 夕 全 決休 昼 気午 そ 記 宅でぐずぐず過ごす は,登校
行動傾向
@ 例
@ 数o校拒否
しなければならないとの気持ちが
?閧ネがら登校せず,ぐずぐず
のタイプ る 中 い ロ み 出 出 い 気と 転 いい 他 し
登神 Aタイプ 34@搏)(17.1)(11.る(2.6)(2.6)(5.弓)(11,き)(2.1)(2.番)(a務(11ゐ 過ごしてしまうものをさしまする
麗 Bタイプ 23ユ 49 18 3 36 8 4 16 43 11 9 7 17 72
i212)( 78D( 1.3)(156)( 35)( 17)( 69ウ(186) 48) 39D 3.0)( 74)(312) 蟻登校意欲なし は,長期登校
否的 計 265 65 24 3 40 9 5 18 47 11 10 8 20 76
K45)( 91)( 11)(151)( 34)( 19)( 68)(177)(42 ( 38 30)( 75)(28 拒否児に多く,登校意欲を全く
精 神 障 害 モ 学
3i3 1 2i33.3) (66.7)
@1 10 1 2
i 7.7) (76.9) ( 7.7)(15.4)
喪失してしまったものをさしま
積極的意図的
o 校 拒 否 7 2 4 1 1 1F8.6)(57.1) (14.3) (14.3) (14.3) す。
蚕漫篭審分 類 不 能 57 1 1 3
@ (20.0) (2α0) (60。0
@ユ 玉 1 1 4
f43)(143) (143) 14.3) (57.1)
登校への構えとしては,気登
計 300 68 29 3 43 10 16 18 49 11 12 8 21 87
Q7)( 97)( 1.0)G43)( 33)( 53)( 60)(163ゆ( 36) 4.① 26)( 7.0)(290 校意欲なし が8%oo(29.0%》
( )内は% 粘何とか登校 が1%。o(25β%),
注)発症後の行動傾向の分類は真仁田昭の分類にならった。 亀登校準備のみ が%o(15.0
表1−9登校拒否児の治療の形態 %),宿宅
(重複あり)
でぐずぐず過 治療の形態 外 収 容 治 療 訪 力学 リ親 記 ウ
こす が1%。o
例
o校拒否 数のタイプ
来治療 児 病 情 記
求@ 短載談 施 な所 院 設 し
計
問宅校芦載指雰の多な導 グの みセ し
(12.0%),
g起床拒否ガ
ェ梶oo(10D
登神 Aタイプ 34 14i41.2 1 3
i2.9)(8.8) 4i11.8) 3 2 2 13
i 8.8)( 5.9)( 5.9)(38.2 %)にみられ 校経
聡ヌ Bタイプ 231
i53.7124 19 10 14 2
i8.2)( 4.3)( 6.1)( 0.9) 45
i19.5) 28 8 12 42
i12.1)( 3.5)( 5.2)(18.2
ました。
否的 計 265 138
i52.1) 20 13 14 2
i 7.5)( 4.9)( 5.3)( 0.8) 49
i18.5) 31 10 14 55
i11.7)( 3.8)( 5.3)(20.8
何とか登 Z について
精神障害 3 3i100) 3i100) は,なかなか
怠 学 13 4i30.8) 1 1 2
i7.7)( 7.7) (15.4) 4i30.8) 1 1 2 1
i 7.7)( 7.7)(15.4)( 7.7 行動選択の決 積極的意図的
o校 拒否 7 3i42.9 3 1 1
i42.9)(14,3) (14.3 着がつけられ
一一 ゚ 性 の 3 1 1 ない状態が続
登校 拒否 ェ類 不能
57
(60.0
@2i2&6 1i14.3) 1i14.3)
(20.0) (2α0)
@ 1 3
i14.3) (42.9
き,その決定 他者に依存
計 300 150
i50.0) 21 17 14 5
i 7.0)( 5.7)( 4.7)( 1.7) 57
P9.0) 37 12 17 60
i12.3)( 4。0)( 5.7)(20.0 したり,学校 ( )内は%
香j情短施設一情緒障害児短期治療施設 に行かないこ
とに対し,止 むを得ない状 表1−10登校拒否児における心理療法の技法 況が自然とつ
(重複あり)
くられるのを待つ傾向が強い 心理療法の 力 遊 行 作 箱 リ親 記 が,これらは小学校の段階で 技法 3戯動業庭ンの載セ グカ
多く,中学生・高校生となる
数登校拒否のタイプ 呈療療療療の3な
O 法 法 法 法 みセ し
につれて,自分自身で行動の 綷?I択を決定する傾向があ 登神
Z経 聡ヌ
Aタイプ aタイプ
34 Q31
17 1 1 15
i50.0) ( 2.9) ( 2.9)(44.1)
P29 42 16 1 2 11 57 f5.8)(18.2)( 6.9)( 0.4)( 0.9)( 4.8)(24.7)
ると言われています(真仁田,
P970)。
@ 登校意欲なし 87例にっ 否的 計 265 146 42 17 1 2 12 72
i55.1)(15.8)( 6.4)( 0.4)( 0.8)( 4。5)(27.2) いても,表面的には,登校意
精 神 障 害 3 3曹盾n) 欲を全く喪失し,学校のこと
怠 学 13 10 2 1
i76.9) (15.4)( 7.7) など少しも気にかけていない 積極的意図的 6 1 ような行動をとっているよう
登校 拒否一過 性 の 7(85.7) (14.3)
@1 2 1 1 に見えたとしても,心底では,
登 校 拒否 5 (20。0)(40.0)(20.0) (20.0)
必ずしもそうであるとは言い 分 類 不 能 7 3 4
S2.9) (57.1) 切れないように思われます。
計 300 169 44 18 1 2 15 78
T6.3)(14.7)( 6.0)( 0.3)( 0.7)( 5.0)(26.0) 5)登校拒否児の発症後の
( )内は% 行動傾向
登校を拒否し,家庭でどの
ような生活をしているのかを示したものが表1−8です。 学校を気にする が6%oo(22.7%),
全く外へ出ない が4%o。(16.3%), 部屋でゴロゴロ がく%oo(14.3%), 何かに熱中 が 2%o(9.7%)となっています。 蟻学校を気にする という者の中には,表1−7に示されている
蟻何とか登校 の者がかなり多く含まれています。
Aタイプにおいては,学校を気にする者が特に多く,彼らは,自宅で自分なりに勉強している者 が多いようです。それは,学校に行かなくても,自分は上位であるという自己像を自分なりに保ち 続けるためであると考えられます。この 学校を気にする の項目では,Aタイプと全症例(Aタ
イブを含む)との間に危険率5%以下で有意差がありました。
Aタイプを除くその他の登校拒否児は,家庭において,ただ単にテレビを見たり,レコードを聴 いたり,何もせず部屋でゴロゴロしているといった,だらしなく,退行したような生活態度に終始 する者が多いようです。外出する者は少なく,平気で外出する者のほとんどは,怠学型の登校拒否 にみられます。 平気で外出する の項目について,怠学型と怠学型を含む全症例との間に危険率
5%以下で有意差がありました。
神経症的登校拒否においては,外出するといっても,夕方や日曜日などが多く,このことは,学 校を休んでいることに対して,
心の底では,罪悪感と敗北感に 表1−11登校拒否児の予後
悩まされていることを示してい 予 後良 好 治 治 予 ると考えられます。
予 後 学 主学 記 6)登校拒否児の治療
登校拒否 フタイプ
体歴
Z 性に 載 恃ュな 生な
計
療 後
テ 中 不 計 表1−9に示しましたように,
。療の形態としては,外来治療 ェ1『%oo(50.0%)に対して行 帰 活い し 中 断 良 なわれており,最も多いようで 登神 Aタイプ 11 1
O1.1)(5.6) 12
i66.7) 3 3
i16.7) (16.7) 18 す。次いで収容治療E%oo(19.0 校経
聡ヌ Bタイプ 128 5 1i73.6)(2.9)(0.6) 134
i77.0 19 8 13
i10.9)(4.6)(7.5) 174 %),訪問指導1%oo(12.3%),
否的 計 ヱ39 6 1
i72.4)(3」)(0.5) 146
i76.0 22 8 16
i11.5)(4.2)(8.3) 192 親のみのカウンセリング1%00 精 神 障 害 1O3.3) 1i33.3) 1 1i33.3) (33.3) 3 (5.7%),学校でのカウンセ
潟塔O%oo(4.0%)となって 怠 学 9 1
Q1.8)(9」) 10
i90.9 1i9.1) 11 います。 職
積極的意図的
o 校 拒否 4 2?U.7)(33.3) 6i100) 6 学校でのカウンセリング
登漫借審 5i100) 5i100 5 というのが,予期に反して非常
分類 不能 1 2i25。0)(50.0) 3i75.0 1i25.0) 4 に少なかったのですが,これは,
O述しましたように,文献研究
計 159 11 −1
V1.9)(5.0)(0.5) 171
i77.4 23 8 19
i10.4)(3.6)(8.6) 221
のため比較的重症のこじれた症
( )内は% 例のみを研究対象としているか らである,と考えられます。登 校拒否の新鮮例(その多くは,
一過性の登校拒否と思われます)に対しては,学校でのカウンセリングが重要な役割を果たすと考 えられます。(全国情緒障害研究会,1978)。
また,表1−10に示しましたように,心理療法の技法としては,カウンセリング1『%oo(56.3%),
遊戯療法%oo(14.7%),行動療法1%o・(6.0%)とカウンセリングによるものが最も多く,半数以 上を占めています。
登校拒否の治療は,心理療法を主としており,薬物療法の記載のある文献はきわめて少数でした。
これは,症例報告の著者の大多数が,教師または心理学者であるためかも知れません。
登校拒否の治療のねらいは,症状の解消つまり学校復帰にのみあるのではありません。根本的な 人格の変容がもたらされなければなりません。その中心は,自我の強化と性格の変化にあると言わ れています。親のカウンセリングは,登校拒否の家庭内要因を除去することをねらいとしていま す。子どもの自我の成熟を促し,子どもが自主的に行動でき,かつ自己統制が可能となるように,
両親の養育態度をはじめ家庭環境を調整してやることを目的としています(佐藤,ユ978)。
7)登校拒否児の予後
予後を次のように分類しました。子どもの自我が発達し,自主的に行動できるようになったもの を気予後良好 とし,更にそれを 学校復帰 学歴に依存しない主体性ある生活を志す とに細 分類しました。一度学校復帰したものの,また散発的に登校拒否を示したり,家でぶらぶら過ごし
ているものなどを予後不良 としました。
表1−11に示しましたように, 予後良好 1%21(77.4%), 治療中 2%1(10.4%),職治 療中断%21(3.6%), 予後不良 1%21(8.6%)でした。上記のデータは佐藤(1978)の報告
とほぼ一致しており,登校拒否が良好な予後をもつことがわかります。
IV 要 約
1959年から1981年の間に刊行された,本邦の文献(雑誌及び単行本)に報告されている登校 拒否症例(300例)について,登校拒否の状態像の分析を行ない次の結果を得ました。
1)小泉(1979)の分類(表1−1)に従って,タイプ別に頻度を調べますと,神経症的登校 拒否Aタイプ(優等生の息切れ型)が1%o・(11.3%),神経症的登校拒否Bタイプ(社会的・情緒的 未成熟型)が鰯。o(77.0%),その他が%o。(11.7%)でした(表1−2)。
2)登校拒否児の身体症状としては,①腹痛・下痢,②頭痛・頭重感,③悪心・ロ区吐を示すもの が多いようです(表1−3)。
また,これらの症状は,大多数の症例において,朝,登校時刻の直前にみられました(表1−4)。
3)登校拒否児の親への態度としては,登校拒否の話題に対しては,反抗的・逃避的な態度を示 すものが多く,一般的接触においては,依存的な態度を示すものが多いようです(表1−5,表1
一6)。
4)初診時における登校への構えとしては, 登校意欲なし 粘何とか登校 気登校の準備のみ 気自宅でぐずぐず過ごす が多いようです(表1−7)。
5)治療の形態としては,気外来治療蹴が最も多く,心理療法の技法としては, カウンセリン グ によるものが最も多いようです(表1−9,表1−10)。
6)登校拒否児の1%21(77.4%)が良好な予後を1%1(8,6%)が不良な予後を示しました(表 1−11)。
この論文の第2編においては,登校拒否の成因の分析を,第3編においては,登校拒否の予後を
左右する要因についての分析を行ないます。
本研究の成果の大部分は,対象となった登校拒否児を雑誌や単行本に報告された原著者の方々の おかげです。紙数の都合で,一部の文献しか掲げることができませんでしたが,それ以外の方々を 含む全ての原著者に厚く御礼申し上げます(原著者の方々の御氏名のみを第3編に掲げさせていた だきます。
文 献
平井信義.1978.登校拒否児.P.136.新曜社.
小泉英二.1979.登校拒否一その心理と治療一.P16.学事出版 真仁田昭。1970.登校拒否症に関する研究 「教育相談研究」9:45−52.
佐藤修策.1978.登校拒否児.P.107.国土社.
佐藤修策.1978.登校拒否児.P.167−168.国土社.
冨田和巳.1978.医原性登校拒否 「日本医事新報」Nα2845:29−34.
全国情緒障害教育研究会.1978.登校拒否児.P.136−137.日本文化科学社.
谷川幸代・鳥谷幸枝・向井幸生.近年の文献に報告された登校拒否症例(300例)に関する疫学的研究(登校 拒否の成因と予後を左右する要因の分析)第2編 どんな子が登校拒否になりやすいか(登校拒否の成因
について).(茨城大学教育学部紀要投稿中)
谷川幸代。鳥谷幸枝・向井幸生.近年の文献に報告された登校拒否症例(300例)に関する疫学的研究(登校 拒否の成因と予後を左右する要因の分析)第3編 登校拒否児(神経症的登校拒否A・Bタイプ)の予後 を左右する要因の分析.(未発表)