• 検索結果がありません。

Lactobacillus casei(L.casei)も抗腫瘍効果を有する事が知られている.本研究論文は,固

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Lactobacillus casei(L.casei)も抗腫瘍効果を有する事が知られている.本研究論文は,固"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2 授与番号 甲第

1791 号

論文内容の要旨

Treatment with Lactobacillus retards the tumor growth of head and neck squamous cell carcinoma cells inoculated in mice

(乳酸菌を用いた頭頸部扁平上皮癌の治療の検討)

(宮口潤,志賀清人,小川和美,鈴木富美子,片桐克則,齋藤大輔,池田文,堀井明,

渡辺みか,五十君静信)

(The Tohoku Journal of Experimental Medicine 245 巻,4 号 平成 30 年 8 月掲載)

Ⅰ.研究目的

固形腫瘍の治療に細菌は1世紀以上前から使用され,近年は細菌をベクターとして用い 治療する報告もある.しかし,細菌を治療に用いる場合,細菌自体の病原性や正常組織へ の影響が臨床応用への問題となる.そこで我々は,抗腫瘍効果の報告があり,非病原性細 菌である Lcactobacillus casei(L.casei)を用い,固形癌は腫瘍内が正常組織に比べて 嫌気的環境にあるという点に着目し,好気性環境で生育しにくい,あるいは生育しない偏 性嫌気性の L.casei(L.casei KK378)に変異させ,マウス背部に作成したヒト由来の頭頸 部扁平上皮癌に直接注入し,その抗腫瘍効果について検討した.

Ⅱ.研究対象ならび方法

5週齢のオスのヌードマウス(BALB/cSlc-nu/nu)36 匹を3つの細胞株(ヒト舌癌由来 低分化扁平上皮癌細胞株(SAS),ヒト口腔癌由来の扁平上皮癌細胞株(HSC2),ヒト上顎 癌由来の扁平上皮癌細胞株(HSQ89)のそれぞれ 12 匹の群に分け,さらに 12 匹を無作為 に4群(104群3匹,10群3匹,1083匹,比較対象として PBS3匹)に分けた.腫瘍体積 (mm3)=長形(mm)×短径(mm)×0.4 として計算し,200mm3に達した時点で,PBS あるいは L.casei KK378 を 1.0×104,106,108cfu および PBS を 100μl の容量で,直接腫瘍へ注入 し腫瘍体積を経時的に調査した.PBS または L.casei KK378 投与日の腫瘍体積の平均を 100%とし腫瘍増殖曲線を作成した.また Sacrifice 後,血液と臓器を採取しグラム染色 により組織中の細菌の有無を検討した.さらに SAS 移植マウスの血中サイトカイン値(IL-2,

IL-4,IL-5,IL-10,IL-12p70,GM-CSF,IFN-γおよび TNF-α)を測定した.統計学的検 定にはt検定を用い,p<0.05 を有意差ありとした.

(2)

3

Ⅲ.研究結果

マウス背部にヒト由来頭頸部扁平上皮癌を移植し,SAS 株群は移植後 10 日目に,HSQ89 株群は移植後 9 日目に,HSC2 株群は接種後 30 日目に腫瘍体積が約 200 mm3 に達した.腫 瘍抑制効果は用量依存性であり,菌体数 108cfu 投与群に強く見られた.

SAS 株群の L.casei KK378 108cfu を投与した群は,PBS 投与群(p = 0.008)と L.casei KK378 106cfu 投与群(p = 0.003)と比較して投与開始後 15 日目に有意に腫瘍の増殖を有意 に抑制した.HSQ89 株群は L.casei KK378 投与後,観察期間中に死亡するマウスが出現し た.これは腫瘍増殖による死亡と考えられた.L.casei KK378 108cfu を投与した群は,腫 瘍増殖が約50%減少したが,PBS 投与群と比較して有意な減少は観察されなかった(p = 0.21).HSC 株群の L.casei KK378 108cfu を投与した群は腫瘍増殖が50%減少したが,

PBS 投与群と比較して有意な減少は観察されなかった(p = 0.41).

Sacrifice 後に摘出した腫瘍内に乳酸菌が認められたが,主な臓器(肝,腎,肺)から は乳酸菌は検出されなかった.

SAS 株群のマウスの血中サイトカイン計測したところ,血清 TNF-αレベルは,PBS 投与 群に比べ L.casei KK378 108cfu 投与群が有意に高かった(p = 0.047).血清 IFN-γレベ ルは,PBS 投与群に比べ L.casei KK378 108cfu 投与群が有意に高かった(p = 0.039).ま た,明らかに,L.casei KK378 108cfu 投与群における IL-2,IL-5,IL-10 および IL-12p70 の値は PBS 投与群よりも高かったが,有意差は認められなかった.

Ⅳ.結 語

L.casei KK378 の投与により,正常組織に影響することなく,SAS の増殖を抑制する効 果が得られた.その効果は用量依存的であり,SAS 株移植マウスで,有意に腫瘍抑制効果 を発揮するには 1.0×108cfu の細菌を要した.また,SAS 株移植マウスの血中サイトカイ ン値(TNF-α,IFN-γなど)の増加を認めたことから,腫瘍抑制効果は宿主の免疫応答の 活性化によって発揮されると推測される.頭頸部扁平上皮癌患者は腫瘍を皮下に直接触れ ることが多く,他の固形腫瘍と比較し乳酸菌を直接投与することが容易である.乳酸菌の 静脈内投与により抗腫瘍効果が示された他の研究と比較して,局所投与法は静脈内投与と 比較し菌血症を起こしにくいと考えられ,頭頸部扁平上皮癌患者にとってより効果的で安 全な治療法と考える.そして L.casei KK378 を化学療法または放射線療法と組み合わせら れるならば,副作用を軽減するだけでなく,抗腫瘍治療の有効性を高めることも可能と考 えられる.乳酸菌は腫瘍組織内のみで観察され,正常組織では観察されなかったが,頭頸 部癌患者でも進行期の患者は,免疫低下をきたしている場合が多く L.casei KK378 が非病 原性で腫瘍部位に直接投与されたとしても,細菌が腫瘍組織から漏出し正常組織へ副作用 をもたらす可能性は否定できず,感染は患者にとって致命的な問題となる.従って,

L.casei の死菌あるいは破砕菌体を使用し,より感染の可能性を低下させ,これらの投与 が生菌と同様の腫瘍抑制効果を示すか検討を行う必要があると考える.

(3)

論文審査の結果の要旨

論文審査担当者

主査 教授 櫻庭 実(形成外科学講座)

副査 教授 中村 隆二(放射線医学講座)

副査 教授 伊藤 薫樹(臨床腫瘍学講座)

固形腫瘍の治療に最近を利用する方法は以前から報告されており,非病原性細菌である

Lactobacillus casei(L.casei)も抗腫瘍効果を有する事が知られている.本研究論文は,固

形癌の腫瘍内が正常組織に比べて嫌気的環境にあるという点に着目して,偏性嫌気性菌で あるL.casei KK378の頭頸部扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果について検証した論文である.

L.casei KK378

の腫瘍への直接注入は、マウス背部に移植されたヒト舌癌由来統計部扁平上

皮癌株に対して,有意な抗腫瘍効果を示した。また直接注入により他の臓器への

L.casei

の 移行は認めなかった。

SAS

移植マウスにおいて,

L.casei

投与群で血中サイトカイン値(TNF-

α、

IFN-γ)が有意な上昇を示し,L.casei

による抗腫瘍効果に血中サイトカインが関与し

ていることを明らかにした。

本論文は,頭頸部扁平上皮癌治療における効果的で安全な治療の新たな選択肢の開発に 有益な知見を示した研究と言える.学位に値する論文である.

私見・諮問の結果の要旨

他のがん腫では有意な腫瘍の抑制効果が認められなかった点、有意差は無いものの

HSC-2

株で

L.casei

投与群でコントロール群よりも腫瘍が増殖していた点、L.caseiを臨床

応用する場合の課題、主要抑制効果の有無によって組織学的に差異があったか、胸腺のな いマウスにおける免疫動態の考察について諮問を行い,適切な回答を得た.学位に値する 学識を有していると考える.また,学位論文の作成にあたって,剽窃・盗作等の研究不正 は無い事を確認した.

参考論文

1)

Multi-institutional survey of carotid body tumoresin Japana. (本邦における頸動脈

小体腫瘍多施設サーベイ)(池田文他

12

名と共著)Oncology letters,15巻,(2018): p3383-3389.

2)

Association between constrast

-enhanced ultrasonograpy and histopathological

findings of the metastatic lymph nodes of patients with head and neck cancer: A

preliminary study.

(頭頸部がんを有する患者の転移リンパ節におけるコントラスト超

音波検査と組織学的所見の関係)(及川伸一ほか

8

名)

Oncology letters, 15

巻,(2018): p4171-4176.

参照

関連したドキュメント

T 細胞クローンによる抗腫瘍免疫の誘導機構 白血病 L1210 細胞に対する特異 CTL クローン(K7L)は in vitro および

Control 群 と そ れ ぞ れ Anginex alone 群,X-ray alone 群,Hyperthermia alone 群,Anginex + X-ray 群,Anginex + Hyperthermia 群における

 抄録:近交系WHT/Htマウス可移植性扁平上皮癌の腫瘍抗原に対するin vivo免疫反応について

リンパ節リンパ球とも投与群が高値であった.

84 (29) 氏名(生年月日) 本     籍 学位の種類 学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目

80 (7) 氏名(生年月日) 本 籍 学位の種類 学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 ナカ ノ ケイ

中心となる可能性が推察された。

い抑制効果を示した点である0(2)脂肪酸組成‥12%のオリーブ油投与群は一価不脚口脂肪酸,12%のサフラ