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ラットazoxymethane誘発性aberrant cryptモデルに対するシソ油 (perilla oil) の抗腫瘍効果

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Academic year: 2021

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Title

ラットazoxymethane誘発性aberrant cryptモデルに対するシソ

油 (perilla oil) の抗腫瘍効果( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

小野木, 啓人

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第307号

Issue Date

1996-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14816

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 且 小野木 啓 人(岐阜県)

(医学)

甲第 307 号 平成 8 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当 ラットazoxYmethane誘発性aberrant cryptモデルに対するシソ油 (peri=a oil)の抗腫瘍効果 (主査)教授 武 藤 泰 敏 (副査)教授 野 澤 義 則 教授 森

論 文 内 容 の 旨 近年,わが国で増加している大腸癌の原因の一つとして動物性脂肪の過剰摂取との関連が指摘されている。一 方,疫学調査では,魚油の摂取による大腸癌の雁患率の低下が報告されている。魚油の脂肪酸組成はt エイコサ ペンタエン酸(EPA,C20:5n-3)やドコサヘキサエン酸(DHA,C22:6n-3)といったn-3系多価不飽和脂肪酸 が大部分である。また植物性n-3系多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸(C18:3n-3)を豊富に含むシソ油の 抑制効果が,ラット大腸化学発癌モデルで報告されている。a一リノレン酸は,肝においてEPAやDHAに変換さ れる。現在まで,n-3系の多価不飽和脂肪酸の大腸発癌に対する抑制効果は,イニシエーションからポストイニ シエーションにまたがる投与,あるいはポストイニシエーションからの投与開始について検討したものであり, 大腸発癌のイニシエーション段階に限ったシソ油の効果は,いまだ十分な検討がされていない。

Aberrant crypt foci(ACF)はt1987年Birdらによりラットの大腸において見出されて以来,ヒトの大腸に

も検出され,現在,大腸の前癌状態であり大腸発癌の有用なintermediate biomarkerとして注目されている。 また,ラットやヒトのACFの発生には.cjosやrasの変異が関与しているといわれている。またACFは,大腸発 癌における抗発癌薬のスクリーニングに有用であるといわれている。 そこで申請者はt シソ油の投与が大腸発癌のイニシエーション段階においても有効であるか,およびそのメカ ニズムを解明するため,ラット大腸ACFを用いて検討した。 対象および方法 100匹の5週齢雄性F344系ラットを10匹ずつ,10群に分け,1∼5群の6週齢ラットに発癌物質azoxymethane (AOM)15mg/kg体重を1週間に一度,3週間皮下注射した。6∼10群は対照群として,AOM非投与群とし た。第1群,第6群は12%オリーブ油投与群.第2群,第7群は12%サフラワー油投与群,第3群,第8群は12 %シソ油投与群.第4群,第9群は6%シソ油+6%オリーブ油投与群,第5群,第10群は3%シソ油+9%オ リーブ油投与群で,AOM投与1週間前より投与を開始した。ラットは.最初のAOM皮下注射から4週間後に すべて剖検した。各グループの大腸を以下に示す項目について検討を行った。(1)ACFの同定:ラット大腸を Birdらの方法に準じ,0.2%メチレンブルー生理食塩水溶液で染色した。大腸あたりのACF数,一つのfocusあた りのaberrant crypts数を鏡検し,測定した。ACFの判定基準として,正常の腺高と比較し,1)サイズが大き いこと,2)上皮が厚いこと,3)腺高周囲が増殖していることを採用した。(2)大腸粘膜の脂肪酸組成: FoIchらの方法で抽出し,リン脂質画分の同定は.Rouserらの方法で行った。メチルエステル化した脂肪酸は. n-ヘキサンで抽出し,HR-SS-10カラムを用い,ガスクロマトグラフィーで分析した。(3)PGE2濃度測定:大 腸をドライアイス・アセトン浴中の几-ヘキサンに浸し,瞬間凍結した。剥離した大腸粘膜を懸濁液として用いた。

PGsはBond-Elute C-18カラムで抽出し,PGE2濃度はPGE2-125IRIA kitを用いたassayで測定した。(4)AgNORs count測定:大腸を10%ホルマリン緩衝液で固定した後,AgNORsで染色した。Cryptの頂上から底部まで完全 に確認できるものを20個ずっ選び計測した。 結 果 (1)ACFの同定:大腸あたりのACF数,大腸あたりのaberrant crypts数のいずれもオリーブ油投与群に比 べて.サフラワー油投与群で有意な減少を認めた(P<0.01)。さらにシソ油投与群では大腸あたりのACF数. 大腸あたりのaberrant crypts数のいずれもオリーブ油投与群(P<0.01),サフラワー油投与群(P<0.05)に比 べて有意な減少を認めた。Focusあたりのabcrrant crypts数は,オリーブ油投与群に比べて,シソ油,および サフラワー油投与群で有意に減少した(P<0.05)。披験油で最も効果の認められたシソ油の飼料中の割合を0%, 3%,6%.12%と変えたところ,大腸あたりのACF数,およびaberrant crypts数のいずれも用量依存性に抑 制効果が認められた。注目すべきことは,少量(3%)のシソ油投与群でも12%のオリーブ油投与群に比し,強 9

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い抑制効果を示した点である0(2)脂肪酸組成‥12%のオリーブ油投与群は一価不脚口脂肪酸,12%のサフラ ワー油投与群はn-6系多価不飽和脂肪酸が主成分であり・各々の飼料の油脂成分と同じ成分が優位であった012 %オリーブ油投与軌12%サフラワー油投与群のn-3系多価不飽和脂肪酸は各々1・6±0・2%,1・7±1・4%と少な いのに対し,12%シソ油投与群ではtその主成分であるⅢ-3系多価不飽和脂肪酸が22・7±8・0%と有意に上昇し ていた。その内訳はEPA16.0±6・0%,DHA5・6±1・7%であったo(3)PGE2濃度測定:PGE2濃度は,12%サフ ラワー油投与群で高値を示した。12%シソ油投与群のPGE2濃度はt12%サフラワー油投与群の約1/2と有意に 低値であった(P<0.05)012%オリーブ油投与群のPGE感度はtほぼ12%サフラワー油投与群と同じ濃度であっ

た。(4)AgNORsc。un坤掟:腺高のcolumnあたりの平均細胞数は・12%サフラワー油投与瓢12%シソ油投

与群で12%オリーブ油投与群に比し・有意に減少していた(P<0・01)012%シソ油投与群の核一個あたりの AgNORscountはt12%オリーブ油投与乱12%サフラワー油投与群に比し有意に減少し(P<0・01),シソ油 は用量依存性により強い抑制効果を示した0 考 察 本研究により,シソ油投与がラット大腸のAOM誘発ACFを用量依存性に抑制することが明らかとなったo AOMは大腸発癌のイニシエーターとして知られている0このことからn-3系多価不飽和脂肪酸はt大腸発癌の イニシエーション段階において抑制的に働くと考えられた0また・シソ油投与により大腸粘膜のAgNORs数と 腺高一つあたりの細胞数が抑制されることも確認された06週間のシソ油投与が,完全に大腸粘膜リン脂質画分 の脂肪酸組成を変化させ,大腸粘膜におけるPGE2濃度を減少させることも確認された0注目すべきことは,3 %のシソ油投与により,ACF数が12%オリーブ油投与群の1/2以下に抑制されたことで・この結果は12%サフ ラワー油投与群に比し,3%シソ油投与群でラット大腸腫瘍の発生が抑えられたというNarisawaらの報告と一 致する。つまり,イニシエーション段階においても少量(3%)のシソ油によりACFの発生が抑制されている ことが示唆された。シソ油の抗発癌効果のメカニズムの一つとして・PG合成の変化が考えられる0アラキドン 酸からのこの一連の第2群のプロスタノイド合成系はアラキドン酸カスケードと呼ばれ,n-3系多価不飽和脂肪 酸から生合成されるEPAからの第3群のプロスタノイド合成系はEPAカスケードと呼ばれているo第2群のプ ロスタノイドにはt大腸発癌のプロモーター作用のあるPGE2t炎症作用のあるロイコトリエンB4などが含まれ る。これに対し,EPAカスケードには活性の弱いプロスタノイドが多く占めることにより・プロスタノイドの 生物活性が制御されることが考えられる。 さらに,n-3系多価不飽和脂肪酸であるDHAは強力にシクロオキシゲナーゼを抑制し・PGの合成そのものを 抑制することも知られている0これらの機序によりt n-3系多価不脚口脂肪酸は・アラキドン酸から・PGE2を 含むtype-2seriesプロスタノイドの合成を抑制するといわれている0今回のラットを剛、た検討でも,n-6系 多価不脚口脂肪酸を多く含むサフラワー油を投与したラットに比し・n-3系多価不飽和脂肪酸であるα-リノレ ン酸を含むシソ油投与群で大腸粘膜PGE2濃度は有意に減少していた。またシソ油のACF発生抑制効果の他のメ ヵニズムとして,シソ油投与により,大腸粘膜の核一個あたりのAgNORscountが減少したことから・シソ油 がAOMからのDNAダメージを防いだことにより,S期にある細胞数を減じた可能性も考えられるo細胞膜にお ける脂肪酸組成の変化はt膜の流動性(fluidity)として捉えられ・n-3系多価不飽和脂肪酸とn-6系多価不飽 和脂肪酸の比率の違いにより,例えばepidermalgrowthfactor(EGF)レセプターのような成長因子や発癌物 質に対する感受性が変化することも推測される0 本研究は.植物油脂のn-3系多価不飽和脂肪酸であるa-リノレン酸が,ラット大腸発癌の早期のbiomarkerで ぁるACFの発生を抑制することを立証したものである0さらに3%のシソ油という少ない量でも,十分な抑制 効果が得られることが確認され,今後,臨床応用できる可能性が強く示唆された0 論文審査の結果の要旨 申請者 ′ト野木啓人はラットazoxymethane誘発性大腸aberrantcryptモデルを剛、て,とくにイニシエ ショ ン段階において,シソ油が発癌抑制効果をもつこと・またそのメカニズムについて考察を加えた0さらに・大腸 発癌の予防にシソ油が今後,臨床応用できる可能性を示した0 これらの新知見は,腫瘍学の進歩に少なからず寄与するものと認める0 [主論文公表誌] ラットazoxymethane誘発性aberrantcryptモデルに対するシソ油(perillaoil)の抗陸瘍効果 岐阜大医紀 44(1):11∼21,1996 10

参照

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