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閑居友 : 岩瀬文庫本翻刻と諸本対校

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(1)

閑居友 : 岩瀬文庫本翻刻と諸本対校

著者 原田 行造, 藤島 秀隆

雑誌名 金沢大学教育学部紀要.人文科学・社会科学・教育

科学編

巻 22

ページ 234‑219

発行年 1973‑12‑20

URL http://hdl.handle.net/2297/47666

(2)

『閑

は じ め に

居

友﹂回

岩

瀬文庫本翻刻と諸本対校ー

  か の

彼が天台華厳の教に深く帰依して︑ひたすらに往生を希求する隠者 しては類を見ない独創性を尊ぷ純粋な文芸意識を有していたこと︑ 相貌が最も典型的に形象化されている︒それは︑編者慶政が当時と 承久の乱直後に完成した﹃閑居友﹂には︑中世隠者の特異な

を

と︑彼が西山の草庵に入年をすごして来たとする上巻三話の記述と るが︑建保五年に慶政の在宋を証拠づける﹁波斯文文書﹂の存在 ある︒本書の編者については︑かつて慈円説も提唱されたことがあ 描き︑後世に伝えようとする使命感を有していたこと等の所産で と判明するや︑完全に解消した︒そして︑本書の特異な成立過程が の間に横たわっていた矛盾は︑彼の西山隠棲が承元二年︵二一〇入︶

価の問題や︑更に慶政が栂尾の明恵上人らとの交渉を通して展開し して来た︒即ち筆者と鴨長明との人間関係や﹃発心集﹄に対する評 順に執筆された事実が判明して来ると︑次々に興味深い課題が登場 解明されて︑上巻三話・同二話・同一話・同四話・同五話⁝⁝⁝の

た 仏 教 尊重の華厳宗とにいかに対処していったか︑そして︑その軌跡が本 倒する彼が︑長明の信奉する浄土教的世界と明恵の重んじた釈迦仏 活動への分析などがそれである︒また︑天台思想に熱烈に傾 書 にどのように投影しているのかを追究することもまた重要なテー

マ

である︒

 

『閑居友﹄に関する研究は︑永井義憲博士の﹁閑居友の作者成立

及 説﹂O〜㈲︵早稲田大学教育学部学術研究・第16171820・昭和4243 られる先駆的御論考をはじめとして︑小林保治氏の﹁﹃閑居友﹂序 び素材について﹂ ︵大正大学紀要・第40輯・昭和30年−月︶に見 44

46年︶における基礎的研究や平林盛得氏の﹁慶政上人伝考補遺﹂

(国語と国文学・昭和45年6月・第47巻第6号︶で考究された作家

藤 原

田

行

造

島   秀   隆*

 ︵*金沢工業大学助教授︶

研

究などにより︑新しい段階を迎えるに至った︒これら諸先学の研

究 に 立

脚しつつ︑昨冬﹁金沢古典文学研究会﹂の研究誌﹁説話・物

・全注釈H︶所収︶が刊行されるに至った︒また本年再び同誌は﹃閑 語論集し ︵創刊号・昭和47年12月︶にて﹃閑居友﹄特集︵論文四篇 して選定すると聞く︒ などにて演習用にとりあげられ︑近くは二三の大学でもその対象と 更に︑本書は本学をはじめ大阪大学・立教大学・静岡女子短期大学 を企画し︑説話文学会金沢大会の初日十月二十七日に発刊された︒ 居友﹂第二特集︵論文五篇︑うち一篇は﹃方丈記﹄・全注釈⇔︶

 如上の研究上の諸状況を加味し︑ここに﹃閑居友﹄の本文校訂の

重要性を認識して︑その作業に着手するに至った︒具体的には︑岩

瀬 文

庫本を底本にして︑数本を以て校合を試みたわけであるが︑こ

ることができれば幸いである︒ の本文により︑今後一段と精確な研究の進展に幾分たりとも寄与す        

凡  例

一、

本文は岩瀬文庫本を底本として︑これに尊経閣蔵伝為相筆本・

 宮内庁書陵部本・尊経閣蔵謹玄本・神宮文庫蔵本・続群書類従本

 ・版本︵無刊記本︶を以て校合した︒二︑校異の部分に示した略号は︑次の如くである︒為−尊経閣蔵

 伝為相筆本︑宮−宮内庁書陵部本︑諌−尊経閣蔵語玄本︑神

 −神宮文庫蔵本  類−続群書類従本  版−版本︵無刊

  記本︶

三︑校合は︑漢字.仮名の異同に至るまで微視的に作業し︑本文系

 統の究明に資することを意図した︒ただし︑明らかに意味を異に

する場合以外は︑異体字はその異同を示さないことを原則とす

 る︒

一七

(3)

原田・藤島言「閑居友』〔1) 233

四︑底本はその本文を忠実に再現し︑歴史的仮名遣と異なる場合は

  五︑底本に明らかな誤が存する場合は︑ ︹ ︺符号を付して訂正し ( ︶を付して正しい形を示した︒

 た︒

六︑底本に見られる誤記訂正の跡はそのまま翻刻した︒また︑○な

       る どを付して脱文の補記をしてある部分も︑そのままの形で示した︒

   

 例 かsりほとに

      仏性をそなゑて侍也︒地獄餓鬼までもみな

    八︑上巻第一話には︑錯簡が存するが︑正常に復元した形で各諸本  ﹂でさし示した︒ 七︑反復符号は底本通り﹁く﹂を以て示すが︑一字の場合は﹁々  例ものなく︒仏性なきものはひとりも  を対校した︒

九︑表題は底本通り巻初に列挙し︑更に各話のはじめにも特別に付

 した︒この場合︑巻初の部分で校異を示し︑各話に付した表題で

十︑本文異同は︑その重要度から二分類して提示した︒即ち︑本文  は︑それを省略した︒

 中に標示した数字を○でかこんだ形は︑意味を異にするかそれに

  準 ずるものであり︑ ︵ ︶を付した場合は︑単に文字の異同︵漢

 字と仮名︶や省略などにとどまり︑意味内容まで規制していない

  個 所 を 意味する︒

         ︵−︶  ︵2︶ 閑居友 上

      ヨ 真如親王天竺にわたりたまふ事 如      ︵を︶︵4︶ 幻僧都の発心のこと

⑤

(6︶

玄賓僧都門おさして善珠僧正をいれぬ事             ︵?︶ ︵わ︶

空 也 上

人あなものさはかしやとわひたまふ事

清海上人の発心の事             ︵9︶あつまのひしりのてつから山おくりする事       ︵11︶      ⑫清水のはしのしたの乞食の説法事 ︵13︶       ⑭

       ︵17︶ あつまのかたに不軽おかみける老僧の事   ︵15︶       ︵を︶    ⑯おしのまねしたる上人のまことの人に法文云事 覚

弁法師浬築経ときて高座にておはる事

一八

       ︵18︶ ︵を×お︶ ︵19︶

       ︵21︶       ︵お︶ ︵22︶ あふみのいしたうの僧の世をのかるs事        ︵20︶はりまの国の僧の心お〜こす事

      ︵25︶    ︵26︶ 常陸国のおとこ心をsこして山にいる事    ︵を︶  ︵23︶   ︵お︶   ︵別︶かう野のひしりの山からによりて心をsこす事

     ︵38︶         ︵39︶      ︵を︶︵40︶ sなふる事   ︵37︶      〃 あやしの入道空也上人南無阿弥陀仏みかはの入道南無阿みた仏と    ⑬     弥︵34︶ ︵35︶       ︵36︶ 稲荷山のふもとに日をsかみて涙お なかす入道事       ︵28︶        ︵29︶ ︵を︶︵39︶  ︵︶ ︵32︶ 下野守義朝の郎等の心を〜こす事       ︵お︶ ︵27︶するかの国うつの山にいゑゐせる僧事                                           ︵45︶ あやしのおとこ野はらにてかはねをみて心をsこす事     を       ︵41︶  ︵42︶         ︵43︶       ︵お︶  ︵44︶ あやしの僧の宮つかへのひまに不浄観お こらす事

からはしかはらの女のかはねの事

〔校異︺︵1︶わたり←渡り︵神︶︵2︶たまふ←給ふ︵謂・神・類・版︶︵3︶

     

こと←事︵謂・神・類・版︶︵4︶門お←門を︵宮・課・神・類・版︶

     

⑤善

珠 僧 正 を←善珠僧正お︵為︶善珠僧都を︵潭・神・類・版︶︵6︶

     

い れ ぬ←入ぬ︵神︶︵7︶もの←物︵神︶︵8︶わひたまふ←佗給ふ︵神︶

     

わ ひたもふ︵類︶︵9︶ひしりの←ひしり︵讃・神・類・版︶⑩山おく      り←おくも︵謂︶山送り︵神︶︵11︶はしのした←橋の下︵神︶⑫説法←

      説法の︵神・類・版︶︵13︶おし←謂﹁お﹂の傍にコを鰍﹂と記す⑭       上 人 のまことの←上人誠の︵神︶︵15︶あつま←東︵神︶⑮おかみける      ←おかみか︑る︵謂・類・版︶拝みかsる︵神︶︵17︶おはる←をはる      

(課︶終ル︵神︶︵18︶僧の←僧︵神︶︵19︶心お〜こす←心を︑こす︵宮︶

      心をおこす︵諦・神・類・版︶︵20︶いしたう←石塔︵神︶︵21︶かう野の

     

ひしりの⊥高野の聖の︵神︶︵22︶心をsこす←心おsこす︵為︶心を      おこす︵謂・類・版︶心を発す︵神︶︵23︶おとこ←男︵神︶︵24︶心をs

     

こして←心をおこして︵諌・神・類・版︶︵25︶いゑゐ←家居︵神︶

     

(26︶僧事←僧の事︵神・類・版︶︵27︶郎等の心をsこす←郎等の心      おsこす︵為︶郎等の心をおこす︵謂・類・版︶郎等心をおこす︵神︶

     

(28︶ふもと←麓︵神︶︵29︶日をsかみて←日をおかみて︵宮・語・

     類・版︶日を拝みて︵神︶︵30︶涙お←涙を︵宮︶泪を︵謂・神・類・

 

F 版︶︵31︶なかす←流ス︵神︶︵32︶入道←入道の︵神・類・版︶⑳あや ば

※ 弥  しの←あしやの︵謂︶︵34︶南無阿※陀仏←南無阿弥陀仏︵宮・諌・

     神・類・版︶︵35︶みかはの←みかは︵神︶︵36︶南無阿みた仏←南無      阿弥陀仏︵神︶なむあみた仏︵類︶なむ阿みた仏︵版︶︵37︶sなふる←

     となふる︵謂・類・版︶唱ふる︵神︶︵38︶僧の←そうの︵為・宮︶

     

(39︶ひま←隙︵神︶︵40︶不浄観お←不浄観を︵宮・謹・神.類・版︶

(4)

金沢大学教育学部紀要

(41︶おとこ←男︵神︶︵42︶野はら←野原︵神︶︵43︶みて←見 て

(神︶ ︵44︶心をsこす←心をおこす︵諌・類・版︶心を発す

(神︶︵45︶かはら←河原︵神︶

 一︑真如親王天竺にわたりたまふ事

        ︵1︶  ②③︵4︶

 昔︑真如親王といふ人いまそかりけり︒ならの御門ノ第三の御子

ける︒かさりをsとしたまひてのちは︑道詮律師にあひて︑三論宗        ︵お︶︵9︶      ︵10︶         ︵11︶ 也︒いまたかしらおろしたまはぬさきには︑たかおかの親王とそ申 (5︶      ︵6︶︹7︶     ︵を︶︵8︶

       ︵を︶︵13︶      ︵12︶

       ︵ひ︶︵14︶       ︵15︶ をきはめ︑弘法大師にしたかひて真言おならひ給けり︒法門ともに 宗叡僧正とsもなひ給けるか︑宗叡は文殊のすみ給五台山おかまん         ︵16︶       ︵17︶      ︵を︶   ︵18︶ おほつかなきことおほしとて︑つゐにもろこしにそわたり給ける︒

      ︵9ユ︶         ︵20︶         ︵21︶とてゆきたまふ︒親王は︑ものならふへき師をたっね給けるほと  ︵22︶       ︵23︶に︑昔このやまとの国の人にて円載和尚といひし人の唐にとsまり      ︵24︶       ︵25︶

と︑心にもかなはさりけれは︑つゐに天竺にそわたりたまひにけ        ︵ひ×31︶ 御門あはれみて法味和尚といふ人におほせつけられて学問ありけれ  ㊧      ︵27︶      ︵28︶  ︵29︶︵30︶ たりけるか︑親王のわたり給よしをきsて︑御門に奏たりけれは︑

    ︵36︶      ︵37︶   ︵38︶      ︵39︶    ︵40︶ る︒錫杖おつきて︑あしにまかせてひとりゆく︒ことはりにもすき (32︶    ︵を×33︶        ︵34︶         ︵35︶         ︵わ︶

て わ        ︵41︶ ︵42︶つらひおほしなと侍をみるにも︑かなしみのなみたかきやりか

    ⑬    ︵ふ︶       ︵44︶      ︵45︶ たし︒玄英法顕なとのむかしのあとにおもひあはするにも︑さこそ

はけはしくあやうく侍けめとあはれなり︒さて︑返給へきほともす きぬれは︑いきしにわきまへかたしとて︑こまかにそたつねありけ (46︶       ︵47︶

⑫                           ︵49︶       ︵50︶       ︵51︶ ︵わ×52︶

る︒もろこしの返事に︑天竺にわたり給ほとに︑みちにておはりた      ︵53︶       ︵ひ×54︶   ︵55︶まふよしほのかにきくと侍けるにそ︑はしめてたましゐをうつし給

よしをしりにける︒

  校〔異︺︵1︶いふ←云︵神︶②けり←ける︵神︶⑨ならの←南都の︵神︶︵4︶御        門ノ←御門の︵宮・謂・神・類・版︶︵5︶御子也←おん子なり︵類︶

       

(6︶たまはぬ←給はぬ︵神︶︵7︶さき←先︵神︶︵8︶たかおか←たか         をか︵諌・類・版︶たか岡︵宮・神︶︵9︶かさりを〜とし←かさりお         sとし︵為︶かさりをおとし︵宮・諌・類・版︶かさり落し︵神︶︵10︶

       

たまひてのちは←給ひて後は︵神︶︵11︶あひて←逢て︵神︶︵12︶した

        か ひ て←随ひて︵神︶︵13︶真言お←真言を︵宮・課・神・類・版︶

       

(14︶つゐに←っいに︵為・宮・類︶︵15︶もろこしにそわたり←唐土

       

に そ 渡り︵神︶︵16︶とsもなひ←とともなひ︵神・類・版︶︵17︶すみ        ←住︵神︶︵18︶おかまん←をかまん︵宮︶︵19︶ゆきたまふ←行給ふ        

(宮・譜・神︶ゆき給ふ︵類・版︶︵20︶もの←物︵神︶︵21︶師を←師お

               ご(為︶︵22︶昔←むかし︵語・類・版︶︵23︶といひし人の唐に←とてい        

ひし人の唐に︵為︶と云シ人もろこしに︵神︶︵24︶わたり給よしをき        

sて←わたり給よしを聞て︵課︶渡り給よしを聞て︵神︶︵25︶奏た

       り←奏したり︵神・類・版︶⑳御門←御心︵為︶ ︵27︶いふ←云         ︵神︶︵28︶おほせつけられて←仰セ付ラレて︵神︶︵29︶学問←か        く問︵宮︶︵30︶あり←有︵神︶︵31︶っゐに←ついに︵為︶終に︵神︶

       

(32︶たまひにける←給ひける︵神︶︵33︶錫杖お←錫杖を︵宮・諌         ・神・類・版︶︵34︶あしに←足に︵神︶︵35︶ひとり←独り︵神︶

       

(36︶すきてわつらひ←過て煩ひ︵神︶︵37︶侍を←侍お︵為︶侍る        を︵神︶︵38︶みるにも←みるに︵神︶︵39︶かなしみ←かなしひ         ︵課︶︵40︶なみた←涙︵神︶︵41︶むかしの←昔の︵為・宮︶︵42︶

       あと←跡︵神︶㊨けはしく←はけしく︵神︶︵44︶さて←欠文︵神︶

        ︵45︶返給へき←かへり給へき︵神・類・版︶︵46︶すき←過︵神︶

        ︵47︶わきまへ←わきまゑ︵為・宮︶⑱たつねありける←尋ね有        けり︵神︶︵49︶返事に←返事︵神︶︵50︶わたり←渡り︵神︶︵51︶

       

みちにて←道にて︵為・宮・神︶︵52︶おはり←終り︵神︶︵53︶き        くと←聞と︵神︶︵54︶たましゐを←たましゐお︵為︶︵55︶うつし               ︵−︶︵2︶   ︵3︶      ︵4︶  ←移シ︵神︶

  わ    ︵ひ︶      ︵7︶ を︑つかれたるすかたしたる人いてきてこひけれは︑とりいてs中       ︵5︶      ︵6︶ たりたまひける道のよういに大かんしを三もちたまひたりける        ︵8︶        ︵を︶ ︵9︶ にもちいさきをあたへ給けり︒この人︑おなしくはおほきなるをあ

つ     ︵H︶      ︵12︶    ⇔         ︵ひ︶さ し︒汝はこsのもと人也︒さしあたりたるうへをふせきてはたりぬ       ︵ゑ︶︵10︶ からはやといひけれは︑我はこれにてすゑもかきらぬ道おゆくへ

  ︵ひ︶ ⑭︵15︶︵16︶︵17︶  へしとありけれは︑この人菩薩の行はさる事なし︒汝心ちいとし︒

、」

心ちいさき人のほとこすものをはうくへからすとて︑かきけちうせ

(

18︶ ︵19︶ 

(

20︶⑳

けるにこそとくやしくあちきなし︒さて︑やうくすsみゆくほと     ⑫       ︵23︶         ︵24︶       ︵25︶ にけり︒親王あやしくて︑化人の出来てわかこsろをはかりたまひ

   ︵ひ×26︶         ︵27︶      ︵を︶   ︵28︶        ︵29︶に︑ついに虎にゆきあひて︑むなしくいのちおはりぬとなん︒この      ︵え︶︵30︶      ︵31︶ことは︑親王の伝にもみへ侍らねは︑しるしいれぬるなるへし︒昔       ︵32︶         ︵33︶

の

さんめるに︑この親王のおもひたち給けん心のほと︑いとくあは        ︵40︶         ︵41︶ 唐新羅の人々はかすあまたみえ侍れと︑この国の人はひとりもみえ        ︵35︶   ⑯   ︵37︶         ︵38︶ ︵39︶        ︵34︶ かしこき人々の︑天竺にわたり給へる事をしるせるふみにも︑大

一九

(5)

原田・藤島8「閑居友」〔1〕 231

 ︵42︶

れ に

かしこく侍り︒昔は︑やすみしるまうけのすへらきにて︑もs

(43︶       ︵44︶       ︵嶋︶   ︵46︶

の つ       ︵52︶    ︵53︶ しいとして︑ひとりいつくにかおもむきたまひけんと返々にあはれ  ︵ひ︶︵47︶       ︵48︶    ︵49︶       ︵50︶    ︵51︶かさにあふかれきといへとも︑いまは道のほとりのたひのたま に

  ︵54︶       ︵55︶      ︵56︶侍り︒大唐の義朗律師の天竺にゆくとて身をほろほしたる事をい ふ        ︵61︶所に︑師子州にもすてにみえす︒中印度にもまたきこえす︒おほ

       ︵ひ︶︵58︶9       ︵60︶   ︵57︶

くはこれたましゐ異代にかへるらんと侍事おもひいてられて︑とに        ︵62︶    ︵63︶      ︵64︶

くきこえ侍れ︒    ︵67︶       s り給けれとも︑みつきものは猶あとにそなへられけん事なさけふか      ︵65︶      .一そ6かくに心すそろに侍︒さても︑しん王の身ははるかのさかひにうつ  

〔校異︶︵1︶わたりたまひける←渡り給ひける︵神︶ ︵2︶道の←みちの         ︵謹・類・版︶︵3︶よういに←用意に︵神︶︵4︶大かんしを三も        ちたまひ←大かんしお三もちたまひ︵為︶大かんしを三持給︵神︶

        ︵5︶いてきてこひけれは←出来て乞けれは︵神︶ ︵6︶とりい        

てs←とり出て︵神︶︵7︶この←此︵神︶︵8︶これにて←是にて         ︵神︶︵9︶道おゆく←道をゆく︵宮︶道を行︵神︶みちをゆく︵謂         ・版︶みをゆく︵類・﹁ち脱か﹂と傍記︶︵10︶うへを←うゑお              さ  ︵為・宮︶︵11︶あり←有︵神︶︵12︶この人←此人︵神︶⑬行は←

               こ給は︵謂・神・類・版︶⑭汝心ちいとし︒心ちいさき人の←汝心        ちいさき人の︵宮︶汝心ちいさし︒心ちいさからん人の︵神・類         ・版︶︵15︶ほとこす←施す︵神︶︵16︶をは←おは︵為︶︵17︶う        く←受︵神︶︵18︶うせに←失に︵神︶︵19︶あやしくて←あやしく

        ︵宮︶︵20︶わかこsろを←わかしろを︵宮︶我心を︵神︶⑳はか        りたまひ←はかり給ひ︵謂︶はからひ︵神・類・版︶⑳こそ←社         ︵神︶そ︵類︶︵23︶くやしく←悔しく︵神︶︵24︶さて←扱︵神︶

        ︵25︶やうく←漸︵神︶やうやう︵類︶ ︵26︶ついに←つゐに         ︵謹・神・類・版︶︵27︶ゆきあひて←行あひて︵神︶︵28︶いのち        おはりぬ←命をはりぬ︵神︶︵29︶この←此︵神︶︵30︶みへ←見え         ︵諏・神・版︶見へ︵類︶︵31︶いれ←入︵神︶︵32︶わたり給へる        ←渡り玉へる︵語︶渡り給へる︵神︶︵33︶ふみ←文︵神︶︵34︶か

       

す←数︵神︶︵35︶みえ←みへ︵類︶⑯侍れと←侍れは︵神︶︵37︶

       

この←此︵神︶︵38︶ひとりも←独りも︵神︶︵39︶みえ←みゑ︵為

  

   ・宮︶︵40︶この←此︵神︶︵41︶おもひたち←思ひ立︵神︶︵42︶あは

        れ に←哀に︵神︶︵43︶もsの←ももの︵謹︶百の︵神︶︵44︶いへ        とも←いへ共︵神︶︵45︶ほとり←辺り︵神︶︵46︶たひの←欠文

  

   ︵神︶︵47︶たましい←たましゐ︵諌・神・類・版︶︵48︶いつくに        か←いつくに︵類︶︵49︶おもむき←をもむき︵謹︶底本の﹁む﹂

       は﹁ひ﹂にも似るが﹁む﹂と判読︵50︶たまひけん←給ひけん︵神︶

二〇

          底 本は﹁てん﹂ともよめる︵51︶返々に←返々︵為・宮︶返々も          

(神・類・版︶︵52︶ゆく←行︵神︶︵53︶身を←身お︵為︶︵54︶事           を い ふ 所 に←事ヲ云所に︵神︶ ︵55︶みえ←みへ︵為・宮・類︶

         

(56︶きこえす←聞えす︵神︶︵57︶これ←是︵神︶︵58︶たましゐ          ←玉しゐ︵課︶⑲異代←累代︵類︶︵60︶かへるらんと・侍事←か         へと侍る事︵神・類・版︶︵61︶おもひいてられて←思出てられて                  も(神︶思てられて︵類・版︶︵62︶心すそろに侍←心すsうに侍り         ︵神︶こsうす〜うに侍り︵類・版︶︵63︶さても←さて︒︵為﹀扱も                こそ  こそ(神︶︵64︶しん王←親王︵宮・神︶︵65︶けれとも←けれ共︵神︶

         

      な    な⑯事←事︵為︶事こそ︵宮︶こそ︵謂・神・無・類︶︵67︶ふかくき           ︵−︶      ︵2︶      ︵3︶   ︵4︶   こえ←深く聞え︵神︶

       ︵6︶     ︵7︶       ︵8︶ さても︑発心集には伝記の中にある人々あまたみえ侍めれと︑こ

(5︶

の ふ み に は 伝 に の   ︵16︶      ⑰  ︵18︶ くあさくものをみたるまsに︑これはそれかしかしるせるものs中       ︵12︶  ︵13︶         ︵14︶       ︵15︶ sかりも侍り︒またよの中の人のならひは︑わつかにおのれかせは        ⑨       ︵−o︶      ︵U︶れる人をはいるsことなし︒かつは︑かたくは

にありし事そかしなと︑よにもたやすけにいふ人もあるへし︒ま た︑もとよりふてをとりてものをしるせるものs心さしは︑我この (19︶      ︵20︶       ︵21︶

へ22︶

事

   ︵25︶         ︵26︶      ︵27︶      ︵28︶ りはしまれるわさなるへし︒されはこそ︑章安大師は︑この事もし        ︵23︶      ︵24︶をしるしと〜めすは︑後のよの人いかてかこれをしるへきと思よ

      ︵29︶      ︵30︶        ︵を︶⑳おちなは将来もかなしむへしとはかきたまふらめ︒いはんや︑また

       ヰキ         ︵37︶ しけにひきなしたらんもいかsとおほえ侍︒またこのかきしるせる     ︵32︶     ︵33︶      ︵34︶    ︵35︶      法     ︵36︶ふるき人の心もたくみに詞もとSのほりてしるせらんおやいまあや

    ︵38︶       ︵39︶   ︵40︶    ︵を︶︵41︶     ︵42︶      ︵43︶︵44︶おくともに︑いさsか天竺展旦日域のむかしのあとをひとふてなと 侍らんなとおもひたまひて︑つかうまつれる也︒長明は︑人の耳を        ︵S4︶ ひきあはせたる事の侍は︑これおはしにてしりそむるえともやなり

⑯       ︵47︶ ︵48︶     ︵49︶ ︹伝︺     ⑳  ︵を︶もよろこはしめ︑またけちえんにもせむとてこそ︑僧のうちの人お

ものせけんお︑よの人のさやうにはおもはて︑ (51︶    ︵を×52︶     ︵53︶  ︵54︶       ︵55︶  ︵56︶

                                            侍

    ︵57︶ ︵58︶       ︵59︶       ︵60︶にならひてかやう        ︵61︶にもおもひ侍るなるへし︒ゆめくくさかくれなきかけにも︑我を

そ は むる詞かなとはおもふましき也︒

 

〔校異︺︵1︶さても←扱︵神︶︵2︶ある←有︵神︶︵3︶みえ←みゑ︵為・

      め

       

宮︶見え︵諌・神・類・版︶︵4︶侍めれと←侍れと︵為︶ ︵5︶

(6)

第22号 昭和48年 金沢大学教育学部紀要

この←此︵神︶︵6︶人を←人お︵為︶︵7︶こと←事︵語・神︶

(8︶かたく←かたかた︵類︶⑨よの中←世の間︵神︶︵10︶なら ひ←習ひ︵神︶︵11︶おのれ←をのれ︵諌・神・類・版︶︵12︶も゜の を←ものお︵為︶︵13︶みたる←見たる︵謹・神・類・版︶︵14︶こ れ 有︵神︶⑰たやすけに←たはやすけに︵謂・版︶︵18︶いふ←云︵神︶ は←是は︵神︶︵15︶しるせる←せる︵神・類・版︶︵16︶あり←

(19︶また←又︵神︶︵20︶ふてを←筆を︵神︶︵21︶ものを←ものお

(為︶物を︵神︶ ︵22︶この事←このこと︵課・類・版︶此こと ちなは←若落なは︵神︶ ︵26︶かなしむ←なしむ︵宮︶かなしふ (神︶︵23︶こそ←社︵神︶︵24︶この事←此事︵神︶︵25︶もしお       こ しるせらんおや←しるせらんおや︵為︶しるせらんを︵宮︶しる ←こ︑うも︵類・版︶︵30︶とsのほりて←と〜のをりて︵諌︶⑪ (語︶︵27︶かきたまふ←書給ふ︵神︶︵28︶また←又︵神︶︵29︶心も

せ んを︵謂・神・類・版︶︵32︶ひき←引︵神︶︵33︶らん←らむ たこのかきしるせる←又此書しるせる︵神︶︵37︶あと←跡︵神︶ (為・宮︶︵34︶いかxと←いかs︵神︶︵35︶侍←侍る︵神︶︵36︶ま は←侍るは︵神︶︵41︶これお←これを︵宮・類・版︶是を︵神︶ (38︶ひきあはせ←引合︵神︶︵39︶事←こと︵謹・類・版︶︵40︶侍

(42︶しり←知︵神︶︵43︶なり←成︵神︶︵44︶侍は︑これおはしに てしりそむるえともやなり←欠文︵謹︶︵45︶おもひたまひて←思 ひ 玉 ひ て

(諌︶思ひ給ひて︵神・類・版︶⑭耳をも←耳おも︵為

.宮︶耳をは︵神︶︵47︶またけちえんにも←又結縁にも︵神︶︵48︶

せ む←せん︵神・類・版︶︵49︶こそ←社︵神︶⑳僧のうちの←伝 のうちの︵為・宮・類・版︶伝の中の︵神︶︵51︶人おも←人をも

(宮・諌・神・類・版︶︵52︶けんお←けんを︵謹・神・類・版︶

(53︶よの人の←よの人︵宮︶世の人の︵神︶︵54︶さやう←左様

(神︶︵55︶おもはて←欠文︵神︶︵56︶侍に←侍るに︵神︶︵57︶

おもひ←思ひ︵宮︶︵58︶侍る←侍︵為・宮︶︵59︶くさ←草︵神︶

(60︶かけにも←かけも︵神︶︵61︶也←なり︵為・宮︶

二︑如幻僧都の発心のこと  ︵1︶︵2︶︵お︶︵3︶④

 昔︑如幻僧都といふ人をはしけり︒もとはならの京東大寺にすみ

て︑華厳宗をそならひ給ひける︒そのころ︑善珠大徳学問のこうた (5︶  ︵6︶ ︵7︶︵8︶  ︵9︶⑩

  ︵11︶    ︵を︶︵12︶  ︵13︶  ︵を︶⑭      ︵15︶

えをもとり︑位をもあからんとおもひて︑くまのにこもりて身をく   ︵別︶        ︵25︶      ︵26︶     ︵27︶       ︵28︶ ちにおこなひの道におもむきて︑この人よりはさきたちて世のきこ  ︵20︶      ︵21︶    ︵22︶       ︵23︶ もこの人にまさるへからす︒しかし︑この道おあらためて︑ひとす    ︵18︶       ︑    ︵を×19︶ きことにいひあへりけり︒僧都これをみて︑我いかにかくもんすと    ︵16︶      ︵17︶かくてねふりおのぞきうゑおしのひて見えけれは︑時の人もいみし        ︵29︶     ︵30︶         ︵田︶

        ︵お︶   ︵32︶       ︵33︶   ︵34︶ たきほねをsりてひとすちにおこなひたまひけり︒かsるほとに︑

か た

ありけり︒これをみてあさましと思ひて︑さてもかくして世中にあ  ︵35︶      ︵36︶      ︵37︶  ︵38︶    ︵39︶ はらに︑わかをこなひを五六かさねたらんほとにおこなふもの

  ︵40︶  ︵ひ︶ ︵41︶      ︵42︶りてはつゐにはいかなるへきそと思ひつsくるに︑いとあちきなく      ︵43︶よしなくて︑やかてはしりいてたまひにけり︒

〔校異︺︵1︶昔←むかし︵課・神︶︵2︶いふ←云︵神︶︵3︶をはし←お      

はし︵語・神・類・版︶④ならの←南都の︵神︶︵5︶すみて←住     

て

(神︶︵6︶をそ←おそ︵為︶︵7︶ならひ←習ひ︵神︶︵8︶給ひ      ←たまひ︵為・宮・謹・類・版︶給︵神︶ ︵9︶その←其︵宮・

     神︶⑩ころ←ころは︵謹・類・版︶比は︵神︶ ︵11︶こうたかく      

て←功高くて︵神︶︵12︶ねふりお←ねふりを︵宮・語・神・類・

    版︶︵13︶のぞき←除き︵神︶⑭うゑお←うゑを︵宮︶こゑを︵謂      ・神・類・版︶ ︵15︶見えけれは←みえけれは︵神・類・版︶︵

    16︶ことに←事に︵詣・神︶︵17︶かくもん←字同︵神︶︵18︶この       人←此人︵神︶︵19︶この道お←この道を︵宮・諌・類・版︶此道      を︵神︶︵20︶ひとすちに←一筋に︵神︶︵21︶おもむきて←をもむ      きて︵謹︶︵22︶この人←此人︵神︶︵23︶さきたちて←先たちて︵

     神︶︵24︶きこえをも←きこゑおも︵為︶きこゑをも︵宮︶聞えを      も︵課・神︶︵25︶位をも←位おも︵為︶︵26︶あからんと←あから     むと︵為・宮・神︶︵27︶おもひて←思ひて︵請・神・類・版︶ ︵      28︶くまのにこもりて←熊野に籠りて︵神︶︵29︶ほねをsりて←

     ほねをおりて︵諌・類・版︶骨を折て︵神︶︵30︶ひとすちに←

     すしに︵神︶ ︵31︶たまひ←玉ひ︵謹︶給ひ︵神︶一︵32︶をこな      

ひ←おこない︵為・宮︶おこなひ︵謹・類・版︶︵33︶んほとに←

     らん←らむ︵諌︶︵34︶かたはらにわかをこなひを五六かさねたら      欠 文

(神︶︵35︶あり←有︵神︶︵36︶これをみて←これおみて︵為      

) 是を見て︵神︶ ︵37︶あさましと←浅間敷と︵神︶︵38︶思ひて      ←おもひて︵為・宮・神︶ ︵39︶さても←扱も︵神︶︵40︶世中に     ありては←世の中有ては︵神︶︵41︶つゐには←ついには︵為・宮      

) 終 には︵神︶ ︵42︶へきそと思ひ←へきことおもひ︵謂︶へき      事と思ひ︵神︶へきことsおもひ︵類・版︶︵43︶はしりいてたま       ひ

に←走り出給に︵神︶

  ︵−︶       ︵2︶

    ︵ひ︶︵3︶   ︵4︶   ︵5︶   ︵6︶      ︵7︶ さて︑はりまの国たかをたにといふ所におはして︑他事なく後世

の

て︑後にはほいなきほとに侍けれは︑はなれたる所にあやしのいほ       ︵10︶       ︵11︶ る︒かsるほとに︑弟子にならむとて︑人あまたいてきあつまり        ︵8︶       ︵9︶ おこないして︑つねには心をすまして︑華厳経をそよみたまひけ

二一

(7)

原田・藤島8「閑居友』〔1〕 229

(12︶ ︵へ×13︶︵14︶ ゐ︵15︶ 

(16︶

りかまゑて︑たsひとりとして︑くひものなともみつからいとなみ   ︵を︶︵17︶        さ 心       ︵18︶      ︵19︶て︑弟子おはときくそこさせける︒あるとき︑いま七日はかりは       ︵20︶      ︵21︶   ⑳きひしきおこなひをする事侍へし︒ゆめくきたることなかれとあ

りけれは︑そのほと人ゆきかふ事なかりけり︒日ころ過て︑いほり (23︶      ︵24︶       ︵25︶

(26︶       ︵27︶

の        ︵32︶       ︵33︶      ︵34︶ あはせて西にむかひていのちつきたまひにけるなるへし︒そのとし    ︵28︶       ︵29︶      ︵30︶      ︵31︶ ほとにいひしらぬにほひの侍ければ︑あやしくてみけれは︑てを

は 六

  ⑮      ︵36︶       ︵37︶十二︒ころは十二月二日にてそ侍ける︒くわんおんを本尊にし 僧都といへるは︑ひか事にや侍らん︒かのはりまのたかをたにsゑ       ︵44︶      ︵45︶         ︵46︶ らかにならへると侍にや︒また︑僧都になれるよしも見えす︒もし         ︵41︶      ︵42︶      ︵43︶ らさめれは︑しるし侍なるへし︒かの伝には︑唯識目明の道をあき       ︵38︶  ︹因︺⑲⑳たまひけるとかや︒この人の事︑往生伝に侍めれと︑このことは侍

(ρ︶      ︵48︶ ︵お︶    ︵49︶      ︵50︶

に

て︑ひかさと経ふくろとはかりを︑きたまひたるすかたとそきき侍     ︵51︶      ⑫ かける御すかたのをはするは︑きのしたに︑ いしをしきものに し︒発心のはしめより命終まですみておほへ侍り︒ (53︶       ︵54︶

〔校異︺︵1︶さて←担︵神︶︵2︶たかをたにといふ所に←たかを谷と云所       に

(神︶︵3︶おこない←おこなひ︵諏・神・類・版︶︵4︶つね←

     常︵神︶︵5︶心を←こsろを︵諏・類・版︶︵6︶すまして←澄し       て

(神︶︵7︶華厳経をそよみたまひ←花厳経を読給︵神︶︵8︶な      らむ←ならん︵諌・神・類・版︶︵9︶いてき←出来︵神︶︵10︶ほ       い←ほひ︵類︶︵11︶侍けれは←侍りけれは︵神︶﹁り﹂は小さく           ゐ 傍記︵12︶いほり←庵︵神︶︵13︶かまゑて←かまへて︵宮・諌・

           た  こ 類・版︶構て︵神︶︵14︶たs←たた︵類︶︵15︶ひとりとして←ひ      とりゐて︵為・宮・謹・類・版︶独りゐて︵神︶︵16︶くひもの←

      食もの︵神︶︵17︶弟子おは←弟子をは︵宮・謂・神・類・版︶

    ︵18︶あるとき←ある時︵神・類・版︶︵19︶はかりは←斗は︵神︶

    ︵20︶事←ζと︵神・類・版︶︵21︶きたること←来たる事︵神︶き      たる事︵為・宮・諏・類・版︶⑳なかれ←ななかれ︵謹︶︵23︶あ      り←有︵神︶︵24︶そのほと人ゆきかふ←その人ゆきかふ︵調︶其       程 人 往 か ふ

(神︶︵25︶日ころ←日比︵神︶︵26︶過ていほりの←す      きていほりの︵為・宮・類・版︶過て庵の︵神︶︵27︶てを←てお      

(為︶手を︵神︶︵28︶あはせて←合て︵神︶︵29︶むかひて←むか      

ひ て て

(類︶︵30︶いのちつきたまひに←命尽給に︵神︶いのちつ      き玉ひに︵謹︶︵31︶その←其︵宮︶︵32︶ころは←﹁ころはしの      

﹁は﹂傍書︵為︶︵33︶にてそ←にて︵課・神・類・版︶︵34︶くわ

二 二         んおん←くわんをん︵課︶観音︵神︶くはんおん︵類︶ ﹁宮﹂

        ﹁謂﹂ ﹁版﹂は﹁は﹂ともよめる⑯にしたまひ←にし玉ひ︵課︶

       

とし給︵神︶︵36︶この人←此人︵神︶︵37︶侍めれと←侍るめれと

        ︵神︶︵38︶かの←彼︵神︶⑳目明←﹁為﹂は目︑底本及び﹁宮﹂

       

﹁版﹂は目とも因ともよめる︒﹁類﹂は因明︒⑳道を←道お︵為︶

        道 に

(宮︶ ︵41︶あきらかにならへると侍←明力に習へると侍ル         ︵神︶︵42︶また僧都に←僧都に︵課・神・類・版︶︵43︶見えす←

       

み え す

(神︶︵44︶ひか事←ひかこと︵類・版︶︵45︶侍らん←侍ら         む

(為・宮︶︵46︶かのはりまの←彼播磨の︵神︶︵47︶ゑに←絵に         ︵神︶︵48︶御すかた←御姿︵神︶︵49︶をはする←おはする︵神        類・版︶︵50︶きのしたに︑いしを←木の下に︑石を︵神︶︵51︶ひ         かさ←日かさ︵神︶⑫はかりを︑きたまひたる←斗置給たる︵神︶

       

(53︶きき侍し←き︑侍し︵宮・諌・版︶聞侍し︵神︶︵54︶おほへ        ←おぼえ︵宮・類・版︶覚え︵謹・神︶

        ︵を︶

 三︑玄賓僧都門おさして善珠僧正をいれぬ事

 ︵1︶       ︵2︶    ︵3︶

   ︵4︶      ︵を×5︶ 昔︑ならの京興福寺の僧にて︑玄賓僧都といふ人おはしけり︒智        ︵6︶行ともにそなはりて︑御門僧都の位おさつけ給けれは︑寄をよみて

は ひ      ︵7︶         ⑧      ︵9︶かくれにける︒

        とつくにはやまみつきよしことしけき

      ︵18︶        ︵19︶ といへるにこそ︒まことにさかひへた\れる国の人もかよはて︑い

      ︵14︶︵15︶︵16︶⑰

となん侍ける︒ことにあはれにこそ侍れ︒とつくにとは︑とおつ国        ︵11︶         ︵12︶      ︵ほ︶ ︵13︶ 君の御代にはすまぬまされり

た        ︵20︶      ︵21︶つらにきよき山水なかれたる所おほく侍らんものをと︑ことに身

       ︵22︶       ︵23︶にしみて侍り︒さて︑その心さしをとけたまひける後の事なめり︒

 ︵24︶       ︵25︶御門のおほせにて︑弘法大師のせうそくし給へることはにも︑山ふ は︒御返事いかs侍けん︑いふせく思ひやられ侍︒この僧都は︑そ       ︵26︶かくいみしくおもひすましておはするよしとふらひたまひためる

(27︶       ⑳ の か

      ︵37︶      ︵38︶      ︵39︶  ︵40︶ なん返たまひける︒よもふけ風も身にしみわたりけれは︑もとのゐ      ︵34︶      ︵35︶      ︵36︶ 僧正になりて︑悦申て返給けるに︑あめふりけれはみのかさおきて      ︵29︶ ︵30︶         ︵31︶  ︵32︶      ︵を×33︶みよりなをのかるs心のふかくおはしけるなめり︒善珠大徳の 所 に は

    ︵41︶      ︵42︶   ︵へ︶︵43︶    ︵44︶やも返てしかなと思ひて︑からうしてゆきつきて西面の僧房

のとくちにたちてたsき給に︑あえておとするいらへもなし︒や﹀

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