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ベトナム沈埋トンネル工事における函体製作

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Academic year: 2022

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(1)

ベトナム沈埋トンネル工事における函体製作

㈱大林組 今里 敏也

㈱大林組 正会員 岡田 康

㈱大林組 正会員 ○荒牧 洋二 1.まえがき

サイゴン東西ハイウェイは、ベトナム社会主義共和国ホーチミン市 中心部の交通渋滞を緩和するために、日本の国際協力機構/JICAによる 円借款/ODAで建設が進められ、設計・施工監理は(株)オリエンタル コンサルタンツ・TEDI・ENVITECH・APECOが行っている。この内、沈埋 トンネル工事はサイゴン川を横断してホーチミン市の1区と対岸の2区 を結ぶもので、延長370m を函体4函の曳航・沈設及びRC現場打ちの閉 合により築造した。本稿では、函体製作の概要について報告する。

2.工事概要

表 1. 工事概要 工事名称 サイゴン東西ハイウェイ建設工事の内、沈埋トンネル工事 発 注 者 ホーチミン市人民委員会 都市土木建設投資管理局(UCCI)

施工場所 ベトナム ホーチミン市 1 区(Khanh Hoi 側)~2 区(Thu Thiem 側)

工 期 契約工期 36 カ月

工事内容

沈埋トンネル区間: 施工延長 L=370m

【函体製作】:4 函 (L=92.4m, W=33.3m, H=8.9m) 及び End Unit 1 函 (L=3.5m)、コンクリート 9,600m3/ 函、鉄筋 2,200t/函、端部鋼殻 1,112t、PC 鋼線 321t、GINA ガスケット 5 本、防水工 12,500m2(底部)19,000m2

(側頂部)、 電気防食 394 個、 艤装一式、 鉛直せん断キー47t、 連結ケーブル 61.1t/ 仮設工事としてバ ルクヘッド 626t、 バラストタンク 32 基(8 基/函×4 函) 等

3.函体仕様

ドライドックは沈設地点より約22km下流のニャベ川 沿いに造成した(図1)。沈埋函は、長さ92.4m幅33.3m 高さ8.9mの、両端部を鋼殻とするRC構造で、函体築 造後、軸方向にPCケーブルを緊張・定着した。断面は 片側3車線の車道と2mの避難通路からなり、1函あた りの重量は約27,000t である。外防水工としてRC部の 底版にTグリップ状のポリ塩化ビニル(PVC)防水シー トを使用し、側頂部にアクリル樹脂系の吹付防水材を使 用した。その他付帯工として端部鋼殻にGINAガスケッ ト、電気防食、鉛直せん断キーを取り付け、仮設備とし て端部にバルクヘッド、内部にバラスト設備等を設置し

た。ドライドック注水後に曳航・沈設用のボラード、砂吹き込み管等を艤装した(図2)。

4.函体製作と沈設準備 (1) 函体コンクリート

函体のRC部は15mを標準として7ブロックに分け、底版、壁、頂版の順に打設を行った(写真1)。 図1 サイゴン川流域の工事位置

図2 沈埋函の形状及び構造概略

2 1

PVC防水 33.3m

8.9m

92.4m

沈設地点

サイゴン川

ドライドック ホーチミン市

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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(2)

コンクリートは温度ひび割れ対策として打

設時温度 24℃以下、低熱セメント使用、打

設後の内部温度 60℃以下等の要求があり、

骨材の冷却、フレークアイス投入を行い、側 壁部に水循環用のクーリングパイプを設置 した。底版打設後、壁・頂版用一体のスライ ド式型枠(図3)を使用し、壁鉄筋組み・型 枠セット・壁コン打設、頂版鉄筋組み・頂版

コン打設の順で施工した。工期が短いため4函同時施工と し、さらにRC躯体に並行して端部鋼殻を組み立てた。ド ライドッグ造成時、函体下の地盤 1.5m厚をセメント量 180kg/m3で撹拌改良して基礎としたが、函体製作完了後 の相対沈下は許容値 66 ㎜に対して45 ㎜となった。沈埋 トンネルの長さ・線形を決める鋼殻端面プレートは、アプ ローチトンネル及び函体の出来形測量を繰り返して位置 を調整した。

(2) End Unit の引寄せ

End Unit(写真2)の4号函への引寄せ・仮接合をドラ イドックで行った。End Unitは4号函より2m離し、2 枚鉄板を重ねた上で製作した。End Unit製作前と引き寄 せ前に2枚の鉄板間にグリスを塗って引き寄せ時の摩擦 を減らした。4号函に定着したPCケーブル66本の内12 本の端部に仮のPCケーブルをつないでEnd Unitを通し、

PCケーブル緊張用の280tジャッキを使用 してEnd Unitを4号函へ引き寄せた。GINA ガスケットは設計値の 70%まで圧縮した。

引き寄せ時には底版側のジャッキ 4 台、

GINAガスケット圧縮時にジャッキ12台を 使用した(図4)。

4.おわりに

2007年8月に沈埋函の製作を開始し、2008年6月に頂 版コンクリートの打設を終了した。中断を挟んで2010年 1月に頂部防水保護コンクリート・一次艤装までの函体製 作を完了し、ドライドックに注水した。本工事で採用した RC沈埋函製作及びPCケーブルによるEnd Unitの引寄 せ方法は、同様のRC沈埋トンネル工事に適用可能と考え る。今後も本技術を通じて内外のインフラ整備に貢献した い。

キーワード: ODA, ベトナム沈埋トンネル, 沈埋函, 沈埋函製作, End Unit引寄せ, 吹付け防水材, GINAガスケット 連絡先: ㈱大林組 海洋土木技術部(〒108-8502東京都港区港南2-15-2 品川インターシティーB棟 Tel : 03-5769-1314)

写真1 函体及びEnd Unitの製作状況

図3 壁頂版一体スライド式型枠

写真3 函体製作完了

End Unit

4号函

写真2 End Unitの4号函への引寄せ

1 2 3 4

6

12 10

7 5

8 9 11

ジャッキ設置位置

図4 引寄せジャッキの配置 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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