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報告 空気量の範囲が凍害劣化予測に及ぼす影響に関する検討

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(1)

報告 空気量の範囲が凍害劣化予測に及ぼす影響に関する検討

黒岩 秀介*1・根東 正茂*2・小泉 賢一*2・高御堂 良治*3

要旨:既存鉄筋コンクリート構造物の耐凍害性を確認するために,建屋部と水路部に用いた2種類のコンク リートに対して,練上がり空気量を3.5%~5.0%の範囲で4水準に変化させ,凍結融解試験を行った。この結 果,300サイクルの相対動弾性係数は全て85%以上を満足した。また,試験による凍結融解サイクル数と相対 動弾性係数の関係を用い,ASTM 相当サイクル数による方法と基準化凍結融解サイクル法により構造物の耐 凍害性を予測した。この結果,計画供用期間65年において十分な耐凍害性を有することが確認できた。

キーワード:凍害,空気量,凍結融解試験,相対動弾性係数,ASTM相当サイクル数,気泡間隔係数

1. はじめに

既存鉄筋コンクリート構造物(以下RC構造物と略記)

の耐凍害性を確認するために,新築時の材料および調合 を再現するコンクリート供試体を作製して凍結融解試験 を行い,試験結果を反映させた凍害劣化予測を行った。

RC構造物の新築時の空気量の管理値は4.5±1.0%であ ったため,建屋部と水路部に用いた使用材料や水セメン ト比が異なる2種類のコンクリートに対して,練上がり の空気量を3.5%~5.0%の範囲で 4水準に変化させた供 試体を作製し,凍結融解試験・気泡間隔係数測定・圧縮 強度試験を行った。凍結融解試験は300サイクル以降も 継続し,十分な耐久性の目安とされる相対動弾性係数 60%程度までの凍結融解サイクル数と相対動弾性係数の 関係を把握した。

凍結融解に伴う劣化予測手法は,実環境の凍結融解サ イクル数が,凍結融解試験の凍結融解サイクルで何サイ クルに相当するかを算出し,凍結融解試験の凍結融解サ イクル数と相対動弾性係数の関係を用いて,相対動弾性 係数の低下を予測するものが多い1)~3。本報告では,凍 結融解試験の結果を用いて,濱らのASTM相当サイクル 数による方法2と石井らの基準化凍結融解サイクル法3 により,耐凍害性の確認を行った。

本報告は,凍結融解に伴う劣化予測に資するデータの 蓄積を目的とし,これらの結果を取り纏めたものである。

2. 凍結融解試験 2.1 試験概要

(1) コンクリートの使用材料・調合

表-1 にコンクリートの使用材料・調合を示す。調合 記号59.8-20Mは,水セメント比59.8%・粗骨材最大寸法

(以下Gmaxと略記)20mm・中庸熱ポルトランドセメン

トを用いたコンクリートで,新築時の設計基準強度は 225kgf/cm2,管理材齢は 42 日,適用箇所は建屋である。

一方,調合記号 53.5-40FB は,水セメント比 53.5%・ Gmax40mm・フライアッシュセメント B 種を用いたコン クリートで,新築時の設計基準強度は240kgf/cm2,管理 材齢28日,適用箇所は水路部である。59.8-20Mと53.5- 40FBでは,骨材やAE減水剤の種類が異なるが,空気量 調整剤の種類は共通である。また,いずれも調合計画上 の空気量は4.5%であるが,空気量調整剤の使用量を加減 して,練上がりの空気量を3.5%~5.0%の範囲で4水準に 変化させて供試体を作製した。後述のコンクリートの呼 び名には,調合記号の後に空気量調整剤の使用量を付記 した。なお,使用材料・調合はRC構造物の新築時を再 現したものである。骨材の粗粒率等が新築時から変化し ていたため,コンクリートのスランプは新築時の目標値 12cmに比べて小さくなることが想定されたが,スランプ の違いが凍結融解試験の結果に及ぼす影響は小さいと考 え,所定の空気量であれば供試体を作製することとした。

(2) 試験内容

フレッシュコンクリートは,スランプ(JIS A 1101),

*1 大成建設(株) 技術センター 社会基盤技術研究部 博士(工学) (正会員)

*2 北海道電力(株) 土木部 原子力建築グループ

*3 北海道電力(株) 土木部 原子力土木グループ

表-1 コンクリートの使用材料・調合

調合 記号

Gmax

(mm) W/C

(%) s/a (%)

単位量(kg/m3) AE減水剤 (C×%) セメントC 細骨材 粗骨材

M FB S1 S2 G1 G2 W Ad1 Ad2 59.8-20M 20 59.8 46.4 281 - 855 - 1020 - 168 0.4 53.5-40FB 40 53.5 40.7 - 314 - 709 - 1050 168 - 0.25

M:中庸熱ポルトランドセメント(密度3.21g/cm3 FB:フライアッシュセメントB種(密度2.96g/cm3 S1:混合砂1(表乾密度2.64g/cm3,吸水率1.48%,FM1.98)

S2:混合砂2(表乾密度2.56g/cm3,吸水率3.08%,FM2.29)

G1:安山岩砕石2005(表乾密度2.72g/cm3,吸水率1.49%,FM6.59)

G2:安山岩砕石4005(表乾密度2.60g/cm3,吸水率2.41%,FM7.09)

Ad1, Ad2: AE減水剤(空気量調整剤としてAE剤を別途使用)

コンクリート工学年次論文集,Vol.39,No.1,2017

(2)

空気量(JIS A 1128),コンクリート温度(JIS A 1156),単 位容積質量(JIS A 1116)の測定を行った。空気量の算出 には骨材修正係数を用いた。

凍結融解試験は,JIS A 1148のA法に準拠した。供試 体は,59.8-20M(Gmax20mm)と53.5-40FB(Gmax40mm)

のいずれも100×100×400mmとし,1水準3個とした。

前養生は標準養生28日とし,凍結融解は,JISに規定さ れる300サイクルを超えても,相対動弾性係数が60%程 度に低下するまで繰り返す計画とした。なお,JISでは,

供試体の一辺の長さを100mm,粗骨材の最大寸法を供試 体断面の一辺の3分の1以下と規定しているが,ウェッ トスクリーニングで大粒径の骨材を取り除く作業は空気 量を変化させる恐れがあるため,Gmax40mm のコンクリ ートもそのまま供試体を作製した。

気泡間隔係数の測定は,ASTM C 457に準拠した。供 試体は,59.8-20Mをφ100×200mm,53.5-40FBをφ125

×250mmとし,いずれも1水準1個とした。標準養生材 齢28日の後,切断・研磨を行い,59.8-20Mは1水準2 面,53.5-40FBは1水準3面の測定を行った。

圧縮強度(JIS A 1108)は,59.8-20Mの供試体をφ100

×200mm,53.5-40FBをφ125×250mmとし,標準養生材 齢28日に1水準3個の試験を行った。

2.2 試験結果

(1) フレッシュコンクリート

練混ぜは,容量50Lの水平2軸形強制練りミキサを用 い,新築時を参考に,C+S+G(空練り30s)→W1+Ad(60s)

→W2+空気量調整剤(120s)の順とした。ここで,W1は セメント量の0.27倍の水量,W2は残りの水量である。

表-2 にフレッシュコンクリートの試験結果を示す。

フライアッシュセメントB種を用いた調合53.5-40FBの 空気量調整剤の使用量は,中庸熱ポルトランドセメント を用いた調合59.8-20Mより多くなったが,いずれの調合 も空気量調整剤の使用量に応じて空気量が直線的に増加 する傾向を示し,所定の空気量のコンクリートを作製す ることができた。

(2) 凍結融解抵抗性

図-1 および図-2 に凍結融解サイクル数と相対動弾 性係数および質量減少率の関係を示し,耐久性指数を表

-2に併記した。JASS 54では,凍結融解試験300サイ クルにおける相対動弾性係数について,激しい凍結融解 作用を受けるコンクリートの品質は85%以上,屋外に面 するコンクリートでも常時湿潤状態にない構造体や部材 においては60%あれば十分と解説している。今回の凍結 融解試験では,全ての供試体が相対動弾性係数85%を満 足し,十分な耐凍害性を有するコンクリートであった。

a) 59.8-20M (W/C=59.8%・Gmax20mm・セメントM)

b) 53.5-40FB (W/C=53.5%・Gmax40mm・セメントFB) 凡例は,調合記号-空気量調整剤使用量(フレッシュ時の空気量)

図-1 凍結融解サイクル数と相対動弾性係数の関係 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数(%)

凍結融解サイクル数(回)

59.8-20M-0.004(3.6%) 59.8-20M-0.006(4.0%) 59.8-20M-0.008(4.5%) 59.8-20M-0.010(4.9%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数(%)

凍結融解サイクル数(回)

53.5-40FB-0.032(3.5%) 53.5-40FB-0.036(4.0%) 53.5-40FB-0.040(4.4%) 53.5-40FB-0.044(5.0%)

表-2 試験結果一覧

呼び名※1

フレッシュコンクリート 硬化コンクリート

スランプ (cm)

空気量※2 (%)

温度 (℃)

単位容積質量 (t/m3)

凍結融解試験 耐久性指数

気泡間隔係数 (μm)

空気量 (%)

圧縮強度28 (N/mm2) 59.8-20M-0.004 4.0 3.6 23 2.344 92 320 4.0 35.1

59.8-20M -0.006 4.5 4.0 23 2.332 95 273 4.8 34.4

59.8-20M -0.008 5.0 4.5 23 2.321 94 326 4.9 34.2

59.8-20M -0.010 5.0 4.9 23 2.309 96 285 5.5 32.6

53.5-40FB-0.032 6.0 3.5 23 2.262 87 259 3.5 30.1

53.5-40FB -0.036 6.0 4.0 23 2.250 91 227 4.2 28.3

53.5-40FB -0.040 6.5 4.4 23 2.240 90 184 4.8 28.2

53.5-40FB -0.044 7.0 5.0 23 2.223 89 165 5.1 27.6

※1:呼び名の最後の数字は空気量調整剤使用量(セメント量に対する百分率)※2:フレッシュ時の空気量は骨材修正係数を用いて算出した

(3)

a) 59.8-20M (W/C=59.8%・Gmax20mm・セメントM)

b) 53.5-40FB (W/C=53.5%・Gmax40mm・セメントFB) 凡例は,調合記号-空気量調整剤使用量(フレッシュ時の空気量)

図-2 凍結融解サイクル数と質量減少率の関係

質量減少率については,圧縮強度や骨材種類・寸法が 異なる59.8-20Mと53.5-40FBとの差異はみられるが,同 一調合を比較すると,空気量の違いによる影響は小さい。

図-3 にフレッシュコンクリートの空気量と耐久性指 数の関係を示す。本実験の空気量の範囲では,同一調合 における耐久性指数に大きな差異はみられない。

(3) 気泡間隔係数

気泡間隔係数および硬化コンクリートの空気量を表

-2 に併記した。硬化コンクリートの空気量はフレッシ ュ時の空気量よりやや多くなっており,打込み時の脱泡 や破泡などの影響はほぼないと考えられる。図-4 に気 泡間隔係数と耐久性指数の関係を示す。調合59.8-20Mは,

気泡間隔係数250μmを超えているものの,耐久性指数 90以上の優れた耐凍害性を示した。

(4) 圧縮強度

標準養生材齢 28 日における圧縮強度を表-2 に併記 し,図-5 に耐久性指数との関係を示す。調合間の比較 では,強度が高い59.8-20Mの耐久性指数は,53.5-40FB より大きい。同一調合の比較では,空気量の効果が卓越 し,見掛け上,強度が低い方が耐久性指数は大きい。

図-3 空気量と耐久性指数の関係

図-4 気泡間隔係数と耐久性指数の関係

図-5 圧縮強度と耐久性指数の関係

3. 凍結融解に伴う劣化予測 3.1 劣化予測手法

(1) 濱らのASTM相当サイクル数による方法

濱らは,実環境のコンクリートが1年間に受ける凍結 融解作用を,ASTM C 666 A法の凍結最低温度-18℃を基 準としたASTM相当サイクル数として表す式を導出し,

耐用年数の推定方法を示している2

式(1),式(2)では,凍結持続日数の長い地域は,凍結融 解回数が少なくなるので,日最低気温の年間極値が同じ でもASTM相当サイクル数は少ないとして,日最低気温 の年間極値を低減する「地域係数 T」と「気温による 0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 150 300 450 600

質量減少率(%)

凍結融解サイクル数(回)

59.8-20M-0.004(3.6%) 59.8-20M-0.006(4.0%) 59.8-20M-0.008(4.5%) 59.8-20M-0.010(4.9%)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 150 300 450 600

質量減少率(%)

凍結融解サイクル数(回)

53.5-40FB-0.032(3.5%)

53.5-40FB-0.036(4.0%)

53.5-40FB-0.040(4.4%)

53.5-40FB-0.044(5.0%)

80 85 90 95 100

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5

耐久性指数

フレッシュコンクリートの空気量(%)

59.8-20M 53.5-40FB

80 85 90 95 100

150 200 250 300 350

耐久性指数

気泡間隔係数(μm)

59.8-20M 53.5-40FB

80 85 90 95 100

25 30 35 40

耐久性指数

標準養生28日強度(N/mm2) 59.8-20M 53.5-40FB

(4)

ASTM相当サイクル数Ra90」を算出する。

T ta 1 D D⁄ (1)

Ra 4.2 T 5.4 (2)

ここに,

T:地域係数

ta :日最低気温の年間極値(℃)

D:凍結持続日数(最高温度が0℃を下回る日数,日) D :凍結融解総日数(最低温度が-1℃を下回る日数,日) Ra :気温によるASTM相当サイクル数(回/年)

式(3),式(4)では,「劣化の兆候」を相対動弾性係数(REd) 90%,「明確な劣化」を60%とする劣化過程,日射条件,

凍結融解作用を受けるまでの乾燥の影響,凍結融解時の コンクリート周囲の水分状態を考慮して,「ASTM 相当 サイクル数CyASTM」を算出する。

Cy s ∙ C ∙ F Ra (3)

Cy s ∙ C ∙ F 1.64 Ra (4)

ここに,

Cy :ASTM相当サイクル数(REd100→90%)(回) Cy :ASTM相当サイクル数(REd90→60%)(回) s:日射条件による係数2

C:養生・乾燥条件による係数2 F:凍結融解条件による係数2

「耐用年数 X」は,式(5)~式(7)により,算出される。

X N ⁄Cy (5)

X N N ⁄Cy (6)

X X X (7)

ここに,

X :REdが100→90%になる年数(年)

N :凍結融解試験におけるREd90%のサイクル数(回) X :REdが90→60%になる年数(年)

N :凍結融解試験におけるREd60%のサイクル数(回) X:耐用年数(REdが60%まで低下する年数,年)

(2) 石井らの基準化凍結融解サイクル法

石井らは,最低温度と水セメント比の関数である凍結 細孔量比と破壊サイクル数(相対動弾性係数が60%を下 回る凍結融解回数)の対数との間に線形関係を見出し,

ASTM C 666 A法による試験体データから重回帰分析に より各係数を定量化している3。式(8),式(9)では,基準 となる水セメント比および最低温度(凍結融解試験にお いては-18℃)に対して,他の水セメント比,最低温度に おける破壊サイクル数との比をとり,これを重み係数と して凍結融解サイクル数に乗じて評価し,水セメント比 および最低温度の影響を考慮する。基準となる最低温度 よりも最低温度が高い凍結融解サイクルが作用した場合

には,基準とした最低温度のサイクル数が少なく作用し た状態の損傷が起きたと評価する。

本報では,後述する試験における凍結融解サイクル数 と相対動弾性係数の関係から近似式(11)を求め,実環境 における凍結融解サイクル数と相対動弾性係数を,前述 の重み係数を考慮し,式(10)とした。

N 10 . . . . (8)

φ N ⁄N (9)

RE =100 exp α Cycle ⁄φ (10) ここに,

N :破壊サイクル数(回) C W⁄ :セメント水比 θ:最低温度(℃)

φ :最低温度による重み係数

N :実環境の最低温度の破壊サイクル数(回) N :試験温度(-18℃)の破壊サイクル数(回) RE :相対動弾性係数(%)

Cycle :実環境の基準化凍結融解サイクル数(回) α,β:凍結融解試験結果を用い,最小二乗法により 劣化曲線の近似式(11)を得る。ここで,Cycle は,

凍結融解試験におけるサイクル数

RE 100 exp α Cycle (11)

3.2 劣化予測結果

(1) 試験における凍結融解サイクル数と相対動弾性係 数の関係

今回の凍結融解試験では,300 サイクル以降も試験を 継続し,相対動弾性係数60%程度までの曲線を得ること ができた。そこで,ASTM相当サイクル数による方法に 用いる相対動弾性係数90%・60%の時のサイクル数N90・ N60を,近傍2 回の測定結果の直線補間によって求める ことができる。図-6 に,セメント・骨材の種類が異な る2調合,空気量4水準の全8種類のコンクリートにつ いて,N90とN60の試験結果を通る折れ線(青線)を,凍 結融解試験結果と比較して示す。

基準化凍結融解サイクル法においても,300 サイクル 以降の試験結果を用いることで,式(11)の近似の精度が 向上する。ここでは,凍害劣化の進行を検討する際に重 要となる相対動弾性係数 90%,85%,60%となる凍結融 解サイクル数の推定精度向上のため,係数の同定には相 対動弾性係数91%以下のデータを使用した。図-6に近 似曲線(赤線)を併記する。

これらの結果から,ASTM相当サイクル数による方法 において用いる N90とN60を通る折れ線,基準化凍結融 解サイクル法に用いる式(11)のいずれも,相対動弾性係 数90%から60%の範囲の試験結果をよく表現できている ことがわかる。

(5)

(2) ASTM相当サイクル数法による耐凍害性の評価 ASTM相当サイクル数による方法の計算条件は,次の ように仮定した。日射条件による係数sは,建屋部のコ ンクリート(59.8-20M)は日射の影響を受けるため「水 平面・南面(1.45)」とし,水路部のコンクリート(53.5- 40FB)は日射の影響を受けないため「北面(1.00)」とし た。養生・乾燥条件による係数Cは,文献2)の算出例 を参考に,いずれも「20℃乾燥(REd>90%は0.26,90%

≧REdは0.80)」とした。凍結融解条件による係数Fは,

建屋部は「気中凍結・水中融解(REd>90%は0.21,90%

≧REdは0.23)」とし,常時水に接する水路部は「水中凍 結・水中融解(1.00)」とした。また,敷地内の芝生面か ら1.8mの高さに設置した電気式温度計で測定した5年 間の気温データ(1時間毎)を用いて,気温によるASTM 相当サイクル数Ra90を「13.5回/年」と算出した。

図-7にASTM相当サイクル数による方法で算出した 経過年数と相対動弾性係数の関係を示す。文献 2),3)

を参考に相対動弾性係数が60%まで低下する年数を耐用 年数とすると,「気中凍結・水中融解」とした建屋部の 59.8-20Mは314~404年,「水中凍結・水中融解」とした 水路部の53.5-40FBは88~104年となり,両者の差異は 凍結融解条件の影響が大きい。しかし,調合が同じであ れば空気量による影響は小さく,RC 構造物の計画供用 期間 65 年において十分な耐凍害性を有することが確認 できた。

a) 59.8-20M (W/C=59.8%・Gmax20mm・セメントM)

b) 53.5-40FB (W/C=53.5%・Gmax40mm・セメントFB) 凡例は,空気量調整剤使用量 (フレッシュ時の空気量)…REd=60%の年数

図-7 ASTM相当サイクル数による経過年数と 相対動弾性係数の関係

40 50 60 70 80 90 100

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 相対動弾性係数REd(%)

経過年数 0.004(3.6%)…314年 0.006(4.0%)…352年 0.008(4.5%)…389年 0.010(4.9%)…404年

建屋部

ASTM相当サイクル数法

40 50 60 70 80 90 100

0 50 100 150 200

相対動弾性係数REd(%)

経過年数

0.032(3.5%)…88年 0.036(4.0%)…104年 0.040(4.4%)…97年 0.044(5.0%)…90年

水路部

ASTM相当サイクル数法 a) 59.8-20M (W/C=59.8%・Gmax20mm・セメント M)

b) 53.5-40FB (W/C=53.5%・Gmax40mm・セメントFB)

図-6 凍結融解試験の劣化曲線の同定(青:ASTM相当サイクル数法,赤:基準化凍結融解サイクル法)

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数Red(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

59.8-20M-0.010(4.9%) REd=100×exp(-8.865e-12×Cy3.853)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数REd(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

59.8-20M-0.008(4.5%) REd=100×exp(-1.816e-12×Cy4.164)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数Red(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

59.8-20M-0.006(4.0%) REd=100×exp(-8.823e-12×Cy3.947)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600 相対動弾性係数REd(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

59.8-20M-0.004(3.6%) REd=100×exp(-2.904e-11×Cy3.845)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数Red(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

53.5-40FB-0.044(5.0%) REd=100×exp(-2.677e-09×Cy3.084)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数REd(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

53.5-40FB-0.040(4.4%) REd=100×exp(-4.647e-11×Cy3.770)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600

相対動弾性係数Red(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

53.5-40FB-0.036(4.0%) REd=100×exp(-1.320e-9×Cy3.138)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

40 50 60 70 80 90 100

0 150 300 450 600 相対動弾性係数REd(%)

凍結融解サイクル数Cy(回)

53.5-40FB-0.032(3.5%) REd=100×exp(-1.294e-7×Cy2.439)

REd=90%と60%の 試験結果を通る折線

(6)

(3) 基準化凍結融解サイクル法による耐凍害性の評価 基準化凍結融解サイクル法の計算条件は,暦日毎の日 最低気温の5年平均値から最低温度を「-8.0℃」とし,凍 結融解試験の最低温度「-18℃」との比較から,水セメン ト比「59.8%」のコンクリート(59.8-20M)の最低温度に よる重み係数を「13.2」,水セメント比「53.5%」のコンク リート(53.5-40FB)の重み係数を「18.9」とした。また,

1 年あたりの凍結融解サイクル数は,1年間で最低温度 が-1℃を下回る日数から,最高温度が 0℃を下回る日数 を差し引いた「60回」とした。

図-8 に基準化凍結融解サイクル法で算出した経過年 数と相対動弾性係数の関係を示す。基準化凍結融解サイ クル法は,暴露状態を水中養生とほぼ同等と仮定した条 件で導出されており,凍結融解条件による差は明確には 現れない。相対動弾性係数が60%まで低下する年数を耐 用年数とする場合,59.8-20Mは101~136年,53.5-40FB は145~171 年となり,式(8)によるセメント水比の影響 はあるものの,両者の差は小さい。また,いずれも十分 な耐凍害性を有するコンクリートであったため,同一調 合における空気量による差は小さく,RC 構造物の計画 供用期間 65 年において十分な耐凍害性を有することが 確認できた。

a) 59.8-20M (W/C=59.8%・Gmax20mm・セメントM)

b) 53.5-40FB (W/C=53.5%・Gmax40mm・セメントFB) 凡例は,空気量調整剤使用量(フレッシュ時の空気量)…REd=60%の年数

図-8 基準化凍結融解サイクル法による経過年数と 相対動弾性係数の関係

4. まとめ

中庸熱ポルトランドセメントを用いた水セメント比 59.8%およびフライアッシュセメントB種を用いた水セ メント比53.5%の2調合のコンクリートに対して,練上 がりの空気量を 3.5%~5.0%の範囲で 4 水準に変化させ た合計8種類のコンクリートの凍結融解試験を行った。

また,試験で得られた凍結融解サイクル数と相対動弾性 係数の関係を用いて,濱らのASTM相当サイクル数によ る方法2と,石井らの基準化凍結融解サイクル法3によ り,既存鉄筋コンクリート構造物の耐久性を試算した。

これらの結果を以下にまとめる。

(1) いずれのコンクリートも 300 サイクルにおける相対 動弾性係数85%以上を満足した。

(2) 相対動弾性係数 60%程度までの凍結融解サイクル数 と相対動弾性係数の関係は最大 600 サイクルまでの 範囲で得ることができた。

(3) 本実験の空気量の範囲では,同一調合における耐久 性指数に大きな差異はみられない。

(4) ASTM 相当サイクル数による方法で用いる凍結融解 サイクル数と相対動弾性係数の関係は,相対動弾性 係数 90%と60%を通る折れ線で試験結果を表現でき た。

(5) 基準化凍結融解サイクル法で用いる凍結融解サイク ル数と相対動弾性係数の関係は,相対動弾性係数91%

以下のデータを用いる近似により,相対動弾性係数 90%,85%,60%の試験結果を表現できた。

(6) ASTM 相当サイクル数による方法では凍結融解条件 が耐久性に大きく影響するが,評価方法にかかわら ず,計画供用期間65年において十分な耐凍害性を有 することが確認できた。

本検討で得られた結果は,今後の維持管理の参考知見 として活用していく予定である。

参考文献

1) 長谷川拓哉,千歩修,福山智子:コンクリートの凍 害劣化を対象とした劣化予測手法および気象デー タの違いによる耐用年数の比較,コンクリート工学 年次論文集,Vol.37,No.1,pp.859-864,2015 2) 浜幸雄,松村光太郎,田畑雅幸,冨板崇,鎌田英治:

気象因子を考慮したコンクリートの凍害劣化予測,

日本建築学会構造系論文集,No.523,pp.9-16,1999.9 3) 石井清,江川顕一郎,堤知明,野口博章:凍結融解

作用を受けるコンクリートの劣化予測に関する研 究,土木学会論文集,No.564/V-35,pp.221-232,1997.5 4) 日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説JASS 5

鉄筋コンクリート工事,p201,2015 40

50 60 70 80 90 100

0 50 100 150 200

相対動弾性係数REd(%)

経過年数

0.004(3.6%)…101年 0.006(4.0%)…117年 0.008(4.5%)…123年 0.010(4.9%)…136年

建屋部

基準化凍結融解サイクル法

40 50 60 70 80 90 100

0 50 100 150 200

相対動弾性係数REd(%)

経過年数

0.032(3.5%)…159年 0.036(4.0%)…171年 0.040(4.4%)…145年 0.044(5.0%)…152年

水路部

基準化凍結融解サイクル法

参照

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