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都市ガス岩盤貯蔵の構造設計と試設計について

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Academic year: 2022

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キーワード:   都市ガス、ライニング、高圧気体貯蔵、岩盤貯蔵、構造設計 

連絡先: 〒135‑8530 東京都江東区越中島 3‑4‑17  TEL 03‑3820‑5287, FAX 03‑3820‑5959 

都市ガス岩盤貯蔵の構造設計と試設計について 

 

(社)日本ガス協会 正会員 澤 一男  東京ガス(株)       丹羽 悦夫  大阪ガス(株)   正会員 香川 尚史  東邦ガス(株)       梅田 良人  清水建設(株)  フェロー○石塚与志雄  1.はじめに 

(社)日本ガス協会では経済産業省より委託を受け、平成 12〜14 年度の3年間、我が国における都市ガスのラ イニング式岩盤貯蔵技術の実用可能性(技術、適用性、経済性等)について検討してきた

1)2)

。その結果、我が 国の岩盤・運用条件においても実用可能性が高いことが確認さ

れた。本稿では、技術的成立性の調査研究として行った構造設 計の技術検討と岩盤貯蔵の運用・地質条件から設定した4タイ プの岩盤貯槽について行った試設計の概要を報告する。 

2.構造設計の概要 

岩盤貯蔵のコンセプトはつぎのようである(図‑1 参照)。 

①内圧は周辺岩盤で支持。裏込めコンクリートで圧力伝達。 

②気密材(ライニング材)で気密性を保持。 

③施工中、内圧解放時は排水パイプ等により貯槽周辺の地下 水を排水し、気密材には過大な外水圧を作用させない。 

ガスの気密性を保持する気密材の安定性は貯蔵圧を支持する 貯蔵空洞(岩盤)と圧力を伝達する裏込めコンクリートの変形

挙動に依存するため、運用時の貯蔵空洞とプラグの変形挙動の評価とこれを与条件とした気密構造の検討が主 課題となる。岩盤貯槽の構造検討フローを図‑2 に示す。貯蔵空洞の検討では、内圧に対する岩盤の安定性

3)

(設 置深度)、ゆるみ領域、裏込めコンクリート挙動を評価する。プラグ・マンホールの設計ではプラグとマンホー ルの構造検討とプラグ周りの構造不連続部変位を算定する。これらの結果と熱収支熱伝導の結果を基に気密構 造(気密材の鋼種・必要板厚)の検討(運用時の疲労、内圧解放時の安定性(座屈・大変形))を行う。 

   

地上設備 頂部アクセストンネル

岩 盤

底部アクセストンネル 上部アクセストンネル

プラグ

マンホール 配管

気密材(鋼板)

緩衝材

裏込めコンクリート 排水パイプ 坑口

貯槽

図‑1 岩盤貯蔵の概念図 

貯槽形状・寸法 裏込めコンクリート

(変位、ひび割れ)

必要最小土被り

厚さ(深度) ゆるみ領域

運用時・内圧解放時の貯蔵空洞の検討

(ゆるみ領域、裏込めコンクリート)

内圧に対する岩盤の安定性 掘削時の貯蔵空洞安定性

構造不連続部の変位

熱収支・熱伝導の検討 気密構造の設計 地形

地質構造 岩盤物性 初期地圧 運用条件

プラグ・マンホールの設計 必要最小土被り 厚さ(深度)

内圧に対する岩盤の 安定性(アップリフト)

貯蔵 空洞

健全部 岩盤

ゆるみ領域

■ 裏込めコンクリート

ひずみ分布

ひび割れ間隔 ひび割れ開口幅  (最大・振幅)

( 鉄筋量)

健全部 裏込め コンクリート 岩盤

内圧 載荷・除荷

ゆるみ領域

ひび割れ

裏込めコン クリート 緩衝材

 気密材 岩盤

■ 疲労の検討 コンクリートひ び割れ部の気密 材のひずみ評価

■ 座屈・大変形の    検討

・全体座屈

・局部大変形

裏込めコン クリート

気密材

緩衝材 最小圧

ひずみ集中 最大圧

ひび割れ開口 内圧

変動

構造不連続部

マンホール

プラグ アクセス  トンネル マンホール

プラグ アクセス   トンネル

運用時 内圧解放時

構造不連続部

  図‑2 岩盤貯槽の構造検討フロー 

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑931‑

III‑466

(2)

表‑1 想定岩盤と検討ケース(4タイプ) 

ワーキング ガス量

運用下限〜

上限圧力 払出流量 単基 幾何容積

(万mN) (MPa) (万mN/hr) 万m 高さ 内径

大規模貯蔵 300 5〜20 60 2.0 41.9 28.0 (花崗岩類等の火成岩類)硬岩 中規模貯蔵 70 5〜12 14 1.0 33.3 22.2 (中・古生代の堆積岩類等)中硬岩

40 1〜9 8 0.5 26.3 17.7 (花崗岩類等の火成岩類)硬岩 25 1〜6 5 0.5 26.3 17.7 (第三紀の堆積岩類等)軟岩

タイプ 想定岩盤

小規模貯蔵

貯槽寸法(m)

3.検討ケースと条件 

我が国の運用条件(ワーキングガス量、運用 圧力、払出流量)と単基幾何容積および地質条 件から表‑1 に示す4タイプを試設計の検討ケ ースとした

1)

。主な検討条件を以下に示す。 

(1)岩盤条件 

①地形:20 度傾斜の山間部の斜面下に岩盤貯 槽を設置と仮定。 

②初期地圧:等方地圧と仮定(鉛直圧=土被り圧) 

(2)気密構造 

①気密材:ステンレス鋼と炭素鋼の2種類、最大板厚:20mm 

②緩衝材:超速硬化ポリウレタン(厚さ 4mm) 

なお、今回の検討においては、局部大変形・全体座屈検討の 際の貯蔵空洞の変位条件を、岩盤変形は残留せず運用前の状態 まで強制回復するとして残留変位分を安全裕度と設定した。 

(3)荷重条件(図‑3 参照) 

①気密試験:最高使用圧力(Pmax)(試験後大気圧まで除荷) 

②運用圧力:日間運用(1 年 200 回,50 年間で 10,000 回)(運 用上限圧力 Pu(=最高使用圧力)〜下限圧力 Pl) 

③内圧解放:1回(開放点検はしないが設計では1回考慮) 

④地震荷重:レベル2(震度:水平方向 0.3,鉛直方向±0.15) 

4.試設計結果 

(1)貯蔵空洞 表‑2 に検討結果(4タイプの設置深度と裏込 めコンクリートひずみ・ひび割れ)を示す。設置深度は 60

〜110m となった。最も大きなひずみ・ひび割れはタイプA で 0.28%(ひずみ振幅で 0.14%)、ひび割れ幅は 1.40mm(最 大ひび割れ間隔を 500mm と設定)となった。 

(2)プラグ  表‑3 にプラグの検討結果(コンクリート強度、

諸元)を示す。構造検討はアーチ構造タイプ

4)

で検討してお り、プラグ長は 9〜14m との結果を得た。 

(3)熱収支・熱伝導  ガス体と気密構造・岩盤部の温度変化を算定し た。その結果、気密材表面の温度は 0℃以上となり凍結・融解などコ ンクリートへの悪影響はないとの結果を得た。 

(4)気密構造 表‑4 に気密構造が成立した気密材の鋼種と必要板厚 を示す。また、図‑4 に気密構造の鋼板設置の概要を示す。今回の条

件では、鋼種・必要板厚は内圧解放時の局部大変形で規定され、ステンレス鋼は タイプ C のみで成立との結果になった。特に安全裕度の設定方法が気密材の安定 性に大きな影響(安全裕度を考慮しない場合にはタイプBはステンレス鋼 12mm で成立)を与えることが明らかとなった。しかし、今回設定した安全側の安全裕 度でも、4タイプとも鋼板 20mm 以下の気密構造で成立することが確認された。 

5.おわりに 

岩盤貯蔵の実用可能性検討を目的として行った岩盤貯槽の構造設計手法の検討 と我が国の岩盤(硬岩〜軟岩)・運用条件(日間運用)を考慮した試設計の結果、

技術的成立の見通しを立てることができた。しかし、今回の検討は机上検討が中 心のため、岩盤貯蔵の実用化に向けては、当調査事業の成果を踏まえて、小規模 貯槽を用いた実証試験等により技術確立を図っていく必要があるものと考える。 

Pmax Pu

Pl

Po

時 間 気密試験

内圧解放 運用(50 年間:日間1万回)

図‑3 試設計における荷重条件  表‑2 設置深度と裏込めコンクリートひずみ 

タイプA タイプB タイプC タイプD

20 12 9 6

20〜5 12〜5 9〜1 6〜1

硬岩 中硬岩 硬岩 軟岩

110 90 60 70

ひずみ(%) 0.14〜0.28 0.11〜0.19 0.03〜0.11 0.08〜0.19 ひび割れ幅

(mm) 0.70〜1.40 0.55〜0.95 0.17〜0.55 0.40〜0.95 最高使用圧力(MPa)

運用圧(MPa) 想定岩盤 設置深度(m)

タイプ

裏込めコン クリート

(側壁)

表‑3 プラグのコンクリート強度と形状諸元 

貫通長 [m]

受圧部長 [m]

プラグ長 [m]

貯槽半径 [m]

形 状

Lm R1

Lp L

4.0 4.5 9.0 8.85 30 タイプD

5.0 6.5 13.0 11.0 30 タイプB

4.5 5.5 11.0 8.85 30 タイプC タイプA

6.0 14.0 14.0 7.0 コンクリート 50

設計基準強度[kN/mm2]

貫通長 [m]

受圧部長 [m]

プラグ長 [m]

貯槽半径 [m]

形 状

Lm R1

Lp L

4.0 4.5 9.0 8.85 30 タイプD

5.0 6.5 13.0 11.0 30 タイプB

4.5 5.5 11.0 8.85 30 タイプC タイプA

6.0 14.0 14.0 7.0 コンクリート 50

設計基準強度[kN/mm2]

  図‑4 鋼板設置の概要 表‑4 気密構造の鋼種・必要板厚

20mm SM400

タイプD

6mm SM400

6mm SUS304

タイプC

10mm SM490

タイプB

18mm SM570

タイプA

必要板厚 鋼種

タイプ

20mm SM400

タイプD

6mm SM400

6mm SUS304

タイプC

10mm SM490

タイプB

18mm SM570

タイプA

必要板厚 鋼種

タイプ

参考文献 

1)澤・臼井・丹羽・香川・梅田・石塚:都市ガス岩盤貯蔵の運用性と技術開発について,土木学会第 57 回年次学術講演会,CS1‑005,2002.9. 

2) 澤 ・ 臼 井 ・ 香 川 ・ 八 田 : 地 下 岩 盤 空 洞 を 利 用 し た 都 市 ガ ス 貯 蔵 の 運 用 ・ 経 済 性 に つ い て , 地 下 空 間 シ ン ポ ジ ウ ム 論 文 ・ 報 告 書 , 第 8 巻,pp.119‑128,2003.1. 

3)澤・石塚・延藤・武内・志村:高圧気体貯蔵時のアップリフトに対する岩盤の安定性検討, 土木学会第 57 回年次学術講演会,III‑210,2002.9.

4)澤・新美・石塚・延藤:岩盤内高圧気体貯蔵施設における耐圧プラグの形状検討,土木学会第 57 回年次学術講演会,III‑209,2002.9. 

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑932‑

III‑466

参照

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