• 検索結果がありません。

178 T :9999 附属書 A ( 参考 ) 指針及び根拠 注記この附属書 A では, 対応国際規格 IEC の第 3 版の作成の背景, 経過などについて述べ ている部分が多々ある それらは, この JIS の作成に関わる内容ではないので, そのような場 合は,( I

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "178 T :9999 附属書 A ( 参考 ) 指針及び根拠 注記この附属書 A では, 対応国際規格 IEC の第 3 版の作成の背景, 経過などについて述べ ている部分が多々ある それらは, この JIS の作成に関わる内容ではないので, そのような場 合は,( I"

Copied!
174
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

附属書 A

(参考)

指針及び根拠

注記 この附属書 A では,対応国際規格 IEC 60601-1 の第 3 版の作成の背景,経過などについて述べ ている部分が多々ある。それらは,この JIS の作成に関わる内容ではないので,そのような場 合は,(IEC 60601-1 の)第 1 版,第 2 版又は第 3 版と表現した。その他作成の背景,経過など 関係しない部分は,“この規格”と表現した。参考までに,対応国際規格と JIS(以前の JIS も 含める。)の関係を表 A.0 に示す。

表 A.0-国際対応規格 IEC 60601-1 と JIS との関係 対応国際規格 IEC 60601-1 JIS 第 1 版 IEC 60601-1:1977 JIS T 1001:1983 医用電気機器の安全通則 JIS T 1002:1983 医用電気機器の安全性試験方法通則 JIS T 1003:1983 医用電気機器の電気的安全性試験方法 JIS T 1004:1983 医用電気機器の機械的安全性試験方法 第 2 版 IEC 60601-1:1988 JIS T 1001:1992 医用電気機器の安全通則 JIS T 1002:1992 医用電気機器の安全性試験方法通則 IEC 60601-1:1988 Amendment 1:1991 Amendment 2:1995 JIS T 0601-1:1999 医用電気機器-第 1 部:安全に関する一般的 要求事項 第 3 版 IEC 60601-1:2005 Amendment 1:2012 この規格 A.1 一般指針 ME 機器及び ME システムに対する要求事項は,ME 機器又は ME システムが,患者,操作者及びその 周辺と特殊な関連性をもつため,他の種類の電気機器に対する要求事項とは異なっている。次の事項が, この関連性の重要な役割を果たしている。 a) 患者又は操作者は,電離及び非電離放射線のような,特定のハザードの存在を感知できない。 b) 患者は,病気,意識不明,麻酔状態,固定状態などによって,正常に反応することができない。 c) 低い皮膚抵抗を得るために,皮膚にせん(穿)刺されるか又は皮膚が処理されている場合に,患者の 皮膚に備わっている電流に対する通常の防護機能が欠如している。 d) 生体機能の補助又は代行は,ME 機器又は ME システムの信頼性に依存する。 e) 患者に二つ以上の ME 機器が同時に接続される。 f) 大出力の ME 機器と低レベルの信号に感応する ME 機器とが,しばしば組み合わされて使用される。 g) 皮膚への接触又は体内へ挿入したプローブを経由する電気回路が人体に直接使用される。 h) 環境条件が厳しい状況。特に手術室のように,湿気,水分又は空気,酸素若しくは亜酸化窒素に起因 する火気若しくは爆発に関わるハザードの組合せが存在する可能性のある環境。 ME 機器を他の電気機器と組み合わせて ME システムを構成する場合は,追加の要求事項が適用される。 それらは,箇条 16 で要求している。幾つかの場合は,この規格の他の部分を引用している。ある箇条又は 細分箇条が,特に ME 機器だけに適用することを意図している場合は,その箇条又は細分箇条の表題及び 内容にそのように記載している。そうでない場合,その箇条又は細分箇条は,ME 機器及び ME システム

(2)

の両方に適用する。 A.2 ME 機器及び ME システムの安全 ME 機器及び ME システムの基礎安全及び基本性能は,IEC/TR 60513 [12]に記載しているように総合的 な安全状況の一部分である。それは,ME 機器の安全,ME 機器又は ME システムを接続する設備の安全, 及び使用方法の安全で構成されている。 ME 機器及び ME システムの基礎安全及び基本性能は,正常状態及び単一故障状態における正常な使用 及び合理的に予見できる誤使用に対して要求されている。生命維持の ME 機器では,機能の信頼性が安全 事項とみなされ,検査又は治療の中断は,患者に対する危険状態であるとみなされている。 誤使用の防止に役立つ適切な構造,配置及び附属文書は,安全事項とみなされている。 安全のための予防策は,正常な機能に対して望ましくない制限を加えることなく適切な保護を備えてい る場合は,使用してもよい。 一般的に,ME 機器及び ME システムは,認定者又は有資格者の監督下で操作され,操作者は医学的な 適用方法及び法令によって要求される技能をもち,かつ,取扱説明書に従って取り扱うことになっている。 ME 機器の総合的な安全は,次に基づいている。 - 設計による本質的な安全。 - ME 機器に組み込んだ防護の手段,又は追加の防護の手段,例えば,放射線,電磁波などの遮蔽若し くは防護服の使用。 - 安全に関する情報,例えば,輸送,取付け又は位置決め,接続,稼動開始の前準備,操作,並びに使 用中の ME 機器に関わる操作者及び補助者の位置に対して取扱説明書に記載した制限。 A.3 第 3 版に対する指針 IEC 60601-1 の第 3 版では,その第 2 版の多くの箇条及び細分箇条を削除した。例えば,“取り扱わない” と示した項目である。しかし,その第 2 版で,“一般要求事項ではない”と示した項目は,個別規格又は副 通則がそれらを引用するために残した。しかし,この規格では,個別規格又は副通則がない場合でも“一 般要求事項”をリスクマネジメントを適用して対応できるようにするために,“一般要求事項ではない” という表現をリスクマネジメントプロセスの適用に置き換えた。 第 3 版を準備している間,基礎安全規格及び ISO/IEC ガイドをできるだけ考慮に入れた。これは,ME 機器及び ME システムが,患者,操作者及びその周辺と特殊な関連性をもつことに可能な限り一貫性をも たすように考慮したためである。 第 3 版の様式は,ISO/IEC 業務指針の第 2 部の基本要求事項と整合させた。その第 2 版の章は,第 1 章 を除き全て主要な箇条に置き換えた。この変更の理由は,章は規格作成規則では認められないこと,及び 新しい番号付け方式によって将来変更する場合に,規格の他の部分の番号に影響を与えずに箇条及び細分 箇条を修正できることである。 引用規格は,第 2 版の附属書 L から箇条 2 に移した。参考規格は,参考文献に記載した。 用語は,その分類の数が増加した結果,どの分類に入れるか直感的に分かりにくくなってきたので,分 類によって体系づけることがますます困難になってきた。したがって,箇条 3 の用語及び定義は,分類を 設けずにアルファベット順に並べ替えた。附属書 JA には,五十音順に並べた用語とその細分箇条番号を 対応付けた索引を掲載した。また,第 3 版では,新たに追加した要求事項に対応するために,新しく定義 した多くの用語を規定した。

(3)

4.2 に,リスクマネジメントプロセスの一般要求事項を新たに規定した。 箇条 8 は,大幅に再構成して電気的な安全に対する要求事項を一つの箇条にまとめた。箇条 8 の要求事 項は,JIS C 6950-1 の情報技術(IT)機器の安全に対する要求事項を検討し,ME 機器と特定の関係にあ る患者,操作者及びその周囲を考慮して,該当する場合は,JIS C 6950-1 の要求事項に整合させた。 機械的ハザードに関する保護の箇条 9 は,ME 機器が操作者又は患者に及ぼす可能性のある広範囲なハ ザードを扱うために本質的な改正をした。ME 機器の機械的強度に対する要求事項は,押されたり,衝撃, 落下など手荒に取り扱われたりすることに起因するストレスを受けるので,15.3 に規定した。 この規格は,“誤使用又はヒューマンエラー”に対しては,12.2 のユーザビリティで扱っている。第 2 版の第 6 章の可燃性麻酔剤の発火に対する保護に対しては,附属書 G(規定)に移した。 その附属書は,当初はそのような麻酔剤の使用はまれであるから附属書(参考)にすることを意図して いた。しかし,複数の国の国内委員会からのコメントによると,一部の製造業者は,そのような麻酔剤を 使用する ME 機器の提供を依然として望んでいるという。 10 分間以上患者に接触している装着部に対して,11.1.2.2 における表面温度制限を 41 ℃から 43 ℃に上 げた。ただし,装着部の表面温度が 41 ℃を超える場合は,製造業者は,附属文書にその旨を記載するこ とになっている。 プログラマブル電気医用システムに対する IEC 60601-1-4 [14]の要求事項は,第 2 版の 52.1 で言及され ていたが,この規格では,新しく箇条 14 として組み入れた。 ME システムに対する IEC 60601-1-1 [13]の要求事項は,この規格では,新しく箇条 16 として組み入れ た。 A.4 各箇条及び細分箇条に対する根拠 この附属書 A は,この規格の特定の箇条及び細分箇条に対する根拠である。それらの番号は,この規格 の本文中の番号に一致している。 注記 この A.4 の箇条又は細分箇条番号に付した“”印は,対応する要求事項に対する根拠であるこ とを示し,かつ,要求事項の文章でないことを容易に識別できるようにしたものである。 1.1† 適用範囲 この規格の適用範囲は,ME 機器及び ME システムの定義に基づいて規定している。これは,他の種類 の電気機器に対する要求事項と比較して,この規格の適用範囲を明確に定義することである。 IEC 61010-1 [22]の適用範囲に入る研究室用電気機器は,製造業者がそのような研究室用電気機器を ME システムに組み込む場合を除き,この規格では扱っていない。

この規格は,ISO 14708-1 [31]が IEC 60601-1 への適合性を要求する場合を除き,ISO 14708-1 で扱う能 動植込医療機器には適用しない。

この規格は,ME 機器又は ME システムの定義に該当しない場合は,いかなる電気機器にも適用しない。

1.3† 副通則

IEC 60601 の副通則は,TC62(IEC 技術委員会 62)が IEC 60601-1(通則)を拡張する手段として作成

したものである。副通則は,次の二つに分類される。

- ME 機器のサブグループに共通する付加的な基礎安全及び基本性能に対する要求事項を扱う規格であ る。例えば,SC62B(IEC 分科会 62B)は,IEC 60601-1-3[JIS T 0601-1-3(IDT)]を作成した。これ は医用診断用 X 線装置の電離放射線に対する防護の一般要求事項である。患者,操作者及び他のスタ ッフが被ばく(曝)する線量当量を合理的に達成可能な程度にまで低減するためである。

(4)

- この安全通則で完全には取り扱えない ME 機器又は ME システムの特性を扱う付加的な基礎安全又は 基本性能に対する要求事項を扱う規格である。SC62A(IEC 分科会 62A)は,IEC 60601-1 の第 3 版 の発行時には,この分野の EMC(IEC 60601-1-2),ユーザビリティ(IEC 60601-1-6)及びアラームシ ステム(IEC 60601-1-8)の三つの副通則を発行していた。

IEC 60601-1-2,JIS T 0601-1-3,IEC 60601-1-6 及び IEC 60601-1-8 は,安全通則である IEC 60601-1 の第

3 版の発行時には存在していたが,IEC 60601-1 の第 2 版に関連して作成されたものであった。これらの副 通則は,この第 3 版に整合させるように順次改正されてきた。1.3 に記載したように,これらの副通則はそ れらの発行日に規定となり,この規格と併せて適用することが必要である。 それらの副通則の改正版が発行されるまで,この規格の使用者は,既存の版が ME 機器又は ME システ ムに当てはまるときは,できるだけ既存の版を適用することが望ましい。しかし,これらの副通則の幾つ かの要求事項は,この規格と両立できない可能性があった。 IEC 60601-1 の第 2 版のために作成された副通則のうちの二つからの要求事項を,第 3 版の本文に組み 入れた。それらは,次のとおりである。

- IEC 60601-1-1:2000,Medical electrical equipment-Part 1-1: General requirements for safety-Collateral standard: Safety requirements for medical electrical systems(医用電気機器-第 1-1 部:安全に関する一般 要求事項-副通則:医用電気システムに対する安全要求事項)

- IEC 60601-1-4:1996,Medical electrical equipment-Part 1: General requirements for safety-4. Collateral standard: Programmable electrical medical systems 及び Amendment 1 (1999)(医用電気機器-第 1 部:安 全に関する一般要求事項-4.副通則:プログラマブル電気医用システム及びその追補 1:1999) 上記の二つの規格は,IEC 60601-1 の第 2 版に基づいた全ての個別規格をこの第 3 版に整合させるまで 有効であるが,この第 3 版に併せての適用はできない。 追加の副通則は,必要性が特定され次第,随時発行することができる。それらの副通則は,将来的にも この IEC 60601-1 の第 3 版には,記載されない可能性があるが,該当する場合は,一般要求事項として考 慮する必要がある。利用者は,各国の規格機関が保有するその時点で有効な国際規格の登録簿を参照し, どのような適用可能な副通則が発行されているか調べることが望ましい。 1.4† 個別規格 個別規格は,次のいずれか又は全てを規定することができる。 - 修正しない状態でのこの規格の箇条又は細分箇条。 - この規格の箇条又は細分箇条を適用しない(又はそれらの部分を適用しない。)。 - この規格の箇条又は細分箇条(又はそれらの部分)を個別規格の箇条又は細分箇条で置き換える。 - 箇条又は細分箇条を追加する。 個別規格には,次のいずれか又は全てを含めることができる。 a) 基礎安全又は基本性能を強化するための要求事項。 b) この規格の要求事項を緩和した要求事項(例えば,ME 機器の出力の理由でこの規格の要求事項を遵 守することができない場合。)。 c) 性能,信頼性,インタフェースなどに対する要求事項。 d) 作動データの精度。 e) 環境条件の拡大及び制限。

(5)

2† 引用規格 箇条 2 は,この規格の要求事項で引用され,この規格に適用させるために不可欠な規格のリストである。 しかし,このリスト中の規格への適合が要求されるのは,それらがこの規格の要求事項の中で引用する範 囲に限られている。例えば,特定の箇条又は細分箇条,表又は図が引用されている場合は,この規格中の 要求事項に適合させるために,引用規格の箇条又は細分箇条,表は図にある要求事項だけに適合すればよ い。 発行年を付記していない引用規格は,規格の全て又はそれの大部分を引用する場合か,又はその将来, 変更されるその引用規格の全てを,この規格の目的のため使用できると認めた場合だけである。例えば, 外装に IP コードを割り当てるとき,製造業者にその規格の最新版を常に使用してもらうことを意図して,

IEC 60529[JIS C 0920(IDT)]には発行年を付記して引用規格とした。

発行年を付記しない引用は,引用規格の修正版及び改正版を全て含むと解釈する。 発行年を付記した引用は,この規格の要求事項に適合させるために特定の版の要求事項を使用すること が必要な場合である。発行年を付記した引用規格のその後の改正又は改正版は,この規格の修正によって 取り込む必要がある。 他の引用規格の中の特定の箇条又は細分箇条,表及び図を引用する場合は,発行年は,原則として付記 した。 3† 用語及び定義 箇条 3 は,この規格中の要求事項についての理解が必要な用語の定義を含んでいる。IEC 60601-1 の第 2 版から継承した用語が多い。しかし,新しい要求事項又は修正された要求事項の作成に伴って多くの用語 を加えた。できるだけ,他の規格中の既存の定義をそのまま使用するか又は修正して用いた。 用語は,他の用語を定義する文中に使用された場合を除き,規格の本文中に 2 回以上使用した場合だけ 定義した。 定義した用語は,ゴシックの太字で表記した。これは,規格の本文中で見やすくするためである。太字 を使用しない場合,その単語は,一般的な用語の意味である。同一の単語を,定義した意味と一般的な意 味との両方で使用することはなるべく避けた。しかし,場合によっては,避けることができなかった。例 えば,7.9.2.8 の“始動手順(Start-up PROCEDURE)”の“手順”は,ME 機器又は ME システムを始動さ せるという“ある活動を実施するために規定した方法”を特に意味するために定義用語を使用した。また, 患者を定義する文中では,“医科又は歯科の診療(ここでは,procedure を診療と訳した。)の対象となって いる生物(人又は動物)”というように,一般的な意味で使用した。 3.8† 装着部 外装以外の部分で患者が接触する部分は,大きな危険状態を招く可能性があるので,装着部には,例え ば,温度制限,(B,BF 又は CF の分類に従った)漏れ電流などの一層厳しい要求事項が課せられている。 注記 ME 機器の外装の幾つかの接触可能部分は,患者がそれらの部分に接触するか,又は操作者が それらの部分と患者とに同時に接触する可能性があるので,他の機器の外装の接触可能部分よ りも厳しい試験が必要である。 どの要求事項を適用するか決めるために,装着部と単に外装とみなす部分とを識別することが必要であ る。 例えば,代表的な例として,次がある。

(6)

- 赤外線療法ランプは,ランプを患者に直接接触させる必要がないので装着部をもっていない。 - X 線寝台では,患者が横たわる天板だけが,装着部である。 - 同様に MRI 装置も,患者を支持する寝台だけが装着部である。 しかし,意識のない患者,麻酔状態の患者又は正常に反応できない患者に偶然に接触する可能性がある 部分は,常に患者と接触する装着部と同じリスクを考慮する必要がある。一方,活動的な患者の手足が届 いて触れられる場合は,患者よりも,むしろ操作者に大きなリスクが生じる可能性がある。 IEC 60601-1 の第 1 版及び第 2 版の装着部の定義は,この問題を取り扱っていなかった。第 2 版の追補 2 では,患者と接触させることができる部分を含めるために定義を拡大した。しかし,拡大した新しい定義 も,引き続き混乱を招いた。 第 3 版では,4.6 によって,装着部以外のどの部分が装着部と同じ要求事項の対象になるかを特定するた めに,リスクマネジメントプロセスを要求している。これらには,ME システムの中の非 ME 機器の部分 を含むことがある。 個別規格では,特定の種類の ME 機器において,装着部を特定することが望ましい。 どの部分が装着部か,及びどの部分が患者接続部であるか評価するために,次に示すプロセスの順に進 めることができる。 a) ME 機器に装着部があるか決定する。ある場合は,装着部の範囲を特定する(電気的に関わらない部 分も含めて特定する。)。 b) 装着部がない場合は,患者接続部は,存在しない。 c) 装着部がある場合は,一つ以上の患者接続部がある可能性がある。装着部が接触可能導電性部分をも たなくても,8.7.4.7 によって適用する金属はく(箔)を一つの患者接続部とみなす。 d) 装着部の導電性部分が,患者と直接接触しないが分離されていないので,その部分を通して患者に電 流が流れる可能性がある場合は,その部分を単独の患者接続部として扱うことになる。 注記 該当する分離の要求事項は,患者保護手段に対する要求事項である。 装着部は,一つ以上の機能を含むことができる。それぞれの機能は,一つ以上の患者接続部を含むこと ができる。患者接続部は,電流を流すように意図する一つの電極とすることができるか,又は例えば,血 管内の流体ライン又は患者支持など,本来,電気的な接続が目的ではない可能性もある。 3.78 に対する根拠も参照。

図 A.1~図 A.7 は,ME 機器及び ME システムにおいて患者漏れ電流及び患者測定電流に対する要求事 項を適用するために装着部及び患者接続部をどのように特定するかの例を示した。 図 A.1 及び図 A.2 は,心電図モニタを示す。これには,心電図モニタ,心電図患者ケーブル,心電図患 者リード線及び心電図電極を含む。図 A.1 及び図 A.2 の詳細を次に示す。 - 装着部は,正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある部分で,電極及び患者リード線又は患 者ケーブルの部分も含める。 - リスクマネジメントを適用した結果,心電図患者リード線又は心電図患者ケーブルの他の部分は,患 者に接触する可能性があるという理由によって,それを装着部として扱われなければならないと特定 される場合がある。 - 患者接続部は心電図電極の構成の一部であり,かつ,装着部の機能の一部である。

(7)

図 A.1-心電図モニタ中における ME 機器,装着部及び患者接続部の特定 図 A.2 は,要求される F 形装着部の絶縁を示す。点線で囲まれた部分が患者回路である。 図 A.2 において要求される装着部の絶縁を,次に示す。 - 電源電圧に基づいた大地と点線で囲まれた部分との間の,一つの患者保護手段。 - 大地とこれらの部分に印加される電圧に基づいた点線で囲まれた部分との間の,二つの患者保護手段。 - 生きている部分[電源(商用)を含む。]と点線で囲まれた部分との間の,二つの患者保護手段。 図 A.2-ME 機器に絶縁を内蔵した F 形装着部の絶縁の例 図 A.3 は,トランスデューサに絶縁を内蔵した F 形装着部を示す。点線で囲まれた部分は,患者回路で ある。点線の外側にある部分は,リスクマネジメントプロセスで決定した装着部に関わる要求事項に従う 部分である。

(8)

図 A.3-観血式血圧測定機能をもつ生体情報モニタにおける ME 機器,装着部及び患者接続部の特定 図 A.4 は,心電図及び観血式血圧測定機能を備えた生体情報モニタを示す。詳細を次に示す。 - ME 機器に含まれるのは心電図モニタ,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線及びその電極,並 びに血圧トランスデューサ及びその流体で満ちたラインである。 - 装着部に含まれるのは,心電図電極及び正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある患者ケー ブル及び患者リード線の部分,並びに液体で満たした観血血圧ラインである。 - リスクマネジメントを適用した結果,患者ケーブル及び患者リード線の他の部分又は血圧トランスデ ューサも患者に接触する可能性があるという理由によって,装着部として扱われなければならない場 合がある。 - 心電図患者接続部は,心電図電極からなる。 - 血圧モニタ患者接続部は,圧力ライン中の導電性流体からなる。患者漏れ電流及び患者測定電流の測 定については,導電性流体中に電極を置き,単一の患者接続部として扱う。 - 圧力モニタ機能に関連する患者接続部から,心電図機能に関連する患者接続部を電気的に分離してい ない場合は,これらは,同じ装着部の二つの機能として扱う。 - 圧力モニタ機能に関連する患者接続部から心電図機能に関連する患者接続部を電気的に分離する場 合,これらは,別々の装着部として扱う。

(9)

図 A.4-観血式血圧測定機能をもつ多機能患者生体情報モニタにおける ME 機器, 装着部及び患者接続部の特定 図 A.5 は,X 線 ME システムを示す。詳細を次に示す。 - ME システムに含まれるのは X 線源装置,X 線寝台及び壁掛けスタンドであり,全て ME 機器の一部 である。ME システムの他の部分,例えば,X 線発生装置及び操作卓は,図示していない。 - 寝台の天板の上面及び壁掛けスタンドの正面は,正常な使用で患者と物理的に接触する必要があるの で,それらは装着部に含まれる。 - リスクマネジメントを適用した結果,X 線管装置の幾つかの部分,並びに寝台及び壁掛けスタンドの 他の幾つかの部品を,患者に接触する可能性があるという理由によって,装着部として扱わなければ ならないとされる場合がある。 - 患者接続部は,電気的に患者と接触する装着部の導電性部分からなる。 - 製造業者は,寝台及び壁掛けスタンドが同じ装着部の異なる機能であると指定してもよい。 - 又は,製造業者は,寝台及び壁掛けスタンドが異なる装着部であると指定してもよい。

(10)

図 A.5-X 線 ME システムにおける装着部及び患者接続部の特定 図 A.6 は,経皮的電気神経刺激装置(TENS)を示す。これは患者にベルトを着用させ,かつ,患者の 上腕に付けた電極を接続するように意図するものである。詳細を次に示す。 - ME 機器は,経皮的電気神経刺激装置,電極ケーブル及び電極を含む。 - 装着部は,正常な使用で物理的に患者と接触する必要のある電極及び電極リード線の部分を含む。 - リスクマネジメントを適用した結果,その刺激器の容器及びそのベルト・クリップも,患者に接触す る可能性があるという理由によって,装着部として扱わなければならない場合がある。 - 患者接続部は,複数の電極からなり,それらの全ては,同じ機能をもつ装着部である。 図 A.6-患者のベルトに取り付け,患者の上腕に装着した電極に接続した 経皮的電気神経刺激装置(TENS)における ME 機器,装着部及び患者接続部の特定

(11)

図 A.7 は,心電図処理 ME 機器又は ME システムであり,その詳細を次に示す。 - ME システムに含まれるのは,心電図モジュール,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線,及び 心電図電極,並びにパソコン及びその附属品(図示していない)である。 - 製造業者は,次の状況のうちの一つを選んで指定することができる。 - 心電図モジュール,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線及び心電図電極は,ME 機器の一部で ある。パソコンは,ME 機器ではない。これらは,一つの ME システムである。 - 心電図モジュール,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線及び心電図電極は,ME 機器の一部で ある。パソコンは,もう一つの ME 機器である。これらは,(二つの ME 機器を組み合わせた)一つ の ME システムである。 - 心電図モジュール,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線及び心電図電極がパソコンと一緒にな ったものは,単一の ME 機器であり,ME システムではない。 - 装着部に含まれるのは,心電図電極及び正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある心電図患 者ケーブル又は心電図患者リード線の部分である。 - リスクマネジメントを適用した結果,心電図患者ケーブル又は心電図患者リード線の他の部分は,患 者に接触する可能性があるという理由によって,装着部として扱わなければならないと特定される場 合がある。 - 患者接続部は,複数の心電図電極から成り,それらの全ては,同じ機能をもつ装着部である。 図 A.7-パーソナルコンピュータと組み合わせる心電図モジュールにおける ME 機器, ME システム,装着部及び患者接続部の特定 患者が意図的に動いた場合だけ,ME 機器に接触する可能性があるような場合では,4.6 は,意図した使 用に従って配置された ME 機器の接触可能部分に当てはまらない可能性がある。これは,患者が負の刺激 に反応するという仮定に基づいている。さらに,そのような患者は,病床での照明灯,パソコン,ラジオ などのような非 ME 機器にも接触する可能性が高い。 3.9† 基礎絶縁 この定義は,機能の目的のために専用に使用する絶縁を含んでいない。

(12)

3.10† 基礎安全 基礎安全は,操作によって偶発的な危害を生じない装置に関係がある。 基礎安全は,多くの場合,受動的な保護(放射線遮蔽又は電気的な接地のような)である。 基本性能は,一般に危険状態を発生させないで意図するように作動する ME 機器又は ME システムに関 係がある。基本性能の不良は,性能(生命維持性能のような)の欠如又は不正確な性能(患者への不正確 な量の投与のような)のいずれかである。 一般に,基礎安全は製品の分類に関係しない特性(例えば,漏れ電流,耐電圧,温度)であり,基本性 能は製品の分類(例えば,除細動器の場合は,正確な電気ショックを与えることができる)に関係してい る。 一般に上記で説明したように基礎安全及び基本性能という用語は,相互に排他的であるとみなされるが, その反面,基礎安全及び基本性能の両方に同時に関係する幾つかのハザードがある。 3.15† 明瞭に見える 視力は,スネレン(Snellen)視力検査表を 6 m 離れて読むことによって試験できる。近距離視力は,ジ ャガー(Jaeger)試験カードを使用して試験できる。多数の人々を検査することによって,医師は,“正常 な”人が様々な距離でどのくらい見えるか決定した。それが正常視力の記述である。 3.17† 高信頼性部品 高信頼性の概念は,部品固有の特性だけに関係している。製品の安全の保証は,これらの特性に依存し ている。製造業者は,そのような高信頼性部品を附属文書で(例えば,保守点検で)指定することが望ま しい。4.9 に対する根拠も参照。 3.18† 連続作動(運転) 連続作動(運転)又は非連続作動(運転)という用語は,ME 機器に対して使っているが,ME 機器の 部分においては,異なる定格を定めてもよい。例えば,電気手術器の本体は連続作動(運転)定格(電源 を入れて連続的に作動させる。)とする場合があるが,(高周波出力は間欠的に出されるので)装着部から の高周波出力は非連続作動(運転)定格としてもよい。 3.20† 耐除細動形装着部 耐除細動形装着部は,IEC 60601-2-4 [15]に適合する除細動器の放電だけに対して保護するものである。 しかし,それよりも高い電圧の除細動器は,耐除細動形装着部を破損させる可能性がある。 3.21† 着脱電源コード コードセットは,IEC 60320-1 で扱っている。 3.22† 心臓への直接使用 患者の心臓に直接接触する装着部を使用することと,その他の状況下で患者に接触することとは,区別 している。ワイヤ又はカテーテルが心臓に直接接触する小さい接触面積を通して微小電流(患者の体内又 は体表面の他の接触点を通して流れる電流よりも小さい)が流れ,心室細動が生じることがある。 3.23† 二重絶縁 基礎絶縁及び補強絶縁は,要求された場合は,それらを別々に試験してもよい。多層絶縁を別々に試験 できない場合は,その絶縁システムを強化絶縁であるとみなしている。 3.24† デューティサイクル “作動時間”及び“休止時間”という言葉は,作動及び作動停止の“繰返し”であり,連続作動(運転) と同様とみなすことができる。

(13)

3.26† 外装 ME 機器又は ME 機器の部分の外装は,あらゆる接触可能部分,ノブ,グリップ,ケーブル,コネクタ 及びその他同様のものを含める。これは,その他の分かれた部分間を外部で接続するあらゆる接触可能部 分も含んでいる。 3.27† 基本性能 ME 機器又は ME システムの性能が適切でないと患者,操作者又は他の人に受容できないリスクが生じ る可能性があることは,長い間認識されてきた。したがって,この規格の第 1 版及び第 2 版における基礎 安全の考慮から,“安全性”の概念を拡張して,基本性能の問題を含めることにした。 意図する使用を達成するために,ME 機器又は ME システムは,特定の範囲内で機能する必要がある。 これらの範囲は,通常,製造業者によって指定されるが,JIS T 0601 規格群又は JIS T 60601 規格群に含ま れるこの規格,副通則又は個別規格によっても規定される可能性がある。 基本性能の例は,次のとおりである。 - シリンジポンプによる薬剤の正確な投与。正確に投与されないと受容できないリスクを患者に引き起 こす可能性がある。 - 心電計又はモニタが除細動器の放電の影響から復帰する能力。復帰できないと医療スタッフが正しく 対応できず,受容できないリスクが患者に生じる可能性がある。 - 集中治療又は手術室のモニタシステムのアラームシステムの正確な作動。アラーム信号が不正確又は 欠如していると医療スタッフが正しく対応できず,受容できないリスクが患者に生じる可能性がある。 - 治療を決定する上での依存度が高い ME 機器からの正しい診断情報出力。その情報出力が不正確であ ると治療が不適切になり,受容できないリスクが患者に生じる可能性がある。 この規格の目的のために,ME 機器の基礎安全の側面に関係する性能,例えば,基礎絶縁の性能は,基 本性能とはみなさない。 JIS T 0601 規格群又は JIS T 60601 規格群における個別規格及び副通則が,特定の基本性能を規定するこ とを期待している。 3.33† 機能接続 定義した用語の機能接続は,ME システムの定義を容易にするため使用した。機能接続は,ME システ ムを構成する機器相互間の接続であり,これには動力供給も含めることもある。 “その他の方法”とは,例えば,機械的,光学的又は無線による接続を含むことを意味している。 3.35† 機能接地端子 ME 機器では,機能接地接続は,操作者が接近可能な機能接地端子によって行うことができる。その他 の方法として,この規格では,クラス II の ME 機器の機能接地接続は,電源コード中の緑と黄との導線を 経由した接続方法も認めている。この場合,この導線を接続する部分は,接触可能部分(8.6.9 を参照)で あってはならないし,かつ,接触可能部分から絶縁することが必要である。 3.38† 危害 危害の定義は,JIS T 14971 の定義に基づいて,動物を含めるように修正した。これは,IEC 60601-1 の 第 2 版の適用範囲が動物の安全を含んでいるからである。 3.40† 危険状態 この用語が規格の中で使われているように,ハザードに対して一連の事象又は他の状況(正常な使用を 含む。)が作用することによって危険状態が生じない限り,危害が発生することはない。リスクマネジメ ントプロセスの結果として,該当するリスクが受容できるかどうかを評価するが,そのためにはこの危険

(14)

状態から生じる危害の重大さ及び発生確率の両方を推定することが必要である( 図 A.8 参照。ISO 14971:2007 の図 E.1 を用いた。)。

H

AZARD

H

AZARDOUS SITUATION

H

ARM

S

EVERITY

of

the

HARM

Exposure (P

1

)

P

2

Probability

of occurrence

of

HARM

R

ISK

P

1

x P

2

Sequence of even

ts

P1:危険状態の発生する確率 P2:危険状態から危害に至る確率 図 A.8-ハザード,一連の事象,危険状態及び危害の関係図 3.49† 電源部 電源部の定義は,ある要求事項が適用される部分を識別するために必要である。IEC 60601-1 の第 1 版 及び第 2 版の定義は,別の定義した用語の“導電接続”に依存していた。この第 3 版の作成中に,“導電接 続”を定義することが困難であることが分かり,その定義した用語がもはや必要でないようにするために, 要求事項を修正した。その結果,電源部の新しい定義が必要となり,電源部を他の部分から分離する保護 手段に着目して定義した。 3.50† 電源プラグ 電源プラグの定義は,ある要求事項に該当するプラグを識別するために必要である。“電源プラグ”と いう用語を定義しないと,電源電圧を給電する ME 機器内の他のコネクタも扱うことになってしまう。 3.56† 最高電源電圧 この規格の幾つかの要求事項及び試験は,外部に発生源のある意図しない電圧が患者又は ME 機器の部 分に接続される可能性に関係している。そのような電圧の実際の大きさは,未知である。しかし,それは ME 機器を使用する場所の電源(商用)の電圧と関係があると想定する。8.5.3 の根拠も参照。 IEC 60601-1 の第 3 版を作成する初期段階では,広範囲な用語遣いの反復を回避するために,定義した 用語“基準電源電圧”を導入した。初期の原案に対する各国の国内委員会のコメントを見直した結果,定 義した用語の“基準電源電圧”と定義しない用語の“基準電圧”との間に混乱があった。後者は,耐電圧, (P2) P1×P2 一 連 の 事 象 (発生する確率) ハザード リスク 危険状態 危害 危害の重大さ 危害の 発生確率 (P1)

(15)

沿面距離及び空間距離に対する要求事項に対して使用されていた。 要求事項を明確にするために,用語の“基準電源電圧”は最高電源電圧に置き換えた。また,“基準電 圧”は,定義した用語の動作電圧及びピーク動作電圧に置き換えた。 3.57† 最大許容動作圧力 最大許容動作圧力は,設計仕様,製造業者の定格,容器の現在の状態及び使用状況を考慮に入れて,有 資格者が決定している。 国によっては,数値が小さくなっている場合がある。 3.58† 操作者保護手段 8.5.1 の根拠を参照。 3.59† 患者保護手段 8.5.1 の根拠を参照。 3.60† 保護手段 IEC 60601-1 の第 3 版の作成における基本指針の一つは,特に,その第 2 版の箇条 17 及び箇条 20 を簡 素化することであった。保護手段の概念を総括的にとらえて,保護接地接続,基礎絶縁,補強絶縁,イン ピーダンスなども含めるものとした。さらに,それを拡張して,同じ能力をもつがいまだ構想がなく実用 化されていない他のものを含めた。この概念は,ME 機器は,二つの保護手段をもつことという一般要求 事項とともに,単一故障の考え方にもよく当てはまり,第 3 版に取り入れることに全員が合意した。これ によって,一貫したアプローチで設計努力をすることが可能になり,規定の多すぎる細分箇条によって縛 られることがなくなった。 患者の保護と操作者の保護とを区別することを決定したので,この概念は一層良く当てはまった。 第 3 版の作成中,幾つかの国内委員会のコメントは,電撃以外のハザードに関する保護に適用するため にこの概念を拡張できることを示唆した。しかし,そのような変更を正当化するには,十分な利点がない と決定した。 3.63† 医用電気機器 ME 機器の IEC 60601-1 の第 2 版の定義では,同じ電源(商用)への複数の接続をすることを除外して いるが,異なる電源(商用)への異なる接続は除外していない。しかし,複数の異なった電源(商用)へ の同時接続は,回避することが望ましい。電気的に安全な方法で複数の異なった電源(商用)へ同時に接 続する機能を備えた機器を設計する場合があるが,この規格では,それによって発生する可能性がある危 険状態を特定していない。 この規格は,ME 機器,附属品及び ME 機器の部分を記述するために,幾つかの用語を適用する。それ らは,固定(した)(3.30),据置形(3.118),可搬形(3.130),移動形(3.65),携帯形(3.85),手持形(3.37) 及び身体装着形(3.144)である。これらの用語の関係は,図 A.20 を参照すると理解しやすい。

(16)

図 A.20-機器,附属品又は機器部分の記述に使用する用語の関係 3.64† 医用電気システム 一般的には,製造業者,責任部門及び操作者は,ME 機器及び他の ME 機器又は非医用機器をマルチタ ップに接続することがある。そのような組合せを ME システムの定義に含めると,それらはこの規格の適 用範囲内になり,基礎安全及び基本性能に対する適切な要求事項を規定することになってしまう。 この規格の安全レベルの低下を防ぐために,マルチタップをある条件に従って電源(商用)に接続する ことを要求している。したがって,16.9.2.1 では,ME 機器に適用するマルチタップがこの規格の要求事項 に適合する構造であることを要求している。 3.66† 形式名称 形式名称は,ME 機器と販売用及び技術的な文書との関係,附属文書との関係,及び ME 機器の分離で きる部分間との関係を明確にすることを意図している。形式名称は,安全性情報又は現場での必要な行為 において,どの ME 機器又は附属品であるかを識別するためにも重要である。 3.67† マルチタップ 用語及び定義は,JIS C 8282-1 に由来する。

IEC 60601-1-1 [13]の第 2 版には,マルチタップ(multiple portable socket-outlet)及び補助電源ソケットの

用語があった。この規格では,これらの二つを統合した。 機器の一部を形成する単一の電源用のソケットもマルチタップとみなしている。 マルチタップは,場合によっては必要であるが,長所及び短所があるので,バランスをとるためには調 査をする必要がある。マルチタップは,次の理由によって必要な場合もある。 - 床に,は(這)わせる電源コードの本数を最小限にする。 - 固定電源ソケットの個数が不十分であるにもかかわらず,適切な治療又は診断に必要な機器全ての使 用を可能にする。 - 一つのトロリに機器を全て載せることによって移動性を改善する。 据置形 一旦設置し,かつ,使用を開始 した後にある場所から他の場所 に移動させることを意図しない 機器を意味する用語(3.118) 固定(した) 特定の場所に,恒久的 に取り付けるか又は工 具を使わなければ取り 外せないように,機械 的に又は他の方法でと どめることを意味する 用語(3.30) 可搬形 一旦設置し,かつ,使用を開始した後に ある場所から他の場所に移動させることを意図し,電源への接続状態 によらずに移動範囲がほとんど制限されない機器を意味する用語 (3.130) 携帯形 一旦設置し,かつ,使用を開始したならば, 一人以上の人によって運搬し,ある場所か ら他の場所に移動させることを意図する 可搬形機器を意味する用語(3.85) 移動形 一旦設置し,かつ,使 用を開始したら機器 自体の車輪又は同様 な手段によって支持 した状態で,ある場所 から他の場所へ移動 させることを意図し た可搬形機器を意味 する用語(3.65) 身体装着形 意図する使用として患者が機器を装 着しているか,又は患者の衣類に付け ている間に作動する可搬形機器を意 味する用語(3.144) 手持形 一旦設置し,かつ,使用を開始したら,手で保持することを意図する 機器を意味する用語(3.37)

(17)

- (マルチタップに接続することによって,)保護接地線間の電位差を複数の固定電源ソケットに接続し た場合の電位差以下に低減させる。 なお,マルチタップの使用は,次の理由によって,できるだけ回避することが望ましい。 - 接地漏れ電流が合算されて,次のような結果になる可能性がある。 ・ 正常状態において過度の接地漏れ電流が流れる。 ・ マルチタップの供給ケーブルの保護接地線が断線(単一故障状態)した場合に,過度の接触電流が 流れる。 - 電源(商用)の信頼性が,一つの固定電源ソケットの信頼性に依存する。 - 電源供給が完全に断たれる可能性があり,ME システムの完全復旧に時間がかかる。 - 電気設備の保護接地接続が一か所だけとなる。これは,ME システムの各部をそれぞれ接地した場合 よりも信頼性が低くなる。 - 保護接地抵抗が増加する。 最適な解決法は,例えば,十分な個数の固定電源ソケットを適切な設置基準に従って設置することであ る。 3.68† ネットワーク・データ結合 ネットワーク・データ結合の用語は,特定の技術,例えば,有線方式の電子伝送に限定しないように定 義した。定義は,無線式の伝送,赤外線,光学的などとともに,あらゆる未来技術を考慮している。 3.73† 操作者 機器を取り扱う人を操作者として定義した。機器とは,ME 機器であるか,又は ME システムの場合は それを構成する機器の一つである。扱う人には,次の場合がある。 - 患者に対し機器を使用する医療専門家 - 在宅医療環境で,患者自身又は患者を介助する非専門家 - 疾病,負傷又は身体障害の影響を補助若しくは緩和するために機器を使用する者 - 機器の設置,組立,保守又は修理をする者 機器の設置,組立,保守又は修理をする者は,この規格の中ではサービス要員とも呼ばれている。 この規格の多くの要求事項は,その意図する使用に従って機器を使う人と同じリスクにサービス要員が さらされることを考慮している。しかし,サービス要員は,多くの場合は,技術者又は技師であり相応の 能力(力量)をもち,技術説明も理解できると予想する。サービス要員以外の操作者は,サービス要員と 異なる能力をもち,取扱説明書に従うと予想する。したがって,この規格は,場合によっては,サービス 要員が自分の安全は自分の知識及びトレーニングを頼りにして守り,適切な予防措置を講じて,危険な部 分へ接近することを想定している。サービス要員以外の操作者は,ME 機器又は ME システムを使用する 能力はもっているが,サービスの作業中に発生するリスクを回避する能力は必ずしももっていない。 3.75† 高酸素濃度雰囲気 25 %の酸素濃度では,紙の燃焼率の増加は中程度(30 %)である(NFPA 99 [42]による。。NFPA 99 に よれば,23.5 %が保護手段を要求する有酸素雰囲気であると定義している。しかし,この値は,200 kPa を 超える圧力の酸素容器内で許容されている。NASA は,スペースシャトル(NFPA 53 [41])中で濃度 25.9 % を許容している。UL 2601-1 [44]は,いき値として 25 %を用いている。エポキシ材料の回路基板のサンプ

(18)

ルは,20.9 %及び 25.9 %では,不完全燃焼する(燃える長さはそれぞれ 3 cm 及び 8.3 cm)。しかし,30 % では,完全燃焼する。これは Rimanosky,E.M.ら,ASTM STP 1267 [36]のデータである。 炎レートと酸素量との関係を最初に考える場合,炎レートは,分圧から与えられるその場所の酸素量に 比例するとみなすことが合理的である。しかし,経験によると,これは程度の問題に過ぎない。図 C-1.2.2 (a)及び(b)(NFPA 53:1999 から)並びに図 A.3.3.14.4(NFPA 99:2002 から)は,次のことを示してい る。すなわち,圧力が一定で酸素濃度を増したほうが,濃度が一定で圧力を増す場合よりも紙がよく燃え る。“完全燃焼”から“不完全燃焼”への境界線では,酸素濃度は高圧では同じ数値(14 %)になり,絶 対(及び部分)圧力と無関係である。したがって,大事を取るために定義では二つの数値を与えている。 濃度限度を守ると,圧力が小さい場合は,危険は増加しない。分圧限度を守ると,圧力が高い場合(例え ば,高圧酸素室内),その状況は,安全である。 3.77† 患者測定電流 患者測定電流は,次のために必要な電流である。 - ME 機器がその機能を遂行する。例えば,電気インピーダンスイメージング,インピーダンス変化に よる呼吸のモニタリング。 - ME 機器の正しい作動のモニタリングをする。例えば,患者との電極の接触インピーダンス。 - ME 機器が機能する。 上記のほかに,ME 機器が機能するために付随して流れてしまう電流である。例えば,生体信号増幅器 のバイアス電流がある。 患者測定電流は,生理作用は意図していないが,その他の機能がある場合も,全くない場合もある。 3.78† 患者接続部 患者接続部を接続した場合の危険状態の一つは,漏れ電流が患者接続部を経由して患者へ流れるという 事実である。この規格では,正常状態及び種々の故障状態において流れるこれらの電流の大きさに対し特 定の制限を加えている。 注記 種々の患者接続部の相互間で患者を流れる電流は,患者測定電流である。患者を通して大地へ 流れる漏れ電流は,患者漏れ電流である。 患者接続部の定義は,装着部のどの部分とどの部分との間に患者測定電流が流れ,どの部分から患者漏 れ電流が接地された患者に流れるかを特定することを意図している。 ある場合は,患者漏れ電流及び患者測定電流の測定を行い,装着部のどの部分が患者接続部であるかを 決める必要がある。 患者接続部は,必ずしも接触できるとは限らない。装着部の導電性部分が,“患者と電気的に接触する” か又は“この規格で規定する適切な耐電圧試験若しくは空間距離及び沿面距離の要求事項に適合しない絶 縁若しくは空隙だけで接触を防止している”場合は,患者接続部である。3.8 の根拠も参照。 患者接続部として,次の例がある。 - 患者を支持する寝台の天板は,装着部である。シートが十分な絶縁を備えていない場合は,寝台の天 板の導電性部分は,患者接続部として分類する。 - 輸液コントローラの輸液セット又は注射針は,装着部である。輸液コントローラの導電性部分は,十 分な絶縁によって流体(潜在的に導電性)から分離されていない場合は,患者接続部である。

(19)

装着部が絶縁材料の表面をもつ場合は,8.7.4.7 d)では,その表面を金属はく(箔)又は食塩水を使用し て試験するように要求している。よって,その絶縁材料の表面は,患者接続部とみなしている。 3.79† 患者環境 診察,モニタ又は治療が行われる領域の寸法をこの規格で定義することは難しい。図 A.9 に示した患者 環境の寸法は,経験上,妥当とみなしている。 注記 図の中の寸法は,周辺に何もないときの患者環境の最小の範囲を示している。 図 A.9-患者環境の例 3.81† ピーク動作電圧 この定義は,JIS C 6950-1:2012 の 1.2.9.8 を参照した。この用語を,定義した用語の動作電圧とともに使 用すると,JIS C 6950-1 から導入した絶縁協調の要求事項が理解しやすくなる。JIS C 6950-1 に既に精通 していれば,更に分かりやすい。3.56 の根拠も参照。 3.99† 強化絶縁 “絶縁システム”とは,絶縁が均一の一体のものでなければならないとは言っていない。絶縁システム は,補強絶縁又は基礎絶縁に分離して試験ができないような複数の層で構成されている場合がある。 3.110† 二次回路 この定義は,JIS C 6950-1:2012 の 1.2.8.5 の中の同じ用語の定義に基づいて,二次回路の過渡的な過電圧 が電源(商用)の過渡的な過電圧よりも低く,そのため耐電圧の試験電圧及び空間距離も小さい値となる 回路であることに基づいている。 3.112† 分離装置 機器を組み合わせて ME システムにする場合に,電力又は信号を伝送する接続部が必要になる。電力の 場合も信号の場合も,同様な分離の要求事項が必要となる。

(20)

3.115† 信号入出力部 信号入出力部が電気信号を授受する場合,又はその信号が非電気信号であるが別の機器と導電接続(例 えば,金属外被をもつ光ファイバケーブルを通して)をする場合は,この規格の要求事項に適合するため に他の回路から適切に分離することが必要である。信号入出力部が導電接続をもたない場合は,電気的な 基礎安全に対する要求事項は,自動的に満たされていることになる。 3.120† 電源(商用) 外部直流電源(例えば,救急車内の直流電源)は,電源(商用)であるとみなしている。そのような電 源への接続を指定する機器は,電源(商用)から給電される ME 機器に対する要求事項に全て適合する必 要がある。過去に,そのような電源に接続することを指定した一部の ME 機器は,外装と大地電位にある と想定される電源の片側との間で直接接続されていた。その電源の片側の接続が中断された場合は,その ような ME 機器の外装は電源電位となり,したがって,接触電流で規定した限度を超えてしまう。IEC 60601-1 の第 1 版及び第 2 版は,そのような接続を除外することを意図していたが,規格の使用者は必ず しもこのことを理解していなかった。要求事項を明確にするためにこの根拠を付け加えた。 3.132† B 形装着部 B 形装着部は,全ての形の装着部の内患者の保護の程度は最も低く,心臓への直接使用には適さない。 B 形装着部の患者接続部は,次のいずれかである。 - 保護接地されている。 - 大地に接続されているが,保護接地されていない。 - 浮いているが,BF 形装着部に対して要求されている大地からの分離の程度ではない。 3.133† BF 形装着部 BF 形装着部は,B 形装着部が備えている患者の保護の程度よりも高い保護の程度を備えている。これは, 患者接続部を ME 機器の接地した部分及び他の接触可能部分から分離にすることによって達成している。 その分離によって,外部電源からの意図しない電圧が患者に接続され,患者接続部と大地との間に加えら れた場合にも,患者を通して流れる電流の大きさは制限されている。しかし,BF 形装着部は心臓への直 接使用には,適していない。 3.134† CF 形装着部 CF 形装着部は,最も高い患者の保護の程度を備えている。これは,患者接続部を ME 機器の接地部分 及び他の接触可能部分から強化した分離をすることによって達成している。その分離によって,患者を通 して流れる電流の大きさが可能な限り制限されている。患者漏れ電流に対する限り,CF 形装着部は,心 臓への直接使用に適しているが,滅菌,生体適合性などの他の観点については適切であるとは限らない。 3.139† 動作電圧 この定義は,JIS C 6950-1:2012 の 1.2.9.6 に基づいている。この用語を,定義した用語ピーク動作電圧と ともに使用すると,JIS C 6950-1 から導入した絶縁協調の要求事項が理解しやすくなる。JIS C 6950-1 に 既に精通していれば,更に分かりやすくなる。3.56 の根拠も参照。 4.1† ME 機器又は ME システムへの適用のための条件 リスクマネジメントを ME 機器及び ME システムに適用する条件には,合理的に予測可能な誤使用が含 まれている。製造業者は,予測可能な誤使用をリスク分析の一部として特定することが必要である(4.2 参照)。この特定には,ユーザビリティエンジニアリングプロセスの結果を含むことがある。

(21)

4.2† ME 機器又は ME システムのためのリスクマネジメントプロセス この規格では,次のような変更をした。最低限の基礎安全及び基本性能に対する要求事項を規定すると き,例えば,新技術の安全を評価するときに特定の適合又は不適合の基準を用いて実験室で試験する代わ りに,設計プロセスの妥当性を評価した方がよい場合がある。この原則を適用した結果,この規格への適 合性を実証することの一部としてリスクマネジメントプロセスの要素を用いるという要求事項を導入し た。 製造業者は,ME 機器の設計及び構造がその意図する使用に適すること,並びにその使用に関連したリ スクがリスク/効用分析に照らし合わせてその効用を越えることなく,受容可能であることを確実にする 責任がある。JIS T 14971 は,製造業者が行う次の手順を規定している。ME 機器又は ME システム及びそ の附属品に関連するハザードを特定すること,それらのハザードに関連するリスクを推定し,評価するこ と,かつ,それらのリスクをコントロールすることである。 この規格の適用範囲は,ME 機器及び ME システムの形式検査に限定されている。それはライフサイク ルの監視までに及ばない。この理由から,JIS T 14971 で要求されている製造及び製造後情報並びにその計 画の監視に関わる要求については,この規格では除外している。リスクマネジメントプロセスの適切性を 周期的にレビューするために,JIS T 14971 で規定した要求事項も除外されている。 この規格の箇条では,検証可能な具体的な要求事項を規定しているが,それらの要求事項に適合すれば, 関連するリスクを受容可能なレベルにまで低減できると想定している。 ME システムの製造業者は,システムのレベルについて,この決定をすることが望ましい。製造業者は, システムの個々の機器が統合されて一つのシステムになったという事実に起因するリスクを評価するこ とが望ましい。この評価は,システムの個々の機器の相互間で交換される情報の側面を全て含んでいるこ とが望ましい。これらの機器が非 ME 機器であった場合でも,これらのシステムの個々の機器を ME シス テムに統合したことに関連する潜在的なリスクを考慮する必要がある。医用機器でない機器を ME システ ムに統合することに対する具体的な要求事項は,箇条 16 に規定してある。それは ME システムに対する 要求事項であり,ME 機器ではない機器に関連するリスクをどのように扱うか規定してある。 製造業者は,JIS T 14971 に適合するために正式な品質システムを整備することが要求されていないとい うことに注目することが望ましい。 このリスクマネジメントプロセスを実施すると,その結果として一組の記録及び他の文書,すなわち, リスクマネジメントファイルが出来上がる。リスクマネジメントプロセスに適合しているかどうかは,リ スクマネジメントファイルの調査によって確認される。 全ての場合について,製造業者は,開発する装置についての専門家であり,その使用に関連するハザー ドに関しても専門家である。 適合性の試験をリスクマネジメントファイルの検査又は見直しによって行う場合,見直す必要があるの は,リスクマネジメントファイルの中で関連する部分だけである。例えば,製造業者の計算若しくは試験 結果又はリスクの受容性(受容できるか否か)の決定である。 この規格では,受容できないリスクという用語を使っている要求事項,及び危険状態という用語を使っ ている要求事項がある。受容できないリスクは,全て危険状態の結果であるが,危険状態が全ての場合に おいて,受容できないリスクを生じるとは限らない。 いずれの用語を使うかを決めるときに,次の考え方に基づいた。 - “受容できないリスクがない”という表現を使うのは,製造業者が,リスクの受容性について判断し

(22)

なければならないか又は判断してもよいときである。その判断は,適切な根拠,例えば,経験,過去 のデータなどで裏付ける。 - “危険状態がない”という表現を使うのは,ハザードへの接触がないか,又は危害が生じる可能性が ないことを,製造業者が(設計図面又は技術解説などによって)実証しなければならない場合である。 これらの場合,製造業者は,危険状態が存在するかどうか決定するだけでよく,この決定は,その危 険状態から生じるリスクの受容性と関係がない。 - “ハザードがない”という表現は,決して使わない。 この規格の文脈において,JIS T 14971 で定義されているリスクマネジメントプロセスの幾つかの要素を どのように使うかについて,次の指針を与える。 - 意図する使用 意図する使用は,ME 機器又は ME システムの最高水準で決定され,ME 機器又は ME システムの使用 と関係するハザード又は危険状態を特定するときに使用することが望ましい。意図する使用が,特定の要 素の評価で使用されることはない(又は非常にまれである。)。さらに,意図する使用が,主たる入力とな るのは,ME 機器又は ME システムの臨床機能のどの側面が,4.3 で要求される基本性能を構成するかを決 めるときである。 - ハザードの特定 この規格及び JIS T 14971 は,ME 機器又は ME システムに関連した全てのハザード及び危険状態の特 定を要求する。それらが国際的な安全規格の中で特定されるかどうかにはよらない(4.2.2 の注記 1 及び 4.2.3.2 参照)。これは,正常な使用,合理的に予測可能な誤使用及び単一故障状態に適用できる。しかし, この規格で特定したハザード又は危険状態が,特定の ME 機器又は ME システムでは生じない場合は,ハ ザードを特定する目的は,この規格の対応要求事項を適用しないことを文書化することだけが,ハザード の特定において実行することである。この場合,更なるリスクアセスメント又は適合性の検証は必要ない。 JIS T 0601-1 規格群又は JIS T 60601-1 規格群において規定した要求事項を適用する場合は,ハザードを特 定する必要はない(JIS T 0601-1 規格群又は JIS T 60601-1 規格群では,既にそれらに対する要求を規定し ているため。)。例えば,電撃のハザードは,8.4.2 c)で規定したとおりの適用可能な限度を超える漏れ電流 を生じさせるような電圧が発生する部分をもたない ME 機器では発生しない。 - リスク評価 リスク評価は,リスクマネジメントプロセスの中の二つの時点で行われる。すなわち,リスクコントロ ール手段の実行の前後である。リスクコントロール手段を実行する前の評価では,要求事項を適用せずに, 関連するリスクが受容可能であることを実証するためだけに,この規格の要求事項を適用できる。しかし, この規格が,特定の要求事項に関わるリスクが受容可能である状態を維持すること,又は特定の要求事項 に関連して,受容できないリスクが生じないことを要求する場合は,この要求事項に関連するハザード又 は危険状態,及び該当するリスクが,製造業者が決定するリスクの受容性に関わる基準に基づいて,受容 できるかどうかを決定する客観的証拠(例えば,製造業者の計算,解析又は試験結果による)についてリ スクマネジメントファイルを調査して適合性を確認する。リスクコントロール手段の有効性は,JIS T 14971 の 6.3 に従って評価する。 - リスクの低減 この規格の要求事項が,関連するリスクが受容可能であることを保証するために,特定のリスクコント ロール手段の実行を要求している場合は,適合性は,次のいずれかによって確認する。 ・ 特定手段は実行されていることを保証する。このような場合では,リスクは,特定の手段によって

表 A.0-国際対応規格 IEC 60601-1 と JIS との関係  対応国際規格  IEC 60601-1  JIS  第 1 版  IEC 60601-1:1977  JIS T 1001:1983  医用電気機器の安全通則  JIS T 1002:1983  医用電気機器の安全性試験方法通則  JIS T 1003:1983  医用電気機器の電気的安全性試験方法  JIS T 1004:1983  医用電気機器の機械的安全性試験方法  第 2 版  IEC 60601-1:1988  JIS T
図 A.1-心電図モニタ中における ME 機器,装着部及び患者接続部の特定  図 A.2 は,要求される F 形装着部の絶縁を示す。点線で囲まれた部分が患者回路である。  図 A.2 において要求される装着部の絶縁を,次に示す。  -  電源電圧に基づいた大地と点線で囲まれた部分との間の,一つの患者保護手段。  -  大地とこれらの部分に印加される電圧に基づいた点線で囲まれた部分との間の,二つの患者保護手段。 -  生きている部分[電源(商用)を含む。]と点線で囲まれた部分との間の,二つの患者保護手段。
図 A.3-観血式血圧測定機能をもつ生体情報モニタにおける ME 機器,装着部及び患者接続部の特定  図 A.4 は,心電図及び観血式血圧測定機能を備えた生体情報モニタを示す。詳細を次に示す。  -  ME 機器に含まれるのは心電図モニタ,心電図患者ケーブル,心電図患者リード線及びその電極,並 びに血圧トランスデューサ及びその流体で満ちたラインである。  -  装着部に含まれるのは,心電図電極及び正常な使用時に患者と物理的に接触する必要のある患者ケー ブル及び患者リード線の部分,並びに液体で満たした観血血圧
図 A.4-観血式血圧測定機能をもつ多機能患者生体情報モニタにおける ME 機器,  装着部及び患者接続部の特定  図 A.5 は,X 線 ME システムを示す。詳細を次に示す。  -  ME システムに含まれるのは X 線源装置,X 線寝台及び壁掛けスタンドであり,全て ME 機器の一部 である。ME システムの他の部分,例えば,X 線発生装置及び操作卓は,図示していない。  -  寝台の天板の上面及び壁掛けスタンドの正面は,正常な使用で患者と物理的に接触する必要があるの で,それらは装着部に含まれる。
+7

参照

関連したドキュメント

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

  BCI は脳から得られる情報を利用して,思考によりコ

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

つまり、p 型の語が p 型の語を修飾するという関係になっている。しかし、p 型の語同士の Merge

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

神はこのように隠れておられるので、神は隠 れていると言わない宗教はどれも正しくな

従って,今後設計する機器等については,JSME 規格に限定するものではなく,日本産業 規格(JIS)等の国内外の民間規格に適合した工業用品の採用,或いは American

従って,今後設計する機器等については,JSME 規格に限定するものではなく,日本工業 規格(JIS)等の国内外の民間規格に適合した工業用品の採用,或いは American