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登上線維神経細胞の発生におけるPtf1aの役割

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Origin of Climbing Fiber Neurons and Their Developmental Dependence on Ptf1a( Abstract_要旨 ). Yamada, Mayumi. Kyoto University (京都大学). 2010-03-23. http://hdl.handle.net/2433/120572. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. none. Kyoto University.

(2) 京都大学 博士(. 医 学. ) 氏 名. 山 田 真 弓. Origin of Climbing Fiber Neurons and Their Developmental Dependence on Ptf1a 論文題目 (登上線維神経細胞の発生における Ptf1a の役割) (論文内容の要旨). 中枢神経系には形質の異なる多様な神経細胞が存在しているが、それぞれの 神経細胞がいかにして多様性を獲得するのかは未解明の部分が多い。最近、小 脳において、抑制性、興奮性神経細胞は、それぞれ異なる神経上皮で発現する 2種類の bHLH 型転写因子 Ptf1a と Atoh1 によって分別して生み出されるとい うことが分かってきた。これらの転写因子は小脳以外のいくつかの神経上皮で も発現が認められるので、他の脳領域における Ptf1a の役割を明らかにするこ とによって、小脳で一部明らかにされた転写因子による神経細胞の多様性獲得 機構が、他の脳領域にも適用できる普遍性を持っているのかについて検証する ことを本研究の目的とした。 Ptf1a の遺伝子座へ Cre リコンビナーゼ遺伝子をノックインしたマウスをレ ポーターマウス(ROSA26-loxP-lacZ)と交配することによって、Ptf1a を発現す る神経上皮から生み出される神経細胞が lacZ 遺伝子の発現によって標識でき る。この遺伝的リニエージトレース法を用いることによって、Ptf1a を発現す る神経上皮領域から生み出される神経細胞の詳細な全脳的 fate map を作成し た。β-gal 陽性細胞は、視床下部、蝸牛神経核、前庭神経核、弧束核、三叉神 経脊髄路核、下オリーブ核等で観察された。この結果と、すでに報告されてい た Atoh1 由来の神経細胞の fate map とを考え合わせると、小脳以外の脳領域 でも Ptf1a や Atoh1 という異なる種類の bHLH 型転写因子を発現する神経上皮 からはそれぞれ異なる形質を持った神経細胞が生み出されているということ が分かった。これは、小脳と同様に、小脳以外の領域でも異なる種類の bHLH 型転写因子が神経細胞に多様性を与えることに関与しているのではないかと いうことを示唆していた。 次に、特に後脳発生に着目し研究を行った。後脳神経管においては、Ptf1a は中央からやや背側よりの神経上皮で発現していることが分かった。その発現 領域は、既知の Atoh1, Ngn1 などの転写因子を発現する領域とオーバーラップ しないので後脳神経管には異なる転写因子によって規定されるドメイン構造 があることが示唆された。発生過程において、上述と同様に遺伝的リニエージ トレース観察を行い、下オリーブ核の登上線維神経細胞が尾側後脳の Ptf1a 神経上皮ドメインから生み出されることを明らかにした。下オリーブ核の発生 起源についてはこれまで良く分かっていなかったが、本研究で初めて明らかに された。次に、Ptf1a のヌル変異体を観察したところ、下オリーブ核が全く形 成されていなかった。Ptf1a の発現を失っても神経上皮の増殖、神経細胞の産 生には影響がなかった。しかし、さらに解析を進めることによって、Ptf1a ヌ ル変異体では、Ptf1a 神経上皮ドメインから生み出される神経細胞が適切に登 上線維神経細胞へと分化できず、腹側への細胞移動が途中で停止し、アポトー シスする細胞数が増加していることが分かった。以上の結果から、Ptf1a が登. 上線維神経細胞の分化、移動、生存に必須の役割を果たしていることが明らか になった。さらに、Ptf1a ヌル変異体において、橋核、外楔状束核において異 所性にβ-gal 陽性細胞が見られた。これらの細胞は苔状線維神経細胞へと運命 転換していることが分かり、Ptf1a は細胞運命決定にも重要な役割を果たして いることが示唆された。 以上の研究成果から、後脳においても Ptf1a や Atoh1 という異なる種類の bHLH 型転写因子が神経細胞の多様性獲得に関与しているということが示唆さ れた。. (論文審査の結果の要旨) 中枢神経系において神経細胞がいかにして多様性を獲得するのかは未解明の部分が多 い。小脳では、抑制性、興奮性神経細胞は、それぞれ異なる神経上皮で発現する異なる 種類の bHLH 型転写因子 Ptf1a と Atoh1 によって分別して生み出される。本研究では、後 脳背側全体にわたり一連の Ptf1a や Atoh1 を発現する神経上皮ドメインが存在すること を明らかにし、特に尾側後脳の Ptf1a ドメインからは登上線維神経細胞が生み出される ことを初めて明らかにした。また、尾側後脳の Atoh1 ドメインからは苔状線維神経細胞 が生み出される。次に、Ptf1a のヌル変異体を観察したところ、下オリーブ核が全く形成 されていなかった。さらに、Ptf1a ヌル変異体では、Ptf1a ドメインから生み出される神 経細胞が登上線維神経細胞へと分化できず、腹側への細胞移動が途中で停止し、アポト ーシスする細胞数が増加していることが分かった。以上の結果から、Ptf1a が登上線維神 経細胞の分化、移動、生存に必要であることが明らかになった。また、Ptf1a ヌル変異体 において、Ptf1a ドメイン由来の一部の細胞が苔状線維神経細胞へと運命転換しているこ とが分かり、Ptf1a は細胞運命決定にも重要な役割を果たしていることが示唆された。 以上の研究成果から、後脳においても Ptf1a や Atoh1 が神経細胞の多様性獲得に関与 しているということが示唆された。. 以上の研究は登上線維神経細胞の起源の発見に貢献し、さらに神経細胞の多様性獲得 のメカニズムの解明に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成 22年 1月 28日実施の論文内容とそれに 関連した試問を受け、合格と認められたものである。. 要旨公開可能日:. 2010 年. 3月. 23 日 以降.

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