《修論報告》学習者の「書くこと」及び「文字文化」に対する意識と「書字力」育成のあり方について
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(2) 横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) でいること、②学習者に今日的な文字使用の意識が. 代の国語」・「言語文化」)においても書写能力の. 見られたこと、③学習者の行書書写力の定着が乏し. 向上を図ることの必要性を説いた。第 2 節において. いこと、の 3 点を検討課題とし、先行研究をもとに. は、書道教育において「手書き文字の個性の教育」. それぞれの要因・背景を探り、課題改善に向けた書. を伸張すること、「文字文化」への理解をより深め. 写指導を検討した。第 1 節においては、①の要因・. ることによって「書字力」の育成を促すことができ. 背景として書写学習における「手本」の存在を指摘. ると考えた。. し、「手本」との比較によって自分の文字を否定的. 今後の課題として、「書字力」の育成に向けた実. に捉え、満足感を生み出せずにいるのではないかと. 践的な研究を行っていきたい。. 推測した。改善に向けては、書写の指導過程に「相 互批正」「相互評価」を取り入れ対話的な学びを促. 4、主な引用・参考文献. すことで、学習者それぞれが自分の文字の「特性」. 青山浩之(2016)『書写力・語彙力・活用力の育成を. を知るきっかけとなり、それを「個性」へと磨きあ. 位置づけた 小学校書写 指導のアイデア&授業. げることによって自分の文字に良さを感じることに. モデル-生きて働く「書字力」を育てる-』明. つながり、自分の文字に満足し自信が持てるように. 治図書. なるのではないかと考えた。第 2 節においては、②. 浦野俊則(2006)「中学生の書字実態から見た行書体. について「汚い手書き文字よりもきれいな活字が良. 学習に関する考察」,『千葉大学教育学部研究紀. い」とする認識がみられ、手書きによるコミュニケ. 要』第 54 巻,pp.31-39,千葉大学.. ーション性への理解を図る必要性があることを指摘. 押木秀樹(1997)「手書き文字研究の基礎としての研. した。②の要因・背景にも、①と同様に自分の書く. 究の視点と研究構造の例」,『書写書道教育研究』. 文字を「汚い」「下手だ」などと否定的に捉え、手. 第 11 号,pp.25-35,全国大学書写書道教育学会.. 書きすることに苦手意識を持っていることが推測さ. 白岩ゆき・菅野陽太郎・押木秀樹(2015)「手書き文. れた。改善に向けては、文字の「上手さ」や「きれ. 字におけるパラ言語的機能としての規範性と個. いさ」だけにこだわらず、相手意識を持って文字の. 性等について:うれしさを感じさせる要素の検. 大きさや配置・配列といった書き方を工夫すること. 討」,(同上)第 30 号,pp.21-30.. で、手書きによる豊かなコミュニケーションを図る. 全国大学書写書道教育学会編(2014)『明解 書写教. ことができ、また、こうした手書きによるコミュニ. 育』増補新訂版,萱原書房.. ケーションへの理解を深めることで、文字を書くこ. 谷口邦彦・松本仁志(2000)「手書き文字の個性の教. との技能が実社会・実生活の書字活動に機能するも. 育に関する研究方向性」,『学校教育実践学研究』. のになると考えた。第 3 節においては、③の要因・. 6 巻,pp.27-37.. 背景として、学習者が行書で書けることの利点や学. 松本仁志(2009)『「書くこと」の学びを支える国語. ぶ意義を理解しておらず、毛筆学習から日常の硬筆. 科書写の展開』三省堂.. へといった行書書写力の日常化が図られていないこ. 謝辞. とを指摘した。改善に向けては、「文字文化」の視 点から行書の利点を理解し学習の必要性を認識さ. 本研究のアンケート調査にご協力くださいました. せ、その理解のもとに行書の書き方の学習を行う必. 高等学校の先生方、生徒の皆さんに厚く御礼申し上. 要があると考えた。学習方法についても、学習者が. げます。. 行書の書き方を理解しやすく、また、日常化できる ような指導が必要であると指摘した。 第 4 章では、学習者の実態と第 3 章における課題 改善に向けた書写指導の検討を踏まえ、小・中学校 国語科書写及び高等学校芸術科書道における「書字 力」育成のあり方について考察した。第 1 節におい ては、書写教育において第 3 章での課題改善に向け た書写指導の実践の必要性と、高等学校国語科(「現. 92.
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