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《修論報告》学習者の「書くこと」及び「文字文化」に対する意識と「書字力」育成のあり方について

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Academic year: 2021

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(1)横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) 《修論報告》. 学習者の「書くこと」及び「文字文化」に対する意識と「書字力」育成のあり方について. 木津愛野 1、研究の目的. 第 2 節 学習者の書字の実態調査. 今日、情報通信機器の発達・普及は目覚ましく、. 第 3 章 学習者の「書くこと」及び「文字文化」に. 手書きする機会や手書き文字にふれる場面は減少の. 対する意識と書字の実態から見えた課題の検討. 傾向にある。私たちの生活空間を見渡してみれば、. 第 1 節 書字に対する意識について. 手書き文字よりも活字・印字が身近なものとなって. 第 2 節 「文字文化」に対する理解について. いる。. 第 3 節 書字の実態について. こうした文字環境を踏まえて、今日の社会生活を. 第 4 章 「書字力」育成に向けた書写書道教育の展望. 営む上で必要な「文字を書く力」を育成していく必. 第 1 節 書写教育における「書字力」育成のあり方. 要があろう。その主たる育成の場は、小・中学校国. 第 2 節 書道教育における「書字力」育成のあり方. 語科書写の学習であり、書写の学習は「日常生活に. おわりに. 生きる書写力」の育成を目的としている。しかしな. 3、研究の内容と結果・考察. がら、書写学習においてはこれまで、「未履修の問 題」や「手本の模倣に終始するような学習」が行わ. 第 1 章では、「書字力」の育成に向けて、目指す. れていると問題視されてきた。そのような指導の状. べき「書字力」とその育成の足掛かりとなる「文字. 況・実態にあっては、「日常生活に生きる書写力」. 文化」について考察した。第 1 節においては、先行. の定着には及ばない。. 研究から「書字力」の捉え方を概観し、本研究にお. 本研究は以上のような実態を問題意識とし、学習. ける「書字力」を「実社会・実生活の書字活動に機. 者の実態を踏まえた「書字力」の育成のあり方を検. 能する文字を書く力」と定義した。第 2 節において. 討することを目的とした。. は、手書きと情報機器の使用の視点から、今日求め. 「書字力」育成のあり方を検討するにあたっては、. られる「書字力」には「読みやすく速く書けること」. この度、改訂・告示された学習指導要領において、. と「相手に読みやすく伝わる文字を書けること」が. 書写書道教育でより重視されることとなる「文字文. 必要であると指摘した。第 3 節においては、「文字. 化」の視点を「書字力」育成の足掛かりとして検討. 文化」について、学習指導要領から内容を確認・整. することを試みた。. 理し、学習の実施状況と授業の実践例を概観しなが ら「文字文化」を学ぶ意義について考察した。. 2、論文の構成. 第 2 章では、学習者の実態を踏まえた「書字力」. 論文の構成は以下のとおりである。. の育成のあり方を検討するために、書写の学習を終. はじめに. えた高校生を対象に「書くこと」及び「文字文化」. 第 1 章 「書字力」の育成にあたって. に対する意識と書字の実態について調査した。第 1. 第 1 節 「書字力」に関する先行研究と本研究に. 節においては、〈「書くこと」と「文字文化」に関. おける「書字力」. するアンケート調査〉を実施し、学習者の書字に対. 第 2 節 今日求められる「書字力」. する意識の傾向及び「文字文化」への理解の現状を. 第 3 節 「書字力」育成のための「文字文化」の視点. 明らかにした。第 2 節においては、〈書字の実態調. 第 2 章 学習者の「書くこと」及び「文字文化」に. 査〉を実施し、書写で学習する文字を書くことの技. 対する意識調査と書字の実態調査. 能がどの程度定着しているのかを明らかにした。. 第 1 節 学習者の「書くこと」及び「文字文化」に. 第 3 章では、第 2 章における実態調査の結果から、. 対する意識調査. ①学習者が自分の文字に満足できず自信が持てない. 91.

(2) 横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) でいること、②学習者に今日的な文字使用の意識が. 代の国語」・「言語文化」)においても書写能力の. 見られたこと、③学習者の行書書写力の定着が乏し. 向上を図ることの必要性を説いた。第 2 節において. いこと、の 3 点を検討課題とし、先行研究をもとに. は、書道教育において「手書き文字の個性の教育」. それぞれの要因・背景を探り、課題改善に向けた書. を伸張すること、「文字文化」への理解をより深め. 写指導を検討した。第 1 節においては、①の要因・. ることによって「書字力」の育成を促すことができ. 背景として書写学習における「手本」の存在を指摘. ると考えた。. し、「手本」との比較によって自分の文字を否定的. 今後の課題として、「書字力」の育成に向けた実. に捉え、満足感を生み出せずにいるのではないかと. 践的な研究を行っていきたい。. 推測した。改善に向けては、書写の指導過程に「相 互批正」「相互評価」を取り入れ対話的な学びを促. 4、主な引用・参考文献. すことで、学習者それぞれが自分の文字の「特性」. 青山浩之(2016)『書写力・語彙力・活用力の育成を. を知るきっかけとなり、それを「個性」へと磨きあ. 位置づけた 小学校書写 指導のアイデア&授業. げることによって自分の文字に良さを感じることに. モデル-生きて働く「書字力」を育てる-』明. つながり、自分の文字に満足し自信が持てるように. 治図書. なるのではないかと考えた。第 2 節においては、②. 浦野俊則(2006)「中学生の書字実態から見た行書体. について「汚い手書き文字よりもきれいな活字が良. 学習に関する考察」,『千葉大学教育学部研究紀. い」とする認識がみられ、手書きによるコミュニケ. 要』第 54 巻,pp.31-39,千葉大学.. ーション性への理解を図る必要性があることを指摘. 押木秀樹(1997)「手書き文字研究の基礎としての研. した。②の要因・背景にも、①と同様に自分の書く. 究の視点と研究構造の例」,『書写書道教育研究』. 文字を「汚い」「下手だ」などと否定的に捉え、手. 第 11 号,pp.25-35,全国大学書写書道教育学会.. 書きすることに苦手意識を持っていることが推測さ. 白岩ゆき・菅野陽太郎・押木秀樹(2015)「手書き文. れた。改善に向けては、文字の「上手さ」や「きれ. 字におけるパラ言語的機能としての規範性と個. いさ」だけにこだわらず、相手意識を持って文字の. 性等について:うれしさを感じさせる要素の検. 大きさや配置・配列といった書き方を工夫すること. 討」,(同上)第 30 号,pp.21-30.. で、手書きによる豊かなコミュニケーションを図る. 全国大学書写書道教育学会編(2014)『明解 書写教. ことができ、また、こうした手書きによるコミュニ. 育』増補新訂版,萱原書房.. ケーションへの理解を深めることで、文字を書くこ. 谷口邦彦・松本仁志(2000)「手書き文字の個性の教. との技能が実社会・実生活の書字活動に機能するも. 育に関する研究方向性」,『学校教育実践学研究』. のになると考えた。第 3 節においては、③の要因・. 6 巻,pp.27-37.. 背景として、学習者が行書で書けることの利点や学. 松本仁志(2009)『「書くこと」の学びを支える国語. ぶ意義を理解しておらず、毛筆学習から日常の硬筆. 科書写の展開』三省堂.. へといった行書書写力の日常化が図られていないこ. 謝辞. とを指摘した。改善に向けては、「文字文化」の視 点から行書の利点を理解し学習の必要性を認識さ. 本研究のアンケート調査にご協力くださいました. せ、その理解のもとに行書の書き方の学習を行う必. 高等学校の先生方、生徒の皆さんに厚く御礼申し上. 要があると考えた。学習方法についても、学習者が. げます。. 行書の書き方を理解しやすく、また、日常化できる ような指導が必要であると指摘した。 第 4 章では、学習者の実態と第 3 章における課題 改善に向けた書写指導の検討を踏まえ、小・中学校 国語科書写及び高等学校芸術科書道における「書字 力」育成のあり方について考察した。第 1 節におい ては、書写教育において第 3 章での課題改善に向け た書写指導の実践の必要性と、高等学校国語科(「現. 92.

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参照

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