Title
ラット寛骨臼周辺損傷の寛骨臼ならびに寛骨発育に及ぼす
影響( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
八木澤, 芳生
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1023号
Issue Date
1996-01-17
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15246
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 且 八木澤 芳 生(岐阜県) 博 士 (医学) 乙第1023 号 平成 8 年1月17 日 学位規則第4条第2項該当 ラット寛骨日周辺損傷の寛骨臼ならびに寛骨発育に及ぼす影響 (主査)教授 松 永 隆 信 (副査)教授 森 秀 樹 教授 星 博 昭 論 文 内 容 の 要 旨 寛骨日成長帯は特異な構造を呈しtriradiatecartilagecomplexならびに,ならびに寛骨臼近傍の骨盤外壁の 骨膜によりその深さ.大きさを増すことが知られているが,先天性股関節脱臼の治療後,寛骨臼の形成不全が成 立する過程や骨端線損像さらには幼児期臼蓋形成不全の際に行われるSalter法,Pemberton嵐Hughes法な どの骨盤骨切り術あるいは棚作り手術が成長帯にどのような影響を与えるかについては知られていない。またY 軟骨あるいは関節軟骨下の成長帯が寛骨臼の発育にどのように関与しているかも明らかでない。 申請者はtriradiatecartilagecomplexのそれぞれの部位に損傷が加えられた場合の寛骨日成長を明らかにす る目的で幼若雌ラット寛骨日成長帯に各種骨盤骨切り術に類似した損傷を加え,その後寛骨臼,寛骨の発育を観 察した。 材料と方法 3週齢のWistar系幼若雌ラットを使用し,ベントパルビタールナトリウムを腹腔内に投与して全身麻酔を行 い・以下の6群のグループを作成した。それぞれの群は手術用顕微鏡を用いて股関節周辺に小さいノミにて損傷 を加え,その後の寛骨臼,寛骨の発育過程を観察した。それぞれの損傷の方法は,臼蓋軟骨成長帯およびY軟骨 の腸骨と恥骨部・坐骨部で離断したⅠ艶Hughes法骨盤骨切り術の際と同様に臼蓋軟骨成長帯の腸骨側の直上 を通りt Y軟骨を横断して坐骨内板におよぶ骨切りを施行したⅡ群,臼蓋軟骨成長帯の腸骨側だけに骨切りを施 行したⅢ群.臼蓋軟骨成長鼠Y軟骨た対して平行に近位部において外板から内板まで骨切りを施行したⅣ群, 臼蓋軟骨成長帯,Y軟骨に対して平行にⅣ群より成長帯に近いところで骨切りを施行したⅤ群,臼蓋軟骨成長帯, Y軟骨に対して平行に寛骨臼の遠位にて骨切りを施行したⅥ群である。以上の各々の群について,5週齢,7週 齢,9週齢・12週齢の各々時期に屠殺し・肉眼的(計測等も含む),エックス線学的(SOFTEX5mA,30Kvp にて撮影)・組織学的(HematoxylinandEosi臓色Safranin-0染色Tetracyclinelabelling法)に観察した。 結 果 1・Ⅰ群では各過齢で寛骨臼と大腿骨骨頑の変形が他群より著明であり.関節軟骨のSafranin-0染色では染色性 は非常に低下していた。またY軟骨は早期閉鎖していた。寛骨は内側凸のProtrusion様の変形を呈し.脊柱も同 方向に側雪を起こしていた。 2・Ⅲ群での特徴は寛骨臼の尾側偏位であり,それは損傷後の腸骨の過成長により惹起された。関節軟骨の Safranin-0染色では染色性はⅠ群と同じ程度に低下していた。Y軟骨は9週齢で残存していた。テトラサイクリ ンの1abellingでは損傷後のY軟骨周辺の骨形成が盛んであった。 3・Ⅲ群では寛骨,寛骨臼の変化は軽微であり.関節軟骨のSafranin-0染色では染色性は低下していなかった。 Y軟骨の早期閉鎖はなかった。 4・Ⅳ群は寛鼠寛骨臼の変化はほとんどなかった。V群は軽微な寛骨臼の変化があった。Ⅵ群はⅤ群と同様の 127
程度の変化であり.特徴的な坐骨の変形があった。 5.臼蓋軟骨に接するgrowthcartilageとtriradiatecartilageをともに損傷すると寛骨t寛骨臼の発育に多大な 障害を与えた。 6.triradiatecartilageに対して単に鋭的な損傷を加えただけでは過成長を惹起した0 7.成長率の高い時期にgrowthcartilageを損傷するのを避けなければいけない。やむをえず損傷を与える場合 は鋭的な操作がより侵襲が少ない。 考 察 Y軟骨の腸骨下部分のinterstitialgrowthは寛骨の頑尾方向の成長の大部分を受け持ち.一部寛骨臼の大きさ にも影響を与えている。臼蓋軟骨に接しているgrowthcartilageのinterstitialgrowthは寛骨臼の大きさt深さ の成長を受け持っていることも明らかであるが,これに関連するのは主に外側縁であり,この部分の損傷はY軟 骨のSalter-HarrisV型の損傷に比べ変形が少なかった。Y軟骨のgrowthcartilageに対する鋭的な損傷は成長帯 をかえって刺激し,損傷側が非損傷側より過成長を惹起し,Salter-HarrisV型のような損傷はY軟骨の早期閉鎖 が起こり過成長機転も阻害する程の侵襲となったと考える。骨盤骨切り術術式の成長帯に及ぼす影響を考えると pembert。n法はY軟骨部にSalter-HarrisV型のような損傷が加えられる危険が大きい。これに対してHughes法 はY軟骨に鋭的な損傷を加えるため,Pemberton法よりは術後の変形の程度が少ないといえる。この二者に対し, Salter法は成長帯に損傷を加えないため,三つの術式のうちでは寛骨臼発育の面から言えば最も優れた方法とい える。 論文審査の結果の要旨 申請者 八木澤芳生はラットを用い,寛骨日成長帯各所の傷害が寛骨臼発育に与える影響を明らかにした0 こ の知見は股関節外科学の進歩に寄与する所大と認める。 [主論文公表誌] ラット寛骨日周辺損傷の寛骨臼ならびに寛骨発育に及ぼす影響 平成7年11月発行 岐阜大医紀 43(6):735∼749 128