78 術時間は1.3時間で,一部剥離に時間を要した症例を除 けば1時間前後の手術であった. その結果,術後管理は容易で,術後2日置はほとん どの症例が離床し,高齢者のボケ防止にも有用と思わ れ,また,胆道に起因する合併症はなく,総胆管結石 症に対する術後胆道ドレナージとして逆行性二二的胆 道ドレナージは有用で,しかも,遺残結石に対しても 容易に対処できるものと思われた. 58.最近経験した腹部外傷6例の検討 (志村胃腸科外科病院) 森山 宣・安康 晴博・山本 宏・ 太田代紀子・志村 巌・太田代安律・ 亀岡 信悟 我々は外傷による腹部臓器損傷例を昨年1年間で6 例経験した.それらについて比較・検討したので報告 する. 受傷状況は歩行中,自転車・バイク・自動車乗車中 の腹部打撲であり,損傷部位は脾・肝・腎損傷がそれ ぞれ1例,腸管損傷が4例であった.術前診断が可能 であったのは6例中4例であり腹部CTによるものが 2例,腹部単純撮影によるものが2例であった,治療 法に関しては,脾損傷の1例を除き5例が外科的治療 を要した.そのうち腎摘出術が1例,腸管吻合術が4 例であった.いずれも現在経過良好である. 以上,腹部外傷6例の受傷状況・形態・術前診断の 有無・治療法について報告した. 59.肝内占拠性病変におけるMRIの有用性につい て (社会保険山梨病院) 加藤 純子・杉山 茂樹・佐藤 公・ 植竹 正紀・荒木 力・飯田 龍一 当院で肝内占拠性病変に対して施行された97例の MRIについてその有用性を検討した. 腫瘍径に対するMRI信号を比較し,T1では腫瘍径4 cm以上であると56%が低信号を示すが,腫瘍が小さ いほど強い信号を示した.T2では腫瘍径4cm以上では 95%が高信号を示すが,腫瘍径が小さいものほど等信 号を示す割合が増えた.またMRIは腫瘍塞栓のある 部分の肝血流量の低下を示し,肝門脈塞栓の程度の判 定にも有用と思われた.肝血管腫においては,MRIの 検出率と診断能は高値で有用であった.肝血管腫にお けるMRI信号を腫瘍径で分類し, T1で腫瘍径5cm以 上で低信号,小さい腫瘍径ほど等信号が多くなった. 転移性肝癌では従来の報告と同様にT1で高信号, T2 で低信号を示した. 60.MRIによる直腸癌側方リンパ節転移の術前診 断一特に骨盤側壁矢状断像について一 (東京女子医大第二外科,*同放射線科) 板橋 道朗・亀岡 信悟・中島 清隆・ 泉 公成・浜野 恭一・河野 敦* MRIを用いた直腸癌側方リンパ節転移の術前診断, 特に矢状丁丁の有用性について検討した. 〔対象〕直腸癌手術症例のうち,術前にMRIを施行 した54例である. 〔方法〕日立製0.15teslaおよび0。5teslaのMRI装 置を使用した.従来のMRI横断像に加えて矢状断像 では,両側外腸骨動脈間の連続スライスによる矢状断 像(以下,骨盤側壁矢状二二)を施行し,側方リンパ 節転移診断を行った. 〔結果〕骨盤側壁矢状二丁では,内腸骨動脈前枝, 閉鎖動脈,閉鎖神経が高率に描出された.臨床成績で は偽陰性例は認めず.偽陽性例3例いずれにも術中に リンパ節腫大が認められた.質的診断は今後の課題で あるが,直腸癌側方リンパ節転移の診断に有用である と思われた. 61.急性虫垂炎の除外診断としてのガストログラ フィン注腸の有用性について (朝霞台中央総合病院) 椋棒 =豊・村田 順・山道 博・
吉野浩之・林 達弘・清水舜一
急性虫垂炎は,日常的によく遭遇する一般的な疾患 であるが,その診断には困難な症例もある.そこで我々 は,鑑別困難な症例に対し,従来の自覚症状,他覚所 見,白血球数,腹部単純X−P,腹部超音波検査等に加 え,ガストログラフィン注腸造影検査を施行している. 急性虫垂炎の診断に際し,超音波検査のように虫垂に 所見があれば積極的に急性虫垂炎と診断するのとは違 い,ガストログラフィン注腸造影検査で虫垂が末梢ま で完全に造影婁れた場合は,急性虫垂炎を否定できる 除外診断であり,また,その手術適応にも有用である と考えられる. 62.血管造影にて止血し得た消化管および腹腔内大 量出血例の経験 (日大放射’線科,*同第一外科) 島田 裕司・武藤 晴臣。 鎌田力三郎・森田 建* 症例1:10歳男児,後上膵十二指腸動脈の分枝より 十二指腸に漏出する造影剤を認めた.出血性十二指腸 一946一79 潰瘍と診断し,後上膵十二指腸動脈を金属コイルで塞 栓した. 症例2:67歳男性,膵癌で膵頭十二指腸切除術施行 後第14病日に腹腔内ドレーンより大量の出血を認め た.血管造影で総山動脈に動脈瘤様拡張および血管外 漏出を認め,ゼラチンスポンジとトロンビン沫で塞栓 、\\ したが血圧上昇なく,上腸間膜動脈造影を再び施行し た.2回目の造影で中結腸動脈分枝よりの出血が確認 された.腸管壊死をおそれ塞栓術は施行せず,中結腸 動脈にカテーテルを留置しヴァソプレッシンの持続注 入にて止血した. いずれの症例も出血部位に応じ異なった方法で止血 したが,これが良好な結果をもたらしたものと思われ た. 63.消化器手術に続発した真菌性眼内炎の2例 (宮川病院,日本大学医学部放射線科*, 山梨医科大学眼科**) 中村 英美・福田 晃・北畠 滋郎・ 宮川 晋爾・武藤 晴臣*・雨宮 哲士** 最近我々は消化器二手術後,経静脈栄養カテーテル が原因と考えられた真菌性眼内炎の2症例を経験した ので報告する. 1例は早期診断,早期治療により失明を免れたが, もう1例は眼球虜に陥り失明した. 真菌性眼内炎は日和見感染としてカンジダ属による ものが多く,本症の多くは生体防御機構になんらかの 障害を持つ,いわゆるcompromised hostの患者に多 く,このような患者に外科手術,IVH長期留置,抗生 剤・ステロイド二等の使用が加わって発症する.真菌 性眼内炎は早期診断,早期治療がその予後を大きく左 右するため,本症が疑われる症例に対しては,早急に 眼科専門医を受診させ,速やかな治療が必要と考えら れた. 64.特発性大網捻転症の1回 忌 (尾原病院) 佐藤 浩之・林 俊之・福井 博行・ 飛田 洋一・尾原 徹司 特発性大網捻転症は本邦では自験例を含めて23例の 報告のみで稀な疾患である.症例は42歳男性.右下腹 部痛を主訴に来院.急性虫垂炎の診断にて開腹したが 虫垂に異常所見なく上行結腸右側方に捻転し塊状にな り欝血壊死に陥った大網を発見しこれを切除した.本 症例は大網に捻転を生じさせる器質的疾患や周囲との 癒着なく,特発性大網捻転症と診断した. 本疾患を生ずる素因として肥満,解剖学的個体差, 大網脈管の位置関係が,誘因として外傷,腸蠕動の充 進,急激な体位の変換があげられている.本邦報告23 例の検討では肥満した中年男性に多く,9割が右側の 腹部痛を訴え,ロ区気,嘔吐などの消化器症状を訴えな い等の結果を得た.急性虫垂炎の際には稀ではあるが 本疾患の存在も念頭におく必要があると思われる. 65.腹痛患者における超音波検査による腹水検出の 診断的意義 (福田記念病院) 川罵 隆・福田 武隼 過去2年間,当院で経験した腹痛患者のうち超音波 検査で少量の腹水が検出された症例について腹水検出 の診断的意義を検討した.1)少量の腹水の主な検出部 位は,①肝下面・右腎境界部,②胆嚢周囲,③脾臓周 囲,④腸管間隙,⑤ダグラス窩であった. 2)腸閉塞では腸管閉隙,胃十二指腸穿孔では胆嚢周 囲,膵炎では脾二部,急性虫垂炎・大腸憩室炎・婦人 科疾患ではダグラス窩が腹水の検出されやすい部位で あった. 3)女性においては偽陽性例がみられた. 4)腹水の検出は病気発見の端緒となったり,手術適 応の決定に結びついた. 5)超音波による腹水検出の有無および検出部位,腹 腔内にみられるその他の異常所見の描出が腹痛患者の 診断に有用であった. 66.救命救急センターを開設して (都立府中病院) 由里 樹生・菊池 友充・南 智仁・ 小林 利子・井村 紛乱・小野寺時夫・ 矢沢 知海 都立府中病院は,1990年8月1日附で,救命救急セ ンターを開設した.今回は,当センターのシステムと 12月末迄の5ヵ月間の直通電話による来院患者の実態 について報告した. 5ヵ月間に,115件が来院,そのうち,45件(39.1%) がDOA(来院時死亡)であった.救命率は40.8%(47/ 115)であったが,この中には植物状態も数例含まれて いる.来院時の男女比は1:0,6,年齢では50歳以上が 61%を占め,DOAでも50歳以上が,その2/3を占めて いた.来院時の意識障害の原因は,DOAが多いことか ら原因不明が34.8%と多く,交通事故(22.6%),事故, 心疾患の順であった.心疾患は二次救急として来院す るものが多く,三次救急として来る例が少ない(6件, 一947一