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塩酸ニムスチンによって引起されたラット胎仔の心臓血管異常

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Academic year: 2021

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209 (76) 氏名(生年月日) 本 籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

トミ タ サチ コ

富田幸子(昭和27

医学博± 三郷1075号

平成2年3月16日

学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)

Cardiovascular anolnalies produced by nimustine hydrochloride in the rat

fe加s(塩酸ニムスチンによって引起されたラット胎仔の心臓血管異常) (主査)教授 高尾 篤良 (副査)教授 串田つゆ香,平田 幸正

論文 内 容の 要 旨

目的 先天性心奇形の形態形成メカニズムを解明する目的 で,本実験を行った.ニトロソウレア系制ガン剤の一 つである塩酸ニムスチンは,すでに当教室において鶏 胚で催心奇形性が確められているが,よりヒトに近い ホ乳類での喪心奇形実験はまだ行われていない.そこ で妊娠ラットを用いて本剤のラット胎仔心への影響を 観察した. 方法 妊娠7,8および9日目の呑竜系ラットに塩酸ニム スチソ水溶液を腹腔内に投与した。投与量は体重当り 10,11および13mg/kgである.妊娠20日目に母体から 胎仔を取出して固定し,心血管系を中心に検索した. 結果 塩酸ニムスチンによって引起こされた心血管奇形は 全生存胎仔の37%に認められた。特に妊娠8日目ラッ トに投与した群に高率にその奇形がみられたが,本剤 の上記投与量の差による心血管奇形の出現率には差は 認められなかった.最も多く作製された心血管奇形は, 心室中隔欠損(76,8%)で,次いで両大血管右室起始 (10.3%)であった.作製された複合心血管奇形の中で 房室並列異常や房室弁奇形が15%に見られ,これらは 両房室弁左室流入,房室弁騎乗,房室弁閉鎖または狭 窄,房室弁形成異常などであった。 考察 本実験で確認された心血管奇形に,房室弁奇形を含 む房室並列異常が認められた.これらの異常は正常を 中心として,両房室弁左室流入から僧帽弁騎乗までの 幅の広い房室並列異常スペクトラムを示した.従って 房室並列異常の心奇形実験モデルとなる可能性が示唆 された.塩酸ニムスチソの歯胚実験では,主に総動脈 幹遺残(74%)が出現することはすでに報告されてい る.これはおそらく動脈幹中隔の形成に関与する神経 堤細胞へ本剤が影響するものと推測される.しかし ラヅト胎仔を使用した本実験では,動脈幹中隔の異常 は全く認められず,また顔面異常の出現率も低いこと から,ラット胎仔の神経堤細胞には影響が少ないと考 えられた.しかし本実験で本剤の最も効果の現われた 投与日は妊娠8日目であり,この時期での神経堤細胞 出現時のずれが鶏胚と異なった結果を示したのかもし れない. 結論 本実験により,制ガン剤の一つである塩酸ニムスチ ンのラット胎仔における催心奇形性が確認された.本 剤の最も催心奇形効果が認められたのは,妊娠8日目 投与群であり,作製された心血管奇形は主に心室中隔 欠損で,次いで両大血管右室起始であった.これらの 心血管奇形には房室弁異常を含む房室並列の異常が幅 の広いスペクトラムで認められた. 一811一

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論文審査・の要旨

本研究はニトロソウレア誘導体である抗癌剤塩酸ニムスチンを妊娠ラットに投与し,高率に胎仔に各種心奇 形を出現せしめ,特に本剤が両房室弁流入左室,房室弁騎乗,房室弁狭窄,あるいは房室弁異形成など心房心 室整列異常を伴った複合心奇形の実験的作製に有用であることを証明したもので,心奇形学上貢献する所大で ある. 主論文公表誌

Cardiovascular anomalies produced by nimustine hydrochloride in the rat fetus(塩酸ニムスチソ

によって引起されたラット胎仔の心臓血管異常) Teratology Vol.38 No.6 553-558頁

(1988年12月発行) 副論文公表誌 1)心室中隔欠損を伴う大動脈弁下狭窄症のネコの 1例 家畜の心電図 14:46-50,1981 2)家畜の心奇形 ネコ 家畜の心電図 15:17-23,1982 3)大動脈弁下狭窄をともなう不完全型房室管奇形 の豚の1例 雷獣会誌 37:39-43,1984 4)ラット母体へのビスダイアミン投与の胎仔循環 動態に対する影響 日児言志 91 (7):1588-1593, 1987

5)Hemodynamic characteristics in neural crest cell-excised chick embryo(神経堤細胞を除

去した鶏胚における循環動態の特徴) Heart Vessel 4:136-140,1988

6)Pathogenesis of persistent truncus arteriosus

induced by nimustine hydrochloride in chick embryos(塩酸ニムスチンによって引 起された鶏胚の総動脈幹遺残の病因) Teratology 39:287-294,1989

参照

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