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思春期の同胞葛藤に関する研究 : 調査・事例研究を中心に

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(1)平成6年度 学位論文. 思春期の同胞葛藤に関する研究 一調査・事例研究を中心に一. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科. 学校教育専攻. 大 前. 生徒指導コース. 泰 彦. M93153F.

(2) *****目次*****. はじめに. 1. 第1章 問題と目的. 3. 第1節 問題. 3. 第2節 目的. 5. 第2章 調査研究による同胞葛藤の実態分析. 7. 第1節 目的. 7. 第2節 方法. 7. 第3節 結果. 9. 第4節 考察. 22. 第3章 事例研究による同胞葛藤の臨床的分析. 34. 第1節 目的. 34. 第2節 事例の概要. 34. 第3節 治療方針. 35. 第4節 面接経過. 36. 第5節 考察. 44. 第4章 総合考察. 50. 第1節 同胞葛藤と学校不適応. 50. 第2節 今後の課題. 53. 要約. 57. 引用文献. 63. APPENDIX. 66. おわりに. 72.

(3) はじめに. 葛藤は同胞関係の明らかな特色であり、幼児期、学童期、思春期には ありふれたことであろう。同胞に対して、愛情と同時に憎しみというア ンビバレントな感情を抱いたり、ある時は、肉体的な衝突をも経験しな がら互いに成長していくのが同胞関係であり、また、対立と協調、競争 と協力という、人間社会の根源的ともいえる関係性を人生の最初に学ぶ のも同胞関係である。. 旧約聖書では、人類最初の殺人がカインとアベルの間の葛藤によると され、わが国の古事記ではアマテラスのスサノオに対する葛藤が世の中 を闇にしたことが記されている。以来、世界史・日本史を紐解けば、同 胞葛藤による事件、エピソードに事欠かない。すなわち、同胞葛藤はす ぐれて人間的なものであり、普遍的なものである。 同胞葛藤は、多様な要因に基づく。Raffaeili,M.(1992)は、二つの意. 見を紹介している。家族システム論者は、深く感情的に関わること、多 くの時を共に過ごすこと、活動や興味の範囲の結合を必要とすること、. 不本意ながら家族の一員であらねばならないこと、および、社会的規律 が葛藤を許容しているということ、などによって、家族が葛藤を促進す ると主張している。一方、それとは対照的に、同胞達は親の愛と注目を 求めて競い合うがゆえに葛藤を生み出す、という意見もある、という。. 筆者は、過去に経験したいくつかの事例から、親の愛情をめぐっての 葛藤が学校不適応において重要な役割を果たすのではないか、という仮 説を得た。本研究はそれに基づいて実証的研究を行うものである。同じ 親子、同じ家族内で、同胞の一方が不登校であるが、一方は元気に登校 している事例や増加する同胞内複数不登校事例に対し、親も学校現場も 一1一.

(4) その対応に苦慮している。このような学校不適応において、同胞葛藤と いう側面から研究をすすめ、克服の方途を探求していくことは、意義あ ることだと考えるものである。 厚生白書(1994)は、子どもの出生と成長をめぐる状況について、まず、. 少子化傾向を指摘しており、その影響として、ある程度のメリットをも たらす可能性があるものの、親の干渉により自主性の発達が阻害される、. 兄弟姉妹数や友人数の減少に伴って、社会性が育ちにくい、互いに切磋 琢磨することがなく、たくましさが失われる等の少なからざるデメリッ トをもたらすとしている。. 価値観が多様化してきたとはいうものの、学歴主義は厳然としてあり、. 子どもたちを没個性化に追い込む状況は変わってはいない。このような 中で、少子化によって、さらに子どもをステレオタイプに見る傾向が強 まるのではないか、と危惧するものである。「良い子」「悪い子」ある いは、「できる子」 「できない子」の2種類にならないか、それによっ. て今よりも偏愛が起きないか、同胞葛藤による学校不適応が増加しない か、ということである。. 本研究では、不登校等の学校不適応が中学校に入ると急激に増加する こと、また、思春期における同胞葛藤に関する研究が立ち遅れているこ とから、中学生を中心に調査・事例研究を行う。さらに、思春期の主要 なテーマ、アイデンティティの問題を自己評価下意識に焦点化し、同胞 葛藤との関連性を考察していきたい。. 一2一.

(5) 第1章問題と目的 第1節 問題 1.同胞葛藤と学校不適応 「きょうだいは他人のはじまり」あるいは、 「きょうだいは左右の手」. など、同胞関係について相反する見解がある。対立と協調、競争と協力 が同胞関係の根本的なものであることを示しているのである。加藤(198 1)は、同胞が互いに相手に対して最初に示す反応は敵意であるが、やが. て愛情も芽生えてきて、愛と敵意という相反する感情が共存する、と述 べ、Cahn, P.(1969)も、このような両価的感情こそが、同胞関係の起源に. 特有なものであると強調している。このような同胞関係が、人格形成に 与える影響は無視できないであろう。. 対人経験としての同胞関係が社会性の発達に貢献することはよく指摘 されている。とくに、きょうだい喧嘩のプロセスを頻繁に経験すること は、自己主張や自己抑制の訓練にとって積極的な意味をもつと考えられ る(吉田,1990)。とはいっても、喧嘩が甚だしいほど良いなどと言えない ことは、自明の理である(河合,1980)。親の不公平な扱いや偏愛によって、. 深刻な葛藤状況が続き、不登校等の学校不適応を生み出している事例も 少なからず報告されている。また、学校現場では、不登校生徒の増加と ともに、きょうだいそろって不登校になる事例が増えてきており、その 対応に苦慮している。. 不登校における同胞内複数発生例について、竹内・星野・岡野・増子 ・八島・熊代(1991)は、同胞中2名以上発生した「同胞例」と同胞中1 名のみが不登校の「非同胞例」を比較検討し、 ①年長児が年少児に先立って発症する場合が多い。. ②登校拒否の同胞例では、母親をめぐって同胞間に顕著な葛藤関係に 一3一.

(6) あるものや相互依存関係にあるものが非同胞例に比べて有意に高頻 度に見られた。. ③同胞間に目立った葛藤関係を有しない同胞関係は、非同胞例に有意 に高頻度に見られた。. と、報告している。すなわち、きょうだい共に不登校の場合は、同胞葛 藤が主な要因として考えられるのである。. 2.同胞葛藤と自己評価的意識 三富(1983)は、乳幼児の調査から、同胞葛藤によって、劣等感をもっ. たり、自己評価を低下せしめる契機となり、臨床上問題となる症例もあ る、と注意を喚起しているが、この時期に克服されなかった問題が再燃 すると言われる思春期においても同様のことが起きるのではないか。す なわち、親の偏愛による同胞葛藤によって、自己を否定的にみたり、防 衛的になることである。思春期の不登校の心理機制のひとつとして、 「自己同一性の危機」が挙げられているが、これは、自分像の問題であ り、自己をどう評価するか、ということでもある。. 第2次性徴の出現とともに、「自分とは何か」を問いはじめ、自分の 身体的特徴や容貌が気になり、性格や能力を疑い、他者のまなざしへの 過敏さ、自己の将来への関心、などが顕著になってくる(梶田,1988)思春. 期において、 「自分は価値ある存在だ」という感情をもつことが大切で. あり、そのことが、意欲的・積極的な生活をおくるための必要条件であ ろう。このような感情は”Self−esteem”あるいは、自尊感情ともいわれる が、加藤・高木(1978)は、この自尊感情(Self−esteem)が低くなると、劣. 等感や無価値感にさいなまれ、不適応に陥る恐れがある、と述べている。 田中・原野(1992)は、不登校の中学生とそうでない中学生を被験者とし、 SD(Semantic Differential)法を用いて自己評価意識を測定しているが、 一4一.

(7) その結果、不登校児群は現実の自分に対する自己評価が低く、自己概念 は否定的であり、他者から見られている自分の自己評価も低かった。そ のため、彼らの否定的な自己評価を変化させることが必要である、とし ている。. このような自己評価意識は、同胞関係だけに影響されるものではない。 しかし、核家族化と少子化により、親の目が行き届きすぎ、いきおい、. きょうだいどうしが比較対照され、葛藤があおられることによって、自 尊感情に決定的な影響を与える場合もあるのではないか。これが、学校 不適応の原因になることは、十分考えられる。ところが、現在、同胞葛 藤に関する研究が数少なく、同胞葛藤と自己評価意識の関連性について はさらに稀少である。従って、これらに関する実証的研究及び臨床研究 は、学校教育相談上の必要性からみても意義あるものだと考える。. 第2節 目的 本研究は、まず第1に、思春期(特に中学生)における同胞葛藤につ いて質問紙による調査を行い、分析検討するものである。同胞関係につ いての質問紙は、詫摩(1981)、飯野(1984)、森下・山口(1992)らが作成. したものがあるが、これらはいずれも、同胞相互の関係をみる尺度構成 であり、親との関係をみる項目はない。従って、「親の偏愛による同胞 葛藤」を調査するためには、新しく質問紙を作成する必要があった。作 成した同胞葛藤尺度による調査と併せて、自己評価意識をも測定し、こ れらの関係を調べる。 自己評価意識は、項目内容、項目数を検:凹した結果、梶田(1988)の自. 己評価的意識インベントリー30項目を採用した。仮説としては、同胞葛 藤が頻繁であれば、自己評価に影響し、自己防衛性が高まり、自己をよ り否定的に捉える傾向になるのではないか、ということである。ただし、 一5一.

(8) 同胞構成や年齢によって相違があるであろう。尚、本研究では、同胞葛 藤とは、親の偏愛によって生じた葛藤の認知のみならず、無意識下に抑 圧された葛藤(=Cain complex)、及びその行動化としての「きょうだい抗 争(=Sibling rivalry)」をも包含するものと定義する。. 第2に、同胞葛藤を要因とした学校不適応の事例研究をも加えること である。なぜならば、質問紙作成の際参考にした、Furman,W.,& Buhrmester, D.(1985)及びRaffaelli,M.(1992)らの研究では、質問紙によ. る調査だけではなく、同時に面接法による調査も行っており、一般 (genera1)と個別(persona1)あるいは、意識的部分と無意識的部分の両面. からの接近が、研究方法として妥当だと考えたからである。また、本研 究は、臨床上の要請から始まったものでもあり、面接事例による検討が 必要であると考えた。. 最後に、以上の総合的考察を行い、同胞葛藤の建設的な克服の方途、 学校現場での対処等を探るものである。. 一6一.

(9) 第2章 調査研究による同胞葛藤の実態分析. 第1節 目的 1. 中学生を対象とした同胞葛藤に関する質問紙を作成し、同胞葛藤の 諸因子を求め検討する。. 2. 作成した同胞葛藤尺度を構成する因子について、性、学年、年齢差. 及び家族布置を要因とし、因子合成得点を従属変数とする分散分析を行 って、子どもの学年齢に伴う発達的変容及び家族布置による葛藤認知の 差異を明らかにする。. 3. 自己評価意識を質問紙法によって測定し、性別、学年別に下位検定 をした後、 同胞葛藤との関係を求める。. 第2節 方法 1. 被験者は和歌山県K中学校の生徒325名(男子165名、女子160名)を対. 象とし、同胞をもつ315名を主な分析対象とした。 2. 質問紙の尺度構成と項目は、主としてRaffaelli,M.(1992)、 Sib− ling Relationship Questionnaire Scales(Furman,W.,& Buhrmester,D.. 1985)、森下・山口(1992)、斎藤・廣岡・平林・吉田(1990)、詫摩(1981)、. 及び依田(1990)らの研究から抽出され、兵庫教育大学教官、大学院生数:. 名によって項目検討された後、46項目からなる質問紙が作成された。こ. の質問紙を用いて、1994年5月、1中学校にて予備調査を実施した。合 計77名のデーターは、因子分析後、因子負荷量:の小さい項目、あるいは. 2因子以上に同程度の因子負荷量を示す項目については削除された。さ らに、被験者および実施に立ち会った学級担任の意見を参考に、最終的 に34項目からなる質問紙が作成された。作成された質問紙は、本調査の. ために50分の時間が確保され、1994年7月、K中学校にて全校一斉に実施 された。回答形式は、「たいへんよくあてはまる」、「ややあてはまる」、 7一.

(10) 「あまりあてはまらない」、「全くあてはまらない」の4件法とした。. 被験者を含めて2人きょうだいの場合は相手を想定させ、3人きょうだい 以上の場合は年齢の近いきょうだいについて回答させた。尚、ひとりっ 子は同時に実施した別の検査まで、そのまま少し待つよう指示した。収 集したデータは、性、学年、年齢差、家族布置を要因とした分散分析に. よって検討された。分析にあたっては、主としてSAS統計パッケージGL Mプロシジャー TYPE I[SSを用いて行われた。得点化は、「たいへんよ くあてはまる」を4点、 「ややあてはまる」を3点、 「あまりあてはま. らない」を2点、「全くあてはまらない」を1点とした。 3. 自己評価意識を測定する質問紙は、梶田(1988)の自己評価的意識イ. ンベントリー30項目を用いた。同胞葛藤尺度による質問紙調査を行った 際、同時に施行した。梶田の自己評価的意識インベントリーは、 2件法. または3件法で行われているが、同胞葛藤尺度の評定形式に合わせて、 「たいへんよくあてはまる」、「ややあてはまる」、 「あまりあてはま. らない」、 「全くあてはまらない」の4件法で行った。収集したデータ ーは、兵庫教育大学電算室のSAS統計パッケージを用いて因子分析され、 性別、学年別に因子合成得点が算出された。それらの差異は、2(性)×2 (学年)の2要因分散分析によって検討された。得点化は、同胞葛藤尺度 と同様に、 「たいへんよくあてはまる」を4点、 「ややあてはまる」を. 3点、 「あまりあてはまらない」を2点、 「全くあてはまらない」を1. 点とした。さらに、同胞葛藤尺度の「葛藤」因子と自己評価的意識イン ベントリーの下位尺度とのピアソンの相関係数を求めた。相関値は、全. 体、2人きょうだいの場合、3入きょうだいの場合、それぞれについて求 められた。. 一8一.

(11) 第3節 結果 1. 同飽葛藤尺度の作成 (1)被験蒋のプロフィールデーター. 学年別、男女別、出生順別及び同. 胞数をTable lからTable 3に示す。. Table 2 出生順別標本数. Table !. 学年・男女別標本数 男子 女子 1年. 45. 46. 計. 2. 1. 出生順. 人数130130 51. 91. 2年 60 67 127 3年 60 47 !07. 3. 4以上 4 N=325. 計165160325 Table 3. 同胞数(自分を含む)別標本数 同胞数. 1. 2. 3. 4. 二二 10150148 13. 5. 6. 2. 2. N=325 (2)因子分析 調査結果を男女別に因子分析を行ったところ、因子構造. に殆ど違いはなかったので、ひとりっ子を除く315名のデーターを因子 分析した。統計処理は、主として、兵庫教育大学電子計算室のコンピュ. ーターにてSAS統計パッケージを利用して行った。主因子法にて解を求 め、それをバリマックス回転させた結果、解釈可能な3因子を得た(Ta− ble 4).. 第1因子は、同胞とは不和であり、喧嘩や所有物をめぐる争い、また、 親をめぐって対立している傾向を示しているので「葛藤」と命名した。. 第2因子は、同胞関係が希薄でコミュニケーションも少ない傾向を示し ている。ただし、空間的な遠さや近しさを意味するものではないので、 一9一.

(12) Table 4 同胞葛藤尺度の因子分析(Varimax回転後). 項旨番号及び項目内容. 避. F2. F3. h2. 27. きょうだいとちょっとしたことでけんかになる ……一.69. .13 一.08 .50. 28. きょうだいげんかは母親のいるときが多い 一一一一一一一一….65. .Ol .08 .44. 29 22 20 26. きょうだいは母親によく告げ口をする 一一一一……一…一.64 きょうだいとテレビのチャンネルやビデオを争う 一一一一一.64 きょうだいと物の取り合いをする一一一一一…一…一…一一.62 きょうだいは父親によく告げ口をする 一一一………一一一.57. .08 一.27 .50. 33. きょうだいげんかは母親がよく止めに入る 一一一……一一.57. 24. きょうだいげんかをすると自分のせいにされる 一…….56. .12 一. 28 .e. 23. きょうだいげんかは父親がよく止めに入る …一一…一一一.53. 一.08 .10 .30. 21. きょうだいに負けたくない一一一一一一一一一一…一一一一…一一一一一.53. 30 25. 自分の方が父親に叱られる 一一一一一一…一…一一……一….52 自分は母親によく告げ口をする 一一一一一…一……一一一一一.48. .06 .11 .42 一. Ol .02 .38. .07 一.16 .36. .OO .05 .33. .07 一.04 .28 .Ol 一.12 .28 一. 05 .24 .30. 34. 自分は父親によく告げ口をする 一…一一一一一一一一…一一….43. .03 .23 .24. 19. きょうだいげんかは父親のいるときが多い 一一一一一一一….39. 一.03 .09 .16. 18. きょうだいげんかをしても親は何も言わないことが多い一.41. 一. 12 .04 .19. 7. きょうだいと遊ばない 一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一.04. 6. きょうだいとあまり話をしない 一一一一一一一……一一一一…一一.14. 8. きょうだいと気が合わない 一一一一…一一一一一一一一一一一一…一.17. .80 一.OO .64 .78 一.07 .64 .71 一.07 .55. 5. きょうだいといっしょにいるときが多い 一一一一一一一…一一一.12. 15. .58 .15 .38. きょうだいに学校のことや友達について話す 一一…一一一一.02. 一.52 .41 .44. 1. きょうだいとは仲がよい 一一一一一一一一一一一一一一一…一…一一.34. 一. 59 .14 .49. 2. きょうだいといっしょにいると楽しい一一一一一一…一一一…一.27. 一.62 .29 .52. 16. 自分の方が母親に甘える …一一…一一一…一…一一一一一一一.01. 一. 13. .78. .63. 17 14 13. 自分の方が母親といっしょにいるときが多い …一一….04 自分の方が母親と話をする ………一……一一一一一…一.16. 一. 14. .76. .61. 一. 24. .62. .47. 自分の方が父親に甘える 一……一一一一……一一一一…一一一.01. .13. .60. .38. 11. 自分の方が父親といっしょにいるときが多い …一…一一.02. . 29. .40. .25. きょうだいの方が母親といっしょにいるときが多い….17. .21. 9. 因子寄与. 一. 38. 5. 03 3. 45 Z94, 11. 42. 寄与率. 17. 96 12. 32 10. 50 40. 78. 一10一. .22.

(13) 「心的分離」と命名した。第3因子は、同胞に対し被験者の方が親と親 密であり、より依存的傾向を示している。よって、同胞との関係は、 「親の独占」傾向を示していると解釈した。. (3)同胞葛藤尺度項目の選定 項目については、各因子毎に因子負荷量 が0.38以上を示し、同時に他の因子とは0.10以上差があることを基準に 選定した。その結果、最終的に、第1因子(F1)!5項目、第2因子(F2)7 項目、第3因子(F3)6項目、計28項目による同胞葛藤尺度が作成された。. つづいて、各因子の内的整合性を調べるために、各因子毎に項目間の 相関を求め、それに基づき、Cronbachのα係数を算出すると、それぞれ α(F1);0.84、α(F2)=0.81、α(F3)=0.67 であった。. (4)項目分析選定した項目の識別力を調べるために、G−P分析を行 った。各因子ごとの平均値を基準に、上位群と下位群に分けてt検定を 行った結果、すべての項目について10/。水準以上の有意差が認められた。. 2. 同胞葛藤の学年別・性別・年齢差及び同胞構成による相達 (1)学年別・性別・年齢差による相違 同胞葛藤尺度の各下位尺度ごと に、学年別、性別に因子合成得点の平均値と標準偏差を算出した(Table 5)。これらの結果の差異を検定するため、2要因の分散分析を行った。 「葛藤」については、学年(F=5.63,df=2/291,p〈.01)の主効果が有意で. あった。有意な性差はみられず、交互作用も有意ではなかった。有意差 のあった学年要因について、Bonferroniの検定による多重比較を行った. ところ、5%水準で中1と中3の間に有意な学年差がみられ、中1の得 点が中3のそれを上回るということがわかった。しかしながら、他の学 年間には有意差は認められなかった。 「心的分離」については、性(F=29.93,df=1/307,p<. Ol)による主効果. が有意で男子生徒群の得点があきらかに高いことがわかった。しかし、 一11一.

(14) 学年による主効果及び交互作用はともに有意ではなかった。 「親の独占」についても、性(F=33.99,df=1/296,p〈.01)による主効果. が有意で、女子生徒群の得点が高かった。学年による主効果及び交互作 Table 5 同胞葛藤因子合成得点の学年別・性別平均及び標準偏差. 中. 男子 平均値 (SD) 人数:. 1 女子 平均値 (SD) 人数:. 中. F2(心的分離). F3(親の独占). <60,15>. 〈28,7>. 〈24, 6>. 34. 97. 18.13. 12.68. (8. 59). (3. 29). (2.46). N−42. N=44. N=41. 34. 86. 16.06. 14.22. (9. 13). (4.26). (2.95). N=46. N=40. 33. 57. 18.25. 12.15. (8. 26). (4. 54). (3.08). N=37. 男子 平均値 (SD). 人数. N=49. 2 女子 平均値 (SD). 人数 中. Fl(葛藤). 男子 平均値 (SD). 人数. 3 女子 平均値 (SD). 人数. N=51. 32. 43. 15. 39. 14.46. (8. 99). (4. 21). (3. 74). N=62. N−64. N=62. 30. 55. 18.89. 11.56. (8. 42). (4. 68). (2. 73). N−59. N=59. N=57. 30. 83. 15. 86 (4.40). (7. 73). N=43. 因子名の下のく. N=52. N=44. 24.17 (4. 04). N=4,5. 〉内は、各因子合成得点の満点と最低点である。. Table 6 対象の同胞との年齢差. 差(歳) O l 2 3 4 5 6 7 8 9 10以上 人 数:. 6 59 98 79 40 11 3 5 5 1 6 N=313. 一12一.

(15) 用はともに有意ではなかった。. 尚、同胞との年齢差とその人数をTable 6に示すが、年下等による主効 果については、いずれの場合においても有意差は認められなかった。. (2)同胞下汐による相違1(同胞数2名) 今回の調査においても、ま た、先行研究においても、二人きょうだいが最も多いこと(約65%,詫摩.. 1981)から、同胞が二人の場合の因子合成得点を比較検討した。二人きょ. うだいでは、被験者からみて、 8通りの構成がある。これらの構成ごと に因子合成得点の平均及び標準偏差を算出した(Table 7)。これらの結果. の差異を検定するため、 2(被験者の性)×4(同胞の家族布置…兄・姉. ・弟・妹)の2要因分散分析を行った。有意差がみられた場合、同胞構 成別にBonferroniの検定により多重比較を行った。 「葛藤」については、統計的有意差はみられなかった。 「心的分離」については、性による主効果(F・20.6!,df=1/!47,p〈.01). が有意であったが、同胞の家族布置及び交互作用は有意ではなかった。. 多重比較を行うと、囲→平群と、囲→弟群、囲→妹群、國→兄群、國→ 姉群、の間にそれぞれ5Ye水準の有意差がみられ、國→妹群は囲群及び囲 群よりも高得点であった。 「親の独占」については、性による主効果(F・19.65,df・1/139,p<.Ol) 及び同胞の布置による主効果(F=14.24,df・3/139,P〈. Ol)が有意であった。. 交互作用は有意ではなかった。多重比較を行うと、圃→兄群と國→姉群 を除き、國→兄群と他のすべての同胞群の間に5%水準の有意差がみられ、. 囲→兄群が高得点であった。また、國→姉群と圓→弟群及び囲→妹群の 間にも有意差がみられ、囲→姉群の方が両者に比し高得点であった。 (3)同胞構成による相違2(同胞i数3名) 今回の調査においては、 3. 人きょうだいが多く、先行研究等の報告と異なっている。従って、分析 一13一.

(16) Table 7 因子合成得点の同胞構成別平均及び標準偏差(同胞数2名). 圓→弟 平均値 (SD). 人数. 囲→妹 平均値 (SD). 人数. 國→弟 平均値. F1(葛藤). F2(心的分離). F3(親の独占). 〈60, 15>. 〈28,7>. 〈24, 6>. 33. 29. 17. 41. 10.58. (8. 14). (4. 34). (2.47). N=17. N=17. N=17. 38. 06. 21.56. 10.18. (7. 90). (4. 13). (2.31). N=!6. N=16. N=16. 31. 38. 16.50. 12.57. (SD). (10. 14). (4. 53). (3. 38). 人数. N=18. 國→妹 平均値. 35. 21. 15. 70. 12. 60. (6. 54). (4. 60). (2. 47). N=14. N=17. N−15. 30. 40. 18.63. 14.00. (6. 48). (4. 65). (2. 22). N=15. N=19. N=16. (SD). 人数. 圃→兄 平均値 (SD). 人数. 圃→姉 平均値. N=20. N=19. 30. 86. 18.95. 12.80. (SD) 人数:. (10. 57). (4. 58). (2.90). N=22. N=22. N=21. 國→兄 平均値. 30. 68. 16.18. 16. 75. (9. 08). (4. 52). (3. 73). N=!9. N−22. N=20. 34.13. 14.60. 14.68. (7. 64). (3. 24). (3.64). N=15. N=15. N=16. (SD). 人数. 國→姉 平均値 (SD). 人数. □で囲んであるのは被験者。 因子名の下の〈 〉内は、各因子合成得点の満点と最低点である。. 一14一.

(17) の対象とするには意味のあることとは考えるが、同胞数2名の場合のよ うに、被験者からみた同胞構成別に分けると24通りになり、 1購成あた. りの標本数が極めて少なくなる。そのため、分析は、出生順及び男女別 のみで行うこととした(Table 8)。有意差がみられた場合Bonferroniの検 定により多重:比較を行った。 「葛藤」については、出生順による主効果(F=8.40,df・2/139,p〈.Ol)が. 有意であった。性による主効果及び交互作用はなかった。被験者の家族 布置別に、多重比較を行うと、長子(男)と末子(男)及び末子(女). との間に5%水準で有意差がみられ、長子(男)の方が両者よりも高得点 であった。その他は見い出されなかった。 「心的分離」については、性による主効果(F=13.08,df=1/142, p〈.01) 及び交互作用(F=4.83,df・2/142, p〈.01)があった。被験者の家族布置別に、. 多重比較を行うと、長子(男)と長子(女)及び中間子(女)との間に 有意差がみられ、長子(男)は長子(女)及び中間子(女)よりも明確 に高得点であった。また、中間子(男)と長子(女)及び中間子(女) との間にも有意差がみられ、中間子(男)は長子(女)及び中間子(女) よりも高得点であった。 「親の独占」では、性による主効果(F・31.09,df・1/140, p〈.01)及び、 出生順による主効果(F=16.02,df・2/!40, p<.01)が有意であった。交互作. 用はなかった。多重比較を行うと、長子(男)は末子(男)及び長子 (女)及び中間子(女)との間に有意差がみられ、長子(男)よりも末 子(男)及び長子(女)及び中間子(女)の方が高得点であった。また、. 末子(女)はいずれとの間にも有意差がみとめられ、明らかに高得点で あった。. 一 15.

(18) Table 8 因子合成得点の出生順別・性別平均及び標準偏差(同胞数3名). 長子. (男). 平均値 (SD). 人数 中間子 平均値. (男). (SD). 人数 平均値. 末子 (男). (女). F2(心的分離). F3(親の独占). 〈60, 15>. 〈28,7>. 〈24,6>. 37. 00. 18.90. 10. 77. (7. 50). (4. 08). (2. 15). N=24. N=22. N=22. 32.09. 18.68. 11. 56. (8.99). (4. 01). (2. 57). N=22. N=22. N−23. 29. 29. 16.96. 13. 85. (SD). (7. 56). (3.66). (2. 74). 人数. N=27. N=29. N=28. 平均値. 長子. Fl(葛藤). 34. 28. 14.90. 13.59. (SD). (7. 37). (3. 89). (3. 18). 人数. N−32. N=32. N=32. 中間子 平均値. 32. 31 (9.99). 人数. N=22. (女). 末子. (SD). 平均値. (女). (SD). 人数. 14. 81. 13. 73. (3.9!). (3. 01). N−22. N=23. 27. 1. 17.75. 17. 30. (9. 69). (5.34). (3. 52). N=16. N=13. N=!3. 因子名の下の〈 〉内は、各因子合成得点の満点と最低点である。. 一16一.

(19) 3. 同胞葛藤と自己評価意識の関係 (1)自己評価的意識インベントリー 因子決定に際しては、固有値の推. 移及び騒転後の負荷行列の解釈可能性から判断して、2因子を抽出した (Table 9)。項目は、負荷量が0.4以上を示し、同時に他の因子とは0.10. 以上差があることを基準に選定すると、第1因子(F1)12項目、第2因子 (F2)9項目、計21項目となった。因子名は梶田らの研究を参考にして、. 第1因子は「他者意識と自己防衛性」、第2因子は「自信と自己受容」と 命名された。梶田によれば、自己評価的意識の内的構造には、 「他者の. まなざしとの関係における自己評価的意識」と「自分自身のまなざしの もとにおける自己評価的意識」がある。両因子はそれらを説明している と思われる。. (2)自己評価意識の学年別・性別相違 抽出された因子ごとに、学年別 及び性別の因子合成得点の平均、標準偏差を算出した(Table 10)。次い. で、これらの差異を検定するために、2(性)×3(学年)の2要因分散分 析を行った。. 「他者意識と自己防衛性」については、性による主効果(F=28.33,df= 1/318,p<.01)が有意であり、女子生徒群の得点が明らかに高かった。学. 年別は有意でなく、交互作用もなかった。梶田(1988)、管(1975)らの指. 摘通り、女子における他者意識は強く、高得点となっている。. 「自信と自己受容」については、学年、性のいずれの主効果も有意で はなかった。. (3)自己評価的意識と同胞葛藤との関係(全体) 自己評価意識インベ. ントリーの2因子と同胞葛藤の各因子との相関(Pearsonの相関係数)を 求めた (Table ll)。 「葛藤」と「他者意識と防衛性」のあいだには弱. い相関関係が認められた。しかし、「葛藤」と「自信と自己受容」との 17 一.

(20) Table 9 自己評価的意識インベントリーの因子分析(Varirnax回転後) Fl. F2. h2. 23 27. よく、小さなことをくよくよと考えてしまう一一一一……一一一一一 自分がきずつくことを恐れている一…一……一一一一一一一一一一…. .75. 8. 人からどんなうわさをされているか気になる方である…一…. .65. . 02. .43. 28 21. 今のままの自分ではいけないと思うことがある一一一一一一…… 他の人をとてもうらやましく思う一一……一一一……一一一一一…. .57. 一. 09. .34. .57. 一. 16. .35. 6. いつも人から好かれていたいと思う一一一一一一一…一一一一一一一一一一一. .56. .29. .41. 12 29. 自分が少しでも人からよく見られたいと思うことがある一一… 何かをしょうとするとき、他の人が反対するのではないかと. .55. .35. .43. 心配になることがある一一…一一一一一一一一……一一一一一一…一一一…. . 54 一. 03. .29. ときどき、自分自身がいやになる時がある……一一一一一一一一一一 「あんなことをしなければよかった」とくやむことがある一一一 人より劣っていると感じることがある…一一…一一一一一一一一一一一 失敗するとよく自分のせいだと思ってしまう一一…一一一一一一一一一. .54 .24. .35. . 49 一. 11. .25. 18. 30 9. 2. .68. 一. 06. .07. .58 .46. .45 一. 25. .27. .42 .04. .18. 22 他の人から尊敬されるような人間になるだろうと思う・一…一一一一.03. .66. .43. .38. 11 自分のことならすべて分かってくれていると思う友達を もっている一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一… .13. .60. 15 自分に自信を持っている一…一一…一……一一一一一一一一一一一一一一…一一.21. .60. .40. 19 他の人にくらべて能力などの点ですぐれていると思う…一一一一一.03. .60. .36 .38. 5、ときどき、他の人達からうらやましがられることがある一…一.19. .58. 24 現在の自分が幸福だと思う一……一一一一一一一一一一…一一一一…一一一一一.00. .58. .34. 14 自分の心を素直に表現できる…一一……一一一一一一…一一一……一.05 10現在の自分に満足している……一…一一一一一…一一一一一一一一一…一.21. . 56. .32. .56. .35. .55. .33. 1入とうまくつきあっていける方である一一一一一一一…一一一一一一一一一一一.16. 因子寄与 寄与率. 4. 15 3. 56 7. 71 19. 76 16. 95 36. 71. 一18一.

(21) Table 10 因子合成得点の学年別・性別平均及び標準偏差. 中. 男子 平均値 (SD). 人数. 1 女子 平均値 (SD). 人数. 中. 男子 平均値 (SD). 人数 2 女子 平均値 (SD). 人数 中. 男子 平均値 (SD). 人数 3 女子 平均値 (SD),. 人数. 他者意識と自己防衛性. 自信と自己受容. 〈48, 12>. 〈36,9>. 32. 52. 20.20. (6. 19). (4. 22). N=44. N−43. 37. 40. 21.86. (5. 43). (5. 00). N=45. N=44. 33. 98. 20.82. (6. 45). (4.77). N二59. N−58. 36. 16. 20.76. (6. 16). (4. 23). N=65. r=64. 33. 50. 21.79. (6. 41). (4.96). N=60. N=59. 37. 69. 20.68. (5. 01). (4.42). N=46. N−47. 因子名の下の〈 〉内は、各因子合成得点の満点と最低点である。. 19 一.

(22) Table 11 同胞葛藤尺度と自己評価的意識インベントリーの相関値(全体) 心的分離. 葛藤. 親の独占. 他者意識と 自己防衛性. .22**. 一.09+. .17**. 自信と. .02. 一. 26**. .!7**. 自己受容 **. Fp〈.Ol +:p〈.10. Table 12 葛藤得点と自己評価的意識インベントリー得点の相関値(同胞数2名) 葛藤*他者意識と自己防衛性. 囲→弟. 囲→妹. .20. .13. N=17. N;15. .24. 一. 26. N=16. N=16. 囲→弟. .56**. .09. N=17. N=17. 囲→妹. .70**. .23. N=14. N=13. 圃→兄. 一. 02. .33. N=14. N=15. 圃→姉 國→兄. 國→姉. 葛藤*自信と自己受容. .48*. 一. 16. N−21. N二20. 一.04. 一. 05. N=18. N=19 . 23. .35. N−13. N=15. ”:p〈. Ol ’: p〈. 05. 一20一.

(23) あいだには有意な相関はみられなかった。「心的分離」は、「自信と自 己受容」のあいだに弱い負の相関がみられた。 「親の独占」は、「他者 意識と自己防衛性」、 「自信と自己受容」の双方に1%水準で有意な相関 が認められたが、極めて弱かった。. (4)自己評価的意識と同胞葛藤との関係(同胞数2名) 2人きょうだい. において、同胞構成ごとに、下位尺度の「葛藤」と「他者意識と自己防 衛性」、及び「自信と自己受容」との相関を求めた結果をTable 12に示. す。妹をもつ姉は、強い相関を示した。しかし、散布図を描くと、はず れ値の影響を受けているとも考えられた。弟をもつ姉、姉をもつ弟は、. 比較的強い相関がみられ、散布図を描き検討したが、はずれ値の影響は なかった。その他の同胞構成においては、有意な相関が認められなかっ た。. Table 13 葛藤得点と自己評価下意識インベントリー得点の相関値(同胞数3名) 葛藤*他者意識と自己莇衛性. 葛藤*自信と自己受容. 長子. .14. .13. (男). N=23. N=24. 中間子. .62**. (男). N=22. 末子. 一. 24. (男). N=27. .27. N=22 .33. N=27. 長子. .27. 一.Ol. (女). N−32. N=31. 中間子. .12. .03. (女). N=22. N=22. 末子. .43. (女). N=13. 一. 45. N=13 **. 一21一. Fp〈. Ol.

(24) (5)自己評価的意識と同胞葛藤との関係(同胞数3名) 3人きょうだい. では、標本数が少なくなるため、同胞構成別にはできないので、出生順 別及び性別によって分類し、それぞれにおいて「葛藤」と自己評価的意 識インベントリーとの相関値を求めた。その結果をTable l3に示す。 「葛藤」と「他者意識と自己防衛性」との相関は、中間子(男)におい て、有意であり、比較的強い相関関係を示した。. 第4節 考察 1. 同胞葛藤の諸因子について 同胞数については、厚生省国民生活基礎調査(1993)の報告では、 2入 きょうだいが44%、 3入きょうだいは14.6%である。今回の調査では、そ れぞれ、46.2%と45.5%であり、 3人きょうだいの多さが目立つ。また、 ひとりっ子も少ない(3%:本調査VS.39.8%:厚生省)。その理由としては、. 本調査は農村地帯で実施されたものであり、祖父母との同居も多く、核 家族化による諸要因が影響せず、 「家」重視指向が未だ残存しているこ とが考えられる。この核家族化と子どもの数については、高野(1981)が 指摘しているところである。. つまり、核家族は、都市生活、狭い住宅事情、ローン返済のための共 働き、幼少時からの習い事や塾などの教育費負担、親自身のレジャー重 視、などを伴う場合が多く、その結果、少子化を招いているというので ある。少子化は、同胞関係、親子関係に与える影響は大きく、子どもの. 発達にとって好ましい状況ではない。2人きょうだいでは、1通りの人 間関係でしかなく、対立や協力を通して社会性を学ぶには不十分である。. また、多人数のきょうだいに比べ、親の目がいきとどきやすく、これに 過度の教育熱が加わって、幼いときからきょうだいどうしが比較され、. 競争させられたりすると、人間形成に大きな禍根を残すことになる。こ 一22一.

(25) の点、注意が肝要であろう。 本研究では、同胞葛藤の尺度は、因子分析の結果、 「葛藤」、 「心的. 分離」、 「親の独占」の3因子によって説明された。先行研究では、同 胞どうしの関係一般について調査したものが殆どであり、依田(1990)は、. 相互に対立し、張り合っている「対立関係」、仲のよい「調和関係」、. どちらか一方が優位に立っている「専制関係」、積極的な交渉が認めら. れない「分離関係」の4つの要因できょうだい関係を説明している。飯 野(1984)も、依田の結果とほぼ同様の関係を示す「対立関係」、「共存 関係」、 「保護・依存関係」、 「分離関係」の各因子を抽出している。. しかしながら、本研究では、親の偏愛による同胞葛藤に注目して、親 との関係を含んだ項目を加えたため、第1因子の「葛藤」は、同胞どう しの対立に加え、親をめぐる葛藤をも表している。国分(1982)は、親に. 不公平に扱われ、同胞に拒否された者は、「愛を求めても得られない」. 状態に陥り、この感情の抑圧は、コンプレックスとなり、入間形成に作 用し、自己の評価や対人不信等に結びついていくのではないか、と述べ ている。子どもは親に目をかけてもらわなければ生きていけない。ゆえ に、親の愛情の獲得をめぐって、同胞間で争いが起きるには必然だとい えよう。しかし、この喧嘩を通して成長する側面もあることはよく指摘 されるところである。すなわち、喧嘩によって、公平さの欲求が生起さ れ、正義感が育ち、また、争いを体験することによって入と仲良く暮ら すことのありがたみが分かるようになっていく(国分,!982)ということで ある。. 第2因子は、 「心的分離」としたが、依田(1990)の研究では、このよ. うなコミュニケーションの少ない希薄な同胞関係が増えてきているとい う。高野(!981)は、社会性の発達における同胞の役割を重視し、親子関. 一23一.

(26) 係での「とる(take)」経験、同胞関係における「分け合い、譲り合い、 与える(give)」の経験によって、対等な人間関係の原則である ”give and take” を学ぶことができると述べているが、最近では、このような. 「心的分離」の増加によって、対人関係のあり方を学ぶ機会が少なくな ってきていることが危惧されている。. 第3因子は、 「親の独占」と解釈された。同胞よりも親と近い関係に. あることを示している。また、被験者の親に対する依存性を表している のではないだろうか。ところで、この「親の独占」をめぐる争いは同胞 間の宿命であろう。長子は誕生憎しばらくは、ひとりっ子の状態がつづ き、両親や祖父母の愛情を一身に受けて育っていく。しかし、次子の誕 生によって、突如その王位を奪われるのである。長子は、奪われた愛情 を取り戻そうと試みるであろうし、次子も生まれたとき既に存在してい る強大なライバルと親の愛情をめぐって争うことになるのである。目標. は、すなわち、F親の独占1である。このような「親の独占」は同胞葛 藤そのものである。この場合、重要になってくるのは親の態度であろう。 それぞれの子どもが納得のいくように、公平に扱う必要がある。斎藤・ 廣岡・平林・吉田(1990)らの調査でも、親の公平な扱い方が、同胞に対. するセンチメント(好意度)に影響することが報告されている。第3因 子は被験者にとっては、 「親の独占」という認知だが、相手にとっては、 「葛藤」状況を示していることかもしれない。 以上、同胞葛藤尺度構成にあたり、 「葛藤」 「心的分離」 「親の独占」. の3因子で解釈したが、親の偏愛による同胞葛藤を測定するには、試行 的な作成でもあり、十分妥当なものであると考える。 2. 同胞葛藤の学年別・性別・年齢差及び同胞構成による相違 (1)学年別・性別・年齢差による相違. 「葛藤」については、学年によ. 一24一.

(27) る明らかな差異がみられた。年齢が高くなるにつれて葛藤の認知が少な くなっている。飯野(!988)は、青年期になると児童期と比べて、同胞関. 係はうすれ、友人との関係が親密になってくることを調査報告している. が、今回の調査においても、中1から中3までの間に葛藤をめぐる同胞 関係は大きく変化することがわかる。中1に比し中3では、親の愛情を めぐる葛藤関係はうすれ、友人との関係が親密になり、家族外の世界へ 関心が向いていくことを示しているのかもしれない。また、興味・関心 が異なってきて、分配や占有等をめぐる争いが少なくなったりなどの自 他境界ができてきた結果とも考えられる(Raffae!li,1992)。. 「心的分離」では、学年間で有意差はみられなかったが、男女差は有意 であり、女子の方が明確に低得点であった。 「心的分離」得点が女子の. 方が有意に低いということは、男子に比して同胞間のコミュニケーショ ンがあるということであり、女子による他の同胞に対する認知はより親 密的・共存的だということを示している。. 「親の独占」においても、女子の方が得点が有意に高く、親との関係で もより親密であることを示している。. ところで、いま、 「心的分離」及び「親の独占Gにおいて、性差がみ. られることを明らかにしたが、被験者が女子であっても対象の同胞が男 子であるか、女子であるかによって差異がでてくることは当然考えられ、 むしろ、伺胞関係は、同胞構成別に分析検討すべきであろう。 年齢差による下位尺度得点の有意差がみとめられなかったのは、意タト. である。年齢が近いほど「対立」するという文献は多い。ただし、実証 的な検討、何歳差から変わっていくのかについてのデーターはない。本 研究は親との関係を中心にしたためと、被験者が中学生であるためにこ のような結果になったのかもしれない。今後、検討される必要がある。 一25一.

(28) (2)同胞構成別による相違1(同胞数2名) 「葛藤」について、統計的 有意差はみられなかったことは、既に述べたところである。すなわち、. 兄弟嫌妹それぞれの立場によって、葛藤の認知の度合いの差があるとは いえないのである。ただ、検定では有意差はないが、数値上では、妹に. 対する兄や姉妹相互において葛藤得点が高い。依田らは、小学1年から. 中学2年に対し集団TAT方式により調査した結果、1965年では兄一弟 相互の間が最も対立的であり、他の同胞構成と比較して数値上の差が大 きいが、1981年では、20年の間に全体的に対立関係は減少し、特に際だ. った差はなく、8つの立場の差はほとんどなくなってしまった、と報告 している。敢えて比較するならば、妹や弟をもつ姉が他に比してやや対 立的であることがみとめられる。. 依田らの調査とは、対象も方法も異なり、また、依田らの「対立」は、. 同胞の関係のみの認知であり、親との関係は除外してあるが、これらの 点を捨象し本研究と比較して共通点を抽出すると、以下のようなことが いえるのではないか。. ①時代の変遷とともに、同胞構成の違いによる対立・葛藤の差は少 なくなってきた。. ②対立・葛藤が少なかった姉妹関係が変化してきた。 「心的分離i」については、同胞構成による差異が明確に示された。つ. まり、「兄妹」のきょうだいでは、妹に対して兄のもつ心的分離度は高 く、兄は妹に対し疎遠だと感じている。しかし、妹の方は兄に対し、そ うは感じていない。また、 「兄妹」における兄は、同じ長子であっても、 「姉妹」、 「姉弟」の姉とは疎遠さにおいて、明らかに差があり、姉は. 妹に対しても弟に対しても、それほどには疎遠だとは感じていない。さ らに、姉妹相互の間の心的分離度も低く、姉妹関係は比較的コミュニケ 一26一.

(29) 一ションがある。 「兄妹」の二入きょうだいでは、兄にとって妹は趣味. や関心事が異なること、また、男子は思春期の初め頃は、人生のうちで 最も異性と疎遠な時期でもあることから、このような結果になったもの と考えられる。. 「親の独占」については、兄をもつ妹は、兄である者、姉である者、. 姉をもつ弟らと比較して、親と親密であること、また、姉をもつ妹は兄 である者と比較して親と親密であることがわかった。概して、妹は親に 近く、なかでも兄がいる場合は、より親密であることがわかった。妹= 甘えん坊というイメージができあがる。. (3)同胞構成による相違2(同胞数3名) 葛藤得点において長子(男) と末子(男)及び末子(女)との差がみられたが、これは、同胞相互の 対立から生ずるというよりも、親との関係から生じたものではないだろ うか。つまり、長子は、次子が誕生するまで親の愛情や注目を一身に受 けている。ところが、次子さらに末子の誕生によってその特権的地位を 奪われることになる。その意味で、ひとつの対象喪失経験を経ることに なる。そのため、地位奪還のための闘争も起こりやすくなる。これらは. 既に述べたところであるが、3人きょうだいの場合、長子と末子では年 齢差や立場の差が歴然としており、きょうだい喧嘩をしても、年長だと いうことで、 「きょうだいげんかをすると自分のせいにされる」場合が. 多いのではないか。そのため、長子は「葛藤」を感じ、不満な点も多々 あるのであろう。その点、末子は親にとって最後の子どもであり、年少 であることから親を味方につけやすい。依田(1990)の調査でも、「きょ. うだい喧嘩をしている時、親はどちらの味方をするか」については、長 子は、半分近くが相手だとし、自分の味方をしてくれると答えた者は、 4%であった。逆に末子は自分の味方というものが、相手とするものを上 一27一.

(30) まわる。 2人きょうだいでは、みとめられなかった、葛藤得点の差異が. 3人きょうだいでは明らかになり、長男は末っ子よりも葛藤を感じてい ることは興味深い。. 「心的分離i」における男子の比較的高得点は、取っ組み合い、あるい. は、口喧嘩すらも少なくなってきたという傾向や、個室ごとに別々に暮. らしている状況を表しているのかもしれない。また、2人きょうだい同 様、男子に比して、女子が同胞に感じる親密性をも示しているといえよ う。. 「親の独占」は、長子(男)が比較的低得点であり、親への依存から 脱し、自立した存在を要求された結果かもしれない。また、末子(女). は、他のすべての同胞の家族布置と比較して高得点であり、2人きょう だいの妹と同様、親と親密であることがわかる。同じ末子でも、男子と 女子とでは違いがあることに注目したい。 以上の結果は、被験者の性別及び出生順別だけで分析したものであり、 また、被験者は、 「年齢の近いきょうだい」 1入との関係で回答したも. のである。本来ならば同胞構成別に分析すべきところである。つまり、. 同じ長子(男)でも、年下の同胞が男子であるのと、女子であるのとで は、2入きょうだいの場合でも明らかになったように、同胞関係が異なっ. てくるのは当然予想され、さらに、もう1人加われば、変数が1っ増え ることになり、複雑になってくる。従って、この分析結果は、3人きょ うだいについては、ひとつの参考程度でしかないと思われる。同胞構成 ごとの分析は、今後の課題としたい。. 3. 同胞葛藤尺度と自己評価意識との関係 (1)同胞葛藤尺度と自己評価意識との関係(全体) 「同胞葛藤」と「他. 者意識と自己防衛性」との間に、有意な相関があることが見いだされた。 一28一.

(31) この「他者のまなざしとの関係における自己評価的意識」は、梶田(198 8)によれば、思春期において顕著になり、他者のまなざしへの過敏さに. よって、劣等感に苦しめられたり、ちょっとしたことで有頂天になった りなど、動揺と不安定性が現れる、という。また、 「少しでも人からよ. く見られたい」とか「人からいつも好かれていたい」あるいはその反面 としての「人のうわさが気になる」といった自己防衛性は、不安を解消 しようとする自我の機能であり、この不安の目的は葛藤を解決すること. であると考えられる。「同胞葛藤」と「他者意識と自己防衛性」との相 関関係は、次のようなことを意味するのではないだろうか。すなわち、 自らの中に葛藤を抱え込めば、不安を生じ、他者に対して防衛的になり、 ひいては、自己受容ができず、自己否定感情が支配的になる。高野(197 0)は、このような同胞葛藤による不安から生じる情緒障害について注意. を喚起している。つまり、親の偏愛や拒否的態度によって、同胞どうし が比較され、叱られる方の子どもは、不安と同時に、劣等感、無価値感、. 屈辱感、敗北感などを味わうことになる。これらの感情が慢性的になる と、何事にも完全を期して、同胞との比較をまぬがれようとする結果、. 完全癖傾向が強くなったり、競争場面、対人関係から逃避して、自分の 世界に閉じこもろうとして、孤独癖に陥ったりする。さらに、不安傾向 が強まると、極度の情緒障害を起こし、不安神経症や強迫神経症などに なることもある、ということである。. 「葛藤」と「自信と自己受容」との間に相関関係はみとめられなかっ たが、これは、葛藤の度合いが自信や自己受容に貢献することはなく、 葛藤による自信喪失もその逆の場合もないということを意味する。 「心的分離」と「自信と自己受容!との間に弱い負の相関がみられた。. 同胞間の情緒的な交流が安定した自己形成に多少とも貢献するものと考 一29一.

(32) えられる。. 「親の独占」は「他者意識と自己防衛性」及び「自信と自己受容」と の双方に弱い相関がみられた。親の独占傾向は、一方では親に対してま だ依存的であり、自己の確立ができていない状況を示すが、別の面から みると親との信頼関係が構築されており、親から受容されているとの認 知のもとで、自己受容もすすみつつあるとも考えられる。思春期の分離 ・個体化の過程は直線的ではなく、円環的なものであり、自立と依存の. 相補的な関係を示しているのかもしれない。ただし、極めて弱い相関で あり、全体的な傾向を示しているに過ぎない。本研究では、葛藤につい て焦点化していくことが主な目的であり、 「心的分離」と「親の独占」 と自己評価意識との関連については今後の課題としたい。 尚、 「葛藤」. においては、同胞構成ごとに分析していくことが重要であると考える。 (2)葛藤得点と自己評価意識との関係(同胞数:2名) 2人きょうだいの 同胞構成別に相関を求めた結果、 「姉」の立場が比較的強い相関を示し た。これは、 「他者意識と自己防衛性」が女子において高得点であるこ. とも関連性があるであろうが、「妹」には有意な相関がみられないこと から、同胞葛藤が大きく影響しているのではないか、と考えられる。 「姉」は厳しい立場にあるのではないだろうか。波多野(1963)は、女子. 大生を対象に兄弟姉妹に期待される性格についての調査を行い、次のよ うな結果を報告している。兄は望ましい性格を持つことを最も強く期待 されるが、望ましくない性格があっても許される。また、妹は性格に関 しては全く期待されていないが、望ましくない性格を持っていても許容 される。これに対して、姉は望ましい性格を持つことをかなり期待され ていて、しかも望ましくない性格を持つことは許されない。 姉は、自 由ではないのである。また、新民法が施行されて40年以上経た現在です 一30一.

(33) ら、「家」重視の考えの影響もあるのではないだろうか。つまり、姉妹 関係の姉であれば、長女としての期待と圧迫、比較的気軽な妹に対する 嫉妬。嬉弟の姉であれば、親たちはあととりである弟の方を大切にする であろうし、中学生になって体力的にもかなわなくなることから、譲ら ざるを得なくなる場面も多くなり、自尊感情にも影響を与えるのではな いだろうか。. 2人きょうだいの「姉」は、親の偏愛による同胞葛藤が頻繁にあれば、 自己評価に大きく影響し、不安が高まる恐れがあることがわかった。姉 はストレスフルな状況にあるのである。稲村(1983)によれば、未成年自. 殺者の同胞順位では長女が多く、女子の自殺の大部分は長女だといって も過言ではない、ということである。高野(1970)の指摘一同胞葛藤と情. 緒障害一を再吟味し、現場に生かしていく必要があるだろう。. 姉をもつ弟にも、「葛藤」と「他者意識と自己防衛性」との間に比較. 的強い相関関係がみとめられた。r姫二太郎という諺がある。姉一括と いう構成のきょうだいが理想であるという意味である。しかし、葛藤状 況になると、どうなのか。対立認知が最も高いのは姉一弟の弟であると いう報告もあるが(井上,1986)、その逆の報告もいくつかある。同胞葛. 藤と自己評価意識との関連についての先行研究がないため、比較検討し て考察できないが、次のようなことが仮説としていえるかもしれない。. 二人きょうだいの弟は末子でもある。末子は保護過剰、干渉過剰になり やすい(依田,1967)。また、いつまでも子ども扱いにされるため、思春. 期における心理的離乳がむずかしくなり、自我の発達が遅れる。長子に 比し、下の子の誕生による心的外傷を乗り越えた経験がない。特に上が 女子で末子が男子の場合は、最も活動的でなく親に対して最も従順であ る(依田,!967)。従って、葛藤に弱く、挫折感や劣等感を抱きやすく、. 一31一.

(34) 親が姉の方に味方するなどの場合、親への依存心も満たされず、不安を 感じることになるのではないか、と考えられる。. 以上の考察は、結果が興味深いものであるがゆえにさらに追究してい きたいところであるし、また、有意な相関関係がみとめられなかったと ころにおいても考察を加えていくべきであるが、先行研究が殆どなく、. また、標本数が極めて少ないことでもあり、これ以上の討論は、今後の 実証的研究及び臨床研究の蓄積を待つ必要があろう。. (3)葛藤得点と自己評価意識との関係(同胞数3名) 3人きょうだいで は、 「葛藤」と「他者意識と自己防衛性」との相関は、中間子(男)に. おいて、比較的高い値を示した。しかし、対象の同胞が兄であるか姉で あるか、または、弟であるか妹であるかによって、分析していない。し たがって、ともかく、上の子と下の子に挟まれた男子は、葛藤状況が頻 繁になれば、他者意識と自己防衛性が高まり、不安感を抱く傾向にある ということだけしかいえない。依田(1990)は、3人きょうだいの中間子. 一般について、次のように述べ、注意を喚起している。長子は、父親の ひざに入っている。末っ子は、母親に抱かれている。中間子は、どこへ 行ったらよいかわからずに、両親の間をうろうろしている。中間子は、. このように厳しい立場に置かれている。親としては、この厳しい立場を 十分に理解して欲しい。. ところで、今まで、相関関係をもとめたのだが、因果関係については どうなのか、という議論も成り立つ。幼児期以来の同胞葛藤が、自己防 衛性を形成してきたのか、あるいは、その逆であるのか。研究の方向性 としては、因果モデルからさらに双方向因果関係を求めていく共分散構 造モデルへと発展していくべきであろうが、本研究においては、先行研 究との比較検討ができないこと、前提となる同胞葛藤尺度の信頼姓と妥 一32一.

(35) 当性をさらに高める必要があること、また、同胞葛藤に関わる自己評価 意識についての知見の蓄積の不十分さ等によって、今回は相関関係のみ にとどめたい。重要なのは、質問紙の限界を補うという点や、今後の因 果モデルの研究において不可欠と思われる、個々の面接事例の分析検討 であろう。若林(1993)も、普遍的な一般法則と個別的な理解を整合的に. 説明することが、パーソナリティ研究の本質であろう、と今後の研究課 題を提起している。尚、因果モデルについては、Furman,W.(1985)らのダ. イヤグラム(Fig.1)があり、参考にすべきところが多いと思われる。これ. は、同胞関係は親子関係や個入の性格と相互作用していることを示して いる。同胞の出生順や年齢差、性別などがすぐさまパーソナリティに関 係するのではないということが注目に値する。. F雌ILY. CONSII7ELLATION. SIBLING RELATIONSHIP. VARIABLES. Relative Age Age Difference. Warmth/Closeness. Sex Sib−Sex. Re!ative Power/. Status Conflict Rivalry. Pattern. Family Size Birth Order. PARENT−CHILD. RELATIONSHIPS. CHARACTERISTICS. Qualities of. OF INDIVIDUAL. Relationships. CHILDREN Cognitive Social Personality. Management of Sibling. Relationships. Fig.1 同胞関係の質の主な決定因. 一33一.

(36) 第3章 事例研究による同胞葛藤の臨床的分析. 第1節 目的 第2章において同胞葛藤の調査研究による実態分析を行い、全体的傾 向を追究した。しかし、現象としての同胞葛藤は人聞一人ひとり異なる。. したがって、個々の事例から全体を理解していく必要がある。本章では 臨床的分析を行う。. 第2節 事例の概要 この事例は、同胞葛藤から不登校になったと考えられる中学1年生女 子生徒の母親に対し、12回の時間制限心理療法を適用した過程を示した ものである。. 1. クライエント(Mさん). 不登校児A子の母親で公務員。きちんとした身なりであり、一つ一つ 言葉を選ぶような落ち着いた話ぶりがEB象的である。仕事が忙しく、子 育ては義母に頼ることが多かった。. 2.主訴と来談までの経緯 長女のA子が夏休み(8月末)に一一一一・入で荷物をまとめ、H市の親戚. (Mさんの兄)へ行ってしまった。家に置き手紙があり、『妹とケンカ ・…. ゥ分がいない方がいいので家を出る』と書いてあった。一泊させて. 迎えに行く。2学期始業式は欠席したものの、その後4日間は出席。し かし、義父(A子にとっては祖父)の葬式後、連続欠席が始まる。担任 に相談し、カウンセリングを希望する。. 3.家族構成 く夫;41歳〉会社員。なぜ登校できないのか理解できないが、登校を強 く望む。長女が忌引きに続いて2日休んだ際、登校せよと言って叩く。 従来から子どもとの接触は少なかった。. 〈長女A子;12歳〉保育園の頃はひっこみ思案で内弁慶であった。初め ての七夕祭りを見に行ったのに舞台へ上がっても踊りも何もしなかった. 一34一.

(37) ので、Mさんは大きなショックを受けた。小学1年生から4年生の間は 上級生にいじめられ登校をしぶった。5年生のときは無欠席だったが、. この頃はMさんがずっと家にいたようだ。6年生になると登校をひどく しぶり、体調が悪いのなら、ということで受診してから登校させた。中. 学1年生になると1学期は副委員長に選ばれ活躍したが、欠席した時 (7月1日)、 「友達から何の連絡もなく寂しかった」と担任に訴えた。. 夏休みになり部活動の欠席が急増したが、これはバレー部に同じ小学校 区の友人が少ないためと思われる。. 〈次女B子;11歳〉外向的であまえ上手。三女の世話もよくしてきた。 生活面では長女よりも大人びた考え方のところがある。. 〈三女C子;2歳〉 <義父;70歳>9月初めに亡くなる。どちらかと言えば次女をかわいが っていた。. 〈義母;69歳〉子育てを任され、現在も三女の世話をしながら長女のこ とを心配している。. 第3節 治療方針 1. 母親の心理的成長. 母親としての心痛に共感しサポートしていく中で、Mさん自身が安定 し、同胞葛藤を助長していると思われる親子関係を見直し、子どもを受 容し見守り続けていくことができるための心理的援助を行う。 2. 治療構造. 時間:週1回50分の面接を12回を目標に実施する 期間:10月18日面接開始、翌年1月 29日第12回終結. 本人面接:筆者(以下Coと略). 並行子面接:Nカウンセラー. スーパーバイザー:H:教育大学U教授 記録:面接終了後にテープ録音を参考に記録をとる. 場所:H教育大学相談面接室. 一35一. 料金:無料.

(38) 第4節 面接経過 受理面接の概要 10.18(MON). A子は今まで家にこもるようなことはなかった。このような状態になるとは思ってな かった。夏休みの家出の時、「私がいない方がいいみたい。しばらくいない方がうまく いくのとちがうか」と書いてあってびっくりした。A子は小さい頃からペタッとくっつ いてこなかった。率直に言って親としてとらえにくい。弱みをみせない子であるが、寂 しがり屋でノ1・学4年生の頃まで指をしゃぶっていた。. 父親とはうまくいっていない。B子からみても「お父さん、お姉ちゃんにすごく怒る なあ」と言う。おじいちゃんがいろいろ言うことがあったので、「どうせ、私より妹の 方がかわいいんやろう」と言っている。成債は伸びてきており困ったことはないが、友 達のことは言わなくなった。A子はおばあちゃんと寝ているが、 B子とC子は私(Mさ. ん)といっしょに寝ている。私(Mさん)はB子を連れて出かけることが多い。B子の 方が家族に対して甘えるのがうまい。 第1回面接の概要 10.26(THU). 日曜日に同じクラスの子からA子に嫌がらせとも思える電話がかかってきて心配して いる。このことは担任にも連絡した。友達とのことは全然言わないので今まで分からな かった。. 今日、クルマに乗ってここへ来る途中、何が一番原因かなあ、ていう話を一緒にした が、本人もはっきりと分からないみたいだけれど、どうも一人の友達のことが頭にある ようだ。A子が土曜日に学校へ行ったときには、「天然記念物みたいに見られ、一部の 子は来たのは邪魔だという感じだった」と言っていた。<お母さんと二人でね、友達関 係をどうするか、という話を自然な形でできたら一番いいなあと思うんですけどね〉そ うですね。そう思うんです、私もね。でも、なかなか二入だけの時間はもてなかった。. A子が土曜日に学校へ行ったのは、おじいちゃんの四十九日で、家にいると親戚の人 達の前で学校から帰ってきた蜘こ何を言われるかわからないからではないか。 妹と違って本心を出さないが、そんなに特別にあの子だけをどうのこうのなしに同じ ように公平に見てきたのだが。. <A子は、学校を休んで家にいることで何を訴え、何を目的としているのか、何をし て欲しいのだろうか〉休んでからは甘えてくるから、かまって欲しい、自分を見て欲し. いのでしょう。しかし、今、一番C子に手がかかる。それから、B子が何やかんやと話 をしてくるので接する機会が多い。だから、A子はきょうだいゲンカにしても自分を注 目して欲しいというアピールがあったのかもしれない。 第2回面接の概要11.2([IHuT). 昨日、担任の先生が来たがA子は反抗的な態度だった。家でもかなり攻撃的な激しい ことをことを言う。B子にも力づくでパンとでる。〈どういうふうに出てるんですか〉 ピアノが弾きたいと思ったら、妹が先にパッと取ったりするともう力づくで。〈そうい う時はお母さんは?〉注意は最終的にはしなくちゃいけない状態になってくるが、感椿. 一36一.

参照

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・2017 年の世界レアアース生産量は前年同様の 130 千t-REO と見積もられている。同年 11 月には中国 資本による米国 Mountain

〔付記〕

「地方債に関する調査研究委員会」報告書の概要(昭和54年度~平成20年度) NO.1 調査研究項目委員長名要

【 大学共 同研究 】 【個人特 別研究 】 【受託 研究】 【学 外共同 研究】 【寄 付研究 】.

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7