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大脳誘発電位へのWavelet解析の応用

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四国医誌 35巻6号 962 ~672 DECEMBER ,52 1979 (平9 ) 269

原 著

大脳誘発電位への Wavelet

解析の応用

木 原 章 一 , 生 田 琢 己 , 古 田 典 子 , 吉 松 徳島大学医学部神経精神医学教室(主任:生田琢己教授)

誠 , 大 蔵 雅 夫

(平成9 年 9 月26 日受付) 大脳誘発電位による内因性精神病を含む精神神経科疾 患のための客観的診断の可能性を求めて, 大脳誘発電位 波形の解析にetvelWa 解析を応用した。 1 .それぞれ成人男性の健常被験者 100 名,精神分裂 病患者100 名,お よび,てんか ん患者99 名の大脳誘発電 位(SEP, YEP お よ びAEP )の波形についてteleWav 関 数による多重解像度解析を行い, veletWa 値 の分布に, 各被験者群 間で有意 差 (p <O .01 お よ び p<0.05 )が 認 められた。 2. etvelWa 値の分布の 違 い か ら 構 成 し た 判 別 法 に よって,その被験者の大脳誘発電位波形から ,その被験 者の所属する被験者群を判別すると,大脳誘発電位波形 の15~60 伽ces1 の時間帯について解析した場合に,最も 高い検出率が得られ,それぞれ健常者,精神分裂病患者, および,てんかん患者について,それぞれ89% , 87 % , 88% の検出率が得られ,大脳誘発電位による客観的診断 の可能性が実証された。 1 9 80 年代初頭に M ortel . 2)l による” wave tel fo sonc 凶 t shape ”を 使 った新しい周波数解析法が開発された。こ れは後に,” etvelWa 解析”と呼ばれ,理論の展開と と もに,音響学,その他の工学的分野3- 8)へ応用されてき たが,医学領域への応用はまだ少ない。本研究では, 当 教室において組織的に行われてきた大脳誘発電位研究の 究極の目的であ る,「大脳誘発電位によ る内因性精神病 を含む精神神経科疾患のための客観的診断j の可能性を 追求して,大脳誘発電位の波形解析へ,” eletWav 解析” を応用することを研究し,応用して,成果を挙げること ができた。 研究対象 すべて成人男性を被験者とした。健常被験者10 名 (20 0 ~

4

3

歳,25.4±3.1 歳)は 全員,脳疾患, 精 神病,て んかんの既往はなく ,向精神薬物の使用者ではなく,正 常脳波であった。患者は当科の外来および入院患者とし て診療(薬物療法)を継続されており,臨床診断の確定 している患者であ った。 とくに精神分裂病患者100 名 (17 歳~74 歳, 31.6±10.4 歳)はすべて国際疾病分類 ICD-1 0 の F20 精神分裂病の F20.0 ~F20.9 に該当していた。 てんかん患者99 名 (9 歳~78 歳1 , .53 9±13.1 歳)はすべ てICD-10 の040 て ん か ん の040.0 ~040. 4 に該当 して いた。これらの被検者から,所定の脳波検査の際に,ま たは脳器質疾患等を除外するための脳波検査の際に,約 1 0 分間にわた って,大脳誘発電位を含 む脳波が同時並行 して記録された。これらの被験者は,本研究について十 分に理解して同意した。 研 究 方 法

1 大脳誘発電位 (SEP, VEP ,およびAEP )の記録方

各被験者は頭度上に-2010 国際電極法に準拠し て記録

電極を装着した後, 24 -25 ℃に保たれた シールドル ーム

の中の記録用椅子に静臥開眼状態で, SE P , YEP および

AEP を含む脳波を記録された。

SEP (Som aesot nsyro Evoked laitnetoP ,体性感覚誘発電

位)の記録誘導は,単極誘導(C 3’→A 1

+

2 9 l,およ) び頭頂より6.5cm 左側 (刺激対側)に位置する傍矢状線 上で,2c m 後方の C3 ’と 5c m 前方の F3 ’を結ぶ双 極誘導(C 3 ’→F3 ’) ,01 11)を用いた。YEP (Vlausi Evoked P o t e n t i a l ,視覚性誘発電位)の記録誘導は,第2 誘導(

o

1 →A 1

+

2 )お よび,第 5 誘導(01 →Cz )i2J を用いた。 A E P ( A u d i t o r y Evoked t enoP lait ,聴覚性誘発電位)の記録 誘 導は,第

3

記録誘導(Cz →A

1

+

2

)および第

6

記 録 誘導 (Cz →T 5 )凶を用いた。 SEP 記録 の ための電気刺激は パ ルス幅0. 5mse c9lの単 発矩 形波で,右手関節部で経皮的に,栂指球筋の収縮闇 値電圧 (平均85 .2±20.6V ,範囲42.3 ~133 .2V )で正中 神 経 を 刺 激 し た。VEP 記 録 の た め に は , 遮 音 した

(2)

270 R e t i n o g r a g h MSR - 2 R (日本光電,以下特記なければ同 じ)の xnone 管から 0. 6eluoj のエネルギーの単発閃光を, 被験者の開眼した両眼験上30cm の距離から照射したo AEP 記録のためには,音刺激装置(SSS-3100 )からの llOdBL の単発 ckcil 音が, l対のスピーカー(Fretso SHl 0 , Sohm ) を介して80cm の距離から両耳に同時に与えら れた 。 電気刺激の

1

秒後に,閃光刺激を,その

2

秒後にクリ ッ ク音刺激を,さらに

2

秒後に次の電気刺激を与えるサイ クルを繰り返して,被験者の意識水準を一定に保たせ,

脳波で監視しながら,それぞれ SEP, VEP および AEP

を含む脳波を同時平行して記録した 。

それぞれ前記記録誘導から誘導された,それぞれ SEP, VEP お よ び AEP を含む脳波は, Pilmpear 白r AB-622M e

を用い,時定数0. 1ces ,高域フィルタ lOOHz で, hum 除

去機構を作動させず増幅され,それぞれ電気刺激,光刺

激および音刺激と同期する treggir eslup とともに,それ

ぞれ Dtaa derorceR RX -50L (TEAC )の各 clnenha に録磁さ れた 。

2 SEP, VEP および AEP

data 処理

D a t a dercorRe に録磁されたそれぞれ SEP, VEP およ び AEP を含む脳波を 眼 球 運 動 筋 電 図 な ど の ア ー チ ファクトを視察によって除去し,それぞれに対応する t r i g g e r eslup を 用 い て 再 生 し な が ら , 加 算 平 均 装 置 (ATAC-210 ,日本光電)によって解析時間 1024msec に

て100 回加算平均して,個々の SEP, VEP および AEP を

言 己

S

最し, PANAFACOM U-1100 によって dlatigi atad とし て fyppol ksid に録磁した。個々の大脳誘発電位の波形 は,記録機器系の状態などの脳外の諸条件による基線の 偏りや傾斜を,最小二乗法により基線からの各瞬間値の 二乗和が最小になるように基線を修正した後に,汎用コ ンピューターで処理された13)。 3 Wavelet 解析 本研究では, Wletave 関 数 の telasc-ow 関 係41~18)を利 用し, 2 進離散解析91)を行い, 10 解像度まで求めた。各 解像度でのスケーリング係数91)とWavelet 係数20)を求め た。,各離散データを補間する補間関数を構成し,その 補間関数により,従来の信号解析と同様に時間周波数解 キ斤を各波形に対して行なった。 個々の大脳誘発電位波形 f(t )を,

v

を agnizylan teelvwa 関数2 1) として次式によって Weletav 変換した。 木 原 章 一 他 (W

ψ

,()a,b = lal

R

1

J

!(.川 市 街 そして Wetavel 値を次のアルゴリズムによって求めたO ( 1 ) 多重解像度解析により,スケーリング係数と, W a v e l e t 係数に分解する 。 ( 2) 各解像度における Wetavel 係数の 2 乗和の平均 値を各階数における Weletav 値とする。 上記の(,1) (2 )の手順を 10 回繰り返して,解像度を 上げた。 ( 1 )の計算法は, C3uih l,に従い以下のようにした。 f ( x ) =

ε

L

α)),xi,JP'k 計算は,数式処理ソフト Maematicath ( Wolfram ,hcraeseR I n c . )を利用した 。

判別方法は,その被験者の SEP, VEP および AEP の

各波形の Wavelet 値が, t-検定で,それぞれの階数にお ける健常者,精神分裂病患者,および,てんかん患者の 各被験者群の Weletav 値の平均値の分布の95% 信頼区間 に入るものの数が一番多い被験者群名を,その被験者の 属する被験者群名と判断(診断)した。

4

解析の対象とする大脳誘発電位波形の時間帯 解析の対象とする大脳誘発電位波形の時間帯を,どの 範囲にしぼることによって最も良い判別率(検出率)が得 られるのかを調べた。 SEP については,安定して認められる短潜時成分 Nl の潜時が約2cse0 であり,著明な長潜時成分 P4 ~N6 はすべて潜時350msec 以内にある。また VEP について ・+0020 ・+0003 ・l.QUOf t

司・・・司’一『『ー叶一一『一’一一一一一一I一一’---4----' ー←1 l U U UU2 ~GU

u

u

,

QUIU I I S E C 図1 健常成人男性の EP (SEP, YEP お よ びAEP )のグラフ 。横 軸は対数日盛

(3)

大脳誘発電位へのetlevaW 解析の応用 ( b ) )t(b,a'l' 図2 a )は平均値が( Oで原点t= 0のまわりに企tの幅で局在す るtelveaW 関数のグラフ。(b)は,そのフーリエ変換でありOc= ( n L + n H ) / 2を中心に企n=nL-nH で局在する関数である。

l

ー40

-~

'-!'_手 -j = 3 J.UUU1tu,e 。 ーマ~--..__,,,/'¥ j =

4

1000

0

ト〉〈)ー)(マ令

j

= 5 図3 健常成人男性(図1)のEP の解像度3, 4, 5度でのteelvaW 変換のグラフ は,著明な短

i

替時成分N 3 も潜時lOOmsec 以内にあり, 著明な長潜時成分P6 は潜時250msec 以内にある。 AEP については,著明な長潜時成分N 3 の潜時が約75msec で 、lOOmsec 以内にあり 最も著明なPS 潜時が約170msec で 、250msec 以内にあり 潜時350msec までにはP6 まで 入る口いずれも明確に特定できる成分は,潜時600msec 以内にあるところから, 0 ~1024msec, 15 ~600msec, 15 ~350msec および、100 ~250msec の4種 類 の 解 析 時 間 帯について,各被験者の大脳誘発電位波形による検出率 を求めた22~26。) 研究結果 1 Wavelet 値の分布 それぞれ健常被験者100 名,分裂病患者100 名,および, てんかん患者99 名の大脳誘発電位の波形について, Wavelet 関数による時間周波数解析を行い,解像度は2 進離散解析として 10 解像度まで実施してWavelet 値を 271 表l 解像度| 時 間 (c)esm 2 0 0 400 600 800 0010 NOR .13 39 73.03 -19. 67 .13 78 -19. 47 3 2833. .14 96 -31. 89 2722. -10.19 E P I .92 17 46.75 -18. 78 .1861 -87.66 NOR .93 73 59.83 -23.39 5722. -23.34 4 I SCH 218.3 84.33 -42.37 4933. -39. 27 E P I 89.93 99.93 -51.18 .9346 -53. 13 NOR 76.84 53.93 -28. 65 1.131 -11. 08 5 11.51 8.827 -47. 35 1.828 -43. 13 E P I 89.45 542.8 .-82 77 1.636 -61.11 解析時間0 mcse ~cesOmOOl ecms020( 幅)での健常成人群(NOR), 精神分裂病群(SCH )およびてんかん群(PIE )の群平均telveaW 係数の分布 表2 r a n k NOR SCH PIE 3 2.9 34±5. 17 .23±71 .31 20

±897.883.71

4 2.9 67 ± .31 12 .53±62 .71*70 .93 8±3.9 32•• 5 2.5 71±11. 47 .03±65 .51 66

.53±84 .21 62“ (本車) P<0.01 で有意差が認められた。 (勺 P<0.05 で有意差が認められた。 EPI/SCH 1 . *81 1 . 1 2

1 . 1 6

第3次,第4 次および第 5 次の階数(rkan )での健常者群(NOR), 精神分裂病群(SCH )およびてんかん群(IEP )の平均telveaW 値, ただしEPI/SCH としてIEP とSCH の平均tleeavW 値の比を表示 しである。 NOR とSCH 間 お よ びSCH とIEP 聞 で 有 意 差 (p< 0 . 0 5 )を認め, NOR とPIE 間で有意差(p<O. 10 )を認めた。 求めた。それぞれ各被験者群における第

3

次,第

4

次お よび第5次の階数での解析時間Omsec ~lOOOmsec (200 msec 幅)でのWavelet 係数の平均値は表1のようになり, 仮説検定で健常者群(NOR )に対して,それぞれ精神分 裂病群(SCH )および,てんかん群(EPI )との間,および 精神分裂病群(SCH )とてんかん群(EPI )との間で表2の ように有意差が認められた(てんかん群と精神分裂病群 の平均Wavelet 値の比をEPI/SCH として表示)。統計 的検定には, t-テストを用いた。 以上のように各階数における Wavelet 値の差異が, Wavelet 解析の解像度を上げることにより確認され,各 被験者群の大脳誘発電位の波形の間で, Wavelet 値の分 布に有意差があることが実証された。

2

大脳誘発電位波形による判別(診断)の結果 ついで各階数における Wavelet 値を指標として,その 被験者がどの被験者群に所属するかをWavelet 値の分布 から構成された判別法によって判別した。解析の対象と

(4)

2

7

2

表 3 解析時間帯 ()cesm 健常者 精神分裂病患者 てんかん患者 O~4021 88 % 4 % 8 86 % 1 5 ~600 89 % 87 % 88 % 1 5 ~035 87 % 83 % 6 % 8 1 0 0 ~025 86 % 82 % 84% 各4時間帯における Wavelet 値の分布により構成された判別法に よる各被験者の波形による当該被験者の属する被験者群の検出率 する大脳誘発電位波形の時間帯を, 0~1,sec24m0 15 ~ 3 5 0 m s e c , 51 ~600msec , お よ びooit ~250msec の 4 時 間 帯について判別を実施し それぞれ表

3

の検出率を得た。 考 察 W a v e l e t 解析の EEG への応用として, Wtavele 解析と フーリエ解析法との差異についての研究がある27~29 )0 EP への応用は30),動物およびヒトの単発電気刺激に よる誘発電位の波形解析への試みはあるが,ヒトの加算 平均した EP 波形解析に応用したものは本研究以外には ない。 それぞれ健常被験者100 名,分裂病患者100 名,および, てんかん患者99 名の大脳誘発電位の波形について, W a v e l e t 関数による時間周波数解析を行い, 10 解像度ま で実施し,それぞれ各被験者群における第

3

次,第

4

次 および第 5 次の階数での Weletav 値の平均値を求め,仮 説検定で,それぞれ健常者群と精神分裂病群および,て んかん群との間で,さらに精神分裂病群とてんかん患者 群との間で,第

3

次,第

4

次および第

5

次の階数での W a v e l e t 値の平均値の分布に有意差(p<O. 05 )が認めら れた。 本研究の対象とされた患者は,いずれも当科の外来お よび入院患者として診療を継続されている患者であり, 国際疾病分類 ICD-10 に準拠して臨床診断の確定してい る患者である 。 しかし そのほとんどは薬物療法継続中 の患者であった 。向精神薬物の急性応用による大脳誘発 電位の変化については一応の結果が得られている 。薬物 療法の継続のように慢性応用の場合には,薬物療法開始 前に大脳誘発電位はすでに変化しており,それが薬物療 法によって正常化する3231, )とか 薬物療法開始の前後で 有意な変化はないという報告もある33,43。 薬物の種類用) 量を考慮した研究はもちろん必要である 。 またそれぞれ の疾患の症状の種類,程度,病歴年数などの要因も考慮 に入れて結果を求めることも必要である 。 しかし,大脳 木 原 章 一 他 誘発電位の波形を Weletav 解析した結果(Wetvela 値)の 分布が,これらの被験者の概括的な臨床診断に一致して 有意に分離していることが実証されたことは, ICD-10 を含めて従来の疾病概念に電気生理学的な根拠を与えた ものであり,さらにそれにもとづく臨床診断の妥当性が 実証されたものと考えられる 。 さらに,本研究において, Weletav 値の分布から導か れた判別法によって,健常被験者,精神分裂病患者およ び,てんかん患者が,いずれも87 ~89% の高い検出率で 判別された。 大脳誘発電位の波形で,

i

替時15 ~600msec の時間帯を 解析の対象とした場合に最も高い検出率が得られたのは, 明確に特定できる成分は,潜時600msec 以内にあり,そ の時間帯に波形の特徴が最もよく表されているためと考 えられる35 ~40。) 本研究では, Wetvela 変換による多重解像度解析に よって高い検出率が得られたが,今後, Weletav 解析の 対象,判別(診断)の対象とする症例を増やして行って も, Wveleta 変換における多重解像度解析の結果の安定 性から,判別関数による検出率は,変わりはないものと 考えられる 。 本研究で得られた各被験者群別の高い検出率は ,本研 究の目的とした「大脳誘発電位による内因性精神病を含 む精神神経科疾患のための客観的診断」の可能性を実証 するに十分な高い検出率であるものと考えられる 。 従来,大脳誘発電位の波形の解析には,その波形を構 成 す る 各 成 分 の 潜 時 , 振 幅 を 指 標 と し て 解 析 す る component sisylana の他に,観測された波形を時系列と して捉え,パターン認識することが行われてきた。信号 波形のパターン認識には,高速フーリエ解析を利用して, スペクトルパターンを抽出し,標準的なパターンと比較 する方法,特に,時間軸上のある部分的な空間のみを取 り出し短時間のスペクトルを求める方法,信号の相互の 順序関係を崩さずに波形を局所的に伸縮しつつ比較する 伸 縮 マ ッチ ン グ 法 線 形 予 測 計 数 (Lraeni noitciderP C o e f f i c i e n t : LPC )を求める方法,及びテンプレートマッ チングなどを用いることができる。しかし,これらの従 来のパターン認識技術は それぞれの波形パターンの特 徴を抽出し,識別するには不十分であり,大脳誘発電位 波形から,精神神経科的疾患の有無,ならびにその種類 を高い精度で識別することは,困難ないしは不可能で あった 。

(5)

大脳誘発電位へのtelevaW 解析の応用 W a v e l e t 変換は,短時間フーリエ変換(窓フーリエ変 換)の不備な点を補う目的で開発されたと言われてい る41 ~45 )。 その目的は,次の

3

点にある。 ( 1 )不連続信号の検出,すなわち信号に含まれる波形 の不連続の位置とおおまかな大きさを検出する。

( 2

)相似相関の検出,すなわち短時間フーリエ解析や W a v e l e t 解析に用いた関数系と相似なものを信号の中か ら選び出して検出する。 ( 3)データ操作,すなわち Wavelet 変換では,データ の再構成が保証されているので,波形を Wavelet 展開し て,その係数のうち,取り除きたい成分を削除して,再 構成すると,原波形から不要な成分を取り除いた波形が 得られる。すなわちデータを任意に操作することができ る。つまりデータに適切なフィルタをかけることができ る点にある。 一般的に,時間に対して緩慢な動きの波形は,ウエー ヴレットの公式のスケールファクターj の値を変化させ ても,検出されることはないが,ガウス関数を用いた短 時間フーリエ変換では,窓の幅を狭めると,振動数の低 い部分では,モーメントコンデイションが崩れて,デル タ関数に近づくので デルタ関数の関数の再生能力より, 信号との内積は信号を再生することが可能である。ウ エーブレット解析は 周波数領域での変化をスケール ファクターj を動かすのみで,検知できるので,窓幅と 周波数の両方を指定しなければならないガウス関数を用 いた短時間フーリエ変換より操作が簡単であが,ノイズ の中から不連続信号を検出する場合に,窓幅と周波数を 適切に選ぶことができれば,その検出能力は, S/N

の観点から見るとガウス関数を用いた短時間フーリエ変 換の方が優れている。したがって,ウエーヴレット解析 を用いて,より精綴に波形解析を行うときに短時間フー リエ変換を用いるなど 両者をハイブリッドして用いる ことも有効であると考えられる。 結 論 大脳誘発電位による内因性精神病を含む精神神経科疾 2 7 3 の波形について, Wavelet 関数による多重解像度解析を 行い, Wavelet 値(各解像度における Wavelet 係数の

2

乗 和の平均値を各階数における Wavelet 値とした。)の分 布に,各被験者群間で有意差(p<O. 01 および p<O. )50 が認められた。 2. Wavelet 値の分布から構成した判別法によって, その被験者の大脳誘発電位波形から,その被験者の所属 する被験者群を判別すると 大脳誘発電位波形の15 ~60 Omsec の時間帯について解析した場合に最も高い検出 率が得られ,それぞれ健常者,精神分裂病患者,および, てんかん患者について,それぞれ89%, 87%, 88% の高 い検出率が得られた。 このように,大脳誘発電位による内因性精神病を含む 精神神経科疾患の客観的診断の可能性が実証された。 文 献 1 ,telroM ,.J ,snerA ,.G u,eaguroF .I 釦d G,drai D.: Wave p r o p a g a t i o n and ginplams ,yroeht P町t1 . ,sciishpoeG 4 7 : 2,2123-0 9821 2 M,telro ,.J ,snerA ,.G ,uaeguroF .I and ,draiG D.: Wave p r o p a g a t i o n and ginplams ,yroeht traP G.2,sciishpoe 4 7 : 2,36-222 9821 3 C,iuh K.C. : estvleaW A Tlairotu Theory and -caiplpA t i o n s . Academic ,sserP New k,rYo 2991 4 C,iuh .,KC. ,ocusftenMo .L 組d P,oicuc : .L etsavelW 百,yroe1 ,smhtrioglA and ,snoitacirppA Academic P r e s s , New ,orkY 9419 5 D,siechebua .I : Ten serutcel on W.steleva SIAM, -alihP d e l p h i a , 3991

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±10.4 歳),および,てんかん患者99 名 (91 歳~78 歳, .stcejbus .hpecneortcelE .nilC .,loisyphorueN : 45 3

5

(6)

2 7 4 1 1 ,atukI .T and ,aturuF N.: luaexS secnereffid ni human g r o u p mean SEP. .hpecneortcelE .nilC .,liosyphoureN 5 4 : 47,-4549 9821 1 2 斉藤孝一,絵内利啓: VEP (視覚性誘発電位)の選択 的記録のための2010- 電極法による電極配置. 四国医誌,14 : 277,-264 9851 1 3 ,aturuF ,.N ,ianE ,.T ,otiaS K. and ,atukI : .T The -orp c e d u r e ot teg minimum noitaived rof eht taad p r o c e s s i n g f evoked o laitnetop .yduts Tokushima .J E x p . ed.,M : 332 ,38-1 8951 1 4 s,echibeuDa .I: Orthonormal sesab of yltcapmoc -pus p o r t e d .stleevaw Comm. eruP and l.App ,h.atM 4 1 : 9,96-909 9881 1 5 ,sehicebuaD .I:百e1 tveleaw mrosfanrt yuencfreqim-et l o c a l i z a t i o n and langis .sisylana IEEE .sanrT -rofnl m a t i o n y,heorT : 963 ,05101-6 9901 1 6 i,huC C.K. and Wang, .Z.J : On cyltocapm dteorppsu s p l i n e setelavw and ytilauda ,elpicnirp .snaTr Amer. M a t h . ,.coS 330 : 9,51-903 2199 1

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1 8 Newland, D. E. : Random snotiabriV , Slratcep and Wavelet .ssiylanA Longman, ,exssE 3991 1 9 ,tallaM : A t.A yoreh rofnoitluosertilum langis decompo-s i t i o n , eht tevelaw .noitatneserper IEEE nrettaP A n a l . and Machine ,.lletnI 11 : 63,694-7 8919 2 0 i,huC C.K. and Wang, J .Z. : A clanidra enilps pproacha t o ws.televa .corP Amer. .htaM ,.coS 311 : 7,93-785 1 9 9 1 2 1 ,tallaM .A and Zhong, .Snoitaz: Cirtecarah of slangis from elcasitlum .sgede IEEE .sanrT nrettaP .alnA Machine ,.lletnI 41 : 7,273-10 9219 2 2 ,ssgaahS and .C t,zarwhcS M. : Evoked laitnetop seiduts i ncirtaihcysp .tneitap Ann. N. Y A. acd. ,.icS 211 : 5 2 6 -5 4 2 , 1 9 6 4 2 3 花野素典,松岡浩司,友竹正人,木原章一他:体 性感覚誘発電位(SEP )および脳波へのdiazepam とsodium eatorlpav の急性効果.四国医誌,53: 1 -1 2 , 1 9 9 7 2 4 ,utelaS : The .B evoked laitnetop ni.yrtaihycspocamhrap N e u r o p s y c o b i o l o g y , 3 : 7,04-15 7197 25 ,atukI T : Sualex secnereffid ni human nrosyosetamos evoked .essnopesr ailoF .taihcysP .olrueN ,.paJ 3 : 2 木 原 章 一 他 2 0 9 -2 1 6 , 1 9 6 9 2

6 Peacock ,.rJ S.M. : Averaged " aretf "ytivitca and eht -la pha niotaerngeer .elcyc .grolahepcenortcelE .nilC N e u r o p h y s i o l . , 28 : 2,95-287 7197 27 ,ijdanheS ,.L,regesnelliD .J,.L ng,Wendli ,.F ,Rocha ,.C e t .la : Wavelet sisylana EEG fo rof -enmid-eerht s i o n a

l mapping f eocitpelip .stneve Ann. Biomed. E n g . , 23 : 52,55-43 9519 ' 2 8 ,kralC ,.I,yacsiB ,.R ,airrevehcE M., ,seuriV :,.T Mui-t i r e s o l u t i o n itioncomposde foyraonitsts-non EEG s i g n a l s . Comput. .loiB Med., : 352 2,383-7 5991 2 9 r,amaS V. J,. ,ztraSw K. P,. r,eghuveRa ,.R.M -: Moesritlu l u t i o n sisylana eofdetaler-tnev slaitnetop by wteelav d e c o m p o s i t i o n . .niarB ,ng.Co : 327 8,438-9 5991 30 ,kintraB ,.A.E a,skowinBl ,.J.K ,kaurD :,.J.P elgniS evoked p o t e n t i a l noitcurtsnocer by means fo etlveaw -snart f o r m . m.,Cybeol.iB : 167 ,8115-7 9219 3 1 ,rledA G. and ,zattaG W. G. : Ayrodtiu evoked slaitnetop i n cienrphzoichs stneitap erfoeb and ginurd -eun r o l e p t i c .tnemtaert .ruE h.crA Psych yrtai .nilC Neu-r o s c i . , 242 : 31,367-5 9319 3 2 ,rolhcS ,H..K es,oisM H.W., ,saHa ,.S ,regeiR H.: -Schzo p h r e n i a , ,misctihocsyp ,scitpeloruen and ryotidua evoked po.旬slaitn ,yrtaiyhcospcamrahP : 281 -93 2 9 6 , 1 9 8 5 3 3 m,nAiaaharb ,A.H. ,nosillA ,.T ,ffoG W.R. and ,rnesRo .B S . : stceffE toflatnepoih on human larberec evoked r e s p o n s e . ,ygoloisethsenA : 624 7,650-5 3961 3 4 guiere,auM ,.F ,leauvCh ,.P ,lyilwaDe ,.J e,ussDo ,:.N No etceff of long- mtre nirtabagiv tnematert on c e n t r a l ouservn emytss noitidonc nistneitap hitw r e f r a c t o r y .yspelipe ,.aispelipE : 338 ,80-301 9719 35 斉藤正己:向精神薬と脳波.神経精神薬理.3 : 33-2 3 4 8 , 1 9 8 1 3 6 田中正敏:ストレスの神経精神薬理.神経精神薬理. 1 3 : 1,8219-7 0199 37 ,coaselV ,.F ,ocarseV M., d,apeeC C. and Munoz, H.: W als-ssenllufke e e p nulatiomod cfolacitro and -bsu c o r t i c a l ticmaso evoked .slaitnetop .hpceneroteclE C l i n . ,.loiyshopureN 48 :臼- 719802,

38 Nieuwenhyus, ,.R Voogd. .J and van ,nezijuH r.:Ch The human lartnec suervon metssy A sssipony and .salta S p r i n g e r -V e r l a g , ,nilreB ,grebledieH New k,Yor

(7)

大脳誘発電位へのtelevaW 解析の応用 1 9 8 8 3 9 ,ffoG .,.RW ,nosillA ,.T,oripahS aA. nd ,rensoR .B .S : C e r e b r a l yrosnseotamos sesnopser vokede gniurd s l e e p ni m叩 ..hpecneortcelE .nilC ,.loisyhporueN 2 1 : 1,9- 9661 40 refrotshurF : .H noitautibaH dnanoitautibasid fo eht human xetrev .esnopser .hpecneortcelE .nilC -uroNe p h y s i o l . , 与

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2,-31306 7119 4 1 ,ereyM .:Y tsleevaW smhtirgolA and.snoitacilppA SIAM, P h i l a d e l p h i a , 9931 42 en,ohC A. ,esihecbuaD .Idan u,eavauFe .C.J -: ogohrtoiB 275 n a l sesab cfo tylacpmo detroppus .stelevaw Comm. P u r e nda .lpAp ,.htaM 45 : 4,56085- 9921 43 ,mnanssGor . aA nd ,telroM .J : noiitposmoceD Hardy fo f u n c t i o n s otni reauqs elbargetni stleevaw cfotnatsno s h a p e . SIAM .Jh.atM ,.lanA 5 : 71 3,637-2 8419 44 ,retlaW :.G.G etselavW dna erhOt lanogohtrO temSys w i t h .snoitacilppA CRC P,sser a,ocB ,ntoaR 1994 45 Combes, ,.M.J a,nnsmsorG .A dna ,naihtcimahcT :.HP. W a v e l e t s ycuneqerfemTi sdohtem dan esahp .ecaps S p r i n g e r -V e r l a g , ,grebledieH 1989

(8)

2 7 6 木 原 章 一 他

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γa D句tnemtra , Nyrtfaiohcysporwe loohcS Mfo,enicide ehTytisrevinU Tfo,amihsuko amhisukoT ( D i r e c t o r : forP imukaT )atukI SUMMARY A d o p t i n

g Wavelet sisylana rof eht sisylana tof eh waveform EP (Evoked fo ,)laitnetoP ti was i n t e n d e d ot rmnfico ytilibissop tfo eh evitcejbus sisongaid rof,ainerhpozihcs yspelipe and yhtlaeh s u b j e c t . 1

. Each waveform EPs fo ,EPS( VEP and AEP) f 1o 00 yhtlaeh male us

stce 4.52( 士1.3,).o.y 1

0

0 male csinerhpoizhcs 6.13( 土4.01 ).o.y and 99 male scitpelipe ±9.53( 1.31 ).o.y were detcejbus ot t

h

e letaveW sisylana and ehtnoituloseritlum .sisylana As a r,tluse ehtecnereffid Wfo teelva seulav among eseht tcejbus spourg were deifirev .yltnacifingis The Wveleta seulav was dneifed sa eht s

q

u 訂e means f eo cha etlevaw stneiciffeoc eta hca elacs f monoituloseritlu .sisylana

2

. The waveform EPs of efo ach tcejbus were detanimircsid by use dfotnanimircsi method d e r i v e

d from Wavelet n,oitcnuF ni redro ot geduj ot which tcejbus oupgr eht tcejbus ,sgnoleb a c c o r d i n g ot eht tleveaw .seulav glyzinAna eht waveform Efo P, between 51

~,

600msec lfo,ycneta t h e tsehgih uelav ,yf sotivitisne 89%, 87% and 88% was deinatbo rof normal ,tcejbus scinerhpozihcs and ,scitpelipe .ylevitcepser As teh ,noisulcnoc ehtytilibissop tof eh evitcejbus sisongaid rof,ainerhpozihcs ,yspelipe and rmalno s u b j e c t s , by Wavelet sisylana f EP wo o,rmfeva were deifirev .elbissop Key words ,ainerh: spozihc ,yspelipe normal ,tcejbus etlvewa ,sisylana sisongaid

参照

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