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成分測定データに対して、レセプターモデルである

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(1)

レセプターモデルを用いた

PM2.5

の発生源寄与割合の推計

4

本章では、2015 年度の

PM2.5

成分測定データに対して、レセプターモデルである

CMB

法及び

PMF

法の

2

通りの手法を適用し、PM

2.5

の発生源寄与割合を推計する。

成分測定データに対する前処理

4.1

環境省及び東京都環境科学研究所の

2015

年度の

PM2.5

成分測定データに対して、以下の 前処理を実施した。その結果、解析に用いるのが適当な成分として、表 4-1 の

24

成分が抽 出された。また、解析に用いるのが適当なレコードとして、環境省のデータからは日本全 国の

158

測定局で得られた

5,320

レコードが、東京都環境科学研究所のデータからは

102

レコードが、それぞれ抽出された。

4.1.1

データの取得と基本的な確認

環境省の

Web

サイト「微小粒子状物質(PM2.5)測定データ|平成

27

年度」

26

より、2015 年度の成分測定データを取得した。データを精査し、発見された入力ミス(不適切な記号・

全角文字などの混入、測定値と検出限界との対応付けの誤り等)については、可能な範囲 で修正を行った。また、東京都環境科学研究所において

2015

年度に捕集された

PM2.5

の成 分測定データについても、入力ミスを修正した上で、解析に用いた。

4.1.2

各地点における各成分の有効な測定値数の確認

解析に使用する成分を選定する際の判断材料とするため、環境省の成分測定データのう ち、関東地域の各地点における各成分の有効な測定値数(未測定及び欠測以外の測定値数)

を確認した(図 4-1) 。

26 環境省:微小粒子状物質(PM2.5)測定データ | 平成27年度,

http://www.env.go.jp/air/osen/pm/monitoring/data/pm25_27.html(平成31422日アクセス)

163

(2)

図 4-1 関東地域の測定地点における各成分の有効な測定値数(環境省の成分測定データ)

※ カラーバーの数値は、各地点における各成分の有効な測定値数を表す。

164

(3)

4.1.3

解析に使用する成分の選定

発生源の指標成分としての重要性及び有効な測定値の多さの

2

つの観点から、解析に使 用する成分を選定した(図 4-2、表 4-1、表 4-2) 。

解析に際しては、炭素成分を次のように再整理して用いた。なお、EC、char-EC、soot-EC が負値となった場合は、0 に修正した。

OC:OC1 + OC2 + OC3 + OC4 + OCpyro

EC(CMB

解析のみ) :EC1 + EC2 + EC3 - OCpyro

char-EC(PMF

解析のみ、以下「cEC」という。) :EC1 - OCpyro

soot-EC(PMF

解析のみ、以下「sEC」という。) :EC2 + EC3(EC1 < OCpyro の場合は

OCpyro - EC1

を減算)

図 4-2 本解析に使用した成分(環境省の成分測定データ、関東地域の測定地点を例)

※ カラーバーの数値は、各地点における各成分の有効な測定値数を表す。

165

(4)

表 4-1 本解析に使用した成分

PM2.5成分測定データのうち、解析に使用した成分の背景を白で、使用しない成分の背景を黒で、そ れぞれ示した(解析対象24成分)。

※ 各成分がどの発生源の指標成分となっているかを、○(「環境省PM2.5成分測定マニュアル無機元素 測定法」iiiページの表)及び●(飯島(2011)27の記載)で示した。

※ 東京都プロファイルに含まれている成分についても示した。

27 飯島明宏:大気モデル-第 5 講 レセプターモデル-,大気環境学会誌, 46(4), A53-A60(2011)

Cl-

NO3-

SO42-

Na+

NH4+

K+

Mg2+

Ca2+

Al

Si

Sc

Ti

V

Cr

Mn

Fe

Co

Ni

Cu

Zn

As

Se

Rb Mo

Sb

Cs

Ba

La

Ce Sm Hf W Ta Th

Pb

OC

EC

soot-EC

char-EC

レボグルコサン

166

(5)

表 4-2

CMB

解析及び

PMF

解析に用いた成分

CMB PMF

No

成分

No

成分

No

成分

No

成分

1 PM2.5(MASS) 13 Fe 1 PM2.5(MASS) 13 Cr

2 Cl- 14 Zn 2 Cl- 14 Mn

3 NO3-

15 As 3 NO3-

15 Fe

4 SO42-

16 Sb 4 SO42-

16 Ni

5 Na+ 17 OC 5 Na+ 17 Cu

6 NH4+ 18 EC 6 NH4+ 18 Zn

7 K+ 7 K+ 19 As

8 Ca2+ 8 Mg2+ 20 Sb

9 Al 9 Ca2+ 21 Pb

10 V 10 Al 22 OC

11 Cr 11 Ti 23 cEC

12 Mn 12 V 24 sEC

CMB解析では、表 4-1に示す成分のうち、東京都プロファイルに含まれる成分を使用した。

PMF解析では、表 4-1に示す成分のうち、背景を白で示した成分(ECを除く)を使用した。

cECchar-EC、sECsoot-ECを示す。

167

(6)

4.1.4

解析に使用するレコードの選定

解析では、

4.1

で選定した表 4-1 の全成分の測定値が揃っているレコードのみを使用する。

該当レコードは、環境省の成分測定データでは、日本全国で

7,778

レコードであった。こ の中から、次の

2

つの点から異常と思われるレコードをさらに除外した。

・ 質量濃度よりも成分濃度の和の方が大きいレコード

成分濃度の和を計算する際、OC に係数

1.7

を乗じた。

該当レコードは、2,040 レコードであった。

・ イオンバランスが崩れているレコード

陰イオン当量が陽イオン当量から

20 %以上乖離しているレコードを除外した(図 4-3)

該当レコードは、418 レコードであった。

最終的に、日本全国の

158

測定局で得られた

5,320

レコードが抽出された。

また、東京都環境科学研究所の成分測定データにも同様の処理を適用し、102 レコード が抽出された。

図 4-3 イオンバランスの確認結果(環境省の成分測定データ)

168

(7)

4.1.5

検出限界未満の測定値の取り扱い

検出限界未満の測定値は、飯島(2011)

28

に従い、検出限界の半分の値で置換した。その 際、後述の通り不確かさを大きく設定した。

CMB

解析の実施

4.2

4.1

に記載したスクリーニング済みのデータに対して、CMB 法を適用した。ソフトウェ

アは、

EPA CMB 8.2

を使用した。発生源プロファイルは、 「東京都微小粒子状物質検討会報

告書(東京都微小粒子状物質検討会、平成

23

7

月) 」で報告された、次の発生源を用い た。

・ 土壌・道路粉じん(ROAD)

・ 海塩(SEA)

・ 鉄鋼(IRON)

・ 重油燃焼(FUEL)

・ 廃棄物焼却(REFUSE)

・ 自動車排出ガス(CAR)

・ ブレーキ粉じん(BRAKE)

・ 植物質燃焼類(BIOMASS)

また、二次生成の寄与割合を推計するために、次の手順でフィッティングを行った。ま ず、前述の発生源プロファイルを用いて、一次粒子にのみ含まれる成分を対象としたフィ ッティングを行う。次に、二次粒子にも含まれる成分(アンモニウムイオン、硫酸イオン、

硝酸イオン、OC)については、前述のフィッティング結果に基づき各発生源に分配し、残 りを想定される各二次生成物質((NH

4)2SO4

、NH

4NO3

、NH

4HSO4

、二次有機粒子)に配分 した。解析に使用した発生源プロファイルを表 4-3 に示す。なお、二次有機粒子について は、観測値の

OC

濃度に各発生源の寄与として割り当てられた

OC

濃度を差し引いて

1.7

を 乗じることで算出した。本手法により算出した二次有機粒子には、二次生成由来の有機粒 子のほか、未把握の一次有機粒子が含まれると考えられることから、ここでは「二次有機 粒子等」と表記した

29

発生源寄与割合の推計結果は、PMF 解析と合わせて、4.4 に示す。

28 飯島明宏:大気モデル-第 5 講 レセプターモデル-,大気環境学会誌, 46(4), A53-A60(2011)

29 CMB解析では、シミュレーションモデルのように二次有機粒子(Secondary Organic Aerosol:SOA)を直接

算出することができず、ここでは便宜上、OC濃度から二次有機粒子の寄与割合を算出している。また、CMB 解析に使用した発生源プロファイルは、主に煙道中の粒子を対象とした既往の調査結果から整理されたもの であり、凝縮性粒子が一次粒子として考慮されていないと考えられる。CMB解析で算出した二次有機粒子は、

二次生成由来の有機粒子のほか、未把握の一次有機粒子も含まれることから、二次有機粒子の寄与を過大評 価している可能性があり、ここでは、「二次有機粒子等」と表記した。

169

(8)

表 4-3 本解析に使用した

CMB

発生源プロファイル 成分

発生源

土壌・道路粉じん 海塩粒子 鉄鋼 重油燃焼 廃棄物焼却 自動車排出ガス 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差

Cl- 3.4E-04 1.5E-04 5.5E-01 2.8E-02 3.4E-02 6.8E-03 9.2E-04 9.2E-04 2.7E-01 2.7E-02 2.0E-04 2.0E-05 NO3- 1.9E-04 1.2E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 SO42- 5.7E-04 4.5E-04 7.8E-02 1.6E-02 0.0E+00 0.0E+00 3.2E-01 1.6E-01 0.0E+00 0.0E+00 2.2E-02 2.2E-03 Na+ 1.3E-02 2.7E-03 3.0E-01 1.5E-02 1.4E-02 2.7E-03 1.0E-02 5.0E-03 1.2E-01 1.2E-02 7.6E-05 7.6E-06 NH4+ 6.1E-03 9.7E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 K+ 1.3E-02 3.4E-03 1.1E-02 1.1E-03 1.3E-02 2.6E-03 8.5E-04 8.5E-04 2.0E-01 2.0E-02 2.0E-04 2.0E-05 Ca2+ 5.5E-02 2.6E-02 1.2E-02 5.9E-04 4.5E-02 9.0E-03 8.5E-04 4.3E-04 1.1E-02 2.2E-03 1.5E-03 1.5E-04 OC 6.9E-02 2.8E-02 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 2.5E-01 2.5E-02 EC 1.3E-02 4.1E-03 0.0E+00 0.0E+00 5.0E-03 5.0E-03 3.0E-01 1.3E-01 5.0E-02 5.0E-02 4.9E-01 4.9E-02 Al 6.1E-02 7.7E-03 3.0E-07 0.0E+00 1.0E-02 2.0E-03 2.1E-03 1.1E-03 4.2E-03 8.4E-04 1.6E-03 1.6E-04 V 1.1E-04 3.5E-05 1.0E-07 0.0E+00 1.3E-04 2.5E-05 6.4E-03 3.2E-03 2.7E-05 1.4E-05 7.2E-06 7.0E-07 Cr 2.8E-04 1.6E-04 0.0E+00 0.0E+00 3.2E-03 6.3E-04 2.1E-04 1.1E-04 8.5E-04 8.5E-04 1.2E-05 1.2E-06 Mn 1.1E-03 3.9E-04 1.0E-07 0.0E+00 2.2E-02 2.2E-03 1.2E-04 4.0E-05 3.3E-04 3.3E-04 1.9E-05 1.9E-06 Fe 5.3E-02 6.4E-03 3.0E-07 1.0E-07 1.6E-01 1.6E-02 4.6E-03 2.3E-03 6.1E-03 6.1E-03 9.9E-04 9.9E-05 Zn 1.3E-03 8.0E-04 0.0E+00 0.0E+00 5.2E-02 1.0E-02 4.0E-04 2.0E-04 2.6E-02 1.3E-02 6.2E-04 6.2E-05 As 1.1E-05 4.2E-06 0.0E+00 0.0E+00 1.0E-04 1.0E-04 2.3E-05 1.2E-05 1.5E-04 1.5E-04 3.7E-06 4.0E-07 Sb 1.3E-05 7.4E-06 0.0E+00 0.0E+00 9.0E-05 9.0E-05 6.9E-06 3.5E-06 9.5E-04 4.8E-04 2.0E-05 2.0E-06

※ 発生源プロファイルの濃度(g/g)と誤差を示す。

※ 二次粒子の(NH4)2SO4、NH4HSO4、NH4NO3については、それぞれの分子量から組成を算出した。

170

(9)

表 4-3(2) 本解析に使用した

CMB

発生源プロファイル 成分

発生源 二次粒子

ブレーキ粉じん 植物質燃焼類

(NH4)2SO4 NH4HSO4 NH4NO3

濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差 濃度 誤差

Cl- 1.3E-02 2.5E-03 2.0E-02 4.0E-03 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 NO3- 0.0E+00 0.0E+00 1.4E-03 2.8E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 7.8E+01 7.8E+00 SO42- 4.9E-03 1.5E-03 9.0E-03 1.8E-03 7.3E+01 7.3E+00 8.4E+01 8.3E+00 0.0E+00 0.0E+00 Na+ 7.6E-03 2.5E-03 5.8E-03 1.2E-03 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 NH4+ 0.0E+00 0.0E+00 1.9E-03 3.8E-04 2.7E+01 2.7E+00 1.6E+01 1.6E+00 2.3E+01 2.3E+00 K+ 3.5E-03 7.0E-04 1.3E-02 2.6E-03 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Ca2+ 3.2E-02 6.4E-03 2.3E-03 4.7E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 OC 8.0E-02 3.1E-02 5.2E-01 1.0E-01 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 EC 1.5E-01 7.6E-02 1.3E-01 2.7E-02 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Al 1.9E-02 3.9E-03 2.1E-03 4.1E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 V 5.9E-05 1.2E-05 4.0E-07 1.0E-07 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Cr 4.2E-04 8.4E-05 3.9E-04 7.8E-05 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Mn 7.2E-04 1.4E-04 9.8E-05 2.0E-05 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Fe 9.1E-02 1.8E-02 3.6E-03 7.2E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Zn 3.3E-03 6.5E-04 9.7E-04 1.9E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 As 2.2E-05 4.4E-06 2.0E-03 4.0E-04 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 Sb 2.1E-03 4.3E-04 7.7E-06 1.6E-06 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00 0.0E+00

※ 発生源プロファイルの濃度(g/g)と誤差を示す。

※ 二次粒子の(NH4)2SO4、NH4HSO4、NH4NO3については、それぞれの分子量から組成を算出した。

171

(10)

PMF

解析の実施

4.3

4.1

で整理したスクリーニング済みのデータに対して、因子数を

8

から

13

まで変えなが ら、

PMF

解析を実施した。ソフトウェアとしては、

EPA PMF 5.0

を使用した。追加誤差は、

5%に設定した。寄与割合の推計結果は、CMB

解析と合わせて、4.4 に示す。

4.3.1

不確かさの算出

PMF

解析においては、成分測定結果の不確かさデータが必要となる。試料

𝑖

中における 成分

𝑗

の濃度を

𝑐𝑖𝑗

、対応する検出限界を

DL𝑖𝑗

とする。本解析では、

EPA PMF 5.0

の説明 書

30

に従い、不確かさ

𝑢𝑖𝑗

を次の通りに与えた。

𝑢𝑖𝑗 = {

√(EF𝑗𝑐𝑖𝑗)2+ (1 2DL𝑖𝑗)

2

(𝑐𝑖𝑗 ≥ DL𝑖𝑗) 5

6DL𝑖𝑗 (𝑐𝑖𝑗 < DL𝑖𝑗)

ここで、誤差フラクション

EF𝑖𝑗

0.2

に設定した。

4.3.2

統計的に最適な因子数の選択

各因子数について、

Base Model Run

20

回ずつ繰り返し、統計的に最適な因子数を決定 した。

全ての因子数において、

20

回の

Base Model Run

は全て収束した。モデルの観測値へのあ てはまりのよさを表す

𝑄true

を理論値

𝑄exp

で規格化した値は、因子数の増加とともに、

1.28

から

0.877

まで減少した(図 4-4) 。

図 4-4 因子数と𝑸

𝐭𝐫𝐮𝐞/𝑸𝐞𝐱𝐩

との関係

30 EPA: Positive Matrix Factorization (PMF) 5.0 Fundamentals and User Guide, https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-02/documents/pmf_5.0_user_guide.pdf

172

(11)

また、モデルの頑健性を表す

𝑄true

の相対標準偏差は、10 因子及び

11

因子のときに急 増したが、12 因子以上では再び減少した(図 4-5) 。

以上を踏まえて、統計的に最適な因子数として、9 因子を採用した。

図 4-5 因子数と

𝑸𝐭𝐫𝐮𝐞

のばらつき(相対標準偏差)との関係

4.3.3

因子プロファイルの可視化

統計的に最適と考えられる

9

因子モデルの各因子のプロファイルを、図 4-6~図 4-8 に 示す。

各因子は、指標元素の% of species sum に基づき、大気環境学的に無理のない範囲で、各 発生源と次のように対応付けられた(表 4-4) 。

なお、各因子に分解した

OC

濃度については、係数

1.7

を乗じた上で発生源寄与割合を算 出した。

表 4-4

PMF

の各因子を対応付けた発生源と指標とした成分 因子 対応付けた発生源 指標とした成分 第

1

因子 石炭燃焼

As、Pb

2

因子 硫酸アンモニウム

SO42-

NH4+

3

因子 二次有機粒子・バイオマス燃焼

K+

、OC、cEC 第

4

因子 道路・地殻

Ca2+

、Al、Ti、Fe 第

5

因子 硝酸アンモニウム・塩素

Cl-

、NO

3-

6

因子 鉄鋼・ブレーキ・タイヤ

Cr

Mn

Cu

Zn

Sb

7

因子 自動車排出ガス

OC、sEC

8

因子 重油燃焼

V、Ni

9

因子 海塩

Na+

、Mg

2+

cECchar-EC、sECsoot-ECを示す。

※ 第3因子について、因子プロファイルではOCであるが、OCを各因子に分解した後、係数補正(1.7)

を行った上で発生源寄与割合を算出しているため、「二次有機粒子・バイオマス燃焼」とした。

173

(12)

図 4-6

9

因子モデルの第

1

因子(石炭燃焼)、第

2

因子(硫酸アンモニウム)、第

3

因子

(二次有機粒子・バイオマス燃焼)のプロファイル

cECchar-EC、sECsoot-ECを示す。

※ 第3因子について、因子プロファイルではOCであるが、OCを各因子に分解した後、係数補正(1.7)

を行った上で発生源寄与割合を算出しているため、「二次有機粒子・バイオマス燃焼」とした。

174

(13)

図 4-7

9

因子モデルの第

4

因子(道路・地殻) 、第

5

因子(硝酸アンモニウム・塩素) 、 第

6

因子(鉄鋼・ブレーキ・タイヤ)のプロファイル

cECchar-EC、sECsoot-ECを示す。

175

(14)

図 4-8

9

因子モデルの第

7

因子(自動車排出ガス) 、第

8

因子(重油燃焼) 、第

9

因子(海 塩)因子のプロファイル

cECchar-EC、sECsoot-ECを示す。

176

(15)

CMB

解析及び

PMF

解析の結果

4.4

CMB

解析及び

PMF

解析から得られた、各発生源の寄与割合の推計結果を図 4-10 から図

4-18

に示す。CMB 解析及び

PMF

解析の結果に共通してみられる傾向として、次のものが 挙げられる。

・ 季節に関する傾向

道路・地殻の寄与割合が、春季に大きくなり、黄砂等の影響が考えられる(図 4-10、

図 4-15) 。

硫酸アンモニウムの寄与割合が、夏季に大きくなり、

SOx

からの二次生成による影 響が考えらえる。大気環境中における

SOx(SO2

等)は、光化学反応により酸化さ れ

H2SO4

となり、NH

3

と反応することで(NH

4)2SO4

が生成されたと考えらえる(図

4-11、図 4-16)

硝酸アンモニウムの寄与割合が、冬季に大きくなり、NOx からの二次生成の影響 が考えられる。大気環境中における

NOx

は、大気中で酸化され

HNO3

となり、

NH3

と反応することで

NH4NO3

が生成されたと考えられる(図 4-13、図 4-18) 。

・ 地点に関する傾向

海に近い地点ほど、重油燃焼の寄与割合が大きく、夏季において重油燃焼が大きく なる傾向があった。重油燃焼は、大規模固定煙源や船舶等の起源が考えられ、それ らが集中する臨海地域で重油燃焼の寄与割合が大きくなったと考えられる。

一方、CMB 解析及び

PMF

解析の結果の相違点として、次の事項が挙げられる。

・ 自動車排出ガスの寄与割合

 PMF

解析による自動車排出ガスの寄与割合は、CMB 解析と比べて寄与割合が大き く、特に関東内陸の栃木県及び埼玉県で

PMF

解析と

CMB

解析の乖離が顕著であ った。PMF 解析の自動車排出ガスに対応する因子では、OC や

SO42-

の成分も確認 されたことから、二次生成由来の

OC

SO42-

の起源が

PMF

解析の自動車排出ガス の因子に一部配分されているためと考えられる。

・ 硫酸アンモニウム及び二次有機粒子の寄与割合

 PMF

解析による硫酸アンモニウムや二次有機粒子・バイオマス燃焼の寄与割合は、

CMB

解析と比較してより小さい結果となった。上記と同様に、PMF 解析の自動車 排出ガスに対応する因子では、二次生成由来の

OC

SO42-

の起源が

PMF

解析の自 動車排出ガスの因子に一部配分されているためと考えられる。

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(16)

図 4-9 東京都におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度全季節 平均)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各調査地点の期間平均で算出した。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

178

(17)

図 4-10 東京都におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果 (2015 年度春季)

上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各調査地点の期間平均で算出した。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(18)

図 4-11 東京都におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果 (2015 年度夏季)

上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各調査地点の期間平均で算出した。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(19)

図 4-12 東京都におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果 (2015 年度秋季)

上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各調査地点の期間平均で算出した。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(20)

図 4-13 東京都におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果 (2015 年度冬季)

上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各調査地点の期間平均で算出した。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(21)

図 4-14 関東地域におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度全 季節平均)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各都県で PM2.5 成分分析を実施した一般環境大気測定局における期間平均で算出 した。群馬県で発生源寄与割合が確認されないのは、解析の前処理におけるスクリーニングでデー タが除外されたためである。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(22)

図 4-15 関東地域におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度春 季)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各都県で PM2.5 成分分析を実施した一般環境大気測定局における期間平均で算出 した。群馬県で発生源寄与割合が確認されないのは、解析の前処理におけるスクリーニングでデー タが除外されたためである。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(23)

図 4-16 関東地域におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度夏 季)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各都県で PM2.5 成分分析を実施した一般環境大気測定局における期間平均で算出 した。群馬県で発生源寄与割合が確認されないのは、解析の前処理におけるスクリーニングでデー タが除外されたためである。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(24)

図 4-17 関東地域におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度秋 季)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各都県で PM2.5 成分分析を実施した一般環境大気測定局における期間平均で算出 した。群馬県で発生源寄与割合が確認されないのは、解析の前処理におけるスクリーニングでデー タが除外されたためである。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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(25)

図 4-18 関東地域におけるレセプターモデルを用いた発生源寄与解析結果(2015 年度冬 季)上図:CMB、下図:PMF

※ 発生源寄与割合は各都県で PM2.5 成分分析を実施した一般環境大気測定局における期間平均で算出 した。群馬県で発生源寄与割合が確認されないのは、解析の前処理におけるスクリーニングでデー タが除外されたためである。

CMB解析やPMF解析で分類されなかった濃度はその他とした。CMB解析では、二次有機粒子等と バイオマス燃焼の発生源は個々に区別されたが、PMF解析では両者の寄与が一つの因子に混在する 結果となった。そこで、CMB解析とPMF解析の結果の相互比較を目的とした本図では、CMB解析 の結果についても二次有機粒子等とバイオマス燃焼の寄与を合算し、PMF解析の結果との比較が容 易になるように示した。また、寄与割合の小さい発生源(CMB:海塩、廃棄物焼却、NH4HSO4PMF:

石炭燃焼、海塩)は、その他発生源として示した。

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