堪 航 能 力 注 意 義 務 と 独 立 契 約 者
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(2) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三八六. ︵三条一項︶︒注意義務の主体として︑規則は﹁運送人﹂と規定するだけで︑わが国の国際海上物品運送人のように. ﹁運送人は︑自己又はその使用する者﹂︵五条一項︶とは規定していない︒国際海上物品運送法︵以下︑国際海運法︶ ︵3︶. 制定当時︑わが国では︑﹁その使用する者﹂の人的範囲について特に強い関心が持たれていたとはいえないように ︵4︶. ︵5︶. 思われる︒わが国の学説が堪航注意義務の人的範囲︵主観的範囲︶を運送人の注意義務の人的範囲と同じに考えて. いたゆえと解される︒すなわち︑﹁その使用する者﹂とは︑履行補助者の意味に解していたということである︒こ ︵6︶ れは︑国際海運法第三条の条文と第五条が同じ文言を使用していることからも推知できる︒ただ︑全く言及がなか. ︵8﹀. ったわけではない︒山戸博士は︑相当の注意の人的範囲は︑﹁堪航能力を具えしめるがため運送人が使用し又は使 ︵7︶ 用すべき一切の使用人又は代理人﹂に及ぶとされている︒その後も︑学説はこの問題に叙述の多くを割いていると. はいえない︒一方︑運送人の補助者の範囲を広く理解する学説がある︒筆者は︑堪航能力注意義務は︑それが履行. されてはじめて︑船長・船員が運送品に対して一般的注意義務の行使が可能となる義務で︑この意味で︑堪航能力. 注意義務は︑運送人の一般注意義務履行のために不可欠な重要な義務と理解した︒この義務の性格から︑他人に委 ︵9︶ 譲できない運送人の義務として法が規定したものと考えた︒落合誠一教授は︑補助者の行為による運送人の責任と ︵10︶ いうより大きな観点から︑この問題につき︑明確かつ明快な考えを提示された︒. 一方︑国際海上物品運送法は︑規則に基づく立法であり︑規則における堪航能力注意義務は︑条文の形式および ︵11︶. 規則成立の沿革からみて︑アメリカ合衆国ハータi法および一九一〇年カナダ水上物品運送法︑一九〇四年オース. トラリア海上物品運送法を下敷きとして立法されたものである︒運送人の義務の主観的範囲についても︑条約制定. の沿革とハーター法等の解釈を参照してその範囲を決めるべきであるとの基本に立つイギリス貴族院判決↓箒.
(3) ︵12︶ .︑言暮8馨R9亀Φ︑︑︵以下便宜上︑マ号事件と略称する︶が一九六一年に公にされた︒条約を国内法化した立法の解. 釈として︑条約制定の沿革を探求すること︑および解釈の統一に向けてそれに役立つ解釈を行うことが説かれて ︵13︶. いて︑これは︑わが国の国際海上物品運送法の解釈にも妥当するものと考え︑筆者も賛成である︒マ号事件判決 ︵14︶. は︑先例としてハ⁝タi法の解釈を探り︑アメリカ合衆国︵以下︑米国︶の判例まで遡ったが︑当の米国でさえ︑. 学説はこの論点につき深くは認識していなかったようにみえる︒それだけに︑この判決がこの問題に対する世界的. な関心を喚起する結果となった︒貴族院判決に対する反対意見はなお根強いものと考えられる︒原審の控訴院判決. の考えが反対意見を代表する︒本稿では︑両判決を対比検討することを中心にし︑これによって︑堪航能力注意義 務の主観的範囲をめぐる諸問題の一端を探ることとする︒. わが国では︑国際海上物品運送には国際海上物品運送法を適用し︑国内海上物品運送には商法を適用して︑併せ. て海上物品運送の全分野をカバーするように立法された.そのために︑国際海上物品運送法には商法との整合性を ︵15︶. 重視する傾向が顕著にみられるのであって︑筆者の見解では︑規則と異なる理解による立法がなされているのでは. ないかという疑問が散見されることもある︒条約は︑イギリス法のように規則に法の効力を与えることにより条約. を直接に摂取するか︑国内法制に適合する形式で国内立法に採り入れる選択を認め︵署名議定書︶︑わが国は後者に. よるが︑国内法制に合わせて条約を再編成する場合であっても︑条約に基づく立法であることに変わりはなく︑条 約解釈の諸原則から外れてもよいことにはならない︒これが本稿の基調である︒. へーグ規則と呼ばれる国際条約は︑コ九二四年八月二五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のた. 三八七. めの国際条約﹂である︒一九六八年二月二一二日に一九二四年条約の改正議定書が成立し︑これはヴィスビー規則と呼ばれ︑へーグ. ︵1︶. 堪航能力注意義務と独立契約者.
(4) 早法七三巻三号︵一九九八︶ 規則と合わせて一つの条約として︵改正議定書六条︶︶へーグ・ヴィスビー規則と呼ばれる︒. 三八八. 統一船荷証券法論︵一九六〇︶三. ︵2︶ 堪航能力担保義務と呼ばれるのが一般であるが︑﹁担保﹂の語は絶対義務を連想し︑へーグ・ヴィスビー規則の相当の注意義 財政詳報一〇五号︵一九五七︶九頁︑小町谷操三. 運送人責任の基礎︵一九七九︶一六頁︒. 海商法︵法律学全集︶. 堪航能力担保義務論︵一九八三︶一八五頁. コンメンタール国際海上物品運送法︵一九六四︶一一〇1一一一頁参照︒. 国際海上物品運送法について. 務と異なる印象を持たれるので︑堪航能力注意義務と呼ぶこととする︒. 谷川久 落合誠一. 三四−三三六頁︑田中誠一丁吉田昂. ︵3︶ ︵4︶. ︵5︶ 菊池洋一 改正国際海上物品運送法︵一九九二︶一三二頁︵注23︶︑原茂太一 ︵注32︶.. ︵6︶ 落合 前掲書二〇〇頁︒. ︵7︶ 山戸嘉一 国際海上物品運送法︵一九五八︶四九頁︒. ︵8︶多数の著作のなかで︑この問題に触れられたものは少ない︵筆者の見落としを恐れるが︶︒石井照久. 七一頁︒雇用関係がある使用人に限らない︑とされ. 商取引法下︵一九九二︶二五二頁︒雇用関係にあるものに限定されない︒下請運送人︑船舶修繕業者の過失につ. ︵一九六四︶二二五頁︑石井照久︵鴻常夫増補︶︵一九七六︶海商法・保険法. る︒江頭憲治郎 原茂太一. 前掲書一七八ー一八七頁︑原茂太一︵執筆︶注解国際海上物品運送法︵戸田修三・中村真澄編︶︵一九九七︶一三. き運送人は責めを負う︑とされる︒. ︵9︶ 〇1ご二一百ハ︒. 一に把握し︑第二に︑運送人が責めを負う補助者を被用者的補助者と独立的補助者に分け︑後者については︑履行補助者の過失に. ︵10︶ 落合 前掲書二〇〇頁以下︑第一に︑堪航能力注意義務の主観的範囲を運送品についての運送人の一般的注意義務のそれと同. この点につき︑原茂太一. 一九七一年イギリス海上物品運送法の研究︵一︶青山法学論集第三八巻一号七頁以下参照︒. よる責任法理が適用されると解されている︒. 一鴇︒もひ︒︒・︒堪航能力注意義務は8亭号8彊巨Φ. 前掲論文参照︒. 困<R馨08竃Φ母09℃q●い準<・いき8ω繧おω窯8一轟Oρい巳匿ロま昌>○︒︒ミ︵国●ダ︵閃匿︶y. ︵11︶ ︵⑫︶. 貴族院判決が依拠する条約解釈原則に関する先例につき︑原茂太一. ︵14︶ω①①9甲勾○獣霧oP=き30畠9︾α目ヰ巴q鍔零3島①d葺&望讐8. ︵13︶.
(5) 貴族院判決を重要な判決として紹介するのみである︒. と説き︑修繕会社が良好な仕事をしなかった場合に︑船主は責めを免れないと説くだけである︒O︒○頃ヨ○お鋤嵩αρU匹8﹃﹂目﹄. ↓冨σ≦9>q唐マ巴蔓﹄αa︒口零㎝も﹂貫この著書では︑. へーグ・ヴィスビー規則第三条第二項の位置づけについて青山法学論集三八巻. この疑問の取り上げた論文として︑運送人の堪航義務と隠れた欠陥1へーグ・ヴィスビー規則四条一項と四条二項の関係1⊥目. 山法学論集三七巻三・四合併号六三頁︑原茂太一. ︵琵︶ 三・四合併号六三頁以下︒. ニ マ号事件に至るまでのイギリスの判例. 船長船員等運送のために使用される使用人︵ωR毒邑の義務違反について︑運送人は責めを負わなくてはなら ︵16︶. ない︒船長の過失につき︑運送人が堪航義務違反の責めを負うのは︑それが委譲できない運送人自身の義務︵冨噌−. ω2巴oσ凝呂8︶であるかあらであるとして説明される︒自身の義務とは︑その義務の履行を専門家︵Φ苔Φ冨︶︑ ︵17︶. ︵18︶. 被用者︵ωR<磐邑または代行者︵囲9邑に委託したという理由で責めを免れることはできない意味であろう︒ ︵19︶. 船長・船員以外にも運送人に直接雇われた者︵船大工︶のほか︑船舶所有者が船舶を堪航状態にするために使うコ. ンパス調整者のような代行者︵囲①琶を含んでいる︒ここで︑轟Φ導︵筆者は﹁代行者﹂と訳した︶の意昧を確定す ︵20︶. る必要がある︒代理人より広く︑本人に代わり︑本人の職分に属する仕事を代わって行う者を指す言葉として用い. られているものと理解する︒Uoσ亀事件および℃簿Rωo目事件判決では︑運送人が相当の注意を尽くした場合と ︵21︶. 三八九. は︑運送人が自身で注意を尽くすだけでなく︑船舶が発航する前に船舶を堪航状態にするためにその者が使う代行 者︵9 ︒鴨昌ω︶により尽くされることを意味するとされていた︒. 堪航能力注意義務と独立契約者.
(6) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三九〇. ︵22︶ 造船業者︵ω匡9巨号邑の被用者の不注意による船舶の不堪航について判断したのは巧9>轟房ω事件判決であ. る︒この事件は︑へーグ規則による立法︵一九二四年オtストラリア海上物品運送法︶がイギリスで適用された初期. のものである︒造船時における設計の誤りと造船業者の職工による工事上のミスで︑燃料タンクから漏れた油が処. 理された羊の積荷に損害を与えた︒欠陥は︑運送人が雇った検査人︑その他の検査人が相当の注意を尽くしても発. 見できないものであった︒また︑運送人は︑最高の評価がある造船業者と契約している︒運送人は堪航能力注意義. 務違反の責任を負うか否かが争われた︒判決は︑マ号事件判決につながる重要な判例である︒. ≦鼠磯辟いは︑次のように判示する︒﹁新法は︑現代広がっている専門化および運送人と船舶建造者の区別を強. 調し︑さらに運送人の義務を運送人としての資格における相当の注意に限定することを意図している︑と私は考え. る︒運送人は︑彼の雇用の下にある使用人および代行者を使って行為する慎重でかつ注意深い運送人としてのすべ. ての義務につき責任を負う︒もし彼が船舶を建造する場合に︑信頼がおける造船者︵どまRωoぼ8葺Φ︶と契約す. ることを怠り︑かつ︑相当なすべての注意を怠ったとき︑責任を負う︒1中略1いかなる場合でも︑船舶建造業者. の被用者がある欠陥工事をして︑たとえそれが発見できないものでも︑船舶を不堪航にするものではないと考え. る︒本件において︑被告は造船工事を監督するために検査人を雇い︑その検査人が相当の注意を尽くしたと私は判. 示する︒1中略1さらに︑船舶を修理する必要がある場合に︑運送人に対して︑相当に可能な限度で︑自身の責任. で特別監督者を雇い︑欠陥が適当に修理されたか否か確認する義務が課せられる﹂︒なお︑運送人が評価のある造 ︵23︶. 船業者と契約することを怠った場合︑あるいは︑運送人または運送人が検査を委託した者がその欠陥を見逃したよ うな場合を除き︑運送人は責めを負わないとされている︒.
(7) ︵24︶. 造船業者のほか︑運送人からは独立した独立契約者︵一巳8Φ且Φ旨8耳寅9旦またはその被用者︑さらに︑独立. 契約者の下請業者またはその被用者の相当の注意違反につき︑運送人はどの範囲まで責任を負わなくてはならない ︵25︶. のか︒船舶修繕業者︵ω三凛Φ冨冨邑の被用者の不注意に関して︑この問題を取り上げた判決が↓冨..家毒8馨R. O霧菖Φ︑︑である︒この判決はイギリスのみではなく︑世界的に強い影響を及ぼした︒重要な論点を含むので︑以下 に多少詳細に判例を検討する︒. に行わなかったために︑船舶が座礁して全損したケ!スである︒カナダ水上運送法が適用されたケース︒. ︵16︶ZO辞言Bぼ一9︒5ω巨℃風おOo■< 中↓言目俸ωOPい巳︒﹇一︒G︒︒ ︒ ﹈>︒○ω︒8簿も﹂︒9この事件は︑船長が燃料の積込みを十分. 義務で︑その履行は使用者自身または他人により︵℃R器象唱R呂○ω︶なされる︒類似の義務が堪航能力注意義務とする...℃牢. ︒O●使用者の義務は自身の ︵17︶9﹂玄Po o8巴ωo≦房8ωきαΩ緒αΦ08一〇〇之●国詣房﹃ロ8︒︒﹈>●ρ罵︵甲げ︵曽■︶y讐や︒. 船舶所有者が雇った船大工︵号言.ω8∈Φ葺R︶の. ω8巴︑︑の語は前後関係で被用者または代行者の義務と区別される運送人の義務の意味にも用いられる︒ω①Φ↓訂.︑ω冨訂暮.︑ ロ8㎝﹈N巨・胤︑ω菊①℃■9ρ9︒ε︒緕㎝︒. 不注意による損害発生の事例︒. ︵18︶ρ甲03色俸09<︐望$Bω窯℃即○鴇巨oお09︶ピ巳■ロ︒︒3﹈Nρ中お︒︒. ︵19︶評§ω8ω什8ヨ畳℃ω博■けα︒<︒菊・σぎ=・・α竃旨ωvいけα.︵一︒G︒刈︶㎝︒︒い一・い■寄やω㎝もけPお︵℃■Oy. 工員が怪我をした︒製造業者は工具を工員に配備することについて工場主の代行者といえないとされる︒一方︑荷役労務者は︑船. ︒噛工場主が製造上の欠陥がある工具を工員に提供した結果 ︵20︶U麩8く■2Φ妻言R8嵩ω8巳家旨ωい巳 ﹇お昭﹈卜︒口○琶.ω勾8ぴ︒ 主から直接雇われていないので 被用者︵ωR<き邑ではないが︑代行者︵紹Φ簿ω︶である︒. <︒勺俸O誓8目Z餌く蒔帥賦900●ロ︒鴇﹈界ω︒蒔㎝①. ︵21︶ロG︒量NO﹂W■お︒︒もR一・巳雰げR琴勾﹄舞や合ω旧︵一︒し︒相︶㎝G︒い一・■■寄PG ︒9讐℃.藤9. 三九一. 独立契約者は︑他人のためにあることを行うことを約したした者であるが︑仕事の仕方につき︑その他人から指図を受けた. ロO曽﹈N溶ω■合9象℃り降OH. ︵22︶≦ゆ︾躍一一ωω俸Oρ︵>島霞四一邑牢○箕一Φ鼠曙い巳. ︵23︶. ︵24︶. 堪航能力注意義務と独立契約者.
(8) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三九二. り︑あるいは他人の指図権に服しない者をいう︵国8犀︑ω鍔≦9&○轟貸ふ9Φα﹄Pミ9︿米国の定義﹀︶︒イギリスでは︑独立. 契約者は︑他人との契約で他人のために仕事︵ωR三8ω︶を提供する︵冥o<置①3層︶者をいい︑被用者は︑他人との契約により他. を受けて仕事が行われる︵9︶︾ωξ<qgOOヨヨRo一巴>鴨目ざΦ98qξ甲甲い一凝餌巳磐α巴ωもP昌︒山N一︶︒. 人に仕事を売る︵ひQ貯Φ︶者をいう︒両者の区別は︑前者が︑仕事の仕方および時につき自己の裁量で行い︑後者は︑使用者の命令. ︒﹈N口○益︑ω勾8﹄脇︵ρ中︵OO59︒ご控訴審判決は︑ロ︒$﹈N口2︑ω園8ひ器︵○ ︵25︶o o ¢冥騨なお︑第一審判決は︑ロ3︒. マ号事件判決. >︐ご貴族院判決は︑﹇お2﹈>︒○︒︒ミ︵田.い︵中︶︶●. 三 ︵一︶ 判決の事実と判旨. マ号事件事実の概要は大要以下のとおりである︒船舶発航前の定期検査の際に︑運送人の海務部長が船舶修繕業. 者に対して点検のため波止弁︵排水管の先端︶のカバーを開けて点検するよう指示した︒修繕業者は蟻装工を雇い. 作業を行わせた︒点検後︑蟻装工がカバーの締付けボルトを均一に締め付けなかった結果︑ロンドンからオースト. ラリアまでの往復航海の復路の航海で遭遇した荒天により︑締付けボルトが緩み浸水し︑牛舌の積荷に損害が生じ. た︒船舶の不堪航につき︑運送人が一九二四年オーストラリア海上物品運送法における相当の注意を尽くしたか否 かが争われた︒. 第一審判決において︑竃け冒答8冨o乞巴おは≦︒︾漏房ω事件判決に従う︒判事は︑≦・︾鑛房ω事件判決は︑. それが公にされて以来︑法的位置づけを正確かつ公権的に記述するするものとして︑法律職業人により受け入れら.
(9) れてきたとし︑さらに︑運送を手配する者と貨物所有者の間の無数の紛争がこの判決を基礎として解決をみてきた. と判示する︒これに次ぎ︑判決は︑≦.>轟房ω事件判決後に現れた諸判例を検討する.結論として︑運送人は相 当の注意を尽くした立証責任を果たしたと判決した︒原告が控訴した︒. 控訴審判決は︑損害の発生原因については︑第一審と同じ認定を示し︑損害賠償責任について︑これまでの判例. を検討したのち︑巧5︾昌ひq房ω事件判決に従い︑第一審判決を支持した︒ピo巳甘︒Dけ一8ピo霞粧︑8&冒昌8. 0ヨR&および﹇o巳冒答8≦旨日Rによる判決の判旨は︑以下のようである︒本件の事実の下で︑独立企業者. の専門的仕事が必要とされる種々の行為につき︑最高に信頼がある独立業者︵嘗8需&Φ昌8耳轟90お9竃讐①馨 ︵26︶. 82邑に委託することは︑それ自体が運送人による義務の履行であり︑運送人の義務を独立の企業者に委譲した. ︵号一躍讐Φ︶ことではない︒このような結論に到達する理由については︑それぞれの裁判官ごとに異なるが︑これに ついては︑以下で別に検討する︒. 貴族院判決は︑第一審および原審の判決を覆した︒船舶所有者は︑船舶を修理するに当たっての過失が独立企業. 者の過失であるという事実であることにより免責を受けることができない︒船舶所有者に課せられた船舶修理の義. ︵27︶. 務は︑それが誰によってなされようとも相当の注意を尽くす義務である︒たとえ独立企業者に委託された仕事が︑ ︵28︶. ︵29︶. 技術的な︑または特別な知識もしくは経験を要する仕事である場合でも異なるところはない︒必要とされるのは︑. 三九三. 仕事自体に対する相当な注意である︒全裁判官の意見が一致している点は︑条約の統一的解釈方法によりへーグ規. 則を解釈すべきで︑イギリスの先例にのみ依拠することはできないとしていることである︒. 堪航能力注意義務と独立契約者.
(10) 控訴院判決と貴族院判決の比較検討. 早法七三巻三号︵一九九八︶. ︵二︶. 三九四. ︵1︶ 控訴審判決と貴族院判決の決定的な差異は次のようにいうことができる︒︑前者は︑規則の解釈にあたり︑. 先例をイギリスの判例に求め︑しかも︑事実が異なる事案における解決を本件に類推している︒これに対して︑後. 者は︑本件は条約の解釈に関する案件であるゆえ︑統一解釈の原則に従い︑規則の基となった一八九三年ハーター. 法︑一九一〇年カナダ水上物品運送法および一九〇四年オーストラリア海上物品運送法に遡って︑それらの法が ..9Φ琶蒔窪8.︑に与えた意味と解釈を探求している︒. ︵30V. ︵2︶ 控訴審判決は︑白︒︾鑛房ω事件判決を先例として挙げ︑船舶が造船される場合と船舶が修理ないしは検. 査される場合とを基本的な理論からみて区別できないとする︒これに対して︑貴族院判決は︑造船業者の工事の欠. 陥による船舶の不堪航と修理業者の誤りは区別できるとする︒造船業者の注意は︑航海前および開始に際しての注. ローにおける相当の注意と異なり︑堪航注意義務は固有の性格を持つ義務であり︑. 意とはいえない.運送人の堪航義務︑すなわち仕事自体に対する注意義務は船舶が運送人の射程距離︵a耳︶に入 ︵31︶. るまでは開始しない︒コモン. 不堪航が船舶を堪航状態にするためまたは保つために運送人が使用した者の注意の欠如に起因しているとき︑その. 者は︑運送人が責めを負う代行者︵鎚①琶である︒運送人の義務の範囲を限定するのは仕事自体︵船舶を堪航状態. にしかつそれをを保持する仕事︶であり︑堪航能力についての時的範囲が﹁航海の前または航海の開始に際して﹂に. よって限定されるのと同じである︒この点を押さえれば︑修繕業者の被用者が注意を怠った結果に対して運送人に ︵32︶. 責めを負わせても︑巧︒>轟房ω事件判決がいうような﹁ほとんど際限のない後退︵巴日o雪琶一一巨8α お嘗○鴨霧巴8︶﹂にはならない︒.
(11) 3︶. ︵3︶ 控訴審では︑ある特定の仕事を被用者でない熟達・有能な専門化に委託することが正当でかつ慎重な実務 ︵3 であり︑しかも相当の注意の行使︵①器邑器9身Φ昆督8①︶になる場合があり得るとする︒点検のような技術的 ︵34︶. な仕事の性格上︑その仕事を有能な業者に行わせることは︑それ自体が運送人による相当の注意の行使であり︑自. 身の義務を他人に委譲することではない︒運送人が行う通常の業務の過程からはずれた︑専門化された性質の仕事. ︵ぎ蒔・ご呂a呂Na⇒蝉蜜量の場合に︑運送人が相当の注意を尽くさなければならない義務を他者に委譲してい ︵35︶. ︵36︶. ると解するのは現実離れである︒熟達・有能な業者を使うこと自体が相当の注意の行使に当たる︒この考えは︑. 含Φ島一蒔窪8はコモンローにおける話霧○鍔巨①8おと異ならないという認識とも関連する︒コモンローにおける ︵37︶. 相当の注意の例として判決中で挙げられるのは︑寄託者︵9ぎじの受託者︵富ぎΦ︶に対する注意義務︑使用者. ︵38︶. ︵営婁R﹀の被用者︵のR爵豊に対する注意義務︑または招待者︵営葺包の招待を受けた者︵営葺亀に対する注 意義務がある︒. これに対して貴族院判決の考えは全く対称的である︒相当の注意は︑船舶所有者かまたは発航前船舶が堪航状態. にあることを確認するために彼が使った代行者︵謎窪旦により行使されなければならない.船舶所有者が適当か ︵39︶. つ有能な代行者を指名しただけでは十分でない︒<一ω8仁旨腔ヨ8留は︑の︒国Uoぴ色俸09<︒望$Bω匡も即○ω甲. Boお09犀阜における上記のような判旨を引用し︑事件は︑船主の被用者︵Φヨ巳︒巻の︶に関する事件であるが︑ ︵40︶. 判決の論理および文章は船主が使うすべての代行者に妥当すると判決する︒続けて︑相当の注意は仕事自体におけ る注意を意味するとする米国の先例を引用する︒. 三九五. ︵4︶ へーグ規則の意図についても見解が分かれる︒控訴審判決は以下のようにいう︒運送人が独立業者および 堪航能力注意義務と独立契約者.
(12) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三九六. その被用者の行為についてまで責任を負わなくてはならないとすれば︑結果的には︑運送人に堪航担保義務を負わ ︵41︶ せることになり︑ただ︑運送人は隠れた欠陥についてのみ免責を認められるにすぎない︒本法およびオーストラリ. ア法においても従来までの堪航能力の担保が廃止されたことを忘れてはならない︒修理業者の被用者の過失につき. 運送人は責めを負うという解釈は︑規則の文言から引き出すことはできない︑また︑そのような解釈は︑当然まれ ︵42︶. な場合である真の隠れた欠陥を除き︑従来の絶対的約束とほとんど区別できない新しい限定義務と入れ替えること. になる︒この点についての貴族院の考えも正反対である︒国際条約のなかで︑運送人の責任の基準として選ばれて ︵43︶ いる言葉は︑すでに一定の意味が成立しているゆえに条約に採り入れられているものであると考え︑判決は︑へー ︵44︶. グ規則における規定の解釈をハーター法に遡って行う︒ハーター法は︑隠れた欠陥について船主を免責するのがそ. の目的であったと理解する︒控訴院の解釈に比べて︑運送人にとり厳しくなるのは︑条約の意図の帰結であるとい. うことになる︒換言すれば︑運送人の堪航注意義務は︑制定法による契約当事者の義務︵④鼠ε8蔓8耳轟︒ε巴. ︒σ凝畳8︶であり︑委譲することができない運送人自身の義務︵ぎ窃8冨巨①冨誘9巴3凝讐一8︶として制定法が. 定めることは何ら新規なことではなく︑8巳囚Φ一島亀︾<○嘗o巨の意見によれば︑義務をこのように解すること ︵45︶ は︑なんら非現実的︵o図霞碧謎き叶︶ではないということになる︒. 最後に︑船舶が複雑な機械になった現代において︑運送人に厳格な責任を負わせるのは酷である︑という考えが. 控訴審判決にも示されている︒これに対して貴族院判決は︑規則第三条の条文は︑いかなる限定︵2巴匡︒&9︶ ︵46︶. をおいていないので緩やかな解釈を許す理由にならないとする︒規則は運送人を保護するためではなく︑船荷証券. の所持人の権利を標準化するために制定されたものとしている︒また︑貴族院判決では︑荷主の立場からすれば︑.
(13) 32 31 30 29 28 27 26 (((((((の. ︵47︶. ︒ふおふ・︒q ロO$﹈N口o琶.ωヵ8匿田ρ簿℃P蜜・. 納得すべきことではないとされる︒. は. 荷主には関係のない運送人の状況や運送人がなした取決めにより荷主の損害賠償請求権が左右されなければならな い. <︒男oω8一〇霞磐ひqo俸Oρい準ロ︒Q︒N﹈︸○器o︒︵甲い︵中︶︶︐. ︒器一象器<︒○>■∪㊤名節ωoPP阜﹇お占﹈N内 頃Ω. 堪航能力注意義務と独立契約者. 9 ︵ 3︶ 口︒︒︒呂NO●ω︒おφ. 三九七. 甲巽9建物の居住者はエレベーターの欠陥で招待客が怪我をした場合に︑. 有能な独立の業者に保守させていた場合にはお器○葛芭Φ8おを尽くしたことになる︒. ︵38︶. とにつき責任を負わない.. ることに相当の注意義務を負う受寄者が︑建物を建築する際に評価のある独立の建築業者に委託した場合には︑建物が崩壊したこ. ︒濯︶r勾ピの甲旨ド運送用具の受寄者︵σ毘8︶で︑その運送用具が格納されている建物が安全であ ω9二Φダぴ9 ︒くa良︵一︒. Hび一ρ讐℃■㎝o︒ω. 囲獣αもR≦一一目Rr旨−鉾P切・︒9. 一虹ρ℃RO﹃ヨRoα﹇﹂こ簿P㎝お. ロ30﹈N口○犠.ω幻8︑頴ωもR寓OR量い︸﹄簿Pま9. 時において﹂ の語により限定されるので︑際限のない後退にはならないと判示する︒ロ霧昌︾○︒︒︒8簿Po︒①N︒. の製造業者等の行為についても有責になり︑際限なく連鎖が広がる意味である︒■o巳勾区o謀8は︑﹁航海の前または航海の開始. 航義務違反の責任を負わなくてはならないとすれば︑ 造船業者が使用した独立業者の行為︑さらには︑その被用者が使用した工具. ωΦ①﹇お鴇﹈器口︐いカ8﹄β簿P曽仰ロ︒鴇﹈N零中ホρ讐P&Hこれは︑造船業者の被用者の行為につき運送人が堪. ︒. ロ︒︒一﹈>○︒ ︒︒刈もR8&勾注〇一蕨ρ緯薯︒・︒雪−︒︒①・. ﹇一︒㎝︒ ﹈ N 瓢 ○ 胤 ︑ ω 勾 ① p 緕 ρ 緯 p ㎝ ︒ 轟 ︒. ω鼠閃ご器﹇巳. ︒鐸 ︒㎝PのΦΦ巴ωoもR8a頃&ωop讐p・ H玄αもR8&竃①三Bき9︒けp・. ロ8昌︾ρ︒︒︒刈もR≦ω8瓢筥ωぎo且ω一讐唇︒︒︒お−︒︒愈︐. 一一一一一一一. 33 34 35 36 37.
(14) 三九八. ︒零︶︒﹁この条文は︑いくつかの先例が判示するように︑船主自身の行為だけでなく︑彼 ↓箒9一冒P・︒N閃ふ9︵ψウZ.網﹂︒. 早法七三巻三号︵一九九八︶ ︵40︶. 仕事自体に対する相当. が使用する代行者の側で︑または︑船舶を海上航行に適するようにするための仕事を委託する者の相当の注意を要求する︒換言す. 仕事自体への相当の注意である︒﹂︵葺P雪o︒ごロま呂>○︒︒O刈もR≦零2算酸ヨ8房 9︒什P︒ ︒G︒o︒. ﹇一〇①一﹈︸∩o ︒08讐Po︒㎝①●. H獣ρ緯Po︒置︒. も︑条約の基本的解釈態度として貴族院院判決が正当であり︑判決文としても明快で優れているように思われる︒. ︵1︶について︑条約の解釈原則については︑イギリスでは貴族院判例があるが︑イギリス法に限らず国際的に. 四 比較検討の結果︵筆者の見解︶. ︵47︶Hげ一αもRい○益勾区︒一窪ρ帥ε・・︒①ω︒. ︵46︶ 囲玄9噂R一〇巳頃○αωoP讐Po︒お︒. ︵45︶. ような立法の意図は考えられない旨を判示する︵緯P雪o ︒︶︒. らず︑船主は評価のある他人に委任することによりすべての責任を免れてしまう︒理論上も︑また健全な政策的見地からも︑その. OO一冒欝誓冥卑騨o譲PU一ω鼠9冒畠①は︑﹁仕事自体の注意﹂以外の解釈とると︑相当の注意が実際に尽くされたか否かにかかわ. 尽くした場合に︑航行上または船舶の取扱いに関する過失につき船主を免責にすることにあった﹂︑と判示する︵讐o﹂旨︶︒↓冨. よっても発見することができない隠れた欠陥につき船主を免責すること︑さらに︑船主が船舶を堪航状態にするため相当の注意を. ︵44︶ 囲σ具讐P・ 〇 ︒刈︶︒竃唇冒答8ω巨轟ωは︑﹁ハーター法の主目的は︑最大限の注意に ︒9る8↓箒同旨餌≦注身口自qω﹂・ ︒8︵一︒. ︵43︶. ︵42︶ 一玄9簿℃●㎝o︒9. ︵41︶ ロO$﹈Nごo琶︑ω勾8︒3ρ讐や鴇︒じ. の注意とする意見℃R8乱三Φ三B餌P讐P︒︒㎝︒もRピo&内α99><○昌○一β讐P︒︒戸ORピo巳缶○富oP讐P︒︒鐸. れば、.
(15) ︵2︶について︑造船の場合には︑筆者も貴族院判決が説得力を持つと考える︒規則は運送人の注意義務の時間. 的な範囲を︵運送︶航海の前および開始に際してと限定している︒造船は特定の運送航海と関係がないのに対し. て︑本件の場合は︑運送航海の前に行われた定期検査であり︑運送人の業務の範囲に含まれるといえる.﹁航海の ︵48︶. 前﹂を常識的に解しても︑造船時までは拡大しすぎであり︑運送契約上の義務として造船業者の被用者の過失につ いてえまで運送人が引き受けなければならない理由はない︒. ︵3︶について︑貴族院判決は統一解釈の観点からハータi法から源を発する規則の解釈を行ったもので︑筆者. も賛成である︒また︑へーグ規則第三条第一項の堪航注意義務は︑ハーター法等の制定法上の義務を採り入れたも. のであり︑かつ︑条文の文言もお霧○鍔配088ではなく︑身①色お窪8が使われていることからして︑この文言. をコモン ローと同じに解釈する理由はないように思われる︒規則は︑身Φ島蒔窪8というハータi法の条文と ︵49︶ 同じ言葉を使っている︒ハータi法の解釈は︑アメリカ合衆国海上物品運送法の解釈に光を当てるといわれるが︑ ︵50︶. 同じことはイギリス法の解釈についてもいえる︒米国では︑船舶所有者が︑船舶を修理業者に委託し︑その業者が. 妥当な仕事をしなかった理由により︑堪航義務は免責されるものではないとされている︒ただし︑米国の著名な著 ︵51︶. 書では︑本件貴族院判決は重要な判例として紹介するが︑判決自体の是非についてはコメントがなく︑理論上では. ︵53︶. 2︶. なく実務上︑判決の結果は堪航担保義務に近づくとされている︒ ︵5 貴族院判決は︑後の貴族院判決により確認されたのみではなく︒米国の判例も貴族院判決が依拠したハーター法 の解釈を踏襲しているとされる︒. 三九九. ︵4︶について︑控訴審判決は︑運送人が修繕業者の過失についてまで責めを負うことになると︑堪航担保義務 堪航能力注意義務と独立契約者.
(16) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 四〇〇. ︵54︶. ︵妻曽轟導望︶と変わりがないとする︒しかし︑運送人は自身が堪航性確保のために使った代行者が相当の注意を尽. くしたことを証明すれば︑責めを免れることができるので︑絶対義務とはやはり異なるといわなければならない︒. また︑貴族院判決のように解すると︑運送人側に不釣合いの責任を負わせることになるという考えに対しては︑以. ︵55︶. 下の考えが説得力を持つ︒運送人は︑修理点検等を委託した独立業者に対して求償することが否定されているわけ. ではないので︑貴族院判決は大抵の国で受け入れられるように思われるとする考えである︒. 以上︑貴族院判決が︑イギリス海上物品運送法の解釈であるとともに︑理論的にも説得力を持ち︑規則の解釈と しても認められていることはヴィスビー規則成立時の経緯をみても明らかである︒ ︵48︶ 筆者は考えを改めた︑原茂 前掲書一八七頁参照︒ ︒●. ︵50︶ 一び一9ω①ΦωΦ跨一①冨ヨω匡もび仁出島βひqOo壱︒く﹂○ω8げOqα轟909一〇コ毘刈$︵○○>O巴■一〇N①y. ︵49︶ 国o画霧OP霊蜜騨P㎝Oo. ︵5 1︶ O出ヨ○お鋤⇒α鯉碧F霊冥P℃・一縄. 発航前に存在した減速ギアの欠陥により積荷に損害が生じたケースである︒被告が本船の引渡しを受けたとき︑船舶は全般的な. ︒︐. ︵5 2︶目箒︾ヨω邑ω一9︵d巳9・︷冒9蝉<.Z・く︒勾ΦaΦ且︾日ω什①巳四日︶ロ︒①ω﹈Nご︒三︑ω寄P認G. オーバーホールを受け︑機器の部分は名声につき全く間題がないロイヅの検査人により検査されている︒判決では︑名声のある検 査人の選任の点でなく︑検査人が相当の注意を尽くしたことを理由に運送人の免責を認めている︒ ︵53︶ ≦︒↓①二Φざ﹈≦弩日ΦO曽茜○Ω巴Bρω&a﹄PooOω. 囲げこー. o.. ︵5 4︶ い≦凶一のoPO震ユ曽鴨o噛OOoαωげ﹃ω8︶NαΦα﹄や一〇︒o ︵55︶.
(17) 五. 結. ィスビー規則の解釈上︑次の点は注目される︒ 堪航能力注意義務と独立契約者. 四〇一. の注意﹂の主観的範囲をどのように画するのか︑将来に向けての議論の課題であることは否定できない︒ただ︑ヴ. グ規則制定の時代へ︑さらには︑現代に至るまでの船舶を取り巻く科学と技術の革新的な進歩を前にして︑﹁相当. 採択されたこと自体︑やはり︑判決を意識したうえでの反対の表現であると解される︒ハーター法の時代からへー. となる案が提出され︑採択されたが︑結局︑一九六八年ブリュッセル外交会議で削除されている︒このような案が. ︵57︶. 貴族院判決に対しては︑船舶構造の複雑化の現状に照らし︑さらに︑堪航能力についての運送人の責任が過失責 ︵56︶ 任である理由により反対があり︑ヴィスビー規則作成のストックホルム会議においても貴族院判決を修正する結果. 立契約者であっても︑その者の過失は︑運送人の過失として堪航能力注意義務違反を構成するものと解される.. 船舶を堪航状態におく義務を履行するために運送人が使う者である限り︑被用者︑または代行者にとどまらず︑独. であるが︑これにとどまらず︑運送人として荷主に対して負う義務︑すなわち︑船舶の発航前および発航に際して. 自身の義務であることを確認している︒判決は︑修繕業者の被用者の不注意による船舶の不堪航を取り扱ったもの. 務である︒貴族院判決はこの前提に立っているものと解される︒しかも︑義務の性質は他人に委譲できない運送人. は︑海上物品運送人としての義務であり︑かつ運送航海の前および航海への発航に際して船舶を堪航状態におく義. 以上︑筆者はへーグ規則およびへーグ・ヴィスビ規則の解釈として貴族院判決に賛成した︒堪航能力注意義務. 証 口口.
(18) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 四〇ニ. ヴィスビー規則第三条第二項は︑訴えが運送人の被用者または代行者に対して提起されたとき︑それらの者は運. 送人と同じ免責および責任限度を援用できることになった︒独立契約者は被用者または代行者から除かれているの. で︑独立契約者を不法行為で訴えることが荷主にとって有利になるので︑改正条約の下では︑荷主または船荷証券. 所持人が独立契約者に矛先を向けることが多くなることが考えられる︒この結果︑実質上運送人が賠償能力が十分 ︵58︶. にある独立契約者を選んでおけば︑責任を直接負わなくてもよい結果につながる︒国際海運法の解釈上︑不法行為. 責任について独立契約者は﹁運送人の使用する者﹂に含まれないと解釈されるとすれば︑同じ結果となる︒. 結論として︑条約制定の経過に遡り︑自国の先例に優先して統一解釈の要請を重視する貴族院判決は正当であ ︵59︶. る︒これと同じ見解は︑ベルギー︑イタリア︑デンマーク︑カナダオランダおよびフランスにおいて︑判例または ︵60︶. 学説がとるとされている︒筆者は︑わが国においても国際海運法第五条が規定する﹁その使用する者﹂の解釈につ き︑これと同じ解釈を採るべきというのが考察の結論である︒ ︵56︶ 石井照久 船荷証券条約の改正 海法会誌復刊二号一八頁︒. 前掲書ご一九頁︒. 前掲書二〇七頁︒. 前掲論文一七頁.国際海上物品運送法第五条第一項﹁その使用する者﹂は︑独立契約者を含む広い解釈を許容す. 一︒臼もる芦石井 前掲論. 運送人が定評ある独立契約者を選び︑その仕事につき監督・検査の注意を尽くせば︑独立契約者に故意・過失があっただけ. 運送人の注意義務違反があったとみなされないという趣旨のものであった︒↓亀身あ唇声尻9. ︵57︶. 菊池. る︒結論同説︑落合. ︵60︶ 反対︑石井. ︵59︶菊・象9ρ叶邑菰肉曾曾巴α①象9目畳鉱ヨρ一︒︒︒ ︒ト戸8胡ω︒. ︵58︶. 文一七−一八頁︒. で、.
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