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(下) ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策

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(1)

はじめに第 一 章 規 制 改 革 の 視 点 と 論 点 第 一 節 総 説 第 二 節 以 前 の 法 制 度 的 特 徴 第 二 節 規 制 改 革 の 背 娯 と 前 史

第四節

DBP

の組織改吊第五節事業規制の緩和ないし撤廃_ー—新しい秩序政策上の枠組条件の形成

第六節ドイツの電気通侶事業法制の比較法的特徴︵以上一

0

巻三

・四

号︶

第二章電気通伯事業に対する競争制限禁止法の適用

l l J

能性

第 一 節 総 説

第一一説競争制限禁止法第五次改正前の実務と学説

第三節郵政構造法と競争制限禁止法の相互関係 第 一 一

1

E

Cの軍気通伯政策の影秤

第 一 節 総 説 第 二 節 直 接 的 影 評 第 三 節 間 接 的 影 曹

おわりに︵以

t

本号

土 佐

/¥ 

ド イ ツ 電 気 通 信 事 業 法 に お け る 規 制 改 革 と 競 争 政 策 生 ︵ 下 ︶

11--1~33 (香法'91)

(2)

よぶノ 一致していると評価でき いずれにせよ︑少なくとも 一般に︑資本主義諸国における戦後の電気通信事業に対する政府規制のあり方を類型化するならば︑伝統的に︑

一方

で︑

アメリカ型の﹁規制下の独占﹂政策と︑他方で︑

日本を含めてヨーロッパ諸国型の︑公企業を通じて国家が

直接に供絡する﹁国家独占﹂政策とに分けることができる︒そして︑法律学の上では︑前者は︑優先的管轄権理論

( P r i

ma ry u  J r i s d i c t i o n   D o c t o r i n e

) 竿寸によって規制政策と競争政策との相互調整を行ってきたのに対して︑後者は︑そも

そも競争政策との関係を十分に意識することなく公企業法学の枠内でこれを論じてきたと︑一応いうことができよう︒

この落差の背後には︑根本的背景として︑経済的自由の確保を基調とし︑競争経済を基本的に信頼するアプローチ

と︑戦後に至るまで競争法制に十分に親しまず︑電気通信事業のような一定の経済セクターについては︑

に媒介されない国家独占への虹接規制をこそよしとするアプローチの違いが伺われるが︑

機能的に見る限りでは︑各国とも︑

第 一 節 総

その範囲と程度において種々の違いはあれども︑電気通伯事業に対してなにがし

か︑競争法制からの明示的または黙示的な適用除外としての位置付けを認めてきた点では︑

その根拠は︑大きく分けて︑第一に︑経済理論的には︑この事業分野における自然独占性の存在であった︒そし て︑第二に︑この事業のもつ公共経済的なインフラストラクチャーとしての社会的意義であった︒両者は︑各々また

第二章電気通信事業に対する競争制限禁止法の適用可能性

八四

むしろ市場

11‑1 84 (香法'91)

(3)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(土佐)

八 五

は相互に相まって︑電気通信事業における独占的供給構造を理論的に正当化することに用いられてきた︒ところが︑

技術革新により︑電気通信事業のうち少なくともその一部︑特に付加価値通信サービスや︑端末機器の製造︑販売等

制改革の必要性があるわけであるが︑ については︑自然独占性をもはや認め難く︑経済的に正確な意味での自然独占性がなお残っていると言い得る分野は︑ せいぜいローカルな電気通信ネットワーク部門にしかない︒まさに︑この点に︑需給両面での構造変化に対応する規

その際︑同時に︑既存の行政規制を解かれた伝来的な独占企業体が︑各種の競

争制限的行為を行う可能性が生じてくる点も︑ また見逃すことができない︒

さらに︑これに対する競争政策的対処は︑当然︑規制緩和ないし撤廃に伴う弊害の是正の観点から︑

て重要なのはいうまでもないが︑これに加えてより積極的な意味を込め︑この事業における新規参入者である私的供

給者との間の公正な競争条件の形成と確立︑そしてそれを通じて当該事業の一層の発展を図るという観点からしても︑

極めて重要であるといえる︒こうして︑電気通信事業の各事業分野に対する競争制限禁止法の適用可能性と︑その際

の違法︑合法の判定基準の明確化が︑要請されてくるのである︒

以下︑競争制限禁止法第五次改正を境として︑それ以前の電気通信事業に対する競争制限禁止法の適用可能性に係

る議論を歴史的に跡付けると共に︑現時点での郵政構造法と競争制限禁止法の相互関係について分析︑検討しよう︒

第二節競争制限禁止法第五次改正前の実務と学説

競争制限禁止法は︑ 一九八九年︱二月二二日付で第五次の改正を施された︒この改正項目には︑適用除外領域に

おける大幅な変更も含まれている︒したがって︑ ひとまず︑本節ではこの改正以前の実務と学説に焦点を当てて︑電

気通信事業に対する競争制限禁止法の適用可能性に係る議論の歴史的変遷を見ておくことにしたい︒ それ自体とし

11~1 ‑‑85 (香法'91)

(4)

他方

この理由書においては︑

B

Pの供給政策に関して︑

の運輸にしたがう鉄道︑運輸に従事する事業者もしくは人および貨物の運送ならびにその取り扱いを行う事業者の招

約に

対し

︑ またはこれらの運輸業もしくはそれに付随する業務についての事業者団体の決議および勧告に対して︑当

該契約︑決議および勧告にもとづく対価または条件が︑法律もしくは法規命令にもとづき決定され︑

たものである場合には︑その限りにおいて適用しない﹂と定める旧九九条一項一文によって適用除外とされてきた︒

この

DBP を含む運輸業に関する適用除外について︑競争制限禁止法連邦政府草案理由書では︑この分野では完全

いわゆる配線独占

( L

e i

t u

n g

s m

o n

o p

o l

競争の諸前提が欠如しており︑) が存在している点が︑その根拠として上げられ

ている︒連邦政府によると︑この配線独占の成立する市場では︑法律または法規命令にもとづく特別の設備が︑議会

に対して責任を負う規制官庁の監督の下に︑公共経済的原則にしたがって運輸サービスの提供を行っており︑

ービスや対価は法律︑法規命令または料金表を通じて決められている︒

めの成立する余地がないとされていた︒また︑

あるという事実は︑市場支配的地位の濫用規制に関する規定等の適用除外を導くものとされていた︒したがって︑

この時点では全面的な適用除外が予定されていたと結論付けられるのである︒

この種の適用除外を認めることが︑

の外に立つものと見なされるべきであるとの推論を決して意味せず︑ という体裁をとり︑

DBP

は﹁この法律は︑ 競争制限禁止法は︑旧九八条一項において﹁この法律は︑第九九条から第一

0

三条に別段の定めのない限り︑全部

もしくは部分的に公の所有になる事業︑

または公の管理もしくは運営に係る事業にも適用される﹂と定め︑原則とし

て公企業をもその適用範囲に収めていた︒そして︑旧九九条から旧一

0

三条において︑限定的に適用除外を規定する

ベルリン地方郵政局を含むドイツ連邦郵便︑

した

がっ

て︑

ドイツ連邦鉄道︑他の公共

または承認され

その限りで競争制限的な取り決

DBP が︑基本法にもとづき連邦固有行政として連邦政府の管轄下に

およそ国家によるすべての経済活動が競争秩序 DBP

が色々な資材の購入者として立ち現れる

そのサ

11  86 (香法'91)

(5)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(土佐)

以上のような適用除外に関する基本的考え方は︑その後の規制実務において踏襲され︑また通説の支持するところ

ともなった︒これは︑少なくとも連邦政府の考え方においては長らく当然のこととされ︑立法上または解釈上︑何ら

一九七五年の適用除外に関する連邦政府報告書においても︑

DBP

を含む運輸

事業に関する競争制限禁止法の適用除外は︑

を及ぽしている限りで︑依然として必要であるとされ︑

しかしながら︑このような競争制限禁止法からの

DBP

の適用除外に対しても︑異論がなかったわけではない︒

一九八一年︑独占委員会は︑﹁電気通信事業における

DBP

の役割﹂と題する第九特別鑑定意見書を提出した︒この特

( 1 3 )

 

別鑑定は︑﹁競争制限禁止法の枠内における購買力の濫用とその規制のための可能性﹂と題する第七特別鑑定意見書に

おいて扱われた問題を押し広げ︑電気通信事業分野を例とし︑公企業分野についても検討するために行われたもので

ある︒しかし︑この事業分野では︑資材調達に係る諸問題はすなわち供給政策の反映であって︑両者は相互に分かち

難く結び付いているとの認識の故に︑独占委員会は︑検討対象を

DBP

の調達政策に限定せず︑供給政策を含めた

D

B

P

の全体的な役割の検討を行った︒ の変更も加えられずにきた︒例えば︑

およそこれらが運輸サービスの内容と供給に最も広い意味において影響 う連邦政府の判断基準を伺い知ることができる︒ 調達政策の局面においては一般的な市場経済法則があてはまるので︑その限りで競争制限禁止法の適用があり得るという点も︑一応︑指摘されてはいる︒もっとも︑一般には︑調達政策もまた

DBP

が連邦固有行政の一部であるとい

う事情から︑競争制限禁止法の適用除外となるという考え方の方が強かったようである︒このように︑

DBP

の適用

除外をめぐっては︑結局のところ︑

DBP

の側に自主的な企業判断の余地があるか否かによって︑これを決するとい

その意義が再確認されていた︒

八七

11‑1 87 (香法'91)

''"'""""'"""'"""'"""'""""'""""'"""  " " '  

(6)

以上のような独占委員会の鑑定意見は︑当時の規制実務に対する批判として一定のインパクトを与え︑電気通信事

業における政府規制の緩和を主張する立場に総括的な理論的基礎をもたらしたものと評価することが許されよう︒現

在の時点でこれを見ると︑ことにネットワーク分野における

DBP

の意義と役割を中心として︑電気通信事業に関す

い る

︒ 結論的に︑この鑑定意見書では︑

DBP

の供給政策と調達政策を問わず︑いずれにせよすべての事業活動に対して

競争制限禁止法の適用が認められるべきであるとされている︒その立論の根拠は︑独占委員会の見解によると︑

D B

P

は︑調達の場面はいうに及ばず︑供給の場面においても︑私的供給者と同一の経済秩序の下にあり競争関係に立っ

ている︒したがって︑

DBP

を競争制限禁止法からの適用除外とすれば︑私的供給者だけが連邦カルテル庁の規制に

( 1 4 )

 

服することとなり︑競争者の平等取り扱いの原則から離れ︑不公平な結果を導くというのである︒そして︑独占委員

会は︑公的機関も︑その経済活動について︑たとえその顧客等との関係が公法的規律の下にあったとしても︑供給の

局面において私的供給者と同一の秩序の基盤の上に向き合っている限り︑

争防止法に関する初期の連邦通常裁判所判決を論拠として︑自己の見解の妥当性を裏付けている︒

ところで︑事業分野別にも鑑定意見が付されている︒第一に︑電気通信ネットワーク分野に関しては︑統合の利益

を考慮して︑この分野への競争の導入を国民経済上支持できないとしている︒もっとも︑これには暫定的結論である

との断りがなされ︑

さら

に︑

たとえネットワーク分野への競争導入が認められないとしても︑特別の内部的ネットワ

ークの設置や

DBP

の回線リースを通じての各種サービスの競争に対しては︑その積極的活用が勧告されている︒第

ニに︑端末機器分野に関しては︑本電話機を除き競争に委ねられるべきであり︑

もたない

DBP

がこの事業分野に新規参入することは︑ その際︑自前の端末機器製造部門を

DBP

による市場支配を生じる懸念から︑認め難いとされて 一般に競争法の制約に服するとした不正競

¥ \

 

 

11  1~ss (香法'91)

(7)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(土佐)

る連邦政府委員会報告書との類似が顕著であり︑この点に対する評価ということに限っていえば︑後の連邦政府委員

第三節

八 九

郵政構造法と競争制限禁止法の相互関係

現在の時点で︑電気通信事業に対する競争制限禁止法の適用可能性を考えるにあたっては︑端的にいって︑

D B  

T E

L E

K O

M

と新たに参入してきた私的供給者との間に︑いかにして公正な競争条件を形成し得るか︑またそのため

の最大のポイントとして︑独占領域と競争領域にまたがってその営業をなす

DBP

T E

L E

K O

M

の内部において行わ

れる相互補助行為を認めるか否か︑

( 1 6 )

 

であ

る︒

その際にどのようなものを反競争的として禁止するかといった論点が︑特に重要

これらの諸問題に関しては︑行政規制の側面すなわち郵政構造法において︑また競争政策の側面すなわち競争制限

禁止法の第五次改正においても︑各々に検討がなされ︑それにもとづき特定の対応措置が採用されている︒本節では︑

規制政策と競争政策が正に交錯する︑これらの諸問題に対する連邦政府の諸措置を分析し検討しよう︒そして︑この

ことを通じて︑電気通信事業における今回の規制改革の経済政策的意義とそこでの今後の競争政策の役割を︑

の具体的な社会的および経済的文脈において明らかにしたい︒

ところで︑私的競争者との間の公正な競争条件の形成︑あるいは内部相互補助の許容性の問題には︑ ドイツ

より厳密にい

えば︑二つの検討課題がある︒その一っは︑

DBP

T E

L E

K O

M

の内部における各種のサービスの相互利用につき競争

領域と独占領域との間における会計上の差引勘定をどう考え︑ 会の結論を先取りするものであったともいえよう︒

いかに規制するかという問題である︒今︱つは︑厳密

な意味での内部相互補助︑すなわち競争領域と独占領域との間における内部的な財政の調整と均衡化を同様にどうす

11 ‑‑‑1 ‑89 (香法'91)

(8)

最後に︑独占領域における資源のその他の利用︑例えばマン・パワーや計算センター︑あるいは研究開発設備等の して算定され︑計算上均衡化されるとされている︒

私的供給者と同様︑

DBP

T E

L E

C O

M

の内部でも︑義務的サービスと自由サービスに関しては︑

DBP

T E

L E

'  

がっ

て︑

KOM

に電気通倍ネットワークの独占が認められている以上︑そのネットワークの利用の

L

に提供される他ない︒した

その利用に関しては︑見かけの上で内部経営上の差引勘定が成立し得るはずである︒この点︑今回の改革以 前 ︑

DBP

に組織上の分離がなく︑

それ故︑会計上も厳密な処理がなされてきたとはいえない︒

この間題に対して︑実務方針として︑以下のような差引勘定の類型

化とそれに応じた規制を行うことが予定されている︒まず第一に︑

DBP

T E

L E

K O

M

の企業体内部であっても︑例え

ば固定的接続網

(F

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  b i n

d u

n g

e n

や音声電話サービスのように︑ユーザーに対すると同様に提供されるサービスが)

ある︒競争政策の観点から︑ここでとりわけ注意すべきことは︑このユーザーの中には︑正に

DBP

T E

L E

K O

M

と競

争関係に立つべき電気通信サービスの私的供給者もまた含まれているという点である︒このようなサービス類型に関 しては︑競争領域は独占領域に対してユーザーと同一の料金を支払わなければならない︒こうして︑

KOM

に競争領域での不当な経済的優位を与えることのないように︑新規参入企業との間でのイコール・フッティング

が︑単に会計上のこととはいえ︑ひとまず用意されることになるのである︒

次に︑例えば電気通信ネットワーク部分のリースのように︑

ある︒これは改革以前では個別的に把握することができず︑今後は一般に承認された費用算定方法にしたがって一括

公正な競争条件の形成と維持という観点から︑ るかという問題である︒以下︑順次︑検討しよう︒

ユーザーに提供されているものと類似する伝送業務が

DBP 

T E

L E

九〇

11  ‑1~go (香法'91)

(9)

ドイツ電気通信事業法における規制改哨と競争政策(下)(土佐)

利用がある︒これについては︑独占領域と競争領域に結合の利益が認められ︑

これらを市場において購入し︑

され得る費用を下限として︑競争領域は︑独占領域に対して支払をなすべきとされる︒

とこ

ろで

また自分で生産し得るのであるから︑

これらの規制を実行するには︑電気通信サービスとその費用の算定等につき詳細な定めが必要となるの

で︑郵政組織法三九条にもとづき︑年度決算の作成に関する規定は︑商法じの諸原則に則り︑

定めのない限り連邦財政法上の諸原則に対応し︑

DBP

の特殊性を考慮して策定されなければならないとされている︒

次に︑前述の︑競争政策上︑最も問題性を坪んでいる

DBP

T E

L E

K O

M

の内部的な財政調整または均衡化の問題

について︑今回の規制改革はどのような措置を予定しているのであろうか︒ところで︑この問題を考えるにあたって 留意すべきは︑公企業体としての

DBP

を議論の出発点とする限り︑

けにはゆかないという点である︒例えば︑競争下にあるにもかかわらず︑

的サービスの場合︑私的供給者との競争的対抗の関係上︑

こともあり得よう︒このようなインフラストラクチャーとしての性質をもつサービスヘの内部相互補助を問題とでき ようか︒また︑変化してゆく需要動向に合わせて新しいサービスを供給するための︑新規業務開始の際の色々な費用 に対してする資金調達としての意味あいをもつ内部相互補助も問題となろうか︒もしこれらを禁止すれば︑

DBP

T E

L E

K O

M

の事業活動には一般の事業会社と比べてもかなり厳しい制約が課せられてしまうに違いない︒したがっ

て︑これらの内部相互補助行為には︑ 一切の内部相互補助行為をすべて問題とするわ

サービス提供義務等が課せられている義務 その領域における収益だけで費用を償うことが困難となる

正当な理由があるというべきであろう︒

一番問題となるのは︑独占領域から上がる独占利潤を︑競争領域に対して︑

形態

で︑

またこの法律に別段の

そこでの自己の競争優位を不正に獲得 これらのサービスに関して直接に算定 また私的供給者は同一ないし類似する

11‑1 ‑91 (香法'91)

(10)

で は

もう一方の競争制限禁止法の側からは︑ ということができよう︒ するために︑長期にわたって内部的に相互補助する行為である︒このような場合︑そもそも事業に関する判断が誤っ

ており︑当該事業の整理︑統廃合が必要であるか︑または

DBP

TE

LE

KO

Mに当該市場における競争を排除する意図

いずれかである︒このような競争を制限するおそれのある内部相互補助行為に対しては︑

( 1 8 )  

止のために何らかの手立てが必要といえる

この

ため

一方で︑郵政組織法三七条四項二文以下は︑﹁競争領域における持続的な著しいコスト割れを通じて︑あ

る市場における他の企業の競争可能性が︑

正当な理由なく阻害される限りで︑連邦郵政大臣は︑連邦経済大臣の同意

をもって⁝⁝この阻害の除去に必要な措置をとる︒その後に認め難い

( u n z u l a s s i g e

n ) 阻害の存否

( V o r l i e g e n を︑連邦) 郵政大臣の承諾をもって連邦経済大臣が判断する︒彼がこの任務の遂行に必要な限りで︑連邦経済大臣は︑この点に

つき競争制限禁止法四六条にもとづき権限を有する連邦カルテル庁を介入させる﹂と定めて︑

補助行為を規制対象としている︒この規定により︑先程述べたような種類の内部相互補助行為に対しては︑連邦郵政 大臣にこれを除去する一般的権限がある︒さらにそれと重畳的に︑連邦経済大臣もまた︑連邦カルテル庁の助けをも

ってこれに対処するのである︒ここにおいて︑

不必要であり︑ が

ある

かの

まさに︑行政規制と競争政策の間に交錯と緊張の関係が存在している この論点に対し︑

その抑圧︑禁

一定の類型の内部相互

どのような考えが示されているのであろうか︒競 争制限禁止法第五次改正において︑旧九九条一項は削除された︒この点︑第五次改正に関する連邦政府草案理由書に

よると︑旧九九条一項には単に確認的意義

( d e k l a r a t o r i s c h e B e d e u t u n g )

しかなく︑その限りにおいて旧規定はもはや

また誤解を招きやすい

( i r r e f t i h r e n

からあると説明されている︒ d )

この理由書によれば︑独占的サービスの料金は︑連邦郵政大臣の認可によって国家が特定の料金の遵守を命じる

11  ‑1 ‑‑92 (香法'91)

(11)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(土佐)

いわゆる規制の差し控えが行われることとなる︒

( v o r s c h r e i b t

) 限りで︑競争制限的な取り決めまたは行動のための余地は生じないので︑競争制限禁止法の適用がない

のであるとされている︒また︑義務的サービスの料金についても︑

DBP

T E

L E

K O

M

の行動が︑連邦郵政大臣の異議

申立権の行使を通じて︑行為の自由裁量の余地が全くないような仕方で命じられてしまう場合には︑競争制限禁止法

( 2 0 )

 

を通じての法的コントロールは行われないとしている︒もっとも︑﹁連邦政府の考え方﹂においては︑このサービスに

ついても︑競争制限禁止法の全面的適用除外を

f

定しておらず︑

DBP

T E

L E

K O

M

が市場支配的地位を濫用する場合

には︑競争制限禁止法の該当諸規定︵同法︱︱二条︑二四条一項︑二六条二項︶の適用可能性も示唆されている︒この

ように︑競争制限禁止法の第五次改正においても︑競争制限禁止法の適用可能性判断の決め手は︑当該企業に競争諸

手段︵この場合は︑

サー

ビス

料金

につき自主的な企業判断の余地があるか否かにあるとされており︑旧規定につい

ての連邦政府草案理由書における適用可能性に関する説明とほとんど異ならず︑この点に限っていえば︑結局のとこ

ろ従来の実務上の考え方を引き継ぐものと思われる︒

以上︑この問題に対する︑行政規制の側と競争政策の側︑両面からの説明をまとめると︑独占的サービスの提供に

ついては︑競争制限禁止法の全面的な適用除外となり︑行政規制に完全に規律される︒次に︑競争

F

にある業務分野︑

すなわち義務的サービスと自由サービスの提供および端末機器の製造︑販売等の業務に関しては︑原則として連邦郵

政大臣の一般的監督と競争制限禁止法による規制の両方に服する︒これらのサービス等については︑行政規制と競争

政策との間に見解の相違や矛盾が生じるおそれがあり手続調整が必要とされる︒その手続の詳細は︑連邦郵政大臣と

連邦経済大臣の間で結ばれる取り決めにより規律される︒さらに︑特に自由サービスの提供と端末機器に係る業務の

場合は︑競争制限禁止法による規制だけでユーザーの利益確保のために十分であり︑連邦郵政大臣の一般的監督権限

はあれども過剰な行政介人は慎まれるべきであり︑

11 ‑‑‑1 ‑93 (香法'91)

(12)

兵臣

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II 

Kommunikation ohne  Begtirundung und Abgrenzung 

Monopole, Baden‑Baden: N omos  des Fernmeldemonopols, in E.]. 

Vorlags. 1980 C. Knieps, ]. Maller, 

Weizsiicker, Die Rolle des Wettbewerbs im Fernmeldebereich, Baden‑Baden: omos Verlags. 1981, S. 75‑78; Monopol‑

kommission, a. a. 0. (§1 Anm. 17) S. 25‑26; G. Knieps, Entstaatlichung und Wettwerb im nationalen Telekommunikations‑

bereich, in R. Windisch (Hrsg.) a. a. 0. (§1 Anm. 42) 

Vgl., z. B., monopolkommission, a. a. 0. (§1 Anm. 17) S. 26; C. Knieps, Post‑und Fernmeldewesen, in Vogel (Hrsg.) a. a. 

0. (§1 Anm. 42) S. 31‑37 

二社旦"的,{応彗趣'惑迄造米「誓訴翌貝匹廿姜柴S二苓呉起こ旦塁ヤ心翌再忌吉忍i」冬涅芸裂宝翌~1::兵抵]ド]宝i江<三臼←如'

で初,',,入rr;,¥. b・令1‑‑j,\ぶー心~~±;:;1;.:.,救草迄宕寂竺(芸二妥は,: 乏N)]日くI肛こ茫—如' von 

~~~ 食旦

~0旦で初'i忌:出咤挙S翌浬以や

~\\涯゜

(L(")) fJ~ そ羞;".¥¥"J宝ごSee,Alberto Pera, Deregulation and Priuatisation in an Economy‑wide Context, OECD Economic Studies, 

No. 12, Spr. 1989, at 159, 193 

BGBl. S. 2486 od. ¥V u. W 4/1990, S. 283 ff. 

(13)

(t‑)控ば姿洛玉芸'習王溢本語荼旦翌̲)Is-'豆'帯華苔梁'令蓬(Kredit)芸→お苓堂苔継'面蕊(Durchleitung)苔裂(餡~,~K'*

Begrtindung zum Regierungsentwurf (BT‑Drucksache 11/4610 od. W 

Ausnahmebereiche in  器Q('.荘瞬翠8fJ‑‑¥J)地謬止叩芯゜ゃ塁誼戸'

4/1990, s. 332, 352 ff.)如魯淫゜匂谷,fj Q莞淀埜娑活淡:d.¥l'J, 

Regierungsentwurf der ftinften G¥¥'B‑N ovelle. W u. W, 5/1989. S. 363 ff.  u. 

Vgl., VEmerich.Die dem 

図)V gl., dazu. BT~Drucksache 1/1158, S.1061. 1123 

(句

(三)Siehe, .'.¥Ionopolkommission, a. a. 0. (§1 Anm. 17) S. 31‑‑32, und V gl., z. B.,  V gl., dazu. BT‑Drucksache 1/1158, S. 1124 

(〗こ 1)

W. Mbschel, Deregulierung im Telekommuni‑

kationsmarkten. W u. W, 7 u. 8/1986, S. 555 ff. Wolfgang Oehler, Telekommunikation und W ettwerb, in ]. Scherer 

栄溢荘涯心モ望︳塁竺ミ旦函已こ塁巳

(﹂')

(Hrsg.) Telekmunikation und Wirtschaftsrecht, Koln: Verlag Dr. Otto Schmidt KG 1988 

(;:::) BT‑Drucksache 7/3206. Tz.18 

国)Monopolkommission, a. a. 0. (§1 Anm. 17) 

ぼ)Monopolkonnission, Sondergutachten Band 7; MiBbrauche der Nachfragemacht und Moglichkeiten zu ihrer Kontrolle im 

Raumen des Gesetz gegen Wettwerbsbeschrnkungen,Baden‑Baden: Nomos Verlags. 1977~ 笞卜JE; 巨圏はで初'Vgl., z. 

B., W. Schultes, Erfahrungen bei der MiBbrauchsaufsicht gegentiber Nachfragemacht, W u. W, 10/1982, S. 731 ff.; Mest‑

miicker, Fernmeldemonopol und N achfragemacht‑Wirtschaftsrechtliche und ordnungspolitische Probleme der hoheitlichen 

und unternehmerischen Funktionen der DBP, in lvfestmiicker (Hrsg.), a. a. 0. (oben Anm. 2) 

(:::) 

(::s) 

(;£)  Monopolkommissin, a. a. 0.(§1 Anm. 17) S. 32‑33 

BGHZ 66, 229. 237 ; ebenda 67, 81. 87 

頂饂沓迄S1'(~」旦弓心叫'言正器茎芸’涵二迅全迄探.J..-18~~t~TELEKOM齊ぷぷ罪誌硲心誼芦,('1: 翠茜

点咲辻如号ゴヤ心J幻如玉こ,̲¥J...)I‑‑'̲; i‑0)j,,0‑0苔ぐこ'..18,{, 拇鉗r,""~t<8き狂梵会巴戸ど溢娑...:...:(gesamtwirtschaf tlich) 

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エミコ' n 

(16,:-t~:s?) S6  ,[│l[ 

兵ば

(14)

周知のように︑

E

C

は ︑

一九九二年を期して経済的に統合をなし遂げ︑その域内にわたって経済障壁のない単一の の詳細な検討は他日に期し︑本節ではその概要につき︑以下の各節の内容理解に十分な範囲で略述しよう︒ 響を受けている︒初めに述べたように︑

本稿

は︑

この点で 連邦政府も認めるように︑

第 一 節 総

( 1 7 )   ( 1 8 )   ( 1 9 )

  ( 2 0 )   ( 2 1 )  

第三章

ドイツにおける今回の規制改革は︑ ト面で企業の有利性を汲み尽くすのを困難にし︑または許さないであろう︒しかし︑消費者の利益となるようにコスト的有利竹を見出しかつ汲み尽くすのは︑競争の中心的目的の一っである︒それにもかかわらず︑TELEKOMとその私的競争者との間に﹁公

正な﹂競争条件が成立することに注意が向けられねばならない︒﹂

(1 00

頁︶とされ︑この問題に対する基本的なアプローチの仕

方が示されている︒

﹁連邦政府の考え方﹂一

00

頁以ドを参照

競争排除の意図のドでの掠奪的価格設定については︑アメリカ判例が参考になる︒例えば︑

MC IC om mu ni ca ti on s  C o r p . ,  

v .  

A T  

T

( 7 0 8 F .     2n d  1 0 8 1   ( 7 t h i r   C .   1 9 8 3 ) ,   c e r t .   d e n i e d   1 0 4   S .   C t .   2 3 4   ( 1 9 8 3 )

笙寸を参照︵この判決につき︑拙稿︵第一章︑注

9 9 )

一九

六︑一九七頁を参照︒︶︒また︑ラーソン・モンソン・ノーブルス著/増田悦三訳﹁競争上の必要性と電気通信価格規則﹂海外電気

通信一九九0年六月号五貞以ドも︑内部相互補助と差別価格につき詳細であり︑参照︒

V g l . d ,   a z u ,   B e g r i . i n d u n g

  zu m  R e g i e r u n g s e n t w u r f ,   a .   a .   0 .   ( o b e n n  A m.  6

) 

S .   3 5 4  

g l .

d ,   a z u , e   be nd a 

̀ S

.3 54  

﹁連邦政府の考え方﹂一0

五頁

を参

照︒

E

C の電気通信政策の影響

E

C

の電気通信政策それ自体を論じるものではないので︑ 直接的にも間接的にも︑

E

C

の電気通倍政策の影

九六

11~1~96 (香法'91)

(15)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下) C:J: 佐)

市場を確立する予定である︒この経済統合をにらみ︑これまで︑

整のための諸措闘が採用され︑

E

C

では︑経済活動全体において各種の自由化と調

また各加盟国においても経済活動に対する各種の規制措置の

E

C

レベルの対応が施さ

れつつある︒このような自由化と調整の過程の流れの一っとして︑電気通信政策に関しても︑

あるいは徐々にあるいは急速に策定され︑各々実施に移されてきた︒その際︑特に当該事業の戦略的重要性からアメ リカや日本等との対抗

t

ハイテク産業である電気通信事業に一層の国際競争力の強化をもたらす必要があることか ら︑また同時に当該事業は社会的なインフラストラクチャーとして他の産業や社会生活に重要かつ決定的な影響を及

ぼすことから︑今後︑

E

C E

において︑電気通信事業は︑極めて重要な役割を果たすことが期待されている︒以下︑

C

の電気通信政策の生成と展開の概要を歴史的に後付け︑検討しよう︒

争関連諸規定︵八五条︑

八六

条等

一九

八四

年以

降︑

一方

で︑

九七

E

C

としての態度が︑

その政策の基本的枠組を構築してゆくための委

員会

( C

o m

m i

s s

i o

n )

と閣僚理事会

( C

o u

n c

i l

o f

  M i n

i s t e

r s )

の各種の取り組みを通じて︑他方︑委員会の

EEC

条約の競

の適用を通じて︑形成されてきた点にある︒

その際︑政策の重点は︑詰まるところ︑第一に︑高度なヨーロッパ電気通信インフラストラクチャーの構築を促進

すること︑第二に︑電気通信サービス端末機器について共同体ワイドな市場の形成に寄与すること︑第三に︑

ッパ産業と電気通信サービス供給者の競争力の向上に寄与することに収敏するものであったといえよう︒これら諸課

題の達成のため︑以下の諸点において︑特に努力がなされてきた︒第一に︑共同体における電気通信の将来的発展と︑

共通するインフラストラクチャー計画に係る調整を行うことである︒これは︑特に

ISDN

︑デジタル式自動車電話 等の基幹的な電気通信ネットワークの構築において顕著であった︒第二に︑端末機器に係る共同体ワイドな市場を形

E

C

の電気通信政策の特徴の一っは︑

ヨー

11‑1 ‑97 (香法'91)

(16)

このような電気通伯政策の発展の過程において︑ 成することである︒この点︑特に︑点では︑例えば︑ すべての市場参加者に対し同等の事業機会を与えることを目的として︑

E

C

標準

の作成を促進することが重要であった︒第三に︑競争の基盤となる基幹技術に係る研究開発計画の実行である︒この

RACE

プログラムがあげられる︒第四に︑共同体のへき地においても同様の高度な電気通信サー ビスとネットワークの導人を促進しなければならないという点である︒第五に︑各種の当該分野に関する国際会議等

他方

の場における各加盟国の態度決定をできるだけ共通のものにしなければならないという点である︒

EEC

条約の競争関連諸規定の適用の点については︑歴史的に︑二つの局面を区別することができる︒

かという局面である︒この点について︑ 第一は︑電気通信主管庁を含む国家独占または公企業の反競争的行動が︑国内法または政府強制により正当化し得る

EEC

条約三七条および九

0

条にもとづき︑委員会が事件として取り上げ︑

また

E

C

裁判所に訴訟が提起されてきた︒詳細は省略するが︑

る事件︑および西ドイツ︵当時︶︑

(8 ) 

する事件等が上げられる︒

第二に︑電気通信事業における企業が︑先の国内法の執行または政府強制という局面以外において︑独立した企業

体としての自主的な判断で︑反競争的犯約または行動に関わる場合である︒この場合︑

EEC

条約八五条または八六条

にも

とづ

き︑

ベル

ギー

イタ

リア

その

この種の事例として︑英国の

B r i t i s h Te le co m に関す オランダ︑デンマークの端末機器分野における国家独占に関 カルテルまたは市場支配的地位の濫用が問題となり得る︒この種の事例としては︑委員会と

IBM

との

間の

SNA

に関する取り決め

( u n d e r t a k i n g

) 等があげられる︒

一九八七年六月三

0

日付で︑委員会は︑今後の電気通信政策に

関する基本的なガイドラインを定める﹁ダイナミックなヨーロッパ経済を目指してー電気通信サービスと機器に係る

九八

11‑‑1 ‑98  (香法'91)

(17)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策 Cfl(+. 佐)

は限定的に解釈されるべきであるとした︒なお︑ と

し︑

九九

(2

) 

ーンペーパーとする︶を公表した︒これを画期

︵緑

書︶

﹂︵

以下

︑単

にグ

E

C

の電気通信政策は急速に体系化され︑実行可能な部分から段階的に実施に移されてゆくこととなった︒こ

の報告書は︑後の

E

C

レベルでの電気通信政策に関する議論を発展させるための素材として提起され︑閣僚理事会︑

欧州議会等の

E

C

の機関︑各加盟国︑産業界︑

取を目的とするものであった︒

ユーザー団体︑労働組合等の利害関係人からの︑これに対する意見聴

グリーン・ペーパーの意図するところのあらましは︑以下の通りである︒第一に︑

すべての端末機器に係る市場を完全に競争に開放すること︒

第二に︑限定的な例外を伴う電気通信サービスの提供に関する自由化を前提として︑各加盟国の電気通信主管庁が︑

他の加盟国の電気通信サービス供給者との間で相互接続をなす義務を負担すること︒これは︑公正な競争条件の下で 各国の電気通信ネットワークが他の加盟国の電気通信サービス供給者に開放されることが︑共同体ワイドな電気通信

諸市場の実現にとっての前提条件であることにもとづく︒

また︑例外として︑加盟国が一定の類型の基本サービスを

電気通信主管庁に留保することは︑各国の政策判断として差し支えないが︑

続するため︑

一定の移行期間を認めつつも︑

その場合でも︑この留保されたサービス 一九九二年二月一日までの見直しという条件付ながら︑電気通信ネ ットワークの提供と運営については︑電気通信

E

管庁の独占または特別の権利が認められていた︒

グリーン・ペーパーは︑電気通信主管庁が︑自己の財政能力を確保し公共的なサービスのユニバーサルな提供を継

クリーム・スキミングから高収益業務分野︑特に音声電話業務を守る諸措樅をとることを認めている︒

しかし︑同時に︑電気通佑主管庁が︑

そのような独占領域から卜がる独占利潤を自己の競争優位を不当に獲得するた

めに競争領域︵競争的な電気通信サービス分野および端末機器市場︶に対して内部相互補助することまでは認めない︒ 共同市場の発展に関するグリーンペーパー

11‑1 ‑99 (香法'91)

(18)

電気通信主管庁がその市場支配的場位を濫用し︑掠奪的価格設定等により他の加盟国のサービス供給者を不当に害す

る場

合︑

EEC

条約の競争関連諸規定にもとづき︑それは規制対象となろう︒

第三に︑電気通信主管庁の規制機能と企業的機能を明確に分離すること︒ここで︑規制機能とは︑各種の許認可︑

関連機器の型式認定︑周波数の割当等が念頭に憤かれている︒この点は︑競争的環境にあって︑電気通信主管庁が市 場の審判者

( r e f

e r e e

) と参加者

( p l a

y e r )

を兼ねるのが好ましくないことから提案された︒

このような諸目的を達成するため︑グリーン・ペーパーは︑既存政策を一層促進する面と新たな政策方針を確立す

( 1 4 )

 

る面との二つの領域に分けて︑今後の政策指針を示している︒既存政策の促進としては︑第一に︑共同体におけるネ

ットワーク・インフラストラクチャーの長期的な収束と統合の確保のために︑

と ︑ I S D

N導入のための閣僚理事会の勧告

( r

e c

o m

m e

n d

a t

i o

n )

の完全実施︑へき地におけるインフラストラクチャー

の高度化のための

STAR

計画を早急に実行することである︒第一一に︑型式認定の相互承認に係る現行指令を全ての

端末機器に早急に拡大すること︑第三に︑電気通侶に関連する各加盟国の資材調達手続に一層の透明性を確保するこ

とで

ある

RACE

の主計画を早急に採用するこ

( 1 6 )

 

新たに確立されるべき政策方針としては︑第一に︑共同体レベルでの標準化と仕様統一の強化がある︒このため︑

欧州電気通信標準機構

( E

u r

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  S t a n d a r

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t e ;  

E T

S I

) が設立される︒技術や製品仕様

の標準化または統一は︑共同体内における競争基盤を形成するものとして非常に重要であり︑この意味で︑従来︑

EPT

等において行われてきた作業を強化することが意図されている︒第二に︑電気通信サービスの供給者およびユ

ーザーに対する

ON

P(

Op

en

N e

t w

o r

k   P

r o v i

s i o n

) の共通定義の設定がある︒これは︑競争的な電気通信サービスの

供給者に対する各加盟国のネットワーク提供の際の諸原則を共通化するものであり︑単なる技術上のインターフェイ

1 0 0  

111~100 (香法'91)

(19)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(土佐)

年末までの端末機器市場の完全開放︑第二に︑ 九日付で︑﹁一九九二年における共同体ワイドの競争的な電気通信市場を目指して│'電気通信サービスと機器に係る共同体市場の発展に関するグリーン・ペーパーの実施︵以下︑アクション・プログラムとする︶﹂と題する報告書を公表した︒この報告書は︑議論の整理と問題点の明確化を行うと共に諸施策実施の計画を明らかにしたものである︒

アクション・プログラムは︑現在具体的な政策の展開が可能な分野︑包括的な政策合意の形成がなお必要な分野︑

の分野について︑ 既存政策を強化すべき分野に分けて︑実際的な観点から政策決定を行っている︒ここでは︑政策合意が存在する二つ

その内容を略述する︒具体的な政策の展開が可能な分野でば︑第一に︑本電話機を含めて一九九〇

一九八八年以降の電気通信サービスヘの競争の漸進的導入︑特にネッ

トワーク・インフラストラクチャーの提供と運営および音声電話サービスを除き一九八九年末までにすべての電気通 信サービスを開放すること︑第三に︑公衆ネットワークに接続されない受信専用衛星地球局の一九八九年末までの完 全開放︑第四に︑電気通信料金を費用に一致させるための一般的原則の漸進的実施︑第五に︑公正な競争条件を確保

四 形成するための影響評価に係る共同研究がある︒

INTELSAT

EUTELSAT

共通に発展させること︑第四に︑に対する損害を防止しつつ︑競争的な国際双 電気通信サービスの自由な提供が︑初めて実際に現実のものとなる︒第三に︑ スに係る諸元のみならず利用条件等まで含む包括的概念である︒この確立により︑

方向衛星通信サービスを認めること︑第五に︑

GATT

I T

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U n

i o

n

国際電気

通信

連合

の場における協調の推進︑第六に︑

1 0

 

一九八八年二月

できるだけ摩擦少なく新しい政策方針へと移行してゆく社会的合意を

委員会は︑グリーン・ペーパーの提案に対して寄せられた意見や様々な機関との協議を踏まえ︑ ヨーロッパ・ワイドの各種サービスを ヨーロッパ・ワイドでの競争的な

11‑1 101 (香法'91)

(20)

ある

︒ 五 る ︒ ある︒第三に︑

る︒

条および八六条︶ するための諸措置︑具体的には︑電気通信主管庁の規制機能と企業的機能の分離︑

ONP

の確

立︑

一九

の実施が

ETSl

の設

立︑

端末機器の型式認定の相互承認の一九八八年末までの導入︑加盟国政府と電気通信主管庁の財政関係の透明性の確保

および電気通信主管庁の公正競争のための財務環境整備︑公正な競争条件の確保のため

E

C

競争法

( E

E C

条約八五

の適用可能性に係るガイドラインの策定︑資材調達手続の独立性の確保および公開入札制度の導入

( 2 1 )

 

既存政策を強化すべき分野では︑第一に︑ネットワーク・インフラストラクチャーの長期的統合の確保のために︑

RACE

計画の早急な実施︑

ISDN

の導

人︑

以上から明らかなように︑

一九

八八

年五

月に

ヨーロッパ・ワイドなセルラー・デジタル移動体無線に係る勧告の実

施︑ビジネス用広帯域通信の

E

C

全域にわたる漸進的導入がある︒第二に︑情報通信分野において強力な

E

C

産業の

形成のために︑各種の研究開発計画

( R

A C

E TEDIS

︑︑

0

年代後半以降︑急速な展開をホしてきた︒しかし︑

INSIS

CADDIA

へき地も平等な条件で共同体市場に参加し得ることを確保するために︑

そうであればこそ︑

E S

P R

I T

)  

STAR

計画が予定されてい

E

C

の電気通信政策は︑執行機関たる委員会の強力なイニシアティブにより︑

また

︑他

方で

この委員会主導の政策展開

に対し︑委員会政策への追従を嫌い︑自身の政策的フリーハンドを確保するため︑加盟国の中には反発も生じるので

アクション・プログラムのスケジュールにもとづき︑端末機器市場の自由化に関する指令が出

された︒これにより︑本電話機を含めて全ての端末機器を自由化するための諸措置を加盟国は法的に義務付けられた︒

1 0  

11 ‑ 1 ‑102 (香法'91)

(21)

ドイツ電気通信事業法における規制改革と競争政策(下)(上佐)

反対しているわけではないことである︒事実︑

1 0  

一回しか用いられたことがなく︑しかもいずれの

この

指令

は︑

EEC

条約九

0

条三項にもとづき発せられたものであるが︑各加盟国に対し法的拘束力を有する指令は︑

これまでのところ

本来︑委員会の提案にもとづき理事会が欧州議会との協議の後に発することを原則としている︒その意味で︑九

0

三罪は︑あくまで例外規定なのであって︑実際︑

すれ

ば︑

場合も

E

C

裁判所への提訴を引き起こした︒今回の端末機器市場の自由化に関する指令に対しても︑フランスが︑前

述の屯大な

F

続的違法を理由に︑

E

C

裁判所に提訴した︒この間題で︑一九九

0

年に

E

C

裁判所の法務官

( A

d v

o c

a t

e

G e

n e

r a

l )

はこの指令を条約違反とする判断を下しており︑仮に裁判所がこれと同様の結論に奎るようなことがあると

その影響は端末機器市場に止まらず電気通信政策全般に及び︑

E

C

における電気通信政策の内容とその進め

方に︑軍大な歯止めがかかることも予想される︒その場合︑委員会主導の政策実施は実質的に後退し︑委員会は︑閣

僚理事会との間の合意形成︑各加盟国の政策との擦り合わせに一層の努力を必要とし︑その限りでグリーン・ペーパ

ーやアクション・プログラムに示された電気通信事業における規制緩和ないし撤廃の進捗は︑遅れることになると思

われる︒なお︑同様のことは︑

( 2 6 )

 

ず指摘できる︒この指令も︑アクシーン・プログラムのスケジュールに則って出されたものであり︑九

0

条三項にも

とづくものである︒

一九

0

年六月に出された電気通信サービスの自由化に関する指令に関してもひとま しかしながら︑同時に︑決して見落としてはならない点は︑各加盟国がこの事業への漸進的な競争導入そのものに

て競争導入の是非にあるのではなく︑ 一九八八年六月に︑閣僚理事会は︑グリーン・ペーパーおよびアクシ

ョン・プログラムの内容を大筋で承認し︑また一九九

0

年に︑一九九三年をめどとして資材調達手続につき各加盟国

で公開入札制度を開始する旨の指令や︑

ONP

の共通定義に関する指令を採択している︒このように︑問題は︑決し

その速度や合意形成の仕方にあると思われる︒とりわけ︑

E

C

加盟国間に︑経

11‑1~103 (香法'91)

(22)

済発展の度合や所得水準︑社会的インフラストラクチャーの整備状況等に歴然たる格差がある以上︑

中においても地域によっては同様のことが言える限り︑制度の移行に伴う各種の社会的摩擦を回避しつつ着実に競争

導入の実を生かすための方策を︑

E

の電気通信政策の直接的な影響は︑主として︑電気通信ネットワークの設置と運営のあり方︑電気通信サー

C

する料金政策等において︑認められる︒以下︑ ビスの供給︑端末機器の製造・販売︑資材の調達政策︑技術や製品仕様の標準化または統一︑電気通信サービスに対

ドイツにおける今回の規制改革が︑これらの諸側面において︑ドイツ

から

見て

直接的影響

E

C

域内市場の生みの苦しみの中で︑各国とも求めているものといえようか︒

どのような影響を被ったのかについて︑あるいは逆に

E

C

の電気通信政策から見て︑

どのような位置に立つことになるのかについて︑分析し検討しよう︒ また各加盟国の

ドイツの規制改革が

ところで︑歴史的に事業独占性を認められてきた︑

DBP

T E

L E

K O

M

のような公企業は︑各国の公共目的達成のた

めに設置された事業制度であったということができ︑その限りで︑公企業に関する諸問題は︑特に料金水準を中心と

したその利用関係に象徴されるように︑本質的に国内に限定されたものであったといえよう︒そこには︑国際的な文

脈での問題関心は︑基本的に︑殆どなかったといえる︒しかし︑事業活動の国際的展開や技術発展を背景として︑国

際的な平面においても︑公企業のあり方を問う傾向が出てきた点が︑公企業を取り巻く近年の議論の特徴の一っであ

( 2 9 )

 

ろう

︒特

に︑

E

C

のように地域的な経済統合を目標とする条約共同体にあっては︑もはや一国の経済政策の問題とし

て公企業を捉えるアプローチでは明らかに足りず︑各加盟国の経済政策の調和と均衡を達成する過程における課題の

︱っとして︑初めてこれを論じることができるのである︒これを︑法律学に即していえば︑特に経済法学の課題とし

第二節

1 0

11‑1‑104 (香法'91)

参照

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23 ) 1937