図-1 鉛直土壌カラム装置
図-2 水平土壌カラム装置
多孔質材料を用いた水質浄化実験のモニタリングとその評価
日本大学理工学部 正 会 員 下辺 悟 日 本 大 学 大 学 院 学生会員 ○江戸 将
1.はじめに
環境問題の一つに、水質汚染問題がある。様々な水 質浄化技術があるが、その改善方法の一つとして、多 孔質材料の有効活用があげられる。多孔質材料とは、
その表面に大小無数の細孔が存在し、優れた調湿、吸 着、ろ過などを持つ機能性素材である。
本研究は、これらの優れた特性を生かした水質浄化 機能をモニタリング手法により検討したものである。
ここでは、ADRプローブ(以降、SM200と呼ぶ)と4 電極式土中導電率計(以降、4極センサー(FES)と呼 ぶ)を用いて、土壌カラム法に基づく多孔質材料の汚 濁原水浸潤による水質浄化過程について、その全体像 の把握を主眼としている。
2.浸透ろ過試験の概要1) 懸 け 流 し 式 浸 透 ろ過試験では、図-
1 に 示 す 鉛 直 土 壌 カラム(内径12.5cm、 高さ 37cm)に粒径 0.850~2.000mm に 粒 度 調 整 し た 試 料
(珪藻土、ゼオライ
ト、備長炭、サンゴ砂)と蒸留水を入れて飽和させて、
繰り返し前処理を行った後、貯水タンク内の濃度調整 した園芸用液体肥料を土壌カラム内に流入させた。カ ラムの流出口から流出水が出水し始めたら、計測を開 始した。計測開始後、カラムからの流出量を考慮し、1 時間から6時間は30分毎に、6時間から12時間は1時 間毎に流出水のCOD、pH、T-P(全リン)、T-N(全 窒素)、気温、水温、湿度、流入出水量を測定した。さ らに、流出水の電気伝導度 ECw、カラム内の所定位置 に挿入したSM200および 4 極センサーの各出力電圧を 計測し、カラム内の浸潤過程のモニタリングとその評 価を行った(図-1 参照)。
循 環 式 浸 透 ろ 過試験では、図-
2に示す水平土壌 カ ラ ム ( 長 さ 33cm、幅13cm、
高さ 12cm)を用
い、測定濃度調整した園芸用液体肥料を20ℓ循環させる たびに前述した測定を行った。
3.懸け流し式浸透ろ過試験の結果と考察
各試料の懸け流し式浸透ろ過試験における流出水の 水質特性について、図-3に相対COD(CODr)、図-4 に pH の経時変化を示す。なお、CODの除去率につい ては、図-3ではCODの初期値が試験ごとに若干異な っているため、正規化表示としている。図-3より、液 体肥料での各試料における平均 CODrの除去率は、珪 藻土の場合84%、ゼオライトで69%、備長炭では54% を示した。一方、サンゴ砂は 20%の除去率で期待した ほどの結果は得られなかった。
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
0 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 経過時間 t (分)
相対COD (CODr)
珪藻土(液体肥料) ゼオライト(液体肥料) 備長炭(液体肥料) サンゴ砂(液体肥料)
備長炭(液体肥料)
サンゴ砂(液体肥料) 懸け流し式
平均CODr
珪藻土(液体肥料) ゼオライト(液体肥料)
図-3 相対CODの経時変化
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 経過時間 t (分)
pH
珪藻土(液体肥料) ゼオライト(液体肥料) 備長炭(液体肥料) サンゴ砂(液体肥料)
懸け流し式 ア
ル カ リ 性
酸 性
図-4 pHの経時変化
キーワード 水質浄化、多孔質材料、土壌カラム法、浸透ろ過実験
連絡先 〒274-8501 千葉県船橋市習志野台 7-24-1 TEL 047-469-5241 FAX 047-469-2581 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
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図-4より、珪藻土の流出水のpHは試料の素材の影 響を受け、酸性となった。ゼオライト、備長炭は弱ア ルカリ性で安定している。サンゴ砂は、途中pHが若干 高くなるものの、ほぼ弱アルカリ性で安定した。図-5 に全リン、全窒素の経時変化を示す。その結果、珪藻 土で全リンの値がかなり軽減された。ゆえに、珪藻土 は全リンを吸着ろ過する特徴がある。また、ゼオライ トは全リン・全窒素ともに吸着ろ過するようである。
0 5 10 15 20 25 30
0 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 経過時間 t (分)
全リン T-P (mg/ℓ) 全窒素 T-N (mg/ℓ)
珪藻土(液体肥料.全リン) ゼオライト(液体肥料.全リン) 備長炭(液体肥料.全リン) サンゴ砂(液体肥料.全リン) 珪藻土(液体肥料.全窒素) ゼオライト(液体肥料.全窒素) 備長炭(液体肥料.全窒素) サンゴ砂(液体肥料.全窒素) 懸け流し式
図-5 T-P、T-Nの経時変化
次に、浸潤浄化過程の全体像を珪藻土を一例として 示す。カラム内に挿入したSM200の出力電圧から求め られた予測体積含水率θw*を図-6に、4極センサーか ら得られた間隙溶液の電気伝導度ECw*と流出水のECw
を図-7に示す。なお、いずれの値もあらかじめ求めら れたキャリブレーション試験結果に基づいている。
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 経過時間 t (分)
予測体積含水率 θw* (%)
SM200 1 SM200 2 SM200 3 SM200 4 掛け流し 珪藻土(液体肥料)
図-6 珪藻土における予測体積含水率の経時変化
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
0 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 経過時間 t (分)
予測電気伝導度 ECw* (dS/m) 流出水の電気伝導度 ECw(dS/m)
FES 1 FES 2 FES 3 FES 4
流出水の電気伝導度 ECw 掛け流し 珪藻土(液体肥料)
図-7 珪藻土におけるECw*、ECwの経時変化
その結果、図-6よりSM200 4の予測体積含水率が 高い。これはSM200 4が流出水出口に近く、カラム下 部まで飽和しているためと考えられる。また図-7より、
4 極センサーの値が上部からカラム下部にかけて予測 電気伝導度が低下し、さらに流出水の電気伝導度も低 くなっていることから、カラム内における水質浄化過 程のモニタリングが可能であることがわかった。
4.循環式浸透ろ過試験の結果と考察
珪藻土の循環式浸透ろ過試験における計測データを 以下の図-8に示す。なお、図中の1~10はサイクル数 である。
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 経過時間 t (時間)
全リン (mg/ℓ)、全窒素(mg/ℓ)、 COD (mg/ℓ)、pH
全リン (mg/ℓ)
全窒素(mg/ℓ)
COD (mg/ℓ)
pH
循環式 珪藻土 (液体肥料) 蒸留水 汚濁原水
一 二 三 四 五 六 七 八 九 十
図-8 循環式浸透ろ過試験によるT-P、T-N、
COD、pHの経時変化
図-8より、循環式浸透ろ過試験におけるCOD除去
率は平均 27%となった。また、全リン、全窒素は循環
サイクル毎に見ると、全リンの値が上昇すると全窒素 の値も上昇し、全リンの値が低下すると全窒素の値も 低下する傾向が見受けられる。pHは徐々に低下してい くが、懸け流し式浸透ろ過試験よりは高い値を示し、
素材の影響を抑制してくれるようである。
5.結論
1 懸け流し式浸透ろ過試験では珪藻土が最も高い水 質浄化機能を有している。
2 珪藻土の循環式浸透ろ過試験では、5サイクル終了 時までは浄化機能が維持でき、それ以降は浄化機能 が発揮されているとはいいがたく、試験方法の改善 も含め今後の課題である。
参考文献
1)下辺悟・江戸将:多孔質材料による水質浄化実験、
第64回土木学会全国大会講演概要.
土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
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