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-多孔質焼結板の気孔率が大気犠牲陽極作用に及ぼす影響-

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Academic year: 2022

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腐食した鋼部材の大気犠牲陽極防食技術に関する基礎的研究(その1)

-多孔質焼結板の気孔率が大気犠牲陽極作用に及ぼす影響-

三井造船㈱ 正会員 ○石原 修二 九州大学大学院 正会員 貝沼 重信 日本軽金属㈱ 正会員 兼子 彬 日本エクスラン工業㈱ 正会員 山内 孝郎

1.緒言 大気環境における鋼構造物の防食方法として,塗装が一般に用いられている.しかし,鋼部材に著 しい腐食損傷が生じると,素地調整時に腐食生成物や塩化物が残留することで,再塗装後の塗膜耐久性が著し く低下することが少なくない.また,無塗装耐候性鋼橋において,保護性さびが形成されず,塗装仕様へ変更 される場合についても,十分な素地調整ができず,塗装後の比較的早期に塗膜が劣化し,著しい局部腐食が生 じた事例も報告されている.以上のように,素地調整の品質確保が期待できない部位に対して,防食技術を確 立することは,鋼構造物を経済的に維持管理する上で重要であると言える.

著者らは既往の研究1),2)により,犠牲陽極材に多孔質Al-Zn焼結板(以後,多孔質板)を用い,被防食体との 間に吸水性の繊維シートを用いた大気腐食環境における犠牲陽極防食技術を提案した.また,無腐食鋼板を対 象として,本技術の防食性能を大気暴露試験により検証するとともに,室内試験によりその防食効果範囲につ いて検討した.本研究では多孔質焼結板の気孔率が鋼板への犠牲陽極効果に及ぼす影響について検討するため,

大気暴露試験を実施した.また,大気環境に対する犠牲陽極作用を定量評価するために,ACM型腐食センサ を用いることで大気腐食環境のモニタリングを行った.

2.試験方法

2.1 供試材 陽極材には,Al と Zn の金属粉末により成形された多孔質板を使用した.多孔質体とすること で,内部への水分供給とともに,電極としての活性点の増加,また材料自体の軽量化が期待できる.本試験に 用いた多孔質板について表-1 に示す.多孔質板には Al と Zn の混合粉末,およびアトマイズ法により合金化 した Al-Zn 合金粉末を用い,これらの粉末をそれぞれ高温で圧縮・焼結することで製作した.なお,多孔質板 の気孔率は,金属粉末の粒径を変えることで,目標値を約 30%,10%および 1%として製作した.

表-1 供試材の一覧

Al Zn

多孔質板A 混合粉 80 20

30

多孔質板B 合金粉 80 20

30

多孔質板C 合金粉 80 20

10

多孔質板D 合金粉 80 20

1

気孔率

原料粉 化学組成 (mass%)

(%)

2.2 試験方法 気孔率が鋼板の大気犠牲陽極作用に及ぼす影響を評価するために,図-1 に示す本防食技術の 基本構造を模した試験体を製作し,大気暴露試験により降雨等の腐食環境の変化によって生じる腐食電流をモ ニタリングした.試験体は板厚 9mm の普通鋼板(JIS G3106 SM400A)と多孔質板との間に吸水性繊維のシート を設置することで製作した.多孔質板中央にはボルト孔を開け,鋼板,繊維シート,多孔質板を絶縁性の PEEK 樹脂ボルトで固定し,多孔質板と鋼板とを外部導線により接続した.また,吸水経路を多孔質板のみに限定す るために,多孔質板の対空面以外はシリコーン系樹脂でシーリングした.大気暴露試験は東側海岸線から約

2.5km,西側海岸線から約5.3kmに位置する九州大学伊都キャンパス構内(以下,九州大学構内)(Lat.33˚35’N,

キーワード 腐食,防食,犠牲陽極,多孔質板,繊維シート

連絡先 〒706-0014 岡山県玉野市玉原 3-16-1 三井造船株式会社 玉野技術開発センター TEL:0863-23-3061 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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(2)

Long. 130˚12’E)で 18 日間(2010/10/28-11/15)行い,

鋼板と多孔質板の間に生じる防食電流を 10 分毎に測 定・記録した.また,試験体の対象面(対空面)の腐 食環境を評価するために,Zn/Ag 対の ACM 型腐食セン サを用い,同様に 10 分毎の腐食電流を測定・記録した.

3.試験結果 暴露試験期間中にモニタリングした試 験体の腐食電流iの経時変化の例を図-2 に示す.多孔 質板 A のiは多孔質板 B とほぼ同様となっているが,

多孔質板 C と D と著しく異なっている.多孔質板 C の 気孔率は 10%,多孔質板 D の気孔率は 1%であり,多孔

質板 A と B の気孔率は 30%であるため,電流波形の差異は気孔率に起因していると考えられる.多孔質板 A と B のiは,ACM センサの出力波形から判断できる大気環境中の水分量の増加に応じて増加している.一方,多 孔質板 C と D については,環境中の水分の減少時にiが増加しており,多孔質板 A と B と逆の傾向を示してい る.これは,気孔率が 10%以下の多孔質板については,多孔質板表面に加えて,繊維からの水分供給による複 合作用が顕著に生じたためと考えられる.

図-1 暴露試験体の構造

各試験体の暴露試験期間中における総電気量を図-3 に示す.多孔質板 C と多孔質板 D の総電気量は,同程 度になっている.総電気量の大きさは,多孔質板 A, B, C, D の順に小さくなる傾向にある.試験終了後に 鋼板の被防食面を観察した結果,気孔率が 1%の多孔質板 D では鋼板に腐食が生じていたが,これ以外の多孔 質板については,腐食が生じていなかった.したがって,水分供給の経路の観点からは,10%以上の気孔率が 多孔質板に必要であると考えられる.

2 3 4 5 6

10–9 10–6 10–3 100 103

10–6 100 106 1012 1018

腐食電流密度i ACMセンサ出力IA)多孔質板B

多孔質板C

多孔質板D

多孔質板E

Zn/Ag対ACM型センサ 11/1

A/cm2 ) 多孔質板A多孔質板B

多孔質板C

多孔質板D

0 10 20 30 40 50

多孔質板A 多孔質板B 多孔質板C 多孔質板D

総電気量/ C

図-2 腐食電流の経時変化の例 図-3 各多孔質板の総電気量

4.結言 本研究では,Al-Zn 多孔質焼結板および繊維シートを用いた鋼材の大気犠牲陽極防食技術に対して,

犠牲陽極材の最適化の観点より,多孔質焼結板の気孔率が鋼板の犠牲陽極防食効果に及ぼす影響について検討 した.その結果,有効な防食効果を得るためには,多孔質板の気孔率を 10%以上とする必要があることを明ら かにした.今後は,防食性能だけでなく,耐久性などを含めた全体での最適化について検討していく予定であ る.

参考文献

1) 宇都宮一浩,貝沼重信,石原修二,内田大介,鋼構造年次論文報告集,Vol.18, pp.543-546,2010.

2) 石原修二,貝沼重信,宇都宮一浩,内田大介,鋼構造年次論文報告集,Vol.18,pp.563-566,2010.

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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