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ノート 医療薬学 40(4) (2014) アムロジピンベシル酸塩製剤と酸化マグネシウム製剤の 同時簡易懸濁による主薬量の変動 湯月翔太, 峯垣哲也, 伯井理恵子, 藤井尚子, 濱田美輝, 若林未稀, * 坂東季布子, 宮西良佳, 籾井佳奈, 辻本雅之, 西口工司京都薬科大学臨床薬学

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緒  言

簡易懸濁法は,錠剤やカプセル剤を 55℃の温 湯により崩壊・懸濁させる方法であり,高齢者や 脳卒中および神経疾患などによる嚥下障害にて経 管投与を施行されている患者に対する有効な投与 方法である.1)また,簡易懸濁法は粉砕器具への 付着による主薬量の減少や調剤時の薬剤暴露な ど,従来の粉砕法における問題を解決する方法と してすでに多くの施設で利用されている.2-5) 一方で,最近では簡易懸濁法についての問題点 も指摘されつつあり,特に複数の医薬品を同時に 懸濁した場合の配合変化について検討され始めて いる.6-8) しかしながら,簡易懸濁法が適用される医薬品 数は多く,その組み合わせは膨大であるため,複 数の医薬品が簡易懸濁法により調製された場合の 配合変化に関する情報は未だ十分とは言えないの が現状である.そのため脳神経外科など,複数の 医薬品が同時に使用される場合には,不安を抱え たまま簡易懸濁法が適用されている事例も少なく ない.このような現状を鑑みると,簡易懸濁法に おける配合変化に関する情報の収集が急務である と考えられる. † これらの著者らは本研究において同等の貢献をした. 〒607-8414 京都市山科区陵中内町5 40(4) 252―257 (2014)

アムロジピンベシル酸塩製剤と酸化マグネシウム製剤の‌

同時簡易懸濁による主薬量の変動

湯月翔太†,峯垣哲也,伯井理恵子,藤井尚子,濱田美輝,若林未稀, 坂東季布子,宮西良佳,籾井佳奈,辻本雅之,西口工司* 京都薬科大学臨床薬学分野

Drug Incompatibility of Amlodipine under Basic Conditions

in a Simple Suspension Method

Shota Yuzuki†, Tetsuya Minegaki, Rieko Hakui, Naoko Fujii, Miki Hamada, Miki Wakabayashi,

Kinuko Bando, Ryoka Miyanishi, Kana Momii, Masayuki Tsujimoto and Kohshi Nishiguchi*

Department of Clinical Pharmacy, Kyoto Pharmaceutical University

Received August 29, 2013 Accepted February 25, 2014

 For patients experiencing dysphagia, especially those who have undergone neurosurgery and have been prescribed multiple medications, the simple suspension method is a useful way of simultaneously administering multiple drugs. However, little is known about the incompatibility of drugs administered simultaneously according to this method. In the present study, we assessed the amount of active pharmaceutical ingredients remaining in the suspension on suspending sodium valproate, warfarin potassium, amlodipine besylate, and magnesium oxide simultaneously. When the Norvasc®OD tablet was suspended with Magmitt® tablet, the recovery amount of amlodipine remaining in the

suspension decreased significantly in an exposure time-dependent manner. The decrease in amlodipine was also observed when the Norvasc®OD tablet or amlodipine besylate was suspended in a basic buffer (pH 10). Furthermore,

the decrease was accompanied by degradation of amlodipine. These results suggest that the degradation of amlodipine caused by the increase in pH led to the decrease in amlodipine. In conclusion, the results of this study suggest that it is necessary to pay attention to simultaneous suspension of amlodipine and drugs that increase the pH of the suspension.  Key words ―― simple suspension method, amlodipine, incompatibility, tube administration

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そこで本研究では,脳神経外科領域で繁用され る医薬品が簡易懸濁法を適用された場合の配合変 化に関する情報を得る目的で,バルプロ酸ナトリ ウム,酸化マグネシウム,ワルファリンカリウム およびアムロジピンベシル酸塩製剤を対象とし て,同時懸濁時における主薬量の変動ついて検討 を行った.

方  法

1.試料 バルプロ酸ナトリウム製剤として,デパケン® ロップ 5%(Lot No 622AJI;協和発酵キリン(株), 東京),酸化マグネシウム製剤として,マグミット® 錠 500 mg(Lot No 13B816;協和化学工業(株),香 川県三木町),ワルファリンカリウム製剤として, ワーファリン®錠 1 mg (Lot No 0ZA78K;エーザイ (株),東京),アムロジピンベシル酸塩製剤として, ノ ル バ ス ク®OD錠 5 mg (Lot No 4206C,4237C, 4273Cおよび 4424C;ファイザー(株),東京)を用 いた.リスモダン®カプセル 50 mg(リスモダン® Cap,Lot No 2F139A) はサノフィ(株)(東京)より, バルプロ酸ナトリウム原末およびワルファリンナト リウム原末は和光純薬工業(株)(大阪)より,また, アムロジピンベシル酸塩原末は LKT Laboratories, Inc(Saint Paul,MN,USA)より購入した. 2.簡易懸濁法 簡易懸濁法は矢野ら1)の方法に従った.すなわ ち,水道水もしくは0.1 M炭酸-重炭酸緩衝液(pH 10)20 mL を 50 mL チューブ中で 55℃に加温後, 被験薬各 1 錠,1 カプセルまたはシロップ剤 1 回 分(4 mL)を加えて転倒混和を 10 回繰り返した 後,一定時間(10 分間,1,2,24 または 48 時間) 室温で放置した. 3.主薬の定量 1)抽出 懸濁液中の主薬の抽出は矢野ら1)の方法を一部 改良して用いた.一定時間放置後の懸濁液を遠心 分離(1600 ⊗ g,25℃,10 分間,RL-101;(株)ト ミー精工,東京)し,上清 15 mL をメンブランフィ

ルター(0.45 μm,Millex®-HV;Millipore Co,MA,

USA)を用いて濾過することにより得られた濾液 を水画分試料とした.また,懸濁液を遠心分離後 の沈殿物には,メタノールを 15 mL 加えて 30 秒 間撹拌した後,上記と同様に遠心分離し,上清を 濾過することにより得られた濾液をメタノール画 分試料とした.なお,各医薬品の懸濁液中におけ る主薬量は,両画分試料中の薬物量の総和とした. 2)HPLC 条件 薬物の定量には,(株)島津製作所(京都)の HPLC装置を用いた.カラムは,Inertsil®ODS-3(4.0 ⊗ 250 mm,5 μm;ジーエルサイエンス(株),東京) を用いた.移動相として,バルプロ酸およびワル ファリンについては,50 mM リン酸緩衝液(pH 3):アセトニトリル = 50:50 を用い,アムロジ ピンについては 50 mM リン酸緩衝液(pH 6):メ タノール = 40:60 を用いた.移動相の流速は 1.0 mL/min,カラム温度は 40℃とした.測定波長は, バルプロ酸およびワルファリンについては 210 nm,アムロジピンについては 237 nm とした.主 薬の定量は絶対検量線法により行い,全ての薬物 において原点を通る良好な直線が得られた(R2 ≥ 0.999).なお,今回用いた試料調製並びに測定に おいて,簡易懸濁後の懸濁液に含まれる主薬量は, バルプロ酸 101.91 ∓ 2.52%,ワルファリン 99.44 ∓ 1.14%およびアムロジピン 105.74 ∓ 2.31%であ り,ほぼ全量回収可能であった. 4.pH の測定 簡易懸濁した後,10 分間放置した懸濁液を遠 心分離(1600 ⊗ g,25℃,10 分間)して得た上清 を試料とし,pH メーター(F-7;(株)堀場製作所, 京都)にて測定した. 5.統計学的処理 得られた実験値は全て平均 ∓ 標準偏差で表示 し,二群間の比較には Student-t 検定(対応なし) を適用し,多群間の比較には一元配置分散分析に 続く Dunnett’s 検定(対コントロール比較)また は Tukey 検定(総当たり比較)を適用した.なお, P値が 0.05 以下(両側検定)の場合を有意差有 りとした.

(3)

結  果

1.複数の医薬品を簡易懸濁後の主薬量の変動 デパケン®シロップ,ワーファリン®錠およびノ ルバスク®OD錠の 3 剤同時懸濁は,10 分間放置 後において各々の主薬量に影響しなかった.一方, この 3 剤にマグミット®錠を加えた簡易懸濁は, アムロジピン量を有意に減少させた(表 1).また, ノルバスク®OD錠とマグミット®錠の 2 剤同時懸 濁(10 分間,1,2,24 および 48 時間放置)は, 懸濁液中のアムロジピン量をそれぞれ 95.48 ∓ 1.91,88.51 ∓ 2.40,85.00 ∓ 2.75,72.87 ∓ 3.31 お よび 60.95 ∓ 7.18%と放置時間依存的に減少させ た(図 1).なお,結果は割愛したが,ノルバス ク®OD錠単剤懸濁時の場合,アムロジピン量の 放置時間依存的な減少は認められなかった. 2.簡易懸濁後の pH とアムロジピン量の変動 ノルバスク®OD錠単剤を懸濁後の pH は 7.00 ∓ 0.12であったのに対して,マグミット®錠を同時 に懸濁した場合の pH は 10.15 ∓ 0.19 に上昇した (表 2).また,0.1 M 炭酸-重炭酸緩衝液(pH 10)を用いてノルバスク®OD錠およびアムロジ ピンベシル酸塩原末を簡易懸濁した場合,いずれ においてもアムロジピン量の有意な減少が認めら れた(図 2A,B).さらに,リスモダン®Cap アムロジピンベシル酸塩原末の同時懸濁は懸濁液 の pH を 10.42 ∓ 0.04 とし(表 2),懸濁液中のア ムロジピン量を有意に減少させた(図 2C). 一方,マグミット®錠との同時懸濁により上昇 した pH を 0.2 M リン酸緩衝液(pH 6.4)19.9 mL およびリン酸 0.1 mL を懸濁液に加えることで約 7まで低下させたものの,アムロジピン量の減少 に変化は認められなかった(図 3). 3.‌‌‌ノルバスク®OD 錠およびマグミット®錠同時 懸濁時の HPLC クロマトグラム ノルバスク®OD錠とマグミット®錠を同時懸濁 した後の懸濁液を HPLC にて分析した結果,ク ロマトグラム上において放置時間依存的にピーク 面積が増加する複数の未知ピークが認められた (図 4).

考  察

本検討では,経管投与が頻繁に行われる脳神経 外科領域において,同時に処方されている可能性 が高い薬剤として,デパケン®シロップ,ワーファ リン®錠,ノルバスク®OD錠並びにマグミット® を選択した. 表 1 複数の医薬品を同時懸濁した後の主薬量の変動 主薬量(%) デパケン®シロップ ワーファリン® ノルバスク®OD 3剤a)同時懸濁 95.07 ∓ 4.07 98.29 ∓ 1.03 100.76 ∓ 0.84 3剤a) + マグミット®錠同時懸濁 102.90 ∓ 1.25 99.66 ∓ 1.96 91.44 ∓ 2.41* a)デパケン®シロップ + ワーファリン®錠 + ノルバスク®OD錠.各医薬品の単剤懸濁時の主薬量をコントロールとした. 平均 ∓ 標準偏差(n = 3 - 6),*P < 0.05(t 検定). 図 1  マグミット®錠同時懸濁時におけるノルバス ク®OD錠の放置時間依存的な主薬量の減少 □ノルバスク®OD錠,■ + マグミット®錠.ノルバスク® OD錠(10 分間)の主薬量をコントロールとした.平均 ∓ 標準偏差(n = 3 - 6),**P < 0.01(Dunnett’s 検定). 表 2  マグミット®錠またはリスモダン®Cap同時懸濁 による pH の上昇 pH ノルバスク®OD 7.00 ∓ 0.12 + マグミット® 10.15 ∓ 0.19 アムロジピンベシル酸塩原末 7.94 ∓ 0.23 + リスモダン®Cap 10.42 ∓ 0.04 平均 ∓ 標準偏差(n = 3).

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デパケン®シロップ,ワーファリン®錠およびノ ルバスク®OD錠を同時に簡易懸濁した場合,懸 濁液における各医薬品の主薬量および外観に変化 は認められなかったが,マグミット®錠を加えて 懸濁することによりアムロジピン量に放置時間依 存的な減少が認められた(表 1,図 1). 医療現場では,簡易懸濁法を施行する全患者に ついて懸濁液を調製後,患者ごとに順番に投与す るケースも多く,懸濁液を 1 時間以上放置するこ とは少なくない.1)すなわち,今回得られたノル バスク®OD錠とマグミット®錠の同時懸濁による アムロジピン量の減少は,実際の医療現場でも生 じている可能性が十分に考えられ,ノルバスク® OD錠の主薬吸収量低下を招いている可能性が考 えられる.今後,簡易懸濁法の放置時間が,ノル バスク®OD錠の薬効に与える影響について検討 が必要である. 今回の検討において,マグミット®錠はノルバ スク®OD錠との懸濁液の pH を約 10 にまで上昇 させることが明らかになった(表 2).また,0.1 M炭酸-重炭酸緩衝液(pH 10)を用いた懸濁に おいて,懸濁液中のアムロジピン量は有意に減少 することが確認された(図 2A,B).これらの結 果は,懸濁液中のアムロジピン量減少の原因とし て,懸濁液における pH の上昇が関与している可 能性を意味している.この仮説は,酸化マグネシ ウムによる pH 上昇が,ドパミン製剤との同時懸 濁によるドパミン含量の減少6)やエステルプロド ラッグとの同時懸濁による活性体への変換8)など の配合変化を起こすという報告からも強く支持さ れ,さらに,リスモダン®Capとの同時懸濁時(pH 図 2  pH 上昇によるアムロジピン量の減少 A:ノルバスク®OD錠 + 炭酸-重炭酸緩衝液(pH 10),B:ア ムロジピンベシル酸塩原末 + 炭酸-重炭酸緩衝液(pH 10),C: アムロジピンベシル酸塩原末 + リスモダン®Cap.A,B:水道 水(10 分間)の主薬量をコントロールとした.C:アムロジピ ンベシル酸塩原末(10 分間)の主薬量をコントロールとした. 平均 ∓ 標準偏差(n = 3 - 6),**P < 0.01(Tukey 検定). 図 3 アムロジピン量の不可逆的な減少 アムロジピンベシル酸塩原末をマグミット®錠と共に懸濁し, 2時間後に懸濁液の pH をリン酸緩衝液およびリン酸を用いて 約 pH 7 にまで戻し,ただちに測定した.アムロジピンベシル 酸塩原末(10 分間)の主薬量をコントロールとした.平均 ∓ 標準偏差(n = 3),**P < 0.01(Tukey 検定).

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10)において懸濁液中のアムロジピン量が有意に 減少することからも支持される(図 2C).本結 果は,ノルバスク®OD錠の簡易懸濁時にはマグ ミット®錠との組み合わせに留まらず,懸濁液の pHを塩基性にする医薬品において配合変化が生 じ得ることを示唆している. アムロジピンベシル酸塩原末のマグミット® による主薬量の減少は,pH を単剤懸濁時と同程 度である約 7 に戻した後にも回復せず(図 3), マグミット®錠の同時懸濁時の HPLC クロマトグ ラム上に,アムロジピンの分解物だと考えられる 放置時間依存的な未知ピークの増大が確認された (図 4).これらの結果は,塩基性条件下における アムロジピン量の減少がアムロジピンの分解に起 因していることを示唆している.実際,ノルバス ク®OD錠 の 医 薬 品 イ ン タ ビ ュ ー フ ォ ー ム

(interview form: IF)によると,アムロジピンを 0.1 w/v%の濃度で 25℃,pH 10 の緩衝溶液中にて 3

図 4 ノルバスク®OD錠およびマグミット®錠同時懸濁時の HPLC クロマトグラム

A:ノルバスク®OD錠またはマグミット®錠単剤懸濁時(10 分間放置),B:ノルバスク®OD錠およびマグミッ ト®錠同時懸濁時).c)- g)懸濁後の各放置時間を示す.矢印は未知ピークを示す.

(6)

日間保存したとき,その残存率は 94.0%まで低下 し,アムロジピンの沈殿物および分解物が生じる ことが報告されている.9)今回の簡易懸濁法の条 件下におけるアムロジピンの残存率は,IF にお ける残存率より低く,より分解が進んでいる可能 性が示された. 今回の検討と,ノルバスク®OD錠の IF との相 違点として,IF の検討では,25℃一定条件下,0.1 w/v%となるように溶解したアムロジピン原末を 使用している9)のに対して,簡易懸濁実施時は  ① 55℃と初期温度が高いこと ②錠剤中に含ま れる添加物が存在していること ③ 0.25 w/v% と アムロジピンの濃度が異なること,が複合的に影 響していることが考えられる.しかしながら,原 末すなわち添加物非存在下においても,アムロジ ピン量の減少は認められた(図 2B)ことから, 添加物の影響は小さいことが考えられる.一方で, 25℃,0.25 w/v%,遮光下の条件で,アムロジピ ンベシル酸塩原末を 0.1 M 炭酸-重炭酸緩衝液 (pH 10)にて懸濁すると,2 時間放置後において もその残存率は,水道水(100 ∓ 4.61%,平均 ∓ 標準偏差,n = 3)の場合と比較し 99.3 ∓ 2.84%(平 均 ∓ 標準偏差,n = 3)と減少しなかった(デー タ示さず).さらに,HPLC クロマトグラム上に も図 4 のようなアムロジピンの分解物と思われ るピークは観察されなかった.従って,塩基性条 件下におけるアムロジピン量の減少には,簡易懸 濁時の 55℃という初期温度が特に重要な因子と なることが示唆された. 結論として,脳神経外科領域で繁用されるデパ ケン®シロップ,ワーファリン®錠,ノルバスク® OD錠およびマグミット®錠の同時懸濁について, ノルバスク®OD錠とマグミット®錠の組み合わせ においてアムロジピン量の減少を伴う配合変化が 生じ,ノルバスク®OD錠の主薬吸収量が低下す る可能性が示唆された.また,この配合変化は pH上昇によるアムロジピンの分解に起因してい ることも示唆された.従って,アムロジピンベシ ル酸塩製剤と懸濁液を塩基性にする医薬品の同時 簡易懸濁については,薬剤師が積極的に関与し, 両薬剤を個別に簡易懸濁すること,もしくは簡易 懸濁後の放置時間を 10 分間程度に短縮するなど の工夫が必要であると考えられる.

引用文献

1) 矢野勝子, 竹澤 崇, 望月俊秀, 五十嵐信智, 伊藤 清美, 折井孝男, 倉田なおみ, 杉山 清, 簡易懸濁 法による薬剤経管投与時の主薬の安定性の検 討, 医療薬学, 2006, 32, 1094-1099. 2) 日高鮎美, 佐藤麻紀, 細野佐和子, 宮地正和, 飯田 緑, 湯本哲郎, 水上義明, 簡易懸濁法導入による 業務効率と経済効果に関する研究-病棟完全実 施後の評価と在宅医療への展望-, 薬事新報, 2007, 2503, 1294-1299. 3) 市東友和, 山浦真弓, 調剤業務効率化に向けた簡 易懸濁法の導入, 医療薬学, 2006, 32, 517-522. 4) 福石和久, 山本吉章, 滝久司, 堀部千治, 饗場 郁子, 簡易懸濁法の導入による薬剤科業務の変 化―導入後5年間の検討, 医療, 2008, 62, 231-235. 5) 寺町ひとみ, 安田美奈子, 岡田美智代, 高島英滋, 伊藤嘉浩, 土屋照雄, 簡易懸濁法の導入とその評 価, 日本病院薬剤師会雑誌, 2007, 43, 1680-1683. 6) 石田志朗, 岡野善郎, 経管投与時における内服薬 の配合変化, 月刊薬事, 2006, 48, 905-910. 7) 橘田昌人, 三科ますみ, 朝倉寛達, 便利な配合変 化表の作成と運用方法とは?, 薬局, 2009, 60, 2971-2976.

8) Suryani N, Sugiyama E, Kurata N, Sato H, Stability of Ester Prodrugs with Magnesium Oxide Using the Simple Suspension Method, Jpn J Pharm Health Care Sci, 2013, 39, 375-380.

9) ノルバスク®錠5 mg, ノルバスク®OD錠5 mg イ

ンタビューフォーム, ファイザー株式会社, 2012 年12月 (改定第15版), p5.

図 4 ノルバスク ® OD 錠およびマグミット ® 錠同時懸濁時の HPLC クロマトグラム

参照

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