ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 1
ペンレス
®
テープ18mg
第2部 CTDの概要(サマリー)
2.5 臨床に関する概括評価
日東電工株式会社
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用語及び略号一覧
略号(略称) 化学名(一般名) 構造式 由来 リドカイン 2-Diethylamino-N-(2,6-d imethylphenyl)acetamide JAN: リドカイン (Lidocaine) r-INN: Lidocaine 原薬 略号 省略していない表現 M519101 有効成分としてリドカインを60%含有するテープ剤(ペンレス○R MCV テープ18mg) molluscum contagiosum virusFAS Full Analysis Set:最大の解析対象集団
GCP Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準 MedDRA/J Medical Dictionary for Regulatory Activities / Japanese edition:
ICH国際医薬用語集日本語版 VAS Visual Analogue Scale
VRS Verbal Rating Scale
AUC Area under the curve:濃度曲線下面積 Cmax Maximum concentration:最高血中濃度
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目次
頁 2.5 臨床に関する概括評価 ... 4 2.5.1 製品開発の根拠 ... 4 2.5.1.1 ペンレス®テープ18 mgについて ... 4 2.5.1.2 本剤の開発を行った科学的背景 ... 4 2.5.1.3 本剤の開発対象 ... 5 2.5.1.4 臨床開発計画 ... 9 2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価 ... 12 2.5.3 臨床薬理に関する概括評価 ... 12 2.5.3.1 臨床薬理の評価結果 ... 13 2.5.3.2 臨床薬理の評価結果からの検討 ... 15 2.5.3.3 臨床薬理に関する概括評価の結論 ... 16 2.5.4 有効性の概括評価... 17 2.5.4.1 有効性評価の計画 ... 17 2.5.4.2 有効性評価の結果 ... 20 2.5.4.3 有効性評価方法の適切性 ... 22 2.5.4.4 試験対象集団と市販後に使用が予想される患者集団との差 ... 25 2.5.4.5 有効性の概括評価の結論 ... 25 2.5.5 安全性の概括評価... 25 2.5.5.1 患者集団及び暴露状況... 26 2.5.5.2 安全性評価結果 ... 26 2.5.5.3 本邦における使用実績... 28 2.5.5.4 海外の情報 ... 31 2.5.5.5 安全性の概括評価の結論 ... 31 2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論 ... 31 2.5.6.1 本剤のベネフィットについて ... 32 2.5.6.2 本剤のリスクについて... 32 2.5.6.3 総合的なベネフィット及びリスク ... 33 2.5.7 参考文献 ... 34ペンレス®テープ18mg
2.5 臨床に関する概括評価 Page 5
2.5.1.3 本剤の開発対象
2.5.1.3.1 伝染性軟属腫摘除時の疼痛について (1) 伝染性軟属腫について
伝染性軟属腫はポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus; MCV)による皮膚感染症である13)。MCVはヒトに感染する最大のウイルスであり、ウイルスDNA の制限酵素切断パターンより、現在MCV-1~4の亜型が知られている。MCV-1~3の臨床像に明瞭 な違いはないが、MCV-4は成人の非典型例に認められる。 感染は伝染性軟属腫患者からの直接的接触感染、タオルなどを介した間接的接触感染や搔破に よる自家接種が考えられ、毛包から感染するとされる14) 。感染したウイルスは表皮角化細胞内で 増殖するとともに封入体が形成され、角化細胞の増殖を誘導し、丘疹を形成する13)。症状は1~5 mm の中心臍窩を有する表面平滑な小丘疹が多発し、外見が水様光沢を帯びてみえることから俗に“み ずいぼ”と呼ばれ14)、小児では四肢や体幹に多発する15)。軟属腫の周囲は乾燥して湿疹病変を呈 することが多く、瘙痒の原因の一つになりうる11) 。アトピー性皮膚炎に合併したものでは多発す る傾向が強いとされ、掻破などによる皮膚のバリア機能の障害が関与していると考えられる13)。 小野らの兵庫県における皮膚病サーベイランスによると、伝染性軟属腫の年間受診件数は約100 万人と推計される16)。 男女比は1:0.95であり、年齢は3歳をピークにして0~9歳が94.0%を占める17) 。多発期は6~7月 であり、プール利用時に感染する機会が多いとされている13) 。性感染症として成人に発症したも のでは外陰部に単発あるいは多発し、HIV感染症などで免疫能が低下した状態に本症を合併する と大きな伝染性軟属腫が播種状に顔面、頚部あるいは陰部に多発し、次第に全身に拡大すること がある14) 。小野らによれば成人の伝染性軟属腫は全体の3.3%を占めるとされている16) 。 (2) 伝染性軟属腫の治療法について 伝染性軟属腫の治療として有効とされるものを表 2.5-1に示した。現在、有効な抗ウイルス薬と して本邦で臨床応用可能な治療薬はない13)。無治療で自然消褪を待つ考えもあるが、待機中の自 家接種や、他への感染、molluscum reactionや搔破に伴う細菌性二次感染の可能性14) などの問題が あり、一般的にピンセット等による伝染性軟属腫の摘除が推奨されている18)。 なお、ピンセット等による摘除は確実な治療法ではあるが、疼痛を伴うことが欠点であり19) 、 施術時には本剤を含む局所麻酔剤が使用されている13)。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 6 表 2.5-1 伝染性軟属腫の治療法 A. 外科的治療法 鉗子による摘除、挫滅 レーザー療法 凍結療法 電気焼灼法 B. 薬物療法 1. 化学的効果によるもの グルタルアルデヒド 硝酸銀ペースト モノクロル酢酸 ポドフィリン カンタリジン その他 2. 免疫学的効果によるもの 漢方薬(ヨクイニンなど) シメチジン インターフェロン Imiquimod cream 3. 抗ウイルス薬 cidofovir(外用、注射) (最新皮膚科学体系13) ) (3) 伝染性軟属腫摘除時の本剤の使用実態 先述のとおり、伝染性軟属腫摘除時には疼痛を伴うため、施術時の疼痛緩和を目的として局所 麻酔剤が使用されている13)。その際に本剤が用いられている実態が複数の成書、文献及び実態調 査等で示されており、当該情報の抜粋を以下に示した。 これらの成書及び文献等の情報を踏まえると、医療現場において、伝染性軟属腫摘除時の疼痛 緩和を目的に本剤が広く使用されていることが窺える。 1) 成書における記載 − 安元 慎一郎:「伝染性軟属腫」最新皮膚科学体系第15巻ウイルス性疾患 性感染症13) 最も一般的な伝染性軟属腫の治療として鉗子あるいはピンセットなどで軟属腫をつまみとる手 技が行われる。痛みを伴う本手技施行の是非については議論があり、局所麻酔薬含有テープやク リームを予め外用して除痛を図る前処置も行われる場合がある。 − 立花 隆夫:「伝染性軟属腫」皮膚科プライマリケア20) ペインレス® による除痛:外用局所麻酔薬であるペインレス® を処置の30分から1時間前に皮疹部 に貼り、その後鑷子で圧出する。 − 山﨑雙次:「ウイルス性疣贅(尋常性疣贅),伝染性軟属腫」今日の治療指針200721) トラコーマ鑷子でつまみとる。(中略)激しく泣いてしまう小児では取る1-2時間前にペンレス を貼付するとややよい。 2) 文献報告による記載 − 南光弘子:「小児の「みずいぼ」の治療(伝染性軟属腫)」アレルギーの臨床,2006年10) 摘出には痛みを伴うため、あらかじめ局所麻酔薬のテープ剤であるリドカインテープ(ペンレ
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 7 ス® )1~2枚を小さく切って(1枚につき10片程度)水いぼに密着貼付し、30分~1時間待ってから 摘出している。(中略)通常1回2枚以下の使用としている。 − 本田光芳ら:「みずいぼの治療―アンケートを集計して―」日小皮会誌,2000年12) 日本小児皮膚科学会の名簿から、小児科医、皮膚科医各50名を無作為に選択して実施した「み ずいぼ治療に関する」アンケート(回答数59名:小児科医34名、皮膚科医25名)であり、当該調 査の内容は次のとおりである。 本アンケートでは、鑷子を使用して軟属腫の内容を圧出する方法が、小児科医22人(70%)、皮 膚科医19人(60%)で、今日も治療の主流を占めている。 ペンレス® の使用は、小児科医22人のうち、4人、皮膚科医19人のうち、7人であった。両科を合 計すると、おおよそ4人に1人がペンレス®を使用することになる。この比率を普遍的に適応すれば、 ペンレス® は一般外来で極めて日常的に使用されていることになる。 − 川上理子:「痛くない治療の試み」日小皮会誌,2000年22) 摘除にはトラコーマ摂子を用いるが、その際に痛みを軽減する目的で、多発例においては処置 の1~2時間前に皮疹部にリドカインテープを貼っておく。 − 日野治子:「伝染性軟属腫(みずいぼ)の治療」日本医事新報,2002年23) リドカインテープ剤(ペンレス® )で密封療法後に摘除しているが、ほとんど疼痛なく摘除でき る。1枚のテープ剤をおおむね10片に小さく切り分け、1回に1~2枚分ほどを乳幼児の軟属腫に密 着するように貼って、約1時間後にテープを剥がして鑷子で摘み取り、出血を抑え、抗生物質軟膏 を貼付しておく。 − 川名誠司:「伝染性軟属腫」小児科,199924) あらかじめ家族にリドカインテープを渡し、来院する1時間前に皮疹部に貼付してもらうと圧出 の痛みはかなり軽減する。ただし、リドカインテープは伝染性軟属腫に保険適応外である。 − 大橋映介:「伝染性軟属腫の摘除と尋常性疣贅の冷凍手術」小児外科,200325) 和紙絆創膏でtagをつけたペンレスを患部に貼り、30分以上待つ。その後ペンレスを剥がしなが ら、消毒をして鑷子で一個ずつ摘除していく。(中略)全身散布例はペンレスの使用量の限界や吸 収のスピードについて、はっきりとしたデータが入手できないので、筆者は1回につき1/2枚くら い留め、分割して摘除している。 − 日野治子. 伝染性軟属腫(みずいぼ)の治療について. 日小皮会誌. 2000; 19(2): 151-152.26) 実際には、1枚のテープ剤を概ね10個に小さく切り分け、1回に1~2枚分程を乳幼児の軟属腫に 密着するように貼る。 約1時間後テープをはがし、摂子で摘み取り、出血を抑え、抗生物質軟膏を貼布しておく。 − 川島 眞:「伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和措置に関する実態調査」臨床医薬,2011年27) 全国の皮膚科医(回答数506名)を対象として、2011年4月~5月に行われた伝染性軟属腫摘除時 の疼痛緩和に関する実態調査であり、当該調査の内容は次のとおりである。 伝染性軟属腫の治療として摘除を行うと回答した医師は506名中485名(95.8%)であった。そ
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 13 小児伝染性軟属腫患者を対象として、医療現場での使用実態を反映した2枚・120分間投与での 血清中リドカイン濃度が全身性の副作用を及ぼさない程度であることの確認、及び本剤の分割に よる吸収への影響の確認を目的としてM11試験を実施した。 2.5.3.1 臨床薬理の評価結果 6歳以上の小児伝染性軟属腫患者18例を対象に、本剤を2枚あるいは8分割した2枚(16小片)を 体幹及び四肢の伝染性軟属腫に120分貼付し、血清中リドカイン濃度を測定した。採血回数は、対 象が小児であることを鑑み、1被験者あたり2回とし、貼付開始後1及び2時間、あるいは貼付開始 後2及び4時間として、試験全体として3ポイントでの評価ができるようにした。 表 2.5-7 群構成の内訳 貼付群 用法・用量 症例数 採血ポイント 1hr 2hr 4hr 非分割群 2枚・120分 6例 - ● ● 6例 ● ● - 分割群 2枚(16小片)・120分 6例 - ● ● (1) 最大血清中リドカイン濃度 血清中リドカイン濃度の最大値は195.7 ng/mL(非分割群、貼付開始2時間後、貼付部位:上肢) であった。これは、全身性の中毒症状発現濃度1000 ng/mL に比較して低い濃度であり、小児伝染 性軟属腫患者に2枚貼付しても全身性の中毒症状が発現する可能性は低いと考えた。 しかしながら、最大値:195.7 ng/mLは他の症例に比べて高値であったため、体重、伝染性軟属 腫数、貼付部位等の被験者背景について検討したが、他の症例との差は認められなかった。要因 は明らかではないが、一般に経皮吸収が上昇する要因として皮膚バリア機能の異常が考えられる ことから、当該症例もこの要因によって生じた可能性が考えられた。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 14 BLQ:検出限界(0.5 ng/mL未満)は0とした。 図 2.5-1 非分割群と分割群の血清中リドカイン濃度(散布図) (2) 分割による薬物動態への影響 分割群の血清中リドカイン濃度は12.52±7.99 ng/mL(2時間値)、10.62±4.87 ng/mL(4時間値)で あった。非分割群の濃度は30.15±56.74 ng/mL(2時間値)及び13.85±9.73 ng/mL(4時間値)であり、 分割群が非分割群の濃度を上回ることはなかった。 表 2.5-8 血清中リドカイン濃度の推移 非分割群 分割群※ 貼付後時間 n 平均 ± SD 最小値-最大値 (中央値) n 平均 ± SD 最小値-最大値 (中央値) 1時間 6 1.86 ± 3.62 0.000 - 9.182 (0.3580) - - - 2時間 (除去直後) 12 30.15 ± 56.74 0.000 - 195.7 (5.075) 6 12.52 ± 7.99 0.9547 - 23.37 (13.00) 4時間 (除去後2時間) 6 13.85 ± 9.73 1.457 - 27.31 (12.98) 6 10.62 ± 4.87 3.627 - 17.97 (11.33) ※分割群:8分割した本剤2枚を貼付した群 (ng/mL) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 1 2 3 4 5 血清中リ ド カ イ ン 濃度( ng /m L ) 時間(h) ○:非分割群 ■:分割群
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 15 非分割群 分割群 血清中濃度 ( n g / m L ) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 時間 (h) 0 1 2 4 図 2.5-2 血清中リドカイン濃度の推移図(貼付群ごと) 総括報告書図11.4.1-4(5.3.3.2-1)から引用 2.5.3.2 臨床薬理の評価結果からの検討 (1) 健康成人の薬物動態との比較 貼付開始2時間後における非分割群の血清中リドカイン濃度は30.15 ng/mLであり(表 2.5-8)、 この値は、既承認の静脈留置針穿刺時の疼痛緩和の効能取得時に実施した、健康成人の上肢内側 に本剤を2枚貼付した際のCmaxである13.2 ng/mLと比較すると高値であった。 そこで、M11試験の非分割群(n=12)の体重(18.4~24.2 kg)から、一般的な成人男性の体重60kg に換算してCmax(2時間値)の換算値を算出した(Cmax換算値=Cmax(2時間値)×体重÷60)結果、
12.15±23.02 ng/mLとなり、健康成人に本剤2枚を貼付した際のCmaxの平均値±標準偏差とほぼ同レ ベルとなった。 しかしながら、M11試験並びに健康成人における薬物動態試験では、貼付時間が2時間と4時間 で大きく異なり、また、貼付時間が長くなると血清中リドカイン濃度も高くなる傾向があること から、単純な比較は困難であった。成人と小児の体重差を考慮して、体重換算した場合同程度と なったものの、貼付時間の違いを考え併せると、小児の血清中リドカイン濃度の方が成人に比べ 高くなると考えられた。 (2) 年齢及び体重によるシミュレーション 各年齢の患児における過量投与のリスクを評価するために、M11試験で得られた結果をもとに シミュレーションを行い(表 2.5-9)、6歳未満の小児に本剤2枚貼付した際の全身性の副作用発現 リスクについて検討した。なお、本シミュレーションの標準体重は厚生労働省乳幼児身体発育調 査報告書(平成22年)に基づく値を使用した。 M11試験で、小児伝染性軟属腫患者(6~8歳児)に本剤2枚を2時間貼付したときの血清中リドカ イン濃度は、0.000~195.7 ng/mL(平均値:30.15 ng/mL※)であった。6~8歳児の血液量を1.9 L(体 重の8%)と推定すると、血清中に移行したリドカイン量は、0.000~371.8 μg(平均値:57.3 μg) 貼 付
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 16 となる。この値をもとに各年齢の標準体重を用い、血清中リドカイン濃度をシミュレーションし た結果、1歳児に本剤を2枚貼付しても、血清中リドカイン濃度の最高値は464.8ng/mLと推定され、 全身性の中毒症状が発現するとされる1000 ng/mLを超えなかった。しかしながら、0歳児のシミュ レーションの結果では1000 ng/mLを超える可能性が示唆された(表 2.5-9)。 体重以外に本剤貼付時のリドカインの薬物動態に影響を及ぼす主な要因として、皮膚バリア機 能、分布容積、代謝酵素活性が挙げられる。1歳未満、特に新生児では皮膚バリア機能が低く33),34)、 分布容積は大きくなり35) 、一方で代謝酵素活性は低くなるため36)、血清中リドカイン濃度は更に 高くなる可能性があると考えられる。 よって、1歳以上の小児に関しては体重に基づいた血清中リドカイン濃度の推定値より、全身性 の中毒症状が発現するリスクは低いと考えられるが、1歳未満では過量投与となるリスクがあり、 注意喚起が必要であると考え、添付文書の「過量投与」の項を設けることとした。 ※血清中リドカインの濃度の平均値が最大であった、非分割群の貼付後2時間後の平均値 表 2.5-9 年齢と血清中リドカイン濃度のシミュレーション結果(本剤2枚、2時間貼付時) 年齢 体重 (kg) 血液量 (L) 血清中リドカイン濃度(ng/mL) 平均値 最低値~最高値 出生児 3※ 0.2 286.4 0.000~1859.2 1~2ヵ月 5※ 0.4 143.2 0.000~ 929.6 1歳 10※ 0.8 71.6 0.000~ 464.8 2歳 12※ 1.0 57.3 0.000~ 371.8 3歳 14※ 1.1 52.1 0.000~ 338.0 4歳 16※ 1.3 44.1 0.000~ 286.0 5歳 18※ 1.4 40.9 0.000~ 265.6 6~8歳 23.18 1.9 30.15 0.000~ 195.7 ※標準体重(各年齢の男子と女子の平均値より算出) 2.5.3.3 臨床薬理に関する概括評価の結論 本剤を伝染性軟属腫患者の体幹及び四肢に2枚まで貼付したときの血清中リドカイン濃度は、全 身性の中毒症状発現濃度に比較して低い濃度であること、並びに本剤の分割が薬物動態に影響を 及ぼす可能性は低いことが確認された。 伝染性軟属腫患者における血清中リドカイン濃度は健康成人における薬物動態試験の値に比較 して高値であったが、血清中リドカイン濃度の最大値は195.7 ng/mLであり、全身性の中毒症状を 発現する血中濃度1000 ng/mL に比較して低いものであった。 したがって、本剤を約1時間、2枚まで貼付とすること及び患部の大きさに合わせて適宜分割す る用法・用量は、臨床薬理学的な検討から問題ないと考えられた。 一方で、低年齢の患児に対して本剤が使用されている実態があることを鑑み、M11 試験の結果 をもとに本剤2枚を2時間貼付したときの血清中リドカイン濃度をシミュレーションした結果、0 歳児では1000 ng/mLを超える可能性が示唆された。これより、添付文書に「過量投与」の項を設 け過量投与のリスクについて注意喚起を行うこととした。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 17 2.5.4 有効性の概括評価 本剤の伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果については、プラセボを対象としたM12試験の成績 に基づき評価した。なお、M12試験の結果の詳細は、「2.7.3臨床的有効性の概要」に示した。 2.5.4.1 有効性評価の計画 医療現場での使用実態(分割して投与)における本剤の有効性並びに安全性の確認を目的とし た第III相試験を計画した。 (1) 有効性評価方法 1) プラセボ対照/二重盲検 本剤の疼痛緩和効果を適切に評価するためにプラセボを対照とした。また、疼痛評価は主観的 な評価であるため被験者盲検としたうえで、治験責任医師あるいは治験分担医師による評価バイ アスを避けるため、二重盲検下にて試験を実施した。 2) 有効性評価方法(同一個体内比較法) 本剤の疼痛緩和効果を客観的に評価する為、プラセボを対照とした比較試験を実施することと したが、本治験の対象は小児の被験者であり、評価にあたって疼痛を伴うことから、倫理的観点 より、感度が高い評価方法を用いて必要最小限の症例数を設定する必要があると考えた。加えて、 小児を対象とした臨床試験においてプラセボ対照群を設定することは、保護者の心情より実施可 能性の面で問題があるとの医学専門家の意見を踏まえ、評価方法として同一個体内比較法を採択 した。 同一個体内比較法はクロスオーバー計画として一般的であり、被験者自身を対照として比較が 行われるため、個体間差の排除が可能であり、痛み評価においても並行群間比較試験に比べてよ り少ない症例数で感度良く評価を行える方法である。本試験では評価の客観性を確保するため、 本剤並びにプラセボの評価順序をランダム化した。 なお、本法の問題点として、本剤とプラセボの貼付部位が近い場合、コンタミネーションの可 能性が指摘されているが、M12試験では以下の点を規定することにより、コンタミネーションの 回避並びに管理を行った。 i) 本剤及びプラセボの貼付にあたり、それぞれの辺縁より1cm以上離す。 ii) 各々が重ならないよう貼付する。 iii) 各貼付部位を記録に残す(「治験薬の貼付に係る図」)。 3) 評価項目 主要評価項目は、疼痛緩和効果の優劣比較判定とし、副次評価項目は疼痛緩和効果のVRSとし た。 痛み評価にあたっては、被験者自身による主観評価を行うこととした。 計画立案時、コミュニケーション能力の観点より対象年齢を4歳以上と想定し、臨床医に痛み評 価法について意見聴取したところ、年少小児に対して段階評価(「どのくらい」の評価)は困難で あり、二択(痛い、痛くない)あるいは三択評価(痛い、痛くない、同じ)が適切であるとの見 解であった。また、一方で、小児の痛み評価法について、VASは8歳未満の小児に対して評価法と して検証されていない37)との情報を得た。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 18 計画立案当時の疫学調査結果では伝染性軟属腫の多発年齢のピークは4、5歳であり38) 、本試験 ではこれらの小児が多数、登録されることが想定された。上記を鑑み、実施可能性の観点から主 要評価項目をVASあるいはVRSとすることは困難と判断し、優劣比較判定を採択した。 一方でVRSは3歳以上の小児を対象とした評価方法とされていることから39)、副次評価項目を VRSとし、優劣比較判定とVRSの相関性を確認することで優劣比較判定の疼痛評価方法としての 適切性を検討することとした。 4) 評価手順 同一個体内比較法で評価を行うため、1人の被験者に対して同時に本剤及びプラセボの2種類の 治験薬を貼付した。 先行で評価する治験薬を「治験薬A」、後続で評価する治験薬を「治験薬B」とした。 治験薬Aあるいは治験薬Bを貼付した伝染性軟属腫のうち各3個を摘除し、治験担当医師が各治 験薬貼付部位の伝染性軟属腫を摘除し、被験者本人がVRS評価(表 2.5-11)を行った後、各治験 薬貼付部位の疼痛緩和効果について被験者本人が優劣比較判定(表 2.5-10)を行った。 なお、治験薬A又は治験薬Bにおいて、伝染性軟属腫各3個摘除後に中止の申し出があった場合 には疼痛緩和効果のVRS評価を「4(すごくいたい)」として扱い、3個摘除前に中止の申し出があ った場合には評価不能として扱った。 治験薬B 貼付 ①VRS(治験薬A 貼付部位)
③優劣比較判定
②VRS(治験薬B 貼付部位) ※3個 ※3個 治験担当医師による 治験薬貼付・伝染性軟属腫摘除 被験者本人による 疼痛緩和効果の評価 治験薬A 貼付 治験薬A 除去 治験薬B 除去 治験薬A 貼付部位の摘除 治験薬B 貼付部位の摘除ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 20 が高まり、暴露量の違い等が生じることで有効性評価への影響が懸念された。 貼付時間については、伝染性軟属腫アンケート及び医療現場における使用実態の文献調査 10),12),21),22),23) において、1~2時間との報告が大半を占めていたことから、1時間以上において本剤の 効果は同等であると推測した。また、本剤は伝染性軟属腫摘除の前処置薬であり、医療現場での 利便性を考慮して貼付時間を原則60分とした。 (3) 評価の対象 計画立案時、伝染性軟属腫は3~15歳の小児に多発する疾患である38)との情報に基づき、本治験 では疼痛緩和効果の評価を被験者本人が行うため、痛み評価が可能である年齢を考慮し、下限を4 歳とした。また上限は、本邦における小児科受診の対象年齢に準じて15歳とした。 (4) 症例数の設定及び解析手法 類似薬効成分における伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果に関する、小児を対象とした臨床試 験40) での症例数(55例)を参考に、倫理面を考慮したスケールでの実施可能性を考え、目標症例 数を50例と設定した。 本試験では、「同一個体内比較というデザインにおいては、投与した人の内、7割程度の人数に 効果がないと薬としての価値はない」との医学専門家の意見に基づき、優劣比較判定の有効率の 点推定値が70%以上となることを期待した。50例の場合、有効率の点推定値が70%(35/50例)で あるときの両側95%信頼区間の下限値は55.4%(≒55%)であり、統計的仮説検定の枠組みでは、 検証仮説は「真の有効率は55%以上」となる。本試験で定義している有効率は、個体内の優劣比 較において本剤の方が痛くないと判断した症例数の割合であり、「真の有効率が55%以上」である ことは、符号検定での片側対立仮説「真の有効率が50%以上」より厳しい仮説であるため、妥当 であると考えた。 また、副次的に疼痛緩和効果の優劣比較判定について符号検定を実施することとした。 2.5.4.2 有効性評価の結果 FAS解析対象集団61例を解析対象として有効性評価を行った。 (1) 主要評価項目(疼痛緩和効果の優劣比較判定) 1) 有効率 全体、本剤が先行評価されたとき(以下、本剤先行)及びプラセボが先行評価されたとき(以 下、プラセボ先行)の疼痛緩和効果の優劣比較判定の有効率及び95%信頼区間を表 2.5-12に示し た。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 21 表 2.5-12 疼痛緩和効果の優劣比較判定の有効率(FAS解析対象集団) FAS解析対象集団 (例) 疼痛緩和効果の優劣比較判定が 評価された例数 M519101の貼付部位の方が 痛くなかった例数 有効率 (%) 95%信頼区間 71.9 ~ 91.8 79.6 ~ 98.4 43.0 ~ 85.4 66.7 治験薬A→治験薬B 83.6 51 61 61 40 40 37 92.5 21 14 全体 M519101 →M519101プラセボ M519101プラセボ →M519101 21 総括報告書 表11.4.1.1-2から引用(5.3.5.1-1) 有効率及び 95%信頼区間は全体で 83.6%(51/61 例)(71.9~91.8%)であり、F 分布を仮定した 95%信頼区間の下限値が 55%を上回っており、本剤の疼痛緩和効果が検証されたと考えられた。 なお、本剤先行では92.5%(37/40例)(79.6~98.4%)、プラセボ先行では66.7%(14/21例)(43.0 ~85.4%)であり、全体及び本剤先行に比べてプラセボ先行の有効率及び95%信頼区間は低かった。 2) 符号検定 副次的に優劣比較判定の符号検定を、有意水準を両側5%として行った結果、本剤はプラセボに 比べて統計学的に有意な差を示した(p<0.0001)。 (2) 副次評価項目(疼痛緩和効果のVRS) 1) 有効率 全体、本剤先行及びプラセボ先行における、疼痛緩和効果に対するVRS評価の有効率及び95% 信頼区間を表 2.5-13に示した。 有効率及び95%信頼区間は全体で82.0%(50/61例)(70.0~90.6%)、 本剤先行で90.0%(36/40 例)(76.3~97.2%)、プラセボ先行で66.7%(14/21例)(43.0~85.4%)であった。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 22 表 2.5-13 疼痛緩和効果に対するVRS評価の有効率(FAS解析対象集団) FAS解析対象集団 (例) 疼痛緩和効果のVRS評価の差が 算出された例数 M519101の貼付部位の方が VRS評価の差では痛くなかった例数 有効率 (%) 95%信頼区間 70.0 ~ 90.6 76.3 ~ 97.2 43.0 ~ 85.4 疼痛緩和効果のVRS評価の差が算出された例数: M519101貼付部位およびM519101プラセボ貼付部位のいずれのVRS評価も存在する症例 M519101の貼付部位の方がVRS評価の差では痛くなかった例数: M519101プラセボ貼付部位のVRS評価に比べて,M519101貼付部位のVRS評価が1以上低い例数 50 36 14 82.0 90.0 66.7 61 40 21 61 40 21 全体 治験薬A→治験薬B M519101 M519101プラセボ →M519101プラセボ →M519101 総括報告書 表11.4.1.2-3から引用(5.3.5.1-1) 2) 1標本Wilcoxon検定及び符号検定 M519101貼付部位及びM519101プラセボ貼付部位の疼痛緩和効果に対するVRS評価について1 標本Wilcoxon検定及び符号検定を行った。有意水準はいずれの検定も両側5%とした。 1標本Wilcoxon検定においては、本剤貼付部位がプラセボ貼付部位に比べて有意に低いVRS評価 を示した(p<0.0001)。 符号検定においては、本剤貼付部位のVRS評価がプラセボ貼付部位のVRS評価に比べて痛くな かった例数が有意に多かった(p<0.0001)。 2.5.4.3 有効性評価方法の適切性 本剤の伝染性軟属腫摘除時における疼痛緩和効果は、M12試験のみで評価した。また、本試験 では、有効性評価方法として同一個体内比較法を採用しており、評価順序による影響(順序効果) の観点等から、本評価方法で疼痛評価が適切に行えているかの確認が必要と考えた。 M12試験で、主要評価項目である疼痛緩和効果の優劣比較判定で本剤はプラセボに対して有意 な疼痛緩和効果を示し、本剤の有効性が検証されている。この結果に加え、以下の検討を行うこ とで本評価方法の適切性を判断した。 • 優劣比較判定及びVRS評価の関連 • 評価系に対する順序効果の影響の有無、順序効果に影響を及ぼす因子及び評価結果への影 響 (1) 優劣比較判定とVRS評価の関連について 疼痛緩和効果の優劣比較判定別、VRS評価の個体内の痛みの差の有無別に頻度(例数、割合) を求め、表 2.5-14に示した。 疼痛緩和効果の優劣比較判定並びにVRS評価で評価が逆転している症例、すなわち優劣比較判 定が「本剤貼付部位の方が痛かった」と評価しているにもかかわらずVRS評価を「プラセボ貼付 部位のVRS評価の方が痛かった」と評価した症例、若しくは優劣比較判定を「プラセボ貼付部位
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 23 の方が痛かった」と評価し、VRS評価を「本剤貼付部位の方が痛かった」と評価した症例は認め られなかった。 VRSは痛みの評価方法として用いられており39),41),42)、優劣比較判定結果及びVRS評価に明らか な関連が認められたことから、同一個体内比較法によって本剤の疼痛緩和効果が適切に評価され たと考えられた。 表 2.5-14 疼痛緩和効果の優劣比較判定別、VRS評価の差(全体、FAS解析対象集団) FAS解析対象集団:61例 50 1 0 51 (82.0) (1.6) (0.0) (83.6) 0 3 0 3 (0.0) (4.9) (0.0) (4.9) 0 3 4 7 (0.0) (4.9) (6.6) (11.5) 50 7 4 61 (82.0) (11.5) (6.6) (100.0) M519101の 貼付部位の方が 痛かった 計 例数 (%) 計 VRS評価の差 M519101プラセボの 貼付部位のVRS評価の方が 痛かった M519101プラセボの貼付部位と M519101の貼付部位で VRS評価に差はなかった M519101の 貼付部位のVRS評価の方が 痛かった 優劣比較 判定 M519101プラセボの 貼付部位の方が 痛かった M519101プラセボの貼付部位と M519101の貼付部位で 痛みの違いはなかった 総括報告書 表11.4.1.3-1-1から引用(5.3.5.1-1) (2) 順序効果の影響について 疼痛緩和効果の優劣比較判定における有効率は全体で83.6%、本剤先行が92.5%,プラセボ先行 が66.7%であった。全体及び本剤先行に比べてプラセボ先行の有効率が低かったことから、順序 効果の影響について以下の検討を行った。 1) 順序効果の影響について 年齢別に、全体、本剤先行、及びプラセボ先行の疼痛緩和効果の優劣比較判定の例数を表 2.5-15 に示した。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 24 表 2.5-15 年齢別の疼痛緩和効果に対する優劣比較判定の頻度集計(FAS解析対象集団) 例数 % 例数 % 例数 % FAS解析対象集団 61 - 40 - 21 -4歳 M519101プラセボの方が痛い 5 8.2 4 10.0 1 4.8 M519101とM519101プラセボで同じ 2 3.3 0 0.0 2 9.5 M519101の方が痛い 4 6.6 1 2.5 3 14.3 5歳 M519101プラセボの方が痛い 11 18.0 9 22.5 2 9.5 M519101とM519101プラセボで同じ 1 1.6 0 0.0 1 4.8 M519101の方が痛い 2 3.3 1 2.5 1 4.8 6歳 M519101プラセボの方が痛い 15 24.6 9 22.5 6 28.6 7歳 M519101プラセボの方が痛い 9 14.8 7 17.5 2 9.5 M519101の方が痛い 1 1.6 1 2.5 0 0.0 8歳 M519101プラセボの方が痛い 3 4.9 2 5.0 1 4.8 9歳 M519101プラセボの方が痛い 4 6.6 3 7.5 1 4.8 10歳 M519101プラセボの方が痛い 2 3.3 1 2.5 1 4.8 11歳 M519101プラセボの方が痛い 2 3.3 2 5.0 0 0.0 * 年齢:同意取得日時点の年齢 同意取得時点(被験者のアセント取得日と代諾者の同意取得日のいずれか遅い時点)での年齢 **優劣比較判定: M519101プラセボの方が痛い:M519101プラセボの貼付部位の方が痛かった M519101プラセボとM519101で同じ:M519101プラセボの貼付部位とM519101の貼付部位で痛みの違いはなかった M519101の方が痛い:M519101の貼付部位の方が痛かった 年齢* 優劣比較判定** 全体 治験薬A→治験薬B M519101 M519101プラセボ →M519101プラセボ →M519101 総括報告書 表11.4.1.3-5から引用(5.3.5.1-1) 優劣比較判定で「本剤貼付部位の方が痛かった」あるいは「本剤貼付部位とプラセボ貼付部位 で同じ」と評価した症例は10例であった。年齢別の内訳は4歳が6例、5歳が3例、7歳が1例であり、 4、5歳に集中していた。また、4、5歳でこれらの症例の内訳を本剤及びプラセボの評価順にみた とき、4歳では本剤先行が1例、プラセボ先行が5例、5歳では本剤先行が1例、プラセボ先行が2例 であったことから、プラセボ先行に集中している傾向が認められた。 しかしながら、この傾向は4、5歳のみに認められ、6歳以上では1例を除いたすべての症例が「プ ラセボ貼付部位の方が痛かった」と評価しており、全体や本剤先行の評価結果と整合が得られて いた。これより、5歳以下では、プラセボ先行評価による順序効果が示唆されたものの、評価系に 対する順序効果の影響はないと考えられた。 また、同様の評価をVRSでも実施したが、同じ傾向が認められた。 2) 先行評価(治験薬A)のVRS評価について 上記の検討で、5歳以下の症例において先行評価が後続の評価に影響を与えた可能性が示唆され たことを踏まえ、次の検討を行った。 先行評価(治験薬A)における本剤又はプラセボのVRS評価は、順序効果の影響を受けない (2.5.4.1 (1)4)評価手順 参照)。そこで、治験薬AのVRS評価について2標本Wilcoxon検定(有 意水準は両側5%)を行い、優劣比較判定結果との整合性が得られるかについて検討した。その 結果、本剤貼付部位がプラセボ貼付部位に比べて有意に低いVRS評価を示した(p<0.0001)こと から、評価順に関わらず、本剤の疼痛緩和効果が示されたと考えられた。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 25 表 2.5-16 治験薬AのVRS評価に対する2標本Wilcoxon検定(FAS解析対象集団) 例数 % 例数 % 40 - 21 -1:いたくない 30 75.0 5 23.8 2:すこしいたい 9 22.5 5 23.8 3:いたい 1 2.5 6 28.6 4:すごくいたい 0 0.0 5 23.8 VRS評価 FAS解析対象集団 2標本Wilcoxon検定(正確法) 治験薬A M519101 M519101プラセボ p < 0.0001 総括報告書 表11.4.1.3-13から引用(5.3.5.1-1) 以上の検討により、優劣比較判定及びVRS評価の結果に明らかな関連が認められたこと、並び に評価系に対する順序効果の影響はないと考えられたことから、同一個体内比較法によって本剤 の疼痛緩和効果が適切に評価されたと考えられた。 2.5.4.4 試験対象集団と市販後に使用が予想される患者集団との差 計画立案時、伝染性軟属腫は3~15歳に多発する疾患である38) との情報に基づき、M12試験では、 有効性評価を適切に行うために、4歳以上の伝染性軟属腫患者を対象とした。本剤はプラセボに対 して有意な疼痛緩和効果を示し、5歳以下ではプラセボ先行において順序効果の影響がみられたも のの、本剤先行では全体の有効性評価と差異はなく、5歳以下においても本剤の有効性が確認され た。 一方、川島が実施した伝染性軟属腫の疼痛緩和に関する実態調査では、本剤が0歳より使用され ている実態とともに、本剤の有効性が示唆されている27) 。リドカインの作用機序を考慮すると、 年齢によって本剤の疼痛緩和効果が異なるとは考えられず、実態調査の結果はこれを裏付けるも のと考えられた。 これより、本開発で対象とした患者層と医療現場の患者層で年齢の乖離はあるが、本剤は年齢 に関わらず、伝染性軟属腫摘除時に疼痛緩和効果を発揮するものと考えられた。 本剤使用時の安全性評価については、「2.5.5 安全性の概括評価」で述べる。 2.5.4.5 有効性の概括評価の結論 主要評価項目である疼痛緩和効果の優劣比較判定で本剤はプラセボに対して有意な疼痛緩和効 果を示した。 また、優劣比較判定及びVRS評価の結果に明らかな関連が認められたこと、並びに評価系に対 する順序効果の影響はないと考えられたことから、同一個体内比較法によって本剤の疼痛緩和効 果が適切に評価され、検証されたと考えられた。 以上より、本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和が期待できる薬剤であると結論付けられた。 2.5.5 安全性の概括評価 本剤の安全性評価は、M11試験及びM12試験で行った。 安全性評価のための主な観察・検査項目は、血清中リドカイン濃度、有害事象、臨床検査値、
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 26 バイタルサイン及び心電図とした。本剤はテープ剤であることから、貼付部位の皮膚所見の観察 も行った。また、有効成分がリドカインであることから、中枢神経系及び心血管系への影響を考 慮してバイタルサイン及び心電図を設定した。 なお、M11試験では伝染性軟属腫の摘除を行っておらず、また、有害事象が発生しなかったた め、試験ごとに安全性を評価した。 2.5.5.1 患者集団及び暴露状況 M11試験及び12試験の人口統計学的特性をM2.7.4 表2.7.4-8及び表2.7.4-9に示した。 M11試験では、性別は、男性55.6%(10/18例)、女性44.4%(8/18例)であり、割合はほぼ同一で あった。年齢は、6.8±0.8歳(平均±標準偏差)で6歳から8歳の範囲であった。合併症は、ありが5.6% (1/18例)のみであった。 M12試験では、性別では男性が多く63.9%(39/61例)、女性が36.1%(22/61例)であった。 年齢は6.2±1.8歳(平均±標準偏差)であり、年齢ごとでは4歳が18.0%(11/61例)、5歳が23.0%(14/61 例)、6歳が24.6%(15/61例)及び7歳が16.4%(10/61例)であり、4歳~7歳を中心とした分布であ った。合併症はありが多く82.0%(50/61例)、併用薬もありが多く68.9%(42/61例)であった。 本剤の小児伝染性軟属腫患者における年齢別の暴露状況をM2.7.4表2.7.4-6に示した。 M11試験では、小児伝染性軟属腫患者を対象として、本剤を2枚、120分単回貼付した。 M12試験では、小児伝染性軟属腫患者を対象として、8分割した本剤を1/2枚(4小片)、60分単回 貼付した。貼付時間の平均±標準偏差は全体で治験薬Aが62.0±3.2分、治験薬Bが62.4±3.2分で差は なかった。M11試験では、6及び7歳が最も多くそれぞれ38.9%(7/18例)であった。M12試験では、 4~6歳で65.6%(40/61例)を占めた。 2.5.5.2 安全性評価結果 2.5.5.2.1 有害事象 M11試験では、有害事象は発現しなかった。M12試験における有害事象発現率を表 2.5-17に示 した。 因果関係を問わない有害事象は、9.8%(6/61例)に認められた。因果関係が否定できない有害 事象(副作用)は3.3%(2/61例)に認められた。因果関係が否定できない有害事象の内訳は「適 用部位皮膚炎」及び「適用部位そう痒感」が各1.6%(1/61例)であった。また、認められた有害 事象は全て軽度の事象であった。 表 2.5-17 小児伝染性軟属腫患者における有害事象発現率(M12試験) 安全性解析対象集団 61 - -件数 例数 発現率 (%) 95%信頼区間 (%) -副作用 6 2 9.8 3.3 0.4 3.7 有害事象 ~ 20.2 11.3 ~ 2 8 総括報告書表12.2.3-1(5.3.5.1-1)から引用
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 27 2.5.5.2.2 比較的よくみられる重篤でない有害事象 M12試験の器官別・症状別有害事象発現率一覧を表 2.5-18に示した。 2%以上に認められた有害事象を比較的よくみられる有害事象とした場合、因果関係を問わない 有害事象では、「鼻咽頭炎」が3.3%(2/61例)に認められた。因果関係が否定できない有害事象の うち、2%以上のものはなかった。 表 2.5-18 小児伝染性軟属腫患者における因果関係を問わない有害事象の 器官別・症状別発現率(M12試験) 症状(PT) 安全性解析対象集団 61 - -有害事象発現例 6 9.8 8 [全身障害および投与局所様態] 2 3.3 2 適用部位皮膚炎 1 1.6 1 適用部位そう痒感 1 1.6 1 [感染症および寄生虫症] 2 3.3 2 鼻咽頭炎 2 3.3 2 [臨床検査] 1 1.6 1 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 1 1.6 1 [皮膚および皮下組織障害] 3 4.9 3 接触性皮膚炎 1 1.6 1 皮脂欠乏性湿疹 1 1.6 1 紅色汗疹 1 1.6 1 件数 発現率 (%) 例数 [器官別大分類(SOC)] 総括報告書表12.2.2-1(5.3.5.1-1)から引用 MedDRA/JVer.13.0 2.5.5.2.3 臨床検査値 各試験の臨床検査値の測定結果及び散布図は、添付資料(M5.3.7-1、M5.3.7-2)に示した。 M11試験では、臨床検査値の異常変動の有害事象は認められなかった。臨床検査値のすべての 検査項目で変化は認められなかった。 M12試験では、臨床検査値の異常変動の有害事象は、「アスパラギン酸アミノトランスフェラー ゼ増加」が1.6%(1/61例)に発現したが、軽度の事象であった。 血液学的検査において、治験開始日(治験薬貼付前)の血小板数が基準値下限[15万/μL、男女 共]を下回っている値から、事後観察日に改善を認めた症例が1例(症例番号MC-01-07 [13000→64000/μL]あったが、合併症「血小板減少特発性血小板減少性紫斑病の疑い」に伴うも のであった。また、血小板数以外の他の血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査項目において は、治験薬貼付前と事後検査日を比較した結果、大きな変動はみられなかった。 以上の結果から、本剤を小児伝染性軟属腫患者に対して2枚貼付したとき、臨床検査値への影響 はないと考えられた。 2.5.5.2.4 バイタルサイン及び心電図 各試験のバイタルサインの測定結果並びに散布図及び心電図の測定結果は、添付資料(M5.3.7-1、 M5.3.7 -2)に示した。 M11試験では、バイタルサインの異常、心電図の異常の有害事象は認められなかった。血圧、 脈拍数及び体温について治験薬貼付前と貼付2時間後を比較した結果、すべての検査項目で臨床上
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 28 問題となる変化は認められなかった。心電図(12誘導)では、治験薬貼付2時間後の測定で全例が 正常であった。 M12試験では、バイタルサインの異常の有害事象は認められなかった。血圧、脈拍数について 治験薬貼付前から有効性評価終了時あるいは事後観察日を比較した結果,いずれの検査項目にお いても、臨床上問題となるような変動はなかった。 以上の結果から、本剤を小児伝染性軟属腫患者に対して2枚貼付したとき、バイタルサイン及び 心電図への影響はないと考えた。 2.5.5.2.5 血清中リドカイン濃度 本剤を伝染性軟属腫患者の体幹及び四肢に2枚まで貼付したときの血清中リドカイン濃度は、全 身性の中毒症状発現濃度に比較して低い濃度であること、並びに本剤の分割が薬物動態に影響を 及ぼす可能性は低いことが確認された(「2.5.3 臨床薬理に関する概括評価」参照)。 2.5.5.2.6 死亡、その他の重篤な有害事象、その他の重要な有害事象 すべての試験(M11試験及びM12試験)で死亡例、その他の重篤な有害事象及びその他の重要 な有害事象は認められなかった。 2.5.5.3 本邦における使用実績 2.5.5.3.1 市販後情報 (1) 使用成績調査 1994年12月から連続調査方式による使用成績調査を開始し、1998年3月31日に終了した。 麻酔科領域を中心とした患者3404例と血液透析患者2559例の調査票を回収した。承認時までの 調査と合わせて、安全性評価対象症例6,316例の副作用発現状況をM2.7.4 表2.7.4-14に示した。 副作用発現症例率は、2.14%(135/6,316例)であった。内訳は、「発赤」が1.60%(101/6316例) が最も多く、他に「そう痒感」0.54%(34/6316例)、「接触(性)皮膚炎」0.16%(10/6316例)、「色 素沈着」0.06%(4/6316例)、「皮膚炎」0.05%(3/6316例)などが認められた。 重篤な副作用・感染症の報告はなかった。 (2) 副作用自発報告 本剤市販後(1995年10月5日)から現在(2011年3月)までに収集された副作用自発報告は、98 症例137件であった。 その内、重篤な副作用は7例8件に認められた。重篤な副作用発現症例の詳細情報をM2.7.4 表 2.7.4-21に示した。 重篤な副作用は、15歳以上では「接触性皮膚炎」、「ショック」、「不整脈」が各1例、14歳以下で は、「ショック」が2例、「心肺停止」及び「痙攣、意識変容状態」が各1例、合計7例に認められた。 このうち、死亡例は「不整脈」の1例で、原疾患(てんかん)のために本剤を7年間過量投与(125 枚/日)されていた。当該症例は原疾患に起因すると考えられる痙攣発作、引き続き「不整脈」を 生じ、その後も痙攣発作を繰り返し、最終的に死に至った。また、当該症例は、7年間以上過量投 与されていたものの不整脈は認められておらず、不整脈の発現には直前に認められた、食中毒と 推察される頻回な嘔吐による脱水症状がトリガーとなった可能性が考えられた。他の6例は処置後 に回復あるいは軽快した。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 29 過量投与がリスク要因で発生した可能性のある症例は3例であった。10枚×2/日貼付で「心肺停 止」(年齢:3カ月)、20枚×1/日貼付で「痙攣、意識変容状態」(年齢:4カ月)が発現した2例は、 明らかに過量投与が原因と考えられたが、残る1例は、前述の125枚/日貼付で「不整脈」が発現し た症例であるが、食中毒と推察される症状がトリガーとなった可能性もあり、原因は明らかでは なかった。 ショックを発現した3例のうち2例は、1枚又は3枚貼付後20分以内に発現し、時間経過、貼付枚 数から本剤に対するアレルギー反応の結果発現した可能性が高いと考えられた。残る1例は、本剤 1枚貼付3時間後に発現したが、報告医は貼付後3時間も経過していることから、本剤との関連性に は疑問があるとコメントしている。 以上より、重篤な副作用の発現に繋がると考えられるリスク要因は、過量投与とリドカインに 対するアレルギー反応と考えられた。 非重篤な副作用は129件であり、発生件数の多い事象は「適用部位紅斑」29件、「適用部位そう 痒感」14件、「適用部位皮膚炎」9件、色素沈着障害」が8件及び「接触性皮膚炎」7件及び「適用 部位皮膚剥脱」6件であった。 (3) 小児における使用成績調査及び副作用 再審査調査における本剤の14歳以下の小児の使用成績を表 2.5-19に示した。 小児の症例数185例のうち、本剤2枚を60分以上貼付された症例の内訳は、6歳以上14歳以下で24 例、4、5歳で6例、1歳以上3歳以下で2例であった。 副作用発現症例の詳細をM2.7.4 表2.7.4-18に示した。小児での副作用発現症例率は、麻酔科で 1.09%(2/184例)、血液透析では0例(0/1例)であった。認められた副作用は「適用部位紅斑」(医 師報告名:発赤)及び「適用部位そう痒感」(医師報告名:そう痒感)であり、いずれも軽症であ った。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 30 表 2.5-19小児における年齢別、貼付枚数、貼付時間別の使用成績 6歳以上 男 1 60分未満 20 1歳以上 男 1 60分未満 3 14歳以下 60分以上 50 3歳以下 60分以上 7 計 70 計 10 2 60分未満 0 2 60分未満 0 60分以上 17 60分以上 1 計 17 計 1 計 60分未満 20 計 60分未満 3 60分以上 67 60分以上 8 計 87 計 11 1 60分未満 11 1 60分未満 1 60分以上 44 60分以上 3 計 55 計 4 2 60分未満 2 2 60分未満 0 60分以上 7 60分以上 1 計 9 計 1 計 60分未満 13 計 60分未満 1 60分以上 51 60分以上 4 計 64 計 5 1 60分未満 31 1 60分未満 4 60分以上 94 60分以上 10 計 125 計 14 2 60分未満 2 2 60分未満 0 60分以上 24 60分以上 2 計 26 計 2 計 60分未満 33 計 60分未満 4 60分以上 118 60分以上 12 計 151 計 16 4,5歳 男 1 60分未満 1 合計 男 1 60分未満 24 60分以上 5 60分以上 62 計 6 計 86 2 60分未満 0 2 60分未満 0 60分以上 5 60分以上 23 計 5 計 23 計 60分未満 1 計 60分未満 24 60分以上 10 60分以上 85 計 11 計 109 1 60分未満 2 1 60分未満 14 60分以上 3 60分以上 50 計 5 計 64 2 60分未満 1 2 60分未満 3 60分以上 1 60分以上 9 計 2 計 12 計 60分未満 3 計 60分未満 17 60分以上 4 60分以上 59 計 7 計 76 1 60分未満 3 1 60分未満 38 60分以上 8 60分以上 112 計 11 計 150 2 60分未満 1 2 60分未満 3 60分以上 6 60分以上 32 計 7 計 35 計 60分未満 4 計 60分未満 41 60分以上 14 60分以上 144 計 18 計 185 貼付時間 女 計 女 計 年齢 性別 貼付枚数 女 計 女 計 例数 年齢 性別 貼付枚数 貼付時間 例数
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 31 2.5.5.3.2 文献報告 低年齢の患児を対象に含め、リドカインテープ使用時の安全性を検討した文献の概略を表 2.5-20に示した。いずれにおいても安全性に係る問題は報告されていない。 表 2.5-20 リドカインテープ使用時の安全性(文献報告抜粋) 対象 年齢 例数 貼付 枚数 貼付時間 安全性 文献 43) 静脈 穿刺時 3ヵ月 ~15歳 135例 1枚 30、60、 120分 副作用発現率:4.4(30分群)~8.9(120 分群)% 内訳:発赤、掻痒感、いずれも軽症 であり、同日に消失した。 心 臓 手 術 予定患者 24日 ~10歳 25例 1枚 120分 リドカインテープ剥離後30分の血清 中リドカイン濃度を測定した。 リドカイン血中濃度は、最小値が0.1 μg/mL 未 満 で あ り 、 最 高 値 が 0.8 μg/mLであった。 その他、副作用を認めなかった。 文献 44) 予防接種 時 6ヵ月 ~29ヵ月 11例 1枚 114.1±23.3分 発赤が1例(2件)に認められたが、 同日に消退した。 文献 45) 外科的 処置時 36±24日 36例 1枚又 は2枚 64.9±28.9分 ペンレステープ剥離直後に血清中リ ドカイン濃度を測定した12例(830 g の超未熟児を含む)での測定値はす べて測定限界未満であり、合併症を 認めなかった。 文献 46) 静脈 穿刺時 3~9歳 (プラセ ボ例含む) 25例 1枚 60分 25例中、18例に対して血清中リドカ イン濃度を測定したところ、11例が 測定感度以下(0.1 μg/mL)、4例が 0.2 μg/mL、2例が0.4 μg/mL、1例が1.6 μg/mL(貼付部位に擦過傷あり)で あった。 25例で合併症を認めなかった。 2.5.5.4 海外の情報 海外において、本剤は開発及び市販されていない。 2.5.5.5 安全性の概括評価の結論 小児伝染性軟属腫患者を対象としたすべての試験(M11試験及びM12試験)で死亡例、その他 の重篤な有害事象及びその他の重要な有害事象はなかった。本剤2枚を貼付したM11試験において 有害事象が発現しなかったことにより、本効能追加の用量の上限(1回2枚まで)の安全性が確認 されたと考えられた。本開発で認められた有害事象は、使用成績調査や副作用自発報告で得られ ているプロファイルと異なるものではなく、また、有害事象の重症度はすべて軽度であった。 一方、本効能追加の用法・用量において、QT/QTc間隔の延長及び催不整脈作用を誘発する可能 性は低いと判断された。 よって、本効能追加の用法・用量において、特に臨床的に問題となる所見はみられず、安全性 に問題はないと考えられた。 2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論 本開発の目的は、すでに医療上で広く使用されている本剤の伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に ついて、医療現場で使用されている用法・用量を基にその疼痛緩和効果の効能取得及び安全性を 確認するとともに、推奨用法用量を定めることにある。本効能における本剤のベネフィットとリ スクは以下のとおりである。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 32 2.5.6.1 本剤のベネフィットについて (1) 本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛に対して疼痛緩和効果を有する局所麻酔剤である。 伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果の検証を目的にM12試験を実施した結果、主要評価項目で ある疼痛緩和効果の優劣比較判定における本剤の有効率及び95%信頼区間は83.6%(71.9~91.8%) であり、F分布を仮定した95%信頼区間の下限値が55%を上回っていた。また、符号検定を行った 結果、本剤はプラセボに対して統計学的に有意な差(p<0.0001)を示した。以上より本剤の疼痛 緩和効果が検証された。 (2) 伝染性軟属腫摘除時において全身性の中毒症状が発現するリスクは低い 小児伝染性軟属腫患者を対象とした試験(M11試験及びM12試験)において安全性を確認した。 本剤を2枚貼付したM11試験では、本剤を分割した場合と分割しなかった場合で安全性評価を行 った結果、いずれも有害事象は発現しなかった。血清中リドカイン濃度の最大値は195.7 ng/mLで あり、全身性の中毒症状が発現する濃度(1000 ng/mL)に比較して低い濃度であった。また、本 剤の分割による吸収への影響も認められなかった。 本剤を8分割し、1/2枚貼付したM12試験では因果関係が否定できない有害事象は、「適用部位皮 膚炎」及び「適用部位そう痒感」が各1例1件(1.6%)に認められたが、軽度で一過性の症状であ った。 これらの結果から、伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対して本剤は2枚まで安全に使用でき、か つ分割による安全性への影響はないと考えられた。 (3) 本剤は疾患の状態に応じて簡便に使用することができる 本剤はテープ剤の局所麻酔剤であり、テープ剤の特長として、投与量の把握が容易であること、 及び必要な部位にのみ薬剤を作用させることができることが挙げられる。また、注射剤では血清 中濃度の急上昇を招くが、本剤ではその恐れがなく、また、副作用発現時にはすぐに本剤を除去 するだけで継続したリドカインの暴露を回避できる。 他の外用局所麻酔剤である院内調剤のリドカインクリーム等では、煩雑な密封処置を必要とす るのに対し、本剤はライナーを剥離するだけで使用できるため簡便である。 伝染性軟属腫は、体幹・四肢に15) 散在して小丘疹が多発する14) 疾患であり、本剤は個々の病態 に応じて分割して使用することが可能である。M12試験で、本剤を1/8の小片に分割して有効性評 価を実施した結果、プラセボに対して有意な疼痛緩和効果を示した。また、M11試験では、分割 しても安全に使用できることが確認された。 したがって、本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和措置として、テープ剤の特性を生かした利 便性の高い使用が可能と考える。 2.5.6.2 本剤のリスクについて 本開発では、M11試験及びM12試験で重篤な有害事象は認められず、因果関係が否定できない 有害事象も軽度で一過性のものであった。そのため、本剤の安全性は高く、リスクは低いと考え られる。 その一方で、本剤の有効成分であるリドカインの薬物特性に基づく安全性情報及び本開発の検 討で得られなかった情報については、添付文書等で注意喚起すべき事項と捉えている。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 33 したがって、本項では、本剤のリスクを「添付文書等で注意喚起すべき事項」と定義し、以下 に示した。 (1) リドカインにおける過敏症及びリドカインショックへの注意が必要である リドカイン製剤には、重大な副作用としてショック・アナフィラキシー様症状があることが知 られており、添付文書には禁忌(次の患者には使用しないこと)として「本剤の成分又はアミド 型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者」を記載し、注意喚起を行ってきた。 本剤の製造販売後の自発報告においても、ショックが数件認められており(「M2.7.4.6 市販後 データ」参照)、別途開発中の効能の治験(M519101-03)(2.5.1.4.4、表 2.5-5)では、軽度の膨疹 が発生し、過敏症を疑わせる症例が認められた。 以上のことから、本開発においてはショック・アナフィラキシーは認められなかったものの、 ショック・アナフィラキシーの発現は、投与量に依存するものではないこと、及び症状の重篤性 が高いことから引き続き十分注意喚起する必要がある。 (2) 低年齢患児への投与は注意が必要である 伝染性軟属腫は、3歳をピークとして0~9歳が94.0%を占める17) 。本開発における本剤の適用範 囲は、試験デザイン、有効性評価及び頻回採血への配慮等を考慮し、M11試験では6歳以上を対象 に2枚まで、M12試験では4歳以上を対象に1/2枚相当までとしており、3歳以下の患者に対する有効 性及び安全性についてのデータを取得していない。 一方で、低年齢の患児に対して本剤が使用されている実態があることを鑑み、M11試験の結果 をもとに標準体重を用いて6歳未満の小児に本剤2枚を2時間貼付したときの血清中リドカイン濃 度をシミュレーションした。 1歳児に本剤を2枚貼付しても、血清中リドカイン濃度の最高値は464.8 ng/mLと推定され、全身 性の中毒症状が発現するとされる1000 ng/mLを超えなかった。しかしながら、0歳児のシミュレー ションの結果では1000 ng/mLを超える可能性が示唆された(「2.5.3.2 臨床薬理の評価結果からの 検討」参照)。 これより、過量投与のリスクについて注意喚起が必要であると考え、添付文書の「過量投与」の 項を設けることとした。 2.5.6.3 総合的なベネフィット及びリスク 伝染性軟属腫の治療法として、一般的にトラコーマ鑷子などによる摘除が行われているが、痛 みを伴うため、処置時の疼痛緩和処置が推奨されている。しかしながら、現状では伝染性軟属腫 摘除時の疼痛緩和方法として承認を得ている薬剤はなく、やむを得ず、本剤を含むリドカインテ ープや院内製剤のリドカインクリーム等が適応外で使用されている実態がある。 本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果を有し、また、伝染性軟属腫の病態に応じて分割使 用ができる利便性の高い製剤である。 本効能追加に係る臨床試験では、医療現場での使用実態に準じ、本剤を分割した小片での有効 性を検討し、本剤の疼痛緩和効果が検証された。また、医療現場でのニーズを満たす用量として、 本剤2枚貼付時の薬物動態試験を行った結果、当該用量の安全性が確認された。臨床試験を通じて 認められた副作用は、軽度の適用部位皮膚炎及び適用部位そう痒感が各1例であり、その他、臨床 上問題となる事象は確認されず、本剤の使用に際して安全性に問題はないと考えられた。
ペンレス®テープ18mg 2.5 臨床に関する概括評価 Page 34 一方、リドカインに起因する過敏症又はショック・アナフィラキシー症状、あるいは過量投与 による全身性の中毒症状発現のリスクは否定できないが、本剤はテープ剤であることから伝染性 軟属腫の病態に応じて分割使用することにより必要最小限の用量に調節できること、また、中毒 症状発現時には本剤を剥離することで継続曝露が避けられることからリスクを低減できると考え る。 以上より、本剤は医師の管理下で適切な用法・用量で用いられることにより、伝染性軟属腫摘 除時の疼痛緩和効果を示し、且つ、安全に使用されると考えられ、ベネフィットがリスクを上回 ると判断される。 伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和の効能を有する薬剤はないため、疼痛緩和処置を行わずに摘除 しているケースも少なくないと考えられるが、伝染性軟属腫の治療実態に関するアンケート調査 27) で、現状で疼痛緩和措置を行っていない医師の多く(76.5%)がリドカイン外用剤の使用が保険 適用化(承認)されれば使用すると回答していることを踏まえると、前処置が必要と考える医師 が多いものの、消極的な対応となっていることが窺われる。 医療現場に保険適応下での新たな疼痛緩和措置を提供することで、本剤の適正使用が推進され るとともに、伝染性軟属腫の治療が一層推進されることが期待され、伝染性軟属腫患者に寄与で きるものと考えられる。 2.5.7 参考文献
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