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2.4 非臨床試験の概括評価 乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン ラビピュール筋注用 第 2 部 ( モジュール 2): CTD の概要 ( サマリー ) 2.4 非臨床試験の概括評価 1

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(1)

乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン

ラビピュール筋注用

2 部(モジュール 2):

CTD の概要(サマリー)

2.4 非臨床試験の概括評価

(2)

目次 目次 ... 2 略号表 ... 3 用語の説明 ... 3 2.4 非臨床試験の概括評価 ... 4 2.4.1 非臨床試験計画概略 ... 4 2.4.2 薬理試験 ... 7 2.4.2.1 効力を裏付ける試験 ... 7 2.4.2.2 副次的薬理試験 ... 8 2.4.2.3 安全性薬理試験 ... 8 2.4.2.4 薬力学的薬物相互作用試験 ... 8 2.4.3 薬物動態試験 ... 9 2.4.4 毒性試験 ... 10 2.4.5 総括及び結論 ... 12 2.4.6 参考文献 ... 13

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略号表

略号 省略しない表記 日本語表記

CTD Common Technical Document コモンテクニカルドキュメント CVS Challenge Virus Standard 攻撃ウイルス標準

DEV Duck Embryo Rabies Vaccine アヒル胚細胞狂犬病ワクチン

GLP Good Laboratory Practice 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施 の基準

HDCV Human Diploid Cell Rabies Vaccine ヒト二倍体細胞狂犬病ワクチン LD50 50% Lethal Dose 半数致死量

Novartis Novartis Vaccines and Diagnostics GmbH

NYC New York City ニューヨークシティ SEMPLE Semple Type Rabies Vaccine from

Sheep Brain

羊脳由来狂犬病ワクチン SMBV Suckling Mouse Brain Rabies Vaccine マウス脳由来狂犬病ワクチン

用語の説明 用語 説明 Flury LEP 株 ニワトリ胚初代培養細胞に馴化した狂犬病ウイルス。 固定毒CVS27 株 自然感染動物から分離された狂犬病ウイルス(街上毒)を、動物組織で長期間連続継 代を行うことにより、潜伏期間の短縮・一定化などの性状を変化させた狂犬病ウイル スの一種。 街上毒NYC 株 自然感染動物から分離された狂犬病ウイルスの一種。

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2.4 非臨床試験の概括評価

2.4.1 非臨床試験計画概略

KD-357(以下、本剤)は、凍結乾燥粉末と注射用水で構成され、使用時に溶解して用いる注 射剤である。本剤は、世界的に広く承認され使用されている細胞培養不活化狂犬病ワクチン(販

売名:Rabipur®)と同じものであり、狂犬病ウイルス(Flury LEP 株)をニワトリ胚初代培養細

胞で増殖させ、得られたウイルスをベータプロピオラクトンで不活化した後、しょ糖密度勾配 遠心で濃縮・精製し、安定剤を加え充塡・凍結乾燥した製剤である。 本剤は、狂犬病の予防を目的とするワクチンである。凍結乾燥粉末を添付の溶剤(日本薬局 方注射用水)全量で溶解し、その1.0 mL を 1 回量として、曝露前免疫は適切な間隔をおいて 3 回筋肉内に接種する。曝露後免疫は、適切な間隔をおいて4~6 回筋肉内に接種する。 本剤について実施した非臨床試験一覧を表2.4.1-1 に示す。 薬理試験: 本剤の効力を裏付ける試験として、海外既承認ワクチンを比較対照とした免疫原性試験、曝 露前免疫での発症防御試験及び曝露後免疫での発症防御試験を実施した。

本剤の中和抗体誘導能を評価するために、ヒト二倍体細胞狂犬病ワクチン(Human Diploid Cell

Rabies Vaccine 以下、HDCV)を比較対照とし、マウス及びカニクイザルを用いた免疫原性試験 を実施した。 狂犬病ウイルスCVS27 株に対する曝露前免疫での発症防御能を評価するために、HDCV を比 較対照とし、モルモットを用いた発症防御試験を実施した。 2 つの狂犬病ウイルス(CVS27 株、NYC 株)に対する本剤の曝露後免疫での発症防御能を評 価するために、海外既承認ワクチンであるHDCV、マウス脳由来狂犬病ワクチン(Suckling Mouse

Brain Rabies Vaccine 以下、SMBV)、アヒル胚細胞狂犬病ワクチン(Duck Embryo Rabies Vaccine 以下、DEV)、羊脳由来狂犬病ワクチン(Semple Type Rabies Vaccine from Sheep Brain 以下、 SEMPLE)を比較対照とし、マウス及びモルモットを用いた発症防御試験を実施した。 安全性薬理に関する単独の試験は実施していないが、ウサギ及びラットの反復投与毒性試験 において一般状態を評価した結果、本剤による影響は見られなかった。また、本剤の薬理作用 は他の不活化ワクチンと同様の免疫の付与であり、その機序は比較的理解されていると考えら れる。さらに、本剤は既に海外での臨床使用実績が豊富である。したがって、新たな安全性薬 理試験の実施の必要性は低いと考え、試験を実施しなかった。 薬物動態試験: 本剤は不活化ワクチンであり、その薬理作用である中和抗体の産生は、一般的に考えられて いる体液性免疫の成立と同様の機序であると推察されることから、通常の薬物動態試験で検討 される投与物質の吸収、分布、代謝及び排泄に関する情報を得るために改めて試験を行う必要 性は低いと判断した。また、ワクチン抗原は投与局所若しくは所属のリンパ節で抗原提示細胞 によって処理されることより直接血中に移行しにくく、ワクチン抗原の血中濃度を測定するこ とが困難と考えた。このため、「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン(平成22 年 5 月27 日付け薬食審査発 0527 第 1 号、以下、感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン)」

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にも記載されているように毒性試験において全身曝露量の評価は必要ないと判断した。 毒性試験: 本剤の安全性を評価するために単回投与毒性試験(局所刺激性の評価を含む)、反復投与毒性 試験(局所累積刺激性の評価を含む)及び生殖発生毒性試験(いずれもGLP 適合)を実施した。 これらの試験項目は「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン」において要求されてい る評価項目を満たしている。 試験の動物種には本剤に含有される抗原に対する感受性を有する動物種の中からワクチンの 毒性試験で汎用されているウサギ(単回投与毒性試験、反復投与毒性試験)及びラット(反復 投与毒性試験、生殖発生毒性試験)を選択した。なお、本剤の毒性試験の中で採取した血清を 用いて、本剤の投与により抗体が産生されることをウサギ反復投与毒性試験、ラット反復投与 毒性試験及びラット生殖発生毒性試験の中で確認した(非GLP)。 いずれの試験にも抗原量が2.5 IU 以上の製剤を使用した。投与量は「感染症予防ワクチンの 非臨床試験ガイドライン」を参考に、ウサギの試験では臨床での1 回接種量と同じ 1.0 mL/body とし、ラットの試験では筋肉内に投与可能な0.2 mL/body とした。本剤は臨床では成人に 1.0 mL/dose 接種され、この接種量は本剤が適用される成人の標準的な体重(約 60 kg)を基に 換算すると0.017 mL/kg に相当する。このため、ウサギ単回投与毒性試験及びウサギ反復投与毒 性試験の投与量1.0 mL/body はウサギの体重(約 3 kg)当たりに換算すると 0.33 mL/kg になり、 これは成人への接種量の約19 倍に相当する。同様に、ラット反復投与毒性試験の投与量 0.2 mL/body はラットの体重(雄で約 400 g まで)当たりに換算すると 0.50 mL/kg になり、成人 への接種量の約29 倍に相当する。また、ラット生殖発生毒性試験では雌性生殖能を評価し、妊 娠ラットの体重(約400 g)当たりに換算すると 0.50 mL/kg になり、これは成人女性の 8 割以上 が含まれる体重幅の最小体重を約45 kg とすると成人女性への接種量(0.022 mL/kg)の約 23 倍 に相当する。なお、初回投与時に2 mL/body 投与する場合には体重換算で 0.033 mL/kg となるた め、各試験の投与量の体重換算比は上述の半分になる。 また、本剤は臨床で間歇筋肉内接種されることを考慮し、反復投与毒性試験及び生殖発生毒 性試験ともに間歇筋肉内投与とした。反復投与毒性試験では、本剤は臨床で曝露後免疫スケジ ュールにおいて4~6 回筋肉内接種されるため、同一部位への 6 回筋肉内投与で評価し、局所累 積刺激性も評価した。

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表2.4.1-1 本剤の非臨床試験一覧 試験 試験番号 表題 公表雑誌 名等 CTD 記載箇所 免疫原性試験 発症防御試験

― Purified Chick Embryo Cell (PCEC) Rabies Vaccine for Human Use. Laboratory Data

Novartis

資料 4.2.1.1.1

― Postexposure Vaccine Treatment Trials in Mice with Inactivated Rabies Vaccine

Novartis

資料 4.2.1.1.2

Comparative Evaluation of PCEC and HDCV. ・A New Inactivated Tissue Culture Rabies Vaccine for Use in Man - Evaluation of PCEC-vaccine by Laboratory Tests

Purified Chick Embryo Cell (PCEC) Rabies Vaccine for Human Use: Laboratory Data

Novartis

資料 4.2.1.1.3

― Post-Exposure Vaccine Treatment Trials in Mice with Inactivated Rabies Vaccine

Novartis

資料 4.2.1.1.4

A new inactivated tissue culture rabies vaccine for use in man. Evaluation of PCEC-vaccine by laboratory tests J Biol Stand 4.2.1.1.5 単回投与 毒性試験 501464

Rabies Vaccine Formulations Single Dose Intramuscular Toxicity Study of Rabies Vaccine Formulations in New Zealand White Rabbits [施設名] Novartis 資料 4.2.3.1.1 反復投与 毒性試験 P130647

Six-Week Repeated Intermittent Intramuscular Dose Toxicity Study of KD-357 in Rabbits Followed by a 2-Week Recovery Period

[施設名]

所内

資料 4.2.3.2.1

P150001

Four-Week Repeated Intermittent Intramuscular Dose Toxicity Study of KD-357 in Rats Followed by a 4-Week Recovery Period

[施設名]

所内

資料 4.2.3.2.2

生殖発生毒性試験

P130649

Study of the Effects of KD-357 on Fertility,

Embryo-Fetal Development and Pre-and Postnatal Development, Including Maternal Function by Intermittent Intramuscular Injection in Rats [施設名] 所内 資料 4.2.3.5.1.1 4.2.3.5.2.1 4.2.3.5.3.1 P130647

Six-Week Repeated Intermittent Intramuscular Dose Toxicity Study of KD-357 in Rabbits Followed by a 2-Week Recovery Period

[施設名]

所内

資料 4.2.3.5.1.2

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2.4.2 薬理試験 2.4.2.1 効力を裏付ける試験 (1)免疫原性試験 1)マウスを用いた免疫原性試験 マウスに1 回量を 1 mL として本剤又は HDCV を単回、もしくは 1 回量を 0.5 mL として本剤 又はHDCV を反復(0、7 日目)皮下投与した。その結果、検出可能なレベルの抗体が投与から 14 日後に誘導された。ワクチンの種類及びワクチンの力価の違いによる中和抗体の差は見られ なかった。 2)カニクイザルを用いた免疫原性試験 カニクイザルに1 回量を 1 mL として本剤又は HDCV をそれぞれ単回及び反復(0、3、7、14、 30、90 日目)筋肉内投与した。その結果、初回投与 7 日後には、全てのサルで検出可能なレベ ルの中和抗体が誘導された。初回投与30 日後では単回投与群よりも反復投与群でより高い中和 抗体が誘導された。 (2)固定毒 CVS27 株を用いた発症防御(曝露前免疫)試験 モルモットに1 回量を 1 mL として 3 段階希釈(ヒトへの接種量の 1/5、1/25、1/125 量)した

本剤又はHDCV を単回皮下投与した。投与 31 日後に、CVS27 株を 106.0 ICLD (IntraCerebral Lethal Dose)50/dose で筋肉内投与した。また、初回投与 28 日後に Standard mouse neutralization test(SMNT)

にて中和抗体を測定した。その結果、ヒトへの接種量の1/125 量の HDCV を投与したモルモッ トのみ生存率が50%であったが、残りの全てのモルモットは CVS27 株による発症から防御され た。一方、Control 群の生存率は 0%であった。これら生存率は、攻撃前の抗体価と相関した。 (3)固定毒 CVS27 株を用いた発症防御(曝露後免疫)試験 1)マウスを用いた発症防御(曝露後免疫)試験 マウスにCVS27 株を 1.5 MLD50/dose 又は 20 MLD50/dose で筋肉内投与した後、1 回量を 0.2 mL として本剤、HDCV、SMBV 又は安定剤を 3 時間、1、2、3、4 日後に筋肉内投与した。CVS27 株を1.5 MLD50/dose で投与し曝露後免疫を実施した結果、本剤群の 50%~56%、HDCV 群の 50%、 SMBV 群の 25%が生存した。一方、安定剤群では 12%が生存した。同様に、CVS27 株を 20 MLD50/dose で投与し曝露後免疫を実施した結果、いずれの群でも生存率は 0%であった。 2)モルモットを用いた発症防御(曝露後免疫)試験 モルモットにCVS27 株を 1.5 MLD50/dose で筋肉内投与した後、1 回量を 0.5 mL として本剤、 HDCV、SMBV 又は安定剤を 3 時間、1、2、3、4 日後に筋肉内投与した。その結果、本剤群の 60%、HDCV 群の 10%、SMBV 群の 20%が生存した。一方、安定剤群では 10%が生存した。 (4)街上毒 NYC 株を用いた発症防御(曝露後免疫)試験

マウスにNYC 株を 5 LD50/dose で筋肉内投与した後、1 回量を 0.2 mL(SEMPLE は 0.6 mL) HDCV、SMBV 又は安定剤を 3 時間、1、2、3、4 日後又は本剤、HDCV、DEV、

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SEMPE 又は安定剤を 1、2、3、4、7 日後に筋肉内投与した。その結果、本剤群の 50%~93%、 HDCV 群の 25%~75%、DEV 群の 75%、SMBV 群の 25%、SEMPLE 群の 31%が生存した。一 方、安定剤群では0%~25%が生存した。 2.4.2.2 副次的薬理試験 本剤の有効成分は不活化された狂犬病ウイルス(Flury LEP 株)抗原であり、本剤の薬理作用 である中和抗体の産生は、一般的に考えられている体液性免疫の成立と同様の機序であると推 察される。薬理作用の観点からは本剤の副作用予測のための新たな検討は必要ないと判断した。 なお、本剤の毒性試験でも投与局所反応及び投与局所反応に起因すると考えられる変化以外 は認められなかった。また、臨床試験でも主な副作用は投与局所反応であり、改めて副次的薬 理試験が必要と考えられる副作用はなかった。 以上のように、本剤の薬理作用機序、実施された非臨床試験の結果並びに臨床試験の結果の いずれにおいても副次的薬理試験が必要と考えられる所見がなかったため、試験を実施しなか った。 2.4.2.3 安全性薬理試験 本剤の有効成分は不活化された狂犬病ウイルス(Flury LEP 株)抗原であり、本剤の薬理作用 である中和抗体の産生は、一般的に考えられている体液性免疫の成立と同様の機序であると推 察される。このように本剤の薬理作用は比較的よく理解されていると考えられ、さらに、本剤 は既に海外での臨床使用実績が豊富である。このため、独立した試験は実施しなかった。なお、 ウサギ及びラットの反復投与毒性試験においても中枢神経系に対する影響を示唆する所見は見 られなかった。 2.4.2.4 薬力学的薬物相互作用試験 本剤は不活化された狂犬病ウイルス(Flury LEP 株)抗原を主成分とした凍結乾燥粉末を添付 の注射用水で溶解したワクチンであり、毒性試験では本剤による毒性は認められていない。ま た、本剤の臨床試験において、他剤との薬物相互作用の検討が必要であると考えられるような 副作用は確認されていないことより、本剤と他剤の相互作用を検討する必要性は低いと判断し、 試験を実施しなかった。

(9)

2.4.3 薬物動態試験 本剤の有効成分は不活化された狂犬病ウイルス(Flury LEP 株)抗原であり、本剤の薬理作用 である中和抗体の産生は、一般的に考えられている体液性免疫の成立と同様の機序であると推 察されることから、通常の薬物動態試験で検討される投与物質の吸収、分布、代謝及び排泄に 関する情報を得るために改めて試験を行う必要性は低いと判断した。また、ワクチン抗原は投 与局所若しくは所属のリンパ節で抗原提示細胞によって処理されることより直接血中に移行し にくく、ワクチン抗原の血中濃度を測定することが困難と考えた。このため、「感染症予防ワク チンの非臨床試験ガイドライン」にも記載されているように毒性試験において全身曝露量の評 価は必要ないと判断した。

(10)

2.4.4 毒性試験 いずれの試験も「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9 年 3 月 26 日付け厚生省令第 21 号)を遵守して実施した。 (1)単回投与毒性試験 ウサギに本剤の1.0 mL/body(体重換算で予定臨床用量の約 19 倍量)を単回筋肉内投与(左 右の大腿部に0.5 mL/site)し、投与後 2 及び 14 日目に剖検した。その結果、本剤の筋肉内投与 による概略の致死量は1.0 mL/body 超であった。一般状態、投与部位の観察、体重、摂餌量、体 温、眼科学的検査、血液生化学的検査及び器官重量では雌雄ともに本剤の投与に起因した変化 は認められなかった。血液学的検査では投与後2 日目にフィブリノゲンの高値が見られたが、 投与後14 日目には回復した。病理組織学的検査では投与後 2 日目には投与部位の筋炎及び炎症 性細胞浸潤が見られたが、投与後14 日目には回復傾向が見られた。これらの変化以外に全身性 の毒性変化は見られなかった。 (2)反復投与毒性試験 1)ウサギ反復投与毒性試験 ウサギに本剤の1.0 mL/body(体重換算で予定臨床用量の約 19 倍量)を 1 週間間隔で 5 回投 与し、5 回目投与 2 週後に更に 1 回の計 6 回筋肉内投与した。陰性対照として生理食塩液を同 様に筋肉内投与した。最終投与後2 日目の剖検では異常は認められず、病理組織学的検査では 雌雄ともに投与部位にリンパ球及び偽好酸球の浸潤が見られた。一般状態、体重、摂餌量、体 温、尿検査、眼科学的検査、血液学的検査、血液生化学的検査及び器官重量では雌雄ともに本 剤の投与に起因した変化は認められなかった。2 週間の休薬期間終了後には、本剤の投与部位 の病理組織学的変化は継続していたが、投与期間終了時に比べ、程度及び発生率共に回復傾向 を示した。これらの投与局所反応はいずれもワクチン投与で予測される変化であることより、 無毒性量は1.0 mL/body(予定臨床用量と同じ)と判断した。 2)ラット反復投与毒性試験 ラットに本剤の0.2 mL/body(体重換算で予定臨床用量の約 29 倍量)を 0、3、7、14、21、28 日の計6 回筋肉内投与(左右の大腿部に 0.1 mL/site)した。陰性対照として生理食塩液を同様 に筋肉内投与した。最終投与後2 日目の剖検では異常は認められず、病理組織学的検査では雌 雄ともに投与部位にごく軽度から軽度のリンパ球及び組織球の浸潤が見られた。また、所属リ ンパ節(鼠径、膝窩)において免疫反応に起因したリンパ濾胞の過形成が見られた。一般状態、 投与部位の観察、体重、摂餌量、尿検査、眼科学的検査、血液学的検査、血液生化学的検査及 び器官重量では雌雄ともに本剤の投与に起因した変化は認められなかった。4 週間の休薬期間 終了後には、投与部位及びリンパ節の変化は回復傾向を示した。これらの投与局所反応及び投 与に起因する免疫反応はいずれもワクチン投与で予測される変化であることより、無毒性量は 0.2 mL/body と判断した。

(11)

(3)遺伝毒性試験 「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン」に従い、試験は実施しなかった。 (4)がん原性試験 「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン」に従い、本剤の用法は接種回数が限定さ れているため、がん原性試験は必要ないと判断し、実施しなかった。 (5)生殖発生毒性試験 雌性生殖能の評価としてラットに本剤の0.2 mL/body(体重換算で予定臨床用量の約 23 倍量) を、交配前28、14 日及び妊娠 0、6、12、17 日、哺育 7 日に大腿部筋肉内に投与した(合計 7 回)。陰性対照として生理食塩液0.2 mL/body を本剤と同様に筋肉内投与した。妊娠 20 日目に帝 王切開して胎児を検査した結果、催奇形性は認められなかった。また、一部の母動物を哺育21 日目まで飼育して剖検した結果、母体機能への影響は認められず、これらの母動物の出生児の 身体的発達及び行動機能等について評価した結果、出生児の発達への影響は認められなかった。 また、雄性生殖能についてはウサギ反復投与毒性試験の中で評価した。性成熟した雄性動物 を用いて、生殖器を病理検査した。6 週間間歇投与した最終投与後 2 日目及び 2 週目に剖検し、 精巣、精巣上体、前立腺及び精嚢について病理検査を実施した。その結果、各器官の剖検、器 官重量及び病理組織検査に異常は見られず、雄性生殖器への影響を懸念する所見は認められな かった。 (6)局所刺激性試験 筋肉内投与時の刺激性を上記のウサギ単回投与毒性試験及びウサギ反復投与毒性試験により 検討した。 単回投与毒性試験では、本剤の1.0 mL/body(予定臨床用量)をウサギの左右の大腿部に 0.5 mL/site ずつ 1 回投与し、投与後 2 及び 14 日目に解剖して投与部筋肉の変化を肉眼的及び病 理組織学的に評価した。その結果、投与後2 日目に筋炎、炎症性細胞浸潤及び出血が見られた が、投与後14 日目には回復傾向が見られた。 反復投与毒性試験では、本剤の1.0 mL/body(予定臨床用量)をウサギの左の大腿部の同一部 位に1 週間間隔で 5 回投与し、5 回目投与 2 週後に更に 1 回の計 6 回筋肉内投与した。最終投 与後2 及び 14 日目に解剖して投与部筋肉の変化を肉眼的及び病理組織学的に評価した。その結 果、本剤では最終投与後2 日目に軽度の炎症性細胞浸潤が見られた。最終投与後 14 日目でも炎 症性細胞浸潤は持続していたが、変化の程度や発生率は軽減傾向にあった。

(12)

2.4.5 総括及び結論 本剤の効力を裏付ける試験として、海外既承認ワクチンを比較対照とした免疫原性試験、曝 露前免疫での発症防御試験及び曝露後免疫での発症防御試験を実施した。 本剤の中和抗体誘導能を評価するために、海外既承認ワクチン(HDCV)を比較対照とし、 マウス及びカニクイザルを用いた免疫原性試験を実施した。その結果、HDCV と同様、本剤を 1 回投与することで検出可能なレベルの中和抗体が誘導され、反復投与することでより高い中 和抗体が誘導されることが示された。 狂犬病ウイルス(固定毒CVS27 株)曝露前免疫での発症防御能を評価するために、HDCV を 比較対照とし、モルモットを用いた発症防御試験を実施した。その結果、本剤はHDCV と同等 以上の発症防御(曝露前免疫)能を有すると考えられた。 2 つの狂犬病ウイルス(固定毒 CVS27 株、街上毒 NYC 株)に対する本剤の曝露後免疫での 発症防御能を評価するために、海外既承認ワクチン(HDCV、SMBV、DEV、SEMPLE)を比較 対照とし、マウス及びモルモットを用いた発症防御試験を実施した。その結果、本剤は海外既 承認ワクチンと同等以上の発症防御(曝露後免疫)能を有すると考えられた。 毒性試験ではウサギ単回投与毒性試験、ウサギ及びラットの反復投与毒性試験並びにラット 生殖発生毒性試験を実施した。単回投与毒性試験及び反復投与毒性試験では本剤投与による投 与局所反応及び投与局所反応に起因すると考えられる変化が認められたが、いずれも不活化ワ クチン投与で予測される変化であり、毒性を示唆する所見はなかった。また、生殖発生毒性試 験でも異常は認められなかった。局所刺激性の評価においてウサギ単回筋肉内投与及び同一部 位へのウサギ反復筋肉内投与で検討した結果、本剤による投与局所反応は炎症性細胞浸潤を主 徴とする変化であった。しかし、強い刺激性はなく、回復期間中に変化の回復性も見られ、本 剤により惹起される投与局所反応はワクチンとして許容され得るものと考えられた。実際に本 剤の臨床試験において認められた投与局所反応は容認されるものであった。 このように、本剤は投与局所反応及び投与局所反応に起因すると考えられる変化が認められ るものの、今回実施した試験の投与量の範囲では毒性を示さないことより、非臨床安全性評価 の観点からは本剤を予定された用法・用量において使用する限りでは、本剤について特別に注 意を喚起すべき事項はない。 以上のことより、本剤を予定される用法・用量の範囲で使用する限りでは、狂犬病の予防が 期待でき、投与局所反応が惹起されるものの、それ以外には安全性上の問題はないと考えた。

(13)

2.4.6 参考文献 該当なし。

表 2.4.1-1  本剤の非臨床試験一覧  試験 試験番号 表題 公表雑誌 名等 CTD  記載箇所 免疫原性試験発症防御試験

参照

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