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2.5 臨床に関する概括評価

2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論

本開発の目的は、すでに医療上で広く使用されている本剤の伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に ついて、医療現場で使用されている用法・用量を基にその疼痛緩和効果の効能取得及び安全性を 確認するとともに、推奨用法用量を定めることにある。本効能における本剤のベネフィットとリ スクは以下のとおりである。

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2.5.6.1 本剤のベネフィットについて

(1) 本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛に対して疼痛緩和効果を有する局所麻酔剤である。

伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果の検証を目的にM12試験を実施した結果、主要評価項目で ある疼痛緩和効果の優劣比較判定における本剤の有効率及び95%信頼区間は83.6%(71.9~91.8%)

であり、F分布を仮定した95%信頼区間の下限値が55%を上回っていた。また、符号検定を行った 結果、本剤はプラセボに対して統計学的に有意な差(p<0.0001)を示した。以上より本剤の疼痛 緩和効果が検証された。

(2) 伝染性軟属腫摘除時において全身性の中毒症状が発現するリスクは低い

小児伝染性軟属腫患者を対象とした試験(M11試験及びM12試験)において安全性を確認した。

本剤を2枚貼付したM11試験では、本剤を分割した場合と分割しなかった場合で安全性評価を行 った結果、いずれも有害事象は発現しなかった。血清中リドカイン濃度の最大値は195.7 ng/mLで あり、全身性の中毒症状が発現する濃度(1000 ng/mL)に比較して低い濃度であった。また、本 剤の分割による吸収への影響も認められなかった。

本剤を8分割し、1/2枚貼付したM12試験では因果関係が否定できない有害事象は、「適用部位皮 膚炎」及び「適用部位そう痒感」が各1例1件(1.6%)に認められたが、軽度で一過性の症状であ った。

これらの結果から、伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対して本剤は2枚まで安全に使用でき、か つ分割による安全性への影響はないと考えられた。

(3) 本剤は疾患の状態に応じて簡便に使用することができる

本剤はテープ剤の局所麻酔剤であり、テープ剤の特長として、投与量の把握が容易であること、

及び必要な部位にのみ薬剤を作用させることができることが挙げられる。また、注射剤では血清 中濃度の急上昇を招くが、本剤ではその恐れがなく、また、副作用発現時にはすぐに本剤を除去 するだけで継続したリドカインの暴露を回避できる。

他の外用局所麻酔剤である院内調剤のリドカインクリーム等では、煩雑な密封処置を必要とす るのに対し、本剤はライナーを剥離するだけで使用できるため簡便である。

伝染性軟属腫は、体幹・四肢に15)散在して小丘疹が多発する14)疾患であり、本剤は個々の病態 に応じて分割して使用することが可能である。M12試験で、本剤を1/8の小片に分割して有効性評 価を実施した結果、プラセボに対して有意な疼痛緩和効果を示した。また、M11試験では、分割 しても安全に使用できることが確認された。

したがって、本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和措置として、テープ剤の特性を生かした利 便性の高い使用が可能と考える。

2.5.6.2 本剤のリスクについて

本開発では、M11試験及びM12試験で重篤な有害事象は認められず、因果関係が否定できない 有害事象も軽度で一過性のものであった。そのため、本剤の安全性は高く、リスクは低いと考え られる。

その一方で、本剤の有効成分であるリドカインの薬物特性に基づく安全性情報及び本開発の検 討で得られなかった情報については、添付文書等で注意喚起すべき事項と捉えている。

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したがって、本項では、本剤のリスクを「添付文書等で注意喚起すべき事項」と定義し、以下 に示した。

(1) リドカインにおける過敏症及びリドカインショックへの注意が必要である

リドカイン製剤には、重大な副作用としてショック・アナフィラキシー様症状があることが知 られており、添付文書には禁忌(次の患者には使用しないこと)として「本剤の成分又はアミド 型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者」を記載し、注意喚起を行ってきた。

本剤の製造販売後の自発報告においても、ショックが数件認められており(「M2.7.4.6 市販後 データ」参照)、別途開発中の効能の治験(M519101-03)(2.5.1.4.4、表 2.5-5)では、軽度の膨疹 が発生し、過敏症を疑わせる症例が認められた。

以上のことから、本開発においてはショック・アナフィラキシーは認められなかったものの、

ショック・アナフィラキシーの発現は、投与量に依存するものではないこと、及び症状の重篤性 が高いことから引き続き十分注意喚起する必要がある。

(2) 低年齢患児への投与は注意が必要である

伝染性軟属腫は、3歳をピークとして0~9歳が94.0%を占める17)。本開発における本剤の適用範 囲は、試験デザイン、有効性評価及び頻回採血への配慮等を考慮し、M11試験では6歳以上を対象 に2枚まで、M12試験では4歳以上を対象に1/2枚相当までとしており、3歳以下の患者に対する有効 性及び安全性についてのデータを取得していない。

一方で、低年齢の患児に対して本剤が使用されている実態があることを鑑み、M11試験の結果 をもとに標準体重を用いて6歳未満の小児に本剤2枚を2時間貼付したときの血清中リドカイン濃 度をシミュレーションした。

1歳児に本剤を2枚貼付しても、血清中リドカイン濃度の最高値は464.8 ng/mLと推定され、全身 性の中毒症状が発現するとされる1000 ng/mLを超えなかった。しかしながら、0歳児のシミュレー ションの結果では1000 ng/mLを超える可能性が示唆された(「2.5.3.2 臨床薬理の評価結果からの 検討」参照)。

これより、過量投与のリスクについて注意喚起が必要であると考え、添付文書の「過量投与」の 項を設けることとした。

2.5.6.3 総合的なベネフィット及びリスク

伝染性軟属腫の治療法として、一般的にトラコーマ鑷子などによる摘除が行われているが、痛 みを伴うため、処置時の疼痛緩和処置が推奨されている。しかしながら、現状では伝染性軟属腫 摘除時の疼痛緩和方法として承認を得ている薬剤はなく、やむを得ず、本剤を含むリドカインテ ープや院内製剤のリドカインクリーム等が適応外で使用されている実態がある。

本剤は伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和効果を有し、また、伝染性軟属腫の病態に応じて分割使 用ができる利便性の高い製剤である。

本効能追加に係る臨床試験では、医療現場での使用実態に準じ、本剤を分割した小片での有効 性を検討し、本剤の疼痛緩和効果が検証された。また、医療現場でのニーズを満たす用量として、

本剤2枚貼付時の薬物動態試験を行った結果、当該用量の安全性が確認された。臨床試験を通じて 認められた副作用は、軽度の適用部位皮膚炎及び適用部位そう痒感が各1例であり、その他、臨床 上問題となる事象は確認されず、本剤の使用に際して安全性に問題はないと考えられた。

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一方、リドカインに起因する過敏症又はショック・アナフィラキシー症状、あるいは過量投与 による全身性の中毒症状発現のリスクは否定できないが、本剤はテープ剤であることから伝染性 軟属腫の病態に応じて分割使用することにより必要最小限の用量に調節できること、また、中毒 症状発現時には本剤を剥離することで継続曝露が避けられることからリスクを低減できると考え る。

以上より、本剤は医師の管理下で適切な用法・用量で用いられることにより、伝染性軟属腫摘 除時の疼痛緩和効果を示し、且つ、安全に使用されると考えられ、ベネフィットがリスクを上回 ると判断される。

伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和の効能を有する薬剤はないため、疼痛緩和処置を行わずに摘除 しているケースも少なくないと考えられるが、伝染性軟属腫の治療実態に関するアンケート調査

27)で、現状で疼痛緩和措置を行っていない医師の多く(76.5%)がリドカイン外用剤の使用が保険 適用化(承認)されれば使用すると回答していることを踏まえると、前処置が必要と考える医師 が多いものの、消極的な対応となっていることが窺われる。

医療現場に保険適応下での新たな疼痛緩和措置を提供することで、本剤の適正使用が推進され るとともに、伝染性軟属腫の治療が一層推進されることが期待され、伝染性軟属腫患者に寄与で きるものと考えられる。

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