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ガス拡散型酸素電極に用いる窒素ドープカーボン複 合触媒に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ガス拡散型酸素電極に用いる窒素ドープカーボン複 合触媒に関する研究

立花, 直樹

https://doi.org/10.15017/4060203

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式3)Form 3

氏 名 :立花 直樹

論 文 名 :ガス拡散型酸素電極に用いる窒素ドープカーボン複合触媒に関する研究 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

金属空気電池は正極活物質である酸素を内含する必要がないため,その理論エネルギー密度が極 めて大きく,自動車や電子機器の次世代の電源としての応用が期待されている.金属空気電池の正 極にはガス拡散型電極が使用され,放電時には酸素還元反応が進行するが,その反応性の低さが金 属空気電池のエネルギー変換効率を下げる主な要因となっている.白金や白金合金の微粒子をカー ボンに担持した触媒は高い酸素還元活性を示すが,貴金属を用いた触媒はコストが高く,用途が限 られている.

このような状況の中で,材料コストの低い触媒として窒素ドープカーボンが最近注目されている.

窒素ドープカーボンは,窒素原子に隣接した炭素原子に非対称な電荷分布を生じることにより,比 較的高い酸素還元活性を示す.また,この窒素ドープカーボンを担体として用いると,電子伝導の パスとなるだけでなく,白金や白金合金の微粒子等の担持物との相乗効果によって触媒活性がさら に向上することが近年報告されている.

そこで本研究では,窒素ドープカーボンと,貴金属を使用しない触媒の中で比較的,高い活性を 示すことが知られているペロブスカイト型酸化物微粒子を取り上げ,ガス拡散電極の過電圧を低減 させることを主な目的とし,活性が高くかつ電池作動条件下で安定なガス拡散型電極用の窒素ドー プカーボン複合触媒の材料設計について検討した.

第1章では,金属空気電池の特徴やガス拡散型電極について記述し,使用されている酸素還元触 媒の研究状況や問題点について概説した.

第2章では,窒素ドープポーラスカーボン触媒の調製条件を検討した.窒素ドープポーラスカー ボンは熱処理法によって合成した.その窒素濃度は,炭素源として用いたカーボンブラックに予め 硝酸前処理を施して酸素官能基を導入することで,大幅に増加した.窒素源として用いたシアナミ

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ドは550℃で 4時間の加熱を行うことにより重縮合反応が進行し、カーボンナイトライドへと変化 した.これをさらに加熱して 800—1100℃で熱分解して窒素を含むフラグメントを発生させると,

カーボン表面に窒素がドープされるだけでなく,一次粒子間がエッチングされて細孔容積および比 表面積が増大することが,細孔構造解析により明らかになった.

第3章では,窒素ドープポーラスカーボン触媒の酸素還元活性およびガス拡散型電極の特性を評 価 し た . 合 成 し た 窒 素 ド ー プ ポ ー ラ ス カ ー ボ ン の 比 表 面 積 で 規 格 化 し た 酸 素 還 元 電 流 値 は quaternary Nの濃度に比例したことから,その活性サイトはquaternary Nによって形成されてい ることが示唆された.窒素ドープポーラスカーボンを用いたガス拡散型電極は高電流密度にわたっ て電流密度の対数と電位との間に直線関係が確認できたことから,その反応は電荷移動が律速とな っていると考えられた。また,その発達した細孔によって電極内部における物質拡散が円滑に進ん でいることが確認された.

第4章では複合触媒に用いるペロブスカイト型酸化物微粒子触媒について検討した.逆ミセル法 によってLaMnO3,LaFeO3,La1−xCaxMn0.9Fe0.1O3を合成した.La1−xCaxMn0.9Fe0.1O3は粒子径が 10—30 nm でカーボン上に高分散担持され,活性サイトとなる表面のMnが Ca 置換により高い酸 化状態にシフトすることによって酸素還元活性が向上することがわかった.また,逆ミセル法では 合成できない LaCoO3をアモルファスリンゴ酸錯体法(AMP 法)によって合成し,低エネルギー ビーズミルによる分散処理を施した.LaCoO3はミル処理によって77 nmの平均凝集体サイズで分 散し,処理前(698 nm)と比較して小さくなって触媒活性が大きく改善されたが,さらなる微粒子 化のためには合成法や条件の検討が必要であることがわかった.

第5章では窒素ドープポーラスカーボン触媒とペロブスカイト型酸化物微粒子触媒との複合触媒 を調製し,その酸素還元活性およびガス拡散型電極の特性を評価した.逆ミセル法により合成した La0.4Ca0.6Mn0.9Fe0.1O3(LCMF)/窒素ドープポーラスカーボンは LCMF/カーボンブラックおよび 窒素ドープポーラスカーボンと比較して,活性が大幅に向上した.このことから,LCMF微粒子と 窒素ドープポーラスカーボンとを複合させることで相乗効果が得られることがわかった.一方,

AMP法により合成したLCMF粒子は凝集しており,これを窒素ドープポーラスカーボンと複合し た触媒は窒素ドープポーラスカーボンのみとほとんど活性に変化が見られなかった.したがって,

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LCMF 粒子の分散性が LCMF/窒素ドープポーラスカーボンの酸素還元活性に大きく影響している ことが明らかになった.逆ミセル法により合成したLCMF/窒素ドープポーラスカーボンを用いたガ ス拡散型電極は,白金/カーボンブラックを用いた電極に匹敵する性能を示し,300 mA cm−2の定電 流試験においても 50 時間もの間,電位がほとんど変化せずに安定であった.これらの結果より,

LCMF/窒素ドープポーラスカーボンは活性および安定性の両面からガス拡散型電極用の酸素還元

触媒として優れていることが明らかになった.

第6章では,本研究で得られた結果を総括し,ガス拡散型電極用の窒素ドープカーボンを用いた 複合触媒の将来展望についてまとめた.

参照

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