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窒素循環には、窒素固定、脱窒、硝化、亜硝酸酸化、そして

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Academic year: 2021

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嫌気性アンモニア酸化活性を示す北浦堆積物メタゲノムの代謝機能比較解析

生命科学専攻 村上 由夏

Comparative metagenomic analyses on metabolism of anammox active and less active sites

in the eutrophic Lake Kitaura using MAPLE system

Department of Biological Sciences, Yuka Murakami

[研究背景・目的]

窒素の供給は地球上の一次生産を決定していると考えられており、 生物化学的窒素循環は微生物が担っている。

窒素循環には、窒素固定、脱窒、硝化、亜硝酸酸化、そして

anammox

が主に関与しており、各プロセスでの主 要な酵素が推定されている。とはいえ、いかなる環境でも、これらの反応のすべてが

comparable

な程度で働い ているとは限らず、むしろ個々の環境においてひとつひとつの微生物反応に強弱があると考えるべきであろう。

これらの窒素循環代謝プロセスの中でもっとも新しく知られるようになったのが

anammmox

であり、このプ ロセスは工業的にも注目されている。

anammox

と脱窒は亜硝酸を窒素に還元する代謝であり、その点では共通 している。脱窒活性は、世界のあらゆる場所で発見されており、その分布の普遍性は広く認められている。一方、

anammox

のカギ遺伝子はさまざまな場所で検出されてきたが、われわれの研究グループは、顕著な活性が検出

される地点や地域は限られ、その分布は限定的であろうと考えており、実際にそれを示した。霞ヶ浦・北浦にお

いて、

anammox

活性の水平分布を調査した結果、anammox 活性が恒常的に保持される地点(

KU3

地点など)

が発見され、その活性を担う

anammox

細菌群集が特定された(Yoshinaga et al., 2011 ) 。

Anammox

活性は、北浦北端の鉾田市で流入する窒素負荷に由来する湖水中硝酸塩濃度が高い

KU3

地点で最

も高く、北浦での流れにしたがって南下するにつれて

anammox

活性が低くなり、KU4 地点は弱い活性が検出 されたものの、さらに南に位置する

KU6

地点では、ほとんど活性は検出されなかった。一方、脱窒活性はいず れの地点でも高く保たれたものの、

KU3

地点では、

anammox

活性の約

1.7

倍程度と、他の地点に比べると、相 対活性は圧倒的に低かった。このような

anammox

のホットスポットがなぜ永続的に存在するのか、また、地点 ごとで潜在的な

N2

生成での両者の貢献度の違いが何によってもたらされているのかは不明である。

本研究では従来の

PCR

を用いた個別遺伝子の解析ではなく、全ての遺伝子を対象として解析を行う「環境メタ ゲノム解析」を用いる。従来、16S rRNA 遺伝子などの機能遺伝子を検出することで微生物の群集構造を推定し ているが、

PCR

で増幅する際にバイアスがかかってしまうこと、また、

16S rRNA

遺伝子は微生物種によってコ ピー数が異なる場合が多いため、微生物の

population

(どの微生物が、どの程度存在するか)推定することは困 難である。この問題点について、

PCR

を行わずに直接シークエンスを行った環境メタゲノムから、シングルコピ ー遺伝子であるリボソームタンパク質モジュールを同定し、 その配列数を用いることで、 従来用いられていた

16S rRNA

遺伝子では推定することができなかった各微生物の

population

を推定することができる。さらに、高見ら が開発した

metabolic and physiological potential evaluator

MAPLE)システム(Takami et al.,2012)を用

いることで、ある機能遺伝子をみるだけでなく、代謝全体がどの程度のポテンシャルが存在するか、を推定する ことができる。MAPLE システムはゲノム、もしくはメタゲノム中の遺伝子のアミノ酸配列を

KEGG

モジュー ル(

Kaneshisa et al.,2008)にマッピングを行い、モジュールの充足率およびabundance

を計算することで、微 生物の代謝機能を網羅的に俯瞰することを可能にするツールである。

本研究では、

MAPLE

システムを用いて脱窒菌と

anammox

微生物のゲノム比較解析を行い、

anammox

微生

物と似た代謝のバックグラウンドを持つ脱窒菌がどの種であるかの推測を試みた。また、

anammox

活性が永続

的に保持される地点(KU3 地点) 、

anammox

活性が低くかつ脱窒活性が相対的に高い

KU6

地点、およびその

中間地点の

KU4

地点について

anammox

微生物および脱窒菌の

population、および脱窒モジュールの

(2)

abundance

が、それぞれの活性と相関があるか調べた。また、

KU3

地点と

KU6

地点の

abundance

を比較して、

今まで調査の対象としていなかったが、今後対象とする価値のありそうな代謝モジュールの推測を試みた。

[既知の脱窒菌および既知のanammox

微生物の代謝機能比較解析]

ゲノム情報が得られている

anammox

微生物である

Candidatus Kuenenia stuttgartiensis(Strous et al.,2006)

Candidatus Scalindua profunda

(Van de Vossenberg et al.,2013) 、

Strain KSU-1

(Hira et al.,2012)

のゲノムを対象に、

MAPLE

を用いてモジュールの充足率の計算を行い、既知の脱窒菌のゲノムと共にクラスタ ー解析、

PCA

解析をした。クラスター解析の結果、脱窒菌のうち

Gamma proteobacterium HdN1、Nitratiruptor sp. SB155-2、Maribacter sp. HTCC2170、Thiobacillus denitrificans

Magnetospirillum magneticum

Magnetospirillum gryphiswaldense

Hyphomicrobium nitrativorans

と似た代謝を持つことが推測された。

PCA

解析の結果、脱窒菌と

anammox

微生物には動的特性に違いがあることが示唆された。

[北浦メタゲノム比較解析]

リボソームタンパク質を用いた微生物群集の解析から、

anammox

微生物の

population

は活性の高い

KU3

地点の

0.307%で最も多く、KU4

地点で

0.17

%、KU6 地点で

0.086%であり、活性と相関がみられた(Fig.1)

一方、脱窒菌の

population

KU3

地点で

3.39 %、KU4

地点で

4.26%、KU6

地点で3.83%であり、大きな差が見

られなかった。脱窒モジュール全体の

abundance

KU3

地点で

1440、KU4

地点で1719、KU6 地点で

1709

であ り、脱窒活性との相関はなかった。

Gammaproteobacteria

Betaproteobacteria

abundance

をそれぞれ計算し、

合計したところ、

KU3

地点で

9.8、KU4

地点で

50.7、KU6

地点で

39.5

であった。また、KU3 地点と比較して

KU6

地点で、窒素固定モジュールの

abundance

6

倍、メタ ン生成の

4

つのモジュール全ての

abundance

が全て

1.5

倍以上であった。

[引用文献]

Hira D. et al.(2012). Anammox organism KSU-1 expresses a NirK-type copper-containing nitrite reductase instead of a NirS-type with cytochrome cd1. FEBS Lett. 586(11):1658-1663.

Kanehisa, M., et al. (2008). KEGG for linking genomes to life and the environment. Nucleic acids.research, 36(suppl 1), D480-D484

Strous, M., et al. (2006). Deciphering the evolution and metabolism of an anammox bacterium from a community genome. Nature, 440(7085), 790-794.

Takami, H., et al. (2012). Evaluation method for the potential functionome harbored in the genome and metagenome. BMC genomics, 13(1), 699.

van de Vossenberg, J., et al.(2013) The metagenome of the marine anammox bacterium

Candidatus Scalindua profunda’ illustrates the versatility of this globally important nitrogen cycle bacterium.

Environmental microbiology, 15(5), 1275-1289.

Yoshinaga, I. et al.(2011). "Distribution and Diversity of Anaerobic Ammonium Oxidation (Anammox) Bacteria in the Sediment of a Eutrophic Freshwater Lake, Lake Kitaura, Japan." M&E 26: 189-197.

Figure 1 Anammox活性とanammox微生物のpopulationa. 北浦の各サンプリングサイトにおけるAnammox

ポテンシャル活性

b. Anammox微生物のpopulation 80

0 20 40 60

potential anammox activity (nmol g-1-dryweight h-1)

KU3 KU4 KU6

sampling site 0

0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

anammox bacteria population (%)

a

b

Figure 1 Anammox 活性と anammox 微生物の population 。 a. 北浦の各サンプリングサイトにおけるAnammox ポテンシャル活性 b

参照

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