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博 士 ( 工 学 ) 水 野 雄 三 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 水 野 雄 三

学 位 論 文 題 名

寒 冷 地 港 湾 施 設 の 機 能 高 度 化 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  我が 国は, 現在21世紀に 向けて 経済社 会の 国際化 ,情報 化,都 市化 が進み 成熟化社会の道を歩 んで おり, これに 伴い国 民の ニーズ も変化 し,生 活の向 上及 び価値 観の多 様化に対処できる高質 化し た社会 基盤の 整備が 求め られて いる。 北海道 の港湾 にお いても ,積雪 ・寒冷といった条件の もと ,港湾 空間に 関する 多種 多様な 要請を 的確に 捉え, 将来 を見据 えたバ ランスのある総合的港 湾空 間を形 成する 必要あ る。

  以 上 により ,本論 文は 寒冷地 港湾施 設の機 能高度 化の ため, 次に示 す3視点か ら検討 を進 めた もの で,こ れらの 内容は 順次 論文の 各章で 構成す る。

  @港 内水域 施設の 利用 機能: 第3章   ◎外 郭施設 の耐波 安全 性機能 :第4章

  ◎外 郭施設 の耐氷 安定 性及び 冬期利 用機能 :第5章

  本 論 文 は , 全6章 か ら 構 成され ている 。第1章は ,序 論で研 究の背 景や研 究内容 の概 要及び 論 文の 構成を 述べた 。

  第2章は ,研究 課題毎 に従来 の研 究のレ ビュ― と本研 究の特 質を 述べた 。本研 究の特 質を 述べ ると ,@の 研究に っいて は, 港湾内 の静穏海域を高質で高度な利用を可能にするための技術と し て, 海水交 換効率 のよ消 波ブ 口ック 被覆型 有孔堤 の開発 ,港 内結氷 予測法 の提案及びエアバブル によ る結氷 対策工 法の確 立を ,◎の 研究に っいて は,外 郭施 設の経 済性及 び耐波安定性向上のた めの 技術と して, 余剰浚 渫土 を用い て経済 性を追 求した 砂マ ウンド 堤,大 水深向け骨組構造物|

消波 性に優 れた直 積消波 ブ口 ック堤 及び防 波堤基 礎を防 護す る根固 方塊に 関する設計法の提案並 びに 重力式 構造物 の摩擦 係数 増大用 アスフ ァルト マット の開 発を, ◎の研 究にっいては,寒冷・

流氷 海域の 高度利 用や外 郭施 設の冬 期利用 を推進 するた めの 技術と して, 防波堤からの越氷,人 工リ ーフの 耐氷性 に関す る設 計法の 提案及 び海上 での鋼 管構 造物へ の着氷 成長に関する指標の提 案を 行った 。

  第3章 は , @に 関 す る 研 究で3研 究 課 題を 扱 っ た 。1課題目 は,防 波堤に 通水用 の孔 をあけ た

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有孔堤の波による海水交換機能を数値モデル,模型実験及び現地調査から解析した研究で,有孔 堤の海水交換特性を明らかにすると共に,消波プ口ック被覆型有孔堤では,通常の波浪の場合消 波ブロック内での水位上昇が生じて通水孔から港内側へ流れる一方向流が卓越するため,海水交 換効率がよく消波機能もあるため実用的な構造であることを明らかにした。2課題目は,北海道 の8港湾・漁港で実施している港内水温及び結氷状況調査結果より港内結氷特性を解析した研究 で,港内結氷時の水深方向の水温分布パターンを明らかにすると共に,港内結氷開始時期は,概 ね海水の日平均保有熱量がO cal/cnf付近の場合が多く,保有熱量の滅少期の減少勾配から結氷 初日を10日以内の誤差で予測できるマクロ的な結氷予測法を提案した。3課題目は,港内結氷対 策工法としてエアバブルに用いた港内結氷対策効果を模型実験及び現地調査から解析した研究 で,海底からエアバブルを噴出させ,海表面で発生する表面流で海氷を移送させる効果および鉛 直混合による結氷遅延効果を明らかにすると共に,岸壁前面直下に空気管を設置する方式が,岸 壁 前面 水域 の 結氷 対策 とし て効 率 的で 経費 的に も実 用 可能 な工 法で あ ると提案した。

  第4章は,◎に関する研究で5研究課題を扱った。1課題目は,砂マウンド堤っいて模型実験 により砂マウンド形状と堤体に作用する衝撃砕波圧との関係を解析した研究で,砂マウンドが適 当な厚さと勾配を有している場合には衝撃砕波圧が発生しやすくなることを明らかにし,発生可 能性を推定する判定図表を作成し,砂マウンド堤の断面緒元の決定を可能にした。2課題目は,

高波浪海域における鋼管製円柱部材に作用する波カにっいて,留萌市黄金岬沖実海域実験構造物 を用いた現地調査結果を解析した研究で,世界的にみても実則デ一夕が不足している高レイノル ズ数領域での部材に作用する波カを独自開発した全方向波力計等で測定し,抗力係数及び慣性力 係数とレイノルズ数,KC数との関係を明らかにした。さらに骨組み構造物全体に作用する波カ の算定では,波の位相差により衝撃波カを無視して水中部材の波力算定式であるモリソン公式で 波カの検討が可能であることを示した。3課題目は,防波堤の消波構造として用いられている直 積消波ブッロク堤にっいて,統一的な設計波圧式が確立していないため,北海道管内で用いられ ている3種類のブロックを対象に模型実験により共通の波圧式を解析した研究で,3段積みまで の直積消波ブロック堤を対象として合田式を準用した波圧式を提案し,設計法の確立を図った。

4課題目は,混成堤のマウンド被覆材のーっである根固方塊の安定性にっいて,模型実験により 所要重量算定法を解析した研究で,従来,経験により波高ランク別に根固方塊緒元を定めていた が,防波堤での使用される位置,マウンド水深比及び波高から根固方塊の所要厚さを算定する図 表を作成し設計の合理化を図った。5課題目は,防波堤の滑動抵抗カを増加させるため捨石とケー ソンの間に敷くアスファルトマットにっいて,寒冷海域用として新配合のマットを開発した研究

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で, 低温下 での摩 擦抵抗 性と 夏期の 施工性 を確保 でき るよう に粘土 鉱物の 繊維状の添加剤をアス ファ ルトに 付加し た配合 のマ ットを 開発し た。

  第5章 は , ◎に 関 す る 研 究 で3研 究 課 題 を扱 っ た。1課題 目は, 防波堤 ・護岸 から の越氷 災害 を防 止する ため越 氷特性 を模 型実験で解析した研究で,既存の研究がないため基礎的実験を行い,

越氷 特性及 び天端 高に関 する 越氷限 界を明 らかに し, 越氷災 害防止 のため の貴重な設計資料を提 供し た。2課題 目は, 景観を 損ナょ わず ,かつ 水産協 調型構造物である人工リーフの耐氷性を模型 実験 で解析 した研 究で, 人工 リーフ が構造 的,水 理的 に海氷 の影響 をどの ように受けるかを明ら かに すると 共に, 被覆ブ 口ッ クの流 氷に対 する安 定性 を十分 考慮し つつ, 設置目的に応じて構造 緒元 を定 めるこ との重 要性を 示し た。3課題 は,留 萌市黄 金岬沖 に設置 され ている 前出の 海洋構 造物 への着 氷にっ いて現 地調 査結果 を解析 した研 究で ,部材 と着氷 特性と の関係を明らかにし,

着氷 のマク ロ的な 成長は 波高 ・風速 /空気 の動粘 性係 数で評 価でき ること を示し,冬期の親水防 波堤 の開放 などの 貴重な 資料 を得た 。

  第6章は ,結論 で各章 の主 たる結 果をま とめて いる。

  本研 究によ り, 海水交 換型有 孔堤構 造,港 内結 氷対策 工法及 びアス ファ ルトマットの開発,耐 波設 計法の 提案並 びに外 郭施 設の越 氷・耐 氷・着 氷特 性の把 握がで き,寒 冷地港湾施設の機能の 一層 の高度 化が図 られる のと 考える 。

学位論文審査の要旨

    主査  教授  佐 伯  浩     副査  教授  土 岐祥 介     副査  教授  板 倉忠 興     副査  教授  藤 田睦 博

  我が国 は,現 在21世 紀に向 けて経 済社 会の国 際化, 情報化 ,都 市化が 進み成熟化社会の道を歩 んでお り,こ れに伴 い国 民のニ ーズも 変化し ,生活 の向 上及び 価値観 の多様化に対処できる高質 化した 社会基 盤の整 備が 求めら れてい る。北 海道の 港湾 におい ても, 積雪・寒冷といった条件の もと, 港湾空 間に関 する 多種多 様な要 請を的 確に捉 え, 将来を 見据え たバランスのある総合的港 湾空間 を形成 する必 要が ある。

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  以 上によ り,本 論文は 寒冷地 港湾施設の機能高度化のため,@港内水域施設の利用機能の向上,

◎ 外郭 施設 の耐波 安全性 機能の 向上 ,◎外 郭施設 の耐氷 安定性 及び 冬期利 用機能 の向上 ,の3視 点か ら検討 を進 めたも のであ る。

  本論 文 は , 全6章 か ら 構 成され ている 。第1章は ,序論 で研 究の背 景や研 究内容 の概 要及び 論 文の 構成を 述べ ている 。

  第2章 は , 研 究 課 題 毎 に 従 来 の 研 究 の レ ビ ュ ― と 本 研 究 の 特質 に っ い て 論述 し て い る 。   第3章 は , 水 域施 設 の 利 用 機 能向 上 に 関 す る研 究で3研 究課題 を扱っ た。1課題 目は ,防波 堤 に通 水用の 孔を あけた 有孔堤 の波に よる 海水交 換機能 を,数 値モデ ル, 模型実験及び現地調査か ら解 析した 研究 で,著 者が開 発した 消波 ブ口ッ ク被覆 型有孔 堤では ,海 水交換効率がよく消波機 能 も あ るた め 実 用 的 な構 造 である ことを 明ら かにし た。2課題 目は, 北海道 の8港湾・ 漁港で 実 施し た港内 水温 及び結 氷状況 調査結 果よ り港内 結氷特 性を明 らかに する とともに,マク口的な結 氷 予測 法を 提案し た。3課題 目は, 港内結 氷対 策工法 として エアバ ブルを 用い た港内 結氷対 策効 果を 模型実 験及 び現地 調査か ら解析 した 研究で ,海水 面で発 生する 表面 流で海水を移送させる効 果及 び鉛直 混合 による 結氷遅 延効果 を明 らかに すると 共に, 岸壁前 面直 下に空気管を設置する方 式 が , 結 氷 対 策 と し て 効 率 的 で 経 費 的 に も 実 用 可 能 な 工 法 で あ る こ と を 提 案 し た 。   第4章 は , 外 郭施 設 の 耐 波 安 定性 機 能 向 上 に関 する 研究で5研 究課題 を扱 った。1課 題目は , 砂マ ウンド 堤に っいて 模型実 験によ り衝 撃砕波 圧の発 生可能 性を推 定す る判定図表を作成し,砂 マ ウン ド堤 の断面 緒元の 決定を 可能 にした 。2課題目 は,高 波浪海 域にお ける 鋼管製 円柱部 材に 作用 する波 カに っいて ,実海 域実験 構造 物を用 いた現 地調査 結果を 解析 した研究で,世界的に実 測デ 一夕が 不足 してい る高レ イノル ズ数 領域で の部材 に作用 する波 カを 独自開発した全方向波力 計 等 で 測定 し , 抗 力 係数 及 び慣性 力係数 とレ イノル ズ数,KC数と の関係 を明ら かにし た。さ ら に骨 組み構 造物 全体に 作用す る波カ の算 定では ,モル ソン公 式での 波カ の算定が可能であること を 示し た。3課題 目は ,防波 堤の消 波構造 とし て用い られて いる直 積ブッ 口ク を対象 とした 模型 実 験に より ,合田 式を準 用した 統一 的波圧 式を堤 案し, 設計法 の確 立を図 った。4課 題目は ,混 成堤 のマウ ンド 被覆に 用いる 根固方 塊の 安定性 にっい て,模 型実験 によ り,防波堤での使用され る位 置,マ ウン ド水深 比及び 波高か ら根 固方塊 の所要 厚さを 算定す る図 表を作成し設計の合理化 を図 った。5課 題目は ,防 波堤の 滑動抵 抗カを 増加 させるため捨石とケーソンの間に敷くアスファ ルト マット にっ いて, 寒冷海 域用と して 新配合 のマッ トを開 発した 。

  第5章は ,外 郭施設 の耐氷 安定性 及び冬 期利 用機能 の向上 に関す る研 究で3研究課題を扱った。

1課題目 は,防 波堤・ 護岸 からの 越氷災 害を防 止す るため越氷特性を模型実験で解析した研究で,

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世界で初めて越氷特性及び天端高に関する越氷限界を明らかにし,越氷災害防止のための貴重な 設計資料を提供した。2課題目は,景観を損なわず,かつ水産協調型構造物である人工リーフの 耐氷安定性を模型実験で解析し,人工リーフと海氷の相互作用の解明と,被覆ブロックの流氷に 対する安定性を十分考慮しつつ,設置目的に応じて構造緒元を定めることの重要性を示した。3 課題目は,現地の海洋構造物への着氷にっいて現地調査結果を解析した研究で,部材と着氷特性 との関係を明らかにし,着氷のマク口的な成長は波高・風速/空気の動粘性係数で評価できるこ と を 示 し , 冬 期 の 親 水 防 波 堤 の 開 放 な ど に 対 す る 貴 重 な 資 料 を 得 た 。   第6章は,結論で各章の主たる結果をまとめている。

  これを要するに,著者tま寒冷地港湾施設の機能高度化に関して有用な知見を得るとともに,新 技術の開発を行ったもので,港湾工学及び海岸工学に貢献するところ大なるものがある。よって 著者は博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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