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背理法をアナロジーとして使った仮説検定の指導法

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Academic year: 2021

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背理法をアナロジーとして使った仮説検定の指導法

著者 倉澤 一孝

雑誌名 山梨学院大学現代ビジネス研究

巻 第8号

ページ 113‑114

発行年 2015‑02‑01

URL http://id.nii.ac.jp/1188/00003189/

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 統計学を初めて学ぶ学生の多くが、仮説検定 の考え方を理解するのが難しいと感じるようで ある。特に、「帰無仮説を棄却できない」とい う独特の表現が直感的に理解しにくく、なぜ

「帰無仮説は正しい」と言わないのか、と質問 する学生も少なくない。私たちは、日常生活に おいて、仮説と事実が一致していれば「正しい」

と言い、一致していなければ「間違っている」

と言うことに慣れている。「帰無仮説を棄却で きない」という表現は、論理的には正しくても、

私たちの日常的な思考法と大きく異なり、馴染 み難いものである。教科書に載っている説明の 多くは標本理論に基づいた確率論的な解説であ り、初学者の理解を助けるのに十分であるとは 言い難い。統計学を教える教師は、日常的な思 考法と統計学的な論理のギャップを埋めるため に良い方法はないか、いつも頭を悩ませている。

 このギャップを埋めるための一つの方法とし て、背理法を仮説検定のアナロジーとして使う ことが有効である(Reeves and Brewer (1980))。

 背理法とは、

① 命題を仮定する。

②  そこから、①の命題と矛盾する別の命 題、あるいは、事実と矛盾する別の命題 を論理規則に従って導き出す。

③ ①の命題を否定する。

という推論法である。命題を肯定することと否 定することが同時に追究される日常的な思考法 とは異なり、背理法では命題を否定することの みが追究される。推論過程②において、矛盾す る別の命題が導き出されれば、①の命題は「間 違っている」と結論できる。しかし、矛盾する 別の命題を導き出せない場合でも、①の命題が

「正しい」と結論することはできない。推論が 不十分であるのか、それとも、①の命題が正し いのか判別できず、最終的な判断は留保される。

 一方、仮説検定では、

① 帰無仮説を立てる。

②  標本抽出したデータから検定統計量の 値を計算する。そして、①の仮説が正し

【概 要】

 統計学を学ぶ学生の多くが、仮説検定の考え方を理解するのが難しいと感じている。本稿は、背理 法をアナロジーとして使った仮説検定の指導法を紹介する。

【キーワード】

仮説検定、背理法、統計学教育

背理法をアナロジーとして使った仮説検定の指導法 Teaching Hypothesis Testing with Proof by Contradiction as an Analogy

倉 澤 一 孝

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現代ビジネス研究

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いと仮定した場合のp値が十分に小さい ことを示す。

③ ①の仮説を棄却する。

という過程で検定が行われる。検定過程②にお いて、帰無仮説と矛盾するエヴィデンスが十 分あり、p値が有意水準を下回れば、帰無仮説 は「棄却される」。しかし、p値が有意水準を上 回る場合でも、帰無仮説と矛盾するエヴィデン スを十分に集められなかったのか、それとも、

帰無仮説が正しいのか判別できない。したがっ て、「帰無仮説は正しい」と言うことはできず、

「帰無仮説は棄却できない」という暫定的な結 論に留まるしかない。

 このように、仮説検定では、帰無仮説を否定 することが前提として検定が行われ、帰無仮説 を棄却するのに十分なエヴィデンスがない場合 は最終的な結論が留保される。この点におい て、仮説検定は背理法と類似している。「帰無 仮説は棄却できない」という表現に違和感を覚 える学生に対しては、背理法と仮説検定に特徴 的なこの推論形式を理解させることが、仮説検 定の考え方を理解させるのに効果的である。

 実際の授業では、背理法と仮説検定の論理形 式について解説するだけでなく、学生に課題を 与えることが必要であろう。たとえば、最初に、

背理法の難問を与え、矛盾が導き出せない場合 でも「命題が正しい」とは言えないことを理解 させる。その後、帰無仮説と矛盾しないデータ を与え、「帰無仮説は正しい」と言えるか議論 させる。このとき、データは標本でしかないと 指摘すること、また、p値などの確率計算は避 け、「帰無仮説は正しい」という表現の意味に 学生の議論を集中させることが大切である。

[参考文献]

R e e v e s , C . A . a n d B r e w e r , J . K . ( 1 9 8 0 ) .

“ H y p o t h e s i s T e s t i n g a n d P r o o f b y

Contradiction: an Analogy.” Teaching Statistics 2, 57-59

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背理法をアナロジーとして使った仮説検定の指導法(倉澤一孝)

参照

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