オー ラルインタープ リテ‑ シ ョンの試み
高 井 収
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.は じめ に最近 の英語教育 は世情 を反映 して、コ ミュニケー ション中心の英語教育 に向かって進んでいる
。教授法 も 1 9 8 0 年代、それ までのオーディオ リンガルメソッ ドに代わ り、コミュこカテ イブメソッ
ドが注 目を浴びている。行動心理学 と構造言語学の理論 を基礎 として開発 されたオーデ ィオ リン ガルメソッドの学習理論 はテキス トを何度 も繰 り返 し口頭練習することによってその言語体系 を 内在化 し、実際の場面で応用で きるようになる とい うことだが、「口頭 による単 なるテキス トの機 械的な繰 り返 しであ り、 自分で創造 した英文 を口にしている訳ではない」 と批判 された。
そ もそ も、 自分の言いたい ことを表現す る力 を付 けるためには、それ をはるか に上回る 「 聞い て (または読 んで)理解で きる能力」が必要 となることは、母語習得時 における日本語の場合 を 考 えれば理解で きる。 この コ ミュニカテイブメ ッソ ドの先駆 け となった理論が Co mp r e he n s i bl e l n p u t ( 理解可能 な入力)の必要性 を力説 した クラッシェンの 「インプッ ト仮説 ( Kr a s he n1 9 8 2 )
」である。 このイ ンプ ッ ト仮説 によれば学習者がその時点で持 っている語学力 より1段階上のレベ ルの言語構造 を提示 し、理解 させ ようとする時 に、言語習得が可能 となるとい う理論である。 し か し、 このクラッシェン方式 は学習者 の推理力 を要求 した帰納法的アプローチであ り、 ほ とん ど 全て リスこ ングか らとリーデ ィングか らの偶発的英語入力 に限 られている。 この方法で 日本語 を 母語 とす る学習者が教室内においてのみ英語 を学習す る場合、聞 き取 りか らの無意識的な言語入 力 を発話 に転化 させ るには多大 な時間がかか る。 また、 リーディングにして も多読か ら学習者が 味わい深 い、かつ、批判的な読 みが出来 るようになるのを期待す るには相当な時間 を要す ると考
えられ る。
本稿 で は、 日本 の ように英語 を外国語 として学習す る環境 において は限界 のあるコ ミュニ カ テイブメ ツソ ドに代わ るもの、あるいはこれ を修正す るもの として、 古 くか らある演樺的アプロー チの性格 も兼ね備 えた教授法の一つで、オー ラルインタープ リテ‑シ ョンを利用 した意識的入力 方法 を考察 し、その実践事例 を紹介す る
。2
。 オ ー ラル イ ンター プ リテ ー シ ョン
オーラルイ ンタープ リテ‑シ ョンとは簡単 に言 えば表現読 みをす る音読 の ことである。しか し、
単 に文字 を口に出 して読 むだけではな く、作者 の意図す るところを汲み取 り理解 し、聞いている 人 にそれ を伝 える とい う、一種 のコ ミュニケー シ ョン活動で もある。もともと、オーラルイ ンター プ リテ‑シ ョンは文学作品 を音声表現す るための ものだった。古代ギ リシャ時代 には文学 は読む と言 うよ りもむ しろ聴 くものであった。 また、古代 ローマ時代 には詩人が 自分たちの作 った詩の 朗読や、暗記 によるプレゼンテーション (レシテー ション)な どが行われた。中世 においては聖 書の朗読 においてオーラルイ ンタープ リテ‑ シ ョンが用い られ 、1 9 世紀以後音声の分析研究な ど を通 し、発音、強勢、メロデ ィー、速 さ、 ピッチ、音質 な ど科学的な考察が行われたO
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高 井 牧
Or ali nt e r pr e t a t i o nwa sr e c o gni z e da sa nar tf or m byt hea nc i e ntGr e e ks ,a nd r e a c he di t sz e ni t hd ur i ngt heGol de nAgeo fLat i nl i t e r at ur e ,t heAugus t a nAge
,whi c hl a s t e df r o m 4 0 B . C .unt i l1 4A. D. . . . Att hebe gi nni ngo ft hi sc e nt ur y,O r al pe r f or ma nc ewa se mphas i z e dmo r et ha nc o mpr e he ns i onandi nt e r pr e t a t i o no ft he l i t e r at ur e. Today,t hee mphas i si so n t hes u bj e c tma t t e r‑ t hel i t e r a r y t e xt . Te c hni quei snol o nge rc o ns i de r e da sa ne ndi l 一i t s e
lf ,buto nl ya same a nso f c o mmuni c at i ngt het ho ughta ndf e e l i ngwi t hi nt hel i t e r a r ywo r
k.( Sc r i vne ra l l d Ro bi ne t t e1 9 8 0 :5 )
オーラルイ ンタープ リテ‑シ ョンで は読 み手 ( i nt e r pr e t e r ) は音読 す る こ とに よって作者 の メッセージを再現 し、聞いている人 ( 聴衆) にそれ を伝 えることである。 もともとオーラルイ ン タープ リテ‑シ ョンは文学的価値のある作品 を朗読 し、その作者の意図す るところを知的に感情 移入 し表現す るコ ミュニケー ション手段の一つであったo材料 として選 ばれ る作品は物語、名演 説、エ ッセイな どの散文や詩、劇の脚本 な どその範囲は広い。文学作品以外の材料、例 えば、新 聞記事やパ ンフレッ トな どを選ぶ場合 はオーラル リーデ ィング と呼 ばれ るが、本稿 では、音声表 現全般 を、 作品の内容 を理解 して聞 き手 に伝 わ るように表現す ると言 う共通点 に焦点 をあて、オー
ラルインタープ リテ‑シ ョンに含 めることとす る。
3. 日本 の英 語教 育 に お け るオー ラル イ ンター プ リテ ‑ シ ョンの応 用
本来、オーラルイ ンタープ リテ‑ションは散文や、詩、 ドラマな どの文学作品 を朗読練習す る 目的で英米 の文学やスピーチの授業で用い られた。近江 ( 1 9 8 4 ) は英米 の大学で は 「 通常 De par t 一 me l l tO fSpe e c ha ndDr a ma とか De par t me nto fSpe e c h とい う、独立 した学科の中で開講 され ている ( p. 233) 」と言 っている。 そして、次 にその標準的な手順 を紹介 している。 まず、学生 に朗 読箇所 を選択 させ、その作品か らの抜粋箇所 を解釈分析 し、音声表現 の練習 をさせてか ら、その 次 にクラス全員の前で発表 させ る。最後 に聴衆 となる学生、教師 はコメン トを書 いて発表者 に渡 す とい う手順である。 さらに近江 は日本 の英語教育 にオーラルイ ンタープ リテ‑ シ ョンをいか に 応用す るかについて、精読 の指導方法、英文 を吸収 させ るイ ンプ ッ トの利用方法、作文の指導方 法、スピーチを矯正す る方法、「 総合英語」の指導方法等 5 つの応用方法 を述べ、それぞれ、豊富
な事例 を挙 げて解説 している
。オーラルインタープ リテ‑シ ョンでは、 まず学習者 自身が読 む作品において文章 の意味 を理解 していなければな らない。近年、訳読法 に対す る批判か ら逃れ るひ とつの方法 として速読方法が 用い られている。 しか し、 この速読法 は短時間 に文意 を把握 し文章の趣 旨が分かれば一応良 しと
され、読 む作品について も新聞やエ ッセイな ど情報 を捉 えればよい ものに限 られて くることが多 い。これだけでは内容理解だけに止 まり、音声表現の訓練 な どはされず に済 まされ ることになる。
また、多様 な文章 に対応す るためにも文学的な価値 のある作品 を語 り手 また は書 き手 の意図 を汲 みつつ、 ものによっては、そ こに出て くる登場人物 になった ようなつ もりで原文 を読 んでみて、
初 めてそ こに書かれている英語の文章が味わい深 く読 めると言 えよう。 ここで大切 なのは文章 の 意味 を理解す る際 に、登場人物 の意図や書 き手 の意図 を考 えなが ら理解す ることである。時 には、
文法構造上か らの分析 も必要 となるが、あ くまで、文章 によって表現 されている状況、心情 をイ メージす ることである。 そして、 その次 に、イメージした ことを学習者が 自分で表現 してみるこ
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とである。
理解 した ことと自分が それ を再現で きることとは残念 なが ら別 な ことで あ る。オーラル イ ン タープ リテ‑ シ ョンでは作者 のメッセージを全身全霊で もって再現 しなければな らない。「つ まり 読解行為 は、それ 自体 は究極的 には黙読ではあるが、同化が行われ るとい うこと自体、 これ等の 内的感覚が フルに活動 し、同化す る対象の息遣 いや音声、 リズム等 に、 こち ら側 のか らだの感覚 が感応 し、その文章が語 り掛 けている目に見 えぬ読者 との空間、 さらには話の内容 自体 の示す距 離等 を とらえているとい うことである。 ( 近江 、1 9 8 4:2 4 5 ) 」ともすれば、英語 を聴 くとか、話す ことは英会話 とい う特殊 な時間だけに限 られているように考 えられがちだが、他人の書いた文章 を読 み味わ う時 にも非常 に大切 な活動である。英語が聴 けるとか話せ るとい うことは、英語 の体 系 を自分の体 内に内在化 していることであ り、活用で きることである。 こうした活性化で きる能 力があって、初 めて文章 を批判的に、かつ、味わいなが ら読解 してゆ くことが可能 となる。
最後 に、オーラルイ ンタープ リテ‑ションのスピーチ指導への応用 について考 えてみる。オー ラルインタープ リテ‑ションでは表現読 みを通 して、文章 の内容 を理解 し、作者の意図や感情 を 込 めて、意味の塊ずつ音読す ることにより、英語の リズム感 を身 に付 けることがで きる。「内面か らの働 きかけ ( wor ki ngf r o m i ns i deo u t ) と音声矯正 ( wo r ki ngf r o m o ut s i dei n) とを結びつ けるスピーチ矯正、音 とか らだ と心 を一致 させたス ピーチ矯正 といっていい。( 近江 、1 9 8 4:3 2 8 )
」個々の発音やイン トネー ションは もちろん必要だが、それ に加 えて状況 によって変化す るス トレ スな ど英語の リズムが大切である。 また、 ここで言 う音読 とは単 なる技術的な要素だけでな く登 場人物や書 き手の心情 をイメージした表現読 みを通 しての音読である。表現読 みについて近江 は 次の ように定義付 けている。「 解釈観 についていえば、すべての文章 は、広い意味の語 りであ り、
背後 に人がいると考 える。 その語 り手 ( ‑書 き手) は誰 で、誰 を聴 き手 ( ‑読者) として、 どこ か ら、何 を目的 として語 っているか を解明 し‑ すなわち文字 になる前の原点 としての、生 きた 潜在的スピーチの状態 を解明 し‑ 語 り手の内面 に同化 してい く。同時 に語 り手の 目的 にて らし
あわせつつ表現の巧拙 を味わってい くことをもって解釈 の究極点 とす る。 ( 近江 、1 9 8 4:6 2 )
」次 に筆者がオーラルイ ンタープ リテ‑シ ョンの一部 を大学 1 年生の基礎 クラスに応用 している 事例 を紹介す る
。4 . オー ラル イ ンター プ リテ ー シ ョンを応 用 した事例
小樽商科大学で は 1年生の一般英語購読 のクラスを 「 基礎」、「 標準」、「 発展」と 3 段階 に分 け、
それぞれ学生が選択で きるようになっている。ひ とクラスの人数 は 4 0 名程度、時間は 9 0 分授業 で 1週間に 1回の割合で通年の授業が行われ、単位 は 2 単位が終了者 に与 えられ る。今年度 ( 2 0 0 4 年)オーラルインタープ リテ‑ ションを応用 した クラスは筆者が担 当す る 2 つの 「 基礎」 クラス
( EI O 2 A お よび 、EI O 7 A) で CAL 教室 を使用 した。教材 は宮本節子他著の 「マルチメデ ィアで翠 ぶアメ リカ文化 ( I ns i deSt or i e sU. S.
A.wi t hMul t i me di a) 」 ( 成美堂出版) を使用 した。内容 は ビデオ教材 ( I ns i deSt o r i e si nUSA) の映像 をベースに、電子 ブック型 デザインの CD‑ Ro m で マルチメデ ィア化 されていて、アメ リカ文化 の諸側面 を紹介す る社会性 のある話題 を軸 に、テキ ス ト、動画、音声、図表 な どがマルチメデ ィア注釈機能 により提示 されている。教科書 は基礎編 と発展編 に分かれていて、それぞれ 1 5 章か ら成 っている。「 基礎」 クラスではこの教材の基礎編 を使用 した。各章での レッスンプランは概ね次の通 りである。
1.各章で取 り上 げ られている トピックの背景知識 となる情報 を紹介す る。アメ リカの地図が
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高 井 牧
CD‑ Ro m に入 ってu るので ク リックすればス トー リーに出て くる都市 の所在地 な ども確認 す ることがで きる
。2. 各章 の トップページ ( CD‑ Ro m に入 っている)にはその章 に出て くる全体 のス トー リーが ビデオ化 されているので、登場人物、状況 に注意 をして ビデオを見 るように指示 をす る。学 生 は一定の時間内に何度 も場面 を見 ることがで きる。 この時点では文字 を読 まず に映像 と音 声か らス トー リー を推測す るよう指示 をす る
。3
。CD‑ Ro m は電子 ブ ック化 されてお り、次のページか ら教科書 と同 じ文字情報が載せ られて い るので、コンピュータ上で リーデ ィングがで きる。ここには トップページの ビデオが各ペー ジの文字情報の量 に合わせて編集 されていて、 ク リックして選択すれば、 ビデオの音声 を聞 きなが ら読 む こともで きる。 また、難 しそうな単語やイデ ィオムは文字情報 に埋 め込 まれて いて、 ク リックすれば日本語 によるポ ップア ップ注釈が出て くるようになっている。 この方 法の特長 は、同 じような操作で複雑 な文法項 目も学べ る点である。 ここでは学生が 自分 のレ ベル に合わせて語桑や文法項 目のポ ップア ップ注釈 また は辞書 を利用 しなが ら内容把握 のた めに黙読 し、最後 に教科書 に載 っている内容 に関す る練習問題 を解答す るよう指示 をす る
。4. 教師の後 について全文 を音読す る。特 に英語 の リズムに気 をつけ、腹式呼吸 をしなが ら、
意味の語群 (または塊 とも言 う)ずつ発音す るように指示 をす る。
5 。学生 を小 グループに分 けて、音声 を聞 きなが ら朗読 の練習 ( シャ ドウイング) をす るよう に指示 をす る。電子 ブ ックが各章 につ き 6 ページ程度で構成 されているので 、 1 人 1 ページ ずつあた るように 1 グループ 6 名程度 にし、グループ単位で音読 の発表 をさせ、評価す る
。6。 次のクラスの時間 までに英語で読後感想文 を書いて くるように指示 をし、次のクラスでそ
れに基づ きプレゼ ンテーシ ョンを行 なわせ、評価す る。
次 に、具体例 として学内に公開 した授業 を取 り上 げる。授業参観 には 5 名の先生が出席 され、
終了後、貴重な ご意見 を頂いた。
日 時 : 2 0 0 4 年 6 月 7 日 ( 月曜 日)午前 1 0時 3 0 分か ら 1 2 時 0 0 分 授業科 目 :英語 Ⅰ ( EI O 2 A)(1 年生の英語 「 基礎」 クラス)
授業 目標 :オーラルインタープ リテ‑ シ ョンの手法 を使 って、音読で きること
。場 所 :小樽商科大学 2 号館 3 階 CAL 教室
題材 はジャズの発祥地 アメ リカのニ ューオ リンズを紹介 してい る解説文 で書 かれた第
1葦 の
「 Th eBi r t h p l a c eo f J a z z 」である。学生 は教科書 に付属の CD‑ Ro m を使 ってあ らか じめ、第 1
章 の ビデオ を見て くるように指示 されているが、教室で も前方の大画面 を使 って ビデオ を写 し、
登場人物や場面 を確認 した。その後 、CD‑ Ro m の電子 ブ ックにある文字情報 を使 って各 自、内容 把握 を行 い、教科書 の練習問題 を解答 した。語桑や文法事項 について は各 自の英語 の レベル に よって電子 ブ ックのポ ップア ップ注釈や辞書 な どの利用度 も異 なって くるので、教師側 にも個人 指導が要求 され、十分 な時間が必要 となる。 この 日は授業参観 に来 られた先生方 に も学生の内容 理解度 に対す るフィー ドバ ックに協力 を頂 いた。 この時点で学生 は全体 の内容 を概ね把握 してい
ることになる
。まず、教師の後 について全員で音読す る際 に、文章の内容 を考 えなが ら場面 をイメージして、
意味の塊ずつ音読す ることである。英語 は強弱 アクセ ン トを持 ち、 日本語の ように文 を作 ってい る全ての単語 を同 じ強 さで読 むのではな く、名詞、動詞、形容詞、副詞 な どの内容語 は強 く読 み、
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前置詞 、接続詞、関係詞、助動詞、冠詞 な ど機能語 は弱 く発音 され る。文 の中で は強 い音節 は遅 くはっ き りと読 まれ、弱 い音節 はテ ンポ を速 め よう として速 く発音 され る。そのた め、母音 が「あ い まい母音」 に変化、 あ るい は消滅 して しまう場合 が あ り、子音 の場合 には脱落 した りす る現象 が起 きる。 これ等 の要因 に よって英語 の リズムが生 まれて くる。次 に、音読 で は 1 語 1 語単語 の 単位 で読 むので はな く、文 の構造 や意味 の上 で結合 してい る語群 を一 つの塊 として一気 に発音 す る こ とが大切 で あ る。聴 いてい る人 に読 んで い る内容 とその意 図 ( メ ッセー ジ) を的確 に伝 える た めには文法構造 を含 め、 その内容 を理解 した上 で、適切 な意味 の塊ず つ区切 りをお く必 要が あ る。最後 に音読 をす る際 に横 隔膜 を利 用 した腹 式発声 で な けれ ば大 きな声 は出ない。英語 を話 す ときには、声 の大 きさだ けで はな く 、[p ]、 [
t] 、[ k ]な どの破裂音 には息 の力 が要求 され、弱 い と無声音 と有声音 の区別が つ きに くくな るな どコ ミュニケー シ ョン上 に大 きな影響 が及 ぼ され る。
次 にオー ラル イ ンタープ リテ‑ シ ョンの手法 を使 った音読指導 を電子 ブ ックの最初 のペ ー ジを 使 って例 示す る。
J az zi st hemus i co fAme r i c a' ss o ul ,a ndNe w Or l e ansi st hebi r t hpl ac eo fj az z . Eve n no w, s t r e e tmus i c i a i l SC anbef o undal la r o undNe wOr l e a ns . Andno tj us tj a z zmus i c i a ns , but al ls or t sofpe r f or me r scompe t ef orl i s t e ne r sa ndt r yt omakeal i vi n go f ft het i psofpa s s e r s by, The s eki ndsofpe opl ea r eo nepi l l a ro fAme r i c a nmus i calc ul t ur e . ( 宮本 、2 0 0 4:1)
最初 の文 は トピックセ ンテ ンス となってい るので きっぱ りと言 い切 る ことが大切 で あ る 。J az z i st hemus i cofAme r i c a' ss o ul で 1塊 とな り 、s o ul の あ とで区切 る ことがで きる。 内容語 で あ
る J az z、mus i c お よび 、Ame r i c a' ss o ul は強 く発音 され、機能語 で あ る be 動詞 、冠詞 の t he 、前 置詞 の o f は語 と語 の関係 な ど文法的 な役割 を果 た してい る。通常、英語 を母語 とす る人 たちの間 で は この ような文法 は共通 に認識 されてい る ものなので強 く発音 す る必要 もない と考 え られ る。
次 の意味 の塊 は a ndNe wOr l e a nsi st hebi r t hpl ac eo fj az z とな り 、 1 息で読 む ようにす る と良 い。最初 の文 で は一番強 いス トレス ( pr i ma r ys t r e s s ) が話 の トピックで ある J az z におかれ、 そ れ と平行 して次 の文 で は同 じように Ne w Or l e ans に pr i mar ys t r e s s をおいて読 む。初期 の段 階 で は、 この後 ( 主部 と述部 との切 れ 目)にポーズ をおいて読 む こともで きる。文 の構造 は
SVCが 接続詞 の a nd でつ なが ってい る ことを頭 において読 んで ゆ けば良 い 。Eve nnow は 1 塊 として読 み、ポーズ を入 れ る。また 、no w の あ とにコンマが あ る こともポーズ を入れ る目安 とな る 。St r e e t mus i c i a nsc a nbef o und は 「ス トリー トミュジシャンが い る」 ことが イメー ジで きる 1つの意味
の塊 なので 1 息 で読 み、 その次 の場所 を表す al la r oundNe w Or l e a ns は次 の 1塊 として読 んで ゆ く。次 の文 は少 し長 いが 、Andno tj us tj az zmus i c i ans まで は切 らず に読 まな けれ ばな らない。
そ して、 これ は次 の but 以下 の情報 と対比 して い るので not にス トレス をお いて読 む 。but al l s or t s o fpe r f o r me r s まで は前 出の情報 との対比 なので切 らず に読 む。 で きれ ば 、c ompe t e f o r l i s t e ne r s まで続 けて読 めれ ば よいが、「 観客 の取 り合 い を してい る」ことが イメー ジで きる 1つの 意味 の塊 なので ここで区切 って も良 い。次 も a nd 以下 を 1 息 で読 めれ ば よいが、「 生活 を立 て る 」
とい う意 味 の塊 の a ndt r yt omakeal i vi ng で 区切 り、 その理 由 をあ らわす o f ft het i pso ft he pas s e r s by を次 の意味 の塊 として読 んで も良 い。最後 の文 は文法構造上 、最初 の文 と同 じ く be 動 詞 でつ なげた
SVC構文 で あ るので
、 1息で読 んで も良 いが、初 級者 には長 い文 なので、文 の ト
ピック ( 主部 )で あ る The s eki ndsofpe o pl e で切 り、述部 で あ る ar eo nepi l l a ro fAme r i c a n mus i c alc ul t ur e を 1 塊 として読 んで も良 い。
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高 井 収
教師の後 について基礎的な音読がで きるようになれば 、CD‑ Ro m の ビデオ を使 って、ネ‑テ ィ ブス ピーカの読 みをモデルにシャ ドウイングす る練習 に入 る。 シャ ドウイングはむやみやた らに 行 うのではな く、教師 について音読 した際 に修得 した表現読 みの基礎が前提 とな り、読 み手 ( モ デル となるネ‑テ ィブスピーカ)の意図 を考 えなが らシャ ドウイングを行 うことが大切である。
シャ ドウイングの練習 は全員が 1 章 を全部す る必要 はな く 、 6 人 1 線 のグループ分 けをし 、 1 人 が
1ページを担 当す るようにすれば限 られた授業時間内で も十分練習がで きる。
最後 にグループ単位で クラスの前 に出て聴衆 を意識 しなが ら朗読 を行 う。 その際、音読で練習 した英語の リズムな どに加 え、読 みなが ら聴衆 に語 りか ける r e adandl ookup な どの手法 を使 い メッセージを聴衆 に的確 に伝 える必要がある。 目の配 り方 ( e yec ont a c t ) にも聴衆全体 を注意す る不偏的な もの と、一人 ひ とりを注意す る個人的な もの とがあ り、それ を組 み合わせ ることも大 切である。 また、表現読 みをす るときのジェスチ ャーや身体の動 き ( ge s t ur eandmo ve me nt ) に も注意す る必要がある。 これ らは、段階 を追 って指導 してゆけばよいが、今回の授業で行 った朗 読の到達 目標 は大 きな声 ( 腹式発声)で、意味の塊ずつ朗読で きることとし、それが評価 された。
5
. まとめ最近、現場 の先生方の間か ら 「 以前か らの感 じだが、学生の音読す る力が さっぱ り向上 してい ない ( 佐藤、2004) 」 とか 「 文 の構造が よ くつかめていない」な ど学生の英語力の低下 に関す る話 題が聞 こえて くる。 それに関連 して文法教育、読解教育 の見直 しの必要性が叫ばれ るようになっ た。 これ は 1 950 年代 のオーディオ リンガルメ ソッ ドに代 わって推進 されて きた コ ミュニカテ イ ブメソッ ドの反動か もしれない。1 980 年代 クラッシェンがインプ ッ ト仮説 を発表 し
、「 英語 は習 う よ り、慣れ ろ」方式の偶発的入力が注 目され、英語の環境づ くりに力 を注 いで きた。
最近で も、文部科学省が中高の生徒 に十分 な英語の運用能力 をつけさせ る目的で 「 英語が使 え る日本人の育成」戦略構想 を打 ち立てるな どして、 コ ミュニケー ション能力の養成 に取 り組 んで いるが、 日本語 の生活環境 において、学校での英語 の授業だ けで は、それに見合 うだけの英語力 をつ けることは難 しい と考 えられ る。大学 に入学 したてで英語 による授業 についてゆけるのは一 握 りの学生 に過 ぎない。 それ も、留学経験 とか、学校教育 とは別 に英会話 を特別 に習 っていた学 生が多い。我々現場 の教師 はこのような学生 を好 みがちだが、教育の焦点 を置かねばな らないの は、む しろ、その他大勢の普通の語学 レベル を持 った学生である。「 大学生 になってか ら音読 の訓 練 をす るのはおそす ぎる ( 佐藤、2004) 」ので はな く、音声訓練がで きていないのだか ら基礎か ら で も訓練 しなければな らない。 それには、大学生の知的 レベルに合 った内容 の、例 えば、文学的 価値 のある教材で、オーラルインタープ リテ‑ シ ョンの教授法 を応用すればよい。
日本 の現状 に即 した英語教育 にはクラ ッシェン式 の偶発的入力だけで は十分で はな く、意識 的 に英語の言語体系 をインプ ッ トしてゆかねばな らない。オーラルインタープ リテ‑シ ョンの r e ad a ndl ookup の手法 を使 い表現読 みをす ることは、相手 に読 み手 のメッセージを伝 えることであ
り、読 んでいる内容 の理解が前提 となる。 これはクラッシェンの言 う 「内容 に焦点が置かれた 」
言語活動であ り、豊富 な c o mpr e he ns i bl ei nput が含 まれ、言語習得 につなが ることが理解 で きる。
参 考 文 献
近江 誠
1 9 8 4 .
『オーラルイ ンタープ リテ‑ シ ョン入門 ‑ 英語 の深 い読 み と表現 の指導‑ 』東京 :大修館書 店‑3 4‑
1 9 9 3 .
「オーラルイ ンタープ リテ‑ シ ョン」橋本満弘 ・石井 敏 (編)F英語 コ ミュニケー シ ョンの理 論 と実際』東京 :桐原書店 :1 0 ト1 1 2
1 9 9 6
。『英語 コ ミュニケー シ ョンの理論 と実際 ‑ ス ピーチ芋か らの提言 ‑ 』東京 :研究社 出版 佐藤行敏2 0 0 4 .
「基礎力の向上 について」『 J ACET
北海道支部 ニ ューズ レター』No. 1 7
宮本節子他