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教師教育における音楽の基礎学習について

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(1)

教師教育における音楽の基礎学習について

〈固定ド〉と〈移動ド〉の音感と唱法の問題を中心に 古  田  庄  平*

(平成2年2月28日受理)

A Fundamentals Study of Music for      Teacher Training

Auditory Sense and Score−reading by〈Fixed−Doh〉

  and<Movable−Doh>in Music Education

Shyohei FURUTA

(Receive(i February28,1990)

はじめに

 学校教育における音楽科の学習を展開するにあたって,教師のもつ指導力はその学習の 展開を大きく左右するといわれている。そのため最近特に,教師の資質及び指導技術の向 上が強く叫ばれるようになり,教員養成大学・学部における「教師教育」に対しても大き な期待が寄せられている。

 そこで筆者は,小学校教員養成課程の学生を対象に行なっている「音楽基礎」という授 業の中から,ここ数年問にわたって考え実践してきた「固定ドと移動ドの音感と唱法の問 題」を中心とした「読譜指導の実践」を小論にまとめてみようと考えたのである。

 ところが,この読譜指導における「固定ドと移動ドの問題」は明治以来今日まで,わが 国の音楽教育界において度々話題として取り上げられ議論がなされてきたにもかかわらず,

今日もなお明確な解答が示されていない。そのため,教育現場の教師や児童・生徒たちの 問では多くの混乱が絶えず起っており,それを教師たちはどのように処理すべきかなすす べをしらず困惑しきっているという状況なのである。

1.小学校教員養成課程の「音楽基礎」の学習

 そこで筆者は,前述のような教育現場の実態を充分認識することと,そのような状況に 対して,明日の音楽科教育を担う教師たちがどのように対応し,教育実践を行えばよいか という方法論的な角度から研究し修得しておくことは「教師教育の重要な学習課題の一つ

*長崎大学教育学部音楽科教室

(2)

40 長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

である」と考えたのである。したがって,そのような研究は「音楽の基礎学習の一つ」と して捉え,実践的学習の形で習得させるのが最も適していると考えたのである。

 (1)小学校教員養成課程の学生の実態

 筆者は現在,教員養成大学・学部において小学校教員養成課程に属する2年の学生約30 数名を対象に「音楽基礎」の授業を担当している。この授業は,器楽(ピアノ)の授業と 裏表一体の形で設定された声楽(歌唱・楽典)の授業で,実験・実習として150分の時問が 設定されている。

 ところが,本学部の小学校教員養成課程の学生に対する入学試験では,特に音楽の試験 を行なっていないために,高等学校で音楽の授業を受けなかった者は,中学校までの学習 経験しかもたず,しかも,それらの多くは今までピアノを弾いた経験が全く無いという学 生が殆どなのである。したがって,中学校の学習は勿論のこと,小学校の学習さえもすっ かり忘れ去ってしまった者もおり,特に男子の学生などは音楽に関して小学校の3年生程 度のレベルしかもたないといった全く白紙に近い状態なので,音楽の1から学習を開始し なければならないといった実状である。また,ハ長調の音階をピアノで弾いて発声練習を 始めると,5度くらい低い声(ト長調)で平気でうたう者も数人いる。(特に男子学生)

 しかし,女子の中に毎年数人ではあるが,幼少のころからピアノを習っていたという者 もおり,男子学生とのレベル差があまりにも違い過ぎるため,30数名の一斉学習の形態で は授業が進められない状況であったので,止むを得ず一斉学習の中で個別指導の方法を取 らざるを得なぐなった。

 (2)授業の導入段階における音楽理論(楽典)の学習

 そこで筆者はまず,授業の導入段階ににおいて,学習者一人ひとりに「小学校の教師は 誰もが一応音楽教科の授業を担当できる能力を修得しておく必要がある」ということにつ いて説明し,それには「教師は,教師自身が少なくとも小学校で教える音楽教科の最低の 音楽的基礎知識(楽典)と表現(この授業の場合は歌唱力とその伴奏)が指導できる技術 を獲得しておく必要がある」ことを重ねて理解させ,音楽の「楽典と楽譜の関係」から授 業を開始するのである。更に,「楽典と楽譜」の学習が「音程」から「音階」の説明に入っ た段階,つまり,ハ長調とイ短調の音階の構成(各音間の音程)から,ト長調とホ短調及 びへ長調と二短調の説明に入った段階で「音感と唱法の問題」つまり,読譜の手段としての

「移動ドと固定ドの音感」及び「移動ド唱法と固定ド唱法」の問題について説明を行なう ことにしている。

 (3)学習者の読譜能力(音感と唱法〉の実態把握の必要性

 例えば,国語科教育の授業を行なう場合,まず,教師はその教材とすべき「文章を読ま せる」という作業から開始をする。それは,文章を朗読させることによって,教科書の文 章が生きた教材として学習者の前に提示されるからである。これは音楽科教育の場合も同 様で,教師が音楽の授業を展開しようとする場合,まず教師は,学習者自身が教科書から 音楽を生きた教材として抜き出し提示する作業から開始させなければならない。その場合,

低学年では,教師の範唱や範奏を児童に模唱や模奏をさせることによって,生きた教材と して提示させるが,中学年や高学年の場合は,学習者自身の力(読譜能力)で教材提示が できるように指導しなければならない。したがって,学習者に読譜指導を行なうことは,

読譜という「手段」を身に付けさせることであって,決して音楽科教育の目的そのもので

(3)

はないが,学習者が自主的に音楽の学習を展開することができるようにするためには,こ の読譜能力は不可欠なものであること。また,現在わが国で読譜に用いられている唱法に は,一般に「移動ド唱法」と「固定ド唱法」といわれている2つの唱法があり,それらは 音楽的聴感覚機能(音感)と密接に関連していること。したがって,学習者の読譜能力の 実態を把握するためには,学習者一人ひとりの音楽的聴感覚機能の実態を調査し,把握し ておく必要があること。さらに,音楽を指導する教師は以上のことをよく理解・認識して おく必要があること等を講義することにしている。

 (4)音楽的聴感覚機能の実態調査による音感と唱法の関係について

 そこで次に,「音楽的聴感覚機能の実態調査」1)を行ない,それをコンピュータ2)によっ て集計し,次のようなデータ3)により多面的な角度から考察を行ない,学習者一人ひとりに 対して適切な示唆を与える。

[データ①]

13527 71ヨヒ14 =51=5;215了115 15151221522 =35122131312 Z525232工32 4525453154 12 5臼 12  9    コテイ  3133233113 13;122i322 ;312213312 2323232132 4325453134 −  I  l

   4ト ウ 3工3;二一一一一一 一一一一一一一一一一 5;122一一一一一 一一一一一一一一一一 4一一一一3一一一一 一一一』   i    コ 、1ウ ー一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一騨一 一一 一一一甲 一一一騨騨 噂一一 一一剛 脚鱒 一一一一幽

 例えば,上の[データ①]に示した学生の音楽的聴感覚機能(音感)つまり,「聴音の手 段」は,今回の調査の結果「固定ド」という聴感覚機能によって聴音を行なっていたと判 断することができる。更にその「手段の定着度合い」つまり,「聴音能力の程度」は,この 調査測定範囲においては最高値(50)をマークしており,したがって,相当高度な聴音能 力を有しているものと判断することができる。ちなみに,この学生のこれまでの音楽経験

は「ピアノの学習14年」(ヒー14)と答えている。

[データ②]

13614 ,Gヒ07 3153221221 3215332255 3512221225 321工323221 4452251321 12 12 50  臼

   コテイ  51「∫32一一一一一 一一一一一}一一一一 53122一。口騨一 。一一一一。一一一一 4一一一一3一一一一 一   l  l

   イト ウ 苫153221221 32夕13332233 3312221223 :3211323221 4432231521 一一一一一一一一    1

   コ『5トウ ー 一一一一一一一一 一一一鴨一一一一一一 一一一葡一一剛騨鱒聯 冑囎一簡一甲騨一 一 轡一一}齢一騨輔一  剛一一J

 上の[データ②]に示した学生の「聴音の手段」は,今回の調査の結果「移動ド」とい う聴感覚によって聴音を行なっていたと判断することができ,その「聴音能力の程度」は,

この調査測定範囲においては最高値(50)をマークしているので,相当高度な聴音能力を 有しているものと判断することができる。ちなみに,この学生のこれまでの音楽経験は「ピ アノの学習7年」(ヒー7)と答えている。

[データ③]

15313 ・G8ノー7 3135221511 1312325222 1212255312 23工5222223 4542333134 1の 36 21  9     コテイ  31352一一一1− 13一一一2一一22 一一122−3312 23−52−2一一一 43一一一53134 一一一一一一」  昼  1     イト ウ 3133221一一1 一一1−3一一2一一 一一122一一一一一 一一三一。2−22− 4一一2−3一卿り  一一   1

    コ・ 1ウ ー一一一一一一3一一 一一一2一一3一一一 12脚脚一3一一一一 一一一騨一一一一。5 一一4−5一一一   一一一一一一一一一 一一

[データ④]

i5413 ,eリ∈〕7 3133252122 53i2123233 2215121121 2523122121 3452443355  6 18 21 17

    コテイ  313:323−1一一 一3一一一2一一一一 一一1一一一一一。一 2323一一21一顧 一脚一。4−3一一一 一』  l  l     イ1・ ウ 31332一一一2− 3−1一噌一一233 一一1一一21−2一 一一一頓一2一一21 −4−2一一 3噂一 一一一耀一   1

    コ トウ ー一一一一一2一一2 一一一21−3一一一 22一:31一一1−1 一一一一1一一一一一 3−5一一4一一55 一一一一一一一一一一一一一5

 上の[データ③]と[データ④]の学生の「聴音の手段」は,今回の調査の結果「未定 着」であると判断せぎるをえない。それは,二人共「誤答数値」が極めて高いことと,「正

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42

長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

答場所」が「固定ド」及び「移動ド」のいずれにも「偏りの傾向」が見られないというこ とから判断される。

 なお[データ①]と[データ②]の学生は「長期ピアノ学習者」であり,筆者がこれま でに行なってきた調査結果を総合的に考察してみると,「長期ピアノ学習者」の多くは「固 定ド」あるいは「移動ド」の高得点を獲得しており,この2つのデータを比較しただけで

はいいきれないが,これまでの調査結果のデータから,「長期ピアノ学習者」の多くは「固 定ド音感」と「固定ド唱法」を定着させているようである。

 (5)三者混在の実態認識

 さて筆者は,この機会を捉えて学生に「移動ドと固定ドの音感と唱法」にっいて詳しく 説明を行なうことにしている。それには,まず,この音楽基礎を学習する学習者の中に(A)

「移動ド音感を有する者」と(B)「固定ド音感を有する者」及び,(C)「いずれの音感も 定着していない者」の三者が混在していること4),更に,今日のわが国の学校(小中高校)

教育現場のどのクラスにも,多少の差こそあれ,三者が混在している事実5)を理解・認識さ せることにしている。それは,やがて彼らがそのような状況のクラスにおいて,音楽教育

(読譜指導を含む)を行なわなければならないことを意識して学習することを筆者が望ん でいるからである。

 (6)学習者自身の手段選択

 以上のデーター分析結果をもとに,学生(学習者)一人ひとりに(他の人に知られない 方法によって)6)その本人の音楽的聴感覚機能(音感)の実態調査の結果(この場合は聴音 能力の程度とその手段,つまり,移動ドと固定ドの何れの音感〈手段>によって聴音した かということ)を伝達し,自分自身の音楽的聴感覚機能が現在どのような状態にあるかと いうことについて理解・認識させるとともに,自分はどの唱法(手段)を選択すべきであ るかということについて学習させることにしている。それは,自分自身の音楽的聴感覚機 能に相関(同調)する唱法(手段)によって歌唱していれば,誤唱した場合,自分自身の 音楽的聴感覚によって誤唱に気付き正しく歌い直すことができるからである。また,その 音楽的聴感覚機能の定着度が高度になればなるほど誤唱も少なくなり,視唱力も高まるこ とになるからである。したがって,特に,前述の(C)「いずれの音感も定着していない者」

は「固定ド」あるいは「移動ド」のいずれの感覚でもよいから,早く身に付けるように示 唆する。その場合,継続的にピアノ学習が可能な者は「固定ド唱法」により「固定ド」感 覚を選択してもよいが,歌唱のみの学習者は「移動ド唱法」により「移動ド」感覚を陶冶 するように示唆している。

II.三者共存(固定ド・移動ド・未定着)の読譜と音楽理論の実践・実習  (1)ハ長調の楽譜による移調唱

 さて,これから「コールユーブンゲンとコンコーネ」7)及び「音楽科教育」8)というテキ ストを使ってソルフェージュの実践・実習に入るのであるが,女子学生はともかくとして,

男子学生にハ長調の音階をうたわせてみると,まず最初に驚くことは,殆どの学生が高音 の「ラシド」のあたりになると声を1オクターブ下げてうたうことである。そこで,小学 生の声の実音はそんなに低くはないことを説明し,どうしても高音で歌唱する必要がある

ことを説得し,高音発声の練習を指導するのであるがなかなか高音でうたおうとしない。

(5)

致し方なく3度低いイ長調に下げてうたわせてみると実によくうたう。それどころか,女 子学生の中からもその高さでうたいたいという希望者が出る始末である。

 (2)移調唱の利点と難点及びその対策

 そこでハ長調の楽譜を見ながら3度低いイ長調でうわせてみると,「移動ド唱法」で視唱 している者は「階名の変更することなく,実音だけ3度低い声でうたって行くことができ る」という「利点」があることを理解することができる。一方,固定ド音感を有する者は

「固定ド唱法(音名唱)」を用いて視唱するので,ハ長調の楽譜を見ながらイ長調の高さで うたおうとすると,ハ長調の楽譜の3度下に音符を目で移動させ,音名を変更しながら実 音を想定しなければうたえないという難点があることを理解・認識することになる。した がって,固定ド音感定着者で固定ド唱法によりハ長調の楽譜を見ながらイ長調の高さでう たおうとする場合には,予めハ長調の楽譜の3度下に音符を書いて(移調して)おく必要 があることを示唆することにしている。

 その場合,音楽理論(楽典)の「移調」と「調号」(調性判断)及び「音階」等について 指導することは極めて有効である。

 (3) 卜長調(へ長調)の視唱の難点とその対策

 ところが,コールユーブンゲンのト長調やへ長調の視唱練習に入ると「移動ド唱法」の グループはとたんに難しくなるのである。それは視覚的な「階名の読み替え作業」を行な いながら相対音感により音高キャッチをしてうたわなければならないからである。そこで まず,「移動ド唱法」を用いるグループには,コンコーネ50番練習曲の2番に「階名を書き 込む」という作業を行なってからト長調の視唱練習(ウォーミングアップ)に入ることに

している。

 r方「固定ド唱法」のグループは,そのまま「ドレミを音名としたハ長調読み」で「移 動ド唱法」のグループと一緒に練習を行うことができるという「利点」があるのであるが,

お互いに「階名と音高の違い」をあまり気にすることなくうたっていくようである。それ は自分の音楽的聴感覚機能(音感)と唱法が一致(相関)している場合,自分自身で音高 の正誤が確認できるからであろう。

 (4)転調楽譜の視唱の難点とその対策

 次に,転調のあるコンコーネ50番練習曲(中声用)12番[楽譜1]の視唱練習の場合に は,まず「移動ド唱法」のグループは[楽譜1]の最初(転調前)は何調で,途中(13小 節目)から何調に転調しているかという調性判断の作業から始めなければならない。その 場合,前記(2)項において学習した「調性判断の音楽理論」が早速役立つことになる。それ

によって,転調前の階名から転調後の階名をどのように「読み替える」かについて検討し,

階名を書き込む作業[楽譜2]を行なう。その問に「固定ド唱法」グループの中で3度低 い調でうたう者は,3度低い所に音符を「書き替える(移調する)」作業[楽譜3ユを行な い,転調前と転調後が何調になるかを検討し,それぞれの「調号」(#やbをどこへ何個付 けるか)を書く作業を行なう。

 以上の作業が終わった段階で「移動ド」と「固定ド」のグループは同時に視唱練習「読 譜練習」を開始することが可能になるのであるが,「未定着」のグループは自分がいずれの

「読譜手段」(グループ)を選ぶかということを自分自身で検討し,決定するように示唆す る。その時,唱法(階名や音名)と音感が互いに密接な相関作用によって結び付いていな

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44 長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

ければ「読譜の手段」としての役割りをなさないということを充分に理解・認識できるよ うに説明し指導することにしている。

[楽譜1]コンコーネ50番練習曲(中声用)12番

ハ長調 一一→ 変イ長調

<      一一 =======二      =一

[楽譜2]「移動ドグループ」の「階名書込楽譜」

       ●

ラ ソ(シ)

ソドレミレミファ

[楽譜3]「固定ドグループ」の「3度低い移調楽譜」

■      oの

一一一一一一   二=====軍一一一一 一  ===,一一    二=》一一一一

皿.三者共存の読譜学習前と学習後の比較考察

[データ⑤]一(a)

15527 ,Gヒ14 5153235115 1331221522 5512213512 2323232132 4325433134 12 59 12  9

   コテイ  31313233三!苫 155ユ221522 3312215512 232152=52152 4525453154 一一一一一5  1  1    イト〜 ウ 51352一一一一一 飼一一一一一一一一一 33122一一一一一 一一一一一一一一一一 4一一一卿3一卿一一 一』  1    コ〜、トウ  一一陶餌甲一一一一 一噌噸旧一陶唱聯一一 一一一一髄一一一一一 騨一聯響} 一一一一 一一騨 廓一一鱒層一 ____一_一一

[データ⑤]一(b)

15527 ,Gヒ13 3重55253113 1351221522 3512215512 2325232132 4325433134 12 53 12  3    コテイ  5135233113 玉351221522 5312213512 2325232132 4325433ユ54 一』  i  l

   イト ウ 31332一一一一一 一一一一一一一一一一 33122一一一一一 一一一一一一一一一り 4一一一一3一一一一 一一一一一一一一   1

   コ トウ 槻一一一一ロー扁一一 一一一一一一一甲職一 聯一一卿一一一一 一 贈喩聞甲一榊一卿 一 一一贈一一 一一一騨 一一關

 上の[データ⑤]一(a)は「学習前の調査結果」であり,[データ⑤]一(b)は「学習後の調査 結果」である。この2つのデータを見る限りにおいては,この13527の学生は相当高度な「固 定ドの音楽的聴感覚機能」が定着していると判断することができる。したがって,このよ うな学生の場合には「読譜の手段」として「固定ド唱法」を用いて視唱を行なうことに徹 すべきであって,今更「移動ド音感」を伴った「移動ド唱法」による視唱の学習を強制す

ることは避けるべきである。(データ⑧の学習者を参照)

 もし学習させるとするならば,「移動ド音感」や「移動ド唱法」というものについて,理 論的に理解・認識させるような方向で学習させるべきであろうと考える。このことは,反 対に「移動ド音感」や「移動ド唱法」を完全に定着させている者にとっても同様で,今更

「固定ド音感」や「固定ド唱法」を用いることを試みることは避けるべきである。(しか し,学習者が幼児や低学年で今後ピアノを継続的に学習することが可能な者にとっては,

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その限りではない。)

[データ⑥]一(a)

13656 Gヒ68315522122エ!5312322353512221223521152322143254331341225570    コテイ31532 13312一一一33122一一一一一一一一一4325433134一一一 I l    イいつ3153221221騨 一32235331222122552113252214一一一3一一一一一一 1

   コ トウ ー一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一。一一一一一  一哺甲。一葡一一聯 _噂_ 騨一_繭__一________」

[データ⑥]一(b)

13636 7Gヒー9 5133221221 3213332233 3312221225 3211323221 4432231:321

   コテイ  311332一一一一一 一一一一一一一一一一 35122一一一一一 一一一一一一一一一一 4一一一一3一一一一

   イト、、ウ 3133221221 3215332233 5512221225 3211323221 4432251521

   コ トウ ー一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一

12 12 56

一一  1

 上の[データ⑥]一(a)は「学習前の調査結果」であり,[データ⑥]一(b)は「学習後の調査 結果」である。この2つのデータを見る限りにおいては,この13636の学生は今回の音楽基 礎の学習において「移動ドの音楽的聴感覚機能」が更に安定してきたことをものがたって おり,学習成果があったと判断することができる。したがって,このような学習者には,

今後ますます自信をもって「移動ド音感」による「移動ド唱法」の学習を促進させるよう に示唆すべきであると考える。

[データ⑦]一(a)

⊥5413 7Bリ07 3133252122 3512125255 2213121121 252312212工 5452443355

   コテイ   513323−1一一 一15一一一2一一一一 一一1卿一一 噌一口 2:323一一21 一 一一ロー4脚3騨一一    イト ウ 31332一一一2− 3−1り一一一235 一一1一一21−2一 一一。一一2一一21 韓4−2四一一3一一    コ トウ ー}一一一一2一一2 一一一2i−5一一一 22−31一一工一1 一一一一ユー一甲騨一 3−5卿一4一 55

6 1821 17

−  l l

一脚  1

[データ⑦]一(b)

15413 7B膣、1藤7 51312232Z5 1225221353 1133533312 5225522222 4:325442334    コテイ  了13−2一苫一一3  1一一一2215一一 一一一一一一5312 一一25一 2一一2 43254一一一34    イト、 ウ 了15−22−22一 一2−3一一一一35 一一一一一一一一一一 32一一32−22− 4一一一一一一3・一一    コ、、トウ ー一一1一一一一。一 }一2一一一一一一一 113333一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一42一一一

5 26 19 1臼

一一  l l

一一一一一一J  l

 上の[データ⑦]一(a)は「学習前の調査結果」であり,[データ⑦]一(b)は「学習後の調査 結果」である。この2つのデータを見る限りにおいては,この13413の学生は今回の音楽基 礎の学習において,残念ながらいずれの「唱法」も定着させることができなかったように 感じられる。2回目のデータではやや固定ドの方に傾きが感じられるが,ピアノ学習の継 続が約束されない限り,「固定ド音感」の陶冶とか「固定ド唱法」による視唱力の促進は望 めないだろう。それよりも,階名唱による「移動ド唱法」の練習を継続的に行ない,一日 も早く確かな「移動ド音感」を陶冶し,移動ド唱法による視唱力を促進させる方が良策で あると考える。

[データ⑧]一(a)

13461 7Gヒa6 3135233115  3211221322 3312215312 2323222132    コテイ  3133233115 一一一1221522 3312213312 23252−2132

   イト ウ 31332一一一一一 52!一一一一一一一 33122一一一一一 一一一一⇔2一一一贈    コ トウ ー一一一一噌一一騨一 一一一一一 一一 甲 一ロロ 卿胃 一騨・  一一一⇔一層冒一一一

[データ⑧]一(b)

4:5254:51131 12 44 18 452543−1:3。 一一一闘岡」  1

4卿一一一31 卿1 一

韓一冒一,}鱒鯛じ一一〇 一口騨■一一一暉一一一聞閣一一一」

15斗61  Gヒ臼7  5三5522122工 3211521252 3512223222 3221555221 43215455134

   コテイ  31;=52一一一一一 一一一1−21一一2 ;15122−3一一2 一一2一一3一一一一 43254苫51;4    イト ウ 3133221221 521−5一一23− 531222−22− 32一三5−3221 4一一一一3一一一一    コ、 トウ ー一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一

12 28 34

−  i

上の[データ⑧]一(a)は「学習前の調査結果」であり,[データ⑧]一(b)は「学習後の調査

(8)

46

長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

結果」である。この2つのデータを見る限りにおいては,この13461の学生は最初折角「固 定ド音感」がほぼ定着していたにもかかわらず,「移動ド」への「音感の転換」を試みよう としたためか,2回目の[データ⑧]一(b)には,不幸なことに,各所で「感覚混乱」(ある いは感覚錯乱)を起こしている兆候が感じられたので,直ぐに学習者を呼び事情を問い正 してみたところ,やはり,「移動ド唱法に切り替えようとしているが,音の高さがなかなか 分からなくて難しい」こと,更に「2回目の聴音調査のときには,途中で階名が色々に聞

こえてきて混乱し困った」ということを話してくれた。

 これは,筆者の娘もそのような混乱状態に陥ったことがあったが,音感がある程度定着 しつつある段階で,他の「音感への転換」が要求されたりすると,ある期間(転換が完了 するまでの間)混乱状態に陥ることがあるので充分注意をしなければならない。

[学習者全員の分布状況]

 [A]のデータは「学習前」の分布状況     [B]のデータは「学習後」の分布状況

…,   5  コテイ   テン   イト り 5   11       3    5  コテイ   テン   イト ウ 5   1異

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(C)

 上の左「学習前」と右「学習後」の分布状況のデータを比較検討し考察してみると,「学 習前」の「固定ド」群(中央より左側)には40点以上を獲得した者が11名もいるのに対し て,r移動ド」群(中央より右側)には40点以上を獲得した者が一人も存在しないというこ

とは,この学習グループには「固定ド感覚」が定着しつつある者(B)はいるが,「移動ド感覚」

が定着しつつある者(A)が誰もいないということである。

(9)

 しかし,「学習後」の分布データを見ると,「固定ド」群(中央より左側)の40点以上を 獲得した者が7名に減少しており,その代わりに「移動ド」群(中央より右側)に40点以 上を獲得した者が10名も現れたことは,極めて注目に値する現象である。このような結果

を生み出した要因は,我田引水になるかもしれないが,筆者が主張する「三者共存の読譜 学習」の意図を学習者がよく理解・認識し,読譜の学習に努力した賜であると考ている。

IV.結論(歌唱学習の導入に必要な読譜能力)

 この「教師教育を目的とした音楽の基礎学習」は,決して「三者共存の読譜学習」が授 業の全てではないのであって,歌唱表現を中心とした音楽全般の基礎学習(例えば「発声 法」や「弾き歌い」なども含め)を実践・実習することなのである。しかし,視唱能力(読 譜能力)が定着し始め,読譜に自信がでてくると音程がよくなり,なぜかリズムも歯切れ よくなって,新曲に対する挑戦意欲も湧いてくるようになる。そして更に「歌詞唱」にな ると彼らは全く別人のようにのびやかにうたうようになる。したがって,読譜から歌詞唱 に積み上げていく学習は,歌唱学習の最も重要な基本的ステップであるといえよう。

 そこで筆者は,音楽の専門教育でない普通教育で必要な読譜能力は,歌詞唱に入る前段 階として「旋律を記憶する初期的な手段」程度のものであれば,如何なる「読譜手段(唱 法)」であろうとも,それが「音感」と同調するものでなければならないと考えている。し たがって,「固定ド唱法」の定着者はそれを,一方「移動ド唱法」の定着者はそれで,可能 な限り迅速に且つ正確に旋律を把握し,速やかに歌詞唱に移行していくように導くことが,

音楽教師の最も重要な読譜指導法であると考えている。,

(10)

48 長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第15号

[註及び参考文献]

1)拙論「音楽的聴感覚機能の実態調査に基づく読譜指導(2)」p.93昭和60年3月 長崎大学教育学部 教  科教育学研究報告 第8号

2)マイクロコンピュータ「IF−800]型NEC

3)その他のデータ種類については,註1)の拙論 p.94〜p。96を参照

4)これまでに大学生を対象に筆者が行なってきた「音楽的聴感覚機能の実態調査結果」の中から,数点   の「三者混在の分布図」(46頁の分布図と同様)を参考に見せる。

5)下図のような「小・中学校の三者混在の分布図」も参考に見せる。

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小学校の分布図 中学校の分布図

6)この調査結果は個人のプライバシーを保護する意味から,個人名は使用せず,全て記号と個人番号に   よって記録されており,したがって,その記号と個人番号によって伝達することにしている。

7)この「コールユーブンゲンとコンコーネ」というテキストは,普通一般に使用されている「コールユー   ブンゲン全版」のものから段階を考慮して抜粋したものと,「コンコーネ50番練習曲」の前半の数曲が  合体されたものである。

8)この「音楽科教育」というテキストは音楽教育概論や音楽教育史の他に,楽典と小・中学校の歌唱教  材が多く掲載されているために,音楽の広範な学習に活用できる。

参照

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