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日本内科学会雑誌第106巻第6号

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Academic year: 2021

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はじめに

 過敏性肺炎は,免疫学的な機序で起こる原因 の明らかな間質性肺炎の代表的疾患である.抗 原曝露後の急性期は,好中球,単球などが肺局 所に流入し,エフェクター細胞としてアレル ギー性炎症を形成する.これらの反応に引き続 いて,リンパ球が炎症局所に集積しそれらの産 生するサイトカインやケモカインによってアレ ルギー性炎症をコントロールしている.慢性・ 線維化に関して,Th1/Th2 の免疫バランスが注 目され,その病態が解明されてきている.「過敏 性肺炎の病態と治療の最前線」について概説する.

1.病態

1)免疫反応  狭義の肺間質は,ガス交換が行われる肺胞と 毛細血管のいわゆる“隙間”である.したがっ て,“間質”性肺炎は,経気道的な外来物質が原 因となる場合(肺胞側)と血行性/内因性物質が 原因となる場合(毛細血管側)がある.過敏性 肺炎は前者の外来性に吸入した物質が原因(抗 原)となる.本疾患は環境中の特定の抗原を繰 り返し吸入することによって感作が成立し,そ の後,再び抗原を吸入した際に,抗原と特異抗 体(III型アレルギー)(図 1)あるいは感作リン

過敏性肺炎の病態と治療の最前線

宮崎 泰成1)  稲瀬 直彦2) 要 旨  過敏性肺炎とは,感受性のある個体において特定の抗原(動物由来蛋白(鳥など),真菌/細菌,あるいは無機 物(イソシアネートなど))が肺局所で反応して免疫学的機序で発症する間質性肺炎である.発症に至る免疫機 序は,特異抗体(III型アレルギー)と感作リンパ球(IV型アレルギー)が重要であるが,加えて原因抗原の種類・ 量,肺内での除去速度および内的外的要因によって免疫反応は変化する.臨床病型は急性および慢性の 2 つに分 けられる.急性はTh1とTh17反応が主体であるが,慢性ではそれらの反応がTh2にシフトし,線維化の原因とな る.診断においては,原因抗原を特定することが重要である.原因抗原は多数あるが,特に羽毛やとり糞などの 鳥関連蛋白および真菌の頻度が高い.治療においては,抗原の回避を基本とし,ステロイドや免疫抑制薬によっ てアレルギー性炎症をコントロールし,線維化を抑制する.線維化の進んだ慢性過敏性肺炎の治療が今後の課題 である. 〔日内会誌 106:1212~1220,2017〕 Key words Th1/Th2 バランス,ケモカイン,サイトカイン,線維化 1)東京医科歯科大学保健管理センター,2)東京医科歯科大学呼吸器内科

The Cutting-edge of Medicine;Frontline in pathophysiology and management of hypersensitivity pneumonitis.

Yasunari Miyazaki1) and Naohiko Inase2)1)Health Administration Center, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Japan and 2)

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パ球(IV型アレルギー)(図 2)が肺局所で反応 し,病変が形成されるアレルギー性の間質性肺 炎である1)  発症までの流れは図 3のようになっている. 特異抗原に対する反応の強さは,抗原の量,期 間で規定される.また,肺内での抗原のturn-over も影響し,鳥関連の原因抗原であるpigeon drop-ping extracts(PDE)は,すでに鳩の消化管で消 化されているため,肺胞マクロファージによる 消化を受けにくい抗原とし,局所にとどまり, マクロファージからの炎症性物質の放出を遷延 させ,T細胞の反応を永続させると考えられて いる.  発症に影響を与える内的,外的要因がある. 内的要因としては,個体の遺伝的背景や加齢に よる免疫システムの変化があり,外的要因とし ては,喫煙,ウイルス感染,肺局所の炎症状態 などがある.これらの内的,外的要因が複雑に からみ合い,個体の疾患感受性を規定してい る.そのため,原因抗原に曝露されていても発 症に至るのは 4~20%程度である. 図1 過敏性肺炎におけるⅢ型アレルギー反応 所属リンパ節/BALT Th1 2,免疫複合体の形成 4,炎症細胞の流入 特異抗原 特異抗体 肺胞上皮 リンパ球 単球 マクロファージ 樹状細胞 B 補体 B B B B 毛細血管 特異抗原の吸入 好中球 3,補体の流入 1,肺局所の特異抗体の増加 5,胞隔炎の形成 APCs

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2) 臨床病型(急性と慢性)および病型別の 免疫反応過程の違い  過敏性肺炎の病型は,急性症状の有無とその 経過から急性と慢性(再燃症状軽減型/潜在性発 症型)に分けられる2)  急性過敏性肺炎では,肉芽腫性病変を主体と した免疫反応が起きる.肺は二次小葉内の呼吸 細気管支周辺に生体防御システム上の弱点を有 し,抗原の多くは 10 μm以下であるので,これ らの粒子はこの呼吸細気管支周囲にとどまりや すい.したがって,呼吸細気管支から肺胞領域 において水溶性抗原とIgG抗体による免疫複合 体が形成され,補体の活性化に引き続いて,補 体 レ セ プ タ ー やFcレ セ プ タ ー を も つ マ ク ロ ファージが活性化される(図1:III型アレルギー 図2 急性過敏性肺炎におけるⅣ型アレルギー反応 2,炎症細胞からの サイトカイン放出 TNFα INFγ Tc1 所属リンパ節/BALT Th1 1,炎症細胞の流入 特異抗原 特異抗体 肺胞上皮 リンパ球 単球 マクロファージ 樹状細胞 補体 毛細血管 特異抗原の吸入 好中球 Th1 Tc1 Tc1 Th1 Tc1 Th1 3,上皮細胞, 間質細胞, 内皮細胞からの ケモカインの放出 4,肉芽腫の形成 IP-10 Mig I-TAC IL-8 MCP-1 CXCL5 APCs Th17 Th17 αβ αβ γδ γδ Th17

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反応).活性化されたマクロファージから分泌さ れるサイトカイン(IL-17Aなど)によって,II型 肺胞上皮からケモカイン(CXCL5 など)が分泌 されることにより好中球の流入を促す.この反 応は,抗原吸入後数時間(4~6時間)に起こる 急性症状に反映される.この免疫複合体による 図4 過敏性肺炎の各病型の血清 CCL17/CXCL10比(文献4より引用改変) *:p<0.05 (35) (12) (11) (6) 健常人 急性 慢性 ・再燃症状 軽減型 慢性 ・潜在性 発症型 * * * (症例数) 血清CCL17/CXCL10比 8 7 6 5 4 3 2 1 0 図3 外来抗原と個体の免疫の反応 抗原の吸入 ●量 ●期間 ●肺局所での turn-over 個体側の反応 過敏性肺炎の発症 外的要因 ●喫煙 ●ウイルス感染 ●肺局所の炎症状態 内的要因 ●遺伝的要因 (サイトカイン/HLAハプロタイプ) ●加齢による免疫システムの変化 ●性ホルモン

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反応に引き続いて,Th1 サイトカイン・ケモカ イ ン(MIP-1α(macrophage inflammatory pro-tein-1 alpha),IP-10(interferon-inducible protein 10)など)がT細胞(Th1/Th17/Tc1)や単球を 流入させる,肺および肺間質に集積したマクロ ファージは類上皮細胞と多核巨細胞に分化して 肉芽腫を形成する(図2:IV型アレルギー反応)3)  Th1/2 バランスがTh2 へシフトすることによ り,炎症から線維化が誘導されることが肝疾患 の研究で明らかにされてきていた.我々の慢性 過敏性肺炎症例の解析でも,急性,慢性・再燃 症状軽減型,慢性・潜在性進行型で血清および BALF(bronchoalveolar lavage fluid)を解析する と,Th1 タイプケモカインIP-10(CXCL10)は 急性で上昇し,再燃症状軽減型,潜在性発症型 の順に低下し, 逆にTh2 タイプケモカインの TARC(CCL17)は急性で低下,再燃症状軽減 型,潜在性発症型で有意に上昇していた(図 4)4).Barreraも同様の報告をしており,さらに 慢性症例では急性において炎症を収束させる働 きがあるγδT細胞が低下していた5) 3)環境因子―原因抗原(表1)  過敏性肺炎の原因となる抗原は 100 以上存在 するといわれている.動物由来蛋白(鳥関連抗 原など),真菌/細菌,あるいは無機物(イソシ アネートなど)が抗原となる.代表的な抗原を 表 1にまとめた.疾患名はその発症環境を示す 職業や居住状況によって命名されており,実際 の抗原を示していないので注意が必要である. 表1 過敏性肺炎の原因抗原 疾患名 発生状況 抗原 鳥関連過敏性肺炎 鳥飼育 鳥排泄物 自宅庭への鳥飛来 鳥排泄物 鶏糞肥料使用 鳥排泄物 剝製 羽毛 (羽毛ふとん肺) 羽毛布団使用 羽毛 農夫肺 酪農作業

Saccharopolyspora rectivirgula,Themoactinomyces vulgaris, Absidia corymbifera,Eurotium amstelodami,Wallemia sebi

トラクター運転 Rhizopus属

夏型過敏性肺炎 住宅 Trichosporon asahii,T. dermatis

住宅関連過敏性肺炎 住宅

Candida albicans,Aspergillus niger,A. fumigatus Cephalosporium acremonium,Fusarium napiforme Humicola fuscoatra,Peziza domiciliana

Penicillium corylophilum,Cladosporium sp.

加湿器肺 加湿器使用 Aspergillus flavus? Phoma herbarum?

塗装工肺 自動車塗装 イソシアネート

機械工肺 自動車工場 Acinetobactor Iwoffii,Pseudomonas fluorescensMycobacterium Immunogenum

小麦粉肺 菓子製造 小麦粉 コーヒー作業肺 コーヒー豆を炒る作業 コーヒー豆塵埃 温室栽培者肺 ラン栽培(温室) 木材チップ中の真菌 キュウリ栽培(温室) 不明 きのこ栽培者肺 シイタケ栽培 シイタケ胞子 エノキダケ栽培 エノキダケ胞子

コルク肺 コルク製造作業 Penicillium glabrum,A. fumigatus,Chrysonilia sitophilia

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 原因別の過敏性肺炎の頻度は,鳥関連過敏性 肺炎が最も多く,農夫肺,夏型や住居関連の真 菌による過敏性肺炎が続く6).これらの統計は 急性慢性を区別していないので,急性慢性別の 国内疫学調査を表 2に示す.急性の原因は真菌 (夏型,Trichosporon asahii)が多く(74%), 逆に慢性では真菌が原因の夏型や住居関連は 25%程度と低下し,鳥関連が多くなることがわ かる(60%)7,8).つまり,真菌による過敏性肺 炎は急性に多く,鳥関連抗原による過敏性肺炎 は慢性に多い.抗原の種類によって免疫反応が 急性に傾いたり,慢性に傾いたりすることが推 測される2) 4)遺伝的因子  過敏性肺炎は,免疫反応を主体とする間質性 肺炎であるので,疾患感受性遺伝子としてHLA (human leukocyte antigen)ハプロタイプとサイ トカイン遺伝子のプロモーター領域の遺伝子多 型が検討されている.メキシコ人の鳥関連過敏 性肺炎ではHLA-DR7が,白人の鳥関連過敏性肺 炎や農夫肺ではHLA-B8を,日本人の夏型過敏性 肺炎ではHLA-DQw3 を高頻度に認めた.サイト カインについては,TNF(tumor necrosis factor)-

αのプロモーター領域―308 のA2 アリルの保有 者が有意に多かった.これらの報告は,急性の 報告である.我々の検討では,潜在性発症型慢 性過敏性肺炎の17.5%に間質性肺炎の家族歴が あり,同一環境に居住していないことから慢性 の発症に遺伝的要因があることが示唆された9)

2.診断

1)病歴・症状  原因となる抗原(表 1)を念頭に置き,患者 の職業,自宅/職場環境,自宅周囲環境,趣味に 至るまで詳しく病歴を聴取する必要がある.急 性では抗原の存在を示唆する病歴があることが 多いが,慢性では判断が難しいことが多い.潜 在性に進行し,労作時呼吸困難や咳嗽で発症す るため,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)との鑑別が難しくなる.特定の 季節や特定の場所で症状が悪化する場合は特に 本疾患を疑う. 2)環境調査  診断の助けになるので,可能な限り,患者の 自宅および職場の環境調査を行う.原因の 1 つ である真菌の中で日本に多いトリコスポロン は,腐木に繁殖しやすい.風呂場の脱衣所,台 所,雨漏りをした天井裏や畳の裏などをよくみ て,疑わしい場所の培養などを行う.落下真菌 培養も参考になる.また,鳥関連抗原の種類は 表2 急性・慢性過敏性肺炎の疫学調査 急性過敏性肺炎(文献7より) 慢性過敏性肺炎(文献8より) 疾患名 症例数 % 疾患名 症例数 % 夏型 621 74.4 鳥関連 134 60.4 農夫肺   68   8.1 夏型   33 14.9 空調器肺   36   4.3 住居関連   25 11.3 鳥飼病   34   4.1 農夫肺     4   1.8 その他   19   2.3 イソシアネート誘発     3   1.4 原因抗原不明   57   6.8 その他   23 10.4 計 835 100 計 222 100

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表 1のようにたくさんあるので注意する.鳥の 飼育はもちろん,羽毛ふとん,ダウンジャケッ ト,鳥剝製もチェックし,さらに自宅周辺に鳥 が多い環境がないかチェックする必要がある (ハト小屋(都会ではビルの屋上にあることが 多い),公園,神社など). 3)検査所見・免疫学的所見  KL-6,SP-Dは急性では著明に上昇し,慢性で は中等度の上昇にとどまる.肺機能検査では拘 束性呼吸障害を示すが,特に労作時の低酸素血 症 を 呈 す る.6 分 間 歩 行 は 診 断, 治 療 経 過 を チェックするのに有効である.特定の抗原に対 する特異抗体は診断上有用である.真菌と鳥が 原因として多いので,抗トリコスポロン・アサ ヒ抗体(保険適用あり)や鳥関連抗体(保険適 用 な し, サ ー モ フ ィ ッ シ ャ ー サ イ エ ン テ ィ フィックで測定可能)を測定するとよい. 4)画像  急性のCT(computed tomography)画像は特 徴的である.小葉中心性の粒状影あるいは辺縁 の不明瞭な小結節を呈し,汎小葉性のスリガラ ス様陰影を呈し,モザイク分布になることもあ る.スリガラス様陰影は濃淡があり,浸潤影を 呈することもある.一方,慢性の画像は,多彩 である.分布は上肺野優位か上肺野にも下肺野 にも病変を認めることが多い.進行例では,蜂 巣肺を呈し,IPFとの鑑別が難しくなる. 5)環境誘発試験・抗原吸入誘発試験  環境誘発試験では臨床病態の再現に 1 カ月を 要した症例もあり,抗原吸入誘発試験のみが陽 性の症例も多い.抗原吸入誘発試験は特定の施 設でしか行われていない.濃度を調整した抗原 を吸入させ,前,6 時間後,24 時間後にX線撮 影(CT),肺機能検査,動脈血ガス分析,白血 球数,CRP,症状,体温をチェックし,診断す る.急性例や抗原回避不十分な症例,抗体価が 高い症例は悪化する可能性があるので吸入誘発 は行わない10)

3.治療

 特定された抗原の回避を基本とし,ステロイ ドや免疫抑制薬によってアレルギー性炎症をコ ントロールし,線維化を抑制する. 1)急性過敏性肺炎  抗原回避および環境改善;夏型過敏性肺炎で は改築を含めた環境改善が必要である.特に風 呂場や台所などに繁殖するトリコスポロンに注 意し,繁殖しやすい腐木,寝具,畳,カーペッ トを処分する.改善しない場合は転居も考慮す る必要がある.鳥関連過敏性肺炎では,鳥飼育 の中止,羽毛布団の破棄を行う.鳥の多い環境 (駅前,公園,神社)を避ける.農夫肺や塗装工 肺では防塵マスクを着用する.加湿器肺では フィルターの交換と機器の洗浄を十分に行う.  軽症例では,抗原回避のみで改善する.診断 後はステロイドの短期使用も可能である.中等 症以上の呼吸不全症例では,プレドニンⓇ20~ 40 mg/日で開始し漸減して,計 4 週間程度内服 する.著明な低酸素血症や呼吸不全を認める重 症例では,メチルプレドニゾロン1,000 mg 3日 間点滴静注した後,プレドニンⓇ40~60 mg/日 を開始し,検査所見をみながら漸減し,計 4 週 間程度内服する. 2)慢性過敏性肺炎  急性と同様に抗原回避は必須で,不十分であ るとステロイドを使用しても進行する可能性が ある.実地臨床では,線維化が進行する場合や 重症の呼吸不全を来たす場合は長期のプレドニ ンⓇ30 mg/日からゆっくり減量する.免疫抑制 薬の併用も考慮する(シクロスポリン:トラフ で 100 ng/ml, 内 服 2 時 間 後 血 中 濃 度 500~ 600 ng/mlが理想である.腎障害に注意する).

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4.予後

 急性の予後は抗原回避を行えば非常に良好で ある.しかし,慢性の予後は様々であり,我々 の検討では,UIP(usual interstitial pneumonia, 通常型間質性肺炎)パターンおよび血清CCL17 値が予後と相関していた.OP(organizing pneu-monia, 器 質 化 肺 炎 ) あ る い はcellular NSIP (cellular nonspecific interstitial pneumonia,細胞 型非特異性間質性肺炎)パターンの病理像を呈 する患者では 5 年生存率は 100%であったのに 対し,fibrotic NSIP(fibrotic nonspecific intersti-tial pneumonia,線維型非特異性間質性肺炎)や UIPパターンを呈する患者では 5 年生存率は 30 ~40%であった11)  また,慢性では経過中に急性増悪を発症し, 死亡率は 80%と予後不良である.UIPパターン を呈する患者の急性増悪 2 年発症率は 11.5%で あり,IPF急性増悪の発症率とほぼ同等である (図 5)12)  肺癌も予後を決定する因子である.10 年間 104例の慢性例を検討したところ,11名(男性 10,女性 1,平均 69 歳,10.6%)に肺癌を合併 し,IPFの合併率とほぼ同等であった13)

おわりに

 過敏性肺炎の病態は徐々に解明されつつあ る.治療においては,抗原を特定し,環境から 排除すること,およびアレルギー炎症を抑える ことが主体となる.しかし,慢性過敏性肺炎に おいては,炎症とともに線維化も問題となり, Th2 優位の免疫バランスを調整して線維化を抑 制する薬剤の開発が望まれる.抗線維化薬など に対する質の高い臨床試験も今後考慮される. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:宮崎泰成;寄附 金(塩野義製薬) 図5 急性増悪の発症率(文献12より引用) 0 50 100 150 200 UIP(n=26) fNSIP(n=20) Logrank test UIP vs. fNSIP P=0.002 経過(月) 0 急性増悪発症 率 % 20 40 60 80 100

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文 献

1) 宮崎泰成,稲瀬直彦:慢性過敏性肺炎,免疫症候群(第 2 版)―その他の免疫疾患を含めて―.日本臨床 (別冊): 304―308, 2016.

2) 宮崎泰成:慢性過敏性肺炎.日胸 72 : 1328―1335, 2013.

3) Ishizuka M, et al : Interleukin-17A and Neutrophils in a Murine Model of Bird-Related Hypersensitivity Pneumo-nitis. PLoS One 10 : e0137978, 2015.

4) Kishi M, et al : Pathogenesis of cBFL in common with IPF? Correlation of IP-10/TARC ratio with histological pat-terns. Thorax 63 : 810―816, 2008.

5) Barrera L, et al : Functional diversity of T-cell subpopulations in subacute and chronic hypersensitivity pneumo-nitis. Am J Respir Crit Care Med 177 : 44―55, 2008.

6) Hanak V, et al : Causes and presenting features in 85 consecutive patients with hypersensitivity pneumonitis. Mayo Clin Proc 82 : 812―816, 2007.

7) Ando M, et al : Japanese summer-type hypersensitivity pneumonitis. Geographic distribution, home environ-ment, and clinical characteristics of 621 cases. Am Rev Respir Dis 144 : 765―769, 1991.

8) Okamoto T, et al : Nationwide epidemiological survey of chronic hypersensitivity pneumonitis in Japan. Respir Investig 51 : 191―199, 2013.

9) 宮崎泰成,他:慢性過敏性肺炎の疾患感受性.Annual Review呼吸器 2016 : 86―91, 2016.

10) Ishizuka M, et al : Validation of inhalation provocation test in chronic bird-related hypersensitivity pneumonitis and new prediction score. Ann Am Thorac Soc 12 : 167―173, 2015.

11) Ohtani Y, et al : Chronic bird fancier’s lung : histopathological and clinical correlation. An application of the 2002 ATS/ERS consensus classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Thorax 60 : 665―671, 2005. 12) Miyazaki Y, et al : Clinical predictors and histologic appearance of acute exacerbations in chronic

hypersensitiv-ity pneumonitis. Chest 134 : 1265―1270, 2008.

13) Kuramochi J, et al : Lung cancer in chronic hypersensitivity pneumonitis. Respiration 82 : 263―267, 2011.  

参照

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10) Takaya Y, et al : Impact of cardiac rehabilitation on renal function in patients with and without chronic kidney disease after acute myocardial infarction. Circ J 78 :

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38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured

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