ラ イ フ コ ー ス と 親 子 関 係
― E口 期 親 子 関 係 の 分 析 ―
-1-ιま じ め ここ 親 子 関 係 は、不 平等 な関係 であ るとい う暗 黙 の前提 が あ る。 す な わ ち、子 の成 育期 には親 の所 有す る資 源 の圧 倒的優位 に よ り、子 は 親 に従 属 す る立場 にあ り、親 の高齢期 には子 の資源が上 回 り、親 が 子 に従 属 す る立場 にた つ と考 え られて い る。 常識 的 に は親子 関係 は、 そ の前 半 と後半 で は役 割関 係 や勢 力関 係 が逆 転す ると仮定 され る。 ところが 、親子関係 歴40年にな る筆 者 は、 自 らの経 験 を とお して この前 提 とは異 な る経 験 的仮 説 を抱 くよ うにな った。 確 か に前半 の 親 子 関 係 は扶 養者 と被 扶 養者 、指導者 と被指 導者 とい う不平 等 な関 係 にあ る。 しか し親 か らの子 の自立 と と もに、親子 間 に対等 な関 係 が築 か れて い く。 そ して築 か れた対等 な関係 は、 それ ほ どた やす く 後 半 に逆 転 す るとはか ぎ らな い。成 人 同士 の親子関係 は、所 有 資源 の変化 に もか かわ らず 、で きるか ぎり対等性 が維持 され よ うとす る。 筆 者 の経 験 的 仮説 では、不平 等 な親子 関 係期 間の間 に も、か な り長 期 の対 等 な期 間が存続 す る。 以上 の問題 意識 か ら、本研 究で は、「 対等 性」 とい う、 これ まで の親子 関 係研 究 に欠 けて いた視点 か ら、親子 関係 を再考す る ことに した い。本研 究 の第一 の 目的 は、前期 と も後 期 と も異 な る対 等 な成
-2-人 同士 の中期 親子 関 係 の存在 を確 認 し、 この 中期 親子 関 係 を解 明す る こ とにあ る。 また近 年 、 ライ フコー ス論 の視点 か ら親子 関係期 間全 体 を射程 に いれ た研究 の必要性が 叫 ばれ てい る。 従来 の親子 関 係研究 は、子 の 成 育 期 にあた る前 期 と親 の高 齢期 にあ た る後 期 に分断 され、 それ ぞ れ の領 域 で別 々の理論 的概念 枠組 によ り研究 が行 われ 、研究 成果 が 統 合 され る こ とは なか った。 そ こで中 間 に位 置す る中期 親子 関係 を 研 究 す る ことは、前期 と後期 の親 子関 係 研究 の橋 渡 しの役 を担 うこ とにな る。本 研究 では、中期 親子関係 を解 明 す る ことで、生 涯 を通 した親 子関係 研究 の必 要性 を主張す る ことに した い。 生涯 を通 した親子関 係研究 のため に は、全 ての期Flに適 用 で き る 親 子 関 係 の理 論 的 枠組 を構築 す る必要 が あ る。 親子関 係期 間全 体 に 通 用 す る概 念 を用 い、中期親 子関 係 を分 析す ることで 、親子 関 係 の 基 本 的 原理 を探求 す る ことが、本研究 の第二 の 目的 とな る。 以上 の研究 目的 を達 成 す るため、 まず第一 に、中期 親子関 係研 究 の概念 枠組構 築 に向 けて、文 献探 索 を開 始 した。 ライ フ コー ス論 の 視 点 か ら中期 親子 関係 を扱 った研究 は、 いまだ ほ とん ど存在 しな い。 そ のた め に、「 親族関 係研究 」 お よび「 世代 間関 係研 究 」か ら関連 す る文 献 を集 め、 まず 本研究 での概念 枠組 の基礎 を構 築 した。 その 研 究成 果 は、す で に1992年 の第43回関 西 社会 学 会大 会 (於奈 良 大学)
-3-で発表 した。 その後 、生 涯 を通 した親 子関係研究 を主 張 す る先駆 的 な研究 を参考 にモデル を修正 し、 ライ フ コー ス論 の視 点 を取 り入 れ た独 自の理論 的 モ デル を提起 す る ことに した。 第 二 の段 階 で は、 この理論 的モデルの実証 的研 究 を試 み る作業 に は い った。 な お、調査 の時間 的な らび に財政 的 な資源 とい う点 で の の制限 か ら、実証対象 を母娘 関係 に限定 す る ことにな った。 そ して 1993年7月 に、 甲南女 子大学卒 業生 1643名 を対 象 に、郵送 によ る質問 紙 調査 を行 い、有 効 回収 票 715票 を得 た。 その後 1994年3月 に、第 一 次 調査 の回答 者 の母親573名 を対象 と した第二 次調査 を行 い、 384票 の有効 票 を得 た。 第二 段 階 で は、第一 次調査 のデー タ分析 に はい った。 まず 娘 の認 知 す る母娘関 係 で、本 研究 で提起 した理 論的 モデルの検証 を行 った。 そ して そ の結 果 は、甲南女子 大学 人間科学年 報第20号に発表 した。 第 四 段 階 で は、第二 次調査 で得 られ た母親 のデー タ とその娘 の デ ー タを セ ッ トに して、母 と娘 の双 方 の認知す る母娘関 係 の分 析 を試 み 、理 論 的 モ デルの検 証 を行 った。 この結果 の一部 を1994年 の第 4 回 日本 家族 社 会学大会 (於甲南女 子大 学
)お
よび人間科学会 第2回
大 会 (於 甲南 女子大学)で
発 表 した。 本稿 は、 これ らの本学大学院博士課程在学 中の研究成果の集大成 である。-4-目 次 は じめ に 第 一章 生 涯 を通 した親 子関 係研 究 第 1節 親 子 関係 研究 へ の アプ ロー チ 第
2節
社会 的歴 史 的変 動 と親子 関 係 第3節
対等 な親 子 関 係 期 間 の出現 第 二 章 成 人 期親子関 係 研究 の展開 第1節
親 族 関係 研究 に おけ る成 人期親 子関 係 第2節
世代 間関 係研究 にお け る成 人,切親子 関 係 第3節
ライ フ コー ス論 の視点 か らの成 人期 親子 関 係 第 二章 中期 親子 関係 へ の接 近 第1節
研究 目的 と概念 枠組 第2節
仮 説設定 第3節
調査 の概 要 96 111 122-5-第 四章 調 査 結 果 の分 析 ―先 行研 究知 見 の検 証 一 第
1節
親族 関係 研 究 に おけ る知 見 の検 証 第2節
世代 間関 係研 究 にお け る知 見 の検証 第 五章 中期 母娘関係 の発達 的変化 第1節
発達 的変 化 の指 標 第2節
娘 の結婚 、親役 割取得 に よ る母 娘関 係 の発達 的 変 化 第3節
考察 第六章 中期 母娘 関係 の互酬 性 第1節
同形 的互 酬 性 第2節
親子 関係 の互酬 性 第 七 章 要約 参 考 文 献 目録 あ とが き 付録 :仮説 と知 見 の整 理 調 査票 205 226 236第 一章 生 涯 を通 した親子関 係研究 第
1節
親 子 関 係 研 究 へ の ア プ ロー チ 本 研 究 の第 一 の 目標 は、子 の誕生 か ら親 の死 にいた る親子 関係期 間全体 を射程 に入 れた 親 子関 係理 論 の構 築 に あ る。親 子 関 係 を研 究 す る際 に も、様 々 な接 近 方法 があ る。 そ こで先行研究 が用 いて きた 理 論 的 ア プ ローチを整 理 し、生涯 を通 しての親子関係研究 に有効 な ア プ ロー チ を検討 す る ことか ら考 察 を始 め る。 親子 関 係 研 究 へ の ア プ ロー チ と して第 一 に、家 族 社 会 学 に最初 に 登 場 した制度 的 アプ ロー チが あげ られ る。 この アプ ロー チは、家族 制度 の起 源 と進 化 に着 目 し、社会文 化 構造 と親子 関係 の関連 を論 じ る もので、 巨視的 に親 子 関係 に接近す るアプ ロー チで あ る。 例 えば、 ベ ネデ ィク トによ る、 日本的親子関係 の様式 の研究 (注1)や
、山 村 によ る、 日本 の母子 関 係 の特 質 の分 析 (注2)な
どは、制 度 的 ア プ ロー チ によ る親子関 係研究 であ る。 次 に あ げ られ るの は 、構造 機能 的 ア プ ロー チで あ る。 この アプ ロ ー チは 、親子 関係 を一 つのIL会 システ ムと して、 その役割関 係 や相 互 依存 関 係 を分析 す るだ けで な く、親 子関係 とその上 位 体系 であ る 家族 システ ムや全 体社 会 シス テム との関連 、親子 関 係 とその下 位体系 で あ るパー ソナ リテ ィ体 系 との関連 を分析 す る。 そ の ため、親 子 関 係 の 巨視 的 分析 に も微 視 的 分析 に も適 して い る。例 え ば、 パー ソ ンズ とベール ズは、子 ど もの社会化研 究 (注
3)に
お いて、社会化 過 程 の段 階説 や、核家 族 の役割分化理 論 を展 開 し、親 子 関係 研究 に 大 きな貢 献 を もた らした。 さ らに、相互 作用的 ア プ ローチによ る親子 関係研究 が あ る。 この ア プ ロー チで は、家族 を「 相 互作用す る諸 パ ー ソナ リテ ィの統 合体」 (注4)と
規 定 す るよ うに、親子 の相 互 作用 の プ ロセ ス と、親 子 の 相 互作 用 に よ る子 ど もの パー ソナ リテ ィの形 成 を主要 な分析 対 象 と す る。 我 国で の このア プ ロー チに よる代表的研究 と して、小 山 によ る『 現 代家族 の役割構 造』 (注5)が
あ げ られ る。相 互 作用 的 アプ ロー チ による親子関係 研究 は、家族社 会学 の領域 だけで な く、 児童 心理学 の領域 で も成果 を上 げ てい るが 、微視 的分析 に と どま り、親 子 関係 と社 会 構造・ 家 族 構造 との関連 に研究 が展開 しな い とい う限 界 を もつ。 しか し、 この アプ ロー チを生 み出 した象 徴 的相互 作用理 訂命に は 、 ター ナ ー の Crescive 3ond(注6)、
ス トライ カ ― の ldentity Salienceの 概 念(注7)な
ど、微視的親子関 係研究 へ の応 用 を期 待 で きる概念 が存在 す る こ とが指摘 され て い る (注8)
次 に あげ られ るの は 、発達 的 ア プ ロー チで あ る。家 族 発達 段 階 が子 ど もの発達 段階 によ って区 分 され る こ とに見 られ るよ うに、家族 発達 の概 念 の 中心 には、家族 にお け る子 どもの発達 がす え られて い る。 この アプ ロー チが親 子関 係研究 に導入 され、親子 関係 も乳幼 児 期 の親 子 関係 、青 年期 の親子 関係 とい うよ うに区分 され、各 々の段 階 にお け る親 子関 係 が 別 々に考察 され るよ うにな った。本来 、発達 的 アプ ロー チ は、段階 の推移 によ る変 容 に焦 点 を当て な けれ ばな ら な い。 それ に もかかわ らず、親子 関係 の段階 移行 研究 は、家 族社会 学 の実 証 研究 領域 で は近 年 まで ほ とん ど存在 しなか った。 あ らか じ め設定 した段 階 にあ る親 子関 係 を別個 に分析 し、接続 す る段 階 の親 子 関係 研 究 を つ な いで親子関 係の発達 を提 えて きた観 が あ る。 交換 理 論 的 アプ ロー チ もまた親 子研 究 に接 近 す る主 要 アプ ロー チ の一 つ で あ る。 親子関 係 は、家族 関係 の中で も、特 に血縁 に よる感 情 融 合 に支 え られ た非 打 算 的 な関 係 と され る ことか ら、 自己 の利益 追 求 を前提 と した この アプ ローチ は、親子研 究 に とって有効 性 が低 い とす る見解 があ る。 しか し、交換 され る資 源 は経済 的資源 や身体 的 サ ー ビスだ けで はな い。愛 情 、是認 、尊敬 とい うよ うな人 び とが 他 者 に対 して もつ積極 的 な感 情 お よび評価 も、交換 にお ける報酬 で あ る (注
9)。
最 も非 打算 的 であ ると され る母親 の子 ど もに対す る 関 係 も、子育 て に よ る身 体的精神 的経 済 的負 担 とい うコス トに対 し て子 ど もか らの愛情表 出、社 会か らの賞賛 な ど様 々な報酬 を得 て いる と解 釈 され る。交換 理 論的 アプ ロー チは、愛情 や尊 敬 とい った感 情 や社 会 的威 信 、賞賛 を重要 な交 換 資 源 と して位 置 づ けて い る。 そ れ ゆえ 緊密 な情緒結 合 を基本 と し、家 族規範 に支 え られて い る親 子 関 係 を研 究 す るに は、極 めて有用 な ア プ ロー チで あ る といえ よ う。 そ して、 1980年 代 にな ると、家族研 究 の主 要 ア プ ロー チの一 つ と して 、 ライフ コー ス・ ア プ ローチが登 場 す る。 ライフ コー ス・ アプ ロー チ は、発達 的 アプ ローチ を発展 させた もので あ るが、基 本 的 に 次 の点 で異 な って い る (注10)。 第 一 に、発 達 的 アプ ロー チが 、家族 とい う集団 を分 析封1位 とす る の に対 し、 ライフ コー ス・ ア プ ローチで は、分析単位 は個人 にあ る。 エル ダーの定 義 に よる と、 ライフ コー スとは、「 個人が年齢分化 し た役割 と出来事 を経験 しなが ら歩 む人生 の道 」 (注
H)で
あ る。 こ の定義 が示す よ うに、 ライフ コー ス・ アプ ローチの第 一 の基 本 前提 は、個 人 が主 体で あ る とい う点 にあ る。 ここでの親子関 係研 究 は、 親 と子 それ ぞ れの視点 か ら、重要 な他 者 の一 人で あ る、子 あ るいは 親 との関 係 を分析 す る こ とに な る。 第二 の相違 点 は、 ラ イ フ コー ス・ ア プ ロー チが 、個 人 の発 達 的変 化 の多 岐 性 に焦点 を当 て て い るこ とで あ る。 発達 的 ア プ ロー チで は、 平 均 的 で モー ダル な家 族 発達 を前提 と して各 段階 を設 定 す るため、 標 準 的 な親子 関係 が考 察 の対 象 とな る。 そ こで、例 えば、離 婚 に よる単親 家族 の親子関係 な どは対象 の外 に置か れ る。一 方 ライ フ コー ス・ ア プ ロー チで は、親 子各 々の多様 な ライ フコー スに注 目 し、親 と子 の ライフ コー スの相 互依 存性 を検 討 す る ことをめ ざす。 第二 に、 ライ フ コー ス・ ア プ ロー チ の特 徴 は、個 人 に対 す る社 会 的歴 史 的変動 の影 響 を重 視 す ると ころ に あ る。 発 達 的 ア プ ロー チ は、 同一時 点 の資 料 を時 間 の前後 関係 に配 列 し、標 準 的 な ライ フサ イ ク ル・ モ デ ルを設定 す るため、社会 的歴 史 的変 化 を的確 に捉 え きれ な い難点 を持 って いた。 ライフ コー ス・ アプ ローチ は、 コ ウホー ト分 析 を取 り入 れ る ことに よ り、 この難点 を克服 した。 コウホー ト分析 とは、同時 出生 集団 ごとに、戦争 や 、経済 の好不 況 とい う社会 変動 が 、個 人 の ライ フ コー スに及 ぼす影 響 を探 求 す る 方 法 で あ る。 コ ウホー ト分析 は、 あ る一 定 の歴史 的事 件 をあ る一 定 の年齢 で体験 した人 々 は、 そ の歴 史 的事件 か ら共通 した影響 を受 け て お り、同 じコウホー トに属 す る人 々 の ライ フ コー スに は、 あ る程 度 の共 通 性 が 存在 す る とい う前提 にた つ もの で あ る。 ライ フ コー ス・ アプ ローチが 、新 しい家族 研究 の視点 と して、注 目 され るに至 った の は 、近年 の家 族 を取 り巻 く状 況 の変 化 に よ る と ころが大 きい。 社会 が家族 の あ り方 を強制的 に規定す る力 を失 い、 各 々の家 族 が その あ り方 を 自由 に選択 で きる状況 が生 まれて きた。 家族 の多 様化 が進 行 す る中 で、 非 標準 的 な家 族 を分析 の対象 か ら外
す ことが で きな くな って くる。 また 、現在 のよ うな豊 か な社会 が出現 す る と、個人 が 自 らの ライ フ コー スを、第一次 的 に家族 の ライフ コー スに同調 させ る規 範性 が 弱 ま って くる。 生 活 して い くため に、家族成 員 が一 つ の共 同 体 と し て 、経 済 的 に も情緒 的 に も支 え合 って いた時 代 には、家族 に よる選 択 が個 人 によ る選 択 に優先 し、個 人が 自 らの意思 で ライ フコー スを 選 択す る可能 性 は低 か った。 ハ レー プ ンは、 アモ スケ ッグの労働 者家族 の研究か ら、親 や弟妹 の世話 の ため に婚期 を遅 らせ た り、未婚 を通 す女性 た ちにみ られ る、 家 族 の ライ フ コー スヘ の個人 の ライフ コー スの同調性 (synchrOni―
zation)規
範 の存 在 を指摘 し、家族 と個 人 の ライ フコー スの同調性 理 論 を展開 した (注12)。 しか しその後 の研 究 において、時 代 とと もに家 族 への同調性規 範 は弱 ま り、か わ って個人 の年 齢 規範 が及 ぼ す 影響 が 強 ま る こ とを示唆 してい る (注13)。 社 会 が 直接 家族 を規 制 す る力を失 い、家族 が個人 に及 ぼす 影響 力 が弱 ま る状況 のなかで 、集合 的な家族 で はな く、個人 を分析 単位 と し、個 人 と社 会変動 との直接 的関 わ りを分析 す る ライ フ コー ス論 の 視点 が意 義 を持 つ よ うに な る (注14)。 現 代 の親子 関係研究 に とって、 ライ フ コー ス・ アプ ローチ は有効 な接近 方法 で あ る。 しか し、 その ほか の アプ ロー チの有用性 が弱 まって い るわ けで はない。 ライ フコー ス・ アプ ロー チに優位性 を譲 っ た発達 的 アプ ロー チは、親子 関係 の発 達 的変 化 を 巨視 的 に捉 え るの に有効 な アプ ロー チで あ る。特 に、比 較 的標準 的 な親 子関係 の展開 が予想 され る、未成 人子 と親 の関 係 につ いて は、発達 的 アプ ロー チ の有用性 が認 め られ る。 相互 作 用 的 アプ ロー チ は、 ライ フ コー ス・ アプ ロー チ と同 様 に個 人 を対 象 とす る点 で 、微視 的親子関係研 究 に とって不 可欠 な アプ ロ ー チで あ る。 しか も、象 徴的相互作用 理論 は、生 涯 を通 して の親子 関 係 を考 察 す る理 論 的 概 念 と して の汎 用 性 が あ る。 また 、交換 理論 的 ア プ ロー チ も、生 涯 を通 した親子 関 係研 究 に と っての有 用性 が高 い。 従 来、親子 関係 は不平 等 な関係 で あ り、 しか もその前半 と後半 で は勢 力関 係 が逆転 す るとい う認識 が あ った。 し か し、人生 の期 間 の急 激 な伸 長 と ともに、対 等 な大入 同士 の親子関 係 期 間 が 出現 し、 まるで親密 な知 人の よ うな親子関係 が観察 され る こ とが 指摘 されて い る (注15)。 成 人期 の親 子 の勢力 関係 の再考 を 試 み るに は、交換 理論 的 アプ ロー チが必要 で あ る。交 換 理論 的 アプ ローチ は、親 子関係期 間全体 を射 程 に いれた親子 関係 研究 に おいて、 最 も注 目 に値 す るアプ ロー チ とい え る。 最近 で は、生 涯 を通 した親 子関 係研 究 の必 要性 が叫 ばれ るなか 、 交 換理 論 と象 徴 的相互 作用理 論 の収敏 をめ ざす研 究者 (注
16)が
現わ れて お り、今後 の研究 の発 展 が期待 されて い る。 本 研 究 で は、生涯 を通 した親子関係 研究 の必要性 か ら、 これ まで 研 究 の対 象 か ら外 され て きた対等 な成 人同士 の親 子関 係 を考 察す る こ とを 目的 と して い る。 そ こで、 ライ フ コー ス・ アプ ローチ を主要 な接近 方法 と し、親子 関係期 間全 体 に接近す るの に有 効 な交 換理論 的 アプ ロー チ、相互作 用 的 ア プ ローチ を、 また多 くの先 行研 究知見 を生 み 出 した構造 機能 的 アプ ロー チ、発達的 アプ ロー チを組 み入 れ た 、複 眼 的 な親子関係研 究 を め ざす こ とにす る。
(注 1 ) Benedict, R., 1946, The Chrysanthemum and the Sword―
Patterns of Japanese Culture, Houghton Mifflin.(f毛
谷 川松 治訳
,1948,『
菊 と刀』,社
会 思想 研 究会.)(注
2)山
村 賢明,1970,『
日本 人 と母』,東
洋 館 出版社.(注
3)Parsons,T.,and Bales,R.F.,1955,Fanily,
Socialization and lnteracion Process, Free Press.
(橋 爪 貞 雄 訳
,1970,『
核 家 族 と子 ど もの 社 会 化 上 ・ 下』
,黎
明書房
.)(注 4)Burgess, Eo W., 1926, "The Family as a Unity of
interacting Personalities," The Fanily, Vol.7, 3-9
(注
5)′
]ヽ山 隆 編,1976,『
現 代 家 族 の 役 割 構 造 ―夫 婦 ・ 親 子 の 期待 と現 実 ― 』
,培
風 館 。(注
6)Turn er,R.H.,1970,Famlly lnteraction,New York:
Wiley & Sons.
(注 7 ) Stry ker, s., 1968, "ldentity Salience and Role
Performance: The Relevance of Symbolic lnteraction
Theory for Famlly Research," Journal of Marriage
and the Famlly, 558-564.
(注 8) Atokinson, M.P., 1989, "Conceptualization of the
λ Parent―
Child Relationship:SoHdarity,At,hment'
Crcscivc Bonds, and ldontity Salicncc," in Mancini
,J.A.ed.,Aging Parents and Adult Chidren,
Lexington Books, 81-97.
(注
9)
Blau,Po M.,1964,lxchange and Power in Social Life,(間 場 寿一 。居安 正 。塩原 勉 訳
,1974,『
交 換 と権 カ ー社 会過 程 の 弁証法 社会 学 ―』
,新
曜社,98.)
(注
10)上
子 武次,1992,「
家 族 研究 の視点 」 ,『 龍 谷大 学社 会学 論集 』
,第
10・H合
併号,龍
谷 大学 社会 学会.(洒ヒ11)Elder, G. H., Jr., 1977, "Falnily History and the
(4),28
Life Course," Jour■ a1 0f_Fanil_llistor■ , 22.
(注
12)Hareven,T.K.,1982,Fanily Time and industrial Timo
: The Relationship between the Family and Work in a New England lndustrial Commu■ lty,Ne77 York,
Cambridge University Press,(正 岡寛司 監訳
,1990,『
家 族 時 間 と産 業 時 間』
,早
稲 田大 学 出版 部 。)(注
13)正
岡 寛 司 。藤 見純 子,1985,「
歴 史 的 ライフ コー ス分析 の視 点 ―ハ レー プ ンの場 合 ―」
,森
岡清 美 0青井和 夫編,『 ライ フコー スと世代 ―現 代家族 論再考 ―』
,垣
内 出版(注
14)上
子 武 次,1992,同
掲 論 文 ,6。(注
15)Lawton,L.,Silverstein,M.&Bengtson,V。
,1994,"AffectiOn, Social Contact, and Geographic Distance Between Adult Children and Their
Parents,“ Journal of Marriage and the Fanily, 56,
57-68。
(たL16)Mutran, E. & Reitzes, D.C., 1984, "Intergenerational
Support Activities and Well― Being Anong the Elderly: A Convergence of Exchange and Symbolic interactiOn Perspectives," American Sociological
第
2節
社 会 的歴 史 的 変 動 と親 子 関 係 本 研 究 で は、 ライ フ コー ス・ ア プ ロー チを主 た る接 近 方法 と して、 対 等 な親 子関 係 の解 明 をめ ざ して い る。 そ こで本 節で は、 ライフ コ ー ス・ ア プ ロー チの主 要 な視 点 で あ る、社会 的歴 史的 変動 と親子関 係 の関 わ りにつ いて考 察 す る。 中 で も、現代 の親子 の あ り方 に多大 な影響 を及 ぼ して い る人 口動 態的変化 と社会 経済 的変 化 を取 り上 げ る ことにす る。 最近 数 十年 間 におけ る、平均寿 命の急速 な伸長 は、親 子関 係期 間 に急激 な変化 を もた ら した。 平均 寿命 は、1891-98年 で は男性 42.8歳 、 女 性 44.3歳 、 1921-25年 で は男性 42.1歳 、女性 43.2歳 、 1935-36年 で は男性 46.9歳 、女性49.6歳 で あ り、明治末 か ら大 正 、昭和 にか けて 、 人生 は50年足 らず の もので あ った。 と ころが戦後 、1955年 に は男 性 63.6歳 、女性 67.8歳 と と もに60歳 を超 え、 1975年 には男女共70歳を 超 え、 1991年 には男性 76.1歳 、女性82.1歳 とな り、人生80年時代 ヘ と突入 した。 (図1-1参
照)。 人生 が80年 とな る と、重要 な他者 と関係 を持 つ期間 もそれ に応 じ て 長 くな る。 初婚年齢 の上昇 に もかか わ らず 、結 婚期 間 が50年を超 え るの は、 もはや珍 しい ことで はない。夫婦 関係 は離 婚 によ る解 消 が 可能 だが、親子関 係 において は、一 方 の死 を もって しか関 係 の解図
1-1
平均 寿 命(0歳
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推 移 12 50 賣‖:L所: f ti本人のlll"l余命 :17成 1年 協 "生 命 ■,帷
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,.消 はあ りえ な い。 その た め、平均 寿命 の伸長 は、直接 親子関 係期 間 の伸長 につ なが る。 1920年 のデ ー タで算 出 した親子関係 期 間 は、長 子 との親子 関係期 間 、男 性 33.7年 、女性 37.9年 、末子 との親子 関係期間 、男性 21.4年 、 女 性 25.6年 で あ る。 と ころが、 1991年 のデー タで算 出す ると、長子 と男性 47.3年 、女性 55.4年 、末子 と男 性44。 3年、女性 52.4年 とな る。 つ ま り、 この70年間 に 、長子 との親子 関係期 間 は、男 性 13.6年 、女 性 17.5年 の伸 びを示 し、末子 との それ は、男 性 22.9年 、女性 26.8年
図
1-2
ライ フサ イ クル の変化 〈大正 期 (大正9年)〉 人 死 亡 ︱ ︱ ト佐
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一
資 '1出 所:『厚生 白宙J(平成4年版) (注)1 大正期は大正9年前後のデータか ら作成。 2 出生問隅:まコーホー ト・データ、他はすべて クロス・ セタション・ データ。 3 夫妻の死亡年齢は、各々の平均ツ,略年齢に結婚時の平均余命を加えて算出 してある.そのため、例えば本 モデルの寡婦期間は、実際に夫と死別 した妻のそれとは異なることに注意する必要がある。 4 現在 〈平成3年)の夫 と妻の ライフサイクルの点線部分は、平成37(2025)年における夫妻の性ヨ「死亡年 齢を示す。 5 総務庁 「国勢調査J、 厚生省「人口動態統計j、 r生命表J、 厚生省人口問題研究所 r生産力調査J等に る。 ′図 1-υへJ 5 5 35 “ D 5H
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合 計 特 殊 出 生 率 2 1Xl ´ `:イ 60 SS ,S 0 0“
鴻
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L57L" 晰 5口 晰 orr:o 253t1351040414852“ 0評:0 3 ” 一 ル m m 0 〈備考) l ″,生 7f rttLl統1:資11 11lJに よ り111災. 2 合ヨ11キ殊出41率とit,:5,tか ら19成の 各年齢 ご とにあ るイFの 女tL: 人Jlた りυ)!i:411,1を 求め, その11:`Ll'1を 合11すること であ る年の "モ 念 L:人の女ヤLが生″‖;、1`Lむ丁りヽの次t々表t´た ものである。 もの大 幅 な伸 びを示 して い る (図1-2参
照)。 人生 80年 時 代 にお いて、親 子関 係 は、親 密 合冨係 の中で も最 も長期 の、50年に もわた る関係 とな る。 親 子 関 係 に多大 の影 響 を及 ぼ した も う一 つ の人 口動 態 的変 化 は、 子 ど も数 の激 減 で あ る。一人 の女性 が生 涯 に産 む子 ど もの数 をあ ら わす、合計特 殊 出生率 は、1925年 の5.Hか
ら漸減 し、 1940年 には4. 12と な った。 戦後 、ベ ビー ブー ムの一 時期 に上昇 し、 1947年 には4. 54を記 録 した が、 その後10年間 に急 激 に低下 し、 1960年 には2.00ま で下 が った。 出生 率 は、 その後 も漸減 を続 け、 1991年 に1.53と な り、毎 年戦 後 最低 の記録 を更 新 して い る (図
1-3参
照)。 女性 が産 む子 ど も数 の激減 によ り、子女 出産期 間が大 幅 に縮小 し た。 1920年 の デー タで は、子 女 出産期 間 は14.7年 であ るが、 1991年 に はそ の約3分
の1の4.5年 に まで縮 小 して い る。 そ の結 果、長子 と 末 子 の年 齢差 は、 12.7年 か ら3.0年 に まで縮小 し、親 子関 係期 間 の長 子 と末 子 の差 が狭 ま って い る。 この子 ど もの数 の減少 は、子 ど もの出生順 位 に よる親 子関 係期 間 の長短 の差 を縮小 させ るだ けで な く、親 が子 どもを扶 養 しな けれ ば な らな い期 間 を縮小 させて い る。子 ど もの就 学年 数 の上 昇 に もかか わ らず 、1920年 の デー タで、長子誕生 か ら末 子 の学卒 までの、子扶 養 期間 が 27.3年 で あ った のが、 1991年 のデー タで は23.0年 に縮小 し て い る (図1-2参
照)。 近 年 の社会 経 済 的変 化 の うち、親子 関係 に影響 を及 ぼ して い る も の の一 つ に、子 ど もの高学歴 化が あげ られ る。大学・ 短 期大学 へ の 進 学率 は、1975年 に男 性 43.0%、 女性32.4%を
記録 し、 その後男 女 と も3割
か ら4割
の進 学率 を保 ってお り、高学歴 化 は定 着 した とい え る (図1-4参
照)。 高学 歴 化 によ り子 ど もの就学 年 数 は引 き上 げ られ 、一人 の子 を養 う期 間 は伸 びたが、長 子 と末子 の年齢 差 の縮 小 によ り、親 が子 を養 う期間全体 を引 き延 ばす こ とに な って いない。図
1-4
大学・ 短期大学への進学率 の推移 女 F ,: 2 3 il,.1 卜l.:' .2 ,:り ".:':人,lo .0(388.:56人 , ''■, 11: :`' 11, 1:, ": =: 1, :i: コ :' :10 10 1:,('0, 寅‖!L所 :文部 ■1↑ ,2■ホロ 責, 巾 L綺 堀駄 字へら1椰 = 撃ポ2生豊菫型LX m 2 人†お数に11.禍11'1:1:1の人■■■■,ない, 高学 歴 化 の進 行 して いた ころ、子 ど もの数 の減少 と相 ま って、「 少 な く産 ん で よい教 育 を」 の ス ロー ガ ンの もとに、親 の子 へ の教 育 投 資意 欲 は高 ま った。 最近 で は長 引 く経 済不 況 の もとで、教 育費 の 家 計 に対 す る負担 が大 き く、高学歴 の定着 に よ り教育 の投 資効果 は 減少 して い る もの の、親 の子 どもに対 す る高学歴 志向 は依然 と して 弱 ま って いな い (注1)。
子 ど もの高学歴 化 とな らん で、親子 関係 に多大 の影 響 を及 ぼ して い るのが、既 婚女性 の就業 の増加 で あ る (図1-5、
参 照)。 子 ど “ Ю = 詢 ¨” m は 叫 呻図
1-5
専 業主 婦 の割 合 (%) 100 50 :5 20 25 30 35 40 1 , 1 1 l l 19 24 29 34 39 54 ("″考)1 総 務庁 「就業llll造基本 統計 調 査 」 2 有配 仰:女性 (離死 別 は除 く)のう 昭 1040年Ψ
l\
ル
露霜
鍔
年計税
ng1062年 49o% 55 65 1 1(歳 ) 64 に よ り作成。 ちの無業者の割 合であ る。 も数 の減少 、 それ とあ い ま った教育熱 の高 ま りによ り、母親 は教 育 費 を捻 出す るた め労働 市場 へ と参入 した。 そ して 、母 親 の稼 得力 の 増 大 は 、性別 分業意識 を弱 め、親 業 に お け る性差 を縮 小 した。 また 、女性 の高学歴 化 は、専Fヨ職 に つ く女1生をグ聾 出 させ、女性 の就業 継 続意 識 を高 め て い る。 この女 性 の職 業志 向 の強 ま りは、親 との同居志 向、親 との援助交 換 の あ り方 に影 響 を与 えて い る。1992 年 に出 され た経 済企画庁 の『 国民生活選 好度 調査』 に よ ると、有職 主 婦 は専 業主 婦 やパー トタイマー の主 婦 に比 べて 、親 。子・ 孫 が同 居 す る大 家族 を理想 とす る割 合が高 い (図1-6参
照)。 また、夫 婦 と子 ど もか ら成 る世帯 よ り も、夫婦 、子 ど もと親 か ら成 る世帯 の夫喘と子Jtのみで 暮らし、mttiく に住む (2世‖雌 も合む) 図 1
-6
理 想 の 家 庭 像 「あなたの理想の家族像はどのようなものですか。J く厩時女性> 観^子、孫守が 同詈する鐵 メ」椰と701 のみで暮らナ 子1咄 1 (366) バー ト (2111) 帝壽ヨ現 (399) │ :0 '0 30 41 50 60 1o lo 9o 100{" (備考)1.第 3-13図の備 考 1.および2.に同 じ. 2.対象 は 、結 11し て い る女 性 (離・ullは除 く)、 966人。 図1-7
妻 の就業 と世帯形態 ]・・ (目■6)■llE■iコのLulll餞
一 夫婦 と子Olから `1 戯 ろ世 “ , 下電L孟‖ル `ら 一 m = Ⅲ Ⅲ
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方 が 、妻 の雇 用者率 が高 い こ とか ら、親 との同居 が あ る こ とが推測 され て い る (図1-7参
照)。 また 、幼 い子 ど もを持 つ母 親 の就業 の増大 は、 の援助 交換 を促進 させ て い る。 1992年 の総理府『 〔Яθ 衝 世lU,ベ ビ ー シ ン タ ー や 家 政 用 に 来 て も ら 産 後 体 暇 、 爾 児 体 颯 中 で あ る * 2 女 性 男 性 (年 齢 〕 (女 性 ) 20∼ 20畿 30∼ 39歳 40∼ 49畿 50∼ 59彙 60歳 以 上 現在5歳以下の子 ど もを もつ 女 性 人 1,710 1.237 04 844 443 382 457 261 表
1-1
就 業時 の子 ど もの世話 て 5 い歳 る以 ͡下 ヽ1の た 'キ ′、`´:こ 小 働 ロトい X % 635 24.3 98 0 00 0 % % 239 194 191 185 0.9 0.2 0.5 0.2 60 1.0 64.3 66.0 65 5 65 7 57 5 65 5 23.8 28.8 25:3 :7.3 71 23.1 20 05 1.6 0.2 19 03 0.5 00 07: 04 16.7 .21.4 18.も 18:3 25 3 24 2 28.5 1 23 3 25 6 28 7 18 6 18 6 1.2 ■1 24 2.3 0.9 13 0.2 2.1 ll O.3 1.2 0_6 16 1.0 1.1 1.5 1.2 107 00 0.0 o0 4.7 - 1:■: 0.2 50': 1.1 12.5 *l 子ともをもつ近所の人や・ 友人同士が交代セ。そItぞ Itの子どもたちの面倒を みている くいた) *2 産後休暇・ 育児休暇中である(産餞休暇,育児休暇をとった) ■3 ベビーシッターや京政婦に来てもらって.而倒をみてもらつている くいた) ホ4 保 爾 マ マ な ど.近所 の 人 が や って い る保曹サ ー ビス を1り用 して い る (い た) 世 論 調 査』 に よる と、子 ど もが5歳
以 下 の時 に働 いて いた母 親 の 4 割 近 く(63.5%の
うち の23.9%)が
、親 兄弟 や親戚 に面 倒 を みて も ら って いた と答 えて お り、子 どもの育 児期 に働 く母親 に とって、親 か らの育 児援 助 サー ビスが大 きな支援 とな ってい ることがわか る ( 表1-1参
照)。 生 涯 を通 しての親子 関係 の性質 を変 化 させ た、最 も重大 な社会経済 的変 化 は、社 会保障 制度 の確立 で あ る。 中 で も、年 金 制度 の確 立 が 、高齢 期 の親子関係 お よび全 ての年 代 の親 子 の生 活設計 に及 ぼ し た影響 は計 り知 れ ない。老後 の社会保 障 が期 待で きな い時代 には、 老 親 の扶 養 は子 ど もや親族 に よ って担 われて きた。老 親扶養 は、子 ど もが養 育期 に親 か ら投 資 された資源 の返還 であ り、親子 の 資源交 換 に よ って 、親子関係 期 間内 での互酬 性 が保 たれ ていた。 と ころが、 医療 保 健 制度 。年金制 度 の拡 充 によ り、親子 間 の経済 的 資源 交換 の 均 等性 が崩 れ て きた。 老後 の経済 にお いて、 あ る程度 年金 や公的扶 助 に頼 れ る見 通 しがつ くよ うにな ると、親 が子 ど もの養 育期 に投入 した親 の経済 的・ 精神 的 。身 体的 資源 の うち、経 済的 資源 につ いて は回収 す る必 要性 が弱 ま って きた。 1993年 の貯 蓄広報中央委員会『 貯蓄 と消費 に関す る世論調査』 に よ る と、世帯 主 が60歳代 の世 帯 の家計 収入 に おいて、子 どもか らの 援 助 を報 告す る ものは
6.6%で
あ り、70歳以上 の世帯 主 の世帯 で も9.6%に
す ぎな い (表1-2参
照)。 高 齢 者 の経済 的基 盤 が年 金 や公 的扶助 によ り保障 され て い る現代 では、子 ど もか ら親 へ の経 済的資 源 の返 還 が そ れ ほ ど認 め られ ない ことがわか る。 経済 的 資源 が重 要 な返 還 資源で な くな った一方 で、成 人期 の親子 の情緒 的つ なが りや子 か ら老親 への身体的サ ー ビスの提供 は強 く求 め られ る。 1993年 の総 理府『 高齢者 の生活 イ メー ジに関す る世論調表
1-2
老 後 の家計 収入 就 業に よ る収 入 公的 年金 企 業年金、個 人年金 、保険 金 貯 薔の取崩 し 利 子・配 当所得 不動産収 入 こどもなどか らの 援助 公的 援助 51ド ::(:5 15.5 1.l.9 12.3 (;.5 1()。 (; 2.0 l!)i) 71).7 :5.:; :l.I ‖.5 1().:) 9.5 09 イ:‖ :貯‖広‖l中央委lltt r‖ド帯と消Tlには│する‖L陥訓FiJ (il:)‖1帯上力lfX)歳1111の‖ :‖7を '1象 、 3'1日 以│'1の}1数回?羊 , 図1-8
子 ど もや 孫 と の 関 係 11「II:"L‖∵1嗜r:%, 53.6 66.4 15.3 11.1 :0.3 10.6 7,5 0.9 61.:; l:2.2 15,2 10.1 tJ.7 10.5 1:。(; 0.8 70歳以11 :,:.7 7:;.5 15.=: ::;.5 H.9 1(〕.9 9.ti l.:〕 を,‐る 一つの家族嘉
七
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1-9
介 護 の担 い手 り 2 0it 50,t 00:趾 1主 な介眼者をInうもの)喰饉
外
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者
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図1-107ど
もへ の見返 りの期待 男 性 女 性 子供が戦争 ! 中の颯 l) 鳳回下 5, 3 家劇 1 06〕 「 あ なた:まどちらの考 え方に近いですか。」A:子
供には投 資 したのだか ら見返 りを期待す るのは 当然 であ る。 B:子供に投資 して も子供か ら見返 りは期待 しない。 どちらか Aに と言えばどちらかと 近い Aに近い
言えばBに近い
Bに
近い饉『 3o :861
介
:1さ/る書
の
査 』 に よ る と、親 が子 ど もや孫 との関 係 に求 め るのは、生活 の共 同 よ りも精 神 的絆 で あ る (図
1-8参
照)。 また、介護 につ いての調 査 結 果 に よ る と、半数 以上 の ものが主 に介護 を期待す る相手 と して 子 ど もを あげ て い る (図1-9参
照)。 一方 で1992年 の経済 企画庁 『 国民 生 活選 好度調査 』 で は、親 が子 ど もに見返 りを期 待 しない と い う意 識 は、8割
以上 の もの に支持 されて い る (図1-10参
照)。 つ ま り、親 が期待 しな い見返 りとい うの は経 済的 資源 を さ してお り、 現 代 に お いて 強調 され る子か ら親 への資源 の返還 は情 緒 的絆 や身体 的 サー ビスで あ る とい え る。 子 か ら親 へ の経 済的 資源の返還 の規 範性 が弱 ま った の は、年金制 度 の確 立 によ り高齢者 の経済 的 自立 の 可能性 が高 まったため だけで は な い。 1920年 の デー タで は、親 が子 に扶養 され る期 間 (夫の職業 的 引退 か ら妻 の死亡 まで の期 間)は
、 5.3年 にす ぎな いが 、1991年 の デ ー タで は、4倍
近 い20.3年 に まで、増大 して る。平 均 寿命 の伸長 に よ る老 親扶 養期 間の増大 は、子 ど も自身 の、子 を扶 養す る期 間 と の重複 を もた らした。 も し、長子 が職業 的 引退後 の親 を直 ちに扶 養す るとす れば、1920 年 のデ ー タで は、長子 の第一 子 が5.2歳 の時 か ら10.5歳 の時 まで、老 親 と子 ど もを扶養 しな ければ な らない。 ところが 、1991年 の デー タ で は、 5.2歳 の時 か ら25.5歳 に達 す る まで 、老 親 を扶 養す るこ とになるので 、老親 扶養j明間 は子扶 養期 間 に ほ とん ど重 な る こ とに な る。 人生 80年 とい う長 寿社 会 にお いて 、子 ど もに対す る教 育投 資期 にある 中年子 が老親 を扶 養 す る負担 は大 きい。家族 や親族が背負 い きれ な い機能 を、社 会 が肩代 りす る必要 が生 まれて きた とい え る (図
1-2参
照)。 人 口動 態 的 変化 であ る平均 寿命 の伸 長、子 ど も数 の減少 は、様 々 な社会経 済 的変化 とと もに、親子 関係 の時代 的変遷 を引 き起 こ して い る。 (之主1)
経 済 企 画庁 国民生 活局,1992,『
平成4年
版 国民 生 活 白 書 図で み る生 活 白書 一少子社 会 の到来 、その影響 と 対 応 ―』,38-39,46-47.
(資料 出所) 図1-1
婦 人教 育研 究会編,19940『
統計 にみ る女 性 の現 状19
図 1-図 1-2 3 94年度 版 』,14.
厚 生 省,1993,『
厚生 白書 平成4年
度 版』,393.
経 済 企 画庁 国民生 活局,1992,『
平成4年
版 国民 生活 白 書 図 で み る生 活 白書 ―少子社 会 の到来 、 その影響 と 対応 ―』,3.
図
1-4
婦 人教 育研 究会編,1994,『
統計 にみ る女 性 の現 状19
94年度版 』,51.
図1-5
経 済 企 画庁 国民生 活局,1992,『
平成4年
度 版 国 民生 活 白書 ―少 子 化 の到 来 、そ の影響 と対 応 ―』,67。 図1-6
経 済 企 画庁,1992,『
国民 生 活選 好度 調査 』,65。 図1-7
経 済企 画庁 国民生 活局,1992,『
平成4年
度 版 国 民 生 活 白書 ―少 子化 の到来 、その影響 と対 応 ―』,68.
表1-1
総 理府,1992,『
男女 平等 に関す る世 論調 査』,79.
表1-2
貯 蓄広 報 中央委員 会,1994,『
生 活 と貯蓄 関連統 計』, 98. 図1-8
総 理府,1993,『
高齢j切の生 活 イ メー ジに関 す る世論調 査 』,28.
´ 図1-9
経 済 企 画庁 国民生 活局,1994,『
家族 と社 会 に関 す る意 識 と実 態調 査報告 書』,34.
図1-10
経 済企 画庁,1992,『
国民 生 活選 好度 調査』,82.
第
3節
対 等 な親 子関 係期 間 の出現 平均 寿 命 の伸長 、子 ど も数 の減少 とい う人 口動 態的変 化 に よ り、 親 子関 係 は、半世紀 に も及ぶ 長期 の関 係 とな った。 この関係 期 間 の 伸 長 は 、成 人 期親子関 係期 間 の伸 長 を意 味 して い る。 図1-2で
示 され るよ うに、 この成 人期親 子関 係期 間 の伸 長 は、親 の職業 的引退 後 に子 に扶養 され る「 老 親扶 養期 間」 だ けで な く、「 末 子学 卒」 か ら「 夫 引退」 まで の中 間期 間 を引 き伸 ば して い る。親 が子 ど もの養 育 をす で に終 え、 しか もまだ職業 世界 か らの 引退 もして いな い期 間 が 、1920年 の デー タで は5.3年 にす ぎなか った のが、 1991年 の デー タ で は12.1年 も存在す るよ うにな る。 子 ど も数 が 多 い時代 には、長子 は学 卒後す ぐに親 へ の経済 的資源 の返還 を期待 され る。 また、末子 も学 卒 とほぼ同時 に親 の定年 を経 験 す る (図1-2参
照)。 そ のた め、子 どもは成 育期 に親 か ら受 け た経済 的資源 を学卒後 す ぐに返還 して い くこ とにな る。 この よ うな 状 況下 で の親 子関係 は 、子 の親 へ の依 存 か ら、親 の子 へ の依 存へ と、 役 割関 係 や勢 力関係が前半 と後半 で逆 転 す る もの と捉 え られ る。親 と子 の資 源交 換 は、子 が前半 期間 にお いて親 か ら得 た の と同等同質 の資源 を、後 半 に返還 す るとい う、親 子関係期間内で の互酬 性が保 た れ る。とこ ろが 、現 代 で は、子 の養育期 の終 了後 、親 が子 に頼 る ことな く経 済 的 に自立 で きる期 間が伸長 して い る。 1991年 の デー タで は、 長 子学 卒 時 の 父親 の年 齢 は49.9歳 、末 子学卒 時 52.9歳 で あ り、父親 の職業 的 引退 の65歳 まで、長子 で15。 1年、末 子 で12。 1年の、親 へ の 経 済 的 資源 の返還 猶予 期 間が存在 す る (図
1-2参
照)。 十 数年 も の経済 的資源 の返還猶 予期 間 の出現 に よ り、経済的に独立 した親子 関 係 が成 立 す る基 盤 が生 み出 された といえ る。 例 え ば、現 代 の20代の未婚 成人子 と50代 の親 を対象 と した調査 に よ る と (注1)、
親 は経 済 的 に独立 した子 ど もに対 して家計 扶助 を 期 待 して お らず 、子 ど もの収 入 は子 ど も自身 の もので あ るとい う意 識 が大 勢 を占 めて い る ことが 明 らか に されて い る。 また 、公的年金制度 ・ 医療 保健制度 の拡充 は、職業 的 引退 後 の親 が子 ど もに経 済 的 に全 面依存 す る必要 性 を低 めて いる。先 に示 した 調 査結 果 に よ る と (悪1-2)、
70歳以 上 の 高齢者 の8割
近 くが公 的年金 を受給 して い るが、子 どもか らの家計 援助 を報告 す る もの は1割
に も満 た ない。公 的年金 制度 が確 立 した現代 で は、かな り長期 にわた り、親 子が経済 的 に対 等 な関係 を築 く可能性が高 まってい る。 対 等 な親子 関係 が出現 し、 しか もそ の期 間 が伸 長 して い るに もか か わ らず 、 これ までの親 子関 係研究 に は親子対等 の視点 が欠 けて い た。親 子 の役 割関係・ 勢 力関 係 は、前半 と後半で劇的 に逆転 す るとい う捉 え方 が 優勢 であ った。 その理 由 の一 つ を、従来 の親子 関係研 究 の動 向 に求 め る ことが で きる。 近 年 、 ア メ リカ家族 社会学 で は、過 去 の親 子関係研 究 が成 育期 の 子 ど も とその親 とい う、親子 関係期間 の最初 と、老年 期 の親 とその 子 とい う、親 子関係期 間 の最 後 に関心 を集 中 して きた傾 向 を反省 す る動 きが あ る。 それ は、 1980年 代 には い り、 ライ フコー ス論 の視点 か ら、親 と子 の生涯 を通 して の関 係 の変 容 に研究 関心 が向 け られ る よ うに な った ことと、 そ して、我 国 の場 合 と同 じよ うに平均 寿命の 伸 長 とい う人 口動 態的 変化 と、子 ど も数 の減 少 と出産 期 間 の短縮 に よ る家族 形成 の リズムの変化 が引 き起 こ した現実 面で の変化 に対応 した動 きであ る。 ハ ゲ シュタ ッ トは、親子関係研究 の二極集 中を、アル フ ァとォ メ ガの傾 向 と名 付 けて い る (注
2)。
成 育 期 の子 ど もとそ の親 を扱 う ア ル フ ァ領域 の研究者 と、高 齢期 の親 とその子 ど もを扱 うオ メガ領 域 の研 究 者 は、各 々の領域 で研究 に精 進 し、研究成果 を別領域 の学 術 雑誌 に発 表 して お り、研究成 果 が統 合 され ることは なか った。 最近 に な り、 よ うや く個人 の発達 が人生 を通 して続 くプ ロセ スで あ る こ とが認 識 され、親子 の人生 全般 を通 しての親子 関 係研 究 の必 要 性 が 叫 ばれ 、 アル フ ァとォ メガの領域 を橋 渡 しす る試 みが開始 さ れ て い る。子 ど もの誕 生 か ら親 の死 に いた る親 子関係 期 間全体 に適用 で きる 理 論 的概念 が検討 され (注
3)、
アル フ ァの領域 での概念 で あ る、 愛 着理 論 を成 人子 と親 の関係 に汎用 した研究 が発表 され (注4)、
一 方 の オ メガ領域 か ら生 み出 され た概 念 であ る、家族 連帯理 論 の成 人期親 子関係 期間全体 へ の適 用 が試 み られて い る (注5)。
また 、 象 徴 的相 互作 用理 論 と社会交 換理 論 の概念 の収敏 を目指 し、成 人同 士 の親 子 関係 を分析す る意欲 的 な実証 研究 も現 われて きた (注6)。
我 国 の親子 関係研究 に も、 アル フ ァ とオ メガの傾向 が認 め られ る (注7)。
こ こ数 十年 間 の家族社会学 におけ る親 子関 係 の主 要研究 テー マ の一極 は、「 しつ け」 と「 子 ど もの社会化」にあ った といえ る。家 族 社会 学 の概論 書 をみ て も、親 子関係 と して取 り上 げ られて い るの は、多 くの場 合 、成育 期 の子 ど もとその親 の関 係 であ り、内 容 は「 しつ け」 と「 子 ど もの社会化 」 に絞 られて い る (注8)。
一方 、戦後 の「 家」規 範 の弱体化 に よ る老 親扶 養意識 の希 薄化 を 危 惧す る風潮 が強 ま り、平均 寿命 の急 激 な る伸長 によ る高齢 化社会 へ の突入 と相 まって、老親扶 養研究が盛 んに行 なわれ るよ うにな る。 我 国 に お け る親 子関係 研究 のオ メガの領域 の興 隆 がみ られ た。 で も、家族研究 へ の ライフ コー ス・ ア プ ローチ の導入 によ り、 親子関係の発達的変化 を解明 しよ うとす る兆 しが現われて きた。そ の先駆 的研究 として、FLC(家
族 とライフコー ス)研
究会 によ るライこ︲こ︲
轄
フ コー ス と世 代間関係 の実証 研究 があ る (注
9)。
この研究 会 の活 動 によ り、 ライ フ コー スの研 究文 献が数 多 く我 国 に紹 介 され、 ライ フ コー ス論 の視点 にた った研 究 が誘発 され る ことにな った。 本研究 もその一 っで あ る。 ライ フ コー ス論 の視 点 か ら、親 子関 係期間全体 を射 程 にいれた研 究 の必 要性 が認 め られ 、全期 間 に適用 可能 な分析枠組 が求 め られて い る。 親 子関 係が保護 と依存 、支配 と服従 とい う不平 等 な関 係で あ る期 間 だ けで な く、互 いに経 済的 には 自立 しなが ら、情緒 的 には強 い絆 で結 ばれ、身体的 サ ー ビスを交換 し合 う、最 も親 密 な友 人の よ うな関 係 を構 築す る期 間 が、 その中間 に存在 す る ことに注 目す る必 要 が あ る (注 10)。 生涯 を通 した親子関 係研究 の必 要性 を主張 し、親子 関係期 間全体 に適用 で きる理論 的概 念 の構 築 をめ ざす には、 これ まで全 く手 をつ け られ て いな い対等 な成 人同士 の親子 関係期 間 を分析 す る必 要が あ る。本 研 究 で は対等性 を前提 と した中期 の親 子関 係を解 明す ること で 、前 期 と後 期 の親子 関 係研究 の橋渡 しの役 を担 うこ とに したい。(主主
1)
(注
2)
PublicatiOns, N.Y。 , 405-433.
(注 3)Atkinson, M.P., 1989, "Conceptualization
Parent―child Relationship: Solidarity, Crescive Bonds, and ldentity Salience, Mancini, J.A.(ed。 ), Aging Parents and
宮本みち撃シ
だ
マ続
i,7旱
静ヽ
1色
現 と親子関係―
経済・行動・情緒・規範のゆくえ―』
,(財
)家
計経済
研 究 所
,35-39.
Hagestadt, G.0。 , 1987, "P arent―Child Relations in
Later Life: Trends and Caps in Past Research," in Lancaster, J.B。 , Altmann, J。 , Rossi, Ao S。 , &
Sherrod, L.R。 (ed s.), Parenting across _the Life
並2■:Blosocial Dimenslons,Aldine de Cruyter
of the Attachment,
in
Adult
Children,Lexington Books,81-97.
(注 4)Thompson, L. & Walker, A.J., 1984, "Mothers and
Daughters: Aids Patterns and Attachment," Journal of Marriage and Family, 46, 313-322.
(注
5)Rossi,A.S.&Rossi,P.‖
.,1990,Of Human Bonding:
P a ren t =ch i l d Re l a t i on s Ac ros s t he L i f e Cou r s e,
(注 6)Matrun, E. & Reitzes, D.C., 1984, "IntergeneratiOnal
SuppOrt Activities and Well― Being among the Elderly: A Convergence Of Exchange and Symbolic interactiOn Perspcctive・ ・ Amcrican Soc1010gical
Review,49,117-130.
(注7)木
下 英二・玉 里恵美 子・ 前 田尚子,1993,「
親 子関 係研究 の展開 と課 題 ―全 国家族調査 に向 けて 一」,第
3回
日本 家 族 社会学 大会報 告. (注8)例
え ば、望月 嵩 (編),1987,『
リーデ ィングス日本 の社 会 学4
現 代 家族』,東
京 大学 出版会,森
岡清美・ 望 月 嵩,1983,『
新 しい家族社 会学』,培
風館 を参照. (注9)森
岡 清美・青 井和夫,1987,『
現 代 日本 人 の ライフ コー ス 』,日
本 学 術振興 会. (注10)正
岡寛 司,1993,「
ライ フ コー スにお け る親 子関 係の発達 的 変化 」,森
岡清美 (監 修),『
家族 社 会学 の展 開』,培
風館,65-79.
第 二 章 成 人 期親 子関 係研究 の展 開 中期 親 子関 係研究 の理 論的 モデルの構築 の ため、 この章 で は先 行 研 究 の レヴューを行 う。前述 のよ うに、親子 関係 研究 で扱 わ れて き た期 間 は、前 期 と後期 に集 中 して お り、中期 を正面 か ら取 り扱 った 親 子 関 係 研究 はないに等 しい。 そ こで「 親族 関係研究 」 およ び「 世 代 間関 係 研究 」 のなか か ら中期親子関 係 にか かわ る知 見 を取 り上 げ る ことに した い。 そ して、 ライフ コー ス論 の視点 か ら生 涯 を通 して の親子 関 係 を扱 った先 駆 的 な研究 を紹介す る ことで、本研究 の概念 枠 組 の導 出 につ なげた い。 第 1節 親族 関 係研究 におけ る成 人期 親子関 係 家族 社 会学 にお け る成 人期 の親 子関 係研究 の一 つの潮 流 を、親族 関 係研 究 の中 に認 め る ことが で きる。 ここで の成 人期 の親子 とは、 基 本 的 に、親 か ら独立 して居 を構 えて い る既 婚成 人子 とその親 を さ して い る。 そ のため、分 析 の単位 は、親子 ダ イア ドや個人で はな く、 核 家族 にあ る。 パ ー ソ ンズが産業 化の進展 に と もな う親族構造 にお け る「 核 家族 の孤立化 」 を主 張 して以 来 、多 くの研究者 がそれに反 駁 を くわ えて きた (注
1)。
この「 核 家族孤 立化論争 」 (1950∼ 1960年代
)は
、親族 関係 研究 の興隆 を引 き起 こ した。 そ して、欧米 な らびに我 国 に おいて、親族関 係 の中で も最 も親等 の近 い親家族 と子 家 族 の結 合 を扱 った、 多 くの実証研究 が発表 され た。 そ こで本節 で は、親 族 関係 研究 にお け る成 人期 親子 関 係研究 の概念 枠組 を概略 化 し、引 き出 された知見 を整理 す る こと とす る。 図2-1は
、親 族関 係研究 の中 で も、欧米 で は1960∼ 1970年 代 、 我 国 で は1970年 代 に全 盛 を極 めた 、主 に構造 機能 的 アプ ロー チによ る成 人期 親子 関係研究 の概念 枠組 をま とめた もので あ る。第 一 に、 こ こで は産業 化・ 都市 化 とい う近 代社 会 にお け る社会 変動 が、家族 形 態 お よ び家 族規 範 の変 化 とい う家族 変動 を引 き起 こ して きた とい 図2-1
親 族関 係研 究 にお ける成人 期親子 関係研究 の概念 枠組 社 会 構 造家 族 構 造
親 子 関 係 家 家 族 形 態 ・ 1出 成 。近1妾居 性 夫1帯家 族 ・ 直 系 家 族 子 と の 同 ・ "1居 子 ど も の 数 ・ 性・ 出 生 順 位 族 規 範 夫 婦 家 族11規範 直 系 家 族 制 規 範 (家規rLi) 核 家 族 の 自 律 性 規 範
う基本 前提 を含んで い る。 そ して、様 々な家族変動が 、成人期親子 関 係 に及 ぼす影響 の解 明が中心 テーマ とな る。 例 え ば、 ァ メ リカで は、産 業化 の進 展 によ る世代間 の職業移動・ 地 域 移動・階 層移動 な どが、親家族 と子家族 を引 き離 し、 陛代間 の 結 合 を減 じ、老人 が疎 外 され遺棄 され る とい う神話が生 み出 されて きた。 それ に対 して、多 くの研究者達 (サ ス マ ン、 ア ダム ス、 リ ト ワ ク、 シャナ ス等
)は
、既婚 子 とその親 の間 に頻 繁 な接触 と、高 い レベル の品物 やサー ビスの交換が認 め られ る ことを示 し、神話を 打 ち崩 した (注2)。
また 、我 国 で は、戦 前 の直 系家族制規範か ら夫婦家族制規範 への 移 行 とい う家族規範 の変化 な らびに核 家族化 の進行を軸 に、成人期 の親子 関 係 、 なかで も老齢期 の親 家族 とその子家族の関係が論 じら れ る傾 向が み られた (注3)。
第 二 に注 目 しなけれ ば な らないのは、親族 関係研究 におけ る成 人 j明 親子 関 係研 究 とは、 ほぼ親 子 の接触 と援助 交換 の研究 とい って も 過 言 で な い こ とで ぁ る。 そ して、親子関係の愛情 とい う次元 を所与 の もの と して位置 づ け、分析 の対象か ら外 して きた とい う最大の欠 陥 を もつ。´
‐
親 子 間 の接触・ 援助交換 は、親 と して子 と しての義務・ 責 任 とい う規 範 要因 、 お よ び親 子 の相互作用 を誘発 す る状 況要因 によ り規 定 され
る とい う前提 に立 って い る。 ここで は、親子 間の情緒 的結合 の強 さ か ら、接 触 お よび援助 交換 が説明 され る ことはな い。 例 えば、親家 族 と子 家族 の同居 か別 居 か とい った、家族形 態上 の変 数 、 あ るい は 家 規 範 の残存 とい った家 族 規 範変 数か ら、親 家族 と子 家族 の接触 と 援 助交 換 の頻 度 と内容 が検討 され る。 次 に 、親 族 関係研 究 か ら引 き出 され た、成 人期 親子 関 係 に関 す る 知 見 を整理 して列挙す る。 (先 行 知 見
1-1)産
業 化・ 都市 化 が進 ん だ現 代社会 にお いて 、居 を異 にす る親 家族 と子家 族 の間 に、頻繁 な接触 お よ び高 い レベ ル の品物 やサ ー ビスの交 換 が認 め られ る。 この知見 は、 パ ー ソ ンズの「 核家族 孤立化論」 の反 証 を意 図 した、 サ スマ ン、 リ トワク、 ア ダム スの研究 成 果 に代表 され る知見 であ る (注4)。
既 婚子 家族 とその親 家 族 は 、た とえ遠 く離 れ て暮 ら して いて も、手紙 や電 話 を使 って の間接接 触 で、訪 間 によ る直接 接触 を 補 って お り、近接 性 を必 要 とす る身体 的 サー ビスのみ な らず 、必 要 不 可欠 と しな い経 済 的・ 情緒 的 サ ー ビスの交 換 を盛 ん に行 な って い る。 この基本 的知 見 を もとに、様 々な家族構 造変 数 と、親子 の接触 ・ 援助 交 換 の相関性 が検 討 された。(先 行 知 見
1-2)親
家 族 と子家 族 の接 触・ 援助 交換 に は、夫方 息 子 方 と、妻方・ 娘方 の間 に非 対称性 が存在す る。 近年 の多 くの親族関 係研究 の成 果か ら、産 業化 の進 行 した、西欧 な らび に ア メ リカ社会 で は、親子 間の接 触・ 援助交換 の量 と内容 に、 性 差 が 存 在す る ことが示 唆 されて きた。 親 子 間 の接 触 で は、特 に母娘関 係 にお いて接触 頻度 が高 い とい う 傾 向 が認 め られて い る。 この知見 は、古典的 な親族関 係 研究 であ る、 ヤ ング と ウ ィルモ ッ トに よ る、東 ロン ドンで の研究 (注5)以
来 、 多 くの研 究 者 に よ って確 認 されて きた。 また 、援助 の内容 につ いて も、親 な らびに子 の性 に よ る差 異が認 め られ て い る。 ス ウ ィー ツァーの実証 研究結 果 に よる と、子 夫婦 か ら親 へ の援助 で は、「 家事 や買物 の手 伝 い」 、「 病気 の時 の援助 」、 親 か ら子 夫婦 へ の援助 で は、「 家具 な どの高 価 な贈 り物 」 、「 出産 時 の財 政 的援 助 」 な ど多種多 様 な領域 での妻 ・娘 方優 位 が認 め られ て い る。一方 夫・息子 方 優位 が認 め られた領 域 は、子 夫婦 か ら親 ヘ の「 家 具 な どの高価 な贈 り物 」、親 か ら子夫 婦 へ の「 規則的 な財政 的 援助 」 の領 域 に限 られて お り、援助 交 換 におけ る妻・ 娘方 優位 の 傾 向 と、援助 交換 内容 におけ る性差 が示唆 されて い る (注6)。
我 国 で も、三谷・ 盛 山 によ り、世代 間関係 に、非対 称性 が存在 す る ことが確認 され 、伝 統 的家 規範 の弱 ま りと と もに、 これ まで長男 優 位性 が認 め られ た儀 礼 的接触・ 援助 交換 の領域 での、非対 称性 が 減 少 し、 日常 的 サー ビス交換 にお ける妻 方 、娘方優位 に よる非対称 性 の増 大 が予 想 されて い る (注
7)。
(先 行 知 見1-3)同
居 か別 居 か 、近 居 か遠 居 か とい った、 親家 族 と子家族 の居住近 接性 が、接触・ 援助 交換 を規 定 す る最 も強 い変数 の一 つで あ る。 親族 間 の接 触 頻度 が 、親族 の親等 と、居住近接性 に よ って規定 さ れ る こ とは、 イギ リスで は、 タ ウ ンゼ ン ト、 ヤ ングと ウ ィル モ ッ ト、 ア メ リカで は、 リー ス、 アダ ムスな ど多 くの研究者 に よ って検証 さ れ て い る (注8)。
居 住 近 接性 が 、最 も規 定力 を もつの は、 日常的接触 や身体 的サー ビスの交 換 の領域 にお いてで あ る。 ア ダ ム不の研究結 果 (注9)が
示 す よ うに、親子 間の経済的援助 は、居 住近 接性 によ って ほ とん ど 影 響 を受 けな いの に対 し、身 体的 サー ビスの提供 は、近接性 に左右 され て い る。 先 に示 した、 ヤ ング とウ ィルモ ッ トの研 究 にお いて も、 接触 量 の高 い母娘 ほ ど、近接 性 も高 い ことが示 されて い る (注10)。高 い レベ ルの 日常 的接触 と身 体的 サー ビスの援助交換 を特徴 とす る 母 娘結 合 の卓 越性 は、母 と娘 の居 住近 接性傾 向か らも説 明 されて い る。 欧米 の親子 接触 頻度 の高 さを、我 国 の研究 者 は、 この居住近接 性 か ら説 明す る傾 向が あ る (注
H)。
そ して、一子 との同居慣 行 の残 存 す る我 国 と、新 居性 を原則 と し、居 住近接 傾向 の強 い欧米 との、 親 族 (既 婚子 とその親)接
触 は、単純 に比 較 で きない こ とが 指摘 さ れ て きた。我 国で は、同居子 との関係 、別居 子 との関 係 を区別す る 必 要性 が強調 されて きた。 我 国 で は親 と同居子 、他 出別居子 の関係 につ いて、「 同居 子 との 濃 密 な接 触 、別 居 子 との疎遠 な交 渉」 とい う湯沢=那
須 命題 (注12) が導 き出 され、 その検 証 が試 み られて きた。 老川 は、同居子 を もつ 親 と、他 出別 居子 の間 に、 あ る程 度 の接触 が保 たれて い るこ とを示 し、 この命題 を反証 して い る (注13)。 この 命題 に は、親子 間 の地理 的距離 が接触 を規定 し、接触 度 の高 低 が 、親 子 関 係 の親密 性 を示 す とい う、暗黙 の前 提が あ る。 接触量 の差異 が、名 糧 子・ 別居 子 との結 合関 係 を規 定 して い る と決 めつ け ることは危険である。 ことに接触や援助交換の量で親子関係を分析 す る「 親族関係研究における親子関係研究」の限界がある。(先 行 知 見
1-4)親
家族 と子 家 族 の 間 に、生活 の分 離 を促 す 、核 家 族 の 自律性規 範 が認 め られ る。 パ ー ソ ンズのい う、核家族 の親族体系 の中 での構造 的孤立 とは、 居 住 に お け る独 立 と生 計分離 を意 味 して いた。 山根 と野 々山 が指摘 して い る よ うに、パー ソ ンズの核家族 の孤立 化 とは、「 核家族 が (1)居
住 的単 位 (a residential unit)と な る こ と、(2)経
済 的単 位 (an econOnic unit)と な る こと、 およ び
(3)仕
事単 位 (atask unit)と な る こ と、つ ま リー つ の生活単 位