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ドキュメント内 甲南女子大学学術情報リポジトリ (ページ 36-79)

フ コー ス と世 代間関係 の実証 研究 があ る (注 9)。 この研究 会 の活 動 によ り、 ライ フ コー スの研 究文 献が数 多 く我 国 に紹 介 され、 ライ フ コー ス論 の視点 にた った研 究 が誘発 され る ことにな った。 本研究 もその一 っで あ る。

ライ フ コー ス論 の視 点 か ら、親 子関 係期間全体 を射 程 にいれた研 究 の必 要性 が認 め られ 、全期 間 に適用 可能 な分析枠組 が求 め られて い る。 親 子関 係が保護 と依存 、支配 と服従 とい う不平 等 な関 係で あ る期 間 だ けで な く、互 いに経 済的 には 自立 しなが ら、情緒 的 には強 い絆 で結 ばれ、身体的 サ ー ビスを交換 し合 う、最 も親 密 な友 人の よ うな関 係 を構 築す る期 間 が、 その中間 に存在 す る ことに注 目す る必 要 が あ る (注 10)。

生涯 を通 した親子関 係研究 の必 要性 を主張 し、親子 関係期 間全体 に適用 で きる理論 的概 念 の構 築 をめ ざす には、 これ まで全 く手 をつ け られ て いな い対等 な成 人同士 の親子 関係期 間 を分析 す る必 要が あ る。本 研 究 で は対等性 を前提 と した中期 の親 子関 係を解 明す ること で 、前 期 と後 期 の親子 関 係研究 の橋渡 しの役 を担 うこ とに したい。

(主

1)

(注

2)

PublicatiOns, N.Y。 , 405‑433.

(注 3)Atkinson, M.P., 1989, "Conceptualization

Parent―child Relationship: Solidarity, Crescive Bonds, and ldentity Salience, Mancini, J.A.(ed。 ),  Aging Parents and

宮本みち撃シ だ

マ続 i,7旱 静ヽ 1色 現 と親子関係―

経済・行動・情緒・規範のゆくえ―』 ,(財 )家 計経済

研 究 所,35‑39.

Hagestadt, G.0。 , 1987, "P arent―Child Relations in Later Life: Trends and Caps in Past Research," in Lancaster, J.B。 , Altmann, J。 ,  Rossi, Ao S。 , &

Sherrod, L.R。 (ed s.), Parenting across ̲the Life 並2■:Blosocial Dimenslons,Aldine de Cruyter

of the Attachment,

in

Adult Children,Lexington Books,81‑97.

(注 4)Thompson, L. & Walker, A.J., 1984, "Mothers and Daughters: Aids Patterns and Attachment," Journal of Marriage and Family, 46, 313‑322.

(注

5)Rossi,A.S.&Rossi,P.‖

.,1990,Of Human Bonding:

P a ren t =ch i  l d    Re l a t i on s    Ac ros s    t he    L i f e   Cou r s e,

Aldine de Cruyter.

(注 6)Matrun, E. & Reitzes, D.C., 1984, "IntergeneratiOnal SuppOrt Activities and Well― Being among the Elderly: A Convergence Of Exchange and Symbolic interactiOn Perspcctive・  Amcrican Soc1010gical Review,49,117‑130.

(注

7)木

下 英二・玉 里恵美 子・ 前 田尚子

,1993,「

親 子関 係研究 の展開 と課 題 ―全 国家族調査 に向 けて 一」

,第 3回

日本 家 族 社会学 大会報 告.

(注

8)例

え ば、望月 嵩 (編

),1987,『

リーデ ィングス日本 の社 会 学

現 代 家族』

,東

京 大学 出版会

,森

岡清美・ 望 月 嵩

,1983,『

新 しい家族社 会学』

,培

風館 を参照. (注

9)森

岡 清美・青 井和夫

,1987,『

現 代 日本 人 の ライフ コー ス

,日

本 学 術振興 会.

(注

10)正

岡寛 司,1993,「 ライ フ コー スにお け る親 子関 係の発達 的 変化 」

,森

岡清美 (監 修

),『

家族 社 会学 の展 開』

,培

風館,65‑79.

第 二 章

 

成 人 期親 子関 係研究 の展 開

中期 親 子関 係研究 の理 論的 モデルの構築 の ため、 この章 で は先 行 研 究 の レヴューを行 う。前述 のよ うに、親子 関係 研究 で扱 わ れて き た期 間 は、前 期 と後期 に集 中 して お り、中期 を正面 か ら取 り扱 った 親 子 関 係 研究 はないに等 しい。 そ こで「 親族 関係研究 」 およ び「 世 代 間関 係 研究 」 のなか か ら中期親子関 係 にか かわ る知 見 を取 り上 げ る ことに した い。 そ して、 ライフ コー ス論 の視点 か ら生 涯 を通 して の親子 関 係 を扱 った先 駆 的 な研究 を紹介す る ことで、本研究 の概念 枠 組 の導 出 につ なげた い。

第 1節

 

親族 関 係研究 におけ る成 人期 親子関 係

家族 社 会学 にお け る成 人期 の親 子関 係研究 の一 つの潮 流 を、親族 関 係研 究 の中 に認 め る ことが で きる。 ここで の成 人期 の親子 とは、

基 本 的 に、親 か ら独立 して居 を構 えて い る既 婚成 人子 とその親 を さ して い る。 そ のため、分 析 の単位 は、親子 ダ イア ドや個人で はな く、

核 家族 にあ る。 パ ー ソ ンズが産業 化の進展 に と もな う親族構造 にお け る「 核 家族 の孤立化 」 を主 張 して以 来 、多 くの研究者 がそれに反 駁 を くわ えて きた (注 1)。 この「 核 家族孤 立化論争 」 (1950〜 19

60年代

)は

、親族 関係 研究 の興隆 を引 き起 こ した。 そ して、欧米 な らびに我 国 に おいて、親族関 係 の中で も最 も親等 の近 い親家族 と子 家 族 の結 合 を扱 った、 多 くの実証研究 が発表 され た。 そ こで本節 で は、親 族 関係 研究 にお け る成 人期 親子 関 係研究 の概念 枠組 を概略 化 し、引 き出 された知見 を整理 す る こと とす る。

2‑1は

、親 族関 係研究 の中 で も、欧米 で は1960〜 1970年 代 、 我 国 で は1970年 代 に全 盛 を極 めた 、主 に構造 機能 的 アプ ロー チによ る成 人期 親子 関係研究 の概念 枠組 をま とめた もので あ る。第 一 に、

こ こで は産業 化・ 都市 化 とい う近 代社 会 にお け る社会 変動 が、家族 形 態 お よ び家 族規 範 の変 化 とい う家族 変動 を引 き起 こ して きた とい

2‑1 

親 族関 係研 究 にお ける成人 期親子 関係研究 の概念 枠組 社 会 構 造

     

家 族 構 造

       

親 子 関 係

族 形 態 ・ 1出 成 。近1妾居 性 1帯家 族 ・ 直 系 家 族 子 と の 同 ・

"1居

子 ど も の 数 ・ 性・ 出 生 順 位 族 規 範

夫 婦 家 族11規

直 系 家 族 制 規 範 (家rLi) 核 家 族 の 自 律 性 規 範

う基本 前提 を含んで い る。 そ して、様 々な家族変動が 、成人期親子 関 係 に及 ぼす影響 の解 明が中心 テーマ とな る。

例 え ば、 ァ メ リカで は、産 業化 の進 展 によ る世代間 の職業移動・

地 域 移動・階 層移動 な どが、親家族 と子家族 を引 き離 し、 陛代間 の 結 合 を減 じ、老人 が疎 外 され遺棄 され る とい う神話が生 み出 されて きた。 それ に対 して、多 くの研究者達 (サ ス マ ン、 ア ダム ス、 リ ト ワ ク、 シャナ ス等

)は

、既婚 子 とその親 の間 に頻 繁 な接触 と、高 い レベル の品物 やサー ビスの交換が認 め られ る ことを示 し、神話を 打 ち崩 した (注 2)。

また 、我 国 で は、戦 前 の直 系家族制規範か ら夫婦家族制規範 への 移 行 とい う家族規範 の変化 な らびに核 家族化 の進行を軸 に、成人期 の親子 関 係 、 なかで も老齢期 の親 家族 とその子家族の関係が論 じら れ る傾 向が み られた (注 3)。

第 二 に注 目 しなけれ ば な らないのは、親族 関係研究 におけ る成 人

j明親子 関 係研 究 とは、 ほぼ親 子 の接触 と援助 交換 の研究 とい って も 過 言 で な い こ とで ぁ る。 そ して、親子関係の愛情 とい う次元 を所与 の もの と して位置 づ け、分析 の対象か ら外 して きた とい う最大の欠 陥 を もつ。

     

´

   

         

子 間 の接触・ 援助交換 は、親 と して子 と しての義務・ 責 任 とい う規 範 要因 、 お よ び親 子 の相互作用 を誘発 す る状 況要因 によ り規 定 され

る とい う前提 に立 って い る。 ここで は、親子 間の情緒 的結合 の強 さ か ら、接 触 お よび援助 交換 が説明 され る ことはな い。 例 えば、親家 族 と子 家族 の同居 か別 居 か とい った、家族形 態上 の変 数 、 あ るい は 家 規 範 の残存 とい った家 族 規 範変 数か ら、親 家族 と子 家族 の接触 と 援 助交 換 の頻 度 と内容 が検討 され る。

次 に 、親 族 関係研 究 か ら引 き出 され た、成 人期 親子 関 係 に関 す る 知 見 を整理 して列挙す る。

(先 行 知 見

1‑1)産

業 化・ 都市 化 が進 ん だ現 代社会 にお いて 、居 を異 にす る親 家族 と子家 族 の間 に、頻繁 な接触 お よ び高 い レベ ル の品物 やサ ー ビスの交 換 が認 め られ る。

この知見 は、 パ ー ソ ンズの「 核家族 孤立化論」 の反 証 を意 図 した、

サ スマ ン、 リ トワク、 ア ダム スの研究 成 果 に代表 され る知見 であ る (注

4)。

既 婚子 家族 とその親 家 族 は 、た とえ遠 く離 れ て暮 ら して いて も、手紙 や電 話 を使 って の間接接 触 で、訪 間 によ る直接 接触 を 補 って お り、近接 性 を必 要 とす る身体 的 サー ビスのみ な らず 、必 要 不 可欠 と しな い経 済 的・ 情緒 的 サ ー ビスの交 換 を盛 ん に行 な って い る。 この基本 的知 見 を もとに、様 々な家族構 造変 数 と、親子 の接触

・ 援助 交 換 の相関性 が検 討 された。

(先 行 知 見

1‑2)親

家 族 と子家 族 の接 触・ 援助 交換 に は、夫方 息 子 方 と、妻方・ 娘方 の間 に非 対称性 が存在す る。

近年 の多 くの親族関 係研究 の成 果か ら、産 業化 の進 行 した、西欧 な らび に ア メ リカ社会 で は、親子 間の接 触・ 援助交換 の量 と内容 に、

性 差 が 存 在す る ことが示 唆 されて きた。

親 子 間 の接 触 で は、特 に母娘関 係 にお いて接触 頻度 が高 い とい う 傾 向 が認 め られて い る。 この知見 は、古典的 な親族関 係 研究 であ る、

ヤ ング と ウ ィルモ ッ トに よ る、東 ロン ドンで の研究 (注

5)以

来 、 多 くの研 究 者 に よ って確 認 されて きた。

また 、援助 の内容 につ いて も、親 な らびに子 の性 に よ る差 異が認 め られ て い る。 ス ウ ィー ツァーの実証 研究結 果 に よる と、子 夫婦 か ら親 へ の援助 で は、「 家事 や買物 の手 伝 い」 、「 病気 の時 の援助 」、

親 か ら子 夫婦 へ の援助 で は、「 家具 な どの高 価 な贈 り物 」 、「 出産 時 の財 政 的援 助 」 な ど多種多 様 な領域 での妻 ・娘 方優 位 が認 め られ て い る。一方 夫・息子 方 優位 が認 め られた領 域 は、子 夫婦 か ら親 ヘ の「 家 具 な どの高価 な贈 り物 」、親 か ら子夫 婦 へ の「 規則的 な財政 的 援助 」 の領 域 に限 られて お り、援助 交 換 におけ る妻・ 娘方 優位 の 傾 向 と、援助 交換 内容 におけ る性差 が示唆 されて い る (注

6)。

我 国 で も、三谷・ 盛 山 によ り、世代 間関係 に、非対 称性 が存在 す る ことが確認 され 、伝 統 的家 規範 の弱 ま りと と もに、 これ まで長男 優 位性 が認 め られ た儀 礼 的接触・ 援助 交換 の領域 での、非対 称性 が 減 少 し、 日常 的 サー ビス交換 にお ける妻 方 、娘方優位 に よる非対称 性 の増 大 が予 想 されて い る (注 7)。

(先 行 知 見

1‑3)同

居 か別 居 か 、近 居 か遠 居 か とい った、 親家 族 と子家族 の居住近 接性 が、接触・ 援助 交換 を規 定 す る最 も強 い変数 の一 つで あ る。

親族 間 の接 触 頻度 が 、親族 の親等 と、居住近接性 に よ って規定 さ れ る こ とは、 イギ リスで は、 タ ウ ンゼ ン ト、 ヤ ングと ウ ィル モ ッ ト、

ア メ リカで は、 リー ス、 アダ ムスな ど多 くの研究者 に よ って検証 さ れ て い る (注 8)。

居 住 近 接性 が 、最 も規 定力 を もつの は、 日常的接触 や身体 的サー ビスの交 換 の領域 にお いてで あ る。 ア ダ ム不の研究結 果 (注

9)が

示 す よ うに、親子 間の経済的援助 は、居 住近 接性 によ って ほ とん ど 影 響 を受 けな いの に対 し、身 体的 サー ビスの提供 は、近接性 に左右

され て い る。 先 に示 した、 ヤ ング とウ ィルモ ッ トの研 究 にお いて も、

接触 量 の高 い母娘 ほ ど、近接 性 も高 い ことが示 されて い る (注10)。

ドキュメント内 甲南女子大学学術情報リポジトリ (ページ 36-79)

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