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注 9)。

ドキュメント内 甲南女子大学学術情報リポジトリ (ページ 83-91)

ライ フ コー ス論 の視 点 か らの成 人期 親子関 係研究 は歴史 が浅 く、

繰 り返 し複数 の研 究者 に よ る検証 が試 み られ た知 見 は見 あた らな い。

こ こで は「 子 の出来事 経験 」 を指 標 と した研 究仮説 と、「 親 の年齢」

あ るい は「 子 の年齢」 を指標 とした研 究 仮説 を示 す こ とで、本研 究 で の概 念枠組 の構築 に役立 て たい。

(研究 仮 説

3‑1)子

ど もの離家 、結 婚 、親 役割 取得 とい う出来事 経 験 に よ り、親 子 関 係 は発 達 的 変 化 を遂 げ る。

子 の成 人前 期 に起 こ る出来 事経 験 に よ る親 子関 係 の発 達 的 変化 は、

「 成 人 期 へ の移行 」研 究 の領 域 で注 目 されて きた。親 と子 が 、 同僚 的地 位 (生活 者 、夫 あ るいは妻 、親 と しての地位

)に

つ くこ とは、

お互 い に対す る関 係 の再定義 を促 すか らであ る。 また 、子 の離家 、 結 婚 、 親 役割 取得 は、親 子 の家族 構造 を変化 させ、親 子 の相 互作用

にお け る発達 的変 化 を 引 き起 こす。

この研究仮 説 は、一 般 に男 性 よ り女 性 に当 て は まる と言 わ れて い る。男 性 が「 職業時計 」 (occupational clock)に 左 右 され るの に 対 し、女 性 は結婚 、出産 、子 の成 長段 階 とい う「 家族 時計 」 ( fanily c10ck)で、 自 らの人 生周期 を知覚す る傾 向が指 摘 され る (

この仮説 の検証 を試 みた代 表的 な研 究 は、 フ イッシャーの母娘関 係 研究 で あ る (注10)。 フ ィ ッシャー の研究 は、娘 の結 婚 と出産 に よ り、母娘 の情緒 的関 係 (相手 に対 す る評価 、親 密性・ 類似 性 の表 出

)の

み な らず、接触 や援助 交換 にお け る相 互作用 の パ タ ンが変化 す る こ とを明 らか に した。

フ ィ ッシャーは母 と娘 に対 す る綿密 な イ ンタ ビュー調査 に よ り、

母 親 が 娘 の結 婚 や 出産 を機 に、娘 の成 人 と して の成熟 性 を確 認 し、

娘 との関 係 を再 定 義す る こと、一 方 、娘 は自分 自身 も妻 や母 親 とな った こ とで、回顧 的 に母 の子 育て や家 庭生活 での苦労 を理解 し、母 に対 す る親密 性 を強 く表 出す ることを見 いだ した。

また 、 フ ィ ッシ ャー は、母 と娘 の居 住近接 性 にかか わ らず 、娘 が 子 ど もを もつ ことで接 触 が促 進 され る こ とを確認 して い る。 遠 居 の 未婚 娘 が母 との接 触 は電 話接 触 で充分 で あ る と答 え るの に対 し、子 持 ち娘 は遠居 で も電話 接 触 だ けで な く、直接 接触 が祖 母孫関 係 に と

って重 要 で あ ると主張 す る。 フ ィ ッシ ャーの研究 は、孫 の誕 生 が母 娘 の相 互 作用 の強 い促 進 要因 とな って い る こ とを明 らか に して い る。

子 の親役割 取 得 の影 響 につ いて は、全 て の性別 ダイ ア ドを対象 と した親 子 関係 研究 で も検 証 されて い る。親 と子 の性別 によ る差異 に 着 日 した ロ ッ シの研究 結 果 で は、息子 が 自分 自身 も親 とな る ことで 父親 との親密 性 を高 め る ことが確 認 されて い る (注

H)。

フ ィ ッシャーが成 人前期 の娘 とその母親 とい う、中期母娘 関係 に 注 目 した の に対 し、 ロ ッシが対象 と した のは成人期全 体 の親 子関係 で あ った。 そ のた め ロ ッシが親子関係 の発達 的変 化 の指 標 と した の は、「 子 の出 来事経験 」 で は な く、「 子 の年 齢」及 び「 親 の年齢」

で あ った。

次 に ロ ッシによ り確 認 され た、親子 の年齢 によ る発 達 的変 化 の研 究 仮説 を紹 介 す る (注12)。

> (研

究 仮 説

3‑2)親

と子 の情 緒 的親 密性 は、子 の加 齢 とともに発達 的変化 を示 す。

2‑5 

情 緒 的親密 性 の発 達 的変化 (親の評価)

SCORL 100 95 90 05 80

76 70

:nfant loフγfs

13‑19    20̲24    25‑29 AGE OF G3 CH:LD:N1985

2‑6 

情 緒 的 親 密 性 の発 達 的 変 化 (子 の 評 価)

19‑29     30‑39 AGE OF G2 CH:LD

ロ ッ シの研 究 の特徴 は、親 と子 の評 価 の比 較 と、

4つ

の性 別 ダイ ア ド比 較 を行 って い る ところ にあ る。 図

2‑5は

、子 の年齢 を横軸 に、対 象者 の子 に対す る親密 度 の推移 を表 わ し、図

2‑6は

、 同 じ 対 象 者 の親 に対 す る親 密度 の推移 を示 して い る。対象 者 の最 低年齢 が19歳で あ ったため、図

2‑6で

の10歳 時 と16歳時 の親 密性 の評 価 は回顧 的 デー タで あ る。

子 に対 す る親密性 の評 価 は、幼 児期 か ら青 年期 にか けて下 降 し、

そ の後 男性 と女性 の評 価 あ差 が拡大す る。 さ らに、後 半 には女性 の 娘 に対 す る親 密性 の表 出が突 出す る。一方 、親 に対す る親密 性 の評 価 は、青 年 期 に決定 的 な ス ラ ンプを経 験 した あ と、成 人前期 に劇 的

∞ 95 9︒ 85 8︒ 75 Ю 65

55

に回復 を示 し、 その後 安 定性 を示 す。

子 へ の親密 性 の表 出 において も、親 へ の親 密性 の表 出 にお いて も、

女 性 の親 密性 表 出 の卓 越 が認 め られて い る。 す なわ ち、女性 は母 あ るい は娘 に対 して高 い情緒 的親密度 を報告す る。

2‑7 

情緒的親密性 の発達的変化 (ダイア ド比較)

SCOnE A.G:MOTHEn‑02 0AUOHTER    MEAN OI MOIHEn‑02 SON

29     39 AGE OFc‖ :LD

c.0:FATHER‑02 0AUGHIEn

10   10   19‐    30‐  4oo   ,O   10   :9‐   30‐  4oo

29     09       29     09

oC OFc,litO      ACC OF cH:L0

‑・ ,ino bv c:,●leni   ‐‐‐‐n1lln口 b7●2 Ch=:d

Rで1,tis,c(1:VC ltli::り lt,,1,:T" 11'nnd i6:ttに lu,1:● ::tl:lo :'lli ltir iり│:it:1,i、:Tr.

OI MOIHEn‑02 SON

10  19‐  30‐

29     39 AG〔OF CH:L0 01 FAT,lEn‑02SON

2‑7は

、 図

2‑6の

対 象者 の親 に対 す る親 密度 の デー タに、

対 象者 の親 が 対象 者 に対 す る親密性 を報告 した デー タを加 え た もの で あ る。 ここで は親 と子 の評 価 の差異 が明 らか に され て い る。 親 の 方 が子 よ りも親密性 を高 く評 価す るとい う世 代「1関 係 研究 で導 き出 され た知見 は、 ライフ コー ス軌道 全般 にほぼ 当て はま る こと、 しか もどの性別 ダ イア ドに も当て はま るこ とが確 認 されて い る。 また、

親 子 の評 価 の違 い は、 お そ ら く子 どもが青年 期葛 藤 に巻 き込 まれて いた と思 われ る子 ども16歳 時 の回顧 的評価 に おいて最 も顕著 であ る こ とが判 明 した。親 は子 ど もよ り、過 去 の関 係評 価 に与 え る点 が甘 い傾 向 が あ る と、 ロ ッ シは解 釈 してい る。

(研究 仮 説

3‑3)親

子 の援 助交 換度 は、親 の加 齢 と と もに互酬 性 を保 ち なが ら漸 減 す るが、親 の高齢期 に子 か ら親 への流 れが ま さ り互酬 性 が崩 れ る。

従 来 、親 子 の援助交 換関係 につ いて は、中期 において親か ら子 ヘ の流 れ が ま さ り、その後 差 が縮小 し、 さ らに は逆 転 して子 か ら親 ヘ の流 れ が まさ ると考 え られて きた。 と ころが、 ロ ッシの実証研究 で

は、予想 に反する結果が得 られている。親の回答による図

2‑8は

回答者である親か らの援助度が子か らのそれを幾分上回 っているが

(与 え手 の方 が受 け手 よ りも幾分高 く報告す る傾 向が認 め られ る こ とは、数 々の先行研究 結 果か ら判 明 して い る)、 回答 者 が子 で あ る 図

2‑9で

は、親 と子 の援助 度 は、母 娘 と父娘 で60代半 ば まで 、母 息 子 で 50代 半 ば まで、 そ して父息 子 で は70歳近 くまで 、親 か ら子 ヘ と、子 か ら親 への援助 交換度 にほ とん ど差 が み とめ られ ない。 この 援 助度 は、親 と子 によ る援助 交換 の主 観 的認 知度 であ り、実 際 の援

2‑8 

援 助 交換 の発達 的 変化 (親の評価)

MEAN EXTENT OF HELP 75 70 65 60 55 50 45 40

35 30

2

Under 40‑4445‑4950‑5455‑5960‑646国 70‑74 7「79 80' 40

AGE OF PARENT

A.MOTHER―DAUGHTER

2‑9 

援 助交 換 の発達 的変化 (子の評価)

645‐ 50‐55‑60‑65‑70‑75‑80●

49  54 59  64 89  74  79

Ag●o,GI Mo臓

C.FATHER‑OnUGHTER

4545‐ 50‑55‑60‑65‐ 7o‑75‑801 49 54 59 04 69 74 70

Ago o,Cn Father

Parent lo child

‐‐― Ch,̀di● Paroni

Age O,GI Moth

D FATHER―SoN

(4545‑50‐ 55‑60‑05‑70‑25‑00●

49  54 59  64 69  74  79 A9oo'G:Fath●

●●●●く00'

■,pく 0:

助交換 の量 と異 なることに注意すべ きであろ う。

この援助交換度 は、

9項

(「特別 な贈 りもの」、「 個人的な危 機 に際 しての慰め」、「 日常的な家庭 の雑事 」、「 こわれ ものの修 繕 や繕 い もの」、「 留守時の子 ども・ ペ ッ ト・植物や家 の世話」、

「 仕事上 の相談や援助 」、「 お金 や ロー ンの援助」、「 病気 の時 の 世話」、「助言」

)の

援助の有無 の合計ではか られてお り、頻度 や

B MoTHER―SON

A.MOTHER―

DAUGHTER

2‑10 

援 助交 換 の発 達 的 変化 (仕事 上 の助言 0援)

C4545‑50‑55‑60‑65‑70‑75‑80+

49  54 59  64 69  74  79

A90 0f Gl Mother

C.FATHER―DAUGHttER

4545‑50‑55‑60‑65‑70‑75‑80+

49  54  59  64 69  74  79 A9o of GI Mother

D FATHER―

SON

79

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