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「やさしい町づくりの提案」を題材とした小学校総合的な学習の時間の単元開発と実践に関する研究

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(1)「やさしい心づくりの提案」を題材とした. 小学校総合的な学習の時間の単元開発と実践に関する研究 兵庫教育大学大学院 学校教育専攻・教育方法:コース. 西田耕太郎 1研究の目的・. 学習に参加ができない脳性麻痺の障害を持つ児. “やさしい町づくりの提案”を題材とした小. 童も共同体の一丁冒して学習に参加できるよう. 学校「総合的な学習の時間」の実践は,数多く. にしながら学習を進める。そして,協同学習を. 報告されている[村川,小林 1999]。それらの. 通じて,障害児と健常児の「共に学ぶ」学習環. 多くは,三子体験,アイマスク体験など体験. 境づくりをもねらう。. 活動の中で障害者の視点で町を見直し,問題発. 2.内容. 見をしていくものである。. 本研究では,小学校6年生103名を対象に. しかし,小学生の児童にとって障害者の視点. 行なった実践を通して得た知見を基に「総合的. に立つことだけでの問題発見では,問題点が限. な学習の時間」の授業の在り方について1つの. られたり,問題解決の場面で,現実からかけ離. 指針を示す。. れたような提案を考えたりするといった課題が. 以下,本論文の概要と構成を述べる。. 見受けられる。. 第1章「『生きる力』と『総合的な学習の時間』」. そこで,本研究では,児童の問題発見の視点. では,第15期中央教育審議会答申で示された. から「総合的な学習の時間」をとらえ直し,「視. 「生きる力」の育成をもとに新学習指導要領で. 点の確立」「比較対象の明確化」という2つの視. 新たに新設される「総合的な学習の時間」の学. 点を持った体験活動を取り入れ,「やさしい町. 習指導の方向性について考察する。. づくりの提案」を題材とした「総合的な学習の. 第2章「『総合的な学習の時間』と『やさしい. 時間」の単元開発を行なう。そして,その実践. 町づくりの提案』」では,やさしい町づくりの提. を通して,「総合的な学習の時間」の授業の在り. 案が持つ教育的価値を「総合的な学習の時間」. 方についての知見を得ることを目的とする。. のねらいに照らし合わせながら考察する。. 本研究の実践を行う学年には普通学級に在籍. 第3章「『やさしい町づくりの提案』を題材と. し,脳性麻痺の障害を持つ児童が在籍している。. した単元構想」では子ども達の問題発見に視点. 教育現場では,健常児と一緒に生活すること. を置き,3つの段階的なステップを取り入れた. で,より高い刺激による能力の伸長などを求め. 単元の全体像を示す。さらに,学年で行なう協. た保護者の希望から,普通学級での学習を行っ. 同作業を支える学習環境,本実践授業の評価の. ている障害児も少なくない。そこで,修学旅行. 考え方についても触れる。. での調べ活動を取り入れたりコンピュータネッ. 第4章「『やさしい町づくりの提案』を題材と. トワーク環境を利用したりすることにより,通. した授業実践」では,まず,開発した単元構成. 常の教科の授業での中では,お客さん的にしか. にしたがって実際の学習の様子を示す。次に,.

(2) 「問題発見」「統合教育」に視点を置き,GTA. た聞き取り調査がうまくできず,質的に違うものを. 日記,グループ連絡帳,修学旅行記,発表原稿,. 情報として集めたため,差異の認識ができなかっ. 発表資料などを基に授業を分析し,開発した単. たことが大きい。これは,教師の支援が聞き取りの. 元について考察を行なう。. 計画段階でしか機能しておらず,教師の支援の視. 第5章「小学校『総合的な学習の時間』の授. 点のあいまいさが,このグループの学習の形骸化. 業の在り方についての考察」では,「教師の支. を生んだ。聞き取り調査を活動として行なう場合に. 援」「統合教育」「学習の評価」「発表の場」「単. は、計画の段階,調査後の段階で教師は,子ども. 元開発」の5つの視点から「総合的な学習の時. 達の学習の状況を的確に把握することが必要であ. 間」の単元開発を行なう際の1つの指針を述べ,. り,その状況に応じて,支援することが必要である. 研究をまとめる。. ことが分かった。. 3 結果 本研究では,「やさしい町づくりの提案」を題材に. 今回は,発表会とWeb発信という2回の発表の 場を設けた。このことは,たくさんの方から反応をも. 授業実践を行ない,脳性麻痺の障害を持つ児童と. らう中で,子ども達に自分達の学習を振り返る自己. 健常児の「共に学ぶ」学習環境づくりを目指した。. 評価を促す面で有効であった。また,たくさんの方. この中で、コンピュータネットワーク環境を利用す. からの反応をもらうことによって,子ども達は学習し. ることにより,脳性麻痺の障害を持つ児童が普通. たことへの自信を持つことができた。発表会はただ. 学級の児童と共同体の一員として協同学習に参. 単に,人前で表現するというコミュニケーション能. 加できることが確かめられた。また,子ども達は,. 力を育成することだけでなく,その反応をもらう中. 「やさしい町づくりの提案」というテーマに向かって,. で自己評価ができるという面でも有効であり,今後,. 障害者やお年寄りなど弱者の立場に立って,修学. 「総合的な学習の時間」の単元を組む場合には,. 旅行先での調べ活動,自分達の地域での調べ活. そういった視点で発表の場を取り入れていく価値. 動に取り組んだ。その活動を通して,子ども達の弱. のあることが分かった。. い立場の人の身になって社会を見ていく心を育て ていける可能性があることが分かった。. 目標の認識のために修学旅行先での調査活動,. 1998年新学習指導要領が示され,200 0年から移行措置に入る。そして,新設される 「総合的な学習の時間」が本格的な実施を迎え. 現状の認識のために地域での調べ活動を取り入. る。小学校においては,年間105時間から1. れた。これらの2点を上手く認識できた子ども達は. 10時間が確保されている。今後さらに継続し. その間にある差異を認識し,現実的で具体的な問. て実践を積み上げ,この「総合的な学習の時間」. 題発見をすることができ,改善案提案という問題解. が21世紀を生きていく子ども達にとって価値. 決にスムーズに入っていけることが分かった。しか. ある学習にできるよう今後も授業に大いなる挑. し,目標の認識,現状の認識を上手くできなかっ. 戦をしていきたい。. たグループの子ども達は,問題解決活動に停滞が 見られ,結局,改善案を提案するという活動が形. 主任指導教官 正司和彦. 骸化するという結果になった。具体的現実的な問. 指導教官. 題を発見できなかった原因は,子ども達の計画し. 正司和彦.

(3) 平成11年度 学位論文. 「やさしい町づくりの提案」を題材とした. 小学校総合的な学習の時間の単元開発と実践に関する研究. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科. 学校教育専攻教育方法コース. M98113D 西田耕太郎.

(4) 目次 はじめに… …… …・・…・・・・・・… …………・・…・… ……1. 第1章「生きる力」と「総合的な学習の時間」・・……・・…・……・・3 1.1「生きるカ」と「総合的な学習の時間」・・…・…・…・・……・3 1.2「総合的な学習の時間」と「統合教育」…・・…・……・・…・ 6 第2章「総合的な学習の時間」と「やさしい心づくりの提案」…・・… 10. 2.1本研究で育てたいカ……・…………・…………・・10 2.2題材としての「やさしい町づくりの提案」……・・…・……・10 2.3「やさしい町づくりの提案」がもつ教育的要素………・・…・12 第3か日やさしい町づくりの提案」を題材とした単元構想…・……・14. 3.1単元の全体構想………・……・………・………・・14 3.1.1「総合的な学習の時間」の先行実践の課題……・…・14. 3.1.2子ども達の問題発見……・………・……・……15 3.1.3単元全体の考え方…・……………・・…・……・17 3.1.43つのステップを踏む単元の構想…・…・…・・……18. 3.2ネットワークを利用した協同作業……・………………20 3.2.1非同期による協同作業… …・………・…・…・…20 3.2,2非同期の協同作業を支える学習環境・…・……・・…21. 3.3学習の評価……・…………………………・…・22 第4章「やさしい町づくりの提案」を題材とした授業実践………・・24 4.1 授業実践ク)梼守・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 。・・・・・・・・… 24. 4.1.1単元の全体計画……………・………・……・24 4.1.2第1次の学習・………・………・・…・…・……26 4.1.3:第2次の学習………・・………・・………・…・28 4.1.4第3次の学習………・……’●●●’●…●………●29.

(5) 4.1.5第4次の学習………………・・…・・……・・…30 4..1.6第5次の学習…………・……・・…・……・…・34. 4.1.7第6次の学習…………・……・…………・…45 4.1.8第7次の学習…………・……の…・・……・・…48. 4.2授業実践の分析及び考察…・……………・・………52 4.2.1分析のデーター……・・…・……・…………・・53. 4。2.2分析の手順…・・…………・………・……… 53 4.2.3目標の認識に視点を当て・………………・…・・56 4.2.4現状の認識に視点を当て・……・…………・・… 59 4.2.5差異の認識に視点を当て・………・・…・・…・…・63. 4.2.6問題鱗決活動の視点を当て…………・……・… 64 4..2.7「統合教育」としての視点から…………・……… 73. 4.2.8分析のまとめと考察………・………・………・78 第5章承学校「総合的な学習の時間」の. 授業の在り方についての考察・・…・・……80. 5.1教師の支援の視点から・…・……・・…………・・……80 5.2統合教育の視点1から…・・…・…・………・・…・・……82. 5.3学習の言馬面の視点から……・・…・…・…………・…・83. 5.42種類の発表出面の視点から……………・…………84 5.5単元開発の視点から…・……・……・……・…・…… 87. おわりに・・…・・…………・・…・・…・…・………………88. 引用文献…・………・………・・……………・・・・……・gO 参考文献・………………・・……………・…・・・・……・91 霧射舌辛・・・・・・・・・・・・・… 。・… 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 。 93. 参考資料・・………・・・・・……・・…・・……・・……・……●94.

(6) はじめに. ‘やさしい町づくりの提案”を題材とした小学校「総合的な学習の時間」 の実践は,数多く報告されている[村川,小林1999]。それらの多くは,. 車椅子体験,アイマスク体験など体験活動の中で障害者の視点で町を見直 し,問題発見をしていくものである。. しかし,小学生の児童にとって障害者の視点だけでの問題発見では,問 題点が限られたり,問題解決の場面で,現実からかけ離れ、たような提案を 考えたりするといった課題が見受けられる。. そこで,本研究では,児童の問題発見の視点から「総合的な学習の時間」 をとらえ直し,「視点の確立」「比較文運の明確化」という視点を持った体 験活動を取り入れ,「やさしい町づくりの提案」を題材とした「総合的な学 習の時間」の単元開発を行なう。そして,その実践を通して,「総合的な学 習の時間」の授業の在り方についての知見を得ることを目的とする。. 本研究の実践を行う学年には普通学級に在籍する脳性麻痺の障害を持つ 児童が在籍している。教育現場では,健常児と一緒に生活することで,よ り高い刺激による能力の伸長などを求めた保護者の希望から,普通学級で の学習を行っている障害児も少なくない。そこで,修学旅行での調べ活動 を取り入れたりコンピュータネットワーク環境を利用したりすることによ り,通常の教科の授業ではお客さん的にしか学習参加ができない脳性麻痺 の障害を持つ児童も共同体の一員として学習に参加できるようにしながら 学習を進める。そして,協同学習を通じて,障害児と健常児の「共に学ぶ」 学習環境づくりをもねらう。. 本研究では,小学校6年生103名を対象に行なった実践を通して得た知見 を基に「総合的な学習の時間」の授業の在り方について1つの指針を示す。 以下,本論文の概要と構成を述べる。. 一1一.

(7) 第1章「『生きるカ』と『総合的な学習』」では,第15期中央教育審議会答申で 示された「生きるカ」の育成をもとに新学習指導要領で新たに新設される「総合. 的な学習時間」の学習指導の方向性について考察し,本研究での目的を示 す。. 第2章「題材としてのやさしい町づくりの提案」では,やさいい町づくりの提案. が持つ教育的価値を「総合的な学習の時間」のねらいに照らし合わせながら 考察する。. 第3章「やさしい町づくりを題材とした単元構想」では子ども達の問題発見に. 視点を置き,3つの段階的なステップを取り入れた単元の全体像を示す。さら. に,学年で行なう協同作業を支える学習環境,本実践授業の評価の考え方に ついても触れる。. 第4章「やさしい町づくりを題材とした授業実践」では,まず,開発した単元構 成にしたがって実際の学習の様子を示す。次に,「問題発見」「統合教育」に視. 点を置いて,GTA日記,グループ遡絡帳,修学旅行記,発表原稿発表資料 などを基に授業を分析し,開発した単元について考察を行なう。. 第5章「小学校総合的な学習の時間の授業の在り方についての考察」では, 「教師の支援」「統合教育」「学習の評価」「発表の場」「単元開発」の5つの視点. から「総合的な学習の時間」の単元開発を行なう際の1つの指針を述べ,本研 究をまとめる。. 一2一.

(8) 第1章「生きる力」と「総合的な学習の時 間」. 子ども達を取り巻く世界は高度1青報通信化,少子高齢化,深刻な環境問題など 激しく変化している。その中で,学校現場においても「いじめ・不登校・学級崩 壊」など深刻な問題が起こっている[文部省19963。. そうした中,文部省は1998(平成10)年12.月14目小,中学校の新学習指導 要領を公示した(以下,新学習指導要領とする)。今回の学習指導要領改訂の 大きな目玉の1つは,「総合的な学習の時間」の新設である。そして,この時間 は,子ども達に,「生きるカ」を育むことを前面に押し出してきた新教育課程のね. らいを実現する上で重要な役割を担うものと考えられる・第1章では・この「生き るカ」の育成と「総合的な学習の時間」の関係について考察するとともに,「総合 的な学習の時間」と統合教育との関係についても考察を加える。. 1.1「生きる力」と「総合的な学習の時間」 「生きる力」は第15期中央教育審議会(平成8年7.月19日)第一次答申「21世. 紀を展望したわが国の教育のあり方について」の中で,これからの学校教育の 目指す方向として示されたものであり,一連の教育改革のキーワードになって いるものである。そして,この中では「生きるカ」として次の3つを挙げている。. ①「自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよ く問題を解決する能力」. ②「自らを律しつつ,他者とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心など 豊かな人間性」 ③「たくましく生きるための健康や体力」. 一3一.

(9) ①っ目は「自分で,自ら,主体的に」と主体性に関する言葉が何度も使われて おり,このことは,来るべき変化の激しい21世紀を生きる子ども達に,主体的に 生きるカを育てたいという願いの表われと考えられる。②つ目は「他者の立場を 考え思いやったり理解したり」「自己中心的にならず考え行動する」「他者と協調. する」という主体性を重んじる中で「自分さえよければ」という個人主義利己主. 義が生じる危険性を除く意味でもまた,社会の中で起こる課題は個人の能力や 努力だけでは解決できない問題が多いということを考えてのことだといえる。③ つ目は①②の「生きるカ」のベースとなるのは,何よりも生きようとするたくましさ と健;康の重要性を表したものと考えられる[村川・小林1999]。. 中央教育審議会[1996]は,以上のような資質や能力を,変化の激しいこれか らの社会を「生きるカ」と称することとし,これらをバランスよく育んでいくことが重 要であるとしている。. 中央教育審議会の答申を受け,教育課程審議会答申[1998]において,「総 合的な学習の時間」の創設が打ち出され,その創設の趣旨を次のように述べて いる。. 「「総合的な学習の時間」を創設する趣旨は,各学校が地域や学校の実態等. に応じて創意工夫を生かして特色ある教育活動を展開できる時間を確保する ことである。また,自ら学び自ら考えるカなどの「生きる力」は全人的な力であ. ることを踏まえ,国際化やト情報化をはじめ社会の変化に主体的に対応できる. 資質や能力育成するために教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習をより 円滑に実施するための時間を確保することである。我々は,この時間が,自ら. 学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむことを目指す今回の教育課程 の基準の改善の趣旨を実現する極めて重要な役割を担うものと考えている。」 [二野階,1998d]。. これら,「総合的な学習の時間」創設の趣旨をみると,「総合的な学習の時間」. 一4一.

(10) は中央教育審議会答申で示された,「生きるカ」の育成を具現化するために創 設されたものといえる。. 次に文部省が新学習指導要領によって示した「総合的な学習の時間」のねら いを詳しく見ていく。. 新学習指導要領には「総合的な学習の時間」ねらいとして,以下の2つが示さ れている[文部省1998a]。 ①自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりょく問題を. 解決する資質や能力を育てること。. ②学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的, 創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにす ること。. また,「総合的な学習の時間」の学習活動を行なうに当たって配慮することとし て,「(1)自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調. 査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習 を積極的に取り入れること。(2)グループ学習や異年齢集団による学習などの. 多様な学習形態,地域の人々の協力を得つつ全教師が一体となって指導に当 たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活動について工夫す ること。(3)国際哩解に関する学習の一環としての外国語会話等を行なうときに. は,学校の実態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに 慣れ親しんだりすることなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行なわれ るようにすること」[文部省,1998a]。の3点が示されている。. こうした,ねらいや配慮事項を見ていくと,各学校で独自なカリキュラム開発を. 行い,横断的・総合的な学習や子どもの興味・感心に基づく学習活動を推進す ることで,「自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりょく問. 題を解決する資質や能力を育てること」ことが重要になると考えられる。. そして,子ども達の自己学習能力や問題解決能力を直接に磨き合う場所が,. 一5一.

(11) 「総合的な学習の時間」であり,それは,教科の枠を超えた子ども達の追究活動 の時間であると考えられる。また,この「総合的な学習の時間」の活動を通して,. 情報の集め方,調べ方,まとめ方,報告や発表,討論の仕方など学び方やもの の考え方を身につけることが期待されている。さらに,問題の解決や探究活動 に主体的,創造的に取り組む態度を育成すること,自己の生き方についての自 覚を深めることも,ねらいの1つに数えられている。. こうした,追究活動を推し進める中で、各教科ですでに習得された知識や技能 が,相互に関連付けられて,有機的にむすびつけられて,深められていき,子 ども達に問題解決能力や自己学習能力を培っていくことが「総合的な学習の時 間」のねらいを達成することに繋がり,しいては中央教育審議会答申で示された 「生きるカ」の育成に繋がっていくものと考える。. 1.2「総合的な学習の時間」と「統合教育」 伝統的に特殊教育は、健常児とは別の空間で行われてきた。こうした障害 児と健常児を分け、別の空間で教育を授けるという形態は、分離教育と呼ば れている。. この分離教育に対して、今日では障害児と健常児が同じ空間で教育を受け るという形態が徐々に普及しつつある。このような教育形態は、欧米におい てはインテグレーション(integration)やインクルージョン(inclusion) と呼ばれ、わが国では交流教育や統合教育と呼ばれている。. 統合教育は,主に先進資本主義国と呼ばれる国々で普及しつつあるが,統 合教育に移行することによって新たに生ずる問題も指摘されている。またピ ールとマイヤー[1992]は,障害児が通常学級に在籍していても,教科活動 においては無視されている状況があることを調査により報告している。. 本来,教育が本質的に断書児も健常児も生き生きした学校生活を送るため には,現在の教科教育の在り方事態を変換しない限り難しい。なぜならば,. 一6一.

(12) 教科教育の中には教科の目標が存在し,「できること,わかること」といっ た棚1」的追求,つまり,能力主義的な本質が存在するからである。この個別 的能力主義的な本質が存在する限り,健常児の中に障害児が入ったところで,. それは場の共有の域を脱しきれないと考える。堀[1998]は,この問題を解 決するためには,近代学校のあり方自体を根本的から問い直す必要があると 述べている。しかし,私は現実の問題として,一度にこの大きな課題を解決 することは不可能と考える。. そこで,新学習指導要領により新しく設置される「総合的な学習の時間」. は,従来の教科教育のように親学問からの系統性に縛られることなく,その ねらいと時間の確保だけが示されたものであり,この時間を上手く活用する ことができれば,能力主義的な本質から生じる統合教育における教科教育の 問題点を克服する糸口になると考える。. 障害児の立場に身を置いて見ると,普通学級は「教育の場」である以前に 「生活の場」としてとらえることができる。生活の場であるなら,どの子も. 一緒に参加するのが当然である。このことは,様々な条件の人々が一緒に生. 活するのがノーマライゼーションを実現する社会だという思想と同一のも のと考えられる。しかしながら,普通学級においては,「できない,できる」 「上手,下手」ということが潮【Jの対象となる場合がある。例えば,漢字が. 書けないとか運動が下手という場合,それだけで差別されかねない状況があ る。こういつた関係が教室の中にあるとき,障害児と健常児が同じ学級の中 に居たところで,そのような学級はノーマライゼーションとは正反対の学級 である。. 統合教育を考えていく場合,このような「できる,できない」「上毛下手」. の部分を理由に,人格全体を不当に低く評価されたり,差別されたりする関. 係がある暁こうした否定的な関係を,まず克服することが何よりも必要で あると考える。そして,普通学級は生活の場であると同時に,現在の教科教. 一7一.

(13) 育の枠では,能力による潮IJの原理で成り立っている部分があるということ を教師は忘れてはならい。. そして,こういつた問題を克服するため全国で色々な取り組みが行なわれ ているが,堀[1998]は仲間づくりの関係としては,数々の成果を上げた実 践例は見うけられるが,それらには,いじめや潮rJの問題を乗り越えられな かったり,教師が障害児を抱かえ込む形になってしまったり,道徳的な思い 込みのため子どもが副担任のようになってしまい,自然な思いが疎外されて いたりするなど,たくさんの問題点があるとし,仲間づくりの問題に比べ, 「共に学ぶ」授業はまだまだ遅れていることを指摘している。. このことは,分離教育から交流教育,統合教育など,障害児と健常児が共 に学ぶ場づくりがかなり行われてきたが,現在の状況を見つめると結局は,. 場の統合の範囲を脱することができず,ノーマライゼーションの考え方に即 した本質的な統合教育の実現には,まだまだ多くの問題が残されていること. を指摘したものであり,学習活動の中で,「共に学ぶ」授業を作り出してい くことが,統合教育をより質の高いものにしていくための重要な次のステッ プになると考えられる。そして,この健常児と障害児が「共に学ぶ」という. 授業を作り出していくことは,何も障害児のためだけのものではなく,健常. 児の立場からしても,中央教育審議会答申が示した「生きるカ」の3本柱の うちの1つである「豊かな人間性」育成に繋がるものであり,その中で培わ れる,「他者との協調,他者への思いやり」つまり,人と人とのあり方,人. 間関係,共に生きるという資質は,21世紀の社会を生きていく子ども達に 学校教育の中で育てていかねばならない,人間として最も重要なものである と考える。. そこで,本研究では,児童の問題発見の視点から「総合的な学習の時間」を. とらえ直し,普通学級に在籍する脳性麻痺の障害を持つ児童の表現活動を保 障しながら「やさしい町づくりの提案」を題材として「総合的な学習の時間」の単. 一8一.

(14) 元開発を行なう。そして,その実践を通して「総合的な学習の時間」の単元開発 についての知見を得るとともに,統合教育としての「総合的な学習の時間」の在 り方についての知見を得ることを目的とする。. 一9一.

(15) 第2章r総合的な学習の時間」と 「やさしい町づくりの提案」. 第2章では,本研究における実践の題材として選んだ「やさしい町づくりの提 案」について,「総合的な学習の時間」の題材としての教育的要素について考 察する。. 2.1本研究で育てたい南 本研究では,まず第1に「総合的な学習の時間」において課題解決的な学習 を経験する中で,「知る九「創るカ」「表すカ」「考える力」という実践技能を育. てていくことであり,最終的には学習を通して自分の学習を振り返る中で,自 分に自信を持ち,自分が好きになる子どもにしていくことである。. また,通常学級に在籍している脳性麻痺障害を持つ児童との協同学習を. 可能にし,障害を持つ児童との協同学習を経験する中で,健常児部轄児 が共に学ぶ学習環境づくりをもねらうものである。. 2.2題材としての「やさしい町づくりの提案」 新学習指導要領[1998]に例示された「総合的な学習の時間」の学習課題は,. 国際理解,情報,環境,福祉,健康などの横断的・総合的な課題,児童の興 味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題である。今回の実践 で子ども達に身に付けさせたい力としては,2,1に示したように,学習活動を 通して問題解決能力を養うことと,普通学級に在籍する障害を持つ児童との共 に学ぶ学習環境づくりである。. 問題解決能力育成の視点から考えると,新学習指導要領で例示された課題 の内,子ども達の興味関心を基に課題を設定していく方法が考えられるが,今 回のもうひとつの大きなねらいである,障害を持つ児童との協同学習の中で,. 一10一.

(16) 日頃,教科の学習の中ではお客さん的にしか参加できない児童も協同学習の 一員として学習に参加でき,それらの学習活動を通して,健常児と障害児が共 に学ぶ学習環境をつくっていくというねらいを達成するために,「やさしい町づ くりの提案」を題材に設定する。. 「やさしい町づくりの提案」と一言でいっても,やさしい町の対象が何なのか. によって題材の持つ意味は大きく変わる。自然,川,障害者,老人,空気など 何に対しての「やさしい町づくり」なのかによって,課題となることも変わり,そ. の学習内容も大きく変わってくる。「総合的な学習の時間」の題材としては,対 象を規定せず,広く大きな意味を持った「やさしい町づくりの提案」をそのまま. 子ども達に与え,子ども達の興味関心により,その対象を決め課題を見つけ学 習を進めていくということも考えられる。その方が,自ら課題を見付け自ら学び,. 自ら考え,主体的に判断し,よりょく問題を解決する資質や能力を育てるという 「総合的な学習の時間」のねらいからするとより適した題材になるとも考えられ る。. しかし,題材の持つ意味が広くなると,個人あるいはグループの活動がより 個別的になり,最終的に「やさしい町づくりの提案」という形でひとつにまとめ ても課題の共有が難しく,学習の深まりが期待できにくくなるとも考えることが. できる。つまり,問題解決能力が十分身に付いていない小学生の児童に,自ら 課題を見つけ,自ら考え問題を解決するカをつけるという点から考えると,対 象自体をある程度絞った形で子ども達に与えた方が,より学習が焦点化され,. 結果的に「総合的な学習の時間」の大きなねらいである,問題解決能力育成の 立場からすると課題を絞った方がよいと考えたわけである。 そこで,ここで述べる「やさいし町づくり」は,その対象を,障害者,老人など 弱者にとってやさしい町づくりとし,バリアフリーな町づくりを目指していく「やさ. しい町づくりの提案」というように「やさしい町づくり」の意味自体を絞った形で の題材とする。. 一11一.

(17) こうすることで,子ども達は弱者の立場で自分達の町を見直し,その問題を発. 見し改善案を提案する活動を通して,弱者の立場で社会を見る目が育ち,そ のことが弱者の立場で物事を考える思いやりの心の育成に繋がっていくと考 える。また,脳性麻痺の障害を持つ児童にとっても,「やさしい町づくり」の対象. を,障害者,老人など弱者にとっての「やさしい町づくり」と意味を絞った形で. 題材を設定することで,自らの生活の中での問題点が学習の問題点となり,調 べ活動に積極的に参加できやすくなると考える。. 2.3「やさしい町づくりの提案」がもつ教育的要素 「やさい町づくりの提案」のひとつの教育的要素として,「提案」ということに視. 点を置けば,知の総合化が上げられる。ひとつのことを「提案」する活動の中 に含まれる,調べる,まとめる,発表するという一連の活動を行なっていくため. には実践的な技能が要求される。調べる活動の中には,まず観察力や記録力 が要求される。また,調べる内容によっては,情報を集めるカ,インタービュー. するカなども要求される。まとめる活動の中ではレポートや発表資料の制作や. メディア作品の制作などの作品制作力が要求される。発表する活動の中には スピーチやディベートなどコミニュケーション能力が要求されるというように,調. べる,まとめる,発表するという一連の活動に含まれる学習を行う中で,子ども. 達はこれまで身に付けてきた様々な力を相互に関係づけながら発揮すると考 えられる[田中1999]。そうした一連の活動を経験ずる中で,知の総合化が図 られていくということである。. また,「やさしい脂づくりの提案」という大きな題材はあるが,提案するために. は自分達の町にはどんな問題があり,それをどう解決していけば良いかを考 えなければならない。こうした問題を発見し改善案を提案する活動は子ども達 にとってまさしく問題解決的活動であり,「総合的な学習の時間」のねらいであ る,問題解決能力を育成するということも教育的要素として上げられる。. 一12一.

(18) 次に,「やさしい町づくり」ということ(今回の場合は,障害者,老人など弱者の. 立場に立った町づくり)から考えると,このことは,社会の要請として示されてい. る,少子高齢化杜会への対応がひとつの教育的要素として考えられる。. 教育課程審議会答申(少子高齢社会への対応等)[1998c]では,「高齢化が. 急速に発展し,少子化の進行もあいまって,少子高齢化の社会が現実のもの となっていることを考えるとき,これからの社会で生きていく幼児,児童,生徒. に,その発達段階に応じて,少子高齢社会についての理解を深め,男女が協 力して,子どもを産み育て,高齢者のために主体的に行動し実践する態度を 育成するとともに,他者を尊重する態度や尊敬する気持ち,他人を思いやる気 持ちや共に生きていくという考え方をはぐくむことは極めて大切である。」と述 べてある。. 弱者の立場で社会を見直し,改善案を提案していくという「やさしい町づくり. の提案」を題材とした学習は,当然,自分達の町の問題点を弱者の立場に立 って見直していくという調べ活動が行なわれ,その中で発見した問題を解決 するための方法を考えて提案ずるものである。そう考えると,子ども達はまず,. 体験活動や調べ活動の中で自分とは違う弱者の立場に見をおいて社会を見 つめ直すわけである。こういつた学習活動は,上述の教育課程審議会答申(少. 子高齢社会への対応等)の中で述べられている,他人を思いやる気持ちや共 に生きていくという考え方を育むことを具現化する教育活動のひとつであると 考えることができる。そして,このことは,中教審がうたう「生きる力」の中で学力. の要素として取り上げられた「豊かな人間性」育成につながるものであり,ここ. に「やさしい町づくりの提案」を題材とすることの2丁目の大きな教育的価値が みいだせる。. 一重3一.

(19) 第3章「やさしい畑づくりの提案」を題材と した単元構想 第3章では,子ども達の問題発見に視点を置き「総合的な学習の時間」の単 元開発について考察し,「やさしい町づくりの提案」を題材とした「総合的な学. 習の時間」の1つの単元構想の考え方を,大きく3っのステップに分かれた学 習の流れで示していく。. 3.1単元の全体構想 3.1.1「総合的な学習の時間」の先行実践の課題 1998年12月に新学習指導要領が告示され,いよいよ2000年から試行に入 る。総合的な学習の実践においては,先進校をはじめ,日本の各地で様々な 実践が行われている[村川1997]。 しかし,これまでの実践例を通し,山極[1998]は,よく見られる「総合的な学. 習の時間」の実践は,子ども中心主義の甘やかし的,何でもあり的「総合的な 学習の時間」が圧倒的に多く,必要以上に子どもの課題選択を強調したり,子 ども迎合的で,単なる表面的な楽しさを求めているだけのものが多いと,現在. 行なわれている「総合的な学習の時間」の実践例での基礎的素養育成の視点 の欠落を指摘し,この時間の学習を通してどのようなスキルズを子ども達に身 に付けさせるかを教師自身が明確に持つことの重要性を述べている。 このことは,「総合的な学習の時間」の「生きるカの育成」「方法知,自分知の. 獲得」「知の総合化」という3つのねらいを達成するためには,単なるはい回る 体験活動や,子どもにとって楽しい活動だけをおこなっていればよいというも のではなく,教師は「総合的な学習の時間」の単元を組むに当たり,この時間. において子ども達に身に付けさせたい基礎的素養を明確に持ち,ただ単に,. 一14一.

(20) 子ども達の興味がわきそうな,色々な体験活動を取り入れるというのではなく,. その単元の学習活動を通して,子ども達に身に付けさせたい基礎的素養(問 題解決能力,情報活用能力,表現力,コミュニケーション能力,意思決定能力,. 判断力,創作能力など)を明確に意識して単元を構成する必要があり,そうし. することによってはじめて,新学習指導要領に示された「総合的な学習の時 間」のねらいが達成できるものと考えらる。. 3.1.2子ども達の問題発見 新学習指導要領に示されている,「総合的な学習の時間」の大きなねらいのひ とつは,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりょく問題 を解決する資質や能力を育てること。つまり,問題解決能力の育成である。. 小学校では,「総合的な学習の時間」の野牛105時間から110時間が準備さ れることになつり,学び方の育成を図る場面が,時間的にはかなり保障されたと いえる。. しかし,木原[1998]は,子ども達は問題を与えられていることに慣れすぎて いる。彼らに問題を見つけさせるためのきっかけを,教師サイドで用意しなけれ. ばならないと,問題解決能力育成に置ける問題発見場面の重要性を指摘して いる。時間を与え,自由に体験なり活動なりをさせていれば子ども達は問題を 発見するのではなく,教師が何らかの手立てをしていかなければ,問題を与え られていることになれている子ども達は,問題を上手く発見できず,そうなれば,. 問題解決能力を育成すること,つまり学び方の育成にはつながらないと考えら れる。. そこで,これまでの教育現場での経験から子ども達の問題発見のプロセスを 次のように考えた。子ども達は,体験を行なえば,その中で何らかの発見をする。. しかし,これは問題発見というレベルのものではなく,その場の思いつきであっ たり,感じることであったりする。つまり,何らかの体験をすれば,子ども達は焦. 一15一.

(21) 「体験活動」. 罎 現状の認識 差異の認識 (問題発見). 問題解決活動 図3−1−1子ども達の問題発見の概念図 点化されてはいないが問題を発見できると考える。しかし,その焦点化されてい. ない問題発見は,このままでは問題の解決への見通しが持てないものであり, 本当の意味での問題発見とはいえない。つまり,子ども達の思いつきや,感じ たことが焦点化され,絞られた形での問題となった時,初めて子ども達が問題を 発見したことになると考える。そのためには,子ども達の思いつきいや感じたこ とを焦点化させるための手立てが必要となる。それには,感じたことや思ったこ とと比較できる何かを体験活動の中で発見できるようにすることが大切であり,. そうした体験活動を取り入れていけば,子ども達が,それらを比べる中で差異に 気付き,問題を焦点化させることができていくと考える。(図3−1−1). つまり,子ども達に本当の意味での問題発見をさせる手立てとして,比較対象. を明確にさせるという視点に立ち,体験活動の中で現状の認識,目標の認識を おこなえるようにし,それらを比べる中で問題発見をおこない,その問題を掴ん だ上で問題解決活動に入っていけることを意識して,単元を考えていくことにす る。. 一16一.

(22) 3.1.3単元全体の考え方 心のバリアフリー. やさしい町づくりの提案 @. (問題解決) 違うレベル i比較対象). ギャップを感じる @(問題発見). 人間の尊厳性の尊重 自分達の町のレベル 激xル(物の考え方). @(視点の確立). 物理的レベル i施設,設備). 図3−1−2題材「やさしい町づくりの提案」における問題発見のイメージ図. 「やさしい町づくりの提案」を題材とした総合的な学習の時間の事例研究は数 多く報告されてる[水越・村川1998]。それらの多くは車椅子体験,アイマスク体. 験など様々な体験法曽の中で障害者の視点に立ち町を見直して問題を発見し 改善策を提案するものである。F. しかし,これまでの教職経験から考えると,子ども達は,車椅子体験などをして. も,自分が体験した範囲内では問題を発見できるが,限られたことにしか目がい かない。また,「車椅子が来ると段差がなくなり,通りすぎると元に戻るような教室. の入り口があればいい。」等,現実からかけ離れたようなことを考えるというよう. な課題が見受けられた。こういつた問題は,障害者の立場になる体験が自分の まわりのレベルでの体験に終わっていて,小学生の子ども達にとって,そのこと だけを基に町の改善案を考え,提案するという活動には無理があり,そのことが 大きな原因ではないかと考える。. 一17一.

(23) つまり,障害者の立場に立つ視点の確立に加え,比較対象が明確になったと ころにギャップが生じてこそ,初めて問題発見ができ,小学生段階の子ども達に. とっては,比較対象を参考にしながら問題点を見なおし,明確になった比較対 象を参考にしながら,やさしい町づくりの改善案を提案していけると考えたわけ である。(図3−1−2). また,こういつた学習を経験する中で,比較しながら物事を見直し,考えるとい う問題発見をするためのひとつの方法を身に付けていくことができると考える。. そして,小学生段階でこういつた問題解決の重要な部分である問題発見のス キルを身に付けることは問題解決能力を育てる上でも重要であると考える。. 3.1.43つのステップを踏む単元の構想. 単元の構造. テーマを決める。. ステップ1. 体験活動 視点の確立 比較対象の明確化 ステップ2. 問題発見. ステップ3. 図3−1−3ステップ①②の概念図 実践学年には,普通学級に在籍し脳性麻痺の障害をもつY児が居るのでス テップ①での最初の俸験活動として,修学旅行での調べ活動を取り入れた。. ここでの視点は,Y児と一緒に行動する中で,障害を持つ人の視点で町を見. 一18一.

(24) るということと,バリアフリーの環境の整った町(国際都市奈良,鳥羽水族館等). を見る中で,自分達の町を見直す時の比較対象を明確にすることである。そし. て,第2の体験活動として,自分の視点で自分達の町を見直す活動を取り入 れる。このことにより,2つの体験活動を通して,子ども達はその違い(差異)を 認め,ステップ②として問題発見ができていくと考えた。(図3−1−3). その後,ステップ③では,ステップ②で見つけた問題の改善案を考え,まとめ ていく。この活動は,非同期でネットワーク環境を利用しながら,コンピューター. を使ってまとめていくという形を取る。そして,地域の方を招いての発表会とWe. bページによる発信という2種類の発表の場を持ち,自分達の考えた改善案を 提案して聞いてもらえるようにする。2種類の発表の場を設けた理由は,よりたく. さんの方からの反応(感想や意見)をもらう中で,子ども達は自分達が行ってき た学習を振り返り,「やさしい町づくり」について改めて考え直すことができると 考えたからである。(図3−1−4). ステップ3. 「改善案作成」. 弱者の立場で社会を見る目の確立 心のバリアフリーへ(統合教育のベース). 図3−1−4ステップ③の概念劃. 一19一.

(25) 3.2ネットワークを利用した協同作業 3.2.1非同期による協同作業 次に,ステップ③で行なう非同期による学習の仕方について述べる。 クラスが違う(3クラス)児童がグループを作り,ひとつの提案資料を作るという協 同作業を可能にする方法として,ネットワーク環境を利用することにした。. ネットワーク環境を利用した学習を組むことにより,学年に在籍する,脳1生麻痺. の障害を持つY児の表現活動も保障でき,教室での一斉学習では,お客さん的 にしか参加できないという現実の問題を解決できる。. 次に,具体的に非同期の協同作業の進め方について述べる。. 図3−2−1は,1組4名,2組6名,3組2名のグループができたと仮定した時の イメージ図である。パソコンを使うペアーは2名とし,グループ内での役割はペ アー単位で行う。そして,それぞれのペアーごとにプレゼン資料,発表原稿を 作成し,この場合であれば,6ペアーの作品をひとつにまとめ,グルーフ.の発 表資料とする。同じクラスのペアーは同期で作業を行うが,違うクラスのペアー. 改善案作成 @(非同期. 図書館グループ. 原稿と資料を協同で作成. 1組(4人). 3組(2人). 2組(6人). イ こ二 じ こ二. カじ. 階段. じじ じ じ. @じ じ. スロ. [プ. トイレ 机. 本棚. @玄関. 電子メール・グループ連絡帳で連絡をとりながら協同作業 図3−2−1非同期での’協同作業のイメージ図. 一20一.

(26) とは非同期で作業を行うので,作業の連絡は,グループ連絡ノートと電子メール を利用し,作業の進み具合を連絡しながら作業を進めさせるようにする。. そして,最終的には全てのグループの作品をひとつにまとめて,学年の「GT A(グレート・タウン・アボシ)プロジェクト(案)」として発表できるようにする。. 3.2.2非同期の協同作業を支える学習環境. 図3−2−2は実践校のパソコン教室である。WINDOWS NTサーバーに 先生機児童機を含め21台のクライアント機プリンター,スキャナーが教室. 内LANで結ばれている。. 図3−2−2実践絞のパソコン教室 また,先生機はプロジェクターに繋がっており,先生機の画面は正面のスクリ ーンに映し出せるようになっている。. クライアント機(先生機児童機)のOSは全てWINDOWS98である。写真 でも分かるように,教室の中央には作業机が4個あり,ひとつの机に8名が座 れるようになっており,連絡ノートを書いたり読んだりする等,コンピュータを使. わない作業は,作業机を利用することができる。また,今回,脳1生麻痺の障害. 一21一.

(27) を持つY児が使う機械には,マウスの変わりにトラックボールを使えるように配 慮されている。. 3.3学習の評価 新学習指導要領には,「総合的な学習の時間」の学習の評価について具体 的な記述はないが,「総則の第5指導計画の作成等に当たって配慮するべき 下階」の中に,「(10)児童のよい点や進歩の状況などを積極的に言『価するとと. もに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に活か すようにすること。」[文部省1998b]と示してある。. このことは,「総合的な学習の時間」だけではなく,各教科や道徳,特別活動. など学校での教育活動全てにおいて,積極的に評価活動を行うとともに,これ. まで行われてきた,教科の試験による数値化する評価だけではなく,学習の 過程においても評価を行う。つまり,これまでの学習評価の新しい斜面の考え 方を取り入れていくことが大切であることを強調したものと考えれられる。すな わち,「総合的な学習の時間」は言斗価を行わなくてもよいということではなく,. 「総合的な学習の時間」のねらい,「問題解決能力の育成」,「学び方,ものの 考え方,自分の生き方について考える」「知の総合化」を図ることを考えると,よ. り積極的に学習の過程における,新しい評価を取り入れていくことが大切にな る。. そこで,本単元での学習の評価としては,次のようにして行なうことにする。. 子ども達に毎時間終了後,GTAプロジェクト日記を書かせ, GTAつづりに 綴らせていく。教師は,もちろん子ども達の日記に目を通し,学習の励まし,助 言として,その都度,コメントを返していく。そして,このGTAつづりには,日. 記だけでなく,学習発表会後の感想,発表会についての反応なども学習の足 跡が残るように綴らせる。そして,このGTAつづりは,いつも子ども達が持つ ようにし,学習の途中でも自分達の学習を振り返れるようにする。また,日記の. 一22一.

(28) 中で友達への評価(他者評価)等が見られた場合には,プラスの他者評価の 場合のみ,クラス全員の前で担任から本人へ伝えるようにする。 つまり,教師が毎時問,子ども達へ日記へのコメントを返すことを教師からの. 評価とし,GTA日記を書き, GTAつづりを振り返ることで自己評価を行えるよ うにするわけである。そして,相互評価については,グループ強熱帳,日記な どで友達のプラス的な面が出てきた時に全体の場で紹介することにより,個人 へ返すこととする。本来,相互評価についても日記だけではなく,新しい評価 を考え,取り入れる必要があると思われるが,本実践の目的が評価をメインに することではないことと,あれもこれも行うと,評価のために子ども達の活動時. 間がさかれたり,活動が評価のための活動になり,活動そのものが停滞したり. することも考えられる。そこで,本実践での評価は,GTAつづりに綴ったもの を振り返る中で行う,自己評価を本実践の評価の中心とする。(図3−3−1). 学習の評価 r。GTAつづ瞬を使った評鰯. 発表会の反旛・→. GTAつづり. 下馬の振り返り 図3−3−1学習の評価のイメージ図. 一23一. WEBページへの 反応.

(29) 第4章「やさしい町づくりの提案」を題材 とした授業実践 第4章では,第3章で示した単元構想をもとに開発した「GTA(グレート・タ ウン・アボシ)プロジェクト案を提案しよう」の授業実践について,実際の授業. の様子を具体的に示す。次に,児童の日記,グループ連絡帳,生活日記を 基に,本単元の学習が児童にもたらせた変容を述べる。そして,これらを基 に,実践を考察し得られたことをまとめる。. 4.1授業実践の様子 実践は平成11年5,月から7月にかけてH県A小学校において,小学校6年 生103名を対象に行った。ここでは,単元の全体構想を示し,それにしたが って,授業の様子を具体的に示す。. 4.1.1単元の全体計画 (1)単元名. 一「GTA(グレート・タウン・アボシ)プロジェクト(案)」を提案しよう一 (2)単元のねらい. ・ネットワーク環境を利用し,学級の枠を越えた友達と協力しながら「GTAプ ロジェクト(案)」を作成する活動を通して,お互いに尊重しあい,お互いのよ さを認めていこうとする態度を養う。. ・網干の町,修学旅行で訪れる奈良・伊勢・鳥羽の町のやさしさの工夫や問 題点を調べ,調べたことをまとめて,地域の人達の前で表現する活動を通し て,弱者の視点に立ち社会を見る思いやりの心潅育成する。.

(30) (3)指導計画(全16時間+修学旅行). 麹二叉麟灘粋購. ;囎購購1糠灘. 「網干の町を,やさしく,暮しやす. 「改造計画案を作ろう」. い町にするにはどうすればよいか を考える。」. ・資料作り. (車椅子体験,人権ルーム). ・原稿作り. 十. ・発表練習 「グループ作り」. グループを確認したあと各ク. 鱗1灘曝醗醗灘. ラス分かれ所属を決める。. 「みんなで作った改造計画案を 地域の人に聞いてもらおう。」. (自冶会長,網干出身の市会議. 「グループ顔合わせ」. 員さん). グループで顔合わせを行な い,修学旅行先で調べる計画 を立てる。. 鯉…灘鶉難欝. 「GTAプロジェクト案をWebで発. 「網干以外の町のやさしさや暮. 信しよう。」. らしやすさを見つけよう。」. 修学旅行先でやさしさの工夫. 発表資料と原稿を修正し,Web. を見つける。. ページとして発信する。 ↓. 「網干の町の問題点を見つけよう。」. グループごとに地域を調べ,問題点を発 見する。. 一25一.

(31) 第1次「やさしい町について話し合おう。」……・・…・….・・1時間. 第2次「グループ作り」・・…・…・…・…・・………・・… 1時間. 第3次「グループ顔合わせ及び役割分担①」…・…・……. 1時間. 第4次「修学旅行先の町,網干の町調べ及び役割分担②」・・修+2時間 第5次「GTAプロジェクト(案)を作ろう。」……・・………. 7時間. 第6次「GTAプロジェクト(案)を発表しよう。」・…・・…・…. 2時間. 第7次「GTAプロジェクト(案)を発信しよう。」………・…. 2時間. (4)授業の対象. H県A小学校第6学年3クラス103名. 4.1.2第1次の学習 (1)第1次「やさしい町について話し合おう」/1999年5月12日 【学習のねらい】. 「やさしい町」について学年で話し合い,自分達の「網干の町」が障害を持. つ人や老人など弱者にとってやさしい町になるための提案を学年全員で考 え,まとめるという単元の全体像をつかむ。. 【学習の様子】. 第2音楽室に6年生3クラス全員が集まり,5年生で行った車椅子体験の振 り返りから学習が始まった。「入り口の段差が困った。」「机の高さが合わなか った。」「階段の上り下りが大変だった。」「トイレへ行くのに困った。」など体. 験を思い出して困るつたこと,大変だったことの意見が出された。子ども達か. ら出されたのは,車椅子体験が学校生活での体験だったので,やはり出さ れた意見は,学校内での問題点ばかりであった。その後,「網干の町をやさ しい町にするにはどうすればいい?」と聞くと,「段差をなくす。」「エレベー. 一26一.

(32) ターをつける。」. 「道を広くして歩道を広げる。止いう意見が出され,話し合いは「網干の町の どこを変えていけばいいか?」という内容へ進んでいった。 その後,「駅」「道路」「図書館」など網干の町の工夫がいる場所が具体的に. 上げられ,ワークシート(参考資料8)に自分の考えを書き学習を終わった。. ワークシートの内容を担任と私の4・名で検討し,次の7つのカテゴリーに分 類した。「山電網干駅に関すること」「お店に関すること」「網干図書館に関す ること」「歩道橋に関すること」「交通機関に関すること」「道路・信号に関する こと」「人に関すること」(図4−1−1). そして,これをグループづくりの基とした。. 網干図書館. 信号・道路. 交通機関. やさしい 公園. 網干の町. 山電網干駅. 児童の考え. 児童の考え. 図4−1−1グループづくりのイメージ図. 一27一. 児童の考え.

(33) 4.1.3第2次の学習 (1)「グループ作り」/1999年5月17日. 【学習のねらい】. 「やさしい町にするための提案」をするため,自分が調べたいと思う場所を 考え,所属するグループを決めことができる。. 【学習の様子】. 教師は,子ども達の考えたことを基に7っのカテゴリーに分けグループを 作ろうと考えたが,いくら子ども達のワークシートに書かれたものを基にした とはいえ,分けたのは教師である。これからの学習を考えていくと,子ども達. の学習意欲を左右する上でもグループづくりは慎重に行う必要があると考 え,所属を決める前に,「グループは7つでいいか?」と子ども達に確認す る時間を取った。 その結果,新たに「神社,寺」「市民センター」「公園」「家,住居」「学校」が. 子ども達から出され,最終的に,子ども達全員で以下の11グループを作る ことに決定した。. ①「山電網干駒②「お店」③「網干図書食官」④「学校」⑤「交通機関」 ⑥「道路・信号・歩道橋」⑦「人」⑧「神社,寺」⑨「市民センター」 ⑩「公園」⑪「家,住居」. この後,クラスに分かれ,子ども達の希望により,11のグループへの所属. を決定し為(図4−1−2) クラスに分かれて所属を決めたのは,子ども達は,6年生ぐらいになるとグ ループを作る時,自分の調べたい(興味・感心がある。)こと,の前に,特に. 一28一.

(34) 仲良しグループのメンバーでいっしょのグループになろうとする傾向が見ら れる。そこで,クラスに戻り,同じ時間にそれぞれのクラスでグループを決定 することとしたわけである。. 1組 ①山電網干駅. ②お店 ③網干図書館 ④学校 ⑤交通機関 ⑥道路・信号・歩道橋 ⑦人のこと. ⑧神社,寺 ⑨市民センター. ⑩公園 ⑪家,住居(マンシ・ン). 4人 4人 2人 4人 2人 4人 2人 2人 2人 4人 2人. 2組 2人 4人 4人 4人 4人 2人 2人 6人 2人 2人 2人. 3組 2人 4人 4人 4人 4人 4人 4人 2人 3人 2人 2人. 図4−1−2グループ構成人数. 4.1.4第3次の学習 (1)「グループ顔合わせ及び役割分担①」/1999年5月19日. 【学習のねらい】. グループで集まり,自分達. のグループの活動計画を考 え,修学旅行での調べ活動 の役割分担を行う。. 【学習の様子】. 体育館に集まり,グループ. の顔合わせ及び修学旅. 図4−1−3修学旅行での調べ活動の打ち合わせ. 一29一.

(35) 行での調べ学習の打ち合わせを行った。修学旅行のしおりを参考に,「デ ジカメ係」「記録係」「聞き取り調査の内容」等を決めた。. 図4−1−3は山電網干駅グループの児童が修学旅行での役割分担を行 っている様子である。このグループには障害を持つY君が所属していたが, トーキングエードでコミュニケーションをとりながら役割について話し合い, グループ連絡i帳にそれをまとめていた。. 4.1.5第4次の学習 (1)「修学旅行先の町調べ」/1999年5月24日,25日. 【学習のねらい】. グループで行った役割分担に従い,修学旅行先でやさしい町の工夫を調 べ,デジカメ,修学旅行記に記録を残し,自分達の町を調べる時の問題発 見の視点を持つ。. 【学習の様子】. (修学旅行第1日目5,月24日). グループに一台ずつデジカメ を持たせ,修学旅行先で見つけ たやさしさの工夫を映像として記 録するようにさせた。また,修学. 旅行のしおりの中に今回の学習 のページを加え,気付いたこと や聞き取りをしたことを記録する 図4−1−4東大寺の木製スロープ. ようにした。第1日目は朝からか なり強い雨が降っており,最悪の天候の中,修学旅行はスタートした。. 一30一.

(36) 雨の中でのY児との見学を通し,木のスロープでは車椅子は滑りやすくて 困ることに気付いていた。(図4 −1−4). また,東大寺にはたくさんの石. 段があったが,Y児が車椅子専 用の通路を利用する中で(図4− 1−5),歴史ある建物にもこうい. った工夫がいることをノートに記 図4−1−5東大寺車椅子専用通路 録していた。. その他,奈良公園,JR奈良駅の障害者用トイレのボタン式ドア,猿沢の池 近くにあるスロープ付き階段などやさしさの工夫を見付け,デジカメに残し ている。(図4−1−6). 修学旅行は,団体行動だった が,東大寺をはじめ文化施設の. 見学をする中で子ども達はY児 の目を通して,奈良の施設の工 夫に目を向け,これまで,自分達. が生活している範囲内では見ら れない工夫を発見し,修学旅行 のしおりに気付いたことを残して. 図4−1−6JR奈良駅障害者用トイレ. いった。. (修学旅行第2日目5,月25日) 2日目の行程は伊勢神宮(内宮)ど鳥羽水族館の見学である。伊勢神宮では,. 玉砂利がひいてあるので,あらかじめ電動車椅子の借用を申し込んでおり,. Y児は電動車椅子を使って,内宮の見学を行った。子ども達は電動車椅子の. 一31一.

(37) 存在を知り,Y児と一緒に行動す る中で,こういつた場所では,普. 段目にしている車椅子では大変 不便であり,電動車椅子があるだ けで,車椅子を利用している人は 大変便利になることに気付いた。 (図4−1−7). 鳥羽水族館は県の条例に適応. 匡聖一1−7{灘『電勇b]車懸=. したバリアフリーの建物であり,ス. ロープ,トイレ,入場ゲートなど数々の工夫がされていた。子ども達がまず触 れたのは,車椅子用の入場エレベータである。. Y児と一緒にエレベーターに乗り,係員さんと一緒に2階にあるエントランス. ルームに入った。(図4−1−8). 図4−1−8エレベータでエントランスホールへ入 る障害を持つY児のグループ. この後,水族館の中では,グループでの瑚1」行動で見学を行った。スロー プの数の多さ,アシカショーの会場も車椅子での移動を考慮したフラットな設. 計になっており,子ども達は水族館の見学の中で,最先端のバリアフリーの 施設を知り,自分達の町を見直す時の比較対象を明確にすることができた。. .32一.

(38) (2)「網干の町調べ」/1999年5月26日. 【学習のねらい】. それぞれのグループに分 かれ,子ども達は網干の町. の問題点発見の地域調べ へ出かけた。. 図4−1−8は図書館グル ープの子ども達が図書館へ 行き,係りの人に障害を持 図4−1−8図書館グループの児童. つ人のための工夫につい て質問しているところである。その中で,椅子に座ってどの辺りまで本が取. れるか確かめたり,貸し出し用の記入机の高さが高すぎるのではないかな どの問題点を発見した。. 図4−1−9は市民セン ターグループの子ども達 が,係りの人に障害者用ト. イレの説明を聞いている ところである。ここでは,. アコーデオン式の扉が付 いていたが,車椅子や手の カが弱いお年よりにはJR奈. 図4−1−9市民センターグループの児童. 良駅で見た自動ボタン式の扉の方が良いのではないか。また,市民センタ. ーには1階にしか障害者用トイレがなかったので,鳥羽水族館では各階に 何ヶ所も障害者用トイレがあったことを思い出し,障害者用トイレの数の問題 にも気付いていた。. 一33一.

(39) (3)「役割分担②」/1999年5月27日. 【学習のねらい】. 自分達の町を調べて見つ けてきた問題点をまとめ,改. 善案作成の大まかな計画を 立て,役割分担を行うことが できる。. 図4−1−10見つけた問題点をまとめる 【学習の様子】. 自分達の町を調べてきたことを報告し合い,ワークシートに問題点をまとめ,. 改善案を考える役割を分担を行った。. 図4−1−10はグループで調べてきた自分達の町の問題点をまとめてい る様子である。次からの学習は,非同期で行うため,どんな内容をどのペア ーが担当するか打ち合わせをし,大まかな役割分担を行った。. 4.1.6第5次の学習 「GTAプロジェクト(案)を作ろう。」/1999年5月28日∼6月28日. 【学習のねらい】. ペアーの人と協力しながら,第4次で行った役割分担に従い電子メール, グループ違絡帳で連絡を取りながら,改善案の資料と発表原稿を作る。. 【学習の様子】. 一34一.

(40) 非同期による,パソコンを使っての改善案作成の学習が始まった。学習は,. 2名のペアーで,第4時. での打ち合わせに基 づいて,改善案提案の ための資料づくりから 始まった。最初,子ども. 達にパソコンへのグル ープごとのログインの 仕方を教えた。. 子ども達は,5年生の. 3学期に在校生代表と. 図4−1−11グループ連絡帳に連絡を書く。. して,パソコンを使って. の「思い出のアルバムづくり」を経験していたので,基本的な操作方法は理 解している。そこで,今回は自分達のペアーが,ネットワークヘログインする 時の名前だけを説明した。. 同じクラスに同じグループのペアーが複数いる場合,例えば「図書館グル ープ①」「図書館グループ②」というように同じグループでもペアーによって. 数字:でログイン名を変えることにより,複数名いる場合でもペアーごとに作 業できるようにした。. 子ども達は,作業の終わりにできたところまでの画面を電子メールで送り,. その説明等はグループ曝露帳で他のクラスのグループのメンバーと連絡を. 取りながら作業を進めていった。図4−1−11は非同期の作業1回目の内 容をグループ連絡ノートに書いている様子である。. 以下,非同期による協同学習の様子を,グループ遡絡帳,GTA日記をもと. に「脳性麻痺の障害を持つY児の学習の様子」「障害を持つY児の学校生 活での手助けにジレンマを感じていたK児の様子」「発表会準備(同期)」に. 一35一.

参照

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