平成
28年
度
学 位 論 文
解析的特異点の福井 ブロー解析不変量 に
現れ る整数論的性質
兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 教 育 内容・ 方 法 開 発 専 攻M 1 4 1 4 4 H
学 校 教 育 研 究 科 認 識 形 成 系 教 育 コ ー ス 石黒
順
也
目 次
第1章
準備 1。1
解析関数芽 1。2
初等整数論的性質7
7 912
12 1822
2246
46 48 53 第2章
ブロー解析 同値2.1
平面のブローア ップ2.2
ブ ロー解析 同値 とブロー解析 自明性 第3章
3.1 3.2 3.3 3.4 第4章
4。1 4.2 4.3 第5章
5.1 5。2 5.3 福 丼不変 量 福 井不変量2変
数 ブ リス コー ン多項 式の福井不変量 簡約化 を通 した福井不変量の計算公式 福井不変量の計算公式 を用 い る うえでの技巧 安定的区間状 安定的に周期的 安定的区間状 斉次多項 式の福井不変量 の安定的区間状 福丼不変量 とそれを含む最小の半群 群 、半群 福 井不変量 を含3変
数 以 上 の実 む最小 の半群 ・複 素 関数 の場 合 にお ける主問題 に対 す る 否定 的 な命題5.4 2変
数の実関数 の場合 における主問題 に対する否定的命題 6 1 1 2 3 4 6。 60 6 . 3 7 6 6序 文
研 究 の 動 機 筆者 は、大学 の学部 は経済学部 に所属 してお り、経済学 を学ぶ上で 必要 な数学 の知識 は学習 していたが、理学部で学ぶ ような純粋数学 の知 識 はほ とん ど身 についていなか った。 そのため、大学院 に進学す るまで 集合論 を学習 したことがな く、大学院の授業で初 めてその基礎 を学んだ。 そ して、集合論の問題演習 を してい く中で、 もっ と簡単 な解法がないか と考 えるようにな った。私 の指導教員で ある小池敏司先生 に伺 い、 ある 種 の集合論 的等式 に対 し、実解析 関数の ブロー解析不変量 を用 いた解法 があ るこ とを知 った。特 に、 そ こで興味深か った ことは、上 の集合論的 等式が整数 に関わ るものであった ことである。 この ことか ら筆者 は、福 井不変量 は簡単 に求め ることので きる不変量であ りなが ら、 まだ知 られ ていない初等整数論 的性質が隠 されてい るので はないか と思 うようにな り、 い まだに発見 されていない福 井不変量 の性質 と、不変量 としての優 秀 さに関心 を持 った。 筆者 はも とも と高校数学の教員志望であ り、次年度 か ら高校教員 にな ることが決 まっているが、高等学校 で数学 を学ぶ 目的 について改めて考 えた。筆者 は高等学校 で数学 を学習す る 目的 は大学受験 のためだ けで は な く、大学 での学びや研 究のための基礎学力 を定着 させ るこ とにあるの ではないか と思い至 った。そ こで、大学への橋渡 しとして、高等数学の授 業 内で も発展的な トピック として取 り上 げることので きるような題材 を 探 した。 しか し、筆者 は大学院で多 くの講義 を受講 したが、大学で学ぶ 分野 は多岐 にわた ることか ら、 そのすべての橋渡 しを授業 内で行 ってい くのは現実 的で はない。筆者 が本論文の研究 テーマ として福井不変量 を 題材 にす ることに決 めた理 由の一つ は、高等学校 での学習の内容 に生か す こ とので きそ うな可能性 が ある と考 えたか らである。 なぜ な らば、福 井不変量 は初等整数論的性質 を持 つ ことか ら、近年高等学校 で導入 され た初等整数論の単元の教材の問題作成な どにおいて用 いることが出来 るので はないか と考 えたか らで あ る。 研 究 の 内 容 本論文で は、数学研究の題材 として福井不変量 に現れ る初等整数論的 性質 を取 り上│六 その不変量 に関す る考察 を通 して、専 門書 には載 って いない ような詳 しい証明 をつ ける とともに、 自分 自身 で新 しく見つ けた 性質 も述べている。 福丼不変量 とは、
3章
で詳 しく述べ るが、埼玉大学理学部の福井敏純氏 が導入 した不変量 であ り、解析 関数芽 と任意の解析 弧の合成関数 の位数 の集合 を指す。 また、福井不変量 は特 に2変
数実解析 的特異点 を分類す る上で大変便利 な不変量であることが知 られている。特異点の定義 に関 しては第1章
を参照 して ほ しい。 一変数関数 の局所特異点論 とは,大
雑 把 には関数 の極値 問題 の精密化 と捉 えて よいが、究極 的には関数の標準 形 を求めるこ とである。 この方法 は多変数関数 に一般化 され る し、更 に 写像 ∫:Rれ →Rpに
も一般化 され る。 この特異点論 のテーマの一つ に特 異点解消がある。代数幾何 や解析学の問題 は特異点があるために問題 が 非常 に難解 になるが、特異点 は本論文の第2章
で述べ るブローア ップ と 言 う操作 を繰 り返す ことによ り解消す ることがで きる。 それ は、上手 い 座標変換 を行 えば単項式 となる事 を意味 している。広 中先生の仕事 卜1に よ り、多項 式や解析 関数 には特異点解消が存在す る ことが知 られている が、特異点解消の存在定理 に よ り、多項式や解析 関数 の計算 は、単項式 とい う簡単 な式の計算 に還元 され る。 本論文で は、主 として2変
数解析 関数 に対す る福 井不変量 を研究対象 とした。特異点論 を扱 う専門的な論文で は、福井不変量 を求め るための 計算公式について簡単 な証 明は載 っているが、詳 しい証明 はついて お ら ず、初心者 に とって理解 が困難である。本論文では、そのような人たちに とって も理解 しやすい よ うに、 よ り詳細 な証 明を与 えてい る。 また、福 井不変量 に現れ る初等整数論的性質 の中で、安定的区間状 とい う性質 を 取 り上1大 特 に斉次多項 式関数 の福井不変量が安定的区間状 となるため の条件 について研究 した。 その応用 として、複素斉次多項 式の福井不変 量が安定的区間状 にな らないもの として知 られている例 Ю]が、斉次多項 式の例 として最適 なものであるこ とを示 した。更 に、福井不変量の不変 量 としての優秀 さを示すために、福井不変量 を含 む最小の半群 と比較 し た。2つの解析関数芽が与え られた とき、それ らの福井不変量が一致すれ4 ばそれ らを含む最小の半群 も一致す る。従 って、比較す る方法 として、そ れ らの解析 関数芽の福井不変量 の半群 が一致す るな らば、 それぞれの福 井不変量 も一致す るか とい う主問題 を提 出 した。 も し、主問題 が肯定的 に示 されれば、福井不変量 を含む最小の半群 の ほ うが代数 的構造 を持つ 分、福井不変量 よ りも秀れた不変量 とい うことにな る。論文の後半で は 主問題 における否定的な例 が存在 す るか否か について検証 した。 尚、本 論文で は、線形代数学 と集合論の知識 は既知の もの とす る。論文 を執筆 す る際 に線形代数学では11倒、集合論 について ぃ司,1lqを 参考 に した。
論文の構成
以下、論文の構成 について述べ る。 第1章「準備」では、第1節で論文 を読み進めてい くうえで必須 の知識 である、解析 関数芽 と特異点の概念 の定義 を述べ る。一方、第2節
で は 初等整数論 に関す る基本的な定理 について論 じる。特 に、兵庫教育大学 の修 了生である安納秀佳 さんの修 士論文 卜llを参考 に、い くつかの初等 整数論的性質 も取 り上 げている。 第2章
「ブロー解析 同値」では、実解析関数芽 に対す るプロー解析 同 値 の概念 を導入す る。第1節
で は、平面 での ブローア ップの定義 を与 え る。第2節
で は第1節
で与 えたブローアップを用 いて、2変
数実解析 関数 に対す るブロー解析 同値 を定義す る。 第3章
「福井不変量」では、本論文の話題の中心 となる福井不変量の定 義 を述べ、第2章
で扱 った ブロー解析 同値の定義 を基 に福井不変量が ブ ロー解析不変であることの証明を与える。次 に、定義に基づいて、2変
数 ブ リス コー ン多項式の福井不変量 の計算公式 を与 えている。 また、福井 不変量 を計算す る際 に非常 に有効 な手法である特異点解消 ツ リー を紹介 す る。更 に、それ を用 いた解析 関数芽の簡約化 を通 した福井不変量 の計 算公式 に対 して、詳 しい証 明 を与 えた。章の最後 には、研究の動機欄 で も触れた ように、その福井不変量 の公式の応用例 として、集合論 に関す る一つの命題 に対 して福井不変量 を用 いた形式的で容易な解法 を与 えた。 第4章
「安定的区間状」で は福井不変量に現れ る整数論的性質である 「安定的に周期的」 と「安定的区間状」について述べ る。第1節では、「安 定的に周期的」の定義 について述べ、福井不変量 は常 に安定的 に周期的 になることについて解説す る。第2節
で は、 まず複素関数 の福井不変量 で安定的区間状 にな らない例 を紹介 し、節の後半で は、福井不変量 が安5 定的区間状 となるための判定法 を述べ る。第
3節
で は、第2節
で与 えた 例 が複素斉次多項 式の福井不変量 が安定的区間状 にな らない例 として最 適 な例 であることを証明す る。 第5章
「福井不変量 を含む最小の半群」では、第1節
で群 と半群 の定義 を述べ、第2節
以降では、福井不変量 を含む最小の半群 について考察 し、 福井不変量 と福井不変量 を含 む最小の半群 を比較 し、 どち らのほ うが よ り秀れた不変量であるか を検証す る。実際、福井不変量 は異 なるが、福 井不変量 を含 む最小の半群 は一致 す るような関数 を構成す る命題 を定 式 化 し、示 した。 この 5.3節 、5.4節 と4.3節 は本論文で一番 オ リジナル な 部分である。 最後 に、本研究 を進め るにあた り、大学院入学 当初 か らの3年
間 にわ た る手厚 い御指導 を して頂 いた、指導教員 の小池敏 司教授 に心 よ り御礼 申 し上 げます。毎週のゼ ミや修 士論文執筆過程 においてなかなか理解 の 進 まない私 に懇切 丁寧 に御付 き合 い頂いた こと、 そ して研 究以外 の面 で も教育実習や教員採用試験 の準備等 をは じめ として、数学 に関す るこ と だ けに とどまらず、多岐 にわた る知識や御助言 を与 えて下 さった こ とに 深 く感謝致 します。特 に3年
生になってか らは、毎 日の ように声 を掛 けて 頂 いた ことで、修 士論文執筆 に対 す る不安 が拭 い去 られていた よ うに思 い ます。 また、毎 日の ように院生室へ足 を運んで頂 き、激励 。応援 をして下 さっ た小池敏司教授 をは じめ として、学部 。大学院の授業・講義等様々な面で御 世話 になった数学教室の先生方、特 にTeXの
扱 い方 を丁寧 に指導 して下 さった濱中裕明教授、研究に関す る重要な ヒン トを下 さったL.Paunescu
先生 に深 く感謝致 します。 数学教室で出会 った先輩 。同輩 。後輩の皆 さん とは、数学 について、数 学教育 について、教員 について等 をは じめ とす る様 々なテーマについて 深 く話す こ とが出来 ました。 その ことで 自分の未熟 さを改 めて確認す る ことが出来 た と共 に、 自分が どうあるべ きか とい うことについて考 える きっか けとす ることが出来 た こ とに感謝致 します。 理数系教員養成特別 プログ ラム受講生の皆 さん とは、大学院 における 教員免許の取得 とい う共通 の 目的 を持 った仲 間 として大変有意義な3年
間 を過 ごせ た と思い ます。大変 な観察実習や教育実習等 を乗 り越 え られ たのも、皆 さん との協力の賜物 だ と思 ってお ります。6 教員免許 を大学院で取得す る理数系教員養成特別 プログラムを開講 し、 私 に受講す ることを許可 して下 さった兵庫教育大学大学院の職員・教員・ 関係者 の皆様 にも大変感謝 して お ります。 そ して、私 に研 究す るための部屋 を用意 して くだ さ り、様 々な場面 で 支援 を していただいた株 式会社 けや き代表取締役社長 の森本幸弘氏 に深 謝 の意 を表 します。 最後 に、将来への不安 を覚 えなが らも迷走す る私 に大学院への進学 を 許可 し、 日々支 えて くだ さった父 に心 よ り御礼 申 し上 げ ます。 平成
28年
12月 20日 石黒 順也第
1章
この1章
で は本論文 を読み解 く上での準備 として、解析 関数芽の概念 と後で必要 となる初等整数論的性質 について述べ る。1.1
解析関数芽
最初にσr級 関数 とθ
∞
級関数について定義する。
定義
1.1.■∫
(■1,…,αれ
)を Rれのある開集合
1/で定義された関数 とする。
自然数
rに対 して、びの各点Pに おける∫のr次 までの偏微分係数
0れ
≧
Qけ
…
+%≦
→
がすべて存在して、これらが
1/において連続であるとき、∫をび上の
r回連続的微分可能関数またはθr級 関数 という。
さらに、すべての自然数
rについて∫がび上でθr級であるとき、∫を
び上の無限回連続的微分可能関数またはθ
∞
級関数 という。
定義
1。1.2∫(■1,…,″れ
)を Rηのある開集合 びで定義された関数とする。
∫が び上で θ
∞
級であ り、びの各点Pに おいてη重級数
れらな
=。万
計 而 淵
=募
肩
0。
1-・ ン
L¨しη
_p紛
れ
' サがPの 十分小さな近傍で、絶対かつ一様に収束して∫
(″1,¨・
,″π
)に等しく
なるとき、ノをび上の解析関数またはσω級関数という。
定義
1。1.3 Rηのある開集合 びから
Rれの中への写像を∫
=(A,…
,ノL)とする。各洗がび上でσr級
(1≦ r≦ω
)であるとき、写像 ∫をびから
Rmへ
のθ
r級写像という。
第
1章
準備 θr級であるが σr+1級ではない関数、θ∞級であるが σω級ではない関 数 として次の ような例 がある。 例1.1.4非
負整数rに
対 し、関数 ノ:R→
Rを
(Z≧ 0) (π=0)
(1.1)と定義すると、
fは
R ttσr級 であるが、原点で θ
r+1級ではない。
例 1.1.5r∈
Rに
対 し、関数 ∫
:R→
Rを
胴
=[尋
Ξ
口
と定義すると、∫は
R ttσ∞級であるが、原点で θω級ではない。
次に複素解析写像を定義する。
定義
1.1.6C"内
のある領域
(連結開集合
)Dで
定義された関数、∫
(zl,・…
,為)が
D内
の各点で全微分可能であるとき、ノは
'で
正則であるという。ま
た、∫が
Dの
各点
Pで
定義
1.1.2と同様に収東幕級数展開されるとき、実
の場合と同様に∫を解析関数とよぶ。複素の場合には正則関数であること
と解析関数であることが同値であることがよく知 られている。
(例えば、
「 鋼
を参照
)Dか
ら
Cmへ
の写像ノ=(■
,…,九 )が解析写像であることを各∴が
D
上の解析関数であるこ とと定義す る。 次 に解析関数芽 を定義す る。 定義 1.1.7X、Yを
位相空間、■をXの
点 とす る。Xか
らYの
中への写 像全体の集合 をM(X,Y)で
表す。∫,ク をM(X,Y)の
元 とす る。■の近傍Wが
存在して、ノレ
=θレ となるとき、∫とクは点πで同じ芽
(germ)を持つという。同じ芽を持つという関係は同値関係である。ノ∈
M(X,Y)の
属するこの同値関係による同値類のことを、∫の
zに
おける写像芽とい
い、
[∫12であらわす。また、∫を写像芽
[∫]"の代表元という。
X,Yが
それぞれRれ の開集合 とRη、 またはCれ の開集合 とCmで
ぁる とき、解析写像 を代表元 として含 む写像芽の ことを解析写像芽 とい う。 + ″ ^ U r i ノ ヽ 1 、 〓 ″ ∫第
1章
準備本論文では写像芽
[∫]ωを∫
:(X,α)→
yと
表し、ノ
(■)=ν ∈
yと
なる写
像芽をノ
:(X,π)→
(Кν
)と表すことにする。従って、∫:(R2,0)→
(R,0)と書くとき、∫は0∈ R2に おける関数芽でノ
(0)=0と
なるものを表 し
ている。ここでR2の 原点
(0,0)を単に
0と
記している。
この小節の最後に写像の特異点の概念を定義する。
定義
1.1.8K=Rま
たはCと し、∫=(■
,…。
,ル):(Kη,0)→(k,0)を
∫
(0)=0と
なるθ
l級写像、複素の場合には正則写像の
O∈ Kηでの芽と
する。
(1)0∈ Kれにおける∫のヤコビ行列
(J√)。とは次の
P ttη列の行列のこ
とである : (2)0∈ Kれが ノの特異点
(singultt point)であるとは、
rαηた
(J∫)o<?ηを
η
(η,P)となるときにいう。そうでないとき、
O∈ Kπをノの正則点
(regular pOint)とよ遮ミ
。
特に、
P=1の
とき、即ち ノが関数のとき、
0∈ Kれが ∫の特異点であ
るための必要十分条件は任意のり
,1≦づ≦ηに対 し、需
(0)=0と
なるこ
とである。
1。2
初等整数論 的性質
ここでは本論文の主要テーマである福井不変量 を計算す る うえで必要 となる初等整数論的性質 について、安納秀佳 さんの修士論文[111の中で 与 え られた単位分数 の和で表せ る数 について、結果のみ を紹介す る。定義
1.2.1自
然数の集合ス
={α
l,α2,¨°
,αd}およびη∈Nに 対し、ηが
ス で表現可能 で あ る とは, η=π
lαl十 m2α 2+・ …+mdα
d とな る非負整数 ηl,m2,…・,maが
存 在 す る こ とで あ る。 0 0五
嬬
⋮
墨
銑
0 0生
れ
︰
.
L
れ
〓 ∫ J第
1章
準備10
命題 1.2.2 goc.α (αl,α2,・・・,αa)=1で
あ る 自然数 の集合4={α
l,・・・,αd} に対 し、 ある ν ∈Nが
存在 して ノ 以上の 自然数 はすべて スで表現可能 である。 上記 の福井不変量 の計算 には、以下 に述べ る命題 の証 明の過程 が用 い られ る。 したが って、命題 だけで はな くその証明 に用 い られ る補題 も列 挙 してお く。補題
1.2.3θ.c.αし
,9)=1で
ある自然数
P,9に
対し、
0,9,29,…,(p-1)9
を
pで
割った余りはすべて異なる。
ここで、ク.c.do,9)=α である自然数P,9に対 し、P=plα
,9=91ご とす る とgoc.α(pl,91)=1と
なることに注意すれば、補題 1.2.3の系 として次 を導 くことがで きる。系
1.2.4自
然数
P,9に対し、ク。
c.d(P,9)=α、
P,9の最小公倍数をレ
,司=
p191α=p19=p91と
する。このとき、
0<π
<91,0<η
<plで
η
p=η
9となる自然数π
,ηは存在しない。
証 明 ηp=η
9と仮 定す る と、P=pld,9=91α
よ り、ク.c.α(Pl,91)=1
で、η■α=η
91ご とな る。 この とき、ηpl=η
91と な るので、 これ は補 題 1.2.3に 矛盾 す る。従 って、0<π
<91,0<η
<Plで
ηp=η
gとな る 自然数 π,η は存在 しない。 □ 補題 1.2.5 goc.αo,9)=α
である 自然数P,9に対 し、 ある ν ∈Nが
存在 して、ν 以上の ごの倍数 はP,9で
表現可能である。 特 に、g.coα(P,9)=1で
ある自然数P,9に
対 し、あ るM∈
Nが
存在 し て ν 以上の任意 の 自然数 はP,9で
表現可能である。 補題1.2.6自
然数 m,η に対 してm,η の公倍数 はm,η の最小公倍数の倍 数である。 補題1.2.7自
然数 αl,α2,…・,αd,た に対 して、た│ク・C・α(αl,α2,…,αa)である ための必要十分条件 は、たが αl,α2,¨・,αdの全てを割 り切 ることである。 補題1.2.8自
然数 αl,α2,¨・,αd,αみ1に対 し第
1章
準備 goc.α(ク .c.α (αl,α2,“°,αd),αd+1)=goC・ α(αl,α2,¨・,αd,αd+1) が成 り立つ。 一つ の 自然数 αに対 し、goc.α(α)=α
と定義す る。 この とき次 の命題 が 成 り立 つ。 命題 1.2.9 goc.α(αl,α2,¨°,αた)=α
であ る 自然数 αl,α2,…,αた(ん≧ 1)に 対 し、 あ る ν ∈Nが
存在 して、αの倍 数 で ν 以上 の 自然 数 は αl,α2,・・・,αた で表現 可能 で あ る。12
第
2章
ブロー解析 同値
本章では実解析 関数芽 に対す るブロー解析 同値 の概念 を導入す る。 そ のため に、最初 にブローア ップの定義 を述べ、それ を用 いて実解析 関数 に対す るブロー解析 同値 を定義 し、い くつかの ブロー解析 自明性定理 を 与 える。 2。1
平面のブローアップ
本論文で は、主 として2変
数解析関数 に対す る福井不変量 を研究対象 にす るので、 ここでは平面のブローア ップについて詳 しく説明す る。 まず、用 い る記号 について説明す る。定義
2.1.1(α,β)≠ (0,0)なる実数の組
(α ,β)に対 し、関係 ∼を次で定
義する。
(α,β)∼ (α′
,β′
)⇔
ι∈
R\{0}で
、
α
=ια′
,β =ιβ
′
となるものが存在する。
この同値関係 による(α ,β)の 同値類 を記号[α;β]で 表 し、 同値 関係 ∼ による
R2\
{0)の
商空間を実射影直線とよび、
P■(R)または
P■と表すこ
ととする。
Pl=Pl(R):=R2\
{ο}/∼ ここでR2の
原 点 (0,0)を 単 に0と
記 して い る。 次 に平面 の原 点 ブロー ア ップについて定義す る。 定義 2.1.2ν
={(α,ν)× [α;β]∈ R2× Pll zα =νβ
}とおき、自然な射影
R2×Pl→
R2の ν への制限を
π:ν →
R2,(″,ν)× [α;β]吟 (・ ,ν)第
2章
ブロー解析 同値13
と書 く。 これ を平面 の原点ブローア ップ とい う。 この とき、0∈
R2の
こ とをブローア ップ π:ν
→R2の
中心、E=π
1(0)の
ことを例外集合 と よ迭ミ。 この とき次の事実が容易に確 かめ られ る。 定理 2.1.3π
1(0)={0}×
Pl
証明
任意の
(α,β)∈ Plに対し
,Oα=Oβ
=0よ り
,{0}×Pl⊂
Mに
注意すると、
π1(0)={(2,ν
)× [α;βl∈ν
lπ((・,ν)× [α;βl)=0}
={(π
,ν)× [α;β]∈ν
lπ =ν=0}
= {(0,0)×
[α;β]∈ν
}= {0}×
Pl
定理 2.1.4 π lM、π-1(ο):M\
π1(0)→
R2\ {ο〕 は全単射 で あ る。証明
まず、πレ、
π
-1(ο)が単射であることを示す。
□ (″ ,ν)× [α;βl,(″′
,υ′
)× [α′
;β′
]∈ν\
7r 1(0)に対 し、
π
((",ν)× [α;βl)=二 7「((π′
,ν′
)× [α′
;β′
1)とする。このとき、
π
((・,ν)× [α;βl)=(″,ν),7((″′
,ν′
)× [α′
;β′
1)=(″′
,ν′
)より、″=″′
,ν=ν
′
である。
一方、
zα=ν
β
,■′
α′
=ν
′
β
′
であることより、上のことから、″α
=
νβ
,″α′
=νβ
′
とな り、
第 2章
ブロー解析同値
が従 う。よって、
[α;β]=[α′
;β′
]となるので、
14 (″,7)× [α;β]=(π′
,υ′
)× [α′
;β′
]が言えるので、πレ、
π
-1(ο)は単射である。
次に、π
lM、π
-1(ο)が全射であることを示す。任意の
(″ ,ν)∈ R2\{0}
とする。このとき、α
=ν
,β=″
とすれば
(α,β)≠ (0,0)で、π
α
=ν
β
より、
(π ,ν)× [α;β]∈■
イ\π
1(0) で、 7r((■,ν)× [α;βl)=(ω,ν )となる。
よってπレ、
π
_1(ο)が全射である。
以上のことより、
πレ、
π
-1(ο)は全単射である。
□ 次 に、 ブ ロー ア ップの地 図 につ いて述べ る。 定義2.1.5平
面 の ブロー ア ップで得 られ た集合 ν において、ν の被 覆 {鴫y)と
して次を定義する。
び
={(・,ν)× [α;βl∈ R2×Pll"α =ν
β
,α≠
0}y={(υ
,ν)× [α;βl∈ R2× Pll″α
=υ
β
,β≠
0}ν
=び
∪
yは
明らかである。
写像
9,φを次で定義する。
γび
→嗅にの地』吟仁→
=に
3
体
y→
略にの地』吟ば』
=嚇
ω
この とき φOグ
≒ ぱ ∩く の → ぱ ∩αう に → → は →=`0
は 解析 同型写像 である。 よって、ν は び(し ,υ),7(υ′,υ′)を次の関係 式で 張 り合わせて得 られ る図形である と考 えることがで きる。にの
=`0
仏yを
ブローア ップの地図 といい、 これ を ν の地図 による表示 とい う。第
2章
ブロー解析 同値 こ こ でφ
Oψ1:R2∩
ψ
(び)一)R2∩ φ
(y),(し,υ)―→
(υ′
,υ′
)が解析同型写像であることを示す。
証明
まず、
9が
単射であることを示す。
=ら
0
とすると、
とな り、
=″
′
,[α;β]=[α′
;β′
│ ″ が 従 う。 また、 ν=:″
=:;″
=::"′ =ν′も言えるので、
9は
単射である。同様にφも単射である
Fの任意の元をとる。
[α;β]∈次にりが全射であることを示す。″∈
Rよ
り
(一∞
,∞) Pl,α≠
0より、
(丁1<β
<1)
15 9((・,υ)× [α;β])=ψ
((″′
,ν′
)× [α′
;β′
1)鱒
=は
うよ
頃
:=多
としてよい。β→ ±
1のとき、
重→ 土∞
αであるので、
:は
″と独立に
(一∞
,∞)の任意の元をとる。
全射である。同様にφも全射である。 したがって、
φ
09 1:R2∩
ψ
(び)→
R2∩φ
(y)は全単射 とな り、9oφ
1も全単射である。
また、し
=″
,υ=`よ
り
ゲ
=:=ン
=ν=。
・
わ
:=脚
=∽
よって、9は
第
2章
ブロー解析 同値16
ゲ=7'υ
′=ν よ り し=Z=:(:π
)=υ
′ν=υ
′υ′,υ=:=÷
となる。したがって、φ
oψ1:R2∩
9(1/)→ R2∩φ(y)は
し→→に→
==の
と表される。9oφ
1についても同様の表示を持つ。
このことから、いずれの写像も解析的なので、
φ
Oに
E∩
α
の→ぱ∩
α
吟仏→→は→
==の
が 解析 同型写像 で あ る こ とがわ か る。 □ 次 に、n次
元空 間の原 点 ブ ロー ア ップの定 義 も与 えて お く。n次
元空間の原 点 ブローア ップの定 義 を述べ るための準備 として実射影 空間RPれ の定 義 を述べ る。 定義 2.1.6η 次 元球面 をy={(π
l,・・
・
,″η
+1)∈ Rれ+11″:十・
・
・
+αλ
+1=1}
とす る。 この とき、Sη 上の2点
π,ν に対 して関係"∼
νを ″=ν
また は 一νによって定義す ると、 これは同値関係 になる。 この同値関係 によってSη か ら導かれ る商位相空間 をη次元実射影空間 RPれ 、貝「ち RPれ :=Sれ/∼と定義する。
定義 2.1.7ま ず、R"×
Pη-1の部分集合 ν を次で定義する。
ν
={(31,・…
,″れ
)× [εl:・・
.:εη
]∈ Rη×
Pπ 1 1α
ttε′
=物
ε
を
,1≦り
,ブ≦η
}自然な射影
Rれ×
Pη1→
Rηのν への制限を
π:ν →
Rれ,(αl,一 ,・れ
)×卜
1:・・
・
:ε』吟
(■1,・・
・メれ
)と書く。これを
Rれ
の原点ブローアップという。
第
2章
プロー解析 同値 この項の最後 に、平面 の原点 ブローア ップを用 いた特異点解消 につい て説 明す る。代数幾何 や解析学 の問題 は特異点があるため に問題 が非常 に難解 になるが、特異点 はブローア ップ とい う操作 を繰 り返す ことによ り解消す るこ とがで きる。 それ は、上手 い座標 変換 を行 えば単項式 とな ることを意味 してい る。広 中先生の仕事[卜l]に よ り、多項 式や解析 関数 には特異点解消 が存在す ることが知 られているが、特異点解消 の存在定 理 によ り、多項 式や解析 関数 の計算 は、単項 式 とい う簡単 な式の計算 に 還元 され る。次 の例 でその ことを解説す る。 例2.1.8定
義2.1。2で
定めたメ ビウスの帯 ν に座標 を定める。(X,y)を
座標 に持つ
R2と
(x′ ,y′)を座標 に持つR2と
を(XКy)=(X′
,X′y′)で決 まる関係式 を組み合わせ てメ ビウスの帯 ν を作 り、 (″ ,ν
)=(Xχ
y)=(X′
,X′y′) で平面 の原点 プローア ップ π:ν
→R2を
定める。 ここで、(・ ,υ)=(XК
y)を
∫(■ ,ν)=″
2_υ
3に代入す る と、 ∫(XКy)=X2y2_y3=y2(x2_y)
(X,y)=(0,0)で
定 まる点で局所 的 に単項式で はないので、 ここで更 に ブローア ップす る。(X,y)=(S,St)を
代入す る と ″2_ν
3=y2(x2_y)=s3ι
2(s_t)
(S,t)=(0,0)で
定 まる点で局所 的 に単項式で はないので、更 にここで ブローアップする。
(s,ι)=09,9)と 置くと
″2_ν
3=y2(x2_y)=s3t2(s_t)=P396(g_1)
で、(P,9)=(0,0)の
周 りで局所 的 に9-1は
単元 (unit)と な り、各点 の近 傍 で単 項 式 とな る。 これで、■2_υ
3の特 異点解 消 が構 成 で きた。ここで関数 ノ
(■ ,ν)が点
(α,b)の近傍で単項式になるとは、正確には次
の意味である。点
(α,b)の近傍で定義された関数
9(■,ν),φ(・ ,υ)が存在 し
て次を満たす。
9c(α,b)9υ(α,b) φc(α,b) φν(α,b) 17≠
0,∫(・ ,ν)=9(Z,ν
)Pφ(″ ,ν)9,(P,9)は負でない整数
第
2章
ブロー解析 同値18
2.2
ブ ロ ー 解 析 同 値 と ブ ロ ー 解 析 自 明 性 最初 に、2変
数解析関数 に対す るブロー解析 同値 の定義 を述べ る。 定義 2.2。1実
解析関数芽 ∫,g:(R2,ο)→
(R,0) がブロー解析 同値である とは、有 限個 の一点 ブローア ップの合成 β:(ν,β1(0))→
(R2,ο) β′:(ν′,β′1(0))→
(R2,ο) と解析 同型写像Φ
(■グ
,β1(0))→
(ν′
,β 1(0))位相同型写像
φ
:(R2,ο)→
(R2,ο)が存在して、次の可換図式を満たすときにいう。
(ν,β1(0))
Φ
(1イ′
,β′
1(0)) (R2,0) (R2,0) β β′ φ ∫ g (R,0)第
2章
ブロー解析 同値注意
2.2.2K=Rま
たは
Cと
する。有限回の一点ブローアップの合成と
は、ある自然数 ηに対 し、次を満たす写像 島
:既
→ 飛島_1(1≦ を≦η
)、ただし、輸
=K2を
満たす写像の合成 β
=島
o・…
Oβ
l:蛇
→
K2の
こ
とである。
(1)βl:″
1→
K2は
0∈
K2を
中心 とするプローアップである。
(2)2≦づ≦πに対 し、島
:14→
ル亀_1は 、島
_10…・
Oβ
lの例外集合 島
_1上の点を中心 とするブローアップである。
定義
2.2.3K=Rま
たは
Cと
し、∫
:(K2,0)→
(K,0)を解析関数芽、
0∈
y=∫
1(0)を解析曲線 とする。 このとき、有限回の一点ブローアッ
プの合成
β
=島
O島
_10。…
Oβ
l:」‰ → K2
による
yの
強変換
(striCt transform)をβ
-1(y\ {0})と定義する。
注意 2.2.4-般 のη変数の場合にも、上の可換図式においてβ
,β′
を実改
変(rあl mOdincation)と い う改変 を用 いて、 プロー解析 同値 の概念 が導 入 されている (μ q)。 実改変の概念 は複雑 なので ここで は述べないが、2 変数 の場合 は、1点
ブローア ップの合成で表 され ることが知 られている。 (pl,14)実改変を用いて解析同値の概念が定義されている。理由は、それ
が実解析関数芽に対する同値関係を与えているからである
([lq)。 ここで、写像 ν → Rれ,(但
し、ν は η次元非特異多様体)が改変であ る とは、Mの
中に η-1次
元以下の部分代数的集合 ηが存在 して、πの ν \ηへの制限π
lM、れ
:ν
\η→
Rη\π
(η) が解析 同型写像 とな る ときにい う。前節 で見 た ように、原 点 ブローア ップ は改 変 の一つ で あ る。 次 に、実解析 関数族 に対 す るブロー解析 自明性 の概 念 を導入 す る。 定義2.2.51を
開 区間 とす る。(″;t)=(01,・
…,απ;ι)に関 す る解 析 関数
F(″;ι)をとり、解析関数の族
{ん}t∈I,■(・)=F(・
;ι)を考える。π
: (ν,E)→
(Rれ,0),E=π
1(0)を Rれ の固有改 変 とす る。 関数族 {ん}t∈Iが
固有改変 πを通 して解析 的 に 自明であ る とは、次 の条 件 19第
2章
ブロー解析 同値 (I)ん 0(π ×をαr)=(π
×づごf)O〃
(II)FOん(″;t)はιに依存しない、すなわち、ん
oんt(2)はιに依存しない。
を満たす位相同型写像 ん:侭π
,0)×I→
(Rれ,0)× r,(″;t)吟 (んt(″);ι )と実解析同型写像 ″
:(ν
,0×
」
,(ν;ι)吟
(Jft(ν);ι)が
存在するときに
いう。
特に、πが固有実改変
tそ
のπにこだわらないときには、単に族
{ん}t∈f はブロー解析 自明である とい う。 可換図式 を用 いてか くと次 の よ うにな る。 20 f f × × の の0
0
に
″
Ⅳ
×1 7「 ×jαI
― (R2, (R,0) π ×zαf ×I (R2,
(R,0) ブロー解析 自明性 に関す る最初 の定理 は、T.―C.Kuoに
よって与 え られ ている。定理
2.2.6同
次形式におけるブロー解析自明性定理
(pl)π
:(ν,E)→
侭
れ
,0),E=π
1(0)を原点
0で
のブローアップとする。
解析関数
F(″;ι)を次のように書いておく
F(Zit)=Eズ
α
;ι)十島
+1(■;ι)十。
っ ι∈
J ここで、すべての 9≧ αに対 し、F9(″;ι)は ″=(・1,…。,πれ)に関す る9次
同次多項式である。 すべての ι∈Iに
対 して、初期形式Fd(″;t)が孤立特 異点 を持つ と仮定 す る。すなわち、 {π∈
RI維
屹→
=…
・
=維
仁→
=0}={0}←
∈
⊃
第
2章
ブロー解析 同値21
が成 り立つな らば、F(π;t)は Rη の原点0で
のブローア ップπを通 して、 実解析 自明な族 になる。 定理2.2.6の同次形式の場合の ブロー解析 自明性定理 を、実 トー リック 改変 を用 いて重 み付 き同次形式の場合 に一般化 された ブロー解析 自明性 定理が得 られている。定理
2.2.7重
み付き同次形式におけるブロー解析自明性定理
(pl) 解析 関数F(π;ι)を 次 の よ うに書 いて お く: F(π;t)=Fd(・;t)十 二汗1(″;ι)+・ .・ ,t∈ I ここで、 すべ て の9≧
αに対 し、F9(Z;t)は π=(・1,・ …,απ)に関す る重 み付 き次数gの
重 み付 き同次多項 式 で あ る。 すべての ι∈rに
対 して、重 み付 き初期形 式 島(″;t)が 孤 立特 異点 を持 つ と仮 定 す る。 す なわ ち、 {″∈
RI維
は→
=…
・
=維
り
=0}={ο
}←
∈
⊃
が成 り立つ な らば、F(″;t)は あ る実 トー リック改 変 πを通 して、解 析 自 明 な族 にな る。注意 2.2.8こ こでは実改変、実 トー リック改変の定義は述べない。関心
のある方は
(降1)または
(口司
)を参照されたい。実 トー リック改変も実改
変であることに注意 しておきたい。
22
第
3章
福丼不変量
この章で は、本論文の話題 の中心 とな る福井不変量 の定義 を述べ、そ れが ブロー解析不変量であることの証 明 を与 える。次 に、定義 に基 づい て、2変
数 ブ リス コー ン多項式の福井不変量 を計算す る。 さらに、簡約化 を通 した福井不変量の計算公式 を紹介 し、それ を用 いた計算例 を述べ る。3el
福井不変量
この節で は2変
数解析 関数 に対 して福井不変量 の概 念 を定義す る。 そ のためにまず、一変数解析 関数芽 に対す る位数の定義 を述べ る。 定義3.1.lK=Rま
たはCと
し、θ:(K,0)→
(K,0)を解析関数芽 とす る。 この とき、θは次の ように0∈Kの
周 りで収東幕級数展開で きる。θ
(t)=Σ
〕
α
れ
tれただしα
m=券
器手
(0) m=1 である。 この とき、0∈
Kで
gの
位数(order)0(g(ι ))は αm≠
0となる最 小 のmの
こ とである。 ただ し、すべてのm∈ Nに
対 しαれ=0の
とき、 0(g(ι))=∞
とす る。 定義3.1.2K=Rま
たはlK=Cと
し、∫:(K2,0)→
(K,0)を恒等的 に0で
はない解析 関数芽 とす る。λ(ι)を 次 の よ うに表 され る任意 の解析弧 (解析平面 曲線)とす る。 λ(ι)=(λ
l(ι),λ2(ι)):(K,0)→
(K2,ο) ただ し、λづ(ι)は ιに関す る収東幕級数 で、人。(0)=0と
す る。全ての解析 弧全体 の集合 をA(1,2:K)={λ
:(K,0)→
(K2,ο)解析弧
}Sπ
E=″
一 手 十 手より、
0(∫(π))=1で
ある。
第3章
福井不変量とおく。任意の λ∈
A(1,2:K)に
対 し、ノ
(λ(ι)):(K,0)→
(K,0)のιに
関する位数
,0(∫(λ(ι))),は自然数 または∞ である。ここで、そのような
位数全体の集合を考えて、
ス
K(∫)={0(ノ
(λ(t)):λ∈
A(1,2:K)}
とおき、∫の福丼不変量とよぶ。
例
3.1.3実
解析関数 ∫:侭
,0)→
(R,0)を∫
(■)=Stη
″とする。このと
き、
0∈Rに
おける位数
0(∫(■))を求める。
0∈Rで
の
sづη″のテイラー
展開は
.7-7+…
・ 注意3.1.4-般
の η変数解析 関数芽 ∫:厖
η,0)→
卜,0)に対 して も福 井不変量が同様 に定義 され る。福井不変量の最初 に現れ る数 (最小の数) は、解析関数 ∫の重複度 と呼ばれているものになっている。 ここで、記号 を導入 し、補題 を準備 す る。 (記号) (1)自然数m∈ Nに 対し、
N≧π
={π
,π+1,m+2,…
.)とおく。
(2)自然数π∈Nに 対し、
N≦m={1,2,3,… .,m)と
おく。
(3)自然数
p∈Nに 対し、
PN:={P,ン
,印,…・
}と定義する。
補題
3。1.5K=Rま
たはCと する。
c∈ス
K(ハかつた∈
Nの
ときた
c∈ス
K(∫)である。即ち、
c∈ス
K(∫)ならば、
cN⊂
ス
K(∫)である。
証明
解析弧
λ:(K,0)→
(K2,0)に
対し、
0(∫ Oλ (ι))=Cと
する。
0(ノ Oλ(ιた
))=た
0(∫ Oλ(ι))=た
Cよりた
c∈ス
(∫ ) □ 次 に、例 を用 いて福井不変量 を計算 す る うえでの一つの重要 なテ クニ ッ クを紹 介す る。例
3.1.6K=Rま
たはCと する。ノ:(K2,0)→
(K,0)を∫
(″ ,ν)=π
4_ν 6とする。このとき、
4と6の 最小公倍数 卜
,q=12を
超える13以 上の自
然数は
AK(∫)の元になることを示すテクニックを紹介する。
第
3章
福井不変量24
2つの項 の符号が異なることに着 目し、上手 く解析弧 (z,7)の 値 を定め ると、最低次の項 を消去で きるこ とを利用す る。任意の 自然数 ηに対 し、 π=12+η
とす る。 この とき、 π(ι)=ι3+ι3+れ,ν(ι)=ι2とおくと、
∫
(t3+ι3+η,t2)=(ι3+ι3+η)4_(t2)6=4ι12+れ +6t12+2れ +4ι12+3π ttι
12+4πである。従って、
m=12+η
∈ス
K(∫)となり、
N≧13⊂ス
K(ノ)であるこ
とがわかる。このことを用いて、∫の福井不変量は
ス
K(∫)=(4,6,8,12,13,14,15,…・
}∪ {CЮ} であることが示 され る。詳細 は後述 の定理3.2.3、 定理3.2.4(1)を参照 の こと。 次 に、上の関数 の符号 を変 えた関数 に対す る福井不変量 も述べてお く。 例 3.1.7∫:(K2,0)→
(K,0)を ノ(■ ,ν)=π
4+ν
6とす る。(I)K=Rの
とき、 AR(∫)=4N∪
6N∪
{oo} ={4,6,8,12,16,18,20,… .}∪ {∞} である。詳細 については定理3.2.4(2)を参照の こと。(II)K=Cの
とき、″=X,ν
=づ:yと
ぃ ぅ複素線形変換 を行 うと、∫
(X,y)=∫
(X,を:y)=X4_y6
とな る。定 義 よ り、福 井 不変量 は解 析 同型 で不変 よ り、例 3.1.6の 結果 を 用 いて、ス
c(∫)=ス
c(∫)={4,6,8,12,13,14,15,…・
}∪ {CЮ} で あ る こ とが従 う。福井不変量は実解析関数芽に対するブロー解析同値に関する不変量で
あることの証明を述べる。そのために、最初に弧持ち上げ性質
(arc lifting property)を証明抜きで与えておく。証明については
(『1)または
(pl)を参照のこと。
第
3章
福井不変量 補題3.1.8弧
持ち上 げ性質πをR2の 一点ブローアップの合成とし、γ∈
A(1,2;R)とする。このと
き、解析弧γ
*:侭
,0)→
(π,7 1(0))で、π
Oγ*=γ
となるものが存在
する。
注意 3.1.9弧持ち上げ性質は、一般のη次元の場合に対しても成 り立つ。
更に、ブローアップの合成だけでなく、実改変に対しても同様に成 り立つ。
定理
3.1.■0(T.Fttui)∫
,θ:鰺 2,0)→
s,0)を
実解析関数芽とする。
このとき、∫,gが ブロー解析同値ならば、
AR(∫)=AR(g)で
ある。
証明
実解析関数芽ノ
,g:侭
2,0)→
侭
,0)がブロー解析同値であり、た∈
ス
R(∫)とする。このとき、解析弧λ
:s,0)→
32,0)で
、
0(∫(λ(ι)))=たとなるものがある。
(M,β 1(0)) (1イ′
,β′
1(0)) (R,0) λ (R2,0) (R2,0) 補題3.1.8を用いる と、解析弧 λ*:(R,0)
となるものが存在す る。 そ うす る と、 (R,0) (M,β 1(0))でβ
Oλ*=λ
Φ λ* β β′ φ ∫β
′
OΦ Oλ*:(R,0)→
(R2,ο )第
3章
福井不変量 は解析弧で、gO(β
′
OΦ Oλ*)=go(φ
Oβ Oλ*)=gO(φ
Oλ)=(gOφ
)(λ)=∫
(λ)た
=0(∫
(λ))=0(gO(β
′
OΦOλ *))∈ AR(g)が言える。 よって、 スR(∫)⊆ スR(g) が従 う。 同様 に、スR(')⊆ AR(∫
)が
示 され るので、 スR(∫)=ス
R(g) となる。 □ 注意3.1.11(1)上
の注意3.1.9から任意の η変数の場合 にも上の証明が 働 くので、一般 の η変数 の場合 にも福井不変量 はブロー解析 不変量 にな る。(2)2変
数複素解析関数 に対 して は、福井不変量が位相不変量 になること が知 られている(卜1)。3変
数以上の複素超関数 に対 して福井不変量が位相 不変量であるか どうかの問題 は、複素平面の重複度 に関す るZariski予想 の一般化 にな り、 きわめて難解 な問題 である。3.2 2変
数 ブ リス コー ン多項式の福井不変量
最初に論文で用いる記号を準備する。
P,gをp≧
9となる自然数を表す
ことにする。このときP,9の 最大公約数
(P,9)=ごとするとき
p=pld,9=
91αと表すことにする。
P,9の
最小公倍数レ
,d=p191α
=αlP=P19で
あ
る。 以 下、 この記 号 を用 い る。 26 とな り、第 3章
福井不変量
27
定義 3.2.1(2変 数複素ブリスコーン多項式)次 の形式で与えられる2変
数複素多項式関数 ノ
:C2→
c
バ
Z,υ)=ノ
+ν9を、
2変
数複素ブリスコーン多項式 とよぶ。
定義 3.2.2(2変 数実ブリスコーン多項式)次 の形式で与えられる2変 数
実多項式関数 ∫
:R2→
R
バ π,ν)=土
″ p tt ν9 を、2変
数実 ブ リスコー ン多項式 とよぶ。 定理3.2.3(2変
数複素 ブ リスコー ン多項式の福井不変量)∫
:c2→ cを
ノ
(■ ,ν)=ノ
十ν
9で定義される2変 数ブリスコーン多項
式とする。このとき、
ス
c(∫)={P,2P,…
。
,(91-1)P}∪
{g,29,…。
,(Pl-1)9}∪
N≧レ
,d∪ {OO}=pN∪ α
N∪
N≧レ
,切∪
{oO}である。
証明
最初に例
3.1.6、例
3。1.7(2)のテクニックを用いて
N≧レ
,切⊂ス
c(∫)であることを示す。そのためには、
∫
(ι 91,0)=∫ (0,tpl)=ιレ
'切より、レ
,d∈ス
c(∫)となるので、
N≧レ
,d+1⊂ス
C(∫)を示せばよい。任意
の自然数
sに対 し、解析弧
(t91+ι91+S,メ′
1)を考えると
∫
(ι 91+t91+S,づ :tpl)=(ι91+ι91+3)p+(を:tpl)9=グ
囲Ⅲ十多い Ⅲ…十ル切
や
となる。したがって、レ
,91+S∈
ス
c(∫)となるので、
N≧レ
,J+1⊂ス
C(ノ)であることがわかる。
次に任意の解析弧をλ
(ι)=(α
(t),b(ι)):(C2,0)→
(C,0)とする。
(I)α(ι)≡0か つ
b(ι)=0の
場合、ノ
(λ(ι))≡ 0となり、
∞
=0(∫
(λ(ι)))∈ス
c(∫)第
3章
福井不変量28
となる。 (fr)α(ι)≠0か
つ
b(ι)≡0の
場合、α
(ι)は次のように表される。
α
(t)=Σ
α
ん
ι
たただしα
m≠
o た=πこのとき、
(α(ι),b(ι))をノに代入すると、
∫
鰺
0)=(Σ
α
た
ι
た
ソ
=晩
ι
υ
+Σ
α
ttた た=πし た=ηP+1と表される。晩 ≠
0より、
ス
c(∫)∋ 0(∫(λ(ι)))=η
P∈PN
となる。
1≦m<91と
なる任意の自然数 π に対して、α
(t)=tれとする
と、η
p∈ Ac(∫ )となるので、
N<レ ,Jに現れるこの場合の福井不変量全体
の集合はPN∩
N<レ,切である。
(III)α(ι)≡0か つ
b(t)≠0の 場合、
(〃)と同様に
N<レ ,dに現れる福井不
変量全体の集合は9N∩
N<レ,dである。
(ル7)α(ι)≠0か つ
b(t)≠0の 場合、α
(ι),b(ι)は次のように表される。
α
(ι)=Σ
α
た
tたただしα
m≠
o た=m b(ι)=Σ
鍼メ ただtノ 硫 ≠ 0 た=ηこのとき、λ
(ι)=(α
(t),b(t))を∫に代入すると
∫
ひ
0)=(Σ
α
た
ι
た
ソ十
(Σ
bたι
り
9 ん=れ た=π =α乳
♂
叩
+
Σノ
α
itた・
bttιπ
9■】
:ノ bitた た=れp+1 た=29+1第
3章
福井不変量29
と表される。
mαz"ψ
,η9)<レ
,引のとき、系
1.2.4よりη
p≠
η
gとなり、
0(∫(λ(ι)))=mづ
η
(mp,η9)∈ON∪
gN)∩ N<レ,J (3.1)
とな る。 以上 よ り、(I)、 (〃)、 (III)か ら スc(∫)⊃ ((pN∪ gN)∩ N<レ,切)∪ N≧レ,切 ∪{OO} が成 り立つ。 更 に(」V)、 (3.1)を 合 わせ る と スc(∫)⊃ ((pN∪ gN)∩ N<レ,切)∪ N≧レ,d∪ {OO}⊃ Ac(∫) とな る こ とよ り、ス
c(∫)={P,ン
,…・
,(91-1)P}∪
{9,29,….,01-1)g}∪
N≧レ
,d∪ {∞}=pN∪
9N∪ N≧レ
,d∪ {oO} で あ る。 □ 定理3.2.4(2変
数 実 プ リス コー ン多項 式 の福 丼不変量)ノ
:R2→ Rを
∫
(c,ν)=土
ノ 土ν
9で定義される2変 数ブリスコーン多
項式とする。
(1)pま たは 9の 少なくとも一方が奇数の場合、または、P,9が ともに偶
数で ∫
(■ ,υ)=土
ノ 平υ9(複号同順
)のとき、
AR(ノ)={P,ン
,…・
,(91-1)P}∪
{9,29,… .,(pl-1)9}∪ N≧レ
,切∪
{∞}=PN∪
9N∪
N≧レ
,切∪
{oO}である。
(2)P,9が
ともに偶数で ノ
(■ ,υ)=土
(ノ十ν
9)のとき、
ス
R(∫)=pN∪
9N∪
{oo} である。 証明 (1)この場合の証明は複素 の場合 と全 く同様 である。 (2)∫(■ ,ν)=ノ
+ν9の ときに示す。ノ(■ ,ν)=―
(ノ十ν9)のときも同様 で第
3章
福 井不変量30
ある。任意 の解析弧 を 入(t)=(α(ι),b(t)):(R,0)→(R2,0)と
す る。 (I)α (t)≡0か つ
b(ι)≡0の 場合、ノ
(λ(ι))≡ 0となり、
∞
=0(∫
(λ(t)))∈ス
R(∫)となる。
(II)α (t)≠0か つ
b(t)≡0の 場合、α
(ι)は次のように表される。
∝ι
)=Σ
Eαた
ι
たたオゴヒ′απラ≠
o た=πこのとき、
(α(t),b(1))を∫に代入すると、
∫
ひ
0)=(Σ
α
た
tたア
=魂
ι
η
tt
Σ
α
lιた
た=れ た=mp+1と表される。晩 ≠
0より
4R(∫)∋ο
(∫ (λ(ι)))=η
p∈pN
となる。任意の
mに
対 して、α
(ι)=ι
れ とするとη
p∈ス
R(∫)となるの
で、この場合の解析弧全体が与える福井不変量全体の集合は
PNで
ある。
(III)α(ι)≡0か つ
b(ι)≠0の 場合、
(ff)と同様にこの場合の解析弧全体
が与える福井不変量全体の集合は
9Nで
ある。
(ル″
)α(ι)≠0か つ
b(ι)≠Qの 場合、α
(ι),b(ι)は次のように表される。
α
(ι)=Σ
Eαた
ノ ただし α
れラ
/0
ん=π b(ι)=Σ
磁メ ただtノ 硫 ≠ 0 た=ηこのとき、λ
(ι)=(α
(t),b(ι))をノに代入すると
ズλ
O)=(Σ
α
た
ι
た
ソ十
(Σ
bたι
た
ソ
た=れ た=れ=
《
ソ
mp■】
E〕α
ttιた
―
十
bttιn9■下
'ノ bttιた
ん=mp+1 た=π9+1第
3章
福井不変量31
と表 され る。P,9が
ともに偶数 よ りηp=η
gの
ときで も ι岬 の係数 とιη9 の係数 の和 は0に
な らない。従 って、 4R(∫)∋ ο(∫ (λ(ι)))=mを
η(mp,η 9)∈pN∪
9N (3.2)
となる。 以上 よ り、(f)、 (〃)、 (III)か らス
R(∫)⊃PN∪ gN∪
{oo} が成 り立つ。 更 に(■/)、 (3.2)を 合 わせ てス
R(∫)⊃pN∪ 9N∪
{oo}⊃ス
R(∫) となることよ り、 AR(∫)=pN∪
gN∪
{oo} で あ る。 □ 3。3
簡約化 を通 した福井不変量の計算公式
この節では
(Юl)の中で与えられている、簡約化を通した福井不変量の
計算公式を紹介する。
(Юl)では専門家向けに非常に短い証明が与えられ
ているが、本節では詳しい証明を与える。
まずは準備として新しい概念を定義する。
定義
3.3.l R2の中にある開集合 びから
Rへ
の実解析関数 ∫
(■)が"*=
("1,πあ
)に おいて正規交叉 (normal Crossing)で あるとは、″
*の近傍で
π
*を原点とする座標系ν
=(νl,ν2)と非負の自然数 た
1,た2(ただしヽた
1≠ 0またはた
2≠ 0)が存在して、
∫
(ν)=α
(ν)νll勁 2 と書 けるこ とである。 ここで、α(ν)は び上でlα(ν)│>0を
満 たすある実 解析 関数である。一般 の η変数実解析 関数 に対 しても同様 に正規交叉の 概念 が定義 され る。 次 に解析 関数芽 の零点集合の簡約化 を定義す る。第
3章
福井不変量定義
3.3.2K=Rま
たは
K=Cと
し、ノ
:(K2,0)→
(K,0)を恒等的に
零ではない解析関数芽 とする。
Xを
、C2を 有限回一点ブローアップして
得 られる滑 らかな複素曲面 とする。 また、″∈
Xを
通る弧によって、複
素解析写像 λ:(C,0)→
(X,″),(λ(0)=″
)を表すことにする。このとき、
Π
:(X,E)→ (C2,0),(E=Π
1(0))を∫
-1(0)の簡約化といい、ΠはC2
の有限回一点ブローアップの合成でノ
OΠは
Eの
各点で正規交叉である。
つまり、各点での局所座標
(■ ,ν)を用いて
∫
OΠ(・,7)=C″
α
ν
b,(C≠ 0,α≧
0,b≧ 0)と表されるものとする。このような簡約化の存在は
(bl)によって保証さ
れて い る。 定義 3.3.2に お けるEの
こ とを例外集合 また は、例外因子 と呼ぶ。 ここ で、D=(∫
OΠ) 1(0)rea,D=Dl∪
.… ∪Dsを
Dの
既約 分解 とす る。 ここで、redは被約(redしCCa)のこ とで あ る。 これ は例 えば
D上
の点で局所 的 に∫
OΠ(・ ,ν)=Cπ
α
υ
。
,(C≠ 0,α≧
1,b≧ 1)のとき、
D=(π
ν
)-1(0)とみなして、
D=″
1(0)∪ν
1(0)を意味する。
我々は
Eの
周 りでの零因子
Dl,.…,D3に 関心を持っているので、
E∩ Dj≠
0,(づ =1・…
S)と仮定してよい。よって、」
={を1,.… ,をp}⊂S=(1,…
.,s},に対し、
S
における
Iの
補集合を
{」1,…・
,ブg},p+g=Sと
表し、
Df=(Dを
1∩・…∩
Dをp)\ (D′1∪・…∪
2ブ9) とお く。∫の簡約 化 Π
:(X,E)→
(C2,0),に 対 し、σ={」 :DI∩
E≠
0}と お く。 この とき、次 が成 り立つ。 命題 3.3.3∪f∈σ」=Sで
あ る。証明
まず、∪
f∈σI⊂
Sを
示す。任意の」∈σに対 し、f⊂
Sで
ある。
よって ∪
r∈σ
f⊂Sで
ある。
次に、S⊂ ∪
.∈σを示す。Sの 元である任意の正の整数をに対し、
2∩ E≠
φであるから、づ∈
fとなる」∈σが存在する。ゆえに、づ∈∪
f∈ο
fとな
る。したがって、S⊂ ∪
J∈。Iで ある。
第
3章
福井不変量 以上 よ り、∪I∈σI=Sが
示 された。 □ 注意3.3.4適
当な Π を選ぶ ことによって (必要 な らブローアップを続 け ることによって),Eも
正規交叉 している と仮定で きる。 この とき、Eは
い くつかのDづ の和集合である。 また、」∈σ かつ、I⊂
J⊂
Sな
らば、 J∈θである。なぜならば、Df∩
E≠ 0,DI⊂
DJで
ある。したがって、
DJ∩
E≠
0となるので、
J∈σである。
定義 3.3.5各 因子
2の
重複度πづは
,ぅのジェネリックな点での∫
oΠの
重複度として定義する。ここで、ジェネリックな点とは、
Dづ上の点でほ
かの因子 島
(プ≠
`)と交わらない点を意味している。
f={を
1,・…
,ち}∈σに対し、
Ω
r(∫)=(π
olN+・…
+mを
,N)∪ {∞}とおく。これはの ∩
Eの
点を通る
X上
の解析弧 λ
*に対するノ
Oλの位数
全体の集合に他ならない。ここで、λ
*は0∈
C2を 通る解析弧 λの持ち
上
│六つまり、Π
oλ*=λ
となるもので、
(ノ OΠ)Oλ
*=∫
Oλとなるものを考えている。
次に、
Rの
場合を考える。
Cの
場合 と同様 に、広中の特異点解消定理
を用いて簡約化する。このとき、簡約化、例外集合、例外因子は
Π
:(aR,ER)→
(R2,ο),ER=Π
-1(0),DF(I∈
σR)で あ り、重複度 πFと Ωf(∫)も 同様 に定義 され る。更 に、強変換 も
Cの
場 合 と同様 に考 え られ る。定理
3.3.6∫:(K2,0)→
(K,0)を 解析関数芽、
K=Rま
たは
K=C、
Π
:(X,Π1(0))→
(K2,0)を ∫
-1(0)の簡約化とする。このとき、
ス
K(∫)=∪
Ω
I(∫) I∈σ 33 である。第