博 士 論 文
ヒト非 小 細 胞 肺 癌 における
mRNA 3’非 翻 訳 領 域 の短 縮 と腫 瘍 の悪 性 度 の関 係
目 次 略 語 表 ... 4 要 旨 ... 6 目 的 ... 7 序 文 ... 8 1 肺 癌 治 療 の現 状 ...8 2 polyA 付 加 ...9 3 APA による 3’UTR 短 縮 ... 10 4 miRNA による遺 伝 子 制 御 とその回 避 機 序 ... 14 5 癌 における APA ... 18 方 法 ... 21 1 肺 癌 手 術 検 体 ... 21 2 マイクロアレイデータ解 析 ... 21 3 遺 伝 子 発 現 の定 量 法 ... 22 4 3’UTR 短 縮 の評 価 法 ... 26 5 肺 癌 細 胞 株 への PABPN1 強 制 発 現 ... 32 6 臨 床 データ収 集 および統 計 解 析 ... 37
結 果 ... 38 1 指 標 遺 伝 子 の選 択 ... 38 2 APA スコアと腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 ... 43 3 PABPN1 発 現 量 と APA スコア、腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 ... 57 4 肺 癌 細 胞 株 への PABPN1 強 制 発 現 ... 63 考 察 ... 67 1 3’UTR 短 縮 の評 価 法 ... 67 2 3’UTR 短 縮 の機 序 ... 71 3 PABPN1 遺 伝 子 の役 割 ... 75 4 本 研 究 の臨 床 的 意 義 ... 78 結 語 ... 79 謝 辞 ... 80 参 考 文 献 ... 81
略 語 表 3’UTR 3’ untranslated region
APA alt ernat ive cl eavage and pol yaden yl ati on ATCC Ameri can Type Cult ure Coll ection
CF cl eavage factor
CPSF cl eavage and pol yad en yl ati on specifi cit y fact or CstF cl eavage stim ul ation factor
DEPC diet h ylp yrocarbonate dNTP deox ynucleotide DTT dithiot hreit ol DW distill ed wat er FDG fludeox yglucos e
miR ISC microR NA induced silencing com pl ex miRNA microR NA
OR F open reading frame
PCR pol ym erase chai n reaction PET posit ron emissi on tomograph y SNP singl e nucleotide pol ym orphism
SUVm ax the maximum st andardiz ed upt ake val ues
ALK anapl asti c l ymphom a receptor t yrosine ki nas e C1orf52 chromosom e 1 open reading frame 52
CCND1, 2 c yclin D1, 2
DGCR 8 DiGeorge s yndrom e cri tical regi on gene 8 DIEXF di gestive organ expansion factor homol og EGFR epi derm al growt h factor receptor
ESYT2 extended s ynaptotagmin -li ke prot ein 2 FGF2 fibroblast growth factor 2
HMGA2 hi gh mobi lit y group AT-hook 2
HN1 L hem atol ogi cal and neurol ogi cal express ed 1 -l ike HPRT1 h ypoxanthi ne phosphoribos yl transferase 1
IM P-1 insuli n li ke growth factor 2 mRNA binding prot ein 1 KRAS Kirsten rat s arcoma viral oncogene hom olog
MAPKAPK3 mito gen -acti vated prot ei n kinase -activat ed prot ein kinas e 3 MCM2 minichromos om e m aintenance compl ex component 2
MKI67 marker of proli ferati on Ki -67 MUC20 muci n 20, cell surface associ at ed
MYB v-m yb avi an m yelobl astosis viral oncogene homol og NDF IP2 Nedd4 famil y interacting protein 2
NRAS neurobl astom a R AS viral (v -ras) oncogene homol og PABP N1 pol y(A) binding prot ein, nucl ear 1
PDRG1 p53 and DNA damage regul at ed 1
PDXK p yri doxal (p yridoxine, vit amin B6) ki nas e RBM 33 RNA bi ndi ng m oti f prot ein 33
SCAMP1 secret or y carrier m embrane protei n 1
SMC1A struct ural m ai ntenance of chrom osom es 1A SSR1 si gnal sequence receptor, alpha
要 旨 mRNA に おいてポリ アデニル鎖 付 加 位 置 が 5’側 へ移 動 することによる 3’非 翻 訳 領 域 (3’UTR) の 短 縮 は 増 殖 、発 生 、癌 と関 連 し 、microRNA に よ る 制 御 を回 避 する機 序 として重 要 である。我 々は、発 現 マイクロアレイ解 析 によ って非 小 細 胞 肺 癌 に特 異 的 な 3’UTR 短 縮 指 標 遺 伝 子 を同 定 し、非 小 細 胞 肺 癌 手 術 症 例 における腫 瘍 の 3’UTR 短 縮 程 度 を評 価 した。3’UTR 短 縮 は病 期 および血 管 浸 潤 と相 関 し、独 立 した肺 癌 再 発 予 測 因 子 であった 。
PABP N1 発 現 低 下 と 3’UTR 短 縮 は相 関 し PABP N1 低 発 現 群 は 予 後 不 良 であった。また肺 癌 細 胞 株 に PABPN1 を強 制 発 現 させることで 3’UTR 短 縮 が 解 除 さ れ 遺 伝 子 発 現 が 抑 制 さ れ る こ と を 示 し た 。 PABPN1 発 現 低 下 、 3’UTR 短 縮 によって腫 瘍 の悪 性 度 が増 している可 能 性 がある。
目 的 癌 細 胞 においては、DNA や染 色 体 の異 常 に加 え、転 写 後 の mRNA に対 す る制 御 機 構 の異 常 が 非 常 に 重 要 な役 割 を 果 た し ているこ とが 最 近 明 ら か に なってきた。特 に注 目 されているのが microRNA (miRNA) による遺 伝 子 発 現 制 御 の破 綻 である。たとえば様 々な因 子 の異 常 による miRNA 生 合 成 の 抑 制 が癌 において観 察 され、miRNA による制 御 が行 われなくなっている。そ の 一 方 、 標 的 遺 伝 子 に 存 在 す る miRNA の 結 合 部 位 が 失 わ れ る こ と で miRNA によ る遺 伝 子 制 御 が 効 かなくなる 機 序 も あり、mR NA のポリアデニル 鎖 付 加 位 置 が 5’側 へ移 動 することによって miRNA 結 合 部 位 の存 在 する 3’UTR が 短 縮 する現 象 は この 代 表 である。 癌 における 3’UTR 短 縮 は近 年 注 目 を集 めているが、3’UTR 短 縮 の機 序 や、 3’UTR 短 縮 と発 癌 および癌 の 悪 性 度 との 関 係 についてはいまだ不 明 な点 が 多 い。本 研 究 の目 的 は、ヒト非 小 細 胞 肺 癌 における mRNA 3’UTR の短 縮 と腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 、および PABPN1 遺 伝 子 が 3’UTR 短 縮 の制 御 に 対 して果 たしている役 割 について調 べることである。
序 文 1 肺 癌 治 療 の現 状 肺 癌 は世 界 の癌 死 亡 原 因 の第 1 位 であり、毎 年 150 万 人 以 上 が亡 くなっ ている(1)。手 術 療 法 、放 射 線 療 法 、化 学 療 法 などが行 われるが、進 行 肺 癌 の 治 療 成 績 は不 良 である (2)。近 年 、分 子 標 的 治 療 のめざましい発 展 により EGFR 遺 伝 子 変 異 や ALK 融 合 遺 伝 子 を有 する肺 癌 の治 療 成 績 は 著 し く 向 上 し た 。 こ のよ う な 治 療 標 的 と な り う る 新 た な ド ラ イ バ ー 変 異 を 同 定 す る 試 みが 全 世 界 で精 力 的 に な され て い るが 、 大 規 模 な 全 ゲ ノ ム 解 析 が 行 われた 結 果 、腺 癌 の 1/4、扁 平 上 皮 癌 の 1/2 以 上 、小 細 胞 癌 ではほとんどの症 例 において標 的 となりうるドライバー変 異 を見 いだせず (3-5)、いまだ多 くの肺 癌 患 者 が 分 子 標 的 治 療 の 対 象 となっ ていないのが現 状 である。 最 近 、このよ う な DNA の変 異 ・欠 失 や染 色 体 の転 座 ・逆 位 といったゲノムの異 常 に加 え、 転 写 後 の mRNA に対 する制 御 の異 常 が癌 細 胞 においてさまざまな重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 転 写 後 制 御 に は 、 ポ リ ア デ ニ ル
(pol yA) 付 加 、 ス プ ラ イ シ ン グ 、 m iRNA に よ る 調 節 な ど が 含 ま れ る が 、 癌 細 胞 において miRNA の発 現 異 常 とならび特 に注 目 されているのが、代 替 ポリ アデニル付 加 (APA: alternative cleavage and polyadenylation) によって
(3’UTR) が 短 縮 する現 象 である。 2 polyA 付 加 真 核 生 物 の mRNA は原 核 生 物 と異 なり、核 内 で mRNA 前 駆 体 が転 写 され た後 、5’末 端 にキャップ構 造 が付 加 され、3’末 端 には polyA 鎖 が付 加 され る。3’末 端 の修 飾 は、一 次 転 写 産 物 の切 断 とそれに続 く polyA 付 加 の二 段 階 からなる。この過 程 は mRNA 前 駆 体 が成 熟 mRNA となって核 から細 胞 質 へ移 動 するのに必 要 であり、 mRNA の安 定 性 と翻 訳 効 率 を高 めている(6)。 pol yA 鎖 の長 さは種 によって決 まっており 、ヒトでは 250~ 300 塩 基 であるが 、 酵 母 では 70~80 塩 基 である。polyA 鎖 の長 さは重 要 であり、polyA 鎖 の短 い mRNA は酵 素 による分 解 を受 けたり(7)、翻 訳 休 止 状 態 となったりすること が知 られており(8)、polyA 鎖 の長 さと翻 訳 効 率 が相 関 することが示 されてい る (9) 。 3’ 末 端 修 飾 に は 4 つ の 切 断 因 子 (CPSF: cleavage and
pol yaden yl ation s pecifi cit y fact or; Cs t F: cl eavage s timul ati on factor; C F I and II: cl eavage factors I and II ) に加 え RNA ポリメラ ーゼ II、pol yA ポリ メ ラ ー ゼ 、 symplekin 、PABPN1 といった 補 助 タ ンパク が 必 要 で ある。 mRNA の切 断 部 位 は、その 15~30 塩 基 上 流 に位 置 し polyA シグナルと呼 ばれる
CPSF が pol yA シグナル、Cs t F が U/GU -ri ch 配 列 に 結 合 し、この 間 で mRNA を切 断 する(10, 11)。このとき polyA ポリメラーゼによって polyA 鎖 が付 加 さ れるが、PABPN1 が polyA 鎖 に結 合 することにより polyA 付 加 が強 力 に促 進 される(12)。 3 APA による 3’UTR 短 縮 APA とは 、標 準 的 な位 置 とは 異 なるところで mRNA の 切 断 と p ol yA 付 加 が 行 われる現 象 であり、そのうちの多 くにおいて polyA 付 加 位 置 が 5’側 に移 動 するため 3’UTR が短 縮 する。トランスクリプトーム解 析 により、哺 乳 類 の半 分 以 上 の遺 伝 子 において 3’UTR の長 さが異 なる複 数 の mRNA アイソフォ ームが存 在 することが示 され、APA が非 常 に広 範 囲 に及 ぶ現 象 であることが わかった (13-15)。ヒト遺 伝 子 の 70~75%が APA を受 けているとされている (16)。標 準 的 な pol yA シグナル は AAUAAA であり切 断 部 位 の約 半 数 にみ られるが、10 種 以 上 の代 替 polyA シグナルが報 告 されており、そのうち最 も よくみられるものは AUUAAA である(15, 17)。多 くの遺 伝 子 の 3’UTR におい て、遠 位 にある標 準 的 な polyA シグナルとは別 に近 位 の代 替 polyA シグナ ルが存 在 し、その代 替 polyA シグナルを用 いて mRNA の切 断 と polyA 付 加 が行 われると 3’UTR の短 い mRNA が作 られることになる。
APA の機 序 に ついては、現 在 研 究 がさか んに行 われている。 1 つの説 明 とし て、切 断 因 子 が多 ければ代 替 polyA シグナルが用 いられるという機 序 が考 えられる。1990 年 代 後 半 には既 に、B 細 胞 成 熟 の初 期 段 階 における CstF の濃 度 によって IgM のアイソフォームが変 化 することが示 されていた。 この現 象 は、CstF の濃 度 が薄 いと IgM の polyA 付 加 が標 準 的 でより強 力 な polyA シグナルで行 われ膜 結 合 型 IgM を生 成 するのに対 し、CstF の濃 度 が濃 いと
pol yA 付 加 がより弱 い代 替 pol yA シグナルにおいて行 われ分 泌 型 IgM を 生 成 する と 説 明 さ れ た (18, 19) 。同 様 の 結 果 は、CstF 欠 乏 によって遠 位 の pol yA シ グ ナ ル の 使 用 が 増 加 す る こ とを 示 し た 最 近 のト ラ ン ス ク リプ ト ー ム解 析 によっても得 られた (20)。細 胞 周 期 制 御 に関 わる転 写 因 子 である E2F が、 3’末 端 修 飾 に関 わる遺 伝 子 の発 現 を促 進 することで 3’UTR が短 縮 すること を示 し、細 胞 増 殖 と 3’UTR 短 縮 との相 関 を切 断 因 子 の増 加 によって説 明 し た研 究 もある(21)。一 方 、CstF と同 様 に切 断 因 子 である CF I については、 CF I 欠 乏 によって近 位 の pol yA シグナルの使 用 が 増 加 するという逆 の結 果 が得 られた(22)。 他 の機 序 として、RNA 結 合 タンパクが代 替 polyA シグナルに結 合 することで
APA を 抑 制 しているとする報 告 も なされ ている。J enal ら(23) は pol yA 結 合 タ ンパクである PABPN1 が、APA を抑 制 するというもう一 つの機 能 を持 つことを
発 見 し た 。 PABPN1 を ノ ッ ク ダ ウ ン す る と 3’UTR の 短 縮 が み ら れ る こ と 、
PABP N1 が 近 位 の代 替 pol yA シグナルに 結 合 することを示 し 、このことから 、 PABP N1 が CPS F と競 合 的 に 代 替 pol yA シグナルに 結 合 することで APA を 抑 制 しており、PABPN1 の減 少 もしくは切 断 因 子 の増 加 によって APA が生 じると説 明 している(図 1)。さらに PABPN1 のトリプレットリピート過 伸 長 は眼 咽 頭 筋 ジストロ フィ ーを引 き起 こすことが知 られているが、この異 常 PABPN1 が正 常 PABPN1 の機 能 を阻 害 して APA をきたすことも示 されている。 図 1 PABPN1 が APA を 抑 制 す る 機 序 多 く の 遺 伝 子 の 3’UT R 上 に お い て 、 遠 位 に あ る 標 準 的 な polyA シ グ ナ ル と は 別 に 近 位 の 代 替 polyA シ グ ナ ル が 存 在 し 、 そ こ で 切 断 さ れ る と 3 ’ U T R の 短 い mR N A が 作 ら れ る こ と に な る 。 PAB P N 1 は C P S F と 競 合 的 に 代 替 polyA シ グ ナ ル に 結 合 す る こ と で APA を 抑 制 し て お り 、 PA BPN1 の 減 少 も し く は 切 断 因 子 の 増 加 に よ っ て APA が 生 じ る 。
また、CPEB1 も APA を促 進 することが示 されている(24)。CPEB1 は細 胞 質 内 での polyA 付 加 を制 御 する機 能 がよく知 られていたが、核 内 において近 位 の代 替 polyA シグナルの近 くに結 合 して 3’末 端 修 飾 タンパクを誘 導 する ことにより APA をもたらす機 能 が新 たに発 見 された。 さらには、腫 瘍 で発 現 量 が増 加 する miRNA によって 3’UTR 短 縮 がもたらさ れ て い る と す る 報 告 も あ る (25) 。 乳 癌 細 胞 株 (MCF-7) で は 正 常 上 皮 細 胞 株 (MCF-10A) に比 べ 88%の遺 伝 子 で 3’UTR 短 縮 がみられたが、これら の 遺 伝 子 の 発 現 量 に は差 を 認 め なか っ た 。 mRNA を 合 成 す る段 階 で 切 断 因 子 や RNA 結 合 タンパクの制 御 によって 3’UTR の短 い mRNA が多 く作 ら れているのであれば、後 述 する miRNA による mRNA の分 解 促 進 作 用 が効 か な く な り 、 遺 伝 子 発 現 量 は 増 え るは ず で あ る 。 そ れ に 対 し 、 癌 で 発 現 量 が 増 加 する miRNA によって 3’UTR の長 い mRNA のみが分 解 されると、3’UTR の短 い mRNA の割 合 が相 対 的 に増 え、全 体 の発 現 量 は減 少 する。 この報 告 では、乳 癌 細 胞 株 で 3’UTR が短 縮 した遺 伝 子 の 3’UTR 上 に、乳 癌 細 胞 株 で発 現 量 が増 加 している miRNA の標 的 配 列 が多 く見 られたことを示 し、 後 者 の機 序 の重 要 性 を述 べている。
4 miRNA による遺 伝 子 制 御 とその回 避 機 序
3’UTR は mRNA の安 定 性 、局 在 、翻 訳 効 率 の制 御 に重 要 な役 割 を果 たし ている(26)。これは主 に miRNA が 3’UTR に存 在 する標 的 配 列 に結 合 する ことによる。そのため、APA によって 3’UTR が短 縮 すると、miRNA による制 御 か ら 解 放 さ れ る こ と に な る 。 増 殖 細 胞 (27) や 胎 生 期 の 細 胞 (28, 29) 、 iPS 細 胞 (30)や癌 細 胞 (31, 32)において、広 範 に 3’UTR 短 縮 がみられることが 報 告 されており、遺 伝 子 制 御 の重 要 な要 素 の 1 つとして注 目 されるようにな った。
miRNA は 2 2 塩 基 前 後 の s mall non -coding R NA で、標 的 遺 伝 子 の 3’UTR に結 合 してその発 現 を抑 制 する(33)。miRNA は線 虫 からヒトまで広 く保 存 さ れており、 発 生 ・分 化 、細 胞 増 殖 、 発 癌 な ど様 々な 現 象 に関 与 し ている 。 最 初 に発 見 された miRNA は lin-4 であり、線 虫 の発 生 異 常 をもたらす原 因 遺 伝 子 として 1993 年 に単 離 された(34)。2000 年 には、やはり線 虫 の発 生 異 常 の原 因 遺 伝 子 として let-7 が報 告 された(35)。翌 2001 年 、lin-4 や let-7 と 同 様 の small RNA が多 数 存 在 し、線 虫 からヒトまで広 く保 存 されている事 が 独 立 した 3 グループより報 告 され、miRNA という名 称 が提 唱 された(36-38)。 以 降 miRNA の 数 は 増 え 続 け てお り 、miRBase (http://www.mirbase.org)
miRNA による標 的 遺 伝 子 抑 制 機 構 とし て mRNA の分 解 促 進 と翻 訳 抑 制 が考 えられている(40)。最 初 に報 告 された miRNA である lin-4 は標 的 遺 伝 子 の mRNA 量 を変 えずにタンパク量 を抑 制 するとされ翻 訳 段 階 での抑 制 と 考 えられたが(34)、その後 mRNA の低 下 も高 頻 度 に認 められる事 が明 らか となり(41)、哺 乳 類 では翻 訳 抑 制 よりも mRNA の分 解 促 進 が主 であるとの報 告 もある(42)。miRNA が結 合 することによって mRNA の脱 アデニル化 が加 速 され、分 解 促 進 と翻 訳 抑 制 がもたらされると考 えられている (43)。 図 2 標 的 mRNA と miRNA 標 的 mRN A の 3 ’UT R に miRN A を 含 む タ ン パ ク 複 合 体 ( mi R I S C ) が 結 合 し 、 脱 ア デ ニ ル 化 な ど を 介 し て mR N A の 分 解 促 進 や 翻 訳 抑 制 を も た ら す 。
miRNA の発 現 量 は 癌 において変 化 し ており、 その 多 くが発 現 低 下 を 示 す一 方 で、一 部 の miRNA は発 現 増 加 を示 す(44)。癌 において増 加 する miRNA の う ち 癌 抑 制 遺 伝 子 を 標 的 と す る も の は 癌 遺 伝 子 と し て 機 能 し う る し 、 逆 に 癌 において発 現 低 下 する miRNA のうち癌 遺 伝 子 を標 的 とするものは癌 抑 制 遺 伝 子 として機 能 しうる。肺 癌 においては、let-7 が癌 抑 制 遺 伝 子 として働 き 、 そ の 発 現 低 下 が 肺 癌 の 予 後 不 良 因 子 と な る こ と (45) 、 癌 遺 伝 子 で あ る
KRAS (46)、HMGA2 (47)を 標 的 とすること が 示 されている 。一 方 、miR -1 7-92 cluster は 、小 細 胞 肺 癌 に おいて悪 性 リンパ 腫 と同 様 に 発 現 が 増 加 し ており 、 増 殖 を促 進 することが明 らかとなっている(48)。
miRNA の 生 合 成 経 路 を図 3 に示 す。ホスト遺 伝 子 から転 写 された prim ar y miRNA が DGCR 8 と Drosha のタンパク 複 合 体 によ り切 断 され約 60-80 塩 基 の pre-miRNA が作 られる(49)。pre-miRNA は核 膜 上 の Exportin-5 によ っ て核 内 か ら 細 胞 質 へと 輸 送 さ れた 後 (50)、 Dicer により 切 断 され、片 方 の
strand が 分 解 され一 本 鎖 となって m at ure miRNA となる(51) 。これがタ ンパク 質 複 合 体 に取 り込 まれ miRNA induced silencing complex (miRISC) を形 成 し、標 的 遺 伝 子 の 3’UTR に結 合 する(33)。
細 胞 が miRNA による制 御 から逃 れる方 法 の 1 つが、miRNA の生 合 成 経 路 を抑 制 することである。癌 においては、miRNA の欠 失 (52)やプロモーター の DNA メチル化 (53-55)、Drosha の発 現 抑 制 (56)、Exportin-5 遺 伝 子 の変 異 (57)、Dicer の発 現 抑 制 (58-62)といった機 序 が報 告 されている。 その一 方 、miRNA の結 合 部 位 が失 われることで miRNA による遺 伝 子 制 御 を回 避 する機 序 もある。APA とそれに伴 う 3’UTR 短 縮 によって多 くの遺 伝 子 図 3 miRNA 生 合 成 経 路 と miRNA に よ る 制 御 の 回 避 機 構 mi R N A の 生 合 成 経 路 を 抑 制 す る 機 序 と は 別 に 、PAB P N 1 欠 乏 お よ び 3 ’U T R 短 縮 に よ っ て miRN A 結 合 部 位 が 失 わ れ miRN A に よ る 遺 伝 子 制 御 を 回 避 す る 機 構 が 存 在 す る 。
の miRNA 結 合 部 位 が失 われる現 象 はその代 表 である(図 3)。その他
、let-7 は KRAS 遺 伝 子 の 3’UTR に結 合 し その発 現 を抑 制 するが 、 KR AS 遺 伝 子 の let-7 結 合 部 位 には single nucleotide polymorphism (SNP) が存 在 し 、 肺 癌 発 症 リ ス ク と の 相 関 が 示 さ れ て い る (63) 。 ま た HMGA2 遺 伝 子 や
MYB 遺 伝 子 では 、染 色 体 転 座 に伴 い 3’UTR の 配 列 が変 化 し て miR NA の 結 合 部 位 が失 われ、miRNA による抑 制 が起 こらなくなる結 果 、これらの遺 伝 子 の発 現 量 が増 加 することが示 されている (47, 64)。 5 癌 における APA 癌 細 胞 における広 範 な APA とそれに伴 う 3’UTR 短 縮 は、多 くの遺 伝 子 に おいて miRNA の結 合 部 位 が失 われることを示 し 、miRNA による遺 伝 子 制 御 を 回 避 す る 機 序 と し て 重 要 で あ る 。 Mayr ら (32) は 、 3’UTR に 多 く の miRNA 結 合 配 列 と代 替 pol yA シグナルを有 する 6 遺 伝 子 について検 討 し 、 癌 細 胞 株 において 3’UTR 短 縮 がみられることをノーザンブロッティングとリア ルタイム PCR で示 している。そのうえで、3’UTR の短 い mRNA は 3’UTR の 長 い mRNA と比 較 して半 減 期 が 2.6 倍 とより安 定 であり、タンパク産 生 量 も
1.6~ 42 倍 多 かった と報 告 し ている。また 、3’UTR の短 い IMP -1 を強 制 発 現 させた線 維 芽 細 胞 が悪 性 化 されたことから、3’UTR 短 縮 は細 胞 増 殖 を促 進
するだけでなく、細 胞 の悪 性 化 においても重 要 であることを示 している。 癌 における APA は注 目 を集 めているが、3’UTR 短 縮 の程 度 やパターンと発 癌 お よ び 癌 の 悪 性 度 の 関 係 に つ い て 調 べ た 研 究 は 現 在 の と こ ろ 多 く な い 。 Lem bo ら (65) は 乳 癌 と 肺 癌 に 対 す る 発 現 マ イ ク ロ ア レ イ 結 果 を 解 析 し 、 3’UTR が 短 縮 し て い る 症 例 の 方 が 予 後 不 良 で あ る こ と を 示 し て い る 。 ま た Morri s ら(66)は正 常 大 腸 粘 膜 4 例 、大 腸 腺 腫 6 例 、大 腸 癌 5 例 について 次 世 代 シーケンサーを用 いて mRNA 3’末 端 のシーケンスを行 い、正 常 大 腸 粘 膜 から大 腸 癌 へ進 行 する過 程 と 3’UTR 短 縮 が相 関 しており、バイオマー カーとして有 用 であると述 べている。 APA はゲノム全 体 にわたる変 化 であり、 これを 評 価 するに は 発 現 マイ ク ロ アレイ や 次 世 代 シーケ ンサー によ る包 括 的 な解 析 が必 要 である。しかしこれらの方 法 はいまだ費 用 が高 く、バイオマーカ ーとして臨 床 の場 に適 用 するのは現 時 点 では困 難 である。 そこで我 々は、発 現 マイクロアレイの解 析 によって非 小 細 胞 肺 癌 に特 異 的 な 3’UTR 短 縮 の指 標 となる遺 伝 子 を同 定 し、それに対 してリアルタイム PCR を 行 うことで、非 小 細 胞 肺 癌 症 例 における mRNA 3’UTR 短 縮 と腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 、および APA を抑 制 するとされる PABPN1 遺 伝 子 発 現 との関 係 に つ い て 検 討 し た 。 ま た 、 肺 癌 細 胞 株 に PABPN1 遺 伝 子 を 強 制 発 現 させ 、 3’UTR の長 さや増 殖 速 度 の変 化 をみることにより、癌 において PABPN1 遺
伝 子 が APA および増 殖 速 度 の制 御 に対 して果 たしている機 能 について調 べた。
方 法 1 肺 癌 手 術 検 体 2005 年 6 月 から 2009 年 5 月 までに 東 京 大 学 医 学 部 附 属 病 院 呼 吸 器 外 科 にて手 術 を行 い、原 発 性 非 小 細 胞 肺 癌 の診 断 がついた 147 症 例 の切 除 検 体 から採 取 したサンプルを解 析 した。術 前 治 療 施 行 例 、非 完 全 切 除 例 は 除 外 し た 。 ま た 比 較 対 象 と し て 、 東 京 大 学 医 学 部 附 属 病 院 呼 吸 器 外 科 に てⅠ 期 非 小 細 胞 肺 癌 を切 除 した非 喫 煙 者 10 症 例 の正 常 肺 組 織 部 位 を利 用 した。研 究 計 画 に ついては東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 ・医 学 部 倫 理 委 員 会 に 「 ヒ ト ゲ ノ ム ・ 遺 伝 子 解 析 研 究 倫 理 審 査 」 を 申 請 し ( 受 付 番 号 : 1069)承 認 を受 けた 後 、イ ンフォームド コンセントを 全 患 者 よ り書 面 で得 た うえ で、切 除 検 体 から肺 癌 組 織 と背 景 正 常 肺 組 織 の一 部 をそれぞれ採 取 した。 臨 床 検 体 からの total RNA は RNAiso Plus (TaKaRa) を用 いて抽 出 した。
2 マイクロアレイデータ解 析
mRNA 3’UTR 短 縮 を 効 率 良 く 評 価 す る た め に 、 非 小 細 胞 肺 癌 に お い て 3’UTR 短 縮 が特 に起 こりやすい遺 伝 子 をマイクロアレイデータ解 析 によって 抽 出 した。解 析 には Salisbury ら(67)が報 告 した rmodel という Bioconductor 用 の発 現 マイクロアレイ解 析 プログラムを用 いた。これは 2 つのサンプルグル
ープ を 比 較 し 、 プ ロ ー ブ レベルのパ タ ーン が異 なっ た 場 合 に 、 プ ロ ーブ セット をその境 界 で区 分 けするプログラムである。mRNA 3’UTR の長 さが 2 つのグ ループ で異 なっ ていれば、あるところを 境 にプローブレベルのパターン に差 が 生 じるはずであり、rmodel によって抽 出 されることとなる。
マイクロアレイデータは Affymetrix HG-U133_Plus_2 を用 いたものを Gene
Expression Om nibus resistor よりダウンロ ードし、肺 腺 癌 40 例 、肺 扁 平 上 皮 癌 18 例 の発 現 プロフィールを含 む GSE10245(68)と正 常 肺 組 織 3 例 の 発 現 プロフィールを含 む GSE16538 中 の GSM415386-8(69)を比 較 した。 Rmodel による解 析 で 抽 出 された 遺 伝 子 に ついて、解 析 結 果 を あらためて調 べ、プローブ レベルの 変 化 が 顕 著 でないも の、 区 分 けされたプロ ーブセットの 境 界 が 3’UTR 上 に位 置 していないものは除 外 した。 3 遺 伝 子 発 現 の定 量 法 これまでの報 告 で APA を制 御 することが示 された PABPN1、CPEB1、E2F1 お よ び 、 増 殖 マ ー カ ー と し て 知 ら れ る MKI67 、 TOP2A 、 MCM2(70-74) を APA に 関 連 する遺 伝 子 とし て選 択 し 、 リアルタイム 逆 転 写 PC R 法 によって定 量 し た 。 DNase 処 理 を 行 っ た total RNA よ り random hexamer を 用 いて
て Applied Biosystems 7500 リアルタイム PCR システムによりリアルタイム PCR を行 った。内 在 性 コントロールとして HPRT1 遺 伝 子 を用 い、ddCt 法 により定 量 を行 った。 DNas e 処 理 室 温 15 min 室 温 で 15 分 間 の DNase 処 理 後 に 25 mM の EDTA を 1 μl 加 え、65 ˚C 15 分 間 の heat inactivation を行 った。次 に random hexamer (Promega) 0.5 μl 、 20 mM dNTP 0.5 μl、DEPC 処 理 水 1 μl を加 えて全 量 13 μl とし、65 ˚C で 5 分 間 、氷 上 で 1 分 間 incubat e した 。これを以 下 の 通 り逆 転 写 反 応 に使 用 した。 逆 転 写 反 応 25 ˚C 5 min 50 ˚C 50 min 70 ˚C 15 min Tot al R NA 500 ng
DNase (Invit rogen) 1 μl
10× DNas e buffer 1 μl
DEPC 処 理 水 Total to 10 μl
DNase 処 理 後 R NA 13 μl
5× FS buffer 4 μl
0.1 M DTT 1 μl
RNase OUT ( Invit rogen) 1 μl Super S cript III ( Invitrogen) 1 μl
逆 転 写 反 応 に よ っ て 合 成 さ れ た cDNA を 用 い 、 THUNDERBIRD SYBR
qPCR Mix (To yobo) を用 いてリ アルタイ ム PCR を t ripl icat e で行 った 。PCR は全 て 2-step の 40 サイクルとし、アニーリングおよび伸 長 は全 て 60 ˚C で行 った。増 幅 産 物 の GC 含 有 量 が高 いものは PCR 反 応 の際 にベタインを添 加 した(75)。 リアルタイム PCR (ベタイン添 加 なし) リアルタイム PCR (ベタイン添 加 あり) 95 ˚C 1 min 95 ˚C 15 sec 60 ˚C 1 min cDNA 1 μl Forward primer (10 μM) 0.8 μl Reverse primer (10 μM) 0.8 μl THUNDER B IRD SYBR qPCR Mix (To yobo) 10 μl
DW 7.4 μl
Tot al 20 μl
cDNA 1 μl
Forward primer (10 μM) 0.8 μl Reverse primer (10 μM) 0.8 μl THUNDER B IRD SYBR qPCR Mix (To yobo) 10 μl
Bet ain e (5 N) 4 μl
DW 3.4 μl
Tot al 20 μl
プライマーの一 覧 とベタイン添 加 の有 無 を以 下 に示 す。 Prim er
HPRT1
Forward TGCTGGATTAC ATCAAAGC ACTG Reverse TTTATGTCCCC TGTTGACTGGTC Product
Length
112 bp
PABPN1 (+1N Bet ai ne)
Forward GGGAC TGGTC GAGGGTG Reverse TGCCTGGAGGTGGACTC ATA Product
Length
158 bp E2F1
Forward TCTCC GAGGACAC TGACAGC Reverse TCTCAGGAGGGGC TTTGATC Product
Length
111 b p CPEB1
Forward GCAGCCATCTTGAACGACC
Reverse CGTTGGTTATTGAAAGTC ACAC G Product
Length
107 bp MKI67
Forward GACC TAGCTGGC TTCAAAGACC Reverse TGTTGC GGTGTCTTCTAGTTCTG Product
Length
114 bp TOP2A
Forward GTGAC AGTGAAGAAGACAGCAGC Reverse GCAGGATC AGGCTTTTGAGAG Product
Length
134 bp MCM2
Forward TCTGC GGGACTATGTGATC G Reverse ATGAAAGGTAGCGGGC AAAAG Product
Length
4 3’UTR 短 縮 の評 価 法 Rmodel により抽 出 された遺 伝 子 について 3’UTR 短 縮 の程 度 を 2 種 類 のプ ライマーセットを用 いたリアルタイム PCR 法 によって評 価 した。プライマーセッ ト 1 を翻 訳 領 域 上 に、プライマーセット 2 を 3’UTR 遠 位 端 に設 定 した(図 4)。 図 4 rmodel による 3’UTR 短縮 指標遺伝子の選択
(a) rmodel により、Affymetrix のプロ ーブが赤色で示した近位側のセ ットと緑色で示した遠位側のセ ットの 2 群に分けられた。 ピンク色の逆三角形は主な polyA シ グ ナ ル で あ る AAUAAA と AUUAAA を表す。 (b) 陽 性 例 。 DIEXF は 肺 腺 癌 GSM258567 において、正常肺に比 べ mRNA 3’末端のプローブレベル に減少がみられる。 (c, d) 陰性例。CCND1 は 3’UTR にお けるプローブレベルに変化を認め ない。 (e) 正常肺組織 8 例、肺癌切除検体 7 例においてプライマーセット 1, 2 でリアルタイム PCR を行った dCt 値の差。DIEXF は肺癌において 3’UTR 短縮が起きていることが確 認された。 ***, P < 0.001.
この際 、プライマーセット 2 は rmodel によって分 けられた近 位 側 プローブセッ トと遠 位 側 プローブセットの境 界 より遠 位 側 になる ようにした 。それぞれのプラ イマーセットを用 いてリアルタイム PCR を行 った。プライマーセット 1 はその遺 伝 子 の mRNA 全 て を 定 量 す るこ とに な る の に 対 し 、プ ラ イ マ ー セ ッ ト 2 は 3’UTR 短 縮 のない完 全 長 の mRNA のみを定 量 することになる。プライマー セット 1 および 2 でリアルタイム PCR を行 い、正 常 肺 組 織 をコントロールとし て得 られた肺 癌 組 織 における ddCt 値 をそれぞれ ddCt1, ddCt2 とすると、下 の数 式 によって完 全 長 mRNA 割 合 の比 が計 算 できる。 肺 癌 組 織 における完 全 長 mRNA の割 合 正 常 肺 組 織 における完 全 長 mRNA の割 合 = 1 2𝑑𝑑𝐶𝑡2−𝑑𝑑𝐶𝑡1 本 研 究 では、肺 癌 組 織 における完 全 長 mRNA の割 合 が正 常 肺 組 織 に比 べ半 分 未 満 の場 合 、すなわち ddCt2 − ddCt1 > 1 である場 合 に、この遺 伝 子 を 「3’UTR 短 縮 あり」と判 定 した。 また、rmodel では抽 出 されなかったが、過 去 の文 献 から 3’UTR 短 縮 が起 こ りやすいとされていた 10 遺 伝 子 (KRAS, NRAS, CCND1, CCND2, E2F1,
FGF2, IMP1, M APKAPK3, P DR G1, P DXK) (23, 32, 66)についても 同 様 の 方 法 で 3’UTR 短 縮 の程 度 を評 価 した。
DNas e 処 理 、逆 転 写 反 応 、リ アルタイ ム PC R は全 て前 項 と同 様 に行 い、リア ルタイム PCR は triplicate で行 った。PCR は全 て 2-step の 40 サイクルとし、 アニーリングおよび伸 長 は全 て 60 ˚C で行 った。
プライマーの一 覧 とベタイン添 加 の有 無 を以 下 に示 す。 Primer set 1 Primer set 2 DIEXF
Forward TTTCTATGAACTGCCGACATATCC CCATGCCCATTCCACAAATAC Reverse ACCTCTGGGCATCATATTTGG ATGCAGAAAACAATCTGGGAGG Product
Length
128 bp 111 bp
HN1L (+1N Betaine)
Forward CCCGTGCAGACTCGACAG CTCTAAATTAGCCGGATGTGGTG Reverse GTTTGTTTGGGTGTGCCAAG AGCCACAACCTCCTGGTCTC Product
Length
103 bp 99 bp
MUC20
Forward TGGTCACAGTTAGCAGGAATCC ATAATTTGGCATGAATGGAGAGC Reverse ACTGCTGACCCAGCCTCTATG TCACCCACTTGAGGAAATACAAAG Product
Length
115 bp 112 bp
NDFIP2
Forward TCAGAATCATCGGCTATAGAGCAG AGATGTGGAAGTGTGAACCTGTG Reverse GTGGAGGGGAAGAGTCAGTTTC CTCCAATCTTGAAAGGTTTGTCAC Product
Length
106 bp 116 bp
SCAMP1
Forward ACAGGTGCTAGTTTTGAGAAGGC TCAGGTATTTTGGGGATGGG Reverse ATTCTGAGCTGCACTAGATGCTG AGTGGGTTCAGTTTTTGTGCAG Product
Length
120 bp 108 bp
RBM33
Forward AACGGTAACCCACTGTTGCC GTTCCACCCCTTTGTTCACTTC
Reverse CACTGGATGGTACAAAATTGGATG ACGAAATCACACAAATGAAACACAC Product
Length
C1orf52
Forward ACACCACTGAGAAGAAGCCTCC CTGGTTGGAAAACGGACTGTC Reverse CGTCTCCTCCCCTTCTGGTAG CTCAGTACCCACATGGACACTTG Product
Length
134 bp 121 bp
ESYT2 (+1N Betaine) (+1N Betaine)
Forward GTCAAACGTCCCTCTGTGTCC GCCTGGGCAACAGAGTGAG Reverse GACTGGTGTGGATGGAGCTG AAGAAGGGCCGACCTCTTG Product
Length
108 bp 141 bp
SMC1A (+1N Betaine)
Forward CCTGAGAACCCTGAAGAGCC AGAAGGGAGCAACAGATGCC Reverse AGCTGCCACTGTCTTCTCCC CAGCCTCATGGAAGAACAGAAAC Product
Length
114 bp 109 bp
SSR1
Forward GATGCCTCATTCCGTTATCCTC TGTGGTAAAGCCAAGATGGAAAC Reverse ACTCAAAAGTTGCCTGTCTCTGG GCATTTGACAGGACAGCAGACTAG Product
Length
106 bp 97 bp
EPN3 (+1N Betaine) (+1N Betaine)
Forward GCTGGACCTGTTTGGAGACC TTCAGGGACAAATGGCCTTC Reverse CTTTGCTTGGCTGGGTTAGTG TGTAACTGCATTGTGGGACTCC Product
Length
110 bp 106 bp
MAPK9 (+1N Betaine) (+1N Betaine)
Forward AGTAGCAACGCCACTCCTTCTC CTGTCTCCCCCATGTCCAG Reverse GACAGCCTTCAAGGGGTCC TGACACGGTATGCACAGCC Product
Length
127 bp 111 bp
METTL9
Forward GGCAAGTGGGAGAAACCATC TGTGGTGAAAATTGAAACCAAATC Reverse TTCACACAGGTATGGTAGTCTGGTG AGCCATTGACACTCAGTAAGCAAC Product
Length
138 bp 113 bp
PDCD2
Forward GGCTGACAGACTGGGCAAG AGTTTACAGGGCCTTTCCATTTG Reverse CATCCTGCTTCCACACAAATTC ACACAGATGCCAAGTCGGTG Product
Length
RNASEH2C
Forward GCTTCATTGGAGCCACTGC AGAAGCCCTTCCTCACCCTC Reverse AAGGCTGGGCCAAGTTAAGG CAGCCTGGTAGCACAAGTGG Product
Length
107 bp 125 bp
TMED5
Forward CTGCTTAGAGCATTTGAAGCTCG TTTGGGGGGACAATCCTAAAG Reverse GACACCACCACCATGACCAC AGACCTGGCAACCACGAATC Product
Length
104 bp 109 bp
KRAS
Forward ATTGATGGAGAAACCTGTCTCTTG ACACCCCCACAGAGCTAACTG Reverse GCAAATACACAAAGAAAGCCCTC AATTGGCACTCAAAGGAAAAATG Product
Length
113 bp 112 bp
NRAS
Forward TCGGATGATGTACCTATGGTGC AGGATGTCCGTGGAAGTTGTAAG Reverse TTCAATGAATGGAATCCCGTAAC GCCAAGGAGGCCAATAGTTC Product
Length
114 bp 108 bp
CCND1 (+1N Betaine) (+1N Betaine)
Forward TGCCAGGAGCAGATCGAAG AGCGGAGTCTGTCCTGTGAC Reverse GCAAGCCAGGTCCACCTC TTACATGTTGGTGCTGGGAAG Product
Length
117 bp 105 bp
CCND2
Forward CTTGCCAGGAGCAGATTGAG AAGAGGTGTGGGTGTCTGTTTG Reverse GGCTTGGTCCAGTTCATCC TGTCACCATCATAGCCAATACAAC Product
Length
101 bp 122 bp
E2F1 (+1N Betaine)
Forward CTCATCCCTCACCACAGATCC TTCACTGATGTGGGCAGGAG Reverse CATGCTCCAGGAGCGAGTC AAGTGCAGATTGGAGGGTGG Product
Length
143 bp 121 bp
FGF2
Forward GTTGGTATGTGGCACTGAAACG CCATCCTTTCTCCCTCGTTTC Reverse TCAGCTCTTAGCAGACATTGGAAG ATGTTTCCCTCCAATGTTTCATTC Product
Length
IMP1
Forward GAACGAGTTGCAGAATTTGACG GCTTATTCTGTAATTGCGGCAAC Reverse CTGACTGGCATAGAAATGTCCG CAGATTAAAGGATGGGAGGAAGG Product
Length
112 bp 105 bp
MAPKAPK3 (+1N Betaine)
Forward GAGGAGATGACCAGTGCCTTG AATGTCTGGTCCTGGCTTGG Reverse AGAGGAGCTGCCTGCCTG TGCGTGTCAGGCACTTGTC Product
Length
126 bp 137 bp
PDRG1
Forward TGGACCTGGACACTAAAAGGAATC TTTCCCTGCTTGATTCCAAGAG Reverse GTCTCAGGGTGAGGCATCTTG GTAAGAGGCGCATCCACTCAC Product
Length
127 bp 117 bp
PDXK (+1N Betaine) (+1N Betaine)
Forward TGTCTCCGTGTTTGTCCCTG GGCTTCGTTTGCCTGGAG Reverse ACGTTTCACAATGAAGACCAGC AAGTCAACAGGACCAGCACG Product
Length
5 肺 癌 細 胞 株 への PABPN1 強 制 発 現
Ameri can Type Cult ure Coll ection (ATC C) よ り 購 入 し た 肺 腺 癌 細 胞 株 H23 へ PABPN1 強 制 発 現 を 行 っ た 。 ベ ク タ ー は 、 EBV 由 来 の 複 製 起 点 OriP と EBV Nucl ear Anti gen 1 (EBNA1) 遺 伝 子 をも つ pEBM ulti-H yg ベ クター (Wako) を使 用 した(図 5)。
ベクターの作 成 過 程 は以 下 の通 りである。
まず、pcDNA3.1/Zeo(+)ベクター (Invitrogen) を制 限 酵 素 XhoI と ApaI で 切 断 し、XhoI_FLAG_ApaI_forward と XhoI_FLAG_ApaI_reverse をそれぞ れ混 和 し 95 ˚C で変 成 の後 に再 会 合 させたオリゴ DNA を ligation すること で、FLAG タグ配 列 を組 み込 んだ。
図 5 pEBMulti-Hyg ベクター
EBV 由 来 の 複 製 起 点 OriP と EBNA1 遺 伝 子 、 ハ イ グ ロマ イ シン 耐 性カセ ッ ト をも つ 。
ATCC より購 入 した HEK293t から R NAiso (TaKaR a) を用 いて 抽 出 し た tot al RNA を 用 いて 、3と同 様 の方 法 で cDNA 合 成 を行 なった。 これをテンプレー ト と し て 、 プ ラ イ マ ー PABPN1_NotI_forward と プ ラ イ マ ー PABPN1
_Not I_reverse を 用 いて制 限 酵 素 認 識 配 列 を両 端 に含 む PABPN1 を PCR で増 幅 し、pGEM-T Easy (Promega) に TA クローニングした。このプラスミド を制 限 酵 素 NotI で切 断 して得 たインサートを、同 じく NotI で切 断 した FLAG タグ付 きの pcDNA3.1/Zeo(+)ベクターと ligation し pcDNA_PABPN1_FLAG を得 た。
こ れ を テ ン プ レ ー ト と し 、 プ ラ イ マ ー PABPN1 _KpnI_forward と プ ラ イ マ ー
PABP N1_ Sal I_revers e を用 いて 両 端 の制 限 酵 素 配 列 と FLAG タグ配 列 を 含 む PABPN1 を PCR で増 幅 し、pGEM-T Easy (Promega) に TA クローニ ングした。このプラスミドを制 限 酵 素 KpnI, SalI で切 断 して得 たインサートを 、 同 じく KpnI, SalI で切 断 した pEBMulti-Hyg ベクター (Wako) と ligation し、 得 られたプラスミド pEB_PABPN1_FLAG を PABPN1 導 入 用 のベクターとし た。コントロールベクターとしては元 の pEBMulti_Hyg を用 いた。
ベクター作 成 に用 いたプライマー配 列 を以 下 に示 す。 Primer
XhoI_FLAG_ApaI_forward TCGAGGATTACAAGGACGACGATGACAAGTAGGGGCC XhoI_FLAG_ApaI_reverse CCTACTTGTCATCGTCGTCCTTGTAATCC
PABPN1 _NotI_forward GCGGCCGCAGTCTGAGCGGCGATG
PABPN1 _NotI_reverse CATCATGGTATTCCCCTTACAAGCGGCCGC PABPN1 _KpnI_forward GGTACCGCAGATATCCAGCACAGTGGC PABPN1_ SalI_reverse GTCGACTGATCAGCGGGTTTAAACGG
H23 を、10%FBS 入 りの RPM I-1640 培 地 (Wako) を 用 いて 37 ˚C の C O2 インキュベーターにて培 養 した。total RNA は RNAiso (TaKaRa) を用 いて 抽 出 した。作 成 した PABPN1 発 現 ベクターとコントロールベクターを H23 細 胞 に ViaFect Transfection Reagent (Promega) を用 いてリポフェクションし、
48 時 間 後 よりハイ グロマイシン B (Wako) による薬 剤 選 択 を行 った。リポフェ ク シ ョ ン は プ ラ ス ミ ド 1 μg あ た り 試 薬 3 μl を 使 用 し 、 5 ~ 20 分 室 温 に て
incubate した。ハイ グロマイシン B の濃 度 は 400 μ g/ml とした。薬 剤 選 択 後 、 ハイグロマイシン B を除 去 してから 72 時 間 後 に Complete Mini プロテアー ゼ阻 害 薬 (Roche) を加 えた RIPA buffer (PBS, 1% NP -40, 0.5% sodium
deox ycholat e, 0 .1% SDS) によるタ ンパク 質 抽 出 、RNAis o (TaKaR a) によ る total RNA 抽 出 を 行 った 。
違 いをリアルタイム PCR およびウエスタンブロッティングによって調 べた。リア ル タ イ ム PCR は 3 と 同 様 に random hexamer に よ る cDNA 合 成 の 後 、
THUNDER B IRD S YBR qPCR Mix ( To yobo) を用 いて tripli cate で行 った 。 内 在 性 コントロールとして HPRT1 遺 伝 子 を用 い ddCt 法 により定 量 を行 った。 ウエスタンブロッティングは 、Tris-SDS β-ME sample buffer (Cosmo Bio) と 共 に 95 ˚C で 5 分 incubate したタンパク質 を 5–20%グラディエントポリアクリ ルアミドゲル (SuperSep Ace; Wako) に 1 レーンあたり 30 μg 注 入
し、Tris-gl ycine-S DS running buffer (0.1% S DS, 25 mM Tris Bas e, 192 mM Gl ycine) 中 で 電 気 泳 動 し た 。H ybond P (GE heal thcare) に 転 写 し 、3%ス キムミルクにて室 温 で 1 時 間 ブロッキングを行 った後 、一 次 抗 体 と 4 ˚C で一 晩 、二 次 抗 体 と室 温 で 1 時 間 反 応 させた。PABPN1 抗 体 は 2 種 類 使 用 し た。タンパク質 の検 出 は ECL Prime (GE healthcare) を用 いて行 った。 また、PABPN1 強 制 発 現 を行 った細 胞 とコントロールの細 胞 で、3’UTR 短 縮 の程 度 を4と同 様 の方 法 でリアルタイム PCR を triplicate で行 い評 価 した。こ の 際 、 10 個 の 指 標 遺 伝 子 に 加 え 、 CCND2 と NRAS に つ い て も 同 様 に 3’UTR 短 縮 の程 度 を調 べた。さらに、CCND2 タンパク産 生 量 の違 いを先 述 と同 様 の方 法 でウエスタンブロッティングによって調 べた。
使 用 した抗 体 と希 釈 率 の一 覧 を以 下 に示 す。
タンパク 抗体 希釈率
PABPN1 ① 一次抗体 ab75855; abcam 1:5000 二次抗体 sc-2030; Santa Cruz Biotechnology 1:1500 PABPN1 ② 一次抗体 sc-33007; Santa Cruz Biotechnology 1:500
二次抗体 sc-2350; Santa Cruz Biotechnology 1:2000
CCND2 一次抗体 ab-3085; abcam 1:50
二次抗体 sc-2005; Santa Cruz Biotechnology 1:1500 β-actin 一次抗体 A5441; SIGMA-ALDRICH 1:20000
二次抗体 sc-2060; Santa Cruz Biotechnology 1:20000 FLAG 一次抗体 F-1804; SIGMA-ALDRICH 1:1000
二次抗体 sc-2005; Santa Cruz Biotechnology 1:3000
さらに、PABPN1 発 現 ベクターを導 入 した H23 細 胞 とコントロールベクターを 導 入 した H23 細 胞 で増 殖 曲 線 を作 成 し、増 殖 速 度 の違 いを評 価 した。2ml プ レ ー ト に 2×104 個 ず つ 細 胞 を 蒔 き 、 1 、 3 、 5 、 7 日 後 に ト リ プ シ ン -EDTA
(Gi bco) で剥 がし て回 収 し TC 10 全 自 動 セルカウンター (Bi o-Rad) を 用 い て計 測 した。各 3 well の計 測 を triplicate で行 った。
6 臨 床 データ収 集 および統 計 解 析 全 症 例 におい て、 診 療 記 録 を も とに臨 床 病 理 学 的 データ を 抽 出 し た 。診 断 は病 理 学 的 所 見 に基 づき、TNM 分 類 第 7 版 (76)によって病 期 を決 定 した。 術 後 経 過 観 察 は 6 か月 ごとに行 った。本 研 究 では肺 癌 再 発 をエンドポイント と し 、 手 術 日 か ら 肺 癌 再 発 ま で を 無 再 発 期 間 と し て 計 測 し た 。 無 再 発 症 例 に お いて 、 肺 癌 以 外 に よ る 死 亡 は 打 ち 切 りとし て 扱 っ た 。 再 発 形 式 によ っ て 、 同 側 胸 腔 内 お よ び 同 側 リ ン パ 節 に お け る 再 発 を 局 所 領 域 再 発
(locoregional recurrence) 、 そ れ 以 外 を 遠 隔 再 発 (dist ant recurrence) に 分 類 した。
統 計 解 析 は全 て JMP 11 software (SAS Institute, Cary, NC, USA) を用 い て行 った。APA スコアのカットオフ値 は肺 癌 再 発 に関 する ROC 曲 線 を描 い て決 定 した。APA スコアと関 連 遺 伝 子 の発 現 量 および臨 床 病 理 学 的 特 徴 と の関 係 は Student’s t-test、Welch’s method および χ2-test によって解 析 し た。APA スコアと positron emission tomography ( PET) 検 査 における腫 瘍 の the maximum standardized uptake values (SUVmax) と の 相 関 は
Pearson correlat ion coeffi cient に よ っ て 評 価 し た 。 肺 癌 無 再 発 率 は Kaplan-Meier 法 によ って計 算 し log-rank t est で比 較 した 。予 後 因 子 につい ての多 変 量 解 析 は Cox 比 例 ハザードモデルを用 いて行 った。
結 果 1 指 標 遺 伝 子 の選 択 Rmodel によ るマイク ロアレイデータ解 析 結 果 を検 討 し 、 GS E10245 データ セ ットに含 まれていた肺 腺 癌 40 例 のうち 20 例 以 上 で 3’UTR 短 縮 がみられた 16 遺 伝 子 を抽 出 した 。この 16 遺 伝 子 全 てにおいて、GS E10245 データセッ トに含 まれていた肺 扁 平 上 皮 癌 18 例 のうち 11 例 以 上 で 3’UTR 短 縮 がみ られた。肺 腺 癌 および肺 扁 平 上 皮 癌 における rmodel 解 析 結 果 を以 下 に示 す。 肺 腺 癌 40 例 の う ち 20 例 以 上 で 3’UTR 短 縮 が み ら れ た 16 遺 伝 子 S S R 1 METTL9 TMED 5 ND F IP2 S C AMP1 R B M33 C 1orf 107 ES YT 2 S MC 1A C 1orf 52 HN 1L MAPK9 MUC20 EP N3 P DCD2 RNA S EH 2C 合計 33 31 31 30 27 26 23 22 24 22 22 22 21 20 20 20 GSM258551 1 0 1 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 GSM258552 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0 1 0 0 1 0 0 GSM258554 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 GSM258558 0 1 1 1 0 1 1 1 0 1 0 0 1 0 0 1 GSM258559 1 1 1 1 1 1 0 1 0 0 1 1 1 0 0 1 GSM258560 1 1 1 1 1 1 0 0 0 1 0 1 0 1 1 0 GSM258561 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 GSM258564 0 0 1 1 0 1 1 0 1 0 0 1 1 1 0 0 GSM258567 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 0 1 GSM258568 1 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 1 1 1 1 1 GSM258569 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 1 0 1 1 1 GSM258571 1 1 0 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0
GSM258572 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 GSM258573 0 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 GSM258574 1 1 1 1 0 1 0 0 0 1 1 1 0 0 1 0 GSM258575 0 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 0 0 1 0 1 GSM258576 1 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 GSM258577 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0 0 1 1 GSM258579 1 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 0 0 0 0 1 GSM258581 1 1 1 0 1 1 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 GSM258582 1 1 1 1 0 1 0 1 1 1 0 1 1 0 1 1 GSM258584 1 0 0 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 GSM258586 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 GSM258587 0 0 1 1 0 0 0 1 0 0 1 1 0 0 1 0 GSM258588 1 1 0 0 1 1 0 1 1 1 1 1 0 0 0 1 GSM258589 1 1 1 1 0 0 1 0 1 1 0 0 1 0 1 0 GSM258591 1 1 1 1 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 GSM258592 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 GSM258593 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 1 1 0 1 GSM258595 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0 1 0 1 1 1 0 GSM258597 1 0 1 1 1 1 0 0 1 0 0 1 0 1 1 0 GSM258598 1 0 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 GSM258600 1 1 1 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 1 1 1 GSM258601 0 1 0 1 0 1 0 1 1 1 0 1 0 1 1 0 GSM258602 1 1 0 0 1 1 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 GSM258604 1 1 0 1 1 1 1 0 0 1 0 0 1 0 0 0 GSM258605 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 0 0 0 0 GSM258606 1 0 1 0 1 0 1 1 1 1 0 0 0 0 1 0 GSM258607 1 0 1 0 1 1 0 0 1 0 1 1 1 0 0 0 GSM258608 1 1 1 1 0 0 1 0 1 0 1 1 1 0 0 1 1, 3’UTR 短 縮 あり、0, 3’UTR 短 縮 なし
肺 扁 平 上 皮 癌 における上 記 16 遺 伝 子 の 3’UTR 短 縮 の有 無 S S R 1 METTL9 TMED 5 ND F IP2 S C AMP1 R B M33 C 1orf 107 ES YT 2 S MC 1A C 1orf 52 HN 1L MAPK9 MUC20 EP N3 P DCD2 RNA S EH 2C 合計 18 17 17 18 18 17 11 14 14 18 18 15 17 12 12 18 GSM258553 1 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 0 1 GSM258555 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 GSM258556 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 GSM258557 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0 1 GSM258562 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 GSM258563 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 GSM258565 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0 1 1 GSM258566 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 GSM258570 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 GSM258578 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 0 1 GSM258580 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 0 1 GSM258583 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 GSM258585 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 GSM258590 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 GSM258594 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 GSM258596 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 GSM258599 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 GSM258603 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1, 3’UTR 短 縮 あり、0, 3’UTR 短 縮 なし
次 に、当 院 で採 取 された肺 癌 切 除 検 体 7 例 と正 常 肺 組 織 8 例 を用 いて、
16 遺 伝 子 に おける 3’UTR 短 縮 の程 度 を リアルタイ ム PC R によって評 価 し た。それぞれの遺 伝 子 について ddCt2-ddCt1、すなわち-log2(正 常 肺 組 織 と比 較 した肺 癌 における完 全 長 mRNA 割 合 の比 )を算 出 して縦 軸 にとると 図 6 のようになった。肺 癌 組 織 における 3’UTR 短 縮 の程 度 が強 かった上 位
10 遺 伝 子 (C1orf52, DIEXF, ES YT2, HN1L, MUC 20, NDFIP 2, R BM 33, SCAMP1, S MC1A, SSR1) を 、肺 癌 における 3’UTR 短 縮 の 指 標 遺 伝 子 と して選 択 した。以 降 の検 討 では、この 10 個 の指 標 遺 伝 子 のうち「3’UTR 短 縮 あり」と判 定 された遺 伝 子 の数 、すなわち完 全 長 mRNA の割 合 が正 常 肺 組 織 に比 べ半 分 未 満 となった遺 伝 子 の数 を APA スコアと定 義 し、この値 に よって 3’UTR 短 縮 の程 度 を評 価 した。 図 6 rmodel によって選ばれた 16 遺伝子の 3’UTR 短縮程度 縦 軸 は -log2(正常肺組織と比較した肺癌における完全長 mRNA 割 合 の 比 )で あ る 。 例 え ば これ が 1 の と き、 3’UTR の 長 い mRNA の 割 合 が正常肺組織 に比べ肺癌 切除 検 体 に おい て 1/2 になっている ことを 表す 。
一 方 、過 去 の文 献 において 3’UTR 短 縮 が起 こりやすいとされていた 10 遺 伝 子 (KRAS, NRAS, CCND1, CCND2, E2F1, FGF2, IMP1, MAPKAPK3,
PDRG1, PDXK) に ついても肺 癌 切 除 検 体 7 例 と正 常 肺 組 織 8 例 を用 いて 同 様 に 3’UTR 短 縮 の程 度 を評 価 した 。結 果 は図 のようになり、CCND2 と
NRAS では 3’UTR 短 縮 がみら れたものの、それ以 外 の遺 伝 子 では rmodel によって選 ばれた指 標 遺 伝 子 に比 べ 3’UTR 短 縮 の程 度 は小 さかった。
図 7 過去の文献から選ばれた 10 遺伝子の 3’UTR 短縮程度 図 6 の rmodel に よ っ て選 ん だ 16 遺伝子と 比 較す る と 、 CCND2 と NRAS 以 外 の 遺 伝 子で は 3’UTR 短縮程度 が小さ かった。
2 APA スコアと腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 原 発 性 非 小 細 胞 肺 癌 147 例 の肺 癌 サンプルおよび非 喫 煙 者 10 例 の正 常 肺 サンプルを解 析 した。臨 床 病 理 学 的 特 徴 を表 1 に示 す。 表 1 非 小 細 胞 肺 癌 手 術 症 例 の臨 床 病 理 学 的 特 徴 Tumor tissues (n = 147) Normal tissues (n = 10) Age (years) Median, range 69, 34-85 65, 55-75 <70 (%) 74 (50) 7 (70) ≥70 (%) 73 (50) 3 (30) Gender (%) Male 84 (57) 3 (30) Female 63 (43) 7 (70) Smoking habit (%) Negative history 54 (37) 10 (100) Positive history 93 (63) 0 (0) Histological type (%) Adenocarcinoma 122 (83) 10 (100) Squamous cell carcinoma 18 (12) 0 (0)
Others 7 (5) 0 (0) Disease stage (%) IA 68 (46) 10 (100) IB 39 (27) 0 (0) IIA 10 (7) 0 (0) IIB 9 (6) 0 (0) IIIA 21 (14) 0 (0)
T factor (%) T1 75 (51) 10 (100) T2 58 (39) 0 (0) T3 14 (10) 0 (0) N factor (%) N0 117 (80) 10 (100) N1 10 (7) 0 (0) N2 20 (14) 0 (0) EGFR mutation (%) Negative 75 (51) − Positive 41 (28) − Exon 19 15 − Exon 21 26 − Unknown 31 (21) − Lymphatic invasion (%) Negative 115 (78) 10 (100) Positive 32 (22) 0 (0) Vascular invasion (%) Negative 96 (65) 10 (100) Positive 51 (35) 0 (0) Adjuvant chemotherapy (%) Negative 110 (75) 10 (100) Positive 37 (25) 0 (0) Recurrence Negative 107 (73) 10 (100) Positive 40 (27) 0 (0) Locoregional 13 − Distant 27 −
APA ス コ ア の カ ッ ト オ フ 値 の 設 定 お よ び 検 証 を 行 う た め に 、 対 象 症 例 を 、 2005 年 6 月 から 2006 年 9 月 までに採 取 した 肺 癌 組 織 47 例 と正 常 肺 組 織 4 例 から なるトレーニングセットおよび 2006 年 10 月 から 2009 年 5 月 までに 採 取 した肺 癌 組 織 100 例 と正 常 肺 組 織 6 例 からなるテストセットの 2 群 に分 けた。2 群 間 における臨 床 病 理 学 的 特 徴 の比 較 を表 2 に示 す。 表 2 トレーニングセットとテストセットの比 較
Training set Test set Tumor tissues (n = 47) Normal tissues (n = 4) Tumor tissues (n = 100) Normal tissues (n = 6) P (Tumor tissues) Age (years) Median, range 67, 34-83 61, 55-75 70, 41-85 66, 61-75 <70 (%) 26 (55) 3 (75) 48 (48) 4 (67) NS ≥70 (%) 21 (45) 1 (25) 52 (52) 2 (33) Gender (%) Male 32 (68) 0 (0) 52 (52) 3 (50) NS Female 15 (32) 4 (100) 48 (48) 3 (50) Smoking habit (%) Negative history 13 (28) 4 (100) 41 (41) 6 (100) NS Positive history 34 (72) 0 (0) 59 (59) 0 (0) Histological type (%) Adenocarcinoma 36 (77) 4 (100) 86 (86) 6 (100) NS Squamous cell carcinoma 9 (19) 0 (0) 9 (9) 0 (0)
Disease stage (%) IA 16 (34) 4 (100) 52 (52) 4 (67) NS IB 13 (28) 0 (0) 26 (26) 2 (33) IIA 5 (11) 0 (0) 5 (5) 0 (0) IIB 4 (9) 0 (0) 5 (5) 0 (0) IIIA 9 (19) 0 (0) 12 (12) 0 (0) T factor (%) T1 20 (43) 4 (100) 55 (55) 4 (67) NS T2 22 (47) 0 (0) 36 (36) 2 (33) T3 5 (11) 0 (0) 9 (9) 0 (0) N factor (%) N0 33 (70) 4 (100) 84 (84) 6 (100) NS N1 5 (11) 0 (0) 5 (5) 0 (0) N2 9 (19) 0 (0) 11 (11) 0 (0) EGFR mutation Negative 31 (66) − 44 (44) − NS Positive 15 (32) − 26 (26) − Exon 19 6 − 9 − Exon 21 9 − 17 − Unknown 1 (2) − 30 (30) − Lymphatic invasion (%) Negative 34 (72) 4 (100) 81 (81) 6 (100) NS Positive 13 (28) 0 (0) 19 (19) 0 (0) Vascular invasion (%) Negative 27 (57) 4 (100) 69 (69) 6 (100) NS Positive 20 (43) 0 (0) 31 (31) 0 (0) Adjuvant chemotherapy (%) Negative 33 (70) 4 (100) 77 (77) 6 (100) NS Positive 14 (30) 0 (0) 23 (23) 0 (0)
Recurrence
Negative 34 (72) 4 (100) 73 (73) 6 (100) NS Positive 13 (28) 0 (0) 27 (27) 0 (0)
Locoregional 5 − 8 −
Distant 8 − 19 −
NS, not si gni fi cant.
観 察 期 間 中 央 値 はトレーニングセットで 78 か月 、テストセットで 58 か月 であ った。
原 発 性 非 小 細 胞 肺 癌 147 例 と正 常 肺 組 織 10 例 について APA スコアを決 定 した。肺 癌 および正 常 肺 における APA スコアの分 布 を表 3、図 8 に示 す。 表 3 肺 癌 および正 常 肺 における APA スコアの分 布 APA ス コ ア 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 正 常 肺 組 織 9 1 0 0 0 0 0 0 0 0 腺 癌 25 24 12 11 18 12 8 6 5 1 扁 平 上 皮 癌 1 0 0 3 2 3 3 3 3 0 そ の 他 0 1 1 2 1 1 0 0 1 0 APA スコアの中 央 値 はそれぞれ、正 常 肺 組 織 0、腺 癌 2.5 、扁 平 上 皮 癌 5.5、 その他 3 であり、図 8 に示 すように腺 癌 に比 べ扁 平 上 皮 癌 やその他 で APA スコアが高 い傾 向 があった。 図 8 正常肺および肺癌における APA スコアの分布 腺 癌( 赤)と 比較 し 、扁平 上 皮 癌( 緑 )や そ の他( 紫 )にお い て APA ス コ ア が 高 い 傾 向 が あ っ た 。
APA スコアの 最 適 なカットオフ値 はトレーニングセットにおける ROC 曲 線 よ り 5 と決 定 さ れ 、 テス ト セッ トの 結 果 か ら も こ の値 が 最 適 で あ る と 確 か めら れた 。 再 発 をエンドポイントとしたそれぞれの ROC 曲 線 を以 下 に示 す。 図 9 再発をエンドポイントとした APA スコアの ROC 曲線 ト レ ー ニ ン グ セ ッ ト 、 テ ス ト セ ッ ト の い ず れ に お い て も 、 APA ス コ ア の 閾 値 を 5 と 設定するのが最適 という 結果であった。
3’UTR 短 縮 の程 度 と臨 床 病 理 学 的 な特 徴 との関 係 を 表 4 に 示 す。 APA スコア高 値 は T2 以 上 、リンパ節 転 移 陽 性 、血 管 浸 潤 陽 性 と有 意 に 相 関 しており、非 腺 癌 および術 後 補 助 化 学 療 法 施 行 例 が多 かった 。EGFR 遺 伝 子 変 異 の有 無 とは有 意 な相 関 を認 めなかった。 APA スコア高 値 群 におい て肺 癌 再 発 が多 かったが、再 発 形 式 の違 いはみられなかった。 表 4 3’UTR 短 縮 の程 度 と臨 床 病 理 学 的 な特 徴 との関 係 Training set (n = 47) Test set (n = 100) High APA Low APA P High APA Low APA P Age (years) <70 7 19 NS 13 35 NS ≥70 10 11 16 36 Sex Male 16 16 0.01 19 33 NS Female 1 14 10 38 Smoking habit Negative history 1 12 0.03 21 38 NS Positive history 16 18 8 33 Histological type Adenocarcinoma 11 25 NS 21 65 0.03 Others 6 5 8 6 T factor T1 4 16 NS 9 46 0.004 T2, T3 13 14 20 25
N factor N0 9 24 NS 18 66 <0.001 N1, N2 8 6 11 5 Lymphatic invasion Negative 10 24 NS 20 61 NS Positive 7 6 9 10 Vascular invasion Negative 6 21 0.04 12 57 <0.001 Positive 11 9 17 14 EGFR mutation Negative 14 18 NS 19 25 NS Positive 2 13 7 19 Exon 19 0 6 3 6 Exon 21 2 7 4 13 Unknown 1 0 3 27 Adjuvant chemotherapy Negative 10 23 NS 18 59 0.04 Positive 7 7 11 12 Recurrence Negative 8 26 <0.01 12 61 <0.001 Positive 9 4 17 10 Locoregional 3 2 NS 5 3 NS Distant 6 2 12 7
APA スコア高 値 群 と低 値 群 に 分 けて、再 発 をエンドポイ ントに 肺 癌 無 再 発 率 を Kaplan-Meier 法 によって計 算 したところ、図 10 のようになった。log-rank test で比 較 すると、トレーニングセット、テストセットのいずれにおいても APA ス コア高 値 群 が有 意 に予 後 不 良 であった 。 図 10 APA スコアと肺癌無再発率との関係 ト レ ー ニ ン グ セ ッ ト 、 テ ス ト セ ッ ト の い ず れ に お い て も APA ス コ ア 高 値 群 が 有 意 に 予 後 不 良 で あ っ た 。
トレーニングセット、テストセットそれぞれにおいて、再 発 をエンド ポイントとした
log-rank test による単 変 量 解 析 を 行 った 結 果 を表 5 に示 す。APA スコア 高 値 、組 織 型 、T 因 子 、N 因 子 、リンパ管 浸 潤 の有 無 が 2 群 に共 通 する予 後 因 子 であった。
表 5 単 変 量 解 析 による予 後 予 測 因 子 Trai ning set
(n = 47) Tes t s et (n = 100) Haz ard rat io P Haz ard rat io P APA score ≥5 3.9 0.009 5.4 <0.001 Age ≥70 years 1.1 NS 0.6 NS Mal e 3.5 NS 1.7 NS
Positive smoki ng his tor y 2.6 NS 2.3 NS Non -adenocarci nom a 3.1 0.03 2.8 0.02 T2, T3 13.7 <0.001 5.2 <0.001
N1, N2 2.9 0.04 9.7 <0.001
Lym phati c i nvasion (+) 3.3 0.02 5.8 <0.001 Vas cular i nvasi on (+) 1.9 NS 8.2 <0.001 Adjuvant chemotherap y 2.5 NS 4.8 <0.001 NS, not si gni fi cant.
テストセ ット に お いて 、 再 発 を エンド ポイ ン ト とし 、 Cox 比 例 ハザ ードモデルを 用 いた多 変 量 解 析 を行 った結 果 を表 6 に示 す。表 5 に示 した臨 床 病 理 学 的 特 徴 の う ち リ ン パ 管 浸 潤 ・ 血 管 浸 潤 の 有 無 、 術 後 補 助 化 学 療 法 の 有 無 は N 因 子 と交 絡 が非 常 に強 かったため除 外 し、残 る 7 項 目 で解 析 を行 った。 APA スコア 高 値 、リンパ節 転 移 陽 性 および年 齢 70 歳 以 上 が独 立 した予 後 規 定 因 子 であった。 表 6 多 変 量 解 析 による予 後 予 測 因 子 Tes t s et (n = 100)
Haz ard ratio 95% C I P
APA score ≥5 3.0 1.1 – 8.0 0.03
T2, T3 2.6 0.9 – 7.6 NS
N1, N2 4.7 1.8 – 12.5 0.002
Age ≥70 years 0.4 0.1 – 0.8 0.02
Mal e 1.0 0.3 – 3.3 NS
Positive smoki ng his tor y 2.2 0.6 – 7.6 NS Non -adenocarci nom a 1.6 0.6 – 4.2 NS NS, not si gni fi cant; C I, confidence int erval.
そこで、リンパ節 転 移 のない群 とリンパ節 転 移 のある群 に分 け、それぞれにお ける APA スコアと予 後 の関 係 を図 11 に示 した。リンパ節 転 移 のない 117 例 に限 定 した場 合 でも、APA スコア高 値 群 が予 後 不 良 であった。リンパ節 転 移 の あ る 群 では 症 例 数 が 少 な く 有 意 差 に 至 ら なか っ た が、 同 様 の 傾 向 が 認 め られた。 図 11 リンパ節転移の有無で分けた APA スコアと肺癌無再発率との関係 リ ン パ 節転 移 の 有 無 によら ず 、 APA スコア高値群が低値群に比べ予後不良であった。
PET 検 査 は 147 例 のうち 130 例 で術 前 に施 行 され、115 例 (78%) におい て腫 瘍 の SUVmax 値 が測 定 されていた。腫 瘍 の SUVmax 値 は APA スコア と相 関 しており (r = 0.53; P <0.001)、APA スコア低 値 群 に比 べ高 値 群 の方 が腫 瘍 の SUVmax 値 が高 かった (11.8 ± 8.0 vs. 5.6 ± 4.8; P <0.001)。
図 12 APA スコアと PET における腫瘍の SUVmax との関係 青 い 点 が各 症 例で あ り、橙 色 の 線が 近 似曲 線 を表す 。
3 PABPN1 発 現 量 と APA スコア、腫 瘍 の悪 性 度 の関 係 APA 関 連 遺 伝 子 とし て選 択 した 6 遺 伝 子 の発 現 量 と APA スコアの関 係 を 図 11 に示 す。腫 瘍 の APA スコアと PABPN1 遺 伝 子 の発 現 量 とは逆 相 関 の 関 係 にあった (r = 0.53; P <0.001)。APA スコア高 値 群 では、増 殖 マーカー である MKI67、TOP2A、MCM2 が高 発 現 である一 方 、PABPN1、CPEB1 は 低 発 現 であった。 図 13 APA スコアと関連遺伝子発現量との関係 APA ス コ ア 高 値 群 で は 、 増 殖 マ ー カ ー で あ る MKI67、 TOP2A、MCM2 が 高 発 現 で あ る 一 方 、PABPN1、CPEB1 は 低 発 現 であ っ た。 *, P < 0.05; **, P < 0.01; ***, P < 0.001.
肺 癌 および正 常 肺 における PABPN1 遺 伝 子 の発 現 量 の分 布 を図 14 に示 す。正 常 肺 10 例 の平 均 値 を基 準 として log2 スケールで表 した。肺 癌 147 例 における PABPN1 発 現 量 の中 央 値 は-0.3 であり、正 常 肺 での発 現 量 より わずかに少 ない程 度 であった。Dicer と Drosha の低 発 現 が卵 巣 癌 の予 後 不 良 因 子 であることを示 した Merritt らの論 文 (61)に準 じ、PABPN1 および他 の 関 連 遺 伝 子 (CPEB1, MKI67, TOP2A, MCM2, E2F1) について、発 現 量 の中 央 値 をカットオフ値 としてそれぞれ 2 群 に分 けた。
図 14 肺癌および正常肺における PABPN1 発現量の分布 正 常 肺 の平 均 値を 基 準 (0) として log2 スケールで 表 し た 。肺 癌 147 例 に お ける PABPN1 発現量の 中央値は -0.3 であり、これをカットオフ値 と し て 用い た 。
PABP N1 低 発 現 と増 殖 マーカー高 発 現 との相 関 は比 較 的 弱 く、 PABP N1 抑 制 は増 殖 マーカーとは独 立 して 3’UTR 短 縮 に寄 与 していた。
最 近 の報 告 では E2F や CPEB1 が 3’UTR 短 縮 をもたらすと示 されている(21,
24) 。 本 研 究 で は APA ス コ ア と E2F1 発 現 量 の 有 意 な 相 関 は 見 出 せ ず 、 CPEB1 は 逆 に 、APA スコア 高 値 群 で発 現 量 が 少 な い結 果 と なっ た 。さら に CPEB1 発 現 量 は 肺 癌 組 織 に お いて著 明 に抑 制 されていた 。 図 15 PABPN1 発現量と関連遺伝子発現量との関係 PABPN1 発 現 量 に よ っ て 中 央 値 で 2 群 に 分 け て 比 較 し た 。 PABPN1 低 発 現 と 増 殖 マ ー カ ー 高 発 現 と の 相 関 は 比 較 的 弱 か っ た 。 **, P < 0.01; ***, P < 0.001.
PABP N1 遺 伝 子 の 発 現 量 によっ て中 央 値 で 2 群 に分 け、再 発 をエンドポイ ントに肺 癌 無 再 発 率 を Kaplan-Meier 法 によって計 算 したところ、図 16 のよ うに なった 。log-rank test で比 較 すると、トレーニングセット、テストセットのい ずれにおいても PABPN1 低 発 現 群 は高 発 現 群 に比 べ予 後 不 良 であった。 図 16 PABPN1 発現量と肺癌無再発率との関係 ト レ ー ニ ン グ セ ッ ト 、 テ ス ト セ ッ ト の い ず れ に お い て も PABPN1 低 発 現 群 は 高 発 現 群 に 比 べ 有 意 に 予 後 不 良 で あ っ た 。
3’UTR 短 縮 を制 御 する遺 伝 子 の発 現 量 が患 者 の予 後 に 与 え る影 響 を 調 べ るた め に 、ト レーニ ン グセ ット 、 テス トセ ット それ ぞ れに おい て 、 再 発 を エ ンド ポ イントとした log-rank test による単 変 量 解 析 を行 った結 果 を表 7 に示 す。 PABP N1 遺 伝 子 の低 発 現 のみ が 2 群 に共 通 して有 意 な 予 後 不 良 因 子 であ った。 表 7 関 連 遺 伝 子 の発 現 量 と予 後 との関 係 (単 変 量 解 析 ) Trai ning s et (n = 47) Tes t s et (n = 100) Haz ard rat io P Haz ard rat io P Loss of PABP N1 * 3.7 0.02 5.3 <0.001 Loss of CPEB1 * 0.7 NS 3.4 0.003 Gai n of MK I67 * 1.5 NS 4.2 <0.001 Gai n of TOP 2A * 1.5 NS 5.3 <0.001 Gai n of MCM2 * 2.9 NS 2.2 0.04 Gai n of E2F1 * 1.0 NS 2.9 0.008 * 各 遺 伝 子 発 現 量 の 中 央 値 を カ ッ ト オ フ 値 と し て 、 高 発 現 群 と 低 発 現 群 の 2 群 に 分 け た 。 NS, not si gni fi cant
テストセットにおいて、再 発 をエンドポイントとし、 APA に関 連 する 6 遺 伝 子 の 発 現 量 について Cox 比 例 ハザードモデルを用 いた多 変 量 解 析 を行 った結 果 を表 8 に示 す。PABPN1 低 発 現 と E2F1 高 発 現 が独 立 した予 後 不 良 因 子 であることが示 された。 表 8 関 連 遺 伝 子 の発 現 量 と予 後 との関 係 (多 変 量 解 析 ) Tes t s et (n = 100)
Haz ard ratio 95% C I P Loss of PABP N1* 3.5 1.3 – 11.3 0.01 Loss of CPEB1 * 2.1 0.8 – 5.8 NS Gai n of MK I67 * 1.7 0.5 – 6.2 NS Gai n of TOP 2A * 2.1 0.5 – 9.0 NS Gai n of MCM2 * 0.4 0.1 – 1 .3 NS Gai n of E2F1 * 3.9 1.3 – 13.6 0.02 * 各 遺 伝 子 発 現 量 の 中 央 値 を カ ッ ト オ フ 値 と し て 、 高 発 現 群 と 低 発 現 群 の 2 群 に 分 け た 。 NS, not si gni fi cant ; C I, confidence int erval.