はじめに
多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は, 難治性の形質細胞性腫瘍であるが,新たな治療 薬の開発や治療法の進歩により,治療成績は向 上している.治療法と代表的薬剤の推移を図 1 に示す.1960 年代以降,メルファラン(mel-phalan)とプレドニゾン(prednisone)の併用 によるMP療法がgold standardとして広く用い られてきた.1980年代には,大量メルファラン を用いた自家造血幹細胞移植が開発され,従来 の化学療法に比べて明らかに良好なevent-free survival(EFS)を示したことから,若年者の初 期治療に組み入れられた.1990 年代後半には, 免疫調節薬のサリドマイド(thalidomide)やレ ナリドミド(lenalidomide),プロテアソーム阻 害薬(proteasome inhibitor:PI)のボルテゾミ ブ(bortezomib)といった新規薬剤が導入され, 2015年には,新規免疫調節薬のポマリドミドお よびヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(histone deacetylase inhibitor:HDACi)のパノビノスタッ トが再発・難治性骨髄腫を適応症として承認さ れ た.2001~2005 年 と 2006~2010 年 の 5 年 間の生存率を比較してみると,特に65歳を超え る患者の生存率の向上が明らかとなっており, 新 規 薬 剤 の 果 た し た 役 割 は 極 め て 重 要 で あ る1).本稿では,多発性骨髄腫の標準治療につ いて概説する.1.未治療多発性骨髄腫の標準治療
骨髄腫では,65歳未満で重篤な感染症や肝・ 腎機能障害がなく,心肺機能に問題がなけれ ば,自家移植併用大量化学療法を組み込んだ治 療を行う.一方,65 歳以上あるいは 65 歳未満 でも合併症があれば,原則移植は行わない.以多発性骨髄腫に対する標準治療
要 旨 伊藤 薫樹1) 高野 幹2) 多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の治療成績は,新規薬剤の導 入により深い奏効が得られるようになったことや,再発難治例にも有効な 治療薬が登場したことにより改善している.若年者の初回標準治療は,新 規薬剤を組み込んだ寛解導入療法に続く自家移植併用大量化学療法であ る.この 10 年の骨髄腫の治療成績向上は,高齢者の標準治療の進歩によ るところが大きい.再発難治例に対する新規薬剤の開発が進む中,今後, さらに標準治療が変化していくものと思われる. 〔日内会誌 105:1238~1245,2016〕 Key words 自家移植,プロテソーム阻害薬,免疫調節薬,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 1)岩手医科大学腫瘍内科学科,2)同 内科学講座血液腫瘍内科分野Multiple myeloma: from diagnosis to the up-to-date treatment. Topics:VI. Standard treatment for multiple myeloma.
Shigeki Ito1) and Motoki Takano2):1)Department of Medical Oncology, Iwate Medical University School of Medicine, Japan and 2)Department of
下に,移植適応と移植非適応骨髄腫の標準治療 について述べる. 1)移植適応骨髄腫の治療(図2) 2) (1)寛解導入療法 寛解導入療法は,自家移植施行前の腫瘍量の 図1 多発性骨髄腫の治療の変遷 MP:メルファラン+プレドニゾン,VAD:ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 MP療法 2020年代 VAD療法 自家移植併用 大量化学療法 移植 抗がん剤 サリドマイド ボルテゾミブ レナリドミド 新規薬剤 ポマリドミド パノビノスタット 図2 未治療移植適応骨髄腫の治療アルゴリズム B:ボルテゾミブ,D:デキサメタゾン,L:レナリドミド,d:少量デキサメタゾン,A:ド キソルビシン,T:サリドマイド,C:シクロホスファミド,HD-CPA:大量シクロホスファ ミド,HD-MEL:大量メルファラン *国内適用外,**国内未承認 (日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン.2013年版より引用) 推奨導入療法 新規薬剤を含む 2剤導入療法 BD,Ld (3 ~ 4コース) 推奨導入療法 新規薬剤を含む 3剤導入療法 BAD,BTD* (3 ~ 4コース) その他の導入療法 従来の治療 VAD,HDD 新規薬剤を含む治療 CBD,TD*,TAD*,BLd (3 ~ 4コース) G-CSF単独,HD-CPA+G-CSF または Plerixafor**などで末梢血幹細胞採取 大量化学療法(HD-MEL)/自家移植 経過観察 または 臨床試験による地固め・維持療法:B,T,L±corticosteroid またはタンデム移植 移植適応のある初発症候性骨髄腫 (65歳未満,重篤な合併症なし,心肺機能正常)
減少程度がその後の予後に影響することから, 著しい奏効が期待されるレジメンが選択され る.以前は,ビンクリスチン(vincristine)+ド キソルビシン(doxorubicin)+デキサメタゾン (dexamethasone) の 3 剤 併 用 療 法(VAD療 法) が標準導入療法として行われていた.しかし, 近年,いくつかの臨床試験の結果,ボルテゾミ ブを含む寛解導入療法の高い有効性が示され, 現 時 点 で は ボ ル テ ゾ ミ ブ + デ キ サ メ タ ゾ ン (BD)療法,ボルテゾミブ+ドキソルビシン+ デキサメタゾン(BAD)療法,ボルテゾミブ+ シクロホスファミド(cyclophosphamide)+デキ サメタゾン(CBD)療法などの導入療法が推奨 されている3).しかし,3剤併用レジメンは2剤 併用レジメンよりも毒性が高く,また,日本に おける臨床試験成績は限られていることから, 治療には十分な注意が必要である.2015 年 12 月に未治療骨髄腫に対するレナリドミド使用が 承認されたことから,日本でもレナリドミド+ デキサメタゾン(Ld)療法による寛解導入療法 が可能となった. (2)自家移植併用大量化学療法 ①造血幹細胞採取 造血幹細胞採取は寛解導入療法 3~4 コース 施行後に行われる.Granulocyte-colony stimulat-ing factor(G-CSF)単独あるいはシクロホスファ ミド大量療法後にG-CSFを併用して採取する.1 回の自家移植につき,CD34 陽性細胞数として, 2.0×106/kg以上を採取・凍結保存する.幹細胞 動 員 が 不 良 な 例 で は ケ モ カ イ ン レ セ プ タ ー CXCR4 の ア ン タ ゴ ニ ス ト で あ るplerixaforを G-CSFと併用することで十分量の幹細胞動員が 期待できる(国内未承認).なお,Ld療法4コー ス以降は幹細胞採取効率が低下するため,4 コース目までにシクロホスファミド大量療法後 にG-CSFを併用し採取する4). ②自家移植併用大量化学療法 自家移植の移植前処置の標準レジメンは,メ ルファラン大量療法(200 mg/m2)である.現 時点では,寛解導入療法に引き続いて 1 回の自 家移植(シングル移植)を行うことが推奨される. a)タンデム移植の意義 自家移植を 1 回あるいは 2 回行う(タンデム 移植)かについては,これまで 5 つのランダム 化比較試験が報告されている.そのほとんどの 試験でタンデム移植によりEFSの延長は認めら れたものの,overall survival(OS)の延長効果 が認められたのは1試験のみであった5).Attalら
は,1 回 目 の 自 家 移 植 後 にvery good partial response(VGPR)以上に到達しなかった患者群 で,タンデム移植によりOS benefitが得られるこ とを報告した5).しかしながら,治療関連毒性 や新規薬剤の導入による治療成績の向上から, タンデム移植の意義は低下しつつある.一方, 新規薬剤を用いた最近の試験結果によれば, t(4;14)転座や17p欠失といった高リスク染色 体異常を有する例には,タンデム移植により benefitが得られることが示唆されている6). b)Upfront移植の意義 自家移植の時期について,移植を初期治療の 一部あるいは再発時の救援療法として行うかに ついての議論がある.新規薬剤導入以前は,早 期に自家移植を行うことが一般的であった.し かし,新規薬剤時代に入り,より著しい奏効が 得られるようになったことから,初期治療とし て自家移植を行うことの意義を明らかにする臨 床試験が行われてきた.Attalらは,2015年の米 国血液学会において,ボルテゾミブ+レナリド ミド+デキサメタゾン(BLD)療法による導入 療法後にランダム化し,自家移植+BLDによる 地固め療法+レナリドミド維持療法を行う群 と,BLDによる地固め療法後にレナリドミド維 持療法を行う群(再発時に自家移植を施行)の ランダム化比較試験の結果を報告し,新規薬剤 時代においても,初期治療として自家移植の実 施が有用であることを明らかにした7). (3)地固め・維持療法 自家移植後の著しい奏効の達成が正の予後因
子であることから,移植適応患者ではより著し い奏効を目指すことが治療の目標となる8).移 植後に治療を追加することで,より著しい奏効 を目指す地固め療法と,移植や地固め療法によ り得られた奏効を長期間維持する維持療法が臨 床試験により行われてきた.現時点では,これら の移植後治療によるOS延長のエビデンスは明 らかではないため,臨床試験として実施すべき である. 2)移植非適応骨髄腫の治療 1960 年代から新規薬剤登場までの移植非適 応骨髄腫に対する初回標準治療は,MP療法で あった.2000 年代以降,新規薬剤が登場し, MP療法にサリドマイドを加えたMPT療法やボ ルテゾミブを加えたMPB療法がMP療法に比べ て生存期間を延長することが示された9,10).こ れに対し,MP療法にレナリドミドを加えたMPL 療法やMPL療法の後にレナリドミド維持療法を 追加するMPL-L療法は,MP療法に比べて生存期 間の延長を示さなかった11).一方,Ld療法によ る継続治療がMPT療法に比べて生存期間を延 長することが示され12),本邦ではレナリドミド が 2015 年 12 月に未治療の多発性骨髄腫に適応 となった.現在,サリドマイドは初期治療の適 用はないため,移植非適応骨髄腫の初回治療と して,MPBまたはLd療法が推奨される.移植非 適応骨髄腫の治療アルゴリズムを図 3に示す2). 以下に,これらの治療法確立の根拠について述 べる. (1)MPT療法 MP療法にサリドマイドを併用するMPT療法 の優越性が多くの試験で検証された.Fayersら は6つの試験のメタ解析を行い,OS中央値はMP 群 32.7 カ 月,MPT群 39.3 カ 月,PFS(progres-sion-free survival)中央値はMP群14.9カ月,MPT 群20.3カ月であり,MPT群はMP群に比べてOS, PFSともに有意に優れていることが示された9). 現在,MPT療法は海外における未治療移植非適 応骨髄腫の標準治療の 1 つであるが,日本では 図3 未治療移植非適応骨髄腫の治療アルゴリズム B:ボルテゾミブ,M:メルファラン,P:プレドニゾン,T:サリドマイド,C: シクロホスファミド,V:ビンクリスチン,A:ドキソルビシン,D:デキサメタ ゾン,HDD:大量デキサメタゾン,d:少量デキサメタゾン,L:レナリドミド *国内適用外,**新規薬剤レジメンでは至適投与期間に関するエビデンスはない (日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン.2013年版より引用) 移植非適応の初発症候性骨髄腫 (65歳以上,重篤臓器の障害あり,移植拒否) 推奨療法 MPB MPT* (9コース継続**) 持続LD その他の治療法 従来の治療法: MP,CP,VAD,HDD (plateau phaseまで継続**) 新規薬剤レジメン: Bd,Td*, MPL,MPTB*,CTd* 経過観察 または 臨床試験による維持療法
適応外である. (2)MPB療法 MP療 法 と ボ ル テ ゾ ミ ブ の 併 用 療 法 で あ る MPB療法が未治療移植非適応骨髄腫の標準治 療となり得るかを明らかにする目的で,MP療法 とMPB療法のランダム化比較試験が行われた (VISTA試験)10).主要評価項目である無増悪期 間中央値は,MP療法群17カ月,MPB群24カ月 でMPB群が有意に優れていた.さらにOSや次治 療までの期間の有意な延長も示された.この優 越性は,高齢者や腎機能障害などの予後不良因 子を有する患者でも認められた.一方,ボルテ ゾミブの代表的な有害事象である末梢神経障 害,消化器症状,ヘルペスウイルス感染はMPB 群に高頻度に認められた.現在,ボルテゾミブ の投与経路を静注から皮下注にすること,投与 頻度を週 2 回から週 1 回に減らすことにより, 末梢神経障害の発症頻度と重症度が抑えられる ことから,実地臨床で行われている.現在,MPB 療法は未治療移植非適応骨髄腫の代表的な標準 治療となっている. (3)Ld療法 レナリドミド+大量デキサメタゾン(LD)療 法とレナリドミド+少量デキサメタゾン(Ld) 療法を比較するECOG E4A03 試験では,奏効割 合はLD群が良好であったが,Ld療法は毒性が少 なく,2 年OSはLd群が優れていた11).この結果 を踏まえ,前述した標準治療のMPT療法および 18 サイクルのLd療法(Ld18)ならびにLd継続 群の3群のランダム化比較試験(FIRST試験)が 行われた12).PFS中央値は,Ld継続群,Ld18群, MPT群で25.5カ月,20.7カ月,21.2カ月とLd継 続群が他の 2 群に比べて有意な延長を認めた. また,4年OSは59%,56%,51%であり,MPT 群に比べてLd継続群の有意なOS延長を認めた. Ld療法は,国内の第II相臨床試験でもFIRST試験 同様の結果が報告され,未治療骨髄腫患者に保 険適用となった.MPB療法とともに日本の初回 標準治療の 1 つと考えられる.
2.再発・難治性骨髄腫に対する治療
1)再発・進行例の治療開始時期 初期治療に反応しない不応例では,新規薬剤 による治療が優先される.再発・進行後の治療 再開は臨床的再発(clinical relapse)またはMタ ンパク再発(paraprotein relapse)を認めた時点 とされるが,どちらを優先するべきかに関する コンセンサスはない.表に治療再開の基準を示 す13). 2) 自家移植併用大量化学療法後の 再発・進行例の治療 初回移植から再発までの期間が長いほど,再 発後の治療により長期の奏効が期待できるた め,初回移植後 2 年以上経過した後の再発であ れば,2 回目の自家移植が推奨される.奏効期 間が 12~18 カ月の場合には,新規薬剤を加え た別の治療法が望ましい.奏効期間が 1 年未満 の再発・進行は新規薬剤による救援療法か,研 究的治療あるいは緩和医療が推奨される. 3)移植非適応骨髄腫の再発・進行例の治療 再発前の治療による奏効期間が 1 年以上であ れば,同じ治療法が推奨される.どの薬剤を選 択すべきかについては,前治療の奏効期間,染 色体異常などの予後不良因子の有無,合併症の 有無および全身状態を勘案して決定する. 4)再発時の新規薬剤 (1) 免疫調節薬 (immunomodulatory drugs:IMiDs) ①サリドマイド サリドマイドは強力な血管新生抑制作用を有 する薬剤である.デキサメタゾンとの併用であ るTD療法の奏効率は,サリドマイド単剤で24% に対して 55%と良好であった14).しかしなが ら,神経障害などの毒性のために長期投与が困 難で,単剤での使用は限定的となっている.しかし,骨髄抑制が少なく,腎障害時にも比較的 安全に使用可能であることから,適応を見極め て用いる意義はある. ②レナリドミド サリドマイドの誘導体で,直接的な抗腫瘍活 性と免疫調節作用を併せもつ.サリドマイドに 比べてより高い効果とより少ない毒性を示す. 再発難治性骨髄腫に対するLD療法とデキサメ タゾン単剤療法とを比較した 2 つのランダム化 第III相試験(MM-090,MM-010 試験)では, OSはLD群で有意に優れており15,16),救援療法の 代表的な治療レジメンとなっている. ③ポマリドミド 日本では,2015年に承認された第3世代IMiDs である.ポマリドミドとデキサメタゾンの併用 群と大量デキサメタゾン群の有効性と安全性を 比較する第III相試験(MM-003 試験)では,ボ ルテゾミブとレナリドミドに抵抗性であった患 者が約 75%含まれていた.PFS中央値は,ポマ リドミド群4カ月,大量デキサメタゾン群1.9カ 月で,ポマリドミド群で有意に延長していた. また,OSは,大量デキサメタゾン群の半数が後 にポマリドミドが投与されていたにもかかわら ず,大量デキサメタゾン群に比べてポマリドミ ド群が有意に延長していた(12.7 カ月vs. 8.1 カ 月)17).現在,ボルテゾミブおよびレナリドミド に抵抗性を有するdouble refractory例にポマリ ドミド+デキサメタゾン療法が用いられている. (2)プロテアソーム阻害薬(PI) 現在,新たなPIが開発中であるが,現時点で 本邦において使用可能なPIはボルテゾミブのみ である.ボルテゾミブは 26Sプロテアソームの β5 サブユニットにあるプロテアーゼを標的と する可逆性のPIである.ボルテゾミブ単剤とデ キサメタゾンとを比較した試験(APEX試験)が 行われ,ボルテゾミブの有用性が証明されてい る18).現在,デキサメタゾンや他の抗がん薬な どとの併用療法が行われている. (3)ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(HDACi) 日本では,パノビノスタットが 2015 年に再 発難治性骨髄腫に対する適用が承認された.単 剤による臨床効果は限定的であったが,PIとの 表 再発・進行後の治療再開の基準 Clinical relapse(臨床的再発) 1.新たな軟部組織形質細胞腫や骨病変が全身骨X線,MRIなどの画像診断で認められる. 2. 既存の形質細胞腫や骨病変の明らかな増大を認める.明らかな増大とは,測定病変の長径と短径の和が50%以上(少 なくとも1 cm)増加する. 3. 高カルシウム血症.血清カルシウムが正常値上限より0.25 mmol/lを超えて増加するか,血清アルブミンともし可能 ならpHで補正した値が2.875 mmol/l(11.5 mg/dl)を超える. 4.Hbが前値より2 g/dlを超えて減少するか,10 mg/dl未満となる. 5.血清クレアチニン値が2 mg/dl以上に増加する. 6.治療が必要な過粘稠度症候群. (骨痛が最初の再発症状の場合は,画像で病巣を確定できない骨痛は試験における上記の基準には入れない) Paraprotein relapse(Mタンパク再発) 1. 2カ月以内の間隔で検査したM蛋白が2倍以上となる.ただし,判定のためにM蛋白は0.5 g/dl以上存在していること が必要. 2. 2回の連続した検査において,血清M蛋白が1 g/dl,尿中M蛋白が500 mg/24時間,FLCが200 mg/l(かつFLC比が異 常)または25%以上の増加. ・高リスク群の患者においても,治療開始および治療再開の基準は変わらない. ・微量分泌型骨髄腫患者においては,clinical relapseが治療再開の規準である.
・ M蛋白が0.5 g/dl以下のPR(partial response)患者の再発では,clinical relapseかまたは有意なM蛋白再発の規準を用 いるべきである.
・ CR(complete response)やVGPR(very good PR)からの再発の場合は,clinical relapseの規準を用いるが,M蛋白再 発が疑われる場合にはM蛋白量が0.5 g/dlを超えた場合とする.
・再発や治療再開の規準は維持療法を行った場合も変わらない. (日本骨髄腫学会編:多発性骨髄腫の診療指針.第3版,2012より作成)
併用で効果が期待できることから,ボルテゾミ ブ+デキサメタゾン+パノビノスタット併用群 とボルテゾミブ+デキサメタゾン+プラセボ群 の有効性と安全性を検証するランダム化比較試 験(PANORAMA-1試験)が実施された19).パノ ビノスタット群で有意なPFS延長効果が示され た.特にボルテゾミブとレナリドミドの前治療 歴を有する例に有効である.現在,ボルテゾミ ブと併用して用いられている.
おわりに
多発性骨髄腫の標準治療について概説した. 今後も新たな治療薬が次々と登場し,治療体系 は複雑化するものと予想される.それぞれの臨 床試験の患者背景と有害事象のプロファイルを しっかりと把握したうえで,それぞれの薬剤の 適応を見極めることが肝要である. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:伊藤薫樹;講演 料(セルジーン)文 献
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