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アディクション看護_2020_17巻_1号.indb

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アディクション看護 第 17 巻 第1号 2020 年

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17

〔1〕

横浜市立大学大学院医学研究科看護学専攻・医学部看護学科

Department of Nursing, Graduate School of Medicine, Yokohama City University⸱Nursing Course, School of Medicine

〔2〕

湘南医療大学保健医療学部看護学科

Department of Nursing,Faculty of Medical sciences and Health, Shonan University of Medical Sciences

〔3〕

東北文化学園大学医療福祉学部看護学科

Department of Nursing, Faculty of Medical Welfare, Tohoku Bunka Gakuen University

〔4〕

防衛医科大学校医学教育部看護学科

Department of Nursing, National Defense Medical College

〔5〕

創価大学看護学部

Faculty of Nursing, Soka University

〔6〕

横浜市立大学医学部看護学科

Department of Nursing, School of Medicine, Yokohama City University

日本人信者の信仰と癒し,看護に関する認識

-信者と聖職者を対象としたインタビュー調査-

Rie Ichiyanagi

一柳理絵

〔5〕

Toshiko Matsushita

松下年子

〔1〕

Noriko Katayama

片山典子

〔2〕

Tomoko Araki

荒木とも子

〔3〕

Sayuri Uchino

内野小百合

〔4〕

Yuriko Tanabe

田辺有理子

〔6〕

The Japanese perceptions towards faith, healing, and nursing:

An interview survey targeting religious believers and clerics

原著

Key Words:

信者,聖職者,信仰,癒し,看護,日本人,インタビュー調査

Believers, Clerics, Faith, Healing, Nursing, Japanese, Interview survey

【抄録】

日本人信者や聖職者の信仰と癒し,看護に関する認識を明らかにするために,24名を対象にインタビュー

調査を実施した.データを質的帰納的に分析した結果,【信者と聖職者になるきっかけと葛藤】【信仰を通じ

た繋がりと居場所と交流】

【信仰と家族】

【信仰を基軸とした日常生活】

【宗教の役割と信仰の意味と祈り】

【日

本人にとっての宗教と信仰】【信仰とケア】【自分にとっての信仰の意義】【死と宗教・信仰】【信仰の継承】

の10カテゴリと36サブカテゴリが見出せた.対象者は〈実家が聖職者ないし信者〉等のきっかけで入信し〈信

仰をもつにあたっての葛藤と抵抗〉を経験,〈信仰を通じた地域やコミュニティ,他者との繋がり〉〈寺や教

会が提供する居場所〉としての存在意義,〈他宗教との交流のメリット〉を認識していた.〈異なる宗教をも

つ家族,宗教をもたない家族との関係〉等を経験し,

〈日々の生活の中に信仰が取り込まれている〉ことと〈生

きる上での拠り所〉である信仰を認識,〈奉仕活動〉を重視していた.〈宗教の役割と存在意義〉〈信仰の意

味と伝統と今後の課題〉,また〈日本人の宗教観と宗教からの乖離〉〈信仰の癒しとケアの類似性〉と〈ケア

に活かされる信仰〉の意義等の認識,さらに〈信仰により病気を乗り越える〉経験や〈宗教施設におけるケ

アや支援〉の実態掌握,加えて〈聖職者として求められるケア役割とジレンマ〉〈信仰や宗教的体験をもっ

て癒される,浄化していく〉こと,

〈信仰によるメンタルヘルスの維持・向上〉〈死の受容と信仰〉の関係,

〈死

に関する宗教観の相違〉〈子どもに対する信仰継承への希望〉等の認識があった.

【Abstract】

To clarify the perceptions of Japanese believers and clerics regarding ideologies such as faith, healing,

and nursing, we conducted an interview investigation on a sample of 24 selected religious healers (i.e.,

believers and clerics). The result of the qualitative inductive analysis highlighted 10 categories, namely:

[Causes and conflicts involved in becoming a believer or cleric], [The relationship, my whereabouts, and

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intercommunication built through faith], [Faith and a family], [The type of daily life lived on faith], [Role of

religion meaning of faith, and praying], [Significance of religion and faith for the Japanese], [Faith and

care], [The meaning of faith for interviewees], [Death and religion/faith], and [Succession of faith onto the

forthcoming generations]- encompassing 36 subcategories in total. Most of the subjects follow their religion

only because their parents were clergies or believers themselves. Results also highlighted that many

subjects experienced conflict and resistance against having faith. Nonetheless, the subjects largely

recognized the value of building relationships with the surrounding area, community, and the other

peoples through faith. Many of the subjects also regard the existence of temples and churches as

community halls. The ability to have a dialogue with members of other religions is deemed essential by

clergy and staunch believers. Many of the subjects reported how they recognized the importance of faith

in the life of all types of Japanese families. The clergymen also emphasized pro-bono activities. Other

notable recognitions include the role and existence of religion; meaning, tradition, and future of faith;

Japanese religion and level of deviation from religion; the similarity between faith and healthcare; the

meaning of faith-based healthcare; the experience of overcoming illnesses through faith; perceived quality

of care, and support received from religious facilities. The recognitions deserving particular attention

include the role of a cleric and the dilemma; being cured and purified through faith and religious

experiences; the sustentation and improvement in mental health through faith; the relationship of

acceptance of death through strength of faith; the religious differences in how death is perceived, and the

manner in which religion is passed on to the children.

Ⅰ . 緒言

信仰・宗教と看護をキーワードとした米国の先行

看護研究では,地域社会の精神保健・健康向上にお

ける宗教コミュニティや,Faith community nurse

(FCN: 地域において信仰コミュニティの文脈で,

健康増進や疾病予防活動を行う看護師のこと.以下

FCN とする) 等の活躍に関する報告が,またそれ

以外の他国の看護研究では,信仰が個人の健康促進

に向けた行動変容や,疾患や苦悩の捉え方,それに

対するコーピング等に影響を及ぼしていることを検

証したものが多い.さらに,教会や宗教団体の活動

が地域住民の健康・保健・医療と深く結びついてお

り,健康増進や疾病予防,治療や緩和医療等に貢献

していることがうかがわれた

1)

.信仰心の概念分析

の研究もあり,信仰や宗教をテーマとした看護研究

はわが国よりも確実に発展している.具体的には,

Caixeta, C. R. ら

2)

は,ブラジルのパブリックヘル

スサービスで HIV/AIDS 治療を受けている患者の

信仰とスピリチュアリティの意味を明らかにするた

めに,半構造化面接を行い,その結果,テーマとし

て「支援への道としての信仰」と「神はすべて」が

抽出され,資源に導くパスである信仰には,他の教

会の探索,罪の告白,病気と闘うストレングスを見

つけること,疾患プロセスのナショナライゼーショ

ン,教会に通う人に会うこと,神と宗教を見つける

ことがあったこと,神は「祈る人」の中に,また宗

教を通じて癒されるという信念の中に存在していた

と報告している.

また Gross, A. H. ら

3)

は,卵巣がん患者219名(初

めて告知された人,サバイバー,再発した人)の「希

望のなさ」と,それに CAM(Complementary and

Alternative Medicine:補完療法)がどのように影

響するかを明らかにすることを目的に質問紙調査を

実施し,結果として,65歳以上であること,強い信

仰をもっていること,QOL が高いことが直接的に

「希望のなさ」得点を減じたと報告している.さら

にマッサージを受けている人はそうでない人よりも

「希望のなさ」が低く,年齢をコントロールしても

仕事を有する人が多かったこと,初めて告知された

人と再発者の「希望のなさ」得点は,精神的葛藤と

治療の副作用からサバイバーよりも高かったと述べ

ている.さらに Plunkett, R. ら

4)

は,カナダの地方

に住む女性の健康を促進する上で,教会と FCN が

どのように連携するかを明らかにするためにレ

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ビュー研究を行い,信仰とスピリチュアリティはカ

ナダ女性の健康信念と行動,決定に強く関連してい

ること,教会と FCN は対象女性にとって重要な健

康資源になっていた旨を報告している.加えて

Aaron, E. ら

5)

は,米国ペンシルバニアで,1200名の

伝統的なアフリカ系アメリカ人からなる伝統的なバ

プテスト教会の関係機関と,コミュニティベースの

母子保健機関,大学に属する HIV メディカルクリ

ニックの3機関が連携して,HIV 予防と教育のプロ

グラムを実施したことを紹介している.いずれの報

告も,信仰や宗教団体を健康資源として運用する可

能性を示唆している.

一方,わが国の看護研究には,信仰や宗教そのも

のを対象として,かつ信仰や宗教そのものを変数と

して取り入れたものはない.スピリチュアルケアや

補完療法の文脈でヒットするものに限定される.信

仰・信仰心・宗教とメンタルヘルスの関連を見極め

る上で,また,わが国独自の信仰のあり様に基づい

た看護を展開する上でも,信仰を核とした看護研究

は今後必須になってくると考える.その手始めとし

て本研究では,信仰をもつ日本人の,信仰や信仰心,

宗教,それらによる癒しと看護に関する認識を明ら

かにすることを目的とした.上述した先行研究

1-5)

が示すように,癒しとケア,看護,また「癒す」と

「看る」といった概念の連動性は高い.健康促進の

有効な資源となり得る信仰や信仰心の可能性を高め

る上で,また信仰や信仰心を視野に入れたケアや看

護の展開を構想する上で,信者の信仰による癒しに

関する認識の掌握は有益である.

なお,本研究にて信仰及び信仰心とは,広辞苑を

参照して「神聖なもの,神をも含む全体的な存在を

信じ,尊ぶこと(心)」と定義する.そして,本研

究においてこの用語が意味するのは,純粋に本定義

が示す範囲,主に心性の部分であり,日本で事件化

した「オウム真理教」など,宗教団体の看板をもつ

グループによる殺人や犯罪行為,また「イスラム国

(ISIL)」など過激派組織や武装勢力による殺戮,

破壊活動等を包含することは一切ない.また日本人

信者とは,信仰をもっていると本人が認識し,かつ

宗教団体に所属している日本人,日本人聖職者とは,

日本で聖職者として従事している日本人とする.

Ⅱ . 研究方法

研究方法は,個別のインタビュー調査である(基

本的に各1回のインタビュー).インタビューの実施

場所として,宗教団体の活動拠点地ないし,個別に

インタビューができる静かな場所(借会議室等)を

確保した.インタビュー時間は60分とした.対象は

関東圏内の仏教,神道,キリスト教等の宗教団体支

部をコンビニエントサンプリング(便宜的対象抽

出)し,研究対象者を選定した.具体的には,研究

責任者ないし分担研究者がコンビニエントサンプリ

ングした宗教団体支部に赴き,書面をもって研究主

旨を説明,研究協力を依頼した.同意書をもって研

究協力の同意が得られた後,研究対象候補者(信者)

の紹介を依頼した.候補者の要件は,宗教団体に所

属して2年以上の信仰歴あるいは,神社氏子の経歴

をもつ日本人とし,聖職者(僧侶,神主,牧師,神

父等)を含めて計24名とした.

なお研究対象者数を24名とした根拠の1つは,本

来,信仰という抽象度の高い概念(因子)の認識を

網羅的に掌握するのであれば,対象者数は可能な限

り多く設定したいところであるが,研究実現可能性

の観点から限界があること(人的,経済的側面から

の実現可能性),もう1つは,信仰と看護をキーワー

ドとして検索した海外のレビュー研究の中で,信仰

に関する因子探索研究の対象数は,7-8名から10数

名であり,多い場合で40名の範疇であったことであ

る.インタビュー調査を実施する中で,明らかにデー

タの飽和が見出せないと判断した際は,対象者数を

適宜増加させることとした.調査期間は2015年7月

から2016年3月までとした.

インタビューガイドは,以下の通りである.①あ

なたの人生および生活において,信仰や信仰心はど

のような意義がありますか,②あなたの信仰や信仰

心や宗教が,あなたのメンタルヘルスにどのような

影響を及ぼしてきましたか,③信仰や信仰心が有す

る「癒し」についてどのような考えをおもちですか,

④信仰や信仰心が,ケアや看護とどのように関係し

ていると思いますか,⑤あなたの家族にとって,あ

なたの信仰はどのような意味がありますか,⑥家族

は信仰や宗教をどのように捉えてきたと思いますか,

⑦自身が意義を見出してきた信仰や宗教を,あなた

の子ども,次の世代に継承させたいと思いますか,

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⑧その理由は何ですか,どのように継承させたいと

思いますか,⑨実際に次世代の方は継承しています

か,思いつく限りでよいので,その理由を教えてく

ださい,⑩その他,本研究課題に関することで,感

想や考えがあれば聞かせください.

分析方法は,研究協力者の同意を得てインタ

ビュー内容を IC レコーダーに録音し,録音から逐

語録を作成した.逐語録をデータとして質的帰納的

に分析し,信仰や宗教の意義,信仰心による癒し,

ケアや看護との関係,信仰の継承等に対する認識を

掌握した.分析過程においては随時,質的研究に精

通している研究者のフィードバックを受けた.最後

に,本研究は因子探索研究であるが,探索対象であ

る因子の抽象度が非常に高いという特徴,また研究

対象者である「日本人信者」の特定化が低い(宗教・

信仰の種類が多様)という特徴を有する.しかし本

研究が目指すのは,多様な信者に共通する個々の信

者における信仰や宗教の意義,信仰心による癒しに

関する認識を網羅的に捉えることであったゆえに,

妥当な方法と考えた.

Ⅲ . 倫理的配慮

研究責任者また分担研究者は,各宗教団体支部長

に書面にて本研究の目的・方法等を説明し,研究協

力の同意を得た後,各宗教団体の支部長から研究対

象候補者の紹介を得た.その後,口頭及び書面にて

研究の目的・方法,研究への協力は自由意思による

ものであること,拒否により不利益は生じないこと,

協力有無について紹介者に報告しないこと等を対象

候補者に説明して研究協力を依頼した.同意書にサ

インしてもらい,書面による研究協力の同意を得た.

また,同意撤回書を手渡し,研究途中の同意撤回が

可能であることとその方法も説明した.なお研究協

力の同意を得る上で,伝えた倫理的事項は以下の通

りである.①研究において得た個人情報は,守秘義

務を遵守し,本研究以外では使用しないこと(研究

対象者の氏名,宗教団体名,その他個人が特定され

るようなデータは,本研究の調査項目に含まれてい

ないこと,宗教団体支部から個人情報を収集しない

こと),②媒体に録音済みのデータや逐語録は,本

研究にかかわる研究者以外がアクセスできないよう

管理・保管につとめること,③研究成果は学会およ

び学術雑誌等で発表すること,④研究対象者が研究

協力を途中辞退した場合は,それまでに得られた研

究データを消去し,再現不可能にすること,⑤個人

情報保護のために,面接によって得られた情報,音

声データから逐語録まですべての取り扱いにおいて,

個人名は記号化し,個人を特定できる情報は削除す

ること,⑥データの情報流出を防ぐために,パスワー

ドロック機能付き USB メモリーを使用して情報管

理すること,⑦データ分析は学内のみで実施し,デー

タ媒体を学外にもち出さないこと,またインター

ネットを介しての情報流出を防ぐため,研究室にあ

るオフライン状態のパーソナルコンピューターを使

用すること,⑧研究終了後,電子データは速やかに

削除し,個人情報が記載されている書類は裁断処理

すること.

加えて,研究対象者に対する侵襲的介入はないた

め研究対象者の不利益・危険は皆無に等しいが,イ

ンタビュー時間が物理的に拘束時間になることと,

インタビュー調査中,信仰に関する自己開示を進め

る中で,情緒面で不快になる可能性がゼロとはいえ

ない.したがって,その旨を事前に研究対象者に伝

え,不快な状態になりそうであれば早めに,そのこ

とをインタビュアーに伝えるよう依頼した.インタ

ビュー調査時は,それを加味しながら発言内容,言

動,表情,態度,姿勢を観察した.そのような状態

がうかがわれた場合は直ちにインタビュー調査を中

止することとした.

なお本研究の関係者は,「世界医師会ヘルシンキ

宣言」,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指

針」を遵守して本研究を実施した.また本研究は,

横浜市立大学医学研究倫理審査会の承認を得た上で

実施した.

Ⅳ . 結果

対象者24名の内訳を表1に示した.男性15名,女

性9名,年代は20歳代から70歳代,信仰歴は2年から

60年以上であった.また聖職者は10名,一般信者が

11名,その他団体職員,得度者,神社氏子が各1名

であった.

次に,逐語録で得られたデータを質的帰納的に分

析した結果,

【信者と聖職者になるきっかけと葛藤】

【信仰を通じた繋がりと居場所と交流】【信仰と家

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表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ)(続き) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・他の宗派ともよいところを認め合って交流していくべき ・どの宗教もお互い知った上で,合わないなら合わないでダメだとか否定する必要はない ・生活の中で宗教活動をしているということになるが,他の宗教の話を聞いて受けた感銘な ど,また自分の信仰に置き換えて伝えていくことはしていきたい ・他宗教だからできる話などもあり,自分達には及ばないところもあると思う 表4. 信仰と家族(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・家族全員で信仰している ・家族全員で入会している ・父が牧師で家族で教会に住んでいた ・家族は信心を通して団結している ・兄弟全員で信仰に関わる職についている ・家族で習慣として日曜日に教会に行っている ・夫婦で教会に通っているケースは少ないが,父は母の影響で信仰をもち始めたのだと思う ・妻とは信仰との姿勢が違うが,自分が悩んでいると「なぜ神様を仰げないのか」といわれ たりもする ・家族も信仰に理解があり,こだわりなく信仰を日常の普通の瞬間だと捉えている ・信仰のない家庭なら家族崩壊になるようなことでも,同じ信仰をもっていることで目指し ているもの,心の支えになっているものは同じと思いそこまで至らなかった ・教会の活動で娘と時間を共有することはあまりないが,色々と意見をいわれたりする.そ ういう関係もよいと思う ・家族にとって信仰とは使命みたいなもの ・夫とは信仰は違うが信仰生活を続けることには理解してくれる ・夫は仏教徒だが信仰に反対はしていない.夫の反対で洗礼を受けられなかった人が何人も いた ・夫は日蓮はよくわからないが,ご先祖様は大事だからお寺に来てよかったと思っていると いう ・妻はクリスチャンではないが母がクリスチャンなので話は合う.無理に来いとかそういっ たことはしない ・家族から信仰に反対された ・長男を教会の土曜学校に入れたかったがやめてしまった ・家族に一緒に信仰してほしいとは思わない ・父親は見えないところで時間もエネルギーも使って,寺の敷居を低くしようと努力してい た.尊敬している ・宗教の考え方にも親の影響は出ると思う.考えに沿うわけでなくてもどうしても出てしま うものはある ・クリスチャン2世として育ち,反発もあったが父の信仰を継いでいきたいと思うようにな り,それが自分の信仰部分の核心になっている ・父親は信仰についてはあまり伝えてこなかったが,生き方や死に方というものはちゃんと 伝えてくれていた ・母親は自分を産むときも,周囲に反対されつつも信仰を支えにしていた ・父と祖父との間に葛藤はあったが,父はきちんと祖父の信仰を継いでいた.人間の不思議 なところ 表5. 信仰を基軸とした日常生活(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・祈ることはなくても,今この瞬間神様に生かされている.一瞬一瞬に感謝している ・職員,施設も神の見守りのもとにある ・神様は日常的にずっといる,ずっと見てらっしゃる ・神道では亡くなった方,ご先祖様はいつまでも子孫を見守ってくださっているという感覚 がある ・学会の役に立ちたいという思いで仕事をしてきたので,やりたいと思っていることをその まま職業にできたのはありがたい ・住職になるとなかなか二足の草鞋というわけにはいかなくなっていった ・お寺にも一般の家庭からの目線が大事 ・会社でも信仰についてわかってもらっている 他宗教との交流のメリット(4) 家族が同じ信仰をもつこと(19) 異なる宗教をもつ家族,宗教をもたない家族と の関係(12) 信仰する父母の姿から学ぶ(15) 神様に見守られているという感覚(7) 社会生活を営む上での信仰とのバランス(6) 表1. 対象者の属性等 カテゴリ 職位 宗教 信仰歴 性別 年代 未/既婚 僧侶 浄土真宗 60年以上 男性 60歳代 既婚 僧侶 浄土真宗 35年 男性 60歳代 既婚 僧侶 浄土真宗 16年 男性 20歳代 未婚 僧侶 浄土宗 60年 男性 60歳代 既婚 僧侶 真言宗 60年 男性 60歳代 既婚 僧侶 曹洞宗 40年 男性 60歳代 既婚 僧侶 日蓮宗 40年 女性 40歳代 既婚 牧師 プロテスタント 48年 男性 60歳代 既婚 牧師 プロテスタント 41年 男性 40歳代 既婚 神主 神道 27年 男性 50歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 34年 男性 50歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 10年以上 男性 60歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 29年 女性 40歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 26年 女性 40歳代 既婚 一般信者 カトリック 40年 女性 60歳代 既婚 一般信者 カトリック 38年 女性 60歳代 未婚 一般信者 カトリック 29年 女性 60歳代 既婚 一般信者 カトリック 2年 女性 50歳代 既婚 一般信者 創価学会 54年 男性 60歳代 既婚 一般信者 創価学会 52年 女性 60歳代 既婚 一般信者 浄土宗 50年 女性 70歳代 既婚 団体職員 創価学会 50年 男性 50歳代 既婚 得度者 修験道(真言宗) 30年 男性 50歳代 既婚 神社氏子 神道 - 男性 40歳代 既婚 聖職者 信者 その他

族】【信仰を基軸とした日常生活】【宗教の役割と信

仰の意味と祈り】

【日本人にとっての宗教と信仰】

【信

仰とケア】

【自分にとっての信仰の意義】

【死と宗教・

信仰】【信仰の継承】の10カテゴリと36サブカテゴ

リが見出せた.カテゴリごとのサブカテゴリ,サブ

カテゴリのコード数,コードの抜粋を表2,表3,表

4,表5,表6,表7,表8,表9,表10,表11に示す.

以下本文中では,カテゴリは【】にて,サブカテゴ

リは〈〉にて,コードは[]にて表記する.

【信者と聖職者になるきっかけと葛藤】では,

〈実

家が聖職者ないし信者〉であったことや,〈聖職者

や聖典との出会い,原体験や困難な体験,もともと

の関心〉があったことなど,信者や聖職者になるきっ

かけと,〈信仰をもつにあたっての葛藤と抵抗〉が

集約された(表2).【信仰を通じた繋がりと居場所

と交流】では,〈信仰を通じた地域やコミュニティ,

他者との繋がり〉と,

〈寺や教会が提供する居場所〉

としての存在意義,〈他宗教との交流のメリット〉

が集約された(表3).【信仰と家族】では,〈家族が

同じ信仰をもつこと〉とその有益性,〈異なる宗教

をもつ家族,宗教をもたない家族との関係〉,〈信仰

する父母の姿から学ぶ〉経験が語られた(表4).【信

仰を基軸とした日常生活】では,〈神様に見守られ

ているという感覚〉,聖職との兼業を含めて〈社会

生活を営む上での信仰とのバランス〉が重要である

こと,

〈日々の生活の中に信仰が取り込まれている〉

こと,

〈生きる上での拠り所〉としての信仰であるこ

と,〈奉仕活動〉の意義が語られた(表5).【宗教の

役割と信仰の意味と祈り】では,〈宗教の役割と存

在意義〉〈信仰の意味と伝統と今後の課題〉〈祈るこ

とと拝むことと唱えることの意味とルール〉が(表

6),【日本人にとっての宗教と信仰】では,〈日本人

の宗教観と宗教からの乖離〉現象について,さらに

[信仰心を絶対的な存在を信じ尊ぶことという漠然

とした思いとするならば,おそらく日本人全員が

もっているのではないか]というように,〈日本人

の無宗教と信仰心〉が意味すること,

〈仏教と神道〉

の内実が示された(表7).【信仰とケア】では,〈信

仰の癒しとケアの類似性〉と〈ケアに活かされる信

仰〉の意義,信者が〈ケアする立場の人に望むこと〉

と,〈健康を取り戻した信仰体験とそれを通じた信

仰の深まり〉が語られた.〈信仰により病気を乗り

越える〉経験や〈宗教施設におけるケアや支援〉の

実態,さらに[臨床宗教師として傾聴するが,医療

表2. 信者と聖職者になるきっかけと葛藤(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・物心つく前に入会していた ・父親の後を継いで住職になった ・寺の末子だったので自然と宗教に親しんでいた ・9歳で沙弥という得度をした.お盆や法事など,なんとなく普段とは違う厳かな雰囲気が あり,その中で神仏と一緒になっているという気持ちがあった ・父親が牧師でキリスト教について教えてくれた.青年期に入って自分のキリスト教の狭さ に気づき,キリスト教の広さ,深さをもっと知りたくなっていった ・カトリックで幼児洗礼を受けていたが,成人後プロテスタントで洗礼をもう1度受けた ・家族が全員クリスチャンだった ・家族の入信がきっかけで自分も入信.家族は,みんなで集まって悩みを打ち明けあって励 まし合ってという姿を見て入信した ・母親が信仰のきっかけで,小さなころから洗礼を受けようと思っていた.母親の姿,生き 方そのものが信仰で子ども心にも感じるものがあった ・聖書について知らずに意見をいうのはどうかと聖書を読み始め,疑問を解決するために教 会に通い始めた ・内観という心理療法に出会い,提唱する先生が僧侶でもあり,仏教の勉強を始めて僧籍を 取った ・病院で司祭に出会い,その司祭をきっかけに洗礼を受けた ・大学生の時にボランティアでインドのマザーテレサのもとへ行き祝福を受けた.その時の 経験から聖職者になろうと決意した ・子どものころ,母の引き出しで聖書を見つけた.父も中学生のころ教会に通っていた.神 の導き,助けがあった ・学会長の先生から頂いた激励は数えきれない.先生は何でも報告できるお父さん,そして 師匠 ・師匠の家に子どものころから遊びに行って可愛がってもらっていて,亡くなった後に縁 あって得度した ・学生時代に信仰について触れ,卒業後職場の問題で自己否定感をもったり家庭でのトラブ ルもあり,教会に通い始めた ・15歳の時に洗礼を受け,聖書の学校に4年間通って23歳の時に牧師になった ・子どものころの地蔵盆で,人が死んだら地獄に落ちる,その地獄の怖さがインパクトが あった.地獄がどんなところなのか子ども心に知りたいと思った ・寺育ちの3男坊だが,もともとは寺も坊主も嫌いだった ・高校に行った頃から信仰に対する葛藤があった.歴史ある神社の跡取りとしての葛藤,そ れに対して自分がどんな気持ちなのか,神主は大なり小なりもつ葛藤だと思う ・高校生くらいの時には宗教に対するイメージがネガティブだったので,そういうところも 含めて葛藤があった 表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・氏子をやっていく中で地域との繋がりができる.そういう価値観をもった人が氏子を引き 受けるのかもしれない ・僧侶になりたての頃は義父についていって地域のやり方やあいさつ,お酒の飲み方まで学 んだ ・卒塔婆1つ書くにも住職じゃなければだめというのもある.それだけ地域に密着している ・留学先で出会った教会の方が自宅に招いてくれたりして慰めになった ・闘病中,お題目を上げるのにも本部長さんや地域の学会員の方々などが来て助けてくれた ・次女が癌になったときも婦人部長が激励してくれた.みんながお題目を上げるために会館 を供養して作っている ・教会の人たちとの交流,普段出会えないような人たちとのコミュニティが楽しい ・教会のコミュニティで自然と助け合っている.結束力が強い.兄弟にもいえないような悩 みを打ち明けられたりする ・地域で集まって1人じゃないと感じることができること,寺や念仏や作法もその助けにな るかもしれない ・(夫が亡くなった後)拠り所として毎日のようにお寺に通った.その後もあいさつ程度だ が顔をだし,ほっとしていた ・世俗の成功に左右されず,なにごとも楽しく笑いに変えていくくらいの力,教会はそうい う集まりなのではと思っている ・お寺にお参りするのも,お参りして人が集まってきて話をすることでその場所から道が開 けたとしたら,それは仏様のおかげになる ・もっとお寺に来てもらいたい ・教会は周りの人も知っているから気を使わなくてよいし自由 ・何か辛いことがあったら教会に行くとか集まりに行くとか,教会だったらどうにかなるか なと思ったりする ・がんカフェに来た患者さんたちが涙を流していく.実はお寺というのは,自分の心を癒し てくれるんだと再発見した喜び 実家が聖職者ないし信者(12) 聖職者や聖典との出会い,原体験や困難な体 験,もともとの関心(22) 信仰をもつにあたっての葛藤と抵抗(4) 信仰を通じた地域やコミュニティ,他者との繋 がり(19) 寺や教会が提供する居場所(17)

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表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ)(続き) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・他の宗派ともよいところを認め合って交流していくべき ・どの宗教もお互い知った上で,合わないなら合わないでダメだとか否定する必要はない ・生活の中で宗教活動をしているということになるが,他の宗教の話を聞いて受けた感銘な ど,また自分の信仰に置き換えて伝えていくことはしていきたい ・他宗教だからできる話などもあり,自分達には及ばないところもあると思う 表4. 信仰と家族(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・家族全員で信仰している ・家族全員で入会している ・父が牧師で家族で教会に住んでいた ・家族は信心を通して団結している ・兄弟全員で信仰に関わる職についている ・家族で習慣として日曜日に教会に行っている ・夫婦で教会に通っているケースは少ないが,父は母の影響で信仰をもち始めたのだと思う ・妻とは信仰との姿勢が違うが,自分が悩んでいると「なぜ神様を仰げないのか」といわれ たりもする ・家族も信仰に理解があり,こだわりなく信仰を日常の普通の瞬間だと捉えている ・信仰のない家庭なら家族崩壊になるようなことでも,同じ信仰をもっていることで目指し ているもの,心の支えになっているものは同じと思いそこまで至らなかった ・教会の活動で娘と時間を共有することはあまりないが,色々と意見をいわれたりする.そ ういう関係もよいと思う ・家族にとって信仰とは使命みたいなもの ・夫とは信仰は違うが信仰生活を続けることには理解してくれる ・夫は仏教徒だが信仰に反対はしていない.夫の反対で洗礼を受けられなかった人が何人も いた ・夫は日蓮はよくわからないが,ご先祖様は大事だからお寺に来てよかったと思っていると いう ・妻はクリスチャンではないが母がクリスチャンなので話は合う.無理に来いとかそういっ たことはしない ・家族から信仰に反対された ・長男を教会の土曜学校に入れたかったがやめてしまった ・家族に一緒に信仰してほしいとは思わない ・父親は見えないところで時間もエネルギーも使って,寺の敷居を低くしようと努力してい た.尊敬している ・宗教の考え方にも親の影響は出ると思う.考えに沿うわけでなくてもどうしても出てしま うものはある ・クリスチャン2世として育ち,反発もあったが父の信仰を継いでいきたいと思うようにな り,それが自分の信仰部分の核心になっている ・父親は信仰についてはあまり伝えてこなかったが,生き方や死に方というものはちゃんと 伝えてくれていた ・母親は自分を産むときも,周囲に反対されつつも信仰を支えにしていた ・父と祖父との間に葛藤はあったが,父はきちんと祖父の信仰を継いでいた.人間の不思議 なところ 表5. 信仰を基軸とした日常生活(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・祈ることはなくても,今この瞬間神様に生かされている.一瞬一瞬に感謝している ・職員,施設も神の見守りのもとにある ・神様は日常的にずっといる,ずっと見てらっしゃる ・神道では亡くなった方,ご先祖様はいつまでも子孫を見守ってくださっているという感覚 がある ・学会の役に立ちたいという思いで仕事をしてきたので,やりたいと思っていることをその まま職業にできたのはありがたい ・住職になるとなかなか二足の草鞋というわけにはいかなくなっていった ・お寺にも一般の家庭からの目線が大事 ・会社でも信仰についてわかってもらっている 他宗教との交流のメリット(4) 家族が同じ信仰をもつこと(19) 異なる宗教をもつ家族,宗教をもたない家族と の関係(12) 信仰する父母の姿から学ぶ(15) 神様に見守られているという感覚(7) 社会生活を営む上での信仰とのバランス(6) 表1. 対象者の属性等 カテゴリ 職位 宗教 信仰歴 性別 年代 未/既婚 僧侶 浄土真宗 60年以上 男性 60歳代 既婚 僧侶 浄土真宗 35年 男性 60歳代 既婚 僧侶 浄土真宗 16年 男性 20歳代 未婚 僧侶 浄土宗 60年 男性 60歳代 既婚 僧侶 真言宗 60年 男性 60歳代 既婚 僧侶 曹洞宗 40年 男性 60歳代 既婚 僧侶 日蓮宗 40年 女性 40歳代 既婚 牧師 プロテスタント 48年 男性 60歳代 既婚 牧師 プロテスタント 41年 男性 40歳代 既婚 神主 神道 27年 男性 50歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 34年 男性 50歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 10年以上 男性 60歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 29年 女性 40歳代 既婚 一般信者 プロテスタント 26年 女性 40歳代 既婚 一般信者 カトリック 40年 女性 60歳代 既婚 一般信者 カトリック 38年 女性 60歳代 未婚 一般信者 カトリック 29年 女性 60歳代 既婚 一般信者 カトリック 2年 女性 50歳代 既婚 一般信者 創価学会 54年 男性 60歳代 既婚 一般信者 創価学会 52年 女性 60歳代 既婚 一般信者 浄土宗 50年 女性 70歳代 既婚 団体職員 創価学会 50年 男性 50歳代 既婚 得度者 修験道(真言宗) 30年 男性 50歳代 既婚 神社氏子 神道 - 男性 40歳代 既婚 聖職者 信者 その他 表2. 信者と聖職者になるきっかけと葛藤(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・物心つく前に入会していた ・父親の後を継いで住職になった ・寺の末子だったので自然と宗教に親しんでいた ・9歳で沙弥という得度をした.お盆や法事など,なんとなく普段とは違う厳かな雰囲気が あり,その中で神仏と一緒になっているという気持ちがあった ・父親が牧師でキリスト教について教えてくれた.青年期に入って自分のキリスト教の狭さ に気づき,キリスト教の広さ,深さをもっと知りたくなっていった ・カトリックで幼児洗礼を受けていたが,成人後プロテスタントで洗礼をもう1度受けた ・家族が全員クリスチャンだった ・家族の入信がきっかけで自分も入信.家族は,みんなで集まって悩みを打ち明けあって励 まし合ってという姿を見て入信した ・母親が信仰のきっかけで,小さなころから洗礼を受けようと思っていた.母親の姿,生き 方そのものが信仰で子ども心にも感じるものがあった ・聖書について知らずに意見をいうのはどうかと聖書を読み始め,疑問を解決するために教 会に通い始めた ・内観という心理療法に出会い,提唱する先生が僧侶でもあり,仏教の勉強を始めて僧籍を 取った ・病院で司祭に出会い,その司祭をきっかけに洗礼を受けた ・大学生の時にボランティアでインドのマザーテレサのもとへ行き祝福を受けた.その時の 経験から聖職者になろうと決意した ・子どものころ,母の引き出しで聖書を見つけた.父も中学生のころ教会に通っていた.神 の導き,助けがあった ・学会長の先生から頂いた激励は数えきれない.先生は何でも報告できるお父さん,そして 師匠 ・師匠の家に子どものころから遊びに行って可愛がってもらっていて,亡くなった後に縁 あって得度した ・学生時代に信仰について触れ,卒業後職場の問題で自己否定感をもったり家庭でのトラブ ルもあり,教会に通い始めた ・15歳の時に洗礼を受け,聖書の学校に4年間通って23歳の時に牧師になった ・子どものころの地蔵盆で,人が死んだら地獄に落ちる,その地獄の怖さがインパクトが あった.地獄がどんなところなのか子ども心に知りたいと思った ・寺育ちの3男坊だが,もともとは寺も坊主も嫌いだった ・高校に行った頃から信仰に対する葛藤があった.歴史ある神社の跡取りとしての葛藤,そ れに対して自分がどんな気持ちなのか,神主は大なり小なりもつ葛藤だと思う ・高校生くらいの時には宗教に対するイメージがネガティブだったので,そういうところも 含めて葛藤があった 表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・氏子をやっていく中で地域との繋がりができる.そういう価値観をもった人が氏子を引き 受けるのかもしれない ・僧侶になりたての頃は義父についていって地域のやり方やあいさつ,お酒の飲み方まで学 んだ ・卒塔婆1つ書くにも住職じゃなければだめというのもある.それだけ地域に密着している ・留学先で出会った教会の方が自宅に招いてくれたりして慰めになった ・闘病中,お題目を上げるのにも本部長さんや地域の学会員の方々などが来て助けてくれた ・次女が癌になったときも婦人部長が激励してくれた.みんながお題目を上げるために会館 を供養して作っている ・教会の人たちとの交流,普段出会えないような人たちとのコミュニティが楽しい ・教会のコミュニティで自然と助け合っている.結束力が強い.兄弟にもいえないような悩 みを打ち明けられたりする ・地域で集まって1人じゃないと感じることができること,寺や念仏や作法もその助けにな るかもしれない ・(夫が亡くなった後)拠り所として毎日のようにお寺に通った.その後もあいさつ程度だ が顔をだし,ほっとしていた ・世俗の成功に左右されず,なにごとも楽しく笑いに変えていくくらいの力,教会はそうい う集まりなのではと思っている ・お寺にお参りするのも,お参りして人が集まってきて話をすることでその場所から道が開 けたとしたら,それは仏様のおかげになる ・もっとお寺に来てもらいたい ・教会は周りの人も知っているから気を使わなくてよいし自由 ・何か辛いことがあったら教会に行くとか集まりに行くとか,教会だったらどうにかなるか なと思ったりする ・がんカフェに来た患者さんたちが涙を流していく.実はお寺というのは,自分の心を癒し てくれるんだと再発見した喜び 実家が聖職者ないし信者(12) 聖職者や聖典との出会い,原体験や困難な体 験,もともとの関心(22) 信仰をもつにあたっての葛藤と抵抗(4) 信仰を通じた地域やコミュニティ,他者との繋 がり(19) 寺や教会が提供する居場所(17)

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アディクション看護 第 17 巻 第1号 2020 年

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表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ)(続き) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・他の宗派ともよいところを認め合って交流していくべき ・どの宗教もお互い知った上で,合わないなら合わないでダメだとか否定する必要はない ・生活の中で宗教活動をしているということになるが,他の宗教の話を聞いて受けた感銘な ど,また自分の信仰に置き換えて伝えていくことはしていきたい ・他宗教だからできる話などもあり,自分達には及ばないところもあると思う 表4. 信仰と家族(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・家族全員で信仰している ・家族全員で入会している ・父が牧師で家族で教会に住んでいた ・家族は信心を通して団結している ・兄弟全員で信仰に関わる職についている ・家族で習慣として日曜日に教会に行っている ・夫婦で教会に通っているケースは少ないが,父は母の影響で信仰をもち始めたのだと思う ・妻とは信仰との姿勢が違うが,自分が悩んでいると「なぜ神様を仰げないのか」といわれ たりもする ・家族も信仰に理解があり,こだわりなく信仰を日常の普通の瞬間だと捉えている ・信仰のない家庭なら家族崩壊になるようなことでも,同じ信仰をもっていることで目指し ているもの,心の支えになっているものは同じと思いそこまで至らなかった ・教会の活動で娘と時間を共有することはあまりないが,色々と意見をいわれたりする.そ ういう関係もよいと思う ・家族にとって信仰とは使命みたいなもの ・夫とは信仰は違うが信仰生活を続けることには理解してくれる ・夫は仏教徒だが信仰に反対はしていない.夫の反対で洗礼を受けられなかった人が何人も いた ・夫は日蓮はよくわからないが,ご先祖様は大事だからお寺に来てよかったと思っていると いう ・妻はクリスチャンではないが母がクリスチャンなので話は合う.無理に来いとかそういっ たことはしない ・家族から信仰に反対された ・長男を教会の土曜学校に入れたかったがやめてしまった ・家族に一緒に信仰してほしいとは思わない ・父親は見えないところで時間もエネルギーも使って,寺の敷居を低くしようと努力してい た.尊敬している ・宗教の考え方にも親の影響は出ると思う.考えに沿うわけでなくてもどうしても出てしま うものはある ・クリスチャン2世として育ち,反発もあったが父の信仰を継いでいきたいと思うようにな り,それが自分の信仰部分の核心になっている ・父親は信仰についてはあまり伝えてこなかったが,生き方や死に方というものはちゃんと 伝えてくれていた ・母親は自分を産むときも,周囲に反対されつつも信仰を支えにしていた ・父と祖父との間に葛藤はあったが,父はきちんと祖父の信仰を継いでいた.人間の不思議 なところ 表5. 信仰を基軸とした日常生活(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・祈ることはなくても,今この瞬間神様に生かされている.一瞬一瞬に感謝している ・職員,施設も神の見守りのもとにある ・神様は日常的にずっといる,ずっと見てらっしゃる ・神道では亡くなった方,ご先祖様はいつまでも子孫を見守ってくださっているという感覚 がある ・学会の役に立ちたいという思いで仕事をしてきたので,やりたいと思っていることをその まま職業にできたのはありがたい ・住職になるとなかなか二足の草鞋というわけにはいかなくなっていった ・お寺にも一般の家庭からの目線が大事 ・会社でも信仰についてわかってもらっている 他宗教との交流のメリット(4) 家族が同じ信仰をもつこと(19) 異なる宗教をもつ家族,宗教をもたない家族と の関係(12) 信仰する父母の姿から学ぶ(15) 神様に見守られているという感覚(7) 社会生活を営む上での信仰とのバランス(6) 表5. 信仰を基軸とした日常生活(カテゴリ)(続き) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・毎日毎日お祈りをして,一生やってもきりのあるものではないが,これからも習慣は身に ついていくのだと思う ・世俗の生活そのものが信仰そのもの ・信仰は自然な生活の一部 ・生活の上での信仰心は当たり前になっている.感謝や人を思いやるというところ ・日々の生活の中で祈りについての指導があり,日々祈っているというか,その時間を過ご している ・信仰に目的を求めていないので,日常生活にそれが取り込まれている ・仏教はまず掃除,15の時から下働きをずっとやってきた ・修道院では1日7回のお祈りの時間を守りながら共同で日常生活が営まれている ・どんな生活活動も,父なる神に向かって自分は生活をしていく,そういうものとして生き ていく ・神社の中で生活をしているので,生活のなかで宗教活動をしていることになる.生活と宗 教活動は非常に密接 ・神棚の掃除などをすると,大事にしようという気持ちになる.粗末には扱えないと ・御書を根本に学会の庭で育ってきたので,もうそれ自体が生活そのもの ・毎日お勤めをする.それが1つの信仰心というもので,自分がそれで生かされているとい うこと ・経典をもち歩き,普段から目にしている.拠り所になる ・障害があり生活が大変だったという時期も,信仰が支えになっていた ・目に見えないものに仕えるというのは謙虚な気持ちが必要,その気持ちが普段の生活にも 生きてくる ・神様の許しがあるから自分は今生きている.生かされている ・苦しい時はそれを自分の問題として捉える.どんな人でも生活の中に喜びや楽しみをもち ながら生活している.それが浄土真宗の教え ・足るを知る.感謝が人を目覚めさせ,豊かになり,欲望を抑えてよい意味で感謝に変える ・皆,どんなものにも心がある,心のあるすべてのものに思いを馳せる,巡らせる ・家庭の中で,仏や永遠というしっかりした縁起や縁を大切にする ・生活の色んな悩みや問題の中で自分で行動してしまうこともあるが,実際には聖書の言葉 通り神様に委ねて自分の思いを捨てなければならない ・無意識のうちに,聖書の言葉を日常の行動にしているのはあると思う ・ものを粗末にしてはいけない,バチがあたるなど,そういったことを踏まえて生きてきた ・何にでも神様が宿っていて自分のことを見ている,正しいことをしなさいというような. 生き方への影響が大きい ・信仰で心に残っている言葉を自分でも改めて思いなおしてみたり,子どもに対しても促し たりしている ・自分で教会を自分に戻そうという時期があって,教会に少し恩返しができた ・大学に入ってからクリスチャンの活動にも熱心に加わって,スタッフになりたいとも思っ ていた.今でも1番やりたいのは教会のための仕事 ・教会の活動は自然にやっている.調整役やまとめ役,クッション役 ・自分の幸福のためだけに信仰しているのではなく,人のために自分は何ができるのかとい う行動によって自分自身がまた励まされたり勇気づけられたりする ・教会での奉仕活動はやることはやっていた.誰かのため,時間と体を使って尽くす.祈っ ていないとできない ・地域の氏子総代が神社のお祭りの手伝いなどをする ・仕事の傍らボランティアをやっていて,当時はノウハウも少なく限界ギリギリだった ・カウンセリングを通して,キリスト教の救いの力で今より楽しく幸せになっていけるよ う,働きかけは心掛けている ・ボランティアで臨床宗教師をしている.僧侶が時間の空いた中で来るような形 ・教誨師,篤志面接,保護司をやっている ・刑務所で法話などをする.彼らは失敗して立ち上がろうとしている.そういう時に色々な 人の話は癒しになる ・自分の病気の経験を元に,癌の悩みのある人たちのところに応援に行った ・ボランティアは皆,経済的にも時間的にも恵まれていて健康だということで活動してい る.宗派の違いなどは感じない 日々の生活の中に信仰が取り込まれている(21) 奉仕活動(28) 生きる上での拠り所(24) 表3. 信仰を通じた繋がりと居場所と交流(カテゴリ)(続き) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・他の宗派ともよいところを認め合って交流していくべき ・どの宗教もお互い知った上で,合わないなら合わないでダメだとか否定する必要はない ・生活の中で宗教活動をしているということになるが,他の宗教の話を聞いて受けた感銘な ど,また自分の信仰に置き換えて伝えていくことはしていきたい ・他宗教だからできる話などもあり,自分達には及ばないところもあると思う 表4. 信仰と家族(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・家族全員で信仰している ・家族全員で入会している ・父が牧師で家族で教会に住んでいた ・家族は信心を通して団結している ・兄弟全員で信仰に関わる職についている ・家族で習慣として日曜日に教会に行っている ・夫婦で教会に通っているケースは少ないが,父は母の影響で信仰をもち始めたのだと思う ・妻とは信仰との姿勢が違うが,自分が悩んでいると「なぜ神様を仰げないのか」といわれ たりもする ・家族も信仰に理解があり,こだわりなく信仰を日常の普通の瞬間だと捉えている ・信仰のない家庭なら家族崩壊になるようなことでも,同じ信仰をもっていることで目指し ているもの,心の支えになっているものは同じと思いそこまで至らなかった ・教会の活動で娘と時間を共有することはあまりないが,色々と意見をいわれたりする.そ ういう関係もよいと思う ・家族にとって信仰とは使命みたいなもの ・夫とは信仰は違うが信仰生活を続けることには理解してくれる ・夫は仏教徒だが信仰に反対はしていない.夫の反対で洗礼を受けられなかった人が何人も いた ・夫は日蓮はよくわからないが,ご先祖様は大事だからお寺に来てよかったと思っていると いう ・妻はクリスチャンではないが母がクリスチャンなので話は合う.無理に来いとかそういっ たことはしない ・家族から信仰に反対された ・長男を教会の土曜学校に入れたかったがやめてしまった ・家族に一緒に信仰してほしいとは思わない ・父親は見えないところで時間もエネルギーも使って,寺の敷居を低くしようと努力してい た.尊敬している ・宗教の考え方にも親の影響は出ると思う.考えに沿うわけでなくてもどうしても出てしま うものはある ・クリスチャン2世として育ち,反発もあったが父の信仰を継いでいきたいと思うようにな り,それが自分の信仰部分の核心になっている ・父親は信仰についてはあまり伝えてこなかったが,生き方や死に方というものはちゃんと 伝えてくれていた ・母親は自分を産むときも,周囲に反対されつつも信仰を支えにしていた ・父と祖父との間に葛藤はあったが,父はきちんと祖父の信仰を継いでいた.人間の不思議 なところ 表5. 信仰を基軸とした日常生活(カテゴリ) サブカテゴリ(コード数) コード(抜粋) ・祈ることはなくても,今この瞬間神様に生かされている.一瞬一瞬に感謝している ・職員,施設も神の見守りのもとにある ・神様は日常的にずっといる,ずっと見てらっしゃる ・神道では亡くなった方,ご先祖様はいつまでも子孫を見守ってくださっているという感覚 がある ・学会の役に立ちたいという思いで仕事をしてきたので,やりたいと思っていることをその まま職業にできたのはありがたい ・住職になるとなかなか二足の草鞋というわけにはいかなくなっていった ・お寺にも一般の家庭からの目線が大事 ・会社でも信仰についてわかってもらっている 他宗教との交流のメリット(4) 家族が同じ信仰をもつこと(19) 異なる宗教をもつ家族,宗教をもたない家族と の関係(12) 信仰する父母の姿から学ぶ(15) 神様に見守られているという感覚(7) 社会生活を営む上での信仰とのバランス(6)

関係者でも何でもない相手に呟くのは心の懺悔,誰

かに伝えておきたいこと,看護師では聞けない話と

いうのも出てくる][ボランティアで臨床宗教師を

しているが,有給になってしまうと責任も重くなる

し専門性があるわけでもないので双方難しい]とい

うように,〈聖職者として求められるケア役割とジ

レンマ〉が集約された(表8).【自分にとっての信

仰の意義】では,〈信仰や宗教的体験をもって癒さ

れる,浄化していく〉様や,〈自分を取り巻く縁や

偶然への気づきと思考の基盤〉となっている信仰意

義,

〈信仰によるメンタルヘルスの維持・向上〉と〈信

仰による自己洞察〉が振り返られた(表9).【死と

宗教・信仰】では,

〈死の受容と信仰〉の関係と〈死

に関する宗教観の相違〉が(表10),【信仰の継承】

では〈子どもに対する信仰継承への希望〉と,〈子

どもの信仰継承に向けて動く〉経験,〈継がないと

いう選択肢も必要〉という認識が語られた(表11).

Ⅴ . 考察

1. 入信のきっかけと葛藤,得られた繋がりと居場所

対象者は実家の家族が聖職者ないし信者であった

ことや,聖職者や聖典との出会い,また困難な体験

やもともとの関心から信者や聖職者になった.それ

に伴って葛藤と抵抗も経験したが結果的に,信仰を

通じた繋がりと居場所を得ていた.また寺や教会の

存在意義,さらには他宗教との交流のメリットも認

識していた.猪瀬

6)

は,最大の新宗教集団たる創価

学会を事例に,信仰継承を通じた宗教集団における

個人と組織の維持・変容のメカニズムを考察してい

るが,その中で,会員を対象とした調査票調査の結

果を紹介しており,二世信者の信仰継承率は約7割

で,信仰継承は親と教団の影響が大きかったことを

報告している.したがって実家や親が信仰をもって

いたことや,教団等を通じて聖職者や聖典と出会っ

たことが入信のきっかけになり得ることは想像に難

くない.また松下ら

7)

は,牧師の子ども(20-30歳代)

参照