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犯罪捜査ならびに公訴担当機関としての検察官と司法警察の関係は如何にあるべきか

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(1)

21

犯罪 捜 査 な らびに公訴担 当機 関 と して の検察官

と司法警察 の関係 は如何 にあ るべ きか

(ドイツ連邦共和国の予審制度ttVOluntersuchung''と 英米法系の合衆国起訴陪審制度〔

tgrand

jury"と

は両者の調整上如何なる長短があるか。また ドイッ連邦共和国の私訴制度はわが国にど のような影響を与えているか) 田 和 俊 輔 ―

,合

衆国

,英

国検察官 と大陸法系 (わが国を合む

)検

察官の概念 の相違 二

,

ドイツ連邦共和国における刑事訴訟手続 きにおける検事の法的地位 三

,検

事の捜査手続 きのために行なわれ る官署 の官吏の職務補助 四

,歴

史沿革か ら見 た検察制度 と司法警察な らびに現状 との関係 五

,検

事 とその補助者の行政組織上の地位 六

,公

訴提起のための準備手続 きとしての捜査手続 き 七

,捜

査の終結 と公訴提起な らびに公訴の概念 八

,公

訴の意義 と形式 九

,私

訴 十

,捜

査手続 きの基本 としての逮捕について 一

,合

衆 国、 英 国 検 察 官 と大 陸 法 系

(わ

が 国 を 含 む

)検

察 官 の 概 念 の 相 違 検察官はわが国においては旧法時代 は捜査の主体 として位置づけられ※

1

司法警察をその補助機 関として従属 させていたが※

2,戦

後の新刑訴法では

,司

法警察 を捜査の主体 とし※

8,検

察官は

,公

訴提起機関として位置づけ られ韓

,そ

の捜査権は公訴提起のための備充捜査灘 とい う性質のもの となった。 このことは合衆国法の強い影響を受けたためであるが

,合

衆国は、警察の捜査 と公訴の ※

1

旧刑訴246条 ※

2

旧刑訴248,249条 ※

5

刑訴189条②, ※

4

刑訴247条なお旧刑訴278条 ※

5

刑訴191条①なお検察庁法 る条①

(2)

輔 俊 提起 の間 に

,予

備審 問

(Preliminary hearing)と

い う制度 が※

Cあ

,又

公訴提起 も

,そ

の提起 の可否を市民 の中か ら無 作為 に選 ばれ た陪審員を以て構成 され る大陪審 (又 は起訴陪審

)(grand

jury)に

決定 させ る落

7

とぃ ぅことで

,連

邦 (州

)に

依 る起訴独 占を排 し

,民

意 が起訴 を正 当 とす る時 にか ざり

,始

めて

,検

事 が起訴 す るとい う制度上 の建 て前 が あ り

,実

際上 は検事 の裁量 に依 る 略式起訴※

9(infOmation)が

行 われ ることが多いので あ るが

,連

邦 に おいては 大陪審 の告発 (す なわ ち

,

公訴提起 を 是 とす る 民意 に 依 る判 断

)(indiCtment)を

待つ ことが 憲 法上 の規定 であ り※

9

犯 罪 の種類 に依ては

,

大陪審 の告発 は 必須 事項 とされて い る。 しか しいや しく も 人 の 生 命

,身

,

自由に重大 な

,か

つ取返 しのつかない影響や結果 を与 え る判断を素人 に委ね ることは又 きわめて危 険で あ るといわ ざを得 ない。素人 (市民

)に

政治が加 の機会 を少 しで も多 く与 え ること は民主政治の大前提で あ り

,要

請 で もあ るのであ るが

,高

度 の専 門知 識 と資格 を前 提 とす るよ うな 官職 に迄

,

この原則を適用す ることは

,

却 て民主政治 を 危胎 に陥れ るもので あ ると 一般 に指 摘 さ れ る所 で ある。裁判 と検察 は

,明

らかに この よ うな高度 の専 門性 を前提 とす る職能 と理解すべ きで あろ う。ただ し

,

ヨー ロ ツパ及 び合衆国において審理陪審

(petty jury)の

行 われてい ることは, これが

,犯

罪事実 の有無

,す

なわち有罪

,無

罪の判定 を票決 (VerdiCt)イこ依て決せ しめよ うとす るもので あ り

,一

,前

述 の危 険はあ って も

,文

明の進化 と社会生 活 の複雑化 と専 門化 の傾向に対 応 して

,各

種 の職能 を持 つ市民 の判 断を聞 くことは必ず しも素人主 義 に堕 した と云 い切れぬ点 もな いではない。 しか し

,起

訴 の適 否 は犯 罪 とい うきわ めて物理 的 な客観 的事実 を前提 と してお り

,真

実 の発見 を素人 の主観 や感情 に依存 す るわ けであ るか ら極 めて危 険で あ り

,民

意尊重が人権保護 に 背反す るサ ンプ ル ともいえ るで あろ う。合衆 国において は英 国 と共 に私人訴 追 の感覚 が根 強 く残 っ てお り

,大

陪審 は独 自の捜査権 を持 って お り

,た

だ現実 には

,そ

の専門性 も技術性故 に検事 に委任 してい る場合 が多い とい うに過 ぎない。 イギ リスは大陪審 の制度 その ものを 1955年 に廃止 し※約, 私人訴追 の制度 を残 し

,必

要 な範 囲 で

,必

要 な時機 に検事 が依頼 を受 けて 引 き継 ぎ

,工

室及び官署

6 GARN H.再 VEBB and THOMAS C.BIANCO,"7HOLT/LANDMARK LA再

ヽ「

SUMMARIES

'CRIMINAL LAW AND CRIMINAL PROCEDURE ANALYSIS AND EXPLANATION'",

Holt,Rinehart and恥「inston,Inc.U.S.A.1970,P■ 5 cf。 な お

Allen.P,Bristow,M.S.John B.

■Villiams, LLB., LLM.,M. S.″

A Handbook in CRIMINAL PROCEDURE and the

Administtation of Justice(REVICED EDITION).GLENCOE PRESS,U.S.A,1966P.38 cf.

7 M,CHERIF BASSIOVNI,"CRIMINAL IAW AND ITS PROCESSES'The law of Public

Order'"CHARLES C.THOMAS,PUBLISHER,SPringfield.IIlinois.Uo S.A,1969P,449 cf.

な お

id,GARN H.WEBB and THoMAS C.BIANCO,“

CRIMINAL LAV AND CRIMINAL

PROCEDURE,"PP,115-116 cf.

8 id,GARN Ho WEBB and THOMAS C.BIANCO“

CRIMINAL LAW AND CRIMINAL

PROCEDURE"P,116

9 id,Amen,P,Bristow,John B,Williams“

A Handbook in Criminal Procedure and the

Administraticn of Justice(Revised Edition)"P.38cf,

※lo David Fellman,“ The DeFendants Rights under Englsh Law,"the University ofヽ Υ iSco―

(3)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官と司法警察の関係は如何にあるべきか

に関す る事件 にあっては

,そ

の顧 間のよ うな形 で

,訴

訟 を代行す る点で

,一

般 の弁護士 の職能 をそ の まま

,国

家顧 間の形 に移 した と見 られ る点がある。犯罪の種類 に依ては最初か ら検事が公訴 の前

面 に登場す ることもあるが

,そ

の例 は

,検

事 の人員 と機能面 か ら極 めで少 ない とされ る。検事 の国 家又 は工 家顧問的な性格 が

public prosecutor,dlstrict attorney(prosecuting attorney),

Staat Anwaltと

ぃ ぅ言葉 を 生んだ ものであ ることは 容易 に理解 出来 る所であるが

,同

時 に又

,

英米法系 において ョーロ ッパ大陸や

,わ

が国 とは全 く異 な る法曹一元 とい う考 え方 が生 じたの もそ のためで あ ると考え られ る。合衆国は母国 と異 な り

,私

人訴追 その ものは影 を ひそめ憲法上保障せ られ る大陪審が連邦制度 と して定着 し,各 州 において も

grand iuryと infOrmationと

は相半 ば す る状 態 にある。 しか し

,フ

ランスや

,わ

が国に近 い起訴独 占主義

,国

家 (州

)訴

追主義 が有力 に な ろ うと してい る反面

,検

事 の体質 が

,大

陸系や

,わ

が国 とは全 く異 な り

,後

者 の資格キ ャ リア シ ス テム とちがい

,弁

護士資格を持 つ者 の中か ら

2∼ 5年

任期 の

elected staffで

ぁ るとい うこと で ある。 この点で

,合

衆 国の検事 は

,大

陸 のそれを

,permanent ser

ceと

すれ ば

,tempOrary

serviceと

評せ ざるを得ず

,政

治的 官職 とい う表現 がなされ る所以であ る。検 事の職責 は元来

,公

益 の代表 と人権 の保護であ る。 その ことは とりもなお さず

,検

事 が準司法機 関 と して判事 に準ず る 身分保障を必要 と し

,そ

の政治 か らの独 立性を確保すべ きで あると考えさせ る。 この点か ら私 は合 衆 国の制度 には反対である。

,

ドイ ツ 連 邦 共 和 国

(Die Bundes Republik Deutschland)に

お け る 刑 事

訴 訟 手 続 き に お け る検 事 の 法 的 地 位

(Die Rcchtostelhng der Staatsa―

nwaltschaftil■

Strafverfahre■

) 検事は司法官庁であって

,執

行機関や第

5者

機関

(dritten Gewalt)と

考え られているわけで はな く

,両

者の中間の独立の訴訟機関

(Rechts pflege)と

して存在 してい る。検事は

,そ

れを期 待 されなが ら裁判官 と同列 には扱われていない※II。 しかも憲法 ワ 2条の表現 に依 ると上命下服の命 令系統があ り

,後

述す るように決定権限の一部は

,判

事に移 されている状態である。検事は又純粋 な行政官庁

(Verwaltungsbeh6rde)で

もない。けだ し

,

刑事訴訟機関は裁判官 との機能分割に おいて検事 に委ね られたのであるか ら

,検

事の活動は裁判官のそれのように行政機関の要求に基い てではな くて

,法

の価値すなわち真実 と正義の標準のみに根拠づけられ るからである。以上のこと を詳談す ると次のようになる。

1.ド

イツの刑事手続 きにおける検事は当事者

(Partei)で

はない。 この ことは前述のイギ リス や合州国の一部の州の私人訴追や

,工

,宮

署などの法定 (訴訟

)代

理人 としての検事 と全 くちが った性質 といえる。それ故

,被

告 にとって不利な証言や資料を収集する必要はな く

,却

,場

合 に

(4)

輔 田 依 て は

,容

疑 を晴す ために必要 な状 況 をつ くり出す ための捜査 を しな ければな らない ことが あ る。 この点

,米

法 が被告人 の罪状認否手続 き

(arraignment)に

お い て「 有罪 (guilty)」 と答 え る ことに依て

,事

後 の手続 きを打 切 って了 うの とは完全 に対 立す る。す なわ ち英米法にお ける個人主 義的責 任主義 の刑訴 にお け る表現 で あ り

,自

己帰罪

(Selfincrimination)と

呼 ばれ るもので あ る が

,犯

人 自らが犯行をみ とめたな らば

,そ

れ を云 々す る必要 は全 くない とい う当事者主義 的 な考 え 方 で あ る。文献※

12に

依 ると

,被

告人 の有罪 申 し立 て (the plea Of guilty)は 公 開 法廷 で提起 されれ ば

,当

該被 告人 が公訴 の本質を理解 してい たか どうか又 その 申 し立て は 自発的で あ ったか ど うかな どの制約 はあ って も

,そ

の犯行肯定 の返答 は審間を終 らせ

,有

罪 申 し立て は受理 せ られ る。 ただ

,法

廷 は

,公

訴 に対 す る被告人 の無 理解 や

,公

訴 が技術的 に過 ぎるとん、 被 告人 が年少 で あ っ た り

,知

能 が低 い とかが疑 われ る場合 は

,判

事 は公訴 が明確 に理解 されてい るかを確 め るため に被 告 に対 して公訴 を明 らかに しよ うと努 め ることが 出来 る。有 罪 申 し立て は

,訴

追 が必要 の場合

,事

実上

,法

律上 において その有罪 を立証 し得 るで あろ うことを被 告 が認 めたの と同等 の価値 が あ り, 要 す るに申 し立てが非任意で あ ったか も知れ ない とか

,捜

査官憲 に依 る誘導 の結果で あ ったか も知 れ ない と考 え られ る場合 は

,法

廷 は この状 況 の下 で 申 し立ての根拠 を審間す るが

,被

告人 が 申 し立 て をす る事実上 の根拠や動機

,そ

れを受 け入 れ るに当 って検察 当局

(the prOSecutiOn)を

更 に尋 間す る利益 は殆 ん どない。法廷 は

,有

罪 申 し立てを受 け入れた時の検事 の 判 断 に依存す る

,つ

ま り

,

も しその申 し立てが検察 当局 に受 け入れ られれ ば

,そ

れ は法廷 に受 け入 れ られ るとい うことで あ る。ドイツの検事 は又

,被

告人 の利益 のため に法律上 の手段 を 申 し入 れ ることが出来

,有

罪 の宣 告 を され た者 に無罪の判決を下す様 に行動す ることもあ り得 る滅13。

2.そ

の他

,検

事 は

,問

題 とな ってい る処 罰すべ き行 為 があれ ば原則 と して公 訴 を提起 す る義務 を負 う※14。 真実 と正義 に反 して盗犯 を追及 しないで放置す るよ うな検事 は恐 らく職務上犯 罪庇護

(Begunstigurg)と

して有罪 とされ よ う※15。 又大 臣 の命令権能 も起訴法定主 義 (Legaltとtspr―

inZip)に

おいて限界 がある。直属大臣た る司法大臣 か ら指示 を受 け

,

高 官 を 巻 き込 み

,そ

の結 果

,賄

路事件

(BesteChungsfa11)を

放置 してい るよ うな ことがあれ ば

,検

事総長 は この よ うな指 令 に対 す る服従 を拒絶 しなけれ ばな らない。 ただ し公共 の利益 が問題 にな っていて

,起

訴便宜主 義

(OppOrtunitatsprinzip)に

従 って公訴す る とい うので あれ ば問題 はない。 起 訴不起 訴 が政 治的 な理 由で左右 され ることは真実 と正義解 切のための取 り調べ と全 く無 関係で あるか ら

,大

臣命 令 の 対 象 にな り得 ない※lS。

撼(12 Brian A.GrOsman,“ The Prosecutor(An inquiry into the exercise of discretio=っ ",UniV…

ersity o£ TrOnto Prcss 1969,PP.29-30

※ 15 id・ Kern“Roxin,“ Stra:verfahrensrecht"P,44

※刊

4

同規定 日本刑M247条

※45 id・ Kern‐'Roxin,“ Strotverfabrensrecht'P,44

(5)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官と司法警察の関係は如何にあるべきか

5.個

々の検事 は被告人 を事実又は法律 的根拠 か ら無罪 と判断 した場合

,な

,そ

の上官か ら公 訴代行

(Verttretung Anklage)ゃ

,他

の官か ら

,逮

捕 状

(Haftbefehl)の

申 し立てや

,遂

行処 置 を強制 されなけれ ばな らないか とい うことは疑点 のあ るところであるが正確 には否定 され るべ き で ある※17。 けだ し

,か

りに個 々の検事が常 に当該 (第

1義

)公

務員 の代理者 として処理 して も, 真実 と正義 を代理 (代表

)す

ることは してお らず

,事

実 に対 す る良心 的かつ個人的 な決定 に過 ぎな い か らであ る。 それ故検事 は何人 もその信ム (確信

)に

反 して行動す ることは強制 されない。 しか しその事 に依 て

,検

事 の指 揮系統 で上位官職 の決定権 が侵害 され ることはない。 けだ し

,官

吏 の職 務代 理法 (Substitutionsrecht)は その上官に対 し

,そ

の事件 を 自ら引 き受 けるか他 の検事 に委託 す る権 限をみ とめてい るか らで ある。又公判前 に弁論 の終結 を 目的 と した指 示 を与 え ることは禁止 されてい る。直接主義 (unmittelbarkeitsprinzip)│こ 依 て

,判

決 は公判 の結果 のみ に基 づかなけ れ ばな らず

,検

事 は弁論 に依 て論証 し

,公

判結果 を勝 ち取 らなけれ ばな らないのであるか ら

,証

拠 調 の結果 を予見 し得 るよ うな指示 を与 えることは訴訟規則 に反す るとして

,無

視 され るので あ る。 4・ 独 立 した訴訟機 関 と しての検事の地位 は

,さ

らに

,近

年非常 に論争をか も した問題 に終止符 を打つ ものであ る。す なわち検事が既 に確定 した大審院判決 にも反対 に対 す る抑止を無罪 と考えて い る時で も

,な

,公

訴 の義務 が存在す るか とい う問題 であ る。連邦裁判所 は この ことをセ ンセー シ ョナルな決定 を以て肯定 してい る。 しか し

,裁

判所構成法

(Gericht Verfassung Gesetz)450

条 によ ると

,検

事 の判事 か らの独立 とは

,真

実 と正義 に対 す る責務 の絶対 が独立であるとい うこと で あ り

,

自己 に責任 を負 う確固た る信念 を前提 と してい る状 態 は

,大

審院判決 の抱東力 に対 して も

同様 であ るとしてい る滋IB。

それ に対 し起訴法定主義 に対 す る連邦裁判所

(BundeS Gericht Hof)の

指示 は 適 切でない。 けだ し

,起

訴法定主義 は

,検

事 が罪 とな るべ き行為 を追及 しなけれ ばな らないのは勿論で あるとし て も

,検

事 自身の法律見解 に基 いて有罪を判 断す ることを要 しない とい うのではないか らで ある※1。

5権

分立 義

(das Gewaltenteilungs prinzip)も

検 事 が 自己の法律上 の信念 に反 して迄公 訴を

提起 しなけれ ばな らない ことを要求 していない※20。 けだ し判決 のみが裁判所 の義 務 と さ れ るか ら で ある。 しか し検事 に依て無罪 と考 え られ る抑止 を取 り下 げることは決 して憲法のい う判決ではな い。確定判決 の前提 に基 いて

,一

致 を 目標 にす ることは困難で あ り

,検

事 の負担 に依て

,

とに角, 検 事 は起訴 に道 ってその法律上 の確信を基礎 に しなけれ ばな らない と仮定すれ ば

,拘

束 に反 して, 実 際的 な考慮 が有効 に働 く。

5.真

実 と正 義 を求 め る検事 は法的平等の拘束を受 けるか ら

,検

事 の忌避 も又可能でなけれ ばな ao a.O

id. Kern‐Roxin, ``Strafverfahrensrecht"P, 45

a.a.O

a.a.O 7 8 9 0 苅 沌

(6)

輔 和 らない。裁判所構成法145条に基 いて検事 の交替を求 め る被告 の上司 に対 す る合法的 な申 し出は, 許容 され るべ きで ある。 それ はその検 事 の排除 を 目的 とす る裁判 官 がいて

,そ

の裁判官 に依て排除 が行われた り

,被

告 か ら偏見 を抱 かれ る不安 が あ る場合 の配慮 で あ る。 区裁 判所構成 法

(AGGVG

)第

7条

において

,基

準法則 と して一般 的効 力 を持 つ規貝」は法律 と して規 定 されてい る。 しか し判 例 に依 ると

,裁

判所構成法施行法

(EGGVG)25条

に依て

,

訴状方式 の中で偏見 のおそれがあるか ら検事の交替を求 め るとい う訴訟上 の要求 は従来否認 して来 た。 それは

,法

律 に依て忌避 された検 事 が関係 して出来上 った判決 は変更 しな けれ ばな らないの と同 じ趣 旨で あ る。不公平 な裁判 が行わ れ ることを避 け るための排除は当然であ るがそれを単 な る申 し立 てで あ ってはな らない

,法

律 に依 らなけれ ばな らない とい うわ けで あ るが

,結

論 は出ていないよ うで あ る。現在 の所

,検

事 の交替を 求 め る忌避 はすべ て裁判所構成法25条 の司法行政法

(JustiZVerwaltungsakt)に

依 る と考 え られ て い る。 そ して検事側 の証人名簿 にの っていた とい う理 由で排除 された検事 が関係 していて

,そ

れ を変更す るだけの根拠 が立証 されれば

,排

除 されなけれ ばな らない こ とはい うまで もない。 6。 以上 の諸点 の要約 として

,検

事 はその訴訟手続上 の地位 にふ さわ しい人的

,物

的 な独立性が 法的 に保 障 されな けれ ばな らない票'1。 三

,検

事 の 捜 査 手 続 き の 執 行 の た め に行 わ れ る 他 官 署 の 官 吏 の 職 務 補 助 I、 警

1,こ

の場面で,最 も強力なはた らきをす るのが司法警察で あ り,旧 刑訴時代 のわが国の検事 と司 法警察 の関係 に酷似す るのであ る。すなわち

,捜

査 の実際的意義 は警察 の共 力 に当 って現われ る。 検事 は全 く実行機 関

(ausfuhren organ)を

持 たない。 その意味で は

,

検 事 は手 のない頭で あ るX22。 法律 は この欠点 を調整 す るために

,警

察 官署 と職員 を検 事 に用立 てて犯罪追及

(Verbrech_

ens Verfolgunoの

補助 (UnterSttttzung)を させてい る※23。

警察 は組織上 は検事の下位 におか れず

,州

内務大 臣

(Innen Ministerein der Lander)に

従属 して い る※24。 そ して

,

特別 の強制

権能

(ZWangSbefugniss)を

与 え られ る検事の補助宮吏

(HilfSbeamt)は

,他

の警察職員 とは区 別 され る。警察 の どの階級 が検事の補助官吏であるかは実質的統一 の とれてい る連邦州法令 (Rec―

htsverordnuug)に

おいて確定 されてい る。

2..警

察活動 の二態様

a)警

察 は有罪 とされ るべ き行 為 が行 われ るとす ぐ捜査 しな けれ ばな らない※25。 しか し

,そ

id. Kern‐Roxin, Stra£verfahrenrecht " P,45。

id Kern・Roxin, ``Strafverfahrenrecht'' P, 46 a.a.O a.a,0 a.a,0,Strafverttahrenrecht 163 1,な お日本警察法2条① 日本刑事訴訟法189条②に類似規定あ り

耀

(7)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官 と司法警察の関係 は如何にあるべきか 際

,警

察 は初 動 の権利 と義務 を持 つ にす ぎない。警察 は遅滞 な く

,そ

の権 限内の処置 を行 わな けれ ばな らない。警察 は遅滞 な くその記録 を検事 に送付 しなけれ ばな らない。 これ に依て検事 に依 る捜査手続 きの支配権

(HerrSChaft)が

不変 で あ ることが保障 され る半26。 この点 につ き , フ ランス もほぼ同様 の 態度 を とってお り

,

フ ランス共和国 刑訴42条 に依 ると

,

共和 国検事補

(auXiliaire de M.le Procureur de la Rё

publique de)(郡

)治

安判事 司法警察官は軽犯 罪

,現

行犯 事件 (flagrantdёlit)と 刑事訴訟法40条 又は刑事担 当判事の受託 (Ia Commiss―

ion fogatire)に

依 て起 訴 を行 うが

,そ

の際

,警

(又は郡

,市

長又 は郡

,市

長 補助者

)に

,補

助 の要請 をす ることが出来半27, 警部 (又は郡

,市

長 又は郡市長補助者 に対 す る

)要

請 は

,犯

,軽

罪 に関連 して

,捜

査手続 きが どの程度 に必要で あるかに応 じて補助力 を提供 させ ることにな る。 このほか

,共

和 国検事補

,治

安判事

,司

法警察 官 は民 事事件 を除 き

,刑

事訴訟 法

9条 ,25条

,憲

兵服務令 に依 り

,憲

兵 を指揮 す る ことが出来 る。X28ま た逮捕 に当っては, 制定法規 に定 め る軽犯罪が逮捕 に抵抗 すれ ば

,そ

の逮捕 は証拠 があるもの と推定 され

,実

際上 逮捕 は警察 の実力行使 に依て行 われ るか ら

,逮

捕 事実 の宣言 をす るに当 って他 に何等 のわづ ら わ しい障害 もない※2e。 ドイ ツにおいては

,警

察 が司法上 の調査行為

(UnterSuchungshandlung)に

す み やか に 着手 しな けれ ばな らない と考 え る場合 のみ一件書類

(Akte)を

区裁判所判事

(Amtsrichter

)に

送 付 す る。 この点 もフランスに類似 してお り

,司

法警察官が非公式 の取調べ を行 な った時 は郡治安判事 に通知

(avertiSSement)を

しな けれ ばな らない※30。 しか し ドイ ツにおいて検 事 が更 に広汎な処置 を出来 るだけ早 く委託 しなければな らない とすれ ば

,区

裁 判所判事 は 165 条 に従 って, 自 ら活動 しな けれ ばな らないか ど うかを決定 しなけれ ばな らない。つ ま り最初 の 処理権 は警察 に全 く強制権能 を与 えず に

,任

(Aufgabe)の

み を警察 に割 り当ててい る。

b)警

察 の捜査 は先 づ第1に検事 の指示 を根拠 に して行 われ る。 この指示 は

,そ

れ が一般的な警 察官署 に対 してな され る場合 は依頼

(Ersuch)と

呼 ばれ

,

それ に対 し検事 の補助官吏 に対 し て発せ られ る時は

,命

(Auftrag)と

呼 ばれ る。警察 は両方 の場合 を通 じて受諾 の義務 があ る。

5,a)立

法者 の概念 に依れ ば

,捜

査 の支配権 は

,そ

れ故

,個

々の限定 された捜査命令 (Ermi―

ttlungsauftrag)に

対 してのみ の警察 を関係 させ る検事の手 中に完全 に存 在 し て い る とす ※% Strafverfahrenrecht 163ェ 2.,id.Kern‐ Ro n.“Strafrerfahrenrecht"P,46な お 旧 日本 刑 訴246

条 に 同 趣 旨の規 定 あ り

※27 a M.Louis HUGENEY,Travaux de la Section de Droit Penal et de scienoe Criminelle Ⅳ

``PROBLEMES CONTEMPORAINS DE PROCaDURE PaNALE" ,PARIS SIREY,1964P.1146

※28 id.“

PROBLEMES CONTEMPORAINS DE PROCЁ

DURE PaNALE"P.1147

※29 id“

PROBLЁ

MES CONTEMPORAINS DE PROCEDURE PЁ NALE"PP,4--5

※50 id“

PROBLЁ

MES CONTEMPORAINS DE PROC£ DURE PaNALE"P,900

(8)

俊 る票31。 ただ実 際には

,広

範囲 の捜査手 続 きが警察 の手 に移行 してお り

,法

律上警察 を必巳罪捜 査 の主体 とし※32,実質 的 には補充捜査 (法律捜査

)の

形 で検察官 にも捜査権 をみ とめ る※

33ゎ

が国の現状 とは根本的 に対立 してい るとい うよ りも

,わ

が国の旧刑訴 と酷似 してい る票34 こと に気付 くのである。 ドイ ツにおける移行 の現実 と しては

,警

察 は しば しぼ捜査 を独立 させ

,捜

査終結後 に

,直

ち に一 件書類を検事 に送付 してい る※95 とぃ ぅことで ある。 その場合 は検事 は訴訟手続 きを停止 す るか尚公訴を提起す るかを決定す るにす ぎない。捜査手続 きを司法官庁 として指揮す ること は問題がないわ けで はないか ら

,将

,検

事 の指揮 のみ に服従 し検事 の意思 に直結 した他 の警 察官署 の援助の下 に

,検

事 の指揮 に従 って捜査業務 を遂行 出来 る司法警 察職員 に検事 が補 助業 務 を委託す る ことは必要で あろ う。

b)最

近 は検事 が このよ うな任務 に警察を関係 させ ることだけでな く

,そ

の具体 的な執行

,た

と えば火器を携帯 しての 出勤

(SChuSSWaffeneinsatz)を

命ず る ことの可否 が争われて い る。

4.連

邦憲法 に依 れ ば警察 の制度 と組織 は根本 的 に州 の定 め る所 で あ って

,連

邦 は国境 内に共 通 の警察組織 を持 っている。

a)憲

法 の保 障す る連邦官吏 は憲法の保障す る要件 において連邦 と州 の共助 に関す る法を根拠 に 組織 されてお り

,政

治犯 罪 との戦 い に従事 してい る。 しか し「 反憲法的な計画」 についての報 知

,通

,こ

れ迄 の手 がか りな どの収集

,評

価 の問題 は別 で あ る。本来 の警察 の処置機能 は こ のよ うな官署 には属 さないのである。

b)連

邦刑事 (司法

)警

察職員 の組織 につ いての法令 の根拠 に基 き組織 されてい る連邦刑事 (司 法

)公

務員 は特別 な意義 を もつ。その報告 と手 がか りが州 の領域 内において とい う限定 を法律 的 にされていな い限 り連邦刑事 (司法

)公

務員 は刑事警察 の犯 罪鎮圧 と

,犯

罪行 為追及 のため にすべての通報 と手 がか りを集め

,か

つ評価 しなけれ ばな らない。又通報 を受 けるに必要 な刑 事技術上 の準備を しなければな らない。

4条

1項

によれば

,州

の予防的犯罪鎮圧 と

,犯

罪行 為 の追及 は行われてい るのであるが

,一

方連邦 刑事警察職員 は州庁 の依頼 や

,重

大 な根拠 のある 時 に発せ られ得 る連邦 Å務大臣の命令 か連邦 検事総長管轄 の捜査手続 きに依 て警察 任務 その も のを代理す ることが出来 る。又連邦 の執行官

(V01lZugsbeamte)は

検事 の補助職員 で あ り, 連邦全域 内の職務行為を代理 し得 る。

5.警

察 が犯 罪追及 とその処置 をす るに当 って の市民 の権利保護 (法律上 の保護

)は

連邦憲法第

4章

19条 に依 て実 際 に根本的 に保 障 されてい る。

id kern‐Rcxin,“ Strafverfahrenrecht"P,47 なお旧日本司法警察職務規範19条

日本刑訴 189②

日本刑訴 191①

,検

察庁法 る① 日本旧刑訴24る

,248,249

id. Kern‐Roxin Strafverfahrenrecht''P, 47 引 ψ “ 勢 “ ※ ※ ※ ※ ※

(9)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官と司法警察の関係は如何にあるべきか 警察 の権 限の個 々の形成 は議論 のあるところであるが

,慣

習 的な見解 に依 て警察 のすべての活動 が もっぱ ら行政官的 に再考せ られ得 る一方

,警

察 につ いて新 に分化 された見解 が出はじめてい る。 すなわ ち予防警察活動 に関 しては先 づ行政裁判所

(Verwaltungsgerichte)が

処理 し※36犯 罪追及 行為 に関 しては行政裁判所 に処理 させないのがよい とい う考 え方で ある。 このよ うな考え方 は

,わ

が国において は特別裁判所を否定す る憲法 の趣 旨か ら採用 は不可能 であるが業37, 警 察機能 の複雑 多様化 の激 しい今 日

,そ

の機能 を 目的 に依て分化す ることは行政上 は能率 向上 につなが り

,こ

の考 え方を貫 けば

,

これを指揮

,監

督す る立場 にある司法

,乃

至準司法機 関 も又分化せ ざるを得 ないの で はないか とも考 え られ る。 ドイ ツ連邦裁判所法施行法 に依 れ ば

,(機

能 的意義 にお け る司法宮署 と しての警察

)は

審級管轄 の監督機 関

(Kontrollinstahz)と

して控訴裁判所 に属 させ るとしてい る。 通常裁判所 に依 て刑事 訴訟手続 きにおける権利保護を集 中させ ようとす る傾 向は

,訴

訟手続経済 と正 当な原理 における事 件 関連 の根拠 か ら生 じて い る。 この ことは裁判所構成法施行法25条 以下 の補助的手段が参照 され る 前 に

,刑

事訴訟規則 に依 て裁判管轄が与 え られな くとも平

38統

合管轄的な立場 で こと

,機

能面 に関 す る限 り行政官署でな くH」法官署 に指揮監督権 を与 えてい る点 は特 に注 目に価す る。 これは

,現

のわが国では到底考え られ得ない ことだか らである。 けだ しわが国にあ っては

,前

述 の ご と く原則 と して実体捜査 は警察 に

,公

訴 は検察 に分離 してお り

,検

事 の捜査 に当 り

,司

法警察職員 に対 し一 般指揮

,個

別指揮 が認 め られ るにす ぎないか らで あるンB。。すなわち原 則的には両者 は対等で協力関 係 にあ るか らで あ る深4o。 Ⅱ

,捜

査判事 (Errmittlungsrichter) 値

)検

事 は捜査手続 きの主体 である。検事 は実状 の解 明 と国家の刑罰請求(Strafanttruch)の 現 に必要な処置 を とらなけれ ばな らない。 しか し判事 には このよ うな処置をす る権能 を法律 に 依 て禁 じて い る。 けだ し

,そ

の処置を処理す ることを判事 に留保 してい るのだか らである。検 事 か ら訴訟手続 きにおける支配を奪 うことな く捜査訴訟手続 きにおいて全 く同 じ処置を可能 に す るため に

,法

律 は捜査判事 の制度 を規定 してい る。検事 は この訴訟手続 きが審理 され るべ き 地域 の区裁判所判事 に依 て

,検

事 に要求 された とみ とめ られ る仕事 の着手 を 申 し出る(162条 ①

),区

裁判所判事 は この手続 きの許容性を合法的 に調査 しなけれ ばな らない (162条 ②)。 もち ろん許容性 についての法律上 の裁量が決定せ られれ ば

,手

続 きはその儘維持 され る。 しか し, 捜査判事 は 申 し立 て られ た処置 の純然たる合 目的性 を調査 しなけれ ばな らな い こ と は全 くな い。捜査判事 はそれ故

,そ

の審間が不要であるとか

,検

事 自身 に依 て行 われ得 るのであれ ばψ

※56 id. Kern‐ Roxin, “Stratverfahrenrecht"P,48 ※

57

日本憲法路 ②

※58 id Kern― Roxin.“ StrafverFahrenrecht''P.48

59

日本 刑訴 191①

,195,検

察庁法 る① ※

40

日本刑訴192,検察庁法 る②

(10)

輔 田 検 事 か ら申 し立 て られた司法上 の審間を確証 を以 て却下す ることを何等要求 されない。検事 が 決定す る際 に判事 の拘束 が あ る とい うことは司法上 の独 立性 を何等 毀損す るもので はない。 け だ し

,捜

査判事 は全 く判決 を行 わず に

,指

揮行 為をす るので あ って憲 法上必要 な検事 のための 補 助官職 と して合法的 に活動す るに過 ぎない ものだか らである。

b)国

家保護事件 においては

,管

轄 区裁判所判事 に並行 して

,そ

の管轄が連邦全領域 を合む控訴 裁判所や連邦裁判所 の捜査判事 も又活動す る ことが出来 る。 国家保 護事件 にあ っては

,

このよ うな管轄集 中が準備手続 き

(VOrVerfahren)1こ

おいて も又要求 され る とい うことが認 め られ な けれ ばな らない。 しか し控訴裁判所 に隣接す る連邦裁判所 の捜査判事 の準備 は殆 ど意味がな い。 けだ し準備手続 きにおいては連邦検事総長 の申 し出については控 訴裁判所 の捜査判事 も全 く同 じ決定権 があ るか らである※41。

2.捜

査判事 は久の場合 に活動す る

a)検

事 の 申 し出に基 く場合 α

)捜

査判事 の共力が提供 され る場合 時効 の中断 と証拠方法の確保 のために β

)捜

査判事 の共 力 が法律上規定 されてい る場合 :証人 と鑑定人 の宣誓 した尋間 のため に, 差 し押 え書面 の検 閲 のため に

,危

院許可 の

1時

的剥奪 のため

,

調査拘禁 (UnterSuchun―

gshaft)ゃ

1時

保管命令 のために

,通

常事 件 にお ける差 し押 え

(BesChlagrahme)と

, 捜索命令 のために

,通

常事件 にお け る身体捜索命令 のために。

b)緊

急 な場合 のみ

,

捜査 判事 が主導 して活動 す る。 この時

,

捜査判事 はいわ ゆ る緊急検 事 (

Notstaatsanwalt)と

して検事 の位置 で行動す る。 この場合

,彼

は職権 を以て職務上

,す

べて の延期 の許 されぬ調査行 為 に着手 しなけれ ばな らない

,そ

して

,そ

の上

,職

権 を以 て逮 捕状 (

Haftbefehl)を

発 す ることが出来 る。 ただ し

,捜

査手続 きに対す る検事 の支配を保障す るため に

,法

律 はそれ以上 の処 置 は検事 に委 ね なけれ ばな らない と規定 して い る※

42(467条

)。 この 規定 は犯 罪捜査 の主体 はあ く迄検事で あ り

,補

佐乃至補 助機 関 は司法機 関 と雖 も検事 に助力す るに とどまる ことを明記 した ものであ り

,わ

が国の旧刑訴に類似 の規定 があるので比較 のため 引用す ると「 警視総監

,地

方長官及憲兵 司令官ハ各其 ノ管轄 区域 内二於 テ司法警察官 トシテ犯 罪 フ捜査 スルニ付地方裁 判所検事 卜同一 ノ権 フ有 ス但 シ東京府知事 ハ此 ノ限 二在 ラス」※

43「

検 事捜査 ヲ為 スニ付強制 ノ処分 ヲ必要 トスル トキハ公訴 ノ提起前 卜雖押収

,捜

,検

証及被疑 者 ノ勾留・ 被疑者若ハ証人 ノ訊問又ハ鑑定 ノ処分 ヲ其 ノ所属地方裁判所 ノ予審判事又ハ所属 区 裁 判所 ノ判 事 二請求 スル コ トフ得前項 ノ規定 二依 ル請求 ヲ受 ケ タル判事 ハ其 ノ処分 二関 シ予審 判事 卜同一 ノ権 ヲ有 ス」※44「警視 総監

,地

方長官 (東京府知事 フ除 ク

)及

憲兵 司令官 ノ捜査 ノ

霧枇誌賦 露

'“

t盈

鉢話

盈ユニ

:誘

:41ど

9 ※

45

旧日本刑訴247条 ※ “ 旧日本刑訴255条

(11)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関 としての検察官 と司法警察 の関係は如何にあるべ きか 権ハ異 常 ノ場合 二於 テ之 フ行 フヲ例 トス此 ノ場合 二於 テモ成ルヘ ク其 ノ 処 分 フ 検事 二譲 ルヘ シ」X45等で ある。

5,予

審判事

(UuterSuchungsrichter)は

捜査判事 とは峻別 されな けれ ばな らな い。 けだ し, 予審判事 は複雑 な事件 において準備手続 きの第

2段

階,予 審

(VOruntersuchung)を

主 宰す る判事 だか らで ある。予審 は予審法80条 によ り第

1審

(ersten Rechtszug)上

級裁判所 か陪審裁 判所 の 管轄 に属せ られ るもので あ り (刑事訴 訟規Rlu第

1章

178条 )※46, 予審 に依 て刑事被 告人 (被疑者) が判事 に審間された結果

,犯

罪構成事実 が存在 し

,検

事 が予審 を不要 とみなす ことが明 らかになれ ば (規則

2章

1節

178条

),別

と して被 告 が規則201条 の公訴状

(die Anklageschrift)1こ

対 す る 陳述 において予審 を提義 した場合 (規 則

5章

1節

178条

)と ,

陪審及 び刑事裁判所事件 (Sttafkr―

ammersache)に

おいては公 訴状 か検事 に対す る陳述 において被告 が予審 を 提 議 し

,相

治の考慮 の価値 あ りとされ る場合 ※47, 及 び規則

2節

479条 に依 て検事 が 申 し出て

,規

1節 180条

に該 当 し ない場合 に予審 は開始せ られ る※48。 要す るに本審理 を行 な うに先立 って予備審理 を した方 が犯 罪事 実 の確認及 び証拠 収集 と保全上有利 と考 え られ る場合 の予備審理で あ る。 この審理 を担 当 し

,主

宰 す るのが予審判事 で あ る※4e。 捜査判事 は捜査手続 きにおいて共 力す るが

,

個 々の調査行為 のみを 行 い

,

しか も検事 の申 し出のみ に基 いて規Rld的に活動 し

,特

殊 な緊急事件(Eilfall)において のみ 独 立 して活動す る。予審判事 は予審 の主体で あるか ら

,予

審 の指導 をす る場合 は

,検

事 と交代 し, その事務 については完全 に独立 して行動す る。以上 の ことか ら捜査判事 は

,予

審判事 と全 く異 った 職能で検事 の捜査 の補助機 関の1つで あることがわかるので ある。 Ⅲ 捜 査補助 刑事手続 きにおいては行為 と共 に犯人 の人格性 が判断 されなけれ ばな らない。犯人 の人 間 関係 は刑 の量定

(StrafZumessung),刑

の執行猶予

(Strafaussetzung)の

評価 と

,思

い がけぬ重罰 の科刑な どについて問題 にな ることがある。 しか し

,

このよ うな人間関係 は犯罪追及機 関だけでは決 して充分 な調査 が出 来 る も ので はない が

,に

もかかわ らず

,そ

の処置をす るための補助手段 はきわめて粗雑で このよ うな捜査 は心理的妨 げにさえな るとされ る。 この難点 の解消 のため に

,特

別 な捜査補助措置 が求 め られ る。 この よ うな 措置 は社会的な裁判所補助で あ り

,厚

生福祉事業 か ら導 び き出され1926年 に始 めて組織 され たが, 間 もな く再 び停止 されて了 った。少年裁判所 (jugendgerichtsholfe)(通常 14才 か ら18才迄 の少年 の犯罪を処理す る

)の

補助 のみ が制定法 と して規定 せ られてい るに止 まる。革世 的な刑 事 訴訟手続 きに対 して人 口10万 以上 の若千 の大都会 のみで裁判所補助組織 とはちが った基礎で再組織化 が叫ば れ てい るが

,連

邦共通 の法規 は今 日迄存在 してお らず

,保

安処分的な司法活動 がかえ って人 権 を侵 ※

45

旧司法警察職務規範20条

:,等

嘘粗辮期選電酢塩欝■

μ臣

瀬り

h測

82A岨

e

(12)

俊 田 害す る とい う考 え方 もわ が国 にはあ るが

,西

ドイ ツにおいて も客観的な表面犯罪の鎮圧 と捜査 に重 点 がおかれ

,深

層 にひそむ犯 罪醸成要素 た る人 格

,精

神面 に対 す る予防

,矯

正 は犯罪捜査上 は主観 的な フア クター と して一歩 を ゆづ ってい るので はない か と考 え られ る。 しか しその様 な組織 が完成 した時 に

,司

法官署 としての捜査補助 が完成 し主務官署 と して完全な活動の期待出来 る補助員 が保 持せ られ る※50 とぃ ぅ考え方が西 ドイツにあることは注 目に価す るであろ う。 四

,歴

史 的 沿 革 か ら見 た 検 察 制 度 と 司 法 警 察 な ら び に 現 状 と の 関 係 フ ランスの初期 の検察 は

,イ

ギ リス と非常 によ く似てい る といわれ る。15世紀は フランスのすべ ての刑事手続 きは「 フランスにおいては国王を除 くほか,何 人 も検事 に依 て弁論す ることを得 ない」 とい う諺 が支配 していた。犯 罪行為は

,純

然 た る私 訴

(Private ntigation)で

あ り

,何

人 も

,そ

の家族

,被

害者 の君主 (liege 10rd)た るとも

,そ

の名 においてす るのでない限 り

,訴

訟 を提起 す ることは合 法的ではない とされていた。工候

,貴

族 の利益 が問題 にな った ときに限 り

,検

事 に依 る 訴追権

(demander par procureur)が

行 われ ていた。 初 期 こうい う検 事 は実務弁護士 で あ った が

,彼

等 の私 的業務 の一部 と して

,王

や貴族 の主要 な歳入源 の4つた る罰金

,没

収を科すべ き犯罪 を訴追す ると共 に国王 の財政上 の利益 を監督 も していた もので ある。 44世 紀迄 に

,国

工 の検事 の地 位 は確 立 され

,公

権 力 の優越 の原則 を確立 し

,内

閣の公権 力 の重要性 を高 め ることにな った※51。

フ ランスの歴史的発展 は以下 の

4つ

の訴追形式 に依 て記 され る。1′accusation priveる (私人 訴

追), 1′

aCCusation populaire(民

衆 訴追), la pOursuite d′

office(官

庁起訴), 1′aCCusat一

ion publiquc(公

)の

四種 で あ る。元来

,

被害者又 はその後継者 は 自己利益 の保 護 の為 とい う 訴 因で訴訟を開始 した。 その後 の民衆訴追 は国家利益 において行 われ る私人訴追 として特色 があ っ た。 これは

,裁

判官 自身が公 の利益 において

,重

大 な犯 罪 の訴追者 の役割 を引 き受 け る官庁起 訴 に とってかわ られた。最後 のそ して現在 の訴追 の型 は公訴であ って

,こ

れ は

,そ

の訴追 に依 て国家任 命 の官吏 は

,全

犯 罪 について捜査

,

予審

,

訴追 され る責 を負 う。検 事

(procureur public)と

, 検 事補 は司法大 臣を代表 し

,各

審級 にお け る単位 と して の機能 を果 たす。 司法大 臣は訴追 の階層 に お け る最高 の位置を 占め

,破

棄法院 (COur de cassation)と こ付属す る検事総長 (avocat g6nё _

ral),控

訴院 に付属す る検事長 (procureurs gёnё

raux),

共和 国検事 (prOcureurs de la

R6pwbliquc),共

和 国検事補 を従え る。 第

4審

法廷 に割 り当て られ た共和国検事 は刑法違反を発 見 し

,訴

追す るに必 要なすべての行為を引き受 けることが出来

,ま

た引 き受 けさせ られ る。共和 国 検事 はそれ に依 て告訴 を受理 し

,そ

の職務を遂行す る上で警察 の補助 を要求す る権利を有す る。公 訴 を開始す る責任を持 ちまた捜査 に当って司法警察官を監督す るの も共和国検事である。

Kern‐Roxin, ``Strafverfahrenrecht'' P.50

“The Prosecutor"PP,14-15

d d

(13)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官と司法警察の関係は如何にあるべきか 共和 国検事 と合 衆 国の地方検 事 の類似性 は

,そ

の機能 の面 において基礎的に関連 があ る。両者共 専 門検察官 と して公 判 の維持 のみでな く

,公

訴 の提起

,警

察 の捜査 の監督 も行 う。相達 の最 も明 ら かなのは両者 の経歴形式であ る。前者 (フ ランス共和 国検事

)は

厳正 に構造化 された文官階級制度 の中の官吏 であ り

,後

者 (合衆 国地方検 事

)は

広汎な 自由裁量 と

,行

軸 の 自由を持 った公選 に依 る 政治的存在 と して行動す る※52。 公 訴の開始

1.逮

捕 の決定 告訴又 は告発 に依 て刑事手続 きを開始す る権限を与 え られていて も

,英

米法で は検事 が実際に告 訴の舞台 にかかわ ることは殆 どな く※59,又 その告訴が申 し立 て られた後迄

,訴

追 の責任 を引き受 け ることはない。私人で あれ

,警

察 官で あれ個人 は

,治

安判 事の前 で宣誓 して

,告

発 か告訴 に依て刑 事手続 きが開始す る。検事 の最初 の仕事 は起訴すべ きか否 かを決定 す るために

,そ

の告訴又 は告発 を調べ ることで ある。 このよ うに して

,検

事 は訴追を開始す る前 に証拠 の充足性を再調査す ること に依 て選別機能 を果す。警察 の逮捕決定 に加 えて

,検

事 が独立 の決定権 を行使す ることは不 当な訴 追 や不充分 な証拠 に基 く訴追 の開始を妨 げ る若干 の保障を提供す ることにはな る。 ヨーク州 の訴追 例 では

,多

くの場合

,検

事 は事実上被告人 が法廷で審間 された後迄

,告

発 や告訴を考慮 しない。被 告人 に不利な証拠 の充足性 は予備審問 (prelilninary hearing)か公判 自体 が終結 され る迄 は再調 査 されなぃ。 それ故

,訴

追 開始 の決定 は

,逮

捕 を正 当 とす るだけの犯行 の充分 な証拠 あ りと決定 し た逮捕官 に依 てな され る。 このよ うに警察 の逮捕決定 はた とえ逮捕正 当化の標準 が

,訴

追開始正 当 化 に要す る証拠標準 と本質的 にはちが っていて も

,訴

追 開始 の効果 的決定 とな るのであ る。検事は 被告人 が告訴 され

,法

廷 で審問 され る前 にその事件 の事実 について告発 を受 けるよ うな ことは殆 ど ない。罪状 認否 に当 って警察関係官 が検事 に内報票

(dOpe Sheet)を

手渡す のが例 で あ る。 事件 の開始 と

,検

事 の下へ の到達 との間の きわめて短 い時間内に

,検

事 は被告人 に不利な証拠 の簡潔 な 警察要約を書 き込んだ内報票を再調査す る。告訴

,証

拠 にお け る不 当は

,

この最初 の罪状認否で検 事 に依 て再調査 され ることは滅多にない。罪状認否 の後

,不

当性 は予備審間が決定 され る迄注意 も されず修正 もされない儘 で

,継

続 す るのが普通である。被告人 は有罪を 申 し立 てた り

,予

備審間 を 拒否す ることも出来 る。前 の場合 は

,証

拠 の問題や

,告

訴 の正 当性 は再調査 されない

,

も し後者 の 場合で あれば

,再

調査 は

,検

事 が事件を公判 にかける準備 をす る迄延期 され る。 ヨーク州 の検事 は 告 訴提 出に対 す る監督 の欠 如 と延期 され る検事の参加 に固有の問題 があると認めてい る。老大な数 にのぼ る警察官 に依 る告訴が

,事

前 に検察 当局 と何等の協議 な くして提 出されてい るので

,逮

捕原 因の蓄然性 と 訴追 目的 の ための証拠 の 充足性 との 間の不一致 が完全 に無 チ ェックの儘通過 してい

id. The prosecutor" P.16 id. ``The prosecutor"P.20

(14)

輔 俊 和 る※45。 検事 の

1人

は次のよ うに述 べてい る「私 は 自分 が何をす るつ もりなのか知 らない

,私

は冷静 に行 動 し

,伝

達票を見て拒否す る」 と

,ま

た別 の検事 の

1人

,事

件 との最初 のかかわ りは「 いつ も自 分 が

,法

廷 に入 る日に始 ま る」 と指 摘 して い る。「 事件 が最初 に審議 に付 され る 日は

,私

が事件 を 見 る最初 の時 であ る。事件 の多 くにあ って は 自分 は最初警察官 にさえ会 って いない。」第 二 の検事 は参加 の時機 的にお くれ ることについての関連 を述べた。 時期的 に

95%は

われわれ は事後起 訴 にまわ って い る。

5%は

官庁 は どの よ うな積類 の告 訴 に関 し て処理 すべ きかに関 して官庁 か ら意見 を求 め られ る場合 がある。 こうい うことは殆 ど充分 には行 わ れない。 も しわれわれの助言 が求 め られれ ば

,独

力で最大数 の事務 を処理 す るが

,こ

れ らの事件 の 多 くはお くれて取 り上 げ られ ると

,法

廷 で多 くの時 間を浪費 し

,免

訴 に至 るので あ る。 も し正 当な 告 訴 が最初 にな されて いれ ば

,後

,多

くの難問題 を避 けることが出来 るで あろ う。

400件

に もの ば る事件 の うちで

,警

察 が告 訴 の提起 に関 して助言 され るのは

1, 2件

に過 ぎない。多 くの事件 に あ って は

,わ

れわれ は公判 の朝

,事

件 につ いて知 る。治安判事 の法廷 にあ って は

,事

件 が審議 (そ れ も留置 のためが殆 どであ るが

)さ

れ る朝

,始

めて 内容事項 を知 る。 また他 の説 を立て る者 は

,警

察 が決定 訴追す るため に後 日再調査 しな けれ ばな らな くな る否定面 のい く つ か につ いて暗示 して い る。つま り

,も

し警察 が検事 に相談す る習慣 になれ ば

,わ

れわれ検事 は立証不能 な告訴を提起す ることを時 には回避 出来 る場合 があ る」 と。 罪状認否を行な って

,告

訴 の充足性を適 当に再調査す る時間を有効 に制限 出来 ることは

,検

事 の 次 の言 葉 に依 て例証 され る。「警察告訴 の選別 に過 ぎない ことで も

,そ

れ は警察 が検事 に検事 の助 言 を求 めた場合 に限 られ る。 そ うでな けれ ば

,検

事 は伝達票を手 に入 れて告訴 の誤 りを指摘 し

,警

察 に別 な告発 を提起 す るよ うに助言 し得 る。 しか し

,検

事 がそれを発見 す るだ けの時間 のない治安 判事 の法延事件で は再留置 の制 限時間 か らい って そのよ うな ことは稀で あ る。 刑事訴追 におけ る警察 の感情的な かわ り合 いは

,訴

追 が事実 に依て保障 され るか否かに関係 な く 独立 した判 断をす るにつ いて は役 に立 たない。或 る人 間 に対 して刑事 訴追 を提起 す るか否 かの決定 は逮捕決定 をす る警察 よ りも

,法

律 訓練 を された検事 に依 て され る方 がは るか に良 い※55。 も し, 警察 に依 て提起 された告訴 がその告訴 におけ る証拠 の充足性 を有罪決定 に有利 な証拠 と

,そ

の見込 み の充足性 を評価す るため に検事 に依 て選別 されれ ば

,法

廷事件 の負担 は本 質 的 に減少 され

,成

功 した訴追数 は

,選

別 された訴追 の有効性 と比例 して増加す るであろ う。 けだ し

,検

事 の決定 におい て

,そ

の証拠 が告訴 された犯罪 に対す る有罪決定 を法律上支持 し得 るよ うな場合 にその事件 は進行 させ得 るか らである。結論 として刑事手続 きを選別す るために予備罪状認否 を適 当に行 う制度 を設 “The prosecutor" “Tnc Prosecutor" d d W 55 ※ ※ P P

(15)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官 と司法警察の関係は如何にあるべ きか けれ ば,提 起 された有罪 の 申 し立 ての数 を本質 的 に増加 し,無 益 の防御を阻止す ることになろ う。告 訴以前 の段階 において検事 が千与す ることは適 当でないと論ぜ られ るか も しれない。 けだ し

,公

判 で検事の公正 を保障す るのは警察 の決定行為 を検事 が監督 しない とい う習慣 に依 て発展 をみ た警察 か らの検事 の遠隔性 その ものであ るか らであ る※56。 も し

,

告訴 の選別 において

,検

事 が証拠 の再 調査 の後で訴追決定 を与 えれ ば

,彼

は有 罪決定 を委託 されそれ を確信 した弁護士 とな って しまい, 彼 の根本評価 が正確 であ った と立証す るため に不公正 を以て起訴す る可能性 もあ り得 る。予備罪状 認否 が訴追 にかかわ らない弁護士 に依 る評価 で あれ ば

,そ

れ は決定 を選別す る作用 か らの独立性 を 保 護す ることになろ う。 警察 の 自由裁量 多 くの場合

,刑

事手続 きに訴え るか否かの決定 は逮捕官 に依 てな され

,検

事 に依てではない。 こ うい う状 況 の下 では

,刑

事手続 きは個 々の警察官 に特有 の理 由で

,犯

行 につ いて有罪 とされ る人 間 に対 し

,開

始 され た り開始 されなか った りす る。警察 の 自由裁量権 の行使 は被告 に対す る個人 的な 態度 や犯情や

,地

方 の執行機 関の内部政策 に依 るか も知れない。刑事手続 きを開始す るか しないか の決定 は公的で もな く又必ず しも司法的監督や立 法部支配 にも服 さない所 の個人 的又 は政策的理 由 で

,警

察 に依てな され る。警察 と検事 は刑事手続 きに訴えない とい う決定 をす る基準 では一致 しな い。検事 はせいぜ い政策 に依 る決定 を複雑 にす るよ うに しつ らえ られてい るのかも知れない。 しか し予備罪状認否手続 きにおいて制限 された形 で しか参加 しないのだか ら

,

これ らの決定 は実 際上, 事件 に対す る検事の関与 に先行す る警察 に依てな されてい る。 しか し一 旦

,被

告人 が法廷 に召喚 され ると

,検

事 は告訴 の撤 回に依て訴訟を進行 させないよ うに 彼 の 自由裁量権 を行使す ることが出来 る。訴訟手続 きの この段階迄 に

,被

告人 は逮捕

,刑

事告訴, 公 判前 の留置

,刑

事法廷 におけ る罪状認否 な どで汚名 を着せ られた とい う心理 的影響 を こうむ って い る。人間 と財政手段 が

,

しば しば保証 のない訴追 の防御 のため に費 されてい る。被告 は

u刑

事訴 追 を受 け ることに依て重大 な影響 を蒙 ることがあ る。すなわち

,防

御 のための財産費消や

,刑

事訴 追 が必 然的に伴 う被告 の生命や社会的地位 の剣奪 な どであ る。少数 の事件で

,検

事 が告訴提起 に先 立 って

,警

察 に依て相談 を受 ける場合 があ る。 このよ うな相談 は謀殺や複雑な企業詐欺 や告訴 が慎 重 に行われなけれ ばな らない破産のよ うな重大犯 罪 を含む告訴や本質的な公衆 の悪評 を受 け

,受

け る可能性 のある事件 に限 られてい る※57。 警察 は ドイ ツにおいて は刑訴:465節 の規定す る所 に依 り

,犯

罪 を捜査 し

,事

件発生 防止 のた め に は遅滞 な く可及的全手段 を講ず る義務 あ りとせ られ る。 この義務 を果すために

,警

察 は

127節

の必

id. ``The prosecutor" P,23

id. “ThcP rOsecutor"P.24

% 57

※ ※

(16)

俊 要 があ るとか

,刑

訴 の規定 に従 うな らば

,被

疑者 を予 防的 に逮 捕す ることが認 め られてい る米SS。 しか し

,警

察 に依 る自由の剣奪権 は

,判

事 に依 る再調査 と同様

,制

限 されてい る。 この ことは, 1949年 5月25日 ドイ ツ連邦共和国基本法104条 の規定す る所 で あ り

,又

刑訴 128節 で基本法 の この規 定 を補足 し

,実

施 す るため規定 があ る。 警察 に依 る被疑者 の逮捕 と

128節

の規定 に依 り判事 の所へ連行 を要す る時期 との間の時間的制限 内 に警察 はあ らゆ る種類 の証拠 を集 め

,特

に被疑者 を訊間す ることが出来 る。 この権限 は警察 の義 務 か ら発 し

,そ

の義務 は刑訴

165節

,犯

罪を捜査す ることと して警察 に義務 づ け られてい るので あ る。 当然の ことなが ら予防的 に留置 された者 に対す るこのよ うな訊間は

,彼

に とって不利益 とな り得 る。反対 にそれ は利益 にな ることもあ り得 る。 けだ し

, 128節

の下では警察 はその集めた証拠 と特 に被逮捕者 に対す る訊間が彼 に対す る強い嫌疑 に反証 を与 え るよ うな時 は

,彼

を釈放す る権限 を与 え られてい るか らである。 被疑者 は 156節 に依 て与 え られ た黙否権 を行使す ることに依 て

,彼

に対す る尋間を無効 にす るこ とが出来 る。先 づ被疑者 に対す る尋問権は尋間形式 に関す る一定 の制限 に服す る。刑訴 156条 は訴 訟手続 きの全段階 において判事,地 方検事,及 び警察官を東縛 し

,背

徳 と断ぜ られ るよ うな一定 の尋 間形式 を禁止 してい る。 この規定 は刑訴69節 に依て証人尋間 にもまた通用 され

,そ

れ は4950年 の改 正 に依て刑訴 に挿入 された ものであ る。1950年以前 には

,1877年

施行 の刑訴 は違法 な尋問形 式 につ いて は何等規定 していなか った。つ ま りこのよ うな規定 は不必要 と考え られていた。 けだ し法 は ド イ ツの判検事警察官 は疑わ しい尋間形式 は当然 とらない と前提 されていたか らで ある。 1950年 か ら 1945年 迄 のナチス制度時代の悲惨 な経験

,

この時代 に暴力やその他 の言語 同断の手段の使用が全 く 日常茶飯事 とな り

,殊

に被疑者 が警官 の面前で受 けることを余儀 な くされた尋間の際は

,ひ

ど く, この悲し な経験 は

,

このよ うな恥ずべ き事態 の再現 が刑訴 456条 の規定 に依て禁止 され るべ きこと を要求 したのは当然である※59。 た とぇば青少年法 が適用 され る青少年 に対 して は警察監視権 は現 在 はみ とめ られず※60, 拘 引は

,犯

罪 と故意 の軽犯 罪 につ いて は一般的 に事実 と法 の対象 が犯行 や 犯 罪予備行為 も しくは準備行為 に依て確定 され又 は確定 された場合 に可能で ある (刑法第

1節

40条 )※。1。

秩序違反 にあ っての拘 引

(Einzichung bei Ordnungswidrigkeiten)は ,

個 々の規定 で明瞭に指示 されてい る場合 に限 られ る (秩序維持法第

4節

18条)※62

過失犯 と軽罪 におけ る拘 引については刑法

4節

40条 に依れ ば

,過

失犯

,軽

罪 もまた特 に訓令 が あ れ ば拘 引の可能な場合 もあ る。 また緊急拘引にあ っては

,個

別定 な規定 に依て有効な強制拘引を定

※58 Claude R.Sowle,“ Polce Power and individual freedom'`(THE QUEST FOR BALANCE),

ALDINEPUBLISHINC COMPANY/CHICAGO,1962P.196

※59 id・ “POliCe and individual freednn住 "P.197 ※60 id, ``Klaus Marquardtri strafProzeSS''P。 196

※61 id,“ Klaus Marquardt,"Strafprozess"P.197 ※62 id. “Police and individual freeclom''P.198(P)

(17)

犯罪捜査な らびに公訴担当機関としての検察官 と司法警察の関係は如何にあるべきか めてい るが刑法

4節

40条 の条件 が存在 し得 ない限 り

,そ

の場合 それ に対す る要件 が備わ っていなけ れ ばな らない米

63以

上 は ナチ ス時代 の反省 に基 き整備 され

,刑

事人 権 にウェイ トをかけた西 ドイツ 現 行法下 の司法警察 の先行活動 におけ る妥協点 と考え られ るであろ う。 ドイツにおけ る犯 罪捜査手続 き 準備手続 きは刑事訴訟手続 きの第

4節

を従前 どお り

,検

事 の犯 罪捜査 における場合 にのみ存在す るかのよ うに規定 してい る

(158-174条

)※64。 しか も一方 では

,複

雑 な事件 において は これ にな お有効な予審が続 くので ある (刊

78-197条

)。 犯 罪捜査 は公訴 を提起すべ きか否 かにつ いて検事 に 決 定準 備を させ るべ きもので ある (160条 ①)※65。 刑 の決定命令 の条件がな く,訴 訟手続 きが存在 し,区裁 判所判事 が更 に捜査を必要 とみ とめた場合 は判事 は警察 の申 し出を検事 に引 きわた し

,検

事 はその訴訟手続 きを引 き継 ぐ※66。 これがいわゆる 送検である。検事 は公 判 において先行活動を した行政官庁 と必ず しも協力す ることを要求 されない。 しか し裁判官が検事 の協力を必要 と考 えれ ば検事 に対 し,発 議 の形式で告知 しなけれ ばな らない※67。 犯 罪捜査 の実質的結果

I

告 訴状 執行手続 き

(Das klageerz wingungsverfahren)は

被害者 に検事 に依 る起訴法定 主義 (Legalitttsprinzip)の 厳守 の審判員

(unabbangigen Gericht)1こ

依て再考 させ るこ

とをみ とめ る場合 があるメSa。 検事 は最高裁判決 に本質的 に拘束 されず

,そ

の職務執行上

,司

権 か ら独立 してい ると同様

,

この場合特 にその確信 に反す る公訴 を提起す ることを強制 され る ことはない。 Ⅱ 具体 的形成 を告訴状執行手続 きは 目的 と してお らず

,少

くと も

,

目的判決 と して 152条 Ⅱ項 の保証 と直接 関係 がな くて

,保

護 を 目的 とす る法律外 の執行 (起訴 法定主 義 と国家起訴独 占か ら

,犯

行 に依 る被害者 の主観 的で かつ公然 た る権利 にな った

)を

準 備す るので あ る。 これは, 何人 も犯 して はな らず

,そ

れ故 また如何 な る告訴状執行手続 きも行 われてはな らない国家保護 犯 罪 において最 も明瞭 にな るであろ う半69。 起 訴をめ ぐっての検事 におけ る個 々の手続 き

1,前

提条件:検事 が公訴を提起す ると

,(最

初 か ら犯 罪形跡 の全 くない場合 な ると

,事

後 に訴 訟手続 きが停止 され る場合 とを問わぬ

),告

訴人 (告発人 を合む

)(Antragsteller)に

理 由を 示 して返答 を与 え るべ きで あ る。 174条 は

,連

邦憲法 17条 の具体 化 した規定 で あ るが

,

憲法17 条 に依 る判決 の根拠 が必 要 とされない ときに限 り正 当で ある。 その他 の場合

,告

訴 権者 が被害

id, ``Police and individual freedOn■''P.198(P) id, Kern‐Roxin, ``Stsafverfahrenrecht''P.182

id, Kern―Roxin, ``Strafverfahrenrecht''P.182 id, Klaus Marquardt, P ``StraFprOzess'' P.120 id, Klaus IIarquardt, P ``StrafProzess''P.127

id. Kern‐Roxin, ``Strafverfahrenrecht''P.192

id. Kern…Roxin, ``Strafverfahrenrecht'' P,193

(18)

和 者 で あれ ば

,適

法 な訴訟手段 の教示 が必要 で あ る。

2.訴

訟棄却 の判決 に対 して は,銹巳罪 に依 る被害者 が告発者である場合 にのみ起訴強制手続きを 行 うことが 出来 る。172条 の被害者 の概念 は議論 の余地 が あ る。以前 は

,犯

罪行為 に依 て

,侵

害 された法益 の所持者 のみが問題 にな るとい う見解 が有力で あった。殺人犯 罪な どの場合 は

,起

訴強制手続 きな どはあ り得 な い。 その後

,今

日で は

,こ

れ に反 して犯 罪 とされ る行 為 に依て, その正 当な利益を著 しく侵害 されたので

,そ

の刑事訴追 の要求 は正 当な報復要求 に起 因す るよ うな ものはすべて被害者 と看倣す のが有力 な見解 で あ る。

5,法

律上 の起訴強制 は

,犯

罪行 為 の あ った場合 のみで あ る。 けだ し

,起

訴法定 主 義 は価値 が あ るか らで あ る。私訴可能犯行 にあ っては

,起

訴 強制 は元来必要でないので あ る。 とい うの は, 被害者 自身 が告訴可能 だか らで あ る。 予審 の概念 につ いて凛70

1.殊

に重大な事件 について は

,訴

訟手続 きの第

2部

面 と して

,検

事の側 において

,予

審 が求 め られ る。 この段階で はその捜査 は検 事 に代 って判 事

,所

謂 予審判事

(UnterSuchungsrichter

)が

行 う。検 事の 申 し立 て に基 き個 々の調査事件 の進行 のみを取 り調べ る捜査判事 に対 して, 予審判事 は訴訟手続 きの主体 で あ り

,検

事 か ら完全 に独立 してい る。 Ⅱ

.検

事 は予審開始 を 申 し出 る と

,

自 ら訴訟手続 きの準備 をす るだけでな く

,法

廷 か らも公 訴状 の準備を強制 され得 るので

,

この 申 し出は非常 に重大で公訴状 の準備のため に刑事訴訟手続 き 中適 当な段階 を立 て ることにな る。す なわ ち

,手

続 きは検 事 の手 か ら裁判所 に移 るので あ る。 訴追原理 を公 式 に維持す るため に

,検

事 は公訴 の提 起 と して予審 の開始 の 申 し出をす るので あ る。訴訟手続 きは申 し出に依て終結す るのではな くて

,そ

の次の段階 に進むだけで ある。 Ⅲ

.予

審判 事 の形体 は審 間手続 きか ら発 して い る。予審判事 は実 際

,司

法官 の独立性 に基 いて行 動 す るが

,判

決行為 は全 く行 わない※71。 その価値 は特 に論議の余地 のない司法上 の予審制度 は ドイ ッ連邦共和国基本法92条 に依 て保証 され るので はないか ら

,そ

の廃止 は通常 の法律 に依 て可能で ある。その存続 に対 して非経済的な業務上 の消耗 を招 き出費を要 し

,そ

の結果

,代

理 の出来ない正式裁判官 に先立 って告発 す る予審判事 は捜査を慎重 にす るための適 当な保証 を必 ず しも必要 としない とい うことで ある。 しか し予審 の先位 は

,そ

の欠点 として大 き く指 摘 され てい る。 その職務 目的に対す る義務 であ るのに

,検

事 は数 多 くの簡易事件 の負担故 に複雑 な事件 にお いて裁判官本来の批判的基礎 と公正 さを以 てその捜査 を常 に処理 出来 るとは限 らない。更 に司 法上 の予審 は刑事訴訟規則 がすべ ての重大犯 罪 にあた り1つの事実例のみを予見す る代 りに良

※ 70 id・ Kern‐Roxin,``Strafverfahrenrecht"P,196 ※ 71 id・ Kern‐Roxin,``StrafverFahrenrecht''P.196

参照

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