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出血乳房に就いて

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Academic year: 2021

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(1)

添田目萬血乳房に就いて 一〇二

臨懸實験

出血乳房に就いて

あそか病院外科

脚、緒 悶  出血乳房とは異常就中血液叉は血液様の分泌物が乳隣より漏出するを云ひ、元より臨林的命名なる故に此 の異常分泌物と乳房に於ける病的礎化帥ち主として腫瘍が原因に基げらる\も、此の腫瘍に就いて悪性なり や良性なりやの問題が最近喧しく論憧らる曳に至れり。  外壁にては一九二六年星章エルドハイム、クローゼ、りず.ク氏等により百五十例以上の報告あるも我國 に於ては昭和三年︵一九二八年︶以來今日まで我等の寡聞僅々十例を出です。最近我外科に於て遭遇せる一 例に就き報告し大方の批到、御教示を乞はんとす。 二、寳  験  綱 患者、雑○ウ〇 五十九歳勤人の母。

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 一昨年初め左側乳房に於て碗豆大のシコンを予見し、爾來塘大する傾向を認む、然し昨年末までは進行左 程に甚しとも思はざりしも以後俄かに増大し今日では昨年暮の二倍大となれり。昨年春頃より同側乳騰より 血液分泌物あり。其の量↓時は甚だ多くして特別腿縮等の操作を加へざるも常に肌看を徹す程なりしと。然 し最近に至り分泌量減じ時により滴歌に出つるを見るのみ。昨秋頃より左側臓窩部に於ける放射歌の疹痛を 畳え、最近に至蔭左側上肢の蓮動障碍を訴ふるに至れう。  既往症としては二同仁チフスに罹りし以外に著患を知らす。乳腺炎等を患ひしことなし。三年以前より月 経閉止せり。  家族歴には癌等の遺傳的關係を讃明し得す。子供は七人ありて皆患者自らの乳にまり畿育せり。  一般所見、・患者は貧血歌態を呈し一見悪液質らしき中等度膿格の婦人、擁骨動脹を箱々硬く盛る㌦以外に は肺.心臓及び腹部に何等異常を認めす。左側腋窩腺に於て二三碗豆大の淋巴腺腫脹を燭る㌧外は杢身淋巴 腺系統に轄移等無し、糞尿及び血液像に於ける獲化なし。  局所吉見、左側乳房の下内方に當り小手最大球歌の腫瘤を見.る。表面皮膚に細静脈の怒張を呈し一般に暗 紅色の色調透適せらる。該部の皮膚は腫瘤と癒着し之を鍛嚢状に撮み塁ぐることを得す。一期分著明なる波 動を呈するも腫瘍の他の一部分、殊に乳階に近く碗豆大に硬結を燭る。冷膿として腫瘍は胸廓に害し可動性 にして乳階は四隔せす。  以上既往症並に局所の症状により出血乳房の既に悪性鍵性を起せるものとの診断の下に帥日入院内田博士 執刀の下に型の如く左側面心切断術及び同額腋窩腺粂脂肪組織除去を施す。其の後の経過順調にて一期癒合 を螢み三週問目に浪∼院す.    添田11出血乳房に就いて       一〇三

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   添田H出血乳房に就いて      一〇四  取り出せる標本に就き槍するに、一つの単なる略≧鴇卵大の嚢腫と他の三つの小なる雀卵大より碗豆大と も見らる﹄嚢腫を認め其の中に暗紅褐色の液禮が充満せり。内容物に就き顯微尊卑査をなすに赤血球の多数 と自血球及び脂肪球の少許を認め、結晶鵬襟のものは之れを讃明し得す。  大小四っの嚢の境界に當り境界壁が特に肥厚せる如く見らる㌦鳩卵大の實質性硬固の腫瘍を見る。其の部 分よb各嚢腫壁に放線状に次自色張靱なる索が廣がる。  輝輝性腫瘍に就きッエロィヂンにて包埋し、ヘマトキシリン。エオヂン染色を施し槍鏡するに結締織の著 しき増殖を認め其の問に癌細胞の群をなして増殖し.所々に圓形細胞浸潤も見らる。佐藤敏授の診断を乞ひ たるに腺癌と診断さる。パラフィン包埋法にてヘマトキシリン・エオヂソ染色をなし嚢腫壁の一部分を顯微 鏡槍査するに此庭にも亦結締織増殖及び元形細胞浸潤を見る。血液を含有せる平張せる血管が特に多しとも 認められす。プリブラン氏の記載せる如き運脚形上皮細胞及び固有膜等も認め得す。  腫脹せる腋窩腺に於ける癌轄移像は之れを謹明し得す。 闘﹃ 回 毅 症 朕  本症に於ける乳頭よりの出血は外傷等の外因の加はる事無くして起るものにして而も持績性を有するもの なり。出血は突然多量に射る事あう、か\る場合は壌搾により線歌に放出する事あるもか、る場合は稀なり。 腰逸して始めて黙滴歌に少量出つるものあり。瓶常持績性に少量が露滴歌に出血す。我例に撃ては多量の部 類に属せん。分泌物の色調は種々にして透明漿液性淡黄色、暗赤色等と稽せらる、も一般には本例の如く血 液様暗赤色なり、分泌物の轟然鏡的所見は種々なるもエルドハイム氏の如きは血球物質叉は血色素の謎明せ

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らる㌦事を條件とせり。範例に於ては赤血球、自血球共に讃明し春子り。脂肪球は恐らく乳房の皮下脂肪の 混在せるならん。エルドハイム氏は腫瘍を燭る﹂場合牽引性の疹痛を訴ふる事多しと云ふ。虚血に於ては腫 瘍及び放散性の瘍痛を謹明す。腫瘍及び疹痛存在し然る後出血を認むる事あり、叉は全然自・他紙的前騙症歌 を鉄きて突然出血する事あり。プ.列﹂コ列図氏は腫瘍︵氏は圭として出血性腺嚢腫なりと云ふ︶の大さは碗豆 大乃至榿大と稽するも我例に凡ては大盤の大さ手立大に達せり。グロンソルド氏の如きは良性腫瘍に原因す る出血性乳房の−了は出血が唯一の症状にしイ、疹痛無く硬結も寂る\能はすと述ぶ。一部の學者は月経の際 に出血殊に甚しと言へるも然し多藪の研究者は直れを否定す。本篇に於ては月輕閉止後に生せる爲共の問の 關係は認め得す。女子に多く男子には蓬に少し。女子百例の報告に召し男子は僅々四例に過ぎすと。年齢的 關係は春期登動機より老年の問に昂るも二十年以前は稀とせらる。輕産婦は未産婦に比し蓬かに罹病率多し。 一般に妊娠とは無關係なりとせらる。 四、考 察  本病の根本問題は出血の圭なる原因をなす腫瘍の良性なりゃ悪性なりやの黙に存す。卸ち此の何れかによ りて治療方針が決定せらる\を以てなり。今日まで内外多数の人々により基げられだる腫瘍例は、癌腫、乳 購腫、絨毛様乳騰腫、乳騰性腺嚢腫、繊維腺腫.慢性嚢腫性乳階症、嚢腫性上皮腫.管問嚢性上皮腫.腺嚢 腫、息肉腫、等あり。其の申癌腫の割合に就きて、﹃川ド州⋮引勾氏は十七例中五例︵二十九%︶、因ぜ川−内ブ川グ に於て手術せられし三十例中七例︵二十三・三%︶、コップ氏は二十例中九例︵四五%︶、グロンフルド氏は十 九例中六例が癌にて他の十三例の八○%は書風騙期の像を呈せりと。又グロス氏は乳癌にて境房出血を件ふ    添田1一出血乳房に就いて      一∩,−五

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   添田11出血乳房に就いて       一〇六 ものは九%なウと言へるも一方リサック氏は乳房に於ける悪性腫瘍.四八五例中↓例の出血乳房に遭遇せすと 記載せう。我國に於ては今日まで報告せられし十例に事例を加へて十一例中六例︵五四・五%︶、帥ち過牟歎 を癌腫が潜む。其の他には嚢腫性慢性乳腺炎、筑騰性嚢厭腺腫、多房性嚢腫性腺腫、筑二心腺腫、細管境嚇 腫等報告せらる。  以上述べたる如く其の懸魚例に於ける率の匝々なる如く其れを根擦とせる識者問の論議も亦未だ一定し難 し。  即ちクローぜ、グロンワルド氏等に血性液分泌の原因は大部分癌叉は少くとも癌前一期症歌なりとの見地 より根本的手術を力説し、認れに反し、エル刷ハイム、リサ.ク、プリブラン氏等は確實に悪性の場合にの み根本手術を施し其の他は美容上よ6しても一部切除をなし組織學的槍査を行ひ悪性腫瘍なりし時初めて乳 房切噺を行ひ、手術後長年月に亘る臨躰的監督の要を設く。叉五十代以後の者に長年月間の血檬分泌あり、 若しくは長い間漿液性分泌液在し之れが悪性罎嚇せる時根本的手術を施すべしと博く人あり。  随て豫後も其の悪性なるや否やに依り、又良性を示せるものも將來悪性鍵性するや否やによりて一様なら す。ミンツ氏は二十八歳の女子の出血性嚢腫︵專門家により試片槍柵の鑑定を受けたる結果︶の保存的虚置 を施しセるに一年牛後に至り脊髄轄移を起せる例.を報告せり。  次に本堂に於ける癌生成機轄を愚察するに、カウフマン.プィーソエ、ザツセ氏等が既に存在せる嚢腫に より第二次的に生ぜる癌を9胃。ヨ。塁。青丹8ヨと稻して報告せる例に一致する所あるべし。プリブラン氏は、 嚢腫壁の顯微鏡的構造は歪柱歌上皮細胞を稀に有し、固有膜は殆んど常に存し此れが消失は悪性凝性の指標 にしてO震。営。B㌶巳ω。譲8℃さ豊。ヨと議すると言へるも全例の嚢腫壁は前述せる如く圓柱上皮細胞も固有膜

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も謹明し得す。嚢腫の壁を形成せる結締織索に依りて大小種々なる嚢腫に分割せられ、其の嚢腫内に瀦溜せ る異歌分泌物の刺戟によりて悪性腫瘍を登生せるものならん。         置、結    論 一、出血乳房は濁立疾患に非すして一の症候的命名なう。 二、其の主因πる腫瘍は組織的固有像なし。 三、良性? 悪性? 良性より悪性に移行すべき性質のものなりや未だ確定せす。今後荷大いに研究さるべ  き瓢ならんと思惟す。 四、性的關係、女子に多しQ経産婦に多し、二十年以前は稀有なりとす。 五、豫後随て不定 ⊥ハ、治療法、共の良性なりや、悪性なりやに依りて異る。  欄筆に臨みて部長内田博士の始終御懇篤なる御指導に封し深く感謝の意を表す。 目︶ A co t>e}

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