懸clll縄罐解s(Zel麗1雛鯛騒ss響elのの
溶盈毒に間する研究
金澤讐科大賊細菌學教室(主任袖留授)
塩 見 盆 朗
Masz.iro 5ン勿。〃2疹 (昭和24年4月、18目受書)
(本要旨は日本細菌學會第1回北陸地方支部會に襲表した.)
第1章緒
著者1)は1944年:Bacillus gigas(Zeissler u
Rassfeld), Bacillus sorde]lii (} asteur ]NTo, 24),
及:Bacillus novyi(Zeissler)3菌に關ずる形態學 的,生物學的比較實験を行ひ1947年これを報告
した.次で此等の菌の産生する毒素に就て比較 實輪中,東洋濾紙會就製除菌用濾過板を以て培 養液を濾過した液は「マウス」に封ずる致死毒,
海狸皮膚に封ずる壊死毒は疎漏強V・にも拘ら す,山羊赤血球に封ずる溶血毒は極めて低い事 を経験した。皇PちSeitz濾:過板による濾液中に は溶血毒は殆んど出て來なV・ので,Welchtt菌
言
に關する高橋3)の報告の如く溶血毒は濾過器に 吸着されるものと考えて,増血液上清を溶血毒 素液としてその産生歌況を槍討した.
:Bacillus gigasの溶血素に就ては、Zeissler 4)の 記載に見へなV・.:Bacillus sordelliiに關しては Hall 5)が本菌と:Bacillus hamolyticusの比較實1 験に於てsordellii菌が血液塞天上で弱)・溶血を 示す事を認めてみる.叉:Bacillus novyiに就て はZeissler 6)その他2)の記載があるが,総て溶 血毒産生に諭する精細な報告は露なV・。
,
第2章
使用菌株はBacillus gigas(Zeissler u・Rassfeld),
Bacillus sordellii (Pasteur No 24), Bacillus novyi
(Zeissler)である.
毒素製造用培地はpH 7・8肝臓ブイヨン」7)で容量 は特に中試瞼管に肝片3〜4gr・「ブイヨン」10ccを 秤量して分注した.之に起始培養(肝臓ブイヨン」24時 間培養で護育良好なもの)1滴宛を接種して37。Cで 所要時聞培養した.
溶血毒測定には所要時闇培養した肝臓ブイヨン」液
験 方 法
を無菌的に遠心しその上清をpH 7・0〜7.1の生理的 食盤水で稀繹し0.5cc量系統で小試瞼管に階段的倍々 稀繹する.之に1%山羊赤血球液1滴宛を加へ充分振盟 後37。C 1時間艀卵器内に置き溶血度を判定,:更に之 を24時間室濃に叡置したものに就て溶血を判定した。
表申記載した溶血償の記號は次の通りである.辮完 全溶血.甘殆んど完全溶血.十孚分溶血.±微かに溶 血.一全く溶血せず.溶血慣は一般に完全溶血を示す 最大三三倍数を用ひた.
第3章西盛成績
1.培養時聞による溶血債の浩長pH 7.8 係は第1表の通りである. gigasは14時間培養 肝臓ブイヨン」に於ける培養時闇と溶血債の關 までは培養液の潤濁も弱く瓦斯護生も殆んどな
盤 見 347
い.且溶血毒も極めて弱V・か叉は認め得ない.
之が18時聞培養では溜濁,瓦斯稜生は未だ少な いが溶血債は8倍となり,2−1時聞培養では最:高 債に達し32倍となる.以後30時聞培養では16倍 と減少し,48時闇培養で渥濁,瓦斯襲生が張く なると2倍にまで減少して來る.
そして72時間培養では原液のみ完全溶血を示 す様に減少した.
sordelliiに於ては6時闇培養まで毒素は認め られないが,10時間培養で培養液の洞濁が認め られる様になると8倍まで完全溶血をする.次
で14時聞培養で最高便32倍となり,次第に減少 して30時間培養では潰失してしまう.
n⑪vyiは⑳時間培養まで完全溶血を見ないが 14時間で8倍となり,18時聞で最高債16倍とな
り以後次第に減少する.
との實験に於て封照として用ぴた非接種肝臓 ブイヨン」では全く溶血を認めす.叉氷酷酸,
苛性 曹達を以てpH 8.0,7.1,65,6.2,5.0の 5種肝臓ブイヨン」を作ったが,此等の液は全 く山羊血球を溶血しなかった.(第1表参照)
2.生動物蛋白加肝臓ブイヨン」に於ける
第1表:培養時間による溶血債の消長 終 末
菌 株 培養二一
PH
原2倍4 8 163264128256
Gigas
6 10 14 18 20 24 30 48
72,
7.6 7.4 7.0 6.5 6.3 6.2 6.1 6.1
± 儲一・ 一 一・ 一瞳 一 一 一
十 土 一 一 一 一 措 柵 冊 :±= 諭一 一 一 冊 柵 冊 十 一 一 十丹 柵 柵 冊 ・榊 十 一 一 十冊 冊 一 一一 柵 柵 士 一 一 一 一 等 十 一 一 一 一 一 一
SordeNii 6 1e 14 18 20 24 48 72
7.2 6.4 6.1 6.0 5.9 5.9 5.8
士 一 一 一 一 面 柵 柵 柵 ± 一 一 冊 柵 柵 珊 柵 一 一 溜 柵 柑 冊 ・H十 ± 一 一
・冊 柵 柵 柵 冊 十 一 一 柵 粥 士 一 一
sp 一 一 一 一 一 一一 一
6 7.6 一 一 一 _ 一 一 _ 一 _
10 7.4 士 一 一 一 一 一 一 一 一 14 6.4
三脚柵柵{十一一一一一
Novyi 18 6.3
柵柑柵辮柵±一一一
20 6.1
柑冊冊畳士一一一一
24 6.1
柵柵十一一一一一一
48 6.1
三一±一・一一一一一
72 6.⑪
柵柵± 一 一一一一一
一
一 一
gigas菌の溶血毒産生に就て 著者1)は先に gigas菌の肝臓ブイヨン」培養に於ける稜育が
難胎仔エキス」(谷教授考案になる難胎仔の酸 性タイロード浸出液を申和せる$の),及生家
[ 75 ]
兎血清添加によわ極めて促進される事を経験し た.依てこの嚢育捉進によb溶血毒産生も攣化 するやも知れすと考えて,肝臓ブイヨン」に30
%の割に鶏胎仔エキス」,家兎生血清を無菌的 に加へたる培地を用ぴて培養時聞と溶血便攣動 の關係を研究し第2表の成績を得た.
生家兎血清加肝臓プ■ヨン」(SLB)では14時 間培養で8倍,18時闇培養で培養液の潤目,瓦 斯襲生が見られる様になると32倍(:最高値)とな り,以後次第に低下して24時聞で8倍,48時聞 で原液のみ完全溶血を示す様になる.
難胎仔エキス」伽肝臓ブイヨン」(XLB)では 更に早く溶血毒が認められ,10時聞増養から原 液は完全溶血を示し,14時間で16倍,18時間で 32倍撮高値)とな夢,以後亥第に低下して24時 聞では4倍,48時間で原液のみ溶血を示す様に
なる.
帥ちX:L:B,SL:B, L:Bに於けるgigas菌の 完全溶血償曲線はX:L:B,SL:B, L:Bの順で早い 方にすれる.
叉難胎仔エキス」生血門門によlj溶血債を僅 かながら‡昇させ得た・(第2表参照)
第2表: 生産物蛋白のgigas菌溶血毒産生に及ぼす影響
(pH 7.8:L:B山羊血球)
培 地
LB,
S:L正㍉
XLB.
培養時間階
6 10 14 18 20 24 30 48 72 6 10 14 18 20 24 48 72 6 10 14 18 20 24 48 72
7.6 7.4 7.e 6.5 6.3 6.2 6.1 6.1 5.6
7.4 6.6 6.4 6.2 6.0 5.9 5.8 5.5
7.4 6.5 6.2 6.0 5.9 5.8 5.6 5.5
原 2培 4 8 16 32 64 128 256
十 十 柵 野 冊 柵 柵 柵
±
柵 柵 柵 士 一 ・幽 一 二 帯 珊 十 一 一 十H 柵 柑 柵 ÷ 一 柵 ・柵 柵 柵 一 一 柵 士
冊
珊 柵 辮 冊
十 ± 一 一 一 一 一 一 柵 柑 十十 十 ± 一 一一 報 柵柵 措 一 一 珊 柵 柵 十 一 一 柵 柵 柵 十十 一 一 一 士 一 一 一 一 十 ± 一 一 一 一 一 一
帯 柵 柵
珊
柵
± 一一 一 一 一一 一 一 珊 柵 士 一 H 柵 柵 柵 士 一 三 柵 柵 十 一 冊 十 」= 一 一 一 寸
3.起始pHの溶血毒産生に及ぼす影響 肝 臓ブイヨン」の起始pHが各菌の溶血毒産生に
見 349
如何なる影響を與へるかを槍査するため,pH
8.5,7.8,7.2,6.4の4種類の肝臓ブイヨン」を 作b,9igasは24時間, s⑪rdelliiは14時間, novyi
は18時闇培養に於ける溶血便を槍呈して第3表 の域績を得た.培養した肝臓ブイヨン」の肉眼
的性1伏比1較ではs⑪rdellii及novyiでは4種類 培地で差を認めす.唯gigas:培養のpH 6.4増 地のみ潤濁,瓦斯護生が少なかった,
各菌共溶血債はpH 7.8が最高でpH 7.2,
8.5,6.4の順に低下した.(第3表参照)
第3表:培地pHの溶血毒産生に及ぼす影響
菌種撃培養時間一二原248・632
64 128 256Gigas
8.5 1 24 7.8 1 tt 7.2 1 pt 6.4 1 ,t
6.3 柵 柵 柵 6.2 州1州・柵 6.3 柵 柵 柵 5.7 帯 十H・柵
柵 拙・十 ± 一 一 冊 十什 柵 十 一 一 冊 柵 十十
柑 ± 一
Sordellii
8.5 [ 14 7.8 i 7.2 i t1 6.4 1 tt
62 構 柵 柵
6・1 柵 柵 ・冊 6.0 柵 柵 柵
5・8 帯柵工
8.5 18 6.3 辮 珊
Novyi 7.8 〃 6.3 冊 冊
7.2 〃 6.1 柵 柵
6.4 〃 5.7 珊 柵
4.溶血毒の耐熱性 各毒素の比較的高々な ものを選び,之を水浴中で500C10分,60。C10 分,60。C 20分聞加熱してその溶血債を測定し
た.
8igasはpH 7.8肝臓ブイヨン」24時間培養
珊
・柵 柵 十 ± 一 一 輔十柵 州1十f 一 一
冊帯%士 一 一
柵 士 一 一 一一 一 骨幽
M=_=_
柵 柵 ± 一 一 断 碑 十十 一 一 一 一 H m一. .nt 一 一 一,
t
で32倍まで完全溶血を示すものを加熱した所,
50。C 10分力n熱後は4倍までに降b,それ以上 のカロ熱では原液に於てすら完全溶血を認めなか った.sordelliiは14時聞培養で最高値32倍のも のを用ぴ50。C 10分加熱すると8倍までに低下
第4表:溶血毒の耐熱性
毒 素 液 Gigas pH 7.8 LB.
24 H
serdellii pH 7. 8LB.
14 H
novア1 p正17齢8工,B.
18 H
加熱法 非加熱
soac loi 60eC lgs 60ec 20x
非加熱
50。C 10/
60ec lot 60ec 20ノ
非加熱
soec lot 6eoc le,
60。C 20ノ
原2倍4 8 16 32 64 ユ28256 珊 柵 柵 柵
辮 十什 柵 十 十 下
拙}号骨 十 一 一
± 一 一 一一一 一
柵 柑 什 一 一 柵 冊 十 士 一 一 一
・冊 柑 柵 柵 柵 ± 一 一 一 帯 柵 十十 十 一 一 一 ± 一 一 一 一 一 一 一
[ 77 ]
し609C lO分以上加熱では完全溶血は認めなか った.叉novyiでは18時間培養で最高僻6倍の
ものを50。C 10分聞加熱すると4倍に低下し,
それ以上の加熱では完全溶血を示さなかった.
即ち各菌の溶血毒は60。C 10分聞の加熱によ 塾殆んど破壊された。(第4表参照)
5.溶血毒の濾過性 加熱試験と同材料を用 ひて,之を:Berkefeld及Seitz濾過器により濾 過し,その濾液の溶血便を測定した,各菌の凄 素共,Seitz濾過では原液が完全溶血を示すの みであり,叉Berkefeld濾過では原液に於てす ら完全溶血を認めなかった.(第5表参照)
第5表:溶血毒の濾過性
毒 素 液 盧 理 法 原 2重音 4 8 16 32 64 ユ28 256
Giga5 非濾過
夢 T昏柵柵柵柵柵十 一一
P耳7.8LB, Seitz 柵昔十 一 一 一 一 一 一
2411 :Berkefeld 十卜十 土 一 一 一 一 一 一
『 sOrdd1重i
非濾過
冊柑柵柵冊甘一一
pH 7.8:LB. Seitz 柵什 ±:一 一 一 一 一 一
14H
:Berfeld 昔 士 一 一 一 一 一 一 一、
n⑪vyi 非濾過
柵柵柵柵柵± 一 一 一
PH 7.8 LB. SeitE 柵十 一 一 一 一 一 一 一
18H
:Berkefeld 骨 ± 一 一 一 一 一 一 一6..血球の種類と溶血償の關係 使用毒素液:
は前實験と同一である.人,山羊,家兎,海狸 の1%赤血球の生理的食盤水浮游液:を作り,溶 血毒の各種赤血球に封ずる作用度を比較實験し
た.各血球の感受性はgigasに劃しては家兎,
海狸,山羊,人の順に,sordel】ii及novyiに封 しては田畠,家兎,山羊の順に低下した.但し 大きな差ではない.(第6表参照)
第6表1血球種と溶血債の關乙
子 素 液 血 球 原 2 4 8 16 32 64 128 256 512
@\
gigas 入 辮柵珊柵柑什 十 一 一 一
PH 7.8 L:B. 山 羊
柵柵冊辮柵柵十 一 一 一
2411 家 兎 冊柵・柵冊柵柵枡 ± 一 一・
海 猿
柵柵柵珊柵柵柵 一 一・一
sordellii 人 柵冊柵守則什 士 一 一 一
PH 7.8 LB. 山 羊
柵柵柵柵下措甘 一 一 一
14H
家 兎柑冊柵柵冊柵一十卜一 一
海 狽
冊辮冊柵三三柵%1土 一
・
獅nVア1 人 柵柵柵柵{十 土 一 一 一 一
PH 7.8:L:B. 山 羊 柵柵柵柵拙・± 一 一 一 一
1811 家 兎 柑辮{什柵柵柵 ± 一 一 一
海 狽 柵 ・柵冊柵 柵柵 十 一 一 一
見 351
第4章結
Bacillus gigas, Bacillus sordellii, Bacillus novyi
の溶血毒に就て比較丁丁を行ぴ次の結果を得
た. ,・
1.各菌の肝臓ブイヨン」培養には動物の赤血 球を溶解する物質が認められる.この物質は細 菌濾過器で濾過すれぼ吸着されて殆んど濾液:中 に出ない。この毒素に拝し海瞑,家兎血球は最 も鏡敏で,山羊次で入の血球の順に抵抗性が 強い.肝臓ブイヨン」に於ける本物質産生至適
論
pHは7.8乃至8.0である.又この物質は60。C 1⑪幽幽の加熱によ砂殆んど破壊ざれる.
2.gigas菌獲育促進物質たる難胎仔エキス」
及生家兎血清加肝臓ブイヨン」に於てはgigas 菌の溶血毒産生は一早くなり,且より高債な毒素
を作る.
発日に解り御指導,及御校闘を賜った谷教授に深謝 する. 「
文 1)瞳見,十全會雑誌,50,1,(1947)・ 2)高 由,二三醤學,21,19Q,(昭12). 3)高橋,
長崎醤學誌,9,612,(昭6)・ 4)Zeissler u Rassfeid: Arehiv fttr X]Vissenschaft]iche u.
praktische Tierheilkunde, 59, (1929). 5)
獣
Iv6n C. Hall: J. of inf. dis. 45, (1929). 6)
Zeissler: Handbuch d. pathog. Microorg. Bd.
IV2・S・1115,(1928)・ 7)谷友次,醤學微生
物學, 南山堂護そテ, 303, (昭23).
擢礎垂慮敏_
リウマ・チ・十両痛
●旛暴騰馨蕪礁総藁謬蹴箔鎌羨2=講
糠灘騨騰齢麟講嚢姦義
@
文 献 邊 呈
乞掲載誌名記入
新 費
(, 79 ]