[資料紹介] 「電子計算機と経営管理」
その他のタイトル [Material] G. Kozmetsky and P. Kircher : Electronic Computers and Management Control
著者 中辻 卯一
雑誌名 關西大學商學論集
巻 5
号 1
ページ 71‑84
発行年 1960‑04‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021732
t e r )
の導入による綜合面への活動に発展するに及んで︑
学上無視できない種々の重要な問題が起っている︒かかる状態
に鑑みこれに関する研究も急速に増加してきた︒しかしこの問
題は機械工学ないし電子工学的あるいは数学的純粋技術的側面
の研究と経営学的側面の研究との境界領域にまたがるが如き特
電子計算機と経営管理
︵中
辻︶
経営 企業における事務機械化の問題はここ数年の間に急激に取上 げ ら れ つ つ あ る ︒
その中でも大型計算機︑特に従来の穿孔式統計会計機によ
る部分的な利用から本格的な電子計算機
( e l e
c t r o
n i c
c o
m p
u ,
七
著者も序文でつぎの如く述べている︒
電 子 計 算 機 と 経 営 管 理
│ G e o r g e K o z m e t s k y n a d P a u l K i r c h e r ,
E l e c t r o n i c C
o m p u t e r s n a d M a n a g e m e n t o C n t r o l ( M a c G r a w , 1 9 5 6 ) . p p v . i i + 2 9 6 . │
質を有するので︑研究者の専攻の関係から研究がどちらか一方
に重心のかたむく傾向がみられる︒いままでの文献では技術的
専門家の論究が多いようである︒しかしわれわれとしては計算
機に限らず企業における事務機械化の問題を取扱うに際し︑そ
れらの機械がどのような構造であるかというような機械自体の
研究も基本的理解のため必要ではあるが︑それにもまして必要
なのはそれらの導入に関して生ずる種々の経営上の問題の研究
である︒いまここで紹介せんとする著書はこの問題をわれわれ
の研究せんとする観点から全般的に取りあげたものであり︑こ
の分野の知識を得んとするものにとって入門書的著書である︒
中辻 卯
電子計算機と経営管理 この本は企業経営の為に初歩的に書かれたものであり︑われわれ の目的は第一次産業革命以来の他の如何なる単一の事柄よりも企業 経営に大なる影響を与えたある新しい発展を説明することである︒
これらの発展は電子計算機と記録︑手続︑情報処理の為の他の新し い装置をふくんでいる︒同時に重要なことは︑よく知れ渡ってはい ないけれども︑経営資料の科学的分析に対する新しい方法である︒
これらの発展が一緒になってオフィスや工場のオートメーションを
可能
にし
た︒
この本は読者が技術的訓練を身につけていることを必要としな
い︒それ故経営や社会に於て変化しつつあることに興味をもつ人々
誰にでも役立つだろう︒オートメーションは我々の人生に重要な衝
撃を与えるだろう︒何故そうなるかを理解するために︑電子計算機 を操作する方法の︑そして経営問題に対する科学的研究の知識を得
る必要がある︒この本はエレクトロニクシステムの基本的性格と
科学的分析方法の基礎概念を記述し︑それらが経営計画と管理に如 何に影響するだろうかを明らかにした︒また多数の実際的応用と簡 単な参考資料につき説明しておいた︒より詳細なことに興味をもた れる読者は附録と選択した参考書を通じてより以上の知識を得られ
たい
︒と
︒
ニレクトロニク なお本章の構成は次のごとくである︒
第 一 章 序 論 ー 計 算 機 に 関 心 を も つ の は 何 故 か 第 二 章 電 子 計 算 機 と は ど ん な も の か 第 三 章 資 料 処 理 の 電 子 的 方 法 の 概 要 第 四 章 シ ス テ ム の 研 究 と 応 用
︵中
辻︶
計算機の導入に関連して今後大いに注目すべき必要の生ずると 者の役割 計算機システムを導入するにあたって経験する経
営 上 の 諸 問 経営と科学的研究 題 経営計画と管理 綜
合 経 営 組 織
オートメーションと科学的計算
第 十 一 章 第 十 二 章
ニレクトロニクシステムの選定における経営
経営者に対するチャレンヂ
参考書
附録
山計算機の言葉としての二進法
図 プ ロ グ ラ ム
③各種の電子的資料処理装置
④綜合資料処理ツステムのための数学的モデル
索引
右の各章のうちここでは紙面の都合で序論の第一章と︑電子
考えられる﹁綜合経営組織﹂の問題を取扱った第九章を取上げ︑
第 十 章
第 九 章
ック 第
七 章 第 八 章
プログラミング︑スケジューリソグ︑フィードバ
第 六 章
第 五 章
七
電子計算機と経営管理︵中辻︶
電子計算機の発展は経営計画と管理の新しい機会を作った︒
情報の自動的処理は以前よりより迅速に︑より効果的に︑そし てしばしばより少ない費用で行うことが出来るようになる︒
経済がより複雑になり︑企業が大規模になり︑生産品の種類 も多くなり︑そして市場も拡大されるにつれて︑計画︑管理︑
そして資料処理の体系を改良する必要がますます明らかとなっ
てくる︒そのため経営者はこの必要を再認識し︑事務機械の購 考慮すべき問題を提起して大要次の如く記述している︒
七 山より良い決定の作成に役立しめるた
事務費用の節減はエレクトロニクシステム利用の主な要因
他の章は簡単にその内容を記することとする︒
(註)
G•Kozmetsky;
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第一章ではまず本書全体の序論として︑前半で︑電子計算機 が新しい科学的分析方法の発展と連繋して企業における一一本の 柱としてはたす役割︑それらの採用による経営組織改良の問題 を︑後半では︑それらの導入に関連して経営首脳者が一般的に
入︑賃借︑手順の分析︑事務能率の向上︑報告体系の研究等種 種の試みを行うのであるが︑それにも拘らず情報収集と通信方 法は経営機能の中でも効果の少ない︑そして最も不満足なもの
であ
る︒
このような状態のもとで︑経営者としては︑伝達︑処理︑そ して再製速度を増加し︑人手の必要を減少させ︑貯蔵場所の必 要を減少させ︑資料処理の中間段階を自動的に行い︑かくして 種々の報告の準備により融通性を与え︑しかも同時に正確さを 増加させることのできるようにするための情報の電子的処理の 分野における新しい発明と発達の可能な利用について考慮する
ようになった︒
であった︒計算機がそれに報いることが明らかになるにつれて︑
ますます多くの企業が計算機を注文したり︑或は採用するため の準備的研究を行っている︒しかしながら最近の経験から得た 重要なことがらは︑電子計算機の使用による新しいシステムは 事務費用の減少以上のより重要な役割をはたしているというこ とである︒それは分析の新方法をともに適応することによって 経営計画と管理を改革しうる︒すなわち︑計画と管理のための
システムの改良は︑
電子計算機と経営管理 め作業に関する有利な情報を供給し︑図企業全体としての 最大の利潤を確保しうる方法で︑購入︑生産︑阪売の各部門の 計画に関連する管理ができ︑③資金や他の手段の最良の配 置を行うよう援助し︑④不用な機能を取除き︑必要な他の 機能を強化する︒
( P . 1 2 )
電子計算機は経営に直接関係のある多くの科学的発展の一っ である︒これらの発展のうちには情報記録︑それの貯蔵︑印刷 の新しい方法があげられる︒その上︑いう言葉で集約される一連の発明があらわれた︒多くの情報は 工場で発生するものであり︑かつエレクトロニクスは工場のオ 結局は事務的惜報の処理と同様に生産過程の管理にも用いられ るだろうと期待された︒またオフィスに於ても︑工場に於ても 分析のある新しい科学的方法の発展があった︒この発展に与え られた名前の一っは﹁オペレーショソリサーチ﹂である︒新 しい概念は経営問題に対する科学的方法の適用を強調するもの であるから︑この新分野に与えられる若干広義の名称として︑
﹁管理科学﹂が考えられる︒
これらの新しい装置と新しい方法の使用に関する決定が何故
に経営首脳者によって行われたか︑そこには多くの理由が考え ートメーションにとって直接重要なものであるから︑計算機は
︵中
辻︶
﹁オートメーション﹂と
られる︒科学的方法を適用する試みはしばしば以前から行われ たのであるがほとんど成功しなかった︒失敗した理由はいろい ろとあった︒しかしその主な理由は資料を急速に収集し処理す る装置の不足︑経営問題と取組む科学的方法の欠除であった︒
とところが今や装置は利用できるし︑また必要とする科学的方 法も多く利用されえ︑なおそれらは発達途上にある︒
将来有効に競争するために企業は新しい装置と新しい分析方 法の広範囲の使用を行わねばならないだろう︒これは経営計画 と管理のシステムの広範囲な再組織︑あらゆる資料処理過程の 実質的修正︑さらにおそらくは組織構造の改良をも必要とする だろう︒例えばそれは分権化に向う現在の傾向を逆転させるこ とを意味するかもしれない︒なぜならば管理資料が現在工場か ら道路をへだてた隣の事務所へ送られるのと同じくらい容易 に︑しかも迅速に州を越えて中央の事務所へ集められ分析され ることができるからである︒命令は容易に︑急速に各工場にか えすことが出来る︑伝達のために追加される費用は節約された ものと比較すればたいしたものではない︒
他方︑決定のより一層の分権化のための手をうつこともでき る︒遠く離れた経営者も今や十分な情報を与えられうる︒決定 を行う過程の新しい研究それ自身が必要となってくるだろう︒
七四
電子計算機と経営管理
︵中
辻︶
専門家のチームが現在みられるものとかなり異なった︑より効
果的な方法で経営の資料と報告の科学的分析を行うだろう︒
(P
P.
2
︑
4
)
他の理由がなければ︑科学的研究の発展は費用の故に経営首
脳者の注意を引くだろう︒電子計算機は時がたつにつれて費用
は少なくなるであろうが︑現在では高価なものである︒オート
メーション︑システム研究︑従業員の訓練等は実質的に費用を
増加させるだろう︒さらに従業員の問題は困難な問題である︒
工員や事務員の多数ほ配置転換される︒機械保持︑ッステム研
究︑そして進歩した資料分析の為の特別の手腕を身につけた人
々が再訓練されるか︑あるいは雇用されねばならない︒
鷹ゃ方法をある程度漸進的に徐々に取入れるか︑或は中途
半端ではなく革命的に一度に取入れるかどうかを決定せねばな
らぬだろう︒さらに装置の型もきめねばならぬ︒むしろ驚くべ
き数の新しい製造企業がこの分野で生じた︒経営者は若干の供
給者から選ばねばならないだろうし︑そして若干の異なった会
社によって造られた構成要素から︱つに組合わせるのが最も良
いものがえられることがわかるだろう︒
同様に︑資料分析の進歩した方法は直ちにほとんどの経営問
題に適応させることは出来ない︒特別の情勢に対する注意深い
七五
試験が新方法の採用前に行われなければならない︒
社会に衝撃を与える害のないように変化を処理する責任があ
る︒同時に経営者は自己の企業の新しい発展を有利に導くよう
にする重要な役割がある︒彼等は経営の行いつつある全く新し
い概念を正しく評価せねばならない︒彼等は新しい機械や方法
のすべてを詳細に理解する必要はないだろうけれども︑これら
を何処で︑何時採用すべきかを決定する責任がある︒
計算機やオートメーションは長期間の投資を必要とするだろ
う︒これらの投資は長い期間にわたって貢献する場合にのみ正
当化されうるものであるから︑かかる貢献の予測がなされねば
ならない︒しばしばこの評価はその決定に関係のあるすべての
要因を計算してなされる明確な推測よりも低い目に定めること
がで
きる
︒
この問題は次に全体としての︑すなわちその内で企業が行動
することを試みねばならぬ組織の周囲のことを考慮することを
必要とするようにせしめる︒経営者は彼等の結果が彼等がほと
んど︑あるいは全然制御し得ない要因によってかなりの影響を
受けることを徐々に知るようになる︒ある意味で制御されるが
しかしほとんど同様に予言することの困難な他の主要な要素は
政治行為である︒政府は重要な影響を企業に与える︒これらの
76
電子計算機と経営管理
要因の評価は明らかに困難な仕事である︒しかし幸にも︑経営 の他の面で計画され︑使用される多くの同じ分析方法がこれら
の問題の研究においても寵接に使用される︒
経営者は自己の経営をより効果的に運営することのできる新 しい発展を油断なく研究するのでなければ︑経済界に於て競争 を乗り越え︑多くの利益を確保するという目標に達することは できない︒しかしこれを認めるとしても︑電子計算機︑科学的 管理︑そしてオートメーションの発達が経営の特定の問題に対 する最良の解答であるとは限らない︒新しい機械や方法は万能 薬ではない︒多くの企業にとって︑それらは少なくともすぐに は多くの援けとはならないだろう︒しかし︑これらの発展を経 営者が十分に研究すれば自己の経営に対してもそれらの重要性 があることを認めることができるようになるだろう︒これは他 人にまかせることの出来ない責任である︒経営者は一般に機械
が何を行うか︑資料分析の方法は如何になされるか︑オートメー
ションとは何を意味するかを特別に詳細ではなくとも︑一応十 分に知ることが出来れば︑何時︑どんなところでそれらを自己 の経営に取入れるべきかの勧告を行うことが出来る︒これらの 新しい分野の専門家と有効に連絡するためにさえある程度の技 術的理解が必要であるから技術的訓練を経験した経営者が有利
︵中
辻︶
である︒しかし将来の経営者は技術的訓練を行った人々からの
み選ばれるべきか︑というと必ずしもその必要はなく︑また経
営者はニレクトロニクス︑或は数学の専門家になる必要もな
い︒経営の他の技術的分野と同様に︑経営者は一般的局面ー体
門家にたよることができる︒彼の仕事は専門家を選び︑そして
彼等の努力を企業︑顧客︑従業員︑そして社会に最大の利益を
もたらすように管理することである︒
(P
P.
46
)
以上が第一章の大要である︒この序論に準拠して第二章以下
を展開する︒ここでは次に第九章を紹介し︑その他の章はその
後で簡単に紹介する︒
電子計算装置の速度︑多様性︑論理的能力はほとんど制限な しに報告書を作成することが出来るが︑いたずらに報告書の量 を増加するだけではよりよき決定を保証することにはならな
い︒そこで利用者はまず計画と管理の組織を概念的に確立しな にふくまれる問題を処理することを学びうる︒詳細なことは専 系と方法の能力と限界ーを彼自身が理解することによってそこ
七六
電子計算機と経営管理
︵ 中
辻 ︶
ければならない︒それから資料処理組織を設計し︑そしてそれ に適合するような電子装置を導入するようにすればよい︒それ と反対に現存する事務手続に電子装置を適合させる方法をとる と最適のものよりも少ない結果しか得られないことはほとんど
確実である
( p
p . 1 8 0
ー
1 8 1 )
︒故に︑﹁綜合経営組織
(I
nt
eg
ra
te
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Bu
si
ne
ss
Sys
te
ms
)
﹂の研究が必要である︒として第九章で取
扱 っ て い る ︒
これは経営資料処理の概念︑プラグラミング︑スケジューリソ グ︑そしてフィードバックの概念を結合したものであり︑この意 を十分に認識して発達することを意味するものである︒
( P . 1 6 9 )
綜合経営組織は一つの情報の起った場所とこの情報を使用す る場所とを結びつける伝達過程としてあらはすことが出来︑三 つ の 活 動
︵ 山 情 報 の 流 れ
︑ 直 接 移 転
② 情 報 処 理
︑ 報 告 結 合
③ 情 報 分 析
︑ 決 定
︶ に 区 別 す る こ と が 出 来 る
( p p . 1 7
0 1
7 1 ) ︑
と 率
芦 去
方 は
圭 マ
え ︑
こ の
音 一
の 前
半 で
は 山
に 関
す る
問 題を中心に︑後半では結合過程︑報告作成︑綜合資料処理システ ムを取扱う︒前半については特にフォーマルな通信に於ける種
々の障害に関してページをさいている︒その他︑情報の発生場 組織とをふくんだものであり︑そのおのおのが他の能力と必要 味において電子的資料処理組織
E.D.P
と経営計画と管理の
七 七
所︑通信の型︑利用者の必要なものについて考慮し︑
③の情報分析について前一一一章との関連において再考してい
意すべき問題︑転換による経済的効果︑電子装置を取入れた綜 る ︒
合 組 織 の 有 利 な 点 ︑
IDP を設計するにあたってどのような資 料が要求されているかを特に考慮する必要︑綜合資料処理シス テムを作るための必要事項の測定について述べている︒
ここでは著者のあげる
u .
スチールの一例を記すと共に最 S
後の問題の項を次に紹介しよう︒
u . S スチールの綜合事務計画は︑まず
1 ︑資料は組織の尖端で機械的に記録されるべきである︒
2 ︑資料は人手による情報の再複写の必要のないように機械
的に処理されるべきである︒
3 ︑資料処理システムは電子計算装置の今後の適応に応ずる
ように綜合されるべきである︒
という三つの目標を強調し︑これらの目的を達成するため︑資 料を伝達する通信装置とそれを処理する計算装置のどちらによ っても共通に取扱うことの出来る形式で原始資料を記録する装 置を選択し︑その装置で作られた五溝︵ザ
ve
‑c
h annel)
紙テープ
後半の問題として︑旧い事務組織からの転換に際して起る注
電子計算機と経営管理 は直接テレクイプに入れられるようにした︒それ故︑分工場あ るいは販売所で記録された原始資料は再びクイプする必要なく 中央事務所に送ることが出来︑最終の受領所では受信クイプラ イクーが自動的に同じ五溝紙テープを作る︒そして新しいテー プは他のクイプライクーで報告書を作るのに使用されるか︑あ るいは計算課に送られる︒そこでは特殊な機械が穿孔カードを 作ったり︑あるいは資料を磁気テープに変えたりすることがで
きるように処理されている︒
( p . 1 8 2 )
下図ほかかる綜合されたセイルス
示 し
て い
る ︒
( p . 1 8 3 )
ォーダー手頗のシステムを つぎに綜合資料処理ツステムを作るための必要事項の測定に
ついて著者の述べるところをみよう︒
( p p . 1 8 6
ー
1 8 9 )
最良のシステムを選択するために役立ちうる法則︑あるいは 手引を作りだすことは容易なことではない︒この問題は近年か なりの注目をあつめた︒ッステムと手順の研究グループはほと んどすべての大組織で見られる︒しかし彼等が発展させた精巧 な手引にもかかわらず︑それらによって綜合資料処理ツステム のために必要な条件をすべて決定し︑測定することのできるも の は ほ と ん ど な い ︒
︵中
辻︶
←
阪 売 所
事 務1
記 録 注 文2
分 析→ 3
信用調査
(或は中央て
販売注文書
↓
← ― ―郵 送
l
三 立 盆 ―1販 売 員
l I
テレクイプI
│販売主任
↑ 1
テレクイプ ↓↓
ヽ
l 積送通知書
1
郵送 [送状顧 客
中央事務所
工 場七八
電子計算機と経営管理
︵中
辻︶
者たちは効果的な設備を造ることは困難であった︒製造業者は
困難な問題であるということはニレクトロニク
システムを
作り︑そして取入れている多くの企業が現にいだいている諸問 題を見ればすぐ理解される︒技術者たちは驚くべき速度で操作 される機械を造ることができる︒しかしなお彼等と彼等の利用 必要な改良点を詳細に知るためには利用者にそれらの点を聞か ねばならないが︑しかし利用者は有用な方法をかれらに示すこ
とはまだ困難である︒
それだけですべてではないとしてもほとんどの資料処理手順 に適用される綜合資料処理システムをつくるために必要なもの がある︒これらの必要なものは正確に記述し︑そして量的に測 定することができる︒あるコンサルクソト協会は︑これを﹁情報
工学
( i n f
o r m a
t i o n
e n g i
n e e r
i n g )
﹂とよんでいるのであるが︑
建築にあたって技術的明細書が決定されるのと同様に︑通信シ ステムのための明細書を確立する︒そのためには情報の有効性 と情報に必要なものの種々の面を出来るだけ正確に定めること が第一段階である︒つぎに事務量とそれの流れる速さが測定さ れねばならない︒そうして通信と処理リソクがうちたてられ る︒これは情報を利用する点︑各所で必要とする情報の型︑情 報が必要とされる時︑そして要求される形式を決定する調査で
七九
ある︒それからこれらの項目は重複がないかどうか試される︒
この方法で不必要な重複は除去され︑そして同じような必要に 使用される資料の準備は統一して行われるようにされる︒
企業の分析者は原始情報が必要なものに利用されるためには どこで確保されれば一番よいかを決定することが出来る︒記録 の型︑形式︑そして時点は重要である︒資料において要求され る正確さの程度というものは︑その︱つの記録によってどれだ けの必要に役立つかということに関係するから重要なものであ る︒これらの項目が決定されたらつぎの段階は発生点と利用点 双方に於て取扱われねばならない情報最を測定することであ る︒種々の時点における情報の流れの速度も亦重要である︒こ のようにしてから後はじめて処理明細書は﹁作られ
( e n g
i n e e
,
r e d )
﹂うる︒そこで綜合システムの必要なものはそれに量的に 見合う能力のある資料記録︑処理︑貯蔵︑そして取出を行う種
種の装置と結びつけられる︒
資料処理は数学的計算のみでなく︑﹁論理的﹂選択︑収集︑
分類︑およびその他の能力をもまた考慮することを必要とす る︒測定されうる要素が決定された後︑より質的な他の必要な ものが計算に入れられうる︒綜合資料処理システムにおいて考 慮されるべき幾らかの質的局面はつぎの如きものである︒
電子計算機と経営管理
1
︑記録はすべて責任のある報告書と事項で作られねばならない
ある場合には記録は正確なものでなければならないこと ︒
もあり︵特に局外者に対する報告書のためには︶︑
ある場合には概算で十分なこともある︒要求される正確さ
の度合は︑それぞれの場合に応じて決定されるべきであ
ある項目については原始記録は保存されるべき場合もあ る ︒
り︑他の場合にはその必要性の少ないこともある︒すなわ
ちそれぞれに対する保存時間の長さが確立されるべきであ
る︒またある場合には︑情報の発生点は肝要であり︑記録
されるべきであるが︑他の場合には必要でない︒︵例えば
原則として顧客が企業から何処で購入するかを知ること
は︑何処で勘定が支払はれるかということを知るよりもか
なり
重要
であ
る︒
︶
2
︑記録の確認を行う方法がなければならない︒多くの場合︑今日では確認は書類に示される責任ある部
の署名によって示される︒若し提案されたニレクトロニク
ッステムが管理者を無視し︑書類を取除くならば︑それに
かわる何らかの他の管理手段ー~多分急速なフィードバッ
︵中
辻︶
そして
在高等はすべて監査を受けるべきである︒
3
︑連続的なチエックの方法がなければならない︒記入事項の確実性︑処理の正確性︑要約するために使用
される分類の適当性︑そして在庫品の如き報告事項の実際
これらの原理はどの正当な組織にも適用することができるも
のであり︑それらは資料処理システムを採用したり︑またその
欠点を指摘する場合には常にある程度は考慮された︒しかし過
去においては一人の決定事項が他の手順にほんのわずかな影響
をあたえただけであるので︑システム分析者が各点の評価をた
だ一人で行うことができたし︑若し組織が必要とする場合には
普通より多くの事務員や機械を加えることによって拡張して簡
単に解決されてきたが故に︑事務の盤︑あるいは流れの速さと
いうものはあまり正確に測定されねばならぬことはなかった︒
ところが現在では︑組織を設計するために計算に入れられねば
ならない範囲を組織技術者
(s
ys
te
m
en
gi
ne
er
)
が決定するこ
とができるように必要な要素のすべてが前もって測定されるこ
とは重要なことである︒これに関する若干の研究は大企業によ
って行われたが︑しかしまだ一般に利用できるような結果はま クをもった統計的分析—ーが確立されねばならないだろう ︒
八〇
だ出ていない︒しかしながら︑若しできるようになったとして も︑企業が手順を定めるためにある一般的な原則やある型以上 のものを学ぶことができるとは思はれない︒
ニレクトロニク
システムを現在適用するための研究は︑費 用︑大きさ︑あるいは特性に関することも重要であるが︑その 主な要件は量的な必要事項の測定である︒かかる明細書の効力 はまれにしか見出されない︒それ故︑今後︑研究はかかる資料 を集めるように企てられねばならない︒と述べている︒
つぎに残りの各章を筒単に紹介する︒
第二章︑第三章で最少限度必要な技術的樺造と用語
1 例え
ば図にも示した如き︑入力装置︑制御装置︑演算装置︑記憶装 置︑出力装置︑入力手段としての穿孔カード︑テープ︑磁気テ ープ︑貯蔵︵記憶︶装置としての磁気核︑磁気ドラム等ーの 説明と︑近年エレクトロニクスに対して与えられた宣伝の結果 多くの人々がもっている電子頭脳︵これに関連してプログラム
電子計算機と経営管理
で あ
る ︒
四
︵ 中
辻 ︶
てえられた特別の測定は他の組織に適用できそうにはないから
︱ つ の 企 業 に よ っ
INPUT___-PROCESSOR---―-―➔ OUTPUT
八
I → │ sTORAGE し ニ 一
↑
I
t I ↓
→1
ARITHMETIC
INPUT I
→AND
→‑‑│ouTPUTI
→OBSERVA‑
I
LOGIC BLEOUTPUT
↑ ↓ ↑ I
L
│
swITCHING ;ND CONTROL ] I
電子計算機と経営管理
の 重
要 性
︶ ︑
ト ロ ニ ク 費用︑システムの型︑導入に対する準備︑電子計
算機の速度︑旧式化︑正確性と信頼性に関する誤解について注
意 し
て い
る ︒
これらの二章の説明は新しい技術的用語にはじめて接するも
のにとっては理解されやすくまとまって書かれている︒
第四章では経営の資料処理の如何なる面に電子計算機が適応
されるかを述べている︒そしてまず電子的資料処理を適用する
にあたっての一般的性質として︑広範囲な予備的研究︑漸進的
転換︑多方面に利用出来る機能の理解︑長期間の準備︑エレク
システムのための方法︑手順の詳細な記述等の必要
を述べた後︑特別な機能に対する研究と適用についてより詳細
に述べる︒会計面への適用として給料計算︑請求書と受取計算︑
支払計算︑そして原価計算がふくまれる︒
(p
p.
58
7
4)
その他︑在庫管理︑販売管理への適用
(p
p.
74
8
6)
︑生産管理
とスケジューリング
(p
p.
86
9
3)
︑書類処理への適用等があげ
ら れ
て い
る ︒
第五章はエレクトロニク
る多くの解決すべき経営上の種々の問題を課題とし︑特に重要
な問題として︑計算グループを会社の組織内のどこに置くかー システムの導入にあたって経験す
ーコントローラーのもとにか︑経理部長のもとにか︑購買︑製
︵ 中
辻 ︶
造︑販売の︑あるいは生産管理の長のもとにか︑あるいは直接
社長直轄とするか等ーの問題
(p
p.
10
41
10
5)
︑新しい装置の
プログラミング︑コーデソグや操作を行う新しい技術を身につ
けた職員の問題
(p
p.
10
5
1 08 )
︑装置の導入︑選択に関する種
々の問題
(p
p.
10
8
1 12 )
︑新しいシステム内における内部監査
の問題
(p
p.
11
21
14
)
を
指 摘
す る
︒
また︑ゼネラルエレクトリック会社のケンクッキー州ルーイ︐
スヴィルの工場における大型汎用事務用計算機
( la r
g e' s
c al e
ge
ne
ra
l,
pu
rp
os
e
bu
si
ne
ss
c
om
pu
te
r)
の宰会例を箇
I単に紹K介し て
い る
︒
(p
p.
97
1
01
)
第六章では電子装置の事務費用節減以外の他の面ー科学的
管理達成のための経営研究への利用に関して述ぺるため︑
F.
w テイラー以来の︑特に今次大戦中及び戦後の発達の事情を記
し︑新しい数学的テクニックとして使用されるリニヤ・プログ
ミラソグ︑変分法︑情報理論︑通信理論︑抜取理論︑確率模型︑
モソテカルロ法︑サーボ理論︑ゲームの理論等を並べ
(p
p.
12
1
1 29 )
︑さらに科学的方法の適応として︱つのケース・スクデイ
を示し
(p
p.
12
91
31
)
︑モデル作成を述ぺ︑写実
( de s
c ri p
t iv e
)
モデル︑予見
( pr e
d ic t
i ve )
モデル︑決裁
( de c
i si o
n )
モ
デ ル
の 一
般的区別をつけ︑経営状態に存在する計数的関係を圧縮した数
八
電子計算機と経営管理 織的問題を取りあげている︒
中︵
辻︶
学的形態で表わしたものとしての写実モデルの基的本的な例と
して会計システム︑原価システム︑生産管理︑在庫管理︑クイ
ムスクディ︑検査試験手順︑販売分析等のシステムをあげ︑写
実モデルに︱つあるいはそれ以上の要素の予想を取入れた予見
モデルの一般的なものとして予算をあげ︑またほとんど完全に
ある目的を達成するものを選択するある手段をもった写実モデ
ルのグルー︒フとしての決裁モデルの主要な機能は︑ある定った
( P. 1
3 1
目的に鑑みて行うべきことを利用者に知らすことであり︑価格
政策あるいは財務構成の如き事項を決定するのに貢献し︑その
最も輝かしい将来は経営計画と管理の領域の内にある
138)
︒と
涼心
べる
︒
第七章は経営計画と管理の新しい問題を取扱い︑特に新しい
組織に対する心理的抵抗︑測定︑記録︑分析の技術的困難︑組
第八章では計画と管理の予想される将来の本質を明瞭に示す
︶ ︵ 註
ための若干の新しい用語|—プログラミング、スケジューリン
グ、フィードバック'~を取扱い、それらの概念の簡単な説明、
それぞれに必要な条件︑およびそれらの将来の発展の問題を述
べて
いる
︒
︵ 註︶
ここ
で使
用さ
れる
﹁プ
ログ
ラミ
ング
﹂は
電子
計算
機の
操作
に
八
最後の第十一︑第十二の二章は︑利用できる電子装置の多様 主な領域ーー工場設備のオートメーション︑シイミュレーション︑工学的実験的目的のための科学的計算ー│における重要な応用面を取扱っている︒
性とその装置が使用されうる方法の多種性が提出する機会と問
題を処理する経営者の役割︑職責に関連した事項を述べてい
著者は特定の計算機を選定する主要な理由として十数個も並 る ︒
ベ
( p p . 2 1 2 2
1 5
)
︑いままでの経験は多様でこれに答える簡単な経験からえた法則がまだ発達していないことを示している︒
経営者はすべての技術的詳細を理解するだけの時間を持つこ とはできないし︑決定のすべてを行うよう試みるべきでもない から︑企業内部に技術的問題を取扱う分析グループを作り︑そ
のグループの性格︑構成︑研究範囲を決定し
( p p . 2 1 7 2
9 1
)
︑その研究グループが完全な調査をなし︑その結果行う推薦のそ
れぞれについて論理的な理由があるかどうかをたしかめるた
め︑経営者が明敏な質問を行えるように︑四つの主要な領域
第十章は数学とニレクトロニクスのいままで取上げた以外の
関す
るー
ー計
算機
に与
えら
れる
諸命
の令
﹁プ
ログ
ラム
﹂と
は異
な る ︒
( p p . 2 2 0 2
2 3 )
その他︑必要事項の測定︑機械の選定︑信頼性と正確性︑効
果的なプログラミング︑取付け費用︑旧式化︑投資対象の選択︑
節約の測定等の項目をもうけて説明する︒
なお︑職員の配置換えと再教育︑必要な研究と発展︑新しい
問題に対する関心の啓発︑また変化に対する抵抗︑調査範囲の
決定︑装置の限界︑費用等多くの障害について考慮し︑転換準
備︑経営者の政治的手腕︑教育問題を記し︑最後に社会的変化
の将来を予想して稲を閉じている︒
営管理﹂の問題点を広く浅く取扱ったものであるのでこれに関
連して取上げられるべき種々の研究課題をほとんど網羅して知
ることができるが︑逆に問題提起のみに終ってそれぞれの深い
探究︑解決は︑この著書からは特にえられず︑将来の課題とし 本書ははじめにも述べた如く︑題名に示す﹁電子計算機と経
五
面ー—に分類されうる質問のリストを並べて示している。
の
選 定
︑
│A
c
可 能
な 応
用 ︑
種々の選択の経済的可能性︑
B電子計算機と経営管理
︵中
辻︶
D
経営的側 適当なエレクトロニク
ッステムて残されているといえる︒今後の研究のスクートラインを示し
たものとして受入れるべき書であると考える︒
最近計算機自体の研究︑
L P
︑
OR
等の数学的分析の研究は
多く行われるようになったが︑本書第九章で述べられている
﹁綜合経営組織﹂の研究はまだわが国では取上げられることが
少ないし︑本格的な電子計算機の導入が昨年頃より行われはじ
めた現状に直面して特に今後注目すべき研究範囲だと考える︒
︵一
九六
0
︑四‑
︱︱
)
八四