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少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任

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判例研究

少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任

福岡地裁小倉支部昭和五九年二月二三日民事第二部判決︵昭和五六年︵ワ︶一六六四

号︑損害賠償請求事件︶判例時報=二〇号八七頁

堤   健 智

﹇事実﹈        ︑      水浴等が組み入れられていた︶に基づき剣道等の指導を実行す

 訴外A少年団後援会は︑﹁少年達が剣道を通じて立派な精神  ることとなっており︑指導者の統括を行うのが少年団の団長で

と健全な体力を酒養することのできるよう育成指導﹂すること  ある田︵被告︶であった︒なお︑田を含めたA少年団の指導

を目的とする団体であり︑後援会員の子息でA少年団を構成し  者には︑交通費等および若干の謝礼︵一九七七年度において︑指

ていた︒A少年団の指導者は︑A少年団後援会の行事計画︵剣  導者一人あたり年間一〇万八千円︶が支給されていた︒

道の修練のみならず︑各種の見学・キャンプ・ハイキング・海    一九七七年八月二六・二七の両日︑A少年団は一泊二日のキ

少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任      ︵都法五十−二︶ 三九五

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三九六

       ユヤンプを実施した︵以下﹁本件キャンプ﹂という︶︒本件キャ  きるのか︵争点三︶︒このうち争点一について︑Yは︑A少年

ンプでは︑田とその他指導者一名が参加少年団員約三〇名を引  団後援会と指導者とが一体の協力関係にあり︑保護者の干渉を

率し︑さらに︑第一日目にのみ保護者七名が参加した︒第二日  排するものではないこと︑個々の保護者と指導者との間で委託

目︑田の発案により︑竹とんぼ製作等の竹細工遊びが行われた︒ 関係があるわけではないことなどを理由に︑代理監督者ではな       ユこの際︑参加者の一人であるB︵当時小学校五年生︶が︑人の  いと主張した︒また︑争点三について︑Yは︑A少年団の会則

いない場所に移動することなく竹とんぼを飛ばしたところ︑こ  に﹁本会は総会において委嘱された奉仕指導者に対しては一切

れが左横に飛んでしまったため︑同様に本件キャンプに参加し  の責任を問わない﹂旨の規定︵以下﹁本件免責規定﹂と呼ぶ︶

ていたX︵原告︶の右眼に当たった︵以下この事故を﹁本件事  があることから︑このことを以て︑Xの法定代理人である保護

故﹂という︶︒本件事故後︑Xは概ね六年間にわたって通院治  者がA少年団後援会に入会する際︑A少年団指導者の指導上の

療を続けたものの︑結局両眼視力低下の後遺症が残ることにな  過失に基づく損害について免責を与えたと主張した︒

った︒そこでXが︑田︑およびBの両親である胞・W︵いず

れも被告︶に対し︑民法七一四条に基づき︑逸失利益および慰  ﹇判旨﹈

謝料等︑合わせて一二〇〇万円余りの支払いを求めたのが本件   請求一部認容︒

訴訟である︒      裁判所は︑本件事故の発生についてBの過失によるものであ

 Bの過失の有無︑Bの事理弁識能力︑XとM・鞠との間で  るとし︑Bについて本件事故当時未だ事理弁識能力を有してい

の示談交渉と消滅時効中断の有無等々︑本件における争点は多  なかったと認めた上で︑M・田の監督義務者としての責任を認

岐に及ぶ︒しかし︑田に対する請求との関係で特に重要なのは  めた︒その上で︑ぬに対する請求に関する三つの争点について

以下の三点である︒第一に︑田が七一四条二項所定のいわゆる  は︑それぞれ以下の通り判示した︒       ユ代理監督者であるといえるのか︵争点一︶︒第二に︑仮にYが   争点一について︒

代理監督者であったとして︑本件事案において田は監督義務を   ﹁田は保護者の団体である後援会から少年団の団員の指導︑

尽くしたといえるのか︵争点二︶︒最後に第三として︑XがA  監督を委嘱され︑少年団の団長たる地位にあり︑本件キャンプ       ユ少年団に入会した際︑指導者の免責を認めたと解することがで  においては引率者たる地位にあるものであるから︑Yは民法七

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一四条二項の代理監督者としてBを監督すべき義務を負担して  あったにもかかわらずこれを怠ったもので︑田は監督義務を尽

いるものと解するのが相当なところ︑指導者の監督︑指導は奉  したものということはできない︒﹂

仕活動であること︑後援会と指導者は一体の協力関係にあり︑   争点三にっいて︒

保護者の干渉を排するものではないこと︑個々の保護者と指導   ﹁少年団の活動は剣道が主体であり剣道は相手に対する攻撃

者との間に︑子息の指導︑監督の委託がないことをもって︑左  を内容とするスポーツであるので︑そのことによる事故の発生

右されるものではない︒﹂       は十分考えられるところ︑右は正当行為と評価されるものであ

 争点二について︒      るから︑かかることによる損害について指導者は責任を負わな

  ユ ﹁Yは︑竹とんぼ等竹細工遊びに先立ち︑Bらに対し︑小刀  いことを注意的に定めたものと﹇評釈者注⁚本件免責規定を﹈

の使い方︑竹とんぼの飛ばし方︑飛ばす前に指導者の点検を経  解するのが相当であり︑本件事故まで含むものということはで

ること︑人の前及び近くでは飛ばしてはならないこと等指導上  きない︒﹂

の注意を与えていたもので︑竹とんぼを飛ばすことは通常危険   かくして︑裁判所は田についても監督者としての責任を免

性が小さいこと︑本件キャンプにおいては︑指導者は田を含む  れないものとして︑ぬ・Mおよび田に対し︑連帯して七〇〇

二名で約三〇名の少年の指導︑監督にあたっていたものである  万円余りを支払うよう命じた︒

から︑指導者が個々の少年に付添って右注意事項を遵守させる   なお︑本判決に対しては当事者のいずれかから控訴がなされ

ことは不可能であることを考慮すると︑一般的には︑田は右口  たようであるが︑その後の帰趨は不明である︒

頭の注意をもって監督義務を尽しているものと評価すべき余地

があるけれども︑飛ばした竹とんぼが眼に当ることは十分予見  ﹇評釈﹈

可能であるところ︑本件においては︑田が他の少年が製作した  一 問題の所在

竹とんぼを手直しし︑手渡しできる位置に座していたBに試験   好意により何らかの行動をした者は︑その行動の結果第三者

飛行を命じ︑Bはその位置で座したまま竹とんぼを飛ばしたも  に与えた損害について賠償責任を負うべきか否か︒この点につ

のであるから︑YはBの行動により関心を持って然るべきで︑ いては︑いわゆる隣人訴訟︵津地判昭和五八年二月二五日判時

その行動を注視して事故の起らないよう監督することが可能で   一〇八三号一二五頁−以下﹁﹇一﹈事件﹂というー︑津地判

少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任      ︵都法五十−二︶ 三九七

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三九八

昭和五八年四月二一日判時一〇八三号=二四頁−以下  これらの者こそが法律や法定監督者との契約によって責任無能

﹁﹇二﹈事件﹂というー︶を契機に︑一時期盛んに議論された  力者の監督を直接委託されているのだという形式的な理由と︑

        ところである︒本判決が公表されたのも︑そのような状況下︑  職員等の個人に過大な負担を負わせるべきでないという実質的

特に﹇二﹈事件との類似点が注目されたためと推察される︒尤  な理由とがある︒後者のような実質的な配慮を徹底するなら

も︑本件の場合︑被告は直接七〇九条による責任を追及された  ば︑事業体の長といえども個人である以上︑代理監督者とすべ

わけではなく︑他の者の行為について七一四条の責任を追及さ  きでなく︑事業体自体のみを代理監督者とすべきである︑とい       れたという点に特徴がある︒そしてそのために︑本件では︑あ  うことになろう︒

る種の団体が行うボランティア活動に関して第三者に損害が生   判例・裁判例の状況に目を転ずると︑この点に関して︑最上

じた場合に︑団体と個人との間でどのように責任を分担すべき  級審の判例は未だ存在しないようである︒下級審の裁判例では︑      か問題になりうることがより明確に示されたように思われる︒  職員等を代理監督者としたものが少なからず存在している︒尤

以下︑説明の便宜上︑争点一および争点三について順に論じた  も︑これら下級審裁判例は︑多くが学校等での事故に関する事

上で︑最後に争点二について簡単に検討する︒         案である︒そこから︑二つの特徴を指摘することができる︒第

      一にべ職員等は職業上の義務として責任無能力者を監督してい

二 争点一について       る︒第二に︑結局のところ職員等自身が賠償を求められること

 本件のように︑何らかの施設ないし事業体︵以下︑事業体で  は多くない︒資力の差を考慮してか︑被害者は︑職員等ではな

代表させる︶が責任無能力者を引き受けた場合の代理監督者が  く︑その使用者である学校等の運営者︵多くは地方公共団体︶

誰になるのかについては︑学説上若干の議論が見られるところ  に対し損害賠償を求めることが多かったのである︒本件の事案

である︒古くから有力と見られる見解は︑たとえば学校の場合  においてはこれらの条件が欠けているにも拘わらず︑それでも

における教員のように︑現場で実際に監護を行う者︵以下︑こ  なおYの責任を認めたという点に︑本判決の特徴を見いだすこ

のような者を指して﹁職員等﹂という︶を以て代理監督者とす  とができる︒

るも︵四である︒しかし一方で︑事業体自体またはその長が代理   本判決のように︑ボランティア活動を行う者の賠償責任を認      ヨ 監督者であるとするものも見られる︒このような考え方には︑  めることに対しては︑心理的な抵抗感があろう︒日本国内に限

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っても︑このような事件では︑賠償義務者の無償・好意的事情  の個人ではなく︑団体の方が賠償責任を免れるものとされてい

や被害者側の過失を顧慮して損害額を減ずるのが通例であると  た︒一見︑現在の連邦法とは正反対の態度のようであるが︑し

      もされる︒実際︑たとえば﹇二﹈事件では︑八割の過失相殺が  かし︑被害者に対する関係で︑団体とボランティアのいずれか

認められたところである︒比較法的に見ても︑一定の要件の下︑  一方の︵そしておそらくは︑より資力がある側の︶責任は認め

このような者の損害賠償責任を制限している例がある︒具体的  ていたという点では共通する︒そしてその理由を考える際には︑

に恨㌔メリカの連邦法であ遣=目⇔①而.㊥.・︷・§﹀・ζかつて§量日⁝暑に対して加えられた批︵罪手がかり

一Φ㊤や力元瑞余フンティアにつき︑免責の対象としてになる.すなわち︑・げ・量・ぎ量の実質的な問題点とし

いるところである︒ただし︑この免責には様々な制限がある︒  てあげられたのは︑この種の免責を認めることによって被害者

たとえば︑ボランティアに︵日本でいうところの︶故意や重過  が賠償を受けられなくなる場合︑慈善目的の活動により生ずる

失があった場合︑免責は認められな.哩また︑ボランテ・アの危険を他ならぬ受薯ー慈善目的の活動を必要としているよ

免責を認めるに際しては︑他の主体との間で責任をいかに分担 うな者ーに転嫁する結果になるということであつ木越・結局の

させるかという点に注意が払われている点も注目される︒具体  ところ︑たとえ善意の活動であったとしても︑それによって生

的には︑免募認められるのは︑是の公益目的の団衡におい じた損害は何らかの形で填補されることが望ましく・公益目的

てボランティア活動に従事する者に限られ︑なおかつこれら公  の活動を萎縮させないよう責任の分担を見直すことはあり得る

益目的の団体については同法による免責の対象とされていな.已としても︑より資力に乏しい者に責任を集中させることで・損害

また︑州法上これら公益目的の団体が保険等に加入することを  の填補が難しくなることは望ましくないというのが︑アメリカ

義務づけられている場合︑免責は認められないものとされてい  法全体の考察を通じてうかがわれる一つの考え方であったよう

     ロ るのである︒このような形になった理由について考察するため  に思われる︒

には︑若干歴史を遡る必要があ華概ね一九世紀後半から二︒ このような考え方が・呆法に対して直ちに影響を及ぼしう

世紀前半に至るまで︑いわゆる9§σ三§巨⇔鷲.がアメリるものであるかについては慎重な考慮を要しよ麺・ただ・日本       カの多くの州において判例法により認められており︑一定の慈  の民法については︑利他的行為を優遇することに対し比較的慎

善目的の団体で活動する個人が第三者に損害を与えた場合︑こ  重な立場を示しているようにも解しうるところであ恒・少なく

    少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任       ︵都法五十−二︶ 三九九

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四〇〇

ともアメリカ以上にボランティアや団体の責任を軽減すること  そもそも本件免責規定は︑三A少年団後援会︶は...責任を

は難しいように思われる︒また︑事案の詳細が必ずしも詳らか  問わない﹂としたものである︒したがって︑文言を素直に解し︑

でないために即断はできないものの︑本件のA少年団︵ないし  本件免責規定は︑たとえばA少年団︵後援会︶から指導者に対

後援会︶は構成員の有限責任が認められる権利能力なき社団で  する︑不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償請求︑ある

あり︑しかも強固な財政的基盤を有するものではなかったため︑ いは︑A少年団︵後援会︶が指導者の使用者として︑あるいは

比較をすれば田の方が資力を有していたとみるのが妥当であろ  共同不法行為者として第三者に損害を賠償した場合に︑A少年

頑︶.このような点を考慮すれば︑田がボランティアであり︑  団︵後援会︶から指導者に対して可能となる求償などといった︑

なおかつA少年団のために活動した者であるからといって直ち  A少年団から指導者に対する請求を制限するものに過ぎないと

にその責任を排除しなかった本判決の立場は︑それなりに首肯  解釈するのが妥当だったのではないかと思われるのである︒よ

しうるものであったように思われる︒       り実質的に考えても︑第三者に生じた損害の填補に影響しない

      限り︑団体とそのために活動する個人との間でどのように責任

三 争点三について       .     を分担するかについて︑各当事者の資力等も考慮し︑当事者間

 本判決は︑本件免責規定を注意規定にすぎないものだと解し  で取り決めをすることもある程度容認されるべきであろう︒た

た︒本件免責規定の解釈については︑A少年団後援会長による  とえばA少年団︵後援会︶が︑指導者についてボランティアで

証言も曖昧であったと判決文中で述べられており︑判決の背景  あることに配慮したり︑あるいは指導者の確保を容易にするた

には︑たとえば本件免責規定が誰の誰に対する請求に関するも  め︑︵A少年団後援会自身が負担しうる限り︶指導者には責任

のなのか︑どのような場合に例外があり得べきなのかなどとい  を負わせないものと取り決めることも︑一概に否定されるべき

った点について深入りすることは避けたいという裁判所の配慮  ではないように思われるのである︒

があったのかもしれない︒       第二に︑本判決は本件免責規定の適用対象を剣道による事故

 しかし︑このような判旨には二つの疑問が残る︒第一に︑本  に限定しているようであるが︑このことは妥当であろうか︒ま

件免責規定をA少年団員からA少年団の使用者に対する請求に  ず︑本件免責規定を置いた当時の︑あるいはその後の関係者の

つき適用されるものだと解することは妥当だったのだろうか︒  意思をみても︑このような限定が試みられていたとは解しづら

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い︒確かに︑A少年団の主たる活動は剣道の修練だったようで  どのような位置づけで論ずべきか考察することにする︒

あるが︑その最終目的としては少年少女の育成が掲げられてお   田の過失︵監督義務の解怠︶について︑本判決は︑単に竹細

り︑そのためには剣道以外の活動がある程度行われることも当  工の最中であったというだけではなく︑Bに竹とんぼの試験飛

初から想定されていたと解す余地がある︒ならば︑本件免責規  行を命じた等々の事情まで検討した上で過失︵解怠︶ありとし

定の適用対象についても︑これら剣道以外の活動を含めること  ている︒一般に︑監督者責任の前提となる過失については︑特      ︵23︶が当初から予定され︑また実際当事者はそのような意思を有し  定の加害行為についてのものでないとされてきた︒しかしなが

ていたと解する方が︑より自然な解釈なのではなかろうか︒本  ら︑代理監督者の場合︑いわゆる﹁身上監護型﹂よりは﹁特定       ︑       ︵24︶件免責規定において︑対象となる事故の種類が特に限定されて  生活監護型﹂に当てはまることが多い︒たとえば親などの場合

いないことも︑このような考え方を裏付けるものであるように  に比べれば監督を行う場面も限られる以上︑監督義務者として

思われる︒無論︑当事者の意思とは別に︑内容の合理性という  の監督義務の内容も︑一般的な監督を怠らないことというより

観点から︑本件免責規定に一定の限界を設けることはあり得よ  は限定的なものとなるのである︒特に本件の場合︑同じ代理監.糎しかしその際も︑主たる活動であるか否かによってのみ区督者である学校︵の教員︶などに比べても・A少年団や田がB

別するのはやや粗雑に過ぎるのではなかろうか︒むしろ︑たと  の監督に当たるべき場面は相当に限定されたものであろう︒した  ユえばYの過失が重大なものであったのか否か︑Bに生じた損  がって︑監督者責任についてこのような具体的な過失を認定し

害が重大なものであったのか否かなどといった点を考慮するこ  たことも︑特異なことではないように思われる︒

とが望ましいのではないかとも思われるのである︒        尤も︑被害者たるXからすれば︑ここまで具体的な過失が認

       められるのであれば︑七一四条ではなく直接七〇九条によって

四 争点二について       hの責任を問うことも選択肢となり得たように思われる︒そし

 この点に関し︑裁判所がなした具体的な判断が妥当であった  て実際︑本件のように代理監督者に対して七一四条二項の責任

のか︑判決文のみから論ずることは難しい︒そこで本研究では︑  を問いうる可能性のある事案でも︑被害者の側で代理監督者自

裁判所による判断の方法について︑監督者責任が問題となる他  身の過失や損害との︵直接の︶因果関係などを証明した上で︑七       ︵25︶の場面と比較することで特徴を簡単に指摘し︑本判決について  〇九条により賠償を求めた例は少なくないところである︒

少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任      ︵都法五十−二︶ 四〇一

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四〇二

 実際のところ︑代理監督者につき責任を迫及する際︑七〇九   ︵−︶法曹や研究者などに限らず︑一般の人々が当時どのような反応

条を利用した場合と七一四条を利用した場合とで結論に差がな    を示していたかまで敷桁しうる文献として︑たとえば︑星野英一

いのかについては慎重に検討する必要がある・まず︑七一四条     ﹃隣人訴訟と法の役割﹄︵有斐閣 一九八四年︶︒       ︑      ︵2︶加藤一郎﹃不法行為﹇増補版﹈﹄︵有斐閣︑一九七四年︶一六一の過失と損害との因果関係について 因果関係を必要とする説       頁以下︑幾代通編﹃注釈民法︵一九︶﹄二六一頁︹山本進一︺︵有においても︑実際︵郷︶ところ不存在の証明は容易には認められな 斐閣一九六五年︶︑平井宜雄﹃債権各論・不法行為﹄︵弘文掌

いと指摘されている︒他方で︑代理監督者が事業体の職員であ     一九九二年︶二二〇頁など︒鈴木緑彌﹃債権法講義 四訂版﹄

る場合︑七〇九条の責任については事業体が使用者責任を負う     ︵創文社︑二〇〇一年︶四三頁︑窪田充見﹃不法行為法﹄︵有斐閣︑

ことを理由として免れることができないのに対し︑七一四条の    二〇〇七年︶一七九頁以下なども同様の見解であろう︒

責任については︑そもそも代理監督者でないとすることによつ   ︵3︶古くは我妻榮﹃事務管理.不当利得.不法行為﹄︵日本評論社︑

て免れる可能性がある︒       一九三七年︶一六〇頁比較的新しいものでは前田達明﹃現代法

したがって・単純に両者を亘視して扱うことはできず本  律学議民法W︵不法行為法︶﹄︵主.林書院新社元八〇年︶       =二八頁︑潮見佳男﹃不法行為法﹄︵信山社︑一九九九年︶一九研究が七一四条の適用される場面に限定して考察を進めた理由     七頁以下など・

もここにある︒尤も︑ある程度の連続性を認めうることは確か   ︵4︶このような見解として︑幾代通11徳本伸一﹃不法行為法﹄︵有

であり︑今後は七〇九条の責任が問われる場合をも念頭に置い    斐閣︑一九九三年︶一九二頁︑四宮和夫﹃︿現代法律学全集一

た検討が必要となろう︒       ○﹀不法行為﹄︵青林書院︑一九八一〜一九八五年︑以下著者名

       のみで引用︶六七八頁以下︑吉村良一﹃不法行為法﹇第三版﹈﹄

       ︵有斐閣︑二〇〇五年︶一八四頁以下︒

      ︵5︶職員等が代理監督者であると述べる裁判例は比較的古くから存

       在する︵たとえば東京地判昭和四〇年九月九日下民集一六巻九号

       一四〇八頁︶ものの︑実際にこれら代理監督者とされた職員等の

       過失を認めたものとしては︑神戸地判昭和五一年九月三〇日判時

       八五六号七三頁︵授業中に起きた公立小学校児童の悪戯による傷

       害事故につき︑担任教諭に過失があったとされた事案︶が最初の

(9)

  公表裁判例ではないかと思われる︒その後︑同様に過失を認めた     研究として︑たとえば︑O§災息§§冴き§↑⇔ミーきボξ︑

  裁判例のうち︑高裁レベルのものとしては︑福岡高判昭和五六年     ◎這o§︑へ§切﹄O切出㏄冥↑男oぷ戸閤︒︒﹂OΦ㊤︵一㊤㊤戸IH㊤ΦN︶°

  九月二九日判時一〇四三号七一頁︵遠足時に二つの市立小学校の    ︵16︶一九三八年の時点で︑なんらかの形で合曽$巨Φ旨日巨与を認めた

  児童間で喧嘩がおき︑傷害事故が発生した事案で︑両校の引率の     州の最高裁判所は四〇に及び︑逆に積極的にこれを排除したのは

  教職員に過失があったとされた事案︶︑大阪高判平成一二年一一     ミネソタ州の最高裁判所のみであった︒絶○切日合oぺρひ昌8停

  月三〇日判タ=一八号二二五頁︵公立小学校でのいじめで児童     Ooき●δρ§o§§︑ミQ§§切ざ㌔合9ミboヘミS㌻§○

 が受傷した事案について︑代理監督者である教諭に過失があった     ﹄守§民§亀Qミ§9き§§尋︑ ω富≦合白︒8︷①蔓⑰Oρ㊤やH︵一〇べ㊤︶・

  とされた事案︶がある︒      ︵17︶皆㌻060品①9≦︼Oo=oぴq6<工已oQゴ窃︑HωO国NOQ︒声O︵00Ωけ戸Oお︶°

︵6︶本判決の匿名コメント︵判タ五一九号二六二頁︶参照︒         本判決における男巨o信6判事の意見は︑合良富げ一而︷目白§一蔓に

︵7︶畠ご゜Q力゜否﹈ぴO¶O口゜      つき︑その歴史的経緯等を詳しく分析した上で批判を行うもので

︵8︶簿○嵩ごφひ﹈冷O史ω︶°      あった︒概ね本判決以後︑各州の最高裁判所は一転して6冨ユ冨宮Φ

︵9︶☆ご゜o︒b﹄冷Oω゜       ﹂日目ロロ与を制限ないし撤廃していくことになる︒曽㌻否き8俸

︵10︶︽Nご・oo・ひ守戸冷Oω︵①×ω︶°      ﹂曽o°︒︑ω6日oo8一◎暮㊤﹃Nqっお゜

︵11︶具体的には︑公共セクター︑ないしは連邦歳入法典上の免税団    ︵18︶印︑Ωoo頃68≦昌ひo苦αqo否国ロ讐6・・三§§昌09﹂べ曽︒︒Nふ

 体など︒忠○±d如P置口OO︵吟シ       ︵19︶故に︑詳細は別稿に委ねざるを得ない︒

︵12︶ただし︑州法のレベルでは団体の責任制限を認めるものもある︒   ︵20︶この点を検討する上で︑事務管理に関する法のあり方はある程

 Poqこζ﹀ωQ力・○国Z・↑≧e︒︒°>ZZ°oゴ゜Nω戸㊧◎︒渓︵不法行為に基づく     度参考になるかもしれない︒たとえば︑本人の意思や利益に反す

 損害賠償請求について︑団体等が慈善を目的としている場合︑団     る事務管理の継続を認めない︑民法七〇〇条但書き参照︒

 体構成員のみならず団体を被告とする場合にも︑二万ドルの上限    ︵21︶それだからこそ︑Xが︵A少年団ではなく︶田を被告とした

 額を設ける︶°       とも考えられる︒

︵13︶芯ご゜o︒°ρ忘8ω︵o︶︵﹄×ロ︶°      ︵22︶なお︑いわゆる好意同乗に先立ち損害賠償債権の放棄があった

︵14︶詳しくは別稿を予定している︒      とも見うる事案につき︑少なくとも事案との関係ではその効力を

︵51︶不法行為の一般的なケースブックでも言及されていることは少     認めがたいとした裁判例として︑東京地判昭和四九年七月一六日

 なくない︒一例として︑やや古いが︑担合冑△声゜国場﹇o旦○>Qり国む力     判時七五九号六六頁参照︒

 ≧40肩国包﹀拐OZ↓O胃G力逡研O怠︵Φ﹇庁6全゜戸qりOO︶°まとまった    ︵23︶加藤一郎編﹃注釈民法︵15︶﹄二〇五頁︹山本進一︺︵有斐

少年団員の不法行為と団長の損害賠償責任       .  ︵都法五十−二︶ 四〇三

(10)

四〇四

 閣︑一九六五年︶二五九頁参照︒      ※本判決の先行評釈は存在しないようであるが︑本判決の検討を含め

︵24︶用語を含め︑四宮・六七四頁以下参照︒      ボランティアの責任につき考察する近年の研究として︑直井義典

︵25︶先の﹇二﹈事件など︒なお︑最判平成八年九月三日裁判集民事    ﹁ボランティアの責任について﹂徳島大学社会科学研究二二号︵二〇

 一八〇号二〇五頁・判時一五九四号三二頁︵精神病院に措置入院    〇九年︶八七頁以下がある︒

 中の患者が無断離院の上通行人を殺害した事案で︑病院の院長・  ※本研究は︑日本学術振興会の科学研究費補助金による若手研究︵B︶

 担当医師・看護師に過失があるとされた事案︶参照︒         ﹁非営利法人等と損害賠償責任の制限﹂︵課題番号⁚一九七三〇〇七

︵26︶四宮・六七七頁以下︒      六︶の研究成果の一部である︒

参照

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