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成果と課題

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Academic year: 2021

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成果と課題

著者 木下 聡美, 小野 祐一郎, 繁田 美帆

雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業

20

ページ 22‑22

発行年 2020‑03

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

URL http://doi.org/10.14945/00027139

(2)

静岡大学教育学部附属静岡中学校 研究紀要(第20号)

-22-

成果と課題

成果

子どもたちは3年間の国語の授業を通して多くの題材と出会い,登場人物の思いに共感したり,筆者の主 張に疑問をもったりすることで,今までの価値観が揺さぶられるような経験をしてきました。そして,自分 と他者の考えを比較したり,一つ一つの言葉にこだわって叙述を読み返したり,考えたことを表現したりす ることで,自分の価値観や考え方を見つめ直していく姿が見られました。このような「国語科ならではの文 化」を味わう子どもたちの姿が育まれた背景を次のように考えています。

(1) 魅力的な題材構想によって育まれる対話

私たちは「題材化」を大切にして授業づくりをしてきま した。その中で複数の作品を読み比べる題材も取り入れ てきました。比較する作品は文章だけでなく,映像作品も 含めて考えています。右の表は平成27年度からの研究協 議会で実践発表をした題材です。子どもたちは表現方法 や論の根拠を比較し,作品に共通するテーマや筆者によ って異なっている考え方などにせまっていく問いを自分 たちでつくり,言葉を吟味しながら追求していきました。

そして,他者と意見を交流することによって,なぜそのよ うに考えるのかということについて,叙述から根拠とな る部分を探したり,自分の意見を捉え直したりしていく 姿が見られました。

このように題材構想を工夫していくことで,子どもた ちは叙述を基にして考え,互いの意見に耳を傾けながら 題材の本質にせまっていく対話をすることができたと考 えています。

(2) 読みの深化を育む題材配列

子どもたちが豊かな読みや表現をしていくために,ど のように題材を配列していくかということにも重点を置 いてきました。今年度の実践Ⅱ「トロッコ」では,題材に 入る前にオー・ヘンリーの「二十年後」を読み,語りの視 点や伏線などについて考えてきました。また,実践Ⅰ「平

家物語」の題材に入る前の単元で,新川和江の「名づけられた葉」,菊池寛の「形」,百田尚樹の「永遠の 0」と作品を重ねていくことで,子どもたちは「どのように生きるか」という視点をもって読み進めてい くことができました。題材配列を工夫することによって,子どもたちは前の題材と比較して考え,読みを 深化させたり,自分の思いが適切に相手に伝わる表現方法を主体的に追求したりしていく姿につながった と言えるでしょう。

課題

このような実践を重ねていく中で見えてきた課題は大きく二つあります。

一つ目は一つ一つの題材において育まれた子どもたちの学びが,どのような「概念」として身についてい たかということです。学年を重ねるごとに自分の価値観と重ね,広い視野で題材の本質を読み解こうとする 子どもたちの姿が見られました。この姿が汎用的な「概念」として,読み取りや表現にどのように関わって いるかということについては,子どもたちの追求の記録やレポート等から分析し,題材構想につなげていき たいと思います。二つ目は教材選定や題材配列の基準をどこに置くかということです。実践の成果として題 材を意図的に重ねていくことの有用性は見えてきましたが,「なぜその作品を選定したのか」ということに ついて題材配列も含めて改めて検討,分析していく必要があると感じています。

これからも,子どもたちが作品の魅力を存分に味わい,仲間と語り合うことを通して,読むことを楽しん だり,伝える方法を工夫したりすることで,豊かな感性や表現を育んでいくことを大切にしたいと思います。

年度 単元名

2015

(H27)

人生で大事なもの・かけがえのない美しさとは

―文庫版のあとがきからせまる 重松清『小学 五年生』より―(第1学年)

(「ライギョ」「おとうと」「ケンタのたそがれ」

「プラネタリウム」「バスに乗って」の5作品)

2016

(H28)

説明文を創りあげる-新書版『ディズニーラン ドという聖地』との比較を手がかりに「聖地」を 問う―(第2学年)

2016

(H28)

「素顔同盟」-象徴表現から作品を味わう―

(第3学年)

(すやまたけし「一輪車の村」,阿部公房「鞄」,

別役実「寂しいお魚」)

2018

(H30) 勇者メロスを語ろう(第2学年)

(「走れメロス」のCM動画)

2018

(H30) 校歌でMV(ミュージックビデオ)を制作する効 果―教科横断系の MV 制作過程を通じて磨かれ る言葉のチカラ―(第3学年)

(複数のMV,生徒会誌(草野心平の講演に対す

る生徒の感想),50周年記念誌,他校の草野心 平の校歌歌詞,草野心平の詩「春のうた」「ごび らっふの独白」「秋の夜の会話」「島民」)

参照

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