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成果と課題

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Academic year: 2021

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成果と課題

著者 杉山 慎一郎

雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業

20

ページ 94‑94

発行年 2020‑03

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

URL http://doi.org/10.14945/00027156

(2)

静岡大学教育学部附属静岡中学校 研究紀要(第20号)

-94-

成果と課題

保健体育科では,「教科ならではの文化」を子どもたちが味わえるように題材を構想し,授業実践を重ね てきました。様々な題材で,自分たちの動きから課題を発見し,課題を解決しようと思考と体現を繰り返す 子どもたちの姿が見られました。題材の本質に触れ,生き生きと学ぶ子どもたちの姿から,「保健体育科な らではの文化」を味わう授業における成果と課題を以下のように考えました。

成果

「うまくいかない」という実感が「やってみたい」という思い(問い)につながる

子どもたちが題材に初めて取り組むと,イメージした動きと自分たちの動きの違いや対戦結果から,子ど もたちにとって「うまくいかないこと」が生まれます。すると「なぜうまくいかないのか」について子ども たちは考え始め,課題を発見していきます。課題を発見した子どもたちは,課題を解決したいという思いを もち,自然に仲間とかかわりながら思考していきます。その後,思考したことを試してみたくなり,実際に 体現しようと動き出し始めます。このような子どもたちの姿からは,題材との出会いの場面で感じる「うま くいかない」という実感が,子どもたちの切実感を生み,子どもたちのやってみたいという思いにつながっ ていると言えます。「うまくいかない」という実感があるからこそ,子どもたちの「やってみたい」という 思い(問い)が生まれてくるのです。「やってみたい」という思いをもった子どもは,主体的に追求活動を 行っていきます。

・他者の視点を取り入れることが思考を深める

子どもたちが思考し体現しようとしていくと,自分が思考したことだけでは,課題を解決できないことが 多くあります。そこで,グループの仲間と話し合う場を設けたり,全体で共有したりすると,子どもたちは 自分では思考していなかった視点があることに気づき,様々な視点から解決策を思考しようとする姿につな がりました。その後に思考と体現を繰り返していく中では,最初に自分たちが思考していた視点と新たな視 点とのつながりを見いだしたり,最初に思考していた視点の根拠を明確にしたりする姿が見られました。こ のような姿からは,他者とかかわり新たな他者の視点を取り入れることが,子どもたちの思考を深めるうえ で有効であると言えます。他者の視点を取り入れることで様々な視点から自分たちの動きについて思考する ことができ,動きがよりよくなっていく実感につながっていくのです。

・互いの特徴や動きを理解し,認め合う

子どもたちは,仲間の動きの変化を見とり,動きがよりよくなっていることを仲間に伝え,認め合うこと ができました。子どもたちの運動経験や体格には個人差があります。そのため,仲間にどのような特徴があ るのか,仲間がどのように動こうとしているのかを踏まえて解決策を思考していくことが課題の解決には欠 かせません。子どもたちは,思考と体現を繰り返すことで,仲間の特徴や仲間がどのように動こうとしてい るかについて理解していきます。互いの特徴や動きを理解しているからこそ,認め合うことができたのでし ょう。仲間と認め合うことにより自信や達成感を得るという経験は,さらに動きをよりよくしていこうとす る意欲の支えになるため,大変価値のあることだと言えます。

課題

子どもたちの思考は多様であり,仲間と話し合ったり,全体で共有したりする場面では,様々な視点が出 されます。あまりに多くの視点があるため,今どの視点について考えているのかわからなくなっている姿や,

自分たちの課題の解決にはどの視点を取り入れればよいのかについて迷う姿が見られました。そのため,子 どもたちが,話し合っている視点を明確にしながら他者の視点を取り入れていくことがしやすくなるように,

子どもたちから出た視点を,授業者が整理したり焦点化したりすることが必要になると考えています。

「追求の記録」に「作りはどのスポーツでも共通すると思った」というように,他の題材とつなげて考え る記述が見られました。しかし,授業者は題材と題材のつながりを意識して構想したわけではありません。

そのため,題材と題材がどのようにつながるかについて,さらに研究していく必要があると考えています。

参照

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